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国際共同研究に向けてウプサラ大学との関係を強化―第2回東工大-ウプサラ大合同シンポジウムを開催―

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日本とスウェーデンから120人を超える研究者や学生が参加して、「第2回東工大-ウプサラ大 合同シンポジウム」が11月16日、17日に東工大で開催されました。

本シンポジウムは2014年9月にウプサラ大において開催された第1回シンポジウムのフォローアップとして開催され、今回は「持続可能な社会の実現に向けた新たなテクノロジーとシステム」をテーマに、次世代型太陽電池、水素燃料電池、有機電池、省エネ性能に優れた建築、バイオ燃料などの研究成果の紹介と意見交換が行われました。また産学連携やベンチャー企業設立についても議論が交わされました。

三島良直学長

三島良直学長

マリカ・エドフ教授

マリカ・エドフ教授

東工大の安藤真理事・副学長(研究担当)は、開会にあたり「国際的な研究力強化には海外の大学との研究協力が不可欠であり、今回のシンポジウムは極めて有意義かつ重要な機会です」と述べました。

安藤真理事・副学長
安藤真理事・副学長

オープニングセッションでは、東工大の三島良直学長が「東工大は2030年までに全世界の研究大学の上位10校にランクインするという目標を掲げています。これは極めて野心的なものですが、教育の質を高め、研究の強みを伸ばし、国際化を進めて、世界最高の理工系総合大学を目指して最大限の努力を行っています」と2016年4月から導入する教育・研究改革の概要を説明しました。

ウプサラ大学理工学部の副学部長マリカ・エドフ(Marika Edoff)教授は、太陽電池に関する研究を紹介するとともに、持続可能な開発を推進するために環境・エネルギー技術分野において両大学がどのように世界レベルの研究に取り組んでいるかについて基調講演を行いました。

在日本スウェーデン大使館のヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス(Victoria Forslund Bellass)公使は、「日本とスウェーデンの協力分野には未開拓で可能性を秘めているものがまだまだあります。両国はともに科学研究分野をリードしている国であり、世界レベルの研究や高等教育においてウプサラ大学と東工大は最適なパートナーと言えます」と述べました。

ヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス公使
ヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス公使

オープニングセッションに引き続き「太陽エネルギー技術とそのシステム」「電気化学を基盤とするエネルギー変換デバイス」「イノベーションと産学連携」の3つの全体会議が開かれました。

伊原学教授(左)とピーター・リンドブラッド教授(右)

伊原学教授(左)とピーター・リンドブラッド教授(右)

最初の全体会議では、化学工学専攻の伊原学教授から「環境エネルギーイノベーション棟(EEI棟)」と、そのエネルギー網管理システム「エネスワロー(Ene-Swallow)」の特徴について説明がありました。

伊原教授は、プラズモニック太陽電池に関する最初の論文を発表した1997年当時には、このテーマに関する論文はほとんど発表されていなかったが、2008年には多くの科学者がこの分野に参入し、状況が変化し始めたことを紹介。「昨年末の時点では2,970件の論文が発表されるなど、この分野は大きな進歩を遂げつつあります」と述べました。

ソリューション研究機構の岡崎健特任教授は、「水素社会に向けて―イノベーションとグローバリゼーション」と題する講演を行いました。同教授は、日本の水素燃料自動車の開発に向けた取り組みと、将来的な需要に応えるためのオーストラリアから日本への水素輸入に関する研究を取り上げ、「使用する水素の量を増やすためには、水素を供給する国際的な戦略を策定する必要があります」と強調しました。

分科会(数学)

分科会(数学)

シンポジウム2日目は6つの分科会で始まりました。「環境とエネルギー技術」「材料科学」「環境とエネルギー分析」「起業家精神とイノベーション」「ゲーム設計とヒューマンインターフェース」「数学」の各テーマに沿って、参加した研究者や学生はアイデアを活発に交換し、今後の共同研究の可能性を模索しました。議論に熱が入り、一部のセッションは昼食時間にも続けられました。

分科会(起業家精神とイノベーション)
分科会(起業家精神とイノベーション)

最後の全体会議では、産業界との連携やベンチャー企業の設立に関する経験が紹介されました。

ウプサラ大学経営工学部のマルカス・リンダール(Marcus Lindahl)学部長は、スウェーデンのゴットランド島におけるユニークな協力事業を紹介しました。大型クルーズ船用の埠頭を建設し、観光客を増やし、同島の経済を活性化するというものです。ウプサラ大学の多くの学部が同島の大企業や中堅企業と協力し、多くの観光客の受け入れをいかに円滑に行うかを検討してきました。

リンダール教授は「このような取り組みを経済的・文化的・社会的な観点から持続可能なものにするには、どのようにすればいいのでしょうか?」と問題を提起しました。

クロージングセッションでは、ウプサラ大学理工学部の教員連携部門長のピーター・リンドブラッド(Peter Lindblad)教授が、東工大とウプサラ大学とが素晴らしい関係を築くに至った理由は、科学分野に秀でた特質など数多くの共通点があり、さらにお互い共通のビジョンを持っていることを指摘しました。

リンドブラッド教授は「私たちは工学分野における世界レベルの研究者になるという共通の目標を抱いています。それと同時に、私たちの研究が、より良い環境、より良い社会、そしてより良い世界に向けて貢献するものであって欲しいと望んでいるのです」と述べました。

本シンポジウムを受け、両大学は第3回シンポジウムを2016年9月にウプサラ大において開催することに合意しました。これからも研究に関する情報交換を行い、新たな共同研究分野の開拓、教育分野での連携プログラムづくりを行っていく予定です。

集合写真
集合写真


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