東京工業大学博物館は2023年11月12日、大岡山キャンパス百年記念館で、中学生以上を対象とした科学教室「魔法の繊維ナノファイバーを知る体験学習」を開催しました。このイベントは理科教育振興支援「ものつくり人材の裾野拡大支援プロジェクト」の後援を受けています。
本講座は、東工大最先端の研究が基となって商品化に成功したナノファイバーについて体験的に学習し、私たちの生活を支える材料として、今後の可能性を考えるきっかけとなるよう企画され、午前の部と午後の部を合わせて22人が参加しました。
講師を務める東工大の谷岡明彦名誉教授は高分子ナノファイバー分野の第一人者であり、量産への道を開いた東工大発ベンチャーの株式会社Zetta、および株式会社3CFにおいてナノファイバー製品の開発に携わっています。
講座は、ナノファイバーを知るための4種類の実験(ナノファイバーマスクの分解、空気を通し水は通さないことを確かめる実験、油の吸収実験、墨汁のろ過実験)から始まりました。学生スタッフのアドバイスを受けながら行った実験でナノファイバーが持つ優れた性質に触れた後、いまだ科学的に明らかにされていないナノの世界とナノファイバーの特性、製造・活用方法について、谷岡名誉教授から解説がありました。
ナノファイバーは、マスク、防寒着、建築材料、電磁波遮蔽(しゃへい)材、グリース・トラップなど既にさまざまな分野で活用されていますが、海水を真水に変える技術など、これからの開発についても学べる機会となりました。
参加者のコメント
- 実験という形で、ナノファイバーの働きについて知ることができて楽しかった。
- 実験でナノファイバーの特性が目に見えて分かった。
- 最先端のことを分かりやすく説明してもらえた。
学生スタッフのコメント
- ナノファイバーについての知識を深めることができた。
- 参加者とのコミュニケーションもあり、どのような点が理解し難く、疑問に思いやすいかという発見があった。