東工大の社会人教育院では、2010年度より蔵前工業会と共催で講演会シリーズを開催しています。
2014年度第2回は2月上旬から3月中旬にかけて、講演会「リベラルアーツ ~輝く未来(あした)へ~」を5回シリーズで開催しました。
本講演会では、「みずからの世界を広げるとともに、自己を深める」分野としてのリベラルアーツを取り上げ、各界で活躍している講師の先生方が、思い思いのテーマでお話されました。
桑子敏雄教授(東京工業大学)
今野真二教授(清泉女子大学)
山口香准教授(筑波大学)
伊藤亜紗准教授(東京工業大学)
入不二基義教授(青山学院大学)
初回、桑子敏雄教授(哲学)の講演では、選択・自由・教養の関係について、哲学と土木を架橋する研究をおこなっている桑子教授自身の選択を実例にして話がありました。桑子教授が実践している「社会的合意形成」についてオーディエンスから様々な質問がありました。
第2回の今野真二教授(日本語学)の講演では、日本語の歴史の中で一貫して使われている漢字をめぐるいくつかのことがらから、日本語をとらえ直すという視点での講演になりました。 理工系出身のバックグラウンドを持つ人の割合が多いオーディエンスからは、「知らない世界を広げることになる」、「日本語の変化について学べた」などの感想がありました。
第3回の山口香准教授(体育学、柔道家)は、「教養としてのスポーツ」というテーマで、前半は、近代スポーツの特徴、日本のスポーツ政策について、後半は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックをめぐっての話題などについて幅広く語りました。
第4回の伊藤亜紗准教授(美学)は、リベラルアーツを「自由になるための技」としてアートの意義について話しました。オーディエンスの側もさまざまな受けとめやバックグラウンドを背景に、質疑応答の内容も多様性に富み、お互いの知見や感性を深め合うことができたようです。
第5回の入不二基義教授(哲学)の講演では、大乗仏教の経文「維摩経」を題材に、哲学的なものの考え方について解説があり、会場は皆でひとつのテーマについて考えを深めていました。
今回の講演会は、リベラルアーツという「くくり」で幅広いジャンル、テーマの展開となりました。毎回、オーディエンスの半数前後は、蔵前工業会会員で理系のバックグラウンドを持つ人が参加しましたが、講師陣からの一般の社会人を対象としたわかりやすい話により、参加者はおおいに楽しんでいたようです。
社会人教育院では、来年度以降も蔵前工業会と共催での講演会を予定しています。
社会人教育院主催/蔵前工業会共催講演会 これまでの講演会
- 2010年度 「技術者のためのマネジメント・スキルアップ」
- 2011年度 「日本再生:科学と技術で未来を創造する~震災後の復興から新たな社会構築まで~」
- 2012年度 「“ひと、テクノロジー、社会”の今」
- 2014年度第1回 「未来(あした)をつかもう ~健康長寿の自助努力と環境整備~」