11月3日、東京工業大学地球生命研究所(ELSI)の新棟である石川台7号館(ELSI-1)で、第3回ELSIトークライブが開催されました。
ELSIトークライブは2014年に開始し、以降毎年開催されています。ELSIの最新の研究を、一般の方にも分かりやすく解説するトークイベントです。
今回は、地質学を専門とする佐藤友彦研究員を講師に、「生物進化の起源にせまる!」というテーマでお送りしました。
佐藤研究員は「地球生命は、いつどこで、どんな条件下で進化してきたのか」という謎について6~5億年前=エディアカラ紀~カンブリア紀の爆発的な生物進化や、21億年前=前期原生代の謎の大型生物の出現に焦点を当て、中国やアフリカでのフィールドワークにより得られた地質学的証拠を用いて語りました。
まず、「綱(恐竜が鳥類へ進化)」「科(猿から人へ進化)」「種(フィンチのくちばしの進化)」と、進化には色々なレベルがあると解説しました。
そして、フィールドワークへ赴いている中国雲南省澄江(Chengjiang)の紹介をしました。この地域には、リン酸塩岩が大量に存在しています。そして、カンブリア爆発に先駆けて小型化石(small shelly fossils)が多く保存されていることでも注目されています。
休憩をはさんだ後半では、佐藤研究員が今、まさに研究を進めている「ガボン化石」についてのお話をしました。
ガボン化石とは、2010年に西アフリカのガボンで発見された4cm~17cmの化石です。今まで5cm以上の大きな化石は、5億8000万年前の「エディアカラ生物」が最古であると考えられていました。しかし、ガボン化石はその遥か昔、なんと21億年前の化石で、その大きさや形態の複雑さから多細胞生物だったのでは?と考えられています。
佐藤研究員は、カンブリア大爆発やガボン化石の誕生を引き起こした「多細胞生物となるための条件」が解明できれば、宇宙の他の星でも多細胞生物の存在が見つけられるかもしれない。それが出来るのは、色々な分野の研究者が集まっているELSIならではと語りました。
今回のトークライブでは、佐藤研究員の仮説段階の内容が多く含まれたため、来場者アンケートでは「研究に進捗があったら是非、またトークライブをしてほしい」という要望をたくさんいただきました。
ELSIでは、今後も皆様のご期待に沿えるようなイベントを開催する予定です。第4回ELSIトークライブをどうぞ楽しみにお待ちください。
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