10月10日から23日まで、東京工業大学博物館で特別展示「ノート考 ー古いノートに学ぶ教育の本質ー」が開催されました。期間中、延べ6,474人が来場しました。
明治期の産業・工業教育のさきがけである東京高等工業学校は当初、教科書と板書は英語、そして秋入学でした。日本の近代化にともない指導的立場の人材育成に専念し、数多くの卒業生たちが全国で活躍しました。今回は、そんな日本の産業を興すべく設立された本学の前身校で学んだ3人の学生ノートを展示しました。
彼らには教科書がなく、道案内役である先生の話を板書に耳と眼を傾け、ノートの上に体系化することこそが、開拓者への第一歩でした。これらのノートからは、自分の理解を見える形にするという、現代のアクティブ・ラーニングに通じる学びの基本の姿をうかがうことが出来ました。
さらに今回の展示は、日本の近代化が押し進められていた明治~大正期における社会情勢を色濃く示唆するという点でも、大変興味深い内容でした。機械に関連する学科が多く、機械を扱える技術者養成が急務であったということを伺い知ることができるなど、数々の発見がありました。ノートは関連する科目ごとにまとめて製本され、それを通して教鞭をとった教員の授業・実習の様子も垣間見る事ができました。
教科書がなかった時代のノートを通して、学びの基本に立ちかえり、その当時の歴史・文化に対する造詣を深めるよい機会になりました。彼らの教育への道しるべとも言える、今回展示されたノートは、現代の若者たちにも印象深く、心に刻まれたことでしょう。
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