8月30日~9月12日、大学院情報理工学研究科のIT特別教育研究コース※1による「グローバル・システム開発研修」が実施され、3人の修士1年生が参加しました。
- ※1
- ソフトウェア構築に必要な基礎概念や、それを基にした実用的問題に適用可能な理論、開発の実践的な側面までの高度な専門性を持ち、近未来ソフトウェアの発想力を持つスペシャリストの育成を目的とする大学院教育プログラム
最終日の集合写真
研修場所はフィリピン、セブ島です。フィリピンは英語が公用語の国で、特にセブは訛りのない英語を話せる人が多いため、ここでの研修開催となりました。
この研修は、特にコミュニケーションが苦手なICT(情報・通信)系学生に、英語でのコミュニケーション力をつけようという目的で企画されたもので、以下の2点を狙いとしています。
- グローバルな状況下でのシステム開発を実体験を通して学習する
- チーム開発を経験し異文化について理解を深める
研修内容は、2つに分かれています。
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プレゼンテーションの練習
まず1週目は「コミュニケーション研修」です。現地の語学学校の協力を得て、1日10時間みっちり英会話と異文化コミュニケーションを学びました。英語でのプレゼンテーションやディベート(討論)、寸劇による文化交流など、実践的なレッスンが続き、一日の終わりには日本語が下手になるぐらい英語のシャワーを浴びました。韓国や中国、ベトナムなど色々な国から学生が来ていることもあり、自然と英語でのコミュニケーションのハードルが下がったようです。
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市内視察の経験がアプリ開発に活かされる
2週目は、セブ・シティのITパークに場所を移して、現地IT企業とのシステム開発演習です。開発テーマは「セブ旅行者をサポートするAndroidアプリ」です。学生は各々3つのチームに分かれ、現地エンジニアやフィリピン大学の学生とチームを組み、アプリケーション(プログラム。以下、アプリ)を開発しました。
演習はデザイン思考※2の手法を中心にしたもので、初日はITパークで街頭インタビューを実施しました。いきなりのインタビューでしたが、1週目に英語シャワーを浴びた効果か、みんなしっかりインタビュー出来たようです。
- ※2
- イノベーションを起こすための1つのアプローチ法。問題を調査して、情報を取得・分析し、解決策を選定する。
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リサーチ結果を元にディスカッション
1日目の後半は、インタビュー結果を元に、アプリの内容についてブレインストーミング(集団でのアイディア出し)。そして、ペーパープロトタイピング(紙での実装)の製作を経て、2日目の午後には、プロトタイプ(原型)の評価インタビューのため、セブ最大のショッピングモールへ。ショッピング中の人にインタビューをして、プロトタイプへのフィードバック(意見)をたくさんもらってきました。
リサーチ結果を元にディスカッション
3日目と4日目はデモアプリ(試作アプリ)の開発です。チームごとに作業を分担して開発をすすめます。チームでは熱心な議論もしつつ、開発がすすめられました。
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ディスカッション
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アプリ開発中
そして、最終日。協力いただいた企業のマネージャたちがずらりと並ぶなか、プレゼンテーション(発表会)が行われました。アプリのコンセプト(基本概念)と、リーンキャンバス※3を使ってのアイデア評価結果の紹介と、デモンストレーション(実演)で構成されました。
- ※3
- ビジネスモデルの企画のためのツール。1ページに収まるサイズというのが大きな特徴。
アプリのコンセプト
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プレゼンテーション
観光客の宿泊ホテルを起点とした観光ルートの紹介アプリ、Wi-Fi(無線ネットワーク)をつかまえるためのアプリ、ジプニーというフィリピンの乗り物のルート案内アプリと、市内視察の実体験から着想を得た有用性の高いアプリが発表されました。とても短い開発期間でしたが、3チームとも素晴らしい発表でした。
10月7日には、帰国後の報告会が行われました。
- いい経験ができた
- 英語を話すハードルが下がった
- 留学生とも臆せず会話できる気がする
- もっと英会話の勉強をしたい
- とにかく話してみればいいんだと分かった
と、頼もしい報告がなされ、英語でのコミュニケーションに対して意欲が湧いたことが伺えました。
お問い合わせ先
IT特別教育研究コース
Email : jimu@itpro.titech.ac.jp