東京工業大学国際大学院「サステナブル エンジニアリング プログラム(Sustainable Engineering Program)」の一環として、大学院理工学研究科(工学系)が主催する第9回サステナブルエンジニアリングテクノロジー(Sustainable Engineering Technology)が開講されました。
この授業は、持続可能な開発に関する幅広い知識を持った国際的エンジニアを養成することを目的としており、企業や研究機関の方々による講義と、工場見学を含む1泊2日のサテライトセミナーから構成されています。
例年、エネルギーと環境に関するテーマが設定され、2015年度は「エネルギーと製鉄(Energy and Steel Production)」をテーマに、12専攻から計61名の本学学生(内ティーチング アシスタント(以下、TA)9名)が参加しました。
計3日間の事前講義では、電力中央研究所(CRIEPI)から4名の方が非常勤講師として主にエネルギーに関する講義を、JFEスチール株式会社から2名の方が非常勤講師として主に最新の製鉄技術に関する講義を行いました。その後、9グループに分かれ、課題を設定した上でグループワークに臨み、それらの集大成として2月25日から26日にかけてサテライトセミナーが実施されました。
サテライトセミナーでは、1日目にJFEスチール株式会社東日本製鉄所の千葉地区を訪れました。通常の見学では滅多に見ることのできない、高炉からの出銑や転炉への溶銑投入という大迫力の工程を見学することが出来、製鉄所の巨大なスケールと共に強く印象に刻まれた見学となりました。
続いて、夕食後には、17か国からの参加者が自らの出身国を紹介する時間が設けられました。それぞれが趣向を凝らし1つとして同じ紹介がない中で、世界の文化の多様性を感じたひとときでした。その後、夜も深まっていましたが、グループワークの総仕上げをする時間がとられ、チームによっては真夜中近くまで、翌日の発表に向けた準備をしていました。
2日目には、9つのグループがグループワークの発表会を行いました。鉄鋼メーカーに環境に配慮した技術を提案するという対話形式を始め、報道番組のように鉄鋼メーカーの技術者や研究機関の研究者にそれぞれインタビューをするという形式や、はたまた会場を巻き込んだシンポジウム風の形式等、通常のプレゼンテーションの枠にはとどまらない発表が数多く見られ、各グループは15分の持ち時間をフルに活用していました。続く10分間の質疑応答でも、会場から鋭い質問が寄せられ、活発な議論が行われました。
JFEスチール株式会社の社員、本学教員、TAの投票により、上位3グループと活発な質問を行った3名が表彰され、サテライトセミナーは幕を閉じました。
参加した学生のコメント
大学院理工学研究科 材料工学専攻 修士2年(当時)
杉山 智美さん
講義からサテライトセミナーでの発表まで、全編を通じて英語で行われ、意欲的な留学生たちから活発に質問が飛び交う様子はさながら海外の大学のようであり、少数派の日本人学生としては非常に刺激を受けました。グループワークは大変なことも多かったのですが、得たものが大きい講義でした。お世話になった電力中央研究所およびJFEスチール株式会社の講師の方々、特に、2日間のサテライトセミナーでお世話になったJFEスチール株式会社の稲積先生、佐藤先生、山口様、イマニュエル様に感謝申し上げます。