東京工業大学は、学部と大学院とが一体となって教育を行う「学院」と、教養分野の専門家集団「リベラルアーツ研究教育院」及び新たなイノベーションを創成する「科学技術創成研究院」を創設しました。
4月1日付で就任した、学院長、研究教育院長及び研究院長からのメッセージをご紹介します。
理学院長 岡田哲男
理学は、自由な発想と知的好奇心に基づき、自然界に潜む法則性を解き明かす学問です。ガリレイ、ニュートン、キュリー夫人、アインシュタインら先人達は、自らの好奇心に基づいて自然を理解しようとしました。長年に渡る人類の知的活動の積み重ねにもかかわらず、我々は自然界のほとんどを理解できていないかもしれません。自然界の本質の解明は知的好奇心を満たすだけでなく、社会の発展にも貢献することを歴史は示しています。このような共通の目標に向かって、人類の智を継承・発展させる、それが理学です。
工学院長 岩附信行
工学は、人類を幸せにするための枠組である「文明」に貢献する学問であり、人の生活を豊かで快適なものとする技術を希求します。東京工業大学工学院では、その基盤である学理と応用である「ものづくり」までを幅広く学び、最先端の研究活動や国際交流活動を体験して、創造性豊かな専門家として世界に雄飛します。豊かな感性と活力あふれる若者とともに未来を開拓できることを期待します。
物質理工学院長 和田雄二
材料系と応用化学系という2つの系から構成される物質理工学院は、物質の構造・物性の理解に基づいた機能創成を行い、またダイナミックな物質の化学変化を操る原理・手法を創出する研究者・技術者を育ててゆくことを目指しています。ここは、世界トップレベルの研究者が相互に交流・協力し、あらゆる物質を対象とし、環境・エネルギー・資源・安全・健康の課題解決というターゲットに向かって若人を育成する揺り籠であり、夢に燃える彼らと共働する道場です。地球の生き物たちと共生する物質文明を創造する学びと研究に触れてみませんか。
情報理工学院長 渡辺治
いま、情報技術が大きな変革期に来ています。それは単に私たちのまわりに情報機器が大量に出てきたからだけではありません。高度な数学的手法により情報の本質がわかりはじめ、それを活用する技術が大幅に進展し始めたからです。その最先端を私たちと一緒に開拓していきませんか?情報化社会の可能性はまだまだ広がっていきます。
生命理工学院長 三原久和
生命理工学院では、理工学分野の基礎的知識や、ライフサイエンスとテクノロジーに関連する科学的知識と技術を修得し、生命理工学に関連した科学技術の発展に資する課題解決力と倫理観を養う教育を実施します。理学と工学分野の研究のみならず、医学、薬学や農学の幅広い分野での最先端研究を展開しています。生命理工学院の多様で高度な教育研究を通じて、グローバル社会のリーダーとなる理工人の養成を目指しています。
環境・社会理工学院長 岸本喜久雄
人類と社会の持続的な発展のためには、理工学に加えて人文社会科学の知識を広く学び、それらを応用・展開するとともに、新たな学術・技術を創生していくことが求められています。そのため、環境・社会理工学院は、建築学系、土木・環境工学系、融合理工学系に加えて、大学院に社会・人間科学系、イノベーション科学系ならびに技術経営専門職学位課程を設置して、文理共創型の学院としてグローバル化社会への貢献を目指しています。
リベラルアーツ研究教育院長 上田紀行
東工大はこれまでも、学部4年まで専門教育に並行して文系教養科目を履修する「くさび形教育」を行うなど、教養教育に重きを置く大学として知られてきました。その伝統を活かしつつ、2016年4月に格段にパワーアップした画期的なリベラルアーツ教育を開始しました。
リベラルアーツ教育のカリキュラムは博士後期課程まで延長され、至るところに設けられた少人数でのディスカッションやプロジェクトでの仲間との刺激的な交流の中で、世界を知り、自分自身の可能性を探究しながら、自ら問いを発し、感じ、考え、発言し、行動する力をこれまで以上にダイナミックに養っていきます。学士課程入学直後の「東工大立志プロジェクト」を皮切りに、充実した科目群を学修した後、同じ仲間達が再会して学士課程3年目の後期の「教養卒論」にチャレンジします。それらのクラスには修士課程の「リーダーシップ道場」から「ピアレビュー実践」「リーダーシップアドバンス」へと進んだ学生がアドバイザーとして参加し、学年を超えた交流も生まれます。
これまで教養科目は「できるだけ楽をして単位が取れる科目を選ぶ」といった扱いを受けがちでした。しかしそんな教養しか身についていない人間が世界の真のリーダーとなり、より良き社会を創造していくことができるでしょうか?東工大のリベラルアーツ教育は違います。それはひとりひとりが自分の学びのストーリーを発見しながら、自らの目標に向かって、そして新しい世界の創造に向かって歩んでいくという、「志」へ向かってのエネルギーに満ちた道程なのです。
東工大のリベラルアーツ教育は「華のある」教養教育を目指します。「華のある」とは、人をひきつける、活力がある、明るく楽しいといったイメージです。教室でも、カフェテリアでも、芝生の上でも、キャンパスの至るところで、地球的課題を、人間性の深みを語り合い、自分と社会の新たな可能性に気づくような場を生みだしていきましょう。自分の将来を切りひらき、大きな社会的貢献を成し遂げるために、ぜひリベラルアーツ教育の場を活かしてください。
21世紀社会を牽引する真のリーダー育成を目指して、東工大のリベラルアーツ教育のチャレンジが続きます。
科学技術創成研究院長 益一哉
科学技術創成研究院は、新たな研究領域の創出、人類社会の問題解決、及び将来の産業基盤の育成を使命として、2016年度に設立されました。 すずかけ台・大岡山両キャンパスにまたがる複数の研究所、研究センター及び研究ユニットから構成され、全体で150名を超える研究者を擁しています。研究所、センター、ユニット間の有機的連携により、互いに関連する研究課題に全体で取り組むだけにとどまらず、新たなイノベーションを創成する斬新な研究成果を目指します。