2月8日、大岡山キャンパス西9号館ディジタル多目的ホールにて、科学技術倫理についての講演会が開催されました。本講演会は、教育推進室と教育革新センターの共催で行われたもので、学外の方を含め、70名近くの参加者が集まりました。
講演会では、「科学技術倫理の本当の意味とは-あなたは誤解しているかもしれない-」というサブタイトルにちなみ、まずは札野順教授(東工大大学マネジメントセンター)より「志向倫理」と「予防倫理」という2つの倫理についての解説がありました。従来の、やってはならないことや守るべきことを示す「予防倫理」にとどまらず、優れた意思決定と行動を促す「志向倫理」によって、個人と社会が「よく生きる(well-being)こと」を目指そうという札野教授の考えは、多くの参加者の心を掴んでいました。
札野教授に続いては、海外からの2人のゲストスピーカーによる講演がありました。
イボ・ヴァン・デ・ポール教授 (オランダ、デルフト工科大学)は、「志向倫理」とも関連が深く、現在欧州で注目されている「責任ある研究とイノベーション(Responsible Research and Innovation)」を含む技術と倫理に関する新しい考え方を論じました。さらに、デルフト工科大学における技術者倫理教育の現状と将来構想を解説しました。また、技術者倫理教育のために自身が開発に参画したeラーニング教材「Agora」についての紹介もありました。
デナ・プレモンス教授(米国、カリフォルニア大学サンディエゴ校)は、米国科学財団(National Science Foundation)の支援を受けて開発された「研究の現場で倫理教育を行うためのワークショップ」の設計理念や内容および効果について解説しました。
講演の後には活発な質疑応答が行われ、科学技術倫理に対する関心の強さが伺えました。
講演会終了後に行ったアンケートでは、これからも科学技術倫理に関する講演会や、さらに具体的な内容のワークショップを開いてほしいという声が多く挙がっていました。今回の講演会は、科学技術倫理への参加者の興味関心をより引き出す有意義な機会となったようです。