「海外に興味はあるけれど、英語にも自信がないし、何をしていいかわからない」
そのような学生のために、東工大では、様々な留学プログラムの用意や留学支援を行っています。初めての留学に、夏は最良の季節です。協定校等で実施するサマースクールなどもあり、プログラムの数も種類も充実しています。東工大で紹介しているプログラムだけでも、選び方に迷う学生が、毎年見受けられます。
そこで、東工大の留学担当者に、学生が自分にあった留学プログラムを選ぶためのコツを聞きました。
自分の足で情報収集を!
太田絵里 特任教授
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太田絵里特任教授
専門性を深めたい、海外で研究したい、就職したい、自身の専門が世界でどのように利用されるのか現状を知りたい、海外の取組を知りたい、とりあえず世界をみてみたい、海外の若者と交流したい、などなど、留学の目的は様々です。まずは、自身の渡航の目的をはっきりさせましょう。その上で、自身がどの地域に興味があるのかを考えてみましょう。東工大のウェブページ等で情報収集をしたら、複数のプログラムからどれが一番今の自分に合っているのか、さらなる情報収集に努めましょう。訪問先や訪問国のことをより積極的に調べたり、留学フェアに行ったり、学内の関係者に話を聞いたりしてみましょう。東工大では、留学報告会も多数開催しています。積極的に参加して、経験者の生の声を聴いたりしているうちに、ネットワークも広がり、自身の目的意識やすべきことがはっきりしてくると思います。
また、東工大では、学部生を対象としたグローバル理工人育成コースを開設しています。海外に興味のある学生は、留学生とのグループワークや「使える英語」を身に付ける英語学習プログラム、専門以外の教養科目の履修や専門に沿った課題解決のための演習等を通じ、将来海外で活躍できる人材を育成しています。本コースには、「実践型海外派遣プログラム」として、数多くの超短期派遣プログラムを提供しています。コースに所属しプログラムに参加した学生は、活動の中で、自身の将来計画や現在やるべき事柄について、明確な目的を持つことができるようになります。
留学体験談
実際に、留学を体験した学生の皆さんは、現地で生活し、授業を受ける中で、その国と日本について多くの発見をし、自分自身の成長にも気づいていきます。参加者の感想からは、留学で得た経験の面白さ、嬉しさがまっすぐ伝わってきます。
2014年2-3月 南アジア超短期派遣プログラム(スリランカ)参加者 山野 花穂さん
これまでの私は先進国への関心ばかりが強く、欧米へは何度か行っていたのですが、アジアの国を訪れたのは初めてでした。実を言えば、数ある短期派遣プログラムの中でスリランカを選んだのも「自分から行こうと思い立つことはきっとないだろうから」という消極的な理由からでした。しかし研修を終えて「もっと広く色々な世界を見てみたい、アジアやアフリカにも行ってみたい」という思いでいっぱいです。食習慣や町並みに始まり、緑の多さ、そこら中にいる犬(時々猿や大きなトカゲも)、信号がほぼ皆無の道路交通システム、ヒンドゥー教と仏教の融合した寺院、当時の技術でどうして作れたのか皆目見当がつかない遺跡シーギリヤロック、向こう岸が見えないくらい巨大な人口湖、いくらでも流れ星を見つけられそうなほど澄んだ星空、そして現地学生や先生方との交流...全てが驚きに満ちあふれ、既存の概念や価値観を打ち破られっぱなしで、それがとても新鮮で面白かったのです。今回の研修を通じて最も得たものといえばやはり、こうした既成価値観の打破です。この先世界に出て研鑽を積みたいと願っている身としては、これから出会うであろう人々の多様な背景を理解してより深くコミュニケーションするための大きな第一歩になったと感じています。
参加者集合写真
2015年3月 欧州超短期海外派遣プログラム(英国)参加者 片岡 裕介さん
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イギリス国立物理学研究所 (National Physical Laboratory) にて発表
今回、私にとってこの海外派遣は初めての海外経験でした。イギリスに到着してすぐは見るもの聞くものあらゆるものが日本とは違い戸惑うことがありました。また、日本人ではない人との交流の中でうまく思いを伝えることができず苦心することがありました。しかし、うまく伝えられなくても伝えようという気持ちが助けになって多くのことを伝え合うことができていました。気が付かないうちに自分がイギリスでの生活に順応していたのです。単純に移動のときに地下鉄に乗れるようになったり、コンビニエンスストアで水が買えるようになったりしただけであるのに、自分にとってのこういった変化がとてもうれしく思いました。また、この留学で多くの人とつながることができました。海外で活躍されている研究者と話をした際、何を考えて海外に来たのかということを伺えました。研究内容や最先端技術はインターネットで得られますが、研究者自身がなにを思っているのかということは直接伺うことでしか知ることができません。 また、この海外派遣に参加することで今までだったら想像できなかった自分の新しい姿を描けるようになりました。参加したことで海外を知ることができるだけでなく自分の変化を感じ、たった10 日間であっても旅行とも日常の授業とも違う成長をすることができました。これからもこの成長を止めないように海外に目を向け続けたいと思います。
体験談のように、渡航するまでの心理的ハードルを高く感じる学生が多いですが、実際に留学を経験してみると、訪問した国をより詳しく知りたい、再訪したいと思ったり、今後の留学や海外就職を前向きに考えるなど意識の変化があるようです。
留学プログラム
東工大では、今年の夏こそ留学をしたいと考えている学生に向けた留学プログラムを用意しています。世界トップレベルの大学での聴講・学生交流・ラボ見学や、国際機関などの現地企業訪問を通じて、長期派遣や海外でのキャリア形成に備える体験留学です。事前学習を行い、海外危機管理サポートデスクへの加入を義務づけることで、初めての留学体験が充実かつ安全なものとなるように配慮しています。また、留学期間が10日間~1か月程度の短期プログラムですので、研究活動等に影響することなく、夏休みを利用して、気軽に参加することができます。
- 南アジア超短期派遣(スリランカ):ペラデニア大学 他
- 欧州超短期派遣(フランス):パリ第6大学、アール・ゼ・メティエ、ストラスブール大学 他
- AOTULE バンドン工科大学 サマースクール(インドネシア)
- 南アジア超短期派遣(インド):インド工科大学マドラス校 他
- 欧州超短期派遣(ドイツ・オーストリア):アーヘン工科大学、ウィーン工科大学 他
- 北欧超短期派遣(スウェーデン):スウェーデン王立工科大学、ストックホルム大学 他
- 理工系学生のための海外英語研修プログラム(オーストラリア):モナシュカレッジ
- TiROP 欧州超短期派遣(英国):インペリアル・カレッジ・ロンドン、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学 他
各プログラムの詳細はこちらから。
留学は準備を入念にすることで、充実度が高くなるため、留学に向けた準備のサポートも提供しています。
プログラム紹介・体験談報告会
語学・留学準備サポート
外国語学習相談室:語学学習に関する相談に専任教員が直接お答えします。
English Café:ネイティヴスピーカーの教員を中心に、ランチをかねて英会話ができます。
English Office Hour:ネイティヴスピーカーの教員達が、英語学習についての相談に応じます。
Think Aloud! LUNCH
:科学的・社会学的なトピックを英語でディスカッションする機会です。
Spotlight:英語でのプレゼンテーション能力を身につけられます。
また、海外からの留学生の交流の場を設けている学生団体等もあります。これらに参加することで、留学準備にもなり、留学しなくても、留学に近い体験をすることができます。
この他、留学プログラムのページでは夏だけでなく、一年を通じて、東工大及び協定校等の提供する留学プログラムや奨学金などの案内を提供しています。
また、毎年発行している「東工大生のための海外留学のてびき」でも、留学体験談、準備の方法・スケジュール、プログラム概要などを読むことができます。
東工大は、「東工大に留学する人」、「東工大から留学する人」、双方の支援を通じて「世界最高の理工系総合大学」を目指します。