東京工業大学オープンファシリティセンター(OFC)は3月14日、高度研究支援人財の育成を行うTCカレッジの2022年度テクニカルコンダクター(TC)・テクニカルマスター(TM)認定式および修了式を執り行いました。
TCは、研究課題の解決のため研究者に提案・実現に向けた支援ができる人財で、高い技術力と幅広い知識(複数分野)、高い研究企画力、高いコミュニケーション能力・交渉力および次世代後継者育成力等を兼ね備えた人物を認定する制度です。また、TMは、TCに認定される過程の中で、一定以上のスキルを有すると認められた人物を認定しています。
認定式では、はじめに江端新吾TCカレッジ長(総括理事・副学長特別補佐)による開式のあいさつがあり、続いて渡辺治OFCセンター長(理事・副学長(研究担当))がTC・TM認定者への祝辞を述べました。来賓の有福和紀氏(日本電子株式会社)、櫻井久雄氏(株式会社島津製作所)からは、認定者への期待とTCカレッジの今後の展望について話がありました。TC・TM認定者への認定証授与式に続き、TC認定者代表の髙田綾子氏とTM認定者代表の髙橋久徳氏よりあいさつがあり、最後に中村吉男OFC副センター長(物質理工学院教授)による閉式のあいさつで締めくくられました。
2022年度認定者
TC認定者(4人、敬称略)
- バイオ系TCコース:髙田綾子(OFCバイオ部門 部門長)
- 構造解析系TCコース:梶谷孝(OFC研究基盤戦略室 特任専門員)
- 材料評価系TCコース:多田大(OFC分析部門 技術専門員)
- マイクロプロセス系TCコース:松谷晃宏(OFCマイクロプロセス部門 部門長)
TM認定者(2人、敬称略)
- 材料評価系TCコース:菊地良平(OFC分析部門 技術専門員)
- マネジメント系TCコース:髙橋久徳(OFC研究基盤戦略室 主任技術専門員)
冒頭の江端TCカレッジ長の開式のあいさつでは、「TC認定者にはロールモデルとしての活躍を期待し、TM認定者には次のTCへの道を歩み、日々の業務に加えてさらなる向上心をもって活躍いただきたい。また、学外の方々にもTCコースにチャレンジするための準備をぜひ進めていただき、TCカレッジ全体を盛り上げていきましょう」と意気込みを語りました。
渡辺OFCセンター長からは認定者への祝辞と、「TCの称号を持つことで、TCとして何をするかということをぜひとも考えて活動していただきたい。OFCもいろいろなことを一緒にやっていきたいので、新しい提案や企画を出していただきたい。TM認定者には、TCを目指すことはもちろん、新たに入ってくる方々に対するモデルケースとなるようにぜひ努力していただきたい」と話がありました。
日本電子株式会社の有福氏は、今までになかったTCカレッジという仕組みを立ち上げた苦労話と、実現に携わったという自負心、TCが生まれたことへの喜びを話しました。また、「企業の技術者における教育機関としてもぜひ活用していきたい。TMはTCを目指してほしい。得意な部分を育成し、これからもより広く深く研鑽を重ね、本当に良い形の教育の場としてTCカレッジが発展してほしい」と語りました。
島津製作所の櫻井氏は、「3年前から関わりカリキュラム開発に携われたことは、非常にありがたい。TC認定者からのパワーを非常に強く感じており、今後のご活躍に期待している。また、引き続きこのTCカレッジのカリキュラム開発、あるいはこれからサテライト校の皆さまと関わりながら、いろいろな意見を交わしてTCカレッジを盛り上げていき、我々も切磋琢磨したい」と語りました。
TC認定者4人とTM認定者2人に認定証が授与され、それぞれの代表者が認定に際する気持ちを述べました。
TC認定者代表 髙田綾子氏
TCに認定された感謝の気持ちとともに、コアファシリティ構築支援プログラムの申請書の作成段階から構想に携わり、技術職員の人財育成にフォーカスが当たったことへの驚きと技術力を評価するTC制度の素晴らしさについて話しました。
また、コロナ禍で通常の業務と並行しての準備は大変だったが、学びの多かった3年であったと感じており、今後も先生方や協力機器・機械メーカー、連携機関の方に指導いただきながら、TC人財像に少しでも近づけるように更に努力していくこと、そして他のTCの方と協力しながら、本学とさらに日本の研究力向上のために貢献したいという力強い思いを語りました。
TM認定者代表 髙橋久徳氏
TMに認定された喜びとともに学外の方に協力いただきながらカリキュラムを遂行できたことはとても光栄であるとの思いと、横のつながりが深くなり、受講生の方からもありがたかったという言葉をいただき、とても感謝しているという思いを話しました。また、今後はマネジメント系コースの受講生を増やすだけではなく、どのコースについても学内の方はもちろん、学外の方の受講も増えていくように、マネジメント系コース担当としてだけでなくTCカレッジ・事務局の立場からも盛り上げ、オールジャパンの体制で進めたいという心強いメッセージがありました。
最後に閉式のあいさつとして、中村OFC副センター長より、TC・TM認定者への祝辞とTC制度への思いを話しました。「大学の教育現場では助教の先生が少なくなってきており、学生が相談できる人が減ってきていると感じている。技術で大学を支えていく、日本の技術や研究を支えていく人たちがいても良いのではないかと思っている。技術職員が今後担っていけるように、エンカレッジして認定し、支援したり活躍したりする制度をつくりたいとかねがね思っていた。TCという高い技術力と企画力のある人を認定する仕組みを提案し、実現できたことはとても喜ばしいことで、TCカレッジという場で知り合った日本の他の大学の人・企業の人たちとつながり意見交換できるのは、日本全体の底上げにつながってくると思う。そういう素晴らしい機会を提供できつつあるが、これからさらに良くするには、今回TCに認定された皆さんの活躍次第でもあると思う。大学としても精いっぱい支援していくことになると思うが、皆さん方やこれからTCを目指す人たちも一緒に日本の研究力アップおよび人財育成のために頑張っていただきたい」との願いと期待を込めた閉会のメッセージで認定式を締めくくりました。
東工大TCカレッジ(2021年6月開校)
東工大コアファシリティ構想における⾼い技術⼒・研究企画⼒を持つ「⾼度専門⼈財養成」のため、研究力を飛躍的に向上させる「Team東工大型革新的研究開発基盤イノベーション」を牽引するプロフェッショナル技術職員を「テクニカルコンダクター(TC)」として認定する称号制度を導入している。
TCを養成するための「東工大TCカレッジ」をOFCに創設し、社会のニーズに合わせたTC人財像をもとに独自のカリキュラムを開発し、学内外の受講者に提供している。
また、TCカレッジは、研究基盤を中核とした産官学協働による、オールジャパンの人財養成モデルの構築を目指しており、日本全体の科学技術の推進に寄与できる人財の輩出に向け、東工大の研究推進のみならず、全国の技術系職員および技術者に広く門戸を開いている。
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