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AESセンター第8回シンポジウム開催報告~分散型エネルギーインフラと地域活性化

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東京工業大学ソリューション研究機構先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)は、11月9日、大岡山キャンパスの東工大蔵前会館で「オープンイノベーションが牽引する分散型エネルギーインフラと地域活性化」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。約200名の参加がありました。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

開会挨拶で大谷清理事・副学長は、今回のシンポジウムで地域のスマート化の意味や分散型エネルギーシステムのあり方を議論し、方向性を見出すことに期待を寄せました。

特別講演では、総務省の猿渡知之大臣官房審議官が、同省で進めている「分散型エネルギーインフラプロジェクト」の取り組みを紹介しました。地域では給湯・暖房等の熱需要が多く、熱インフラ[用語1]の整備がカギとのことです。自治体が主体となって、こうした地産池消のエネルギーシステム構築に向け、大学の知見を組み合わせて推進したい、と熱く語りました。

  • 大谷理事・副学長

    大谷理事・副学長

  • 猿渡知之氏

    猿渡知之氏

つづいて、柏木孝夫AESセンター長、波多野睦子大学院理工学研究科教授、金谷年展AESセンター特任教授が、大学のオープンイノベーションと地域活性化について意見を交わしました。環境エネルギー協創教育院outer[用語2]の院長でもある波多野教授は、大学の立場から、高い専門性を持つと同時に実プロジェクトをリードできる人材の育成を目指している、と説明しました。金谷特任教授は、地域活性化について、エネルギー事業と6次産業化[用語3]等を組み合わせたサービスを地域ごとに作ることが、地域の強靭化につながると示唆しました。柏木センター長は、知行合一[用語4]の精神で「大学の知とAESのソリューション(解決策)をシームレス(継ぎ目の無い)につなげていく体制が重要」とまとめました。

柏木センター長(左)、波多野教授(中央)、金谷特任教授(右)
柏木センター長(左)、波多野教授(中央)、金谷特任教授(右)

また、パネルディスカッションでは、「地域活性化プロジェクト実現への提言」をテーマに、ビジネスの観点から地域活性化プロジェクトへの道筋を議論しました。まず各登壇者が、自身の関わる事業を紹介しました。

  1. 1.「地域社会におけるエネルギーを起点とした活性化」
    株式会社NTTファシリティーズ 眞木勝郎 理事・スマートビジネス本部長
  2. 2.「『東京ガスの進めるスマートエネルギーネットワーク』スマエネの実装・導入拡大」
    東京ガス株式会社 村関不三夫 常務執行役員
  3. 3.「水素社会実現に向けた取り組み」
    JX日鉱日石エネルギー株式会社 五十嵐仁一 常務執行役員
  4. 4.「地域インフラに関する取り組み」
    株式会社東芝 西田直人 執行役専務
  5. 5.「顧客・地域との協創による社会イノベーション事業の推進」
    株式会社日立製作所 野本正明 エネルギーソリューション社社長
  6. 6.「三菱商事の環境事業に関する取り組み」
    三菱商事株式会社 柏木豊 地球環境・インフラ事業グループ環境事業本部本部長

それぞれの過程や課題等が示され、コーディネーターの小鑓隆史 AESセンター特任教授は、プロジェクトを進めるには産官学民公それぞれが中心となって分野を統合・推進することが大事であると延べました。まとめ役を担うであろうAESのオープンイノベーション[用語5]の重要性が強調されました。

佐藤副学長・AES副センター長

佐藤副学長・AES副センター長

総括では、佐藤勲 副学長・AES副センター長が登壇しました。AESの今後の役割として「地域活性化に向け、社会科学的視点を含めたシステムの提案を推進することが必要」と結論し、閉会しました。

用語説明

[用語1] 熱インフラ :インフラはインフラストラクチャーの略で、産業や生活の基盤として整備される施設のこと。熱インフラとは、熱を発生させたり、蓄えたり、供給したりするための設備。

[用語2] 環境エネルギー協創教育院 : 大学院理工学研究科、大学院総合理工学研究科、大学院社会理工学研究科、大学院イノベーションマネジメント研究科が参加する教育プログラム。
環境とエネルギーの両分野において高度な専門性を有し、問題を複眼的視点から判断できる俯瞰力、的確かつ迅速な自立的課題抽出・解決力、国際的リーダーシップ力を兼ね備え、イノベーションを牽引できる人材を養成することを目的とする。

[用語3] 6次産業化 : 第一次産業である農業や水産業が、食品加工・流通販売など、第二次産業や第三次産業にまで踏み込むこと。

[用語4] 知行合一 :本当の知は実践を伴わなければならないということ。

[用語5] オープンイノベーション : 内部と外部の技術やアイデア、サービスなどを組み合わせ、課題を解決し、革新的で新しい価値を創り出すこと。

お問い合わせ先

ソリューション研究機構 先進エネルギー国際研究センター
TEL:03-5734-3429
Email : aescenter@ssr.titech.ac.jp


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