イギリスの電気機器メーカー ダイソンの国際デザインアワード「ジェームズ・ダイソンアワード2014」国内トップ5に、東工大の学生らが開発した2作品がランクインしました。ジェームズ・ダイソンアワードは、次世代デザインエンジニアの支援・育成を目的に毎年開催されるものです。
国内2位 小型リハビリアシスト装置 "Raplus"(ラプラス)
菅原祥平さん(桑沢デザイン研究所)、北野智士さん(本学大学院理工学研究科)
Raplusは歩行機能障害の方のリハビリ用ひざ部電動アシスト装置として、ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)とIMS板橋リハビリテーション病院が共同で開発しています。「リハビリには100%の補助力は必要ないのではないか?」という病院側からのアイデアをもとに、必要最小限のモータを使用することで小型軽量化を実現しています。また、現在のリハビリで広く使用されている装具を流用することで、必要な部品点数を大幅に減少させることで安価になっており、現場への導入のしやすさも考慮されています。
Raplusの機械設計、回路設計、プログラミングを担当した北野智士さんは、大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻 博士課程2年次の学生です。修士2年次からCSLのリサーチアシスタント(RA)として活動してきました。ロボット工学の第一人者である広瀬茂男名誉教授に憧れて東工大に入学し、現在は小型軽量な4足歩行ロボットTITAN-XIIIの研究・開発を行っています。
「表彰式では、審査員の方々から研究とは異なる目線で貴重な意見を頂きました。現在は学術的な研究を行っていますが、そこで身につけた技術を使って、直接人の役に立つものを開発する道も面白いと思っています。この機会を与えてくださったSony CSLの遠藤先生、同じRAの菅原君、ご協力いただいた皆さんに感謝しています。」
国内5位 新しいスポーツを提案する "HoverBall"(ホバーボール)
新田慧さん(東京大学大学院)、樋口啓太さん(東京大学大学院)、田所祐一さん(本学工学部)
HoverBallはボール状の外装にクアッドコプター(回転翼が4つある飛翔機械)を内蔵しており、従来のボールではできなかった動きを実現する作品です。小説「ハリー・ポッター」に登場する競技「クィディッチ」のように、ボールが自ら飛び回るスポーツを実現するという発想から開発されています。ボールの挙動を適切に制御することで、大人や子ども、老人、障がい者が一緒に楽しめる新しいスポーツを提案することがコンセプトです。
HoverBallの制御システム開発を担当した田所祐一さんは、工学部制御システム工学科の4年生です。ロボット技術研究会で活動するうち、ロボットの外側を作るよりも制御のほうに興味をもつようになったそうです。現在は非線形制御理論を研究しています。
「自分が勉強してきたことが、現実の問題解決に貢献できるとわかったことは良い経験でした。その成果がきちんとした形で評価されたことがうれしいです。作品にはシステムとしてまだまだ未熟な部分があるので、それを改良していくと同時に、もっと自分の専門を活かしていけるような開発を続けていきたいです。」