東京工業大学資源化学研究所(資源研)は、平成26年度からアウト・リーチ活動として「資源研フォーラム」を開催しています。これは、学内外に資源研のアクティビティーを紹介するとともに、学内外との交流をはかって、資源研のより一層の発展を目指そうという活動です。第2回となる今回は、3月4日・5日に、ハインリヒ-ハイネ大学とのジョイントシンポジウムを開催しました。
ドイツの東部・デュッセルドルフ市は、日本の商社や銀行が支店を置き、日本人8,000人が暮らすヨーロッパ屈指の日本人居住都市として知られています。一時期休止されていた直行便の運行も2012年から再開され、日独交流の拠点となっています。ハインリヒ-ハイネ大学は、デュッセルドルフ市郊外にある総合大学で、医学・自然科学系の学部が充実しています。また、現代日本研究を特色とする日本学科があり、日本文化研究が活発に行われています。同大学の自然科学系の中でも、植物科学系は、ケルン大学、ユーリヒ研究センター、マックスプランク研究所植物科学部門とともに、ドイツ研究振興協会の支援による植物科学研究拠点を形成し、植物の資源活用について活発な研究を行っています。
東工大資源研で植物科学の研究を行っている複数の研究者が、同大学とかねてから交流を持っていたことから、今後の共同研究や学術交流の活性化を図ることを目的として、今回のジョイントシンポジウムが開催されました。
このシンポジウムでは、ハインリヒ-ハイネ大学の研究担当副学長・植物分子発生生物学講座ピーター・ヴェストホフ教授が「C4光合成の進化」、植物生理生化学講座ゲオルグ・グロス教授が「C4光合成の酵素の制御機構」、基礎生物学研究所の皆川純教授が「光合成生物の有効な光利用」について、それぞれ基調講演を行いました。
さらに、ハインリヒ-ハイネ大学の植物生化学講座マリオン・アイゼンフート助教、東工大資源研の植物科学系の3名の教員、資源研を含む5大学附置研究所による共同利用研究拠点事業「物質・デバイス領域共同研究拠点」に参加している7名の研究者、および、本学大学院生命理工学研究科の2名の教員が、光合成生物の遺伝子発現やタンパク質の機能制御などの基礎研究の成果、さらには光合成生物を利用した物質生産など応用研究につながる研究成果について講演を行いました。また、若手研究者・大学院生が関連する研究について20件のポスター発表を行いました。
会議には、本学の教職員・学生、関連分野の大学教員、および、近隣大学の学生など70名近くが参加し、植物科学の活用と将来について活発な討論を行いました。さらに、ハインリヒ-ハイネ大学とドイツの植物科学研究拠点についても紹介があり、今後の交流についても意見交換が行われました。
最後に、ピーター・ヴェストホフ副学長から、このジョイントシンポジウムをぜひ両大学交流のキックオフにしたい、という力強い言葉をいただき、盛会のうちに閉会しました。
お問い合わせ先
東京工業大学資源化学研究所
Email : suzu.sigen@jim.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5961