2015年11月14日生命理工学研究科基礎生物学教室は、小学5・6年生を対象に、大岡山キャンパスの基礎生物学実験室において科学教室「植物のミクロな動きを観察しよう」を開催しました。これは東工大基金を活用した日本再生プロジェクト「ものづくり人材の裾野拡大支援」事業の後援を受けて行われました。
植物はわれわれ動物とは違って、何の動きも無くじっとしているように見えます。しかし少し想像してみると、植物では種子が芽吹き、そこから茎や葉が伸びてきます。そして花がつくられ、受粉によって果実が形成されます。果実の中には新たな種子があり、そこから次の世代が生まれるというライフサイクルを繰り返しています。植物もじっくりと観察してみると、生きるために必要な動きを見せていることがわかります。
科学教室当日、参加者には正立顕微鏡と実体顕微鏡を使って、さまざまな方法や倍率で植物のいろいろな動きを観察し、実感・考察してもらいました。実際に体験してもらった主な現象は以下のとおりです。
- オオカナダモの葉の細胞を使うと観察が容易な「原形質流動」と「原形質分離」。これらは動物の細胞には見られません。
- ブライダルベールの花粉が受精する際に必要な「花粉管の伸長」。また根の先端が伸びる際に活発に見られる「細胞分裂」、及び分裂の際に特にはっきりと観察することのできる「染色体」の構造とその動き。
- さまざまな種子の形状とその散布法との関係(風散布のヒマラヤスギや動物散布のオナモミなどの種子)。
当初の計画では、緑豊かな秋の東工大構内で参加者各自が植物を採取した後、実験室に戻って観察を行う予定でしたが、当日はあいにくの小雨で屋外での植物採集ができなくなりました。そこで急遽、屋外サンプリングは断念し、スタッフが事前に採取し準備しておいた標本を使いました。サンプリングは生物の実際の生態を、身をもって体感できる大切な機会なだけに非常に残念でしたが、そのかわり、植物のしくみをより詳細に解説したり、高性能な顕微鏡の使用法などをじっくりと試してもらいました。
基礎生物が過去に開催した、別の科学教室に参加してくださった方もいらっしゃいました。今後も小学生や中学生、高校生の期待に沿えるようなイベントの開催を予定しています。決まり次第、科学教室のウェブサイトにてお知らせしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。そして次の機会にもふるってご参加いただきますようお願いいたします。