2023年12月6日、東京工業大学学生支援センターは、一般社団法人 英語落語協会より鹿鳴家英楽さん、鹿鳴家幸楽さん、鹿鳴家一輪さんを迎え、国際交流拠点Hisao & Hiroko Taki Plaza(ヒサオ・アンド・ヒロコ・タキ・プラザ 以下、Taki Plaza)で「英語落語」を開催しました。
本イベントは、本学卒業生で株式会社ぐるなび取締役会長・創業者の滝久雄氏の支援により立ち上げられた、Taki Plazaを拠点として活動する東工大生を応援する「未来人材応援プロジェクト」の一環として企画され、本学学生が運営主体となり、学生支援センター未来人材育成部門、学務部学生支援課支援企画グループ、一般社団法人蔵前工業会の協力で開催したものです。
カナダ、台湾、タイ、ポーランド、ドイツ、フィリピンなど世界各国からの留学生に加えて、日本人学生、近隣住民の方など延べ52人が参加して、英語による落語と、その合間に披露された「色物」と呼ばれる芸を鑑賞し、実際に寄席にいる気分を楽しみました。
落語ならではの軽快な音楽が会場に流れる中、学生運営メンバーの柳瀬梨紗子さんと橋本輝さんが英語と日本語で開会を宣言し、イベントがスタートました。
プログラムは英楽さんによる英語での「落語解説」から始まりました。「上手」と「下手」で人物を描き分けるなどの決まりごとや、扇子などの小道具の使い方について、分かりやすく解説してもらいました。参加者に問いかけて笑いをとるシーンも見られ、楽しみながら落語の知識を得ることができました。
落語解説の後は、英楽さんによる英語での「時そば」、続けて幸楽さんによる日本語での「時そば」を鑑賞しました。同じ演目を異なる言語で聴くことで、表現方法やニュアンスの違いを感じることができました。
その後、一輪さんの色物「玉すだれ」が披露されました。初めて見る人も多かったようで、興味深げに見入っていました。
玉すだれの後には英語落語4席が演じられ、滑らかな語り口に加え、身振り手振り、小道具の手拭いを財布に見立てる仕草などで観客を惹きつけました。日本人が笑うタイミングで同じように留学生からも笑いがおき、落語の笑いのツボがよく伝わっていることがうかがえました。英語落語の合間には、英楽さんの色物「ウクレレ」を鑑賞しました。同じ歌が日本語と英語で披露され、英語ではできない日本語特有のジョークも織り交ぜられていて、日本人参加者も留学生も、使う言語による表現方法の違いを楽しみました。会場は、くすりとした笑いやどっという笑いがあちらこちらでおき、終始笑顔に満ちたイベントとなりました。
イベントの締めくくりでは、学生運営メンバーのキム・ナムギョンさんと上原綾太さんが司会を務め、学生支援センター未来人材育成部門の伊東部門長が、落語家さんや参加者への感謝を伝えるとともに、「今後も日本文化に触れ合い、交流を促進するイベントを企画していきます。次回もぜひご参加ください」と英語であいさつしました。
最後に参加者一同で記念撮影を行い、キムさんと上原さんによる英語と日本語での閉会のあいさつでイベントは終了しました。一部の参加者は、終了後も落語家さんから「玉すだれ」を説明してもらったり、一緒に写真を撮ったりと交流を楽しんでいました。
今まで落語を鑑賞したことがなかった留学生にとっては、日本の伝統文化に触れる機会となり、日本人参加者にとっては、落語を普段とは違う角度から味わう貴重な機会になりました。Taki Plazaを拠点としての国境を越えた交流イベントは、今後も継続的に開催していく予定です。
参加者のコメント
日本文化にどっぷりと浸かることができました。
久しぶりの落語鑑賞、しかも英語は初めてでした。玉すだれ、ウクレレは自分自身でも初心者ながら経験があるので、英語での語り歌がとても面白くて楽しかったです。
すべてが素晴らしかったです!
未来人材応援プロジェクト 学生運営メンバーのコメント
柳瀬梨紗子さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程1年)
英語落語イベントを無事成功させることができ、本当にうれしく思います。本イベントは主に留学生を対象とした企画でしたが、日本人学生や地域の方も参加してくださり、一層にぎわいのある空間をつくることができました。お呼びした落語家の皆さまのパフォーマンスを楽しそうに見ている方、演技の上手さのあまり本当にそこに「そば」があるのではないかと目を丸くして聴いている方などさまざまでしたが、いずれもイベントを楽しんでいただけていたのではないかと感じています。
私は来年度海外留学を予定しているため、今後、「日本を外から見つめ直す」という経験が増えると思いますが、その前に本イベントでこのような経験ができたことは非常に有意義でした。
今回のイベントは教職員の皆さまのお力があったからこそ成功を収めることができました。今後もTaki Plazaを拠点とした学生応援活動を続けていきたいと考えていますので、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
キム・ナムギョンさん(物質理工学院 材料系 学士課程3年)
国際交流の場であるTaki Plazaで多くの方に英語落語を見ていただくことができ、うれしく思います。落語は日本語の授業で学び、動画を見ただけで実際に見る機会は少なかったので、今回落語をキャンパス内で見られるイベントを企画することで、自分も含め留学生にとって大変うれしい機会となったと思います。同じ演目を日本語と英語の両方で見ていただきましたが、これにより日本人の方も知っているストーリーが英語だとどのように表現されるのか、楽しめたのではないでしょうか。
現在、留学生として自国の文化を紹介することが多いですが、今回の経験から、異なる文化を紹介する際に、その文化にローカライズ化して理解しやすく伝える方法を学ぶことができました。
上原綾太さん(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
寄席の雰囲気をTaki Plazaに再現することができ、そして多くの参加者の方々が楽しそうに英語落語を鑑賞している姿を見られてとてもうれしく思います。合間の休憩時間には留学生をはじめ多くの方々が、色物で使用した道具を実際に触って体験している姿が印象的でした。留学生の方々にとっては、英語を通して日本の伝統文化である落語の魅力を体感する良い機会になったと確信しています。研究活動においても留学生と関わる機会が多いのですが、英語落語の存在を紹介することで、より日本文化になじむことができるのではないかと感じました。
橋本輝さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 修士課程1年)
「英語版の落語」では、落語の独特な表現を英語でどのように表すのだろうかと楽しみにしつつ、また私が運営に加わり初めてのイベントだったので、緊張とワクワクも感じながら企画に臨みました。私個人が普段耳にする話は理系関連のトピックのものが多いですが、視野を限定せず、今後も多種多様な文化に触れていきたいです。
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