東京工業大学 情報生命博士教育院(ACLS)※では、学生のキャリア指導の一環として、産業界で活躍されている博士人材を招いて博士取得者のキャリアパスについて語ってもらう場「グローバル・キャリアセミナー」を開催しています。第11回は、日本を代表する総合商社である住友商事株式会社にセミナーをお招きしました。
- ※
- 「情報生命博士教育院」は、生命科学と情報科学の複合領域でグローバルに活躍するリーダー人材の養成を目指して設置された教育組織です。大学院生命理工学研究科、総合理工学研究科、情報理工学研究科の教員が密接に協力して、学際的な教育プログラムを実施しています。
はじめに、人事部採用チーム長の高橋勇氏が、「グローバル企業で働くこと」というテーマで講演しました。総合商社の活動について、「全世界に広がるフィールド」、「幅広い事業領域」および進化する「ビジネスモデル」という観点から説明がありました。
住友商事では、常に3人に1人が海外で勤務しており、国内勤務であっても海外出張が頻繁に行われているそうです。現場に足を運ぶことで、顧客の本当のニーズを知ることができるとのことです。また、日本の総合商社のビジネスの幅は広く、金属事業部門からメディア・生活関連事業部門まで幅広い分野で、シーズの発掘から商品の流通・販売までをサポートしています。商社については、海外の資源会社と国内メーカーとをつなぐ、橋渡しのようなビジネスを行っているというイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし現在は、ビジネスの各フェーズにおいて、資金だけではなく人も積極的に派遣したり、「事業投資」を積極的に行ったりするなど、新しいビジネスモデルの構築に積極的です。この姿勢が、グローバル企業の真髄といえるでしょう。高橋氏の講演は、「グローバル人材とは異なる環境下で常に成長しつづけることができる人である」という言葉で締めくくられました。
後半は、本学卒業生である、ネットワーク事業本部の福岡徹氏による「理工系出身者であることの強み」についての講演がありました。福岡氏はまず、世界のビジネスフィールドでは理工系出身者があふれており、理工系出身であることがビジネスにおいて強みになっている、と述べました。実際のビジネスでは、経験や感性ももちろん大切ですが、最近の傾向として、「データ」も重視されるようになってきているそうです。理工系出身者のもつ新しい技術に対する感度と合わせて、データに基づく論理的思考は、今後ますますビジネスの世界で求められるとのことでした。
質疑応答も活発におこなわれました。総合商社の魅力についての質問に対しては、日々戦場ともいえる過酷なビジネスの連続から得る刺激が成長の源泉力となる、という回答とともに、キャリアは自分で作るものである、というアドバイスをいただきました。
住友商事では採用において、「創造性」「情報発信力」および「協働ができること」という3つの資質を重視するそうです。ACLSでは今後も、社会で活躍できる博士人材を輩出していけるよう、色々な取組みを予定しています。
お問い合わせ先
情報生命博士教育院 原田隆
Email : harada@acls.titech.ac.jp