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東工大ボート部 第41回東日本新人選手権競漕大会入賞

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東京工業大学 端艇部(ボート部)が、10月13日、14日に埼玉県戸田市の戸田ボートコースで開催された、一般社団法人東京都ボート協会主催 第41回東日本新人選手権競漕大会に出場し、男子エイトで2位、男子舵手付きフォアで3位となりました。

東日本新人選手権競漕大会は主にボートを漕ぎ始めて1年目、2年目の選手による東日本地区の大会です。

男子エイト

エイトは、両手で1本のオールを持って漕ぐスウィープタイプのボートで、漕手が8人、舵手(コックス)が1人の1チーム9人により構成される競技です。準優勝したメンバーを紹介します。

  • 堀本拓杜さん(第4類 学士課程1年)
  • 藤原優也さん(第2類 学士課程1年)
  • 増田章吾さん(第1類 学士課程1年)
  • 野村舜一さん(第3類 学士課程1年)
  • 白形一将さん(第4類 学士課程1年)
  • 内田優斗さん(第3類 学士課程1年)
  • 野瀬保憲さん(第4類 学士課程1年)
  • 佐貫海斗さん(第5類 学士課程1年)
  • 清水健太郎さん(第2類 学士課程1年)

左から 白形さん 佐貫さん 藤原さん 増田さん 内田さん 清水さん 野瀬さん 野村さん 堀本さん

左から 白形さん 佐貫さん 藤原さん 増田さん 内田さん 清水さん 野瀬さん 野村さん 堀本さん

クルーチーフ 清水健太郎さんのコメント

練習で狙ってきた成果を、レースで出すことができました。勝つためにはまだまだ足りない部分が多いので、練習を頑張ります。勉学に関していえば、まだわからないことが多いので、類の専門科目に興味があります。

男子舵手付きフォア

舵手付きフォアは、両手で1本のオールを持って漕ぐスウィープタイプのボートで、漕手が4人、舵手(コックス)1人の1チーム5人により構成される競技です。メンバーを紹介します。

  • 原哲郎さん (環境・社会理工学院 土木・環境工学系 学士課程2年)
  • 小木曽喬皓さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 学士課程2年)
  • 小柳一也さん(生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年)
  • 内田陸さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程2年)
  • 阿部拓海さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程2年)

左から 小木曽さん 内田さん 原さん 阿部さん 小柳さん

左から 小木曽さん 内田さん 原さん 阿部さん 小柳さん

クルーチーフ 小柳和也さんのコメント

優勝を目指していたので今回3位という結果になって残念ですが、今後の糧となる良い試合だったと思います。

11月の全日本新人選手権も今回と同じクルーで挑むので、少しでも良い結果を残せるよう頑張ります。

今、僕は生命理工の学習をしており、生命の神秘に日々驚かされています。勉学も部活も、これからますます精進していきたいと思います。

応援よろしくお願いします。

東工大基金

このイベントは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

東京工業大学端艇部

E-mail : titboat@green.ocn.ne.jp
Tel : 048-442-5581


Tokyo Tech-AYSEAS 2018 実施報告

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8月29日から9月8日まで、Tokyo Tech-AYSEAS(東工大・アジア理工系学生派遣交流プログラム)2018の参加学生13名が、ベトナムを訪問しました。

ハノイ工科大学にて

ハノイ工科大学にて

Tokyo Tech-AYSEASは、東工大生が東南アジアの国に赴き、タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム等現地・近隣諸国の大学生とともに、施設見学、ディスカッションを行い、インターカルチュラルコミュニケーションを通して、急速な発展段階にある東南アジア諸国連合(ASEAN)各国のダイナミズムを体感する実践型海外派遣プログラムです。AYSEASはAsia Young Scientist and Engineer Advanced Study Programの略語です。

プログラム概要

AYSEAS 2018では、ベトナムのハノイ工科大学がホスト大学となり、本プログラムのアレンジに尽力してくれました。今年は、東工大生13名に、ハノイ工科大学学生8名、さらに東工大の海外協定校からの参加学生6名が加わり、総勢27名となりました。現地の日系企業やベトナム企業、公共施設、国際協力機構(JICA)ベトナム事務所等を見学し、ベトナムの産業や社会問題、ASEAN諸国と日本との関係について学びました。

企業訪問
企業訪問

グループディスカッション
グループディスカッション

毎日の見学後に行われるグループディスカッションでは、訪問先で得た知識を基に、エネルギー資源開発と環境保護、自動車社会の発展に伴う交通渋滞、技術移転が企業成長に与える影響等、それぞれの国が抱える問題とその改善策について意見を交わし、最終日にプレゼンテーションを行いました。休日には、世界遺産のハロン湾を訪れたり、参加学生の各国文化を紹介する文化交流会を行ったりし、東南アジアの国々の歴史・文化への理解を深めました。

ハロン湾の鍾乳洞
ハロン湾の鍾乳洞

文化交流会
文化交流会

本プログラムにおいて、学生たちは活気溢れるベトナムの現状を肌で感じるだけでなく、国籍・文化・宗教の違いを超えて信頼関係を築いていく過程を経験しました。また、毎日寝食を共にし、共通の目標に向かって真剣に語り合うことで、仲間との強い絆を実感しました。

帰国して約一ヵ月後の10月10日には、本学において帰国報告会を実施し、現地で行ったプレゼンテーションをさらに発展させ、本プログラムの成果として発表しました。その後、水本哲弥理事・副学長(教育担当)より、東工大の参加者全員に修了証が授与されました。

スケジュール

6月-7月
事前学習(英語による講義、キリンビール横浜工場見学、現地文化学習、訪問先事前調査及びプレゼンテーション)
夏季休暇中
参加学生による自主勉強会
8月29日(水)
ベトナムへ出発、顔合わせ会
8月30日(木)
ハノイ工科大学(HUST)にて開講式、キャンパスツアー
8月31日(金)
ベトナムHTMP機器(金型・樹脂企業)、サントマス・ベトナム(精密部品企業) 訪問
9月1日(土)
ハロン湾見学
9月2日(日)
ホーチミン廟周辺、文廟、民族学博物館等見学
9月3日(月)
文化交流会
9月4日(火)
デンソーベトナム、タンロン工場団地訪問
9月5日(水)
荏原ベトナムポンプ、イェンソーポンプ場訪問
9月6日(木)
ルビナソフトウエア、JICAベトナム事務所訪問
海外協定校学生向け留学説明会
9月7日(金)
最終プレゼンテーション、閉会式
9月8日(土)
日本へ帰国
10月10日(水)
帰国報告会、懇親会

AYSEAS 2018参加大学

  • ベトナム:ハノイ工科大学(ホスト大学)
  • フィリピン:デラサール大学、フィリピン大学ディリマン校

参加学生の体験談

野村尭平(理学院 物理学系2年)

いつもと違った夏季休暇を過ごしたい。そんなことを考えながら東工大の留学プログラムを探しているときに見つけたのがAYSEASでした。他のプログラムと違い、AYSEASは訪問国の学生とのディスカッションがあったり、派遣先以外の国からの学生も来るので様々な国の友達を作れることがとても魅力的であると感じました。また、昨年度このプログラムに参加した先輩の強い勧めもあり参加を決めました。

このプログラムを終え、重要なのは英語というよりも英語を通したその先であると改めて実感しました。自分の意見をしっかり持ち、それを相手にきちんと説明することが重要です。このようなことは英語を勉強しているだけでは身につくものではないことに参加した学生はみな気づいたと思います。

参加学生との交流を通して刺激を受けたことは多々ありました。中にはとてもプレゼンの上手な学生がいたり、いつも鋭い質問をする学生など周りを驚かせるような学生がたくさんおり、彼らから学べることは多かったです。どのように声のトーンを落とし、どのようなスピードで、どのタイミングで間を入れれば聞いている側を引き込めるかなどということについてバスの中で熱心に聞かせてくれたことは今でも覚えています。今回の派遣を通じて自分も自発的に発信して行動していかなければいけないなと強く感じるようになりました。また、これらのとても貴重な経験は今後のモチベーションアップにつながると感じています。

最後になりますが、英語を通じて何かやりたいと思っている方、これを読んでいるあなた、迷っているならぜひ参加してみてください!

ハノイ市内のレストランにて
ハノイ市内のレストランにて

ハノイ工科大学での昼食
ハノイ工科大学での昼食

鎌田莉子(生命理工学部 分子生命科学専攻4年)

このプログラムは現在留学を考えている人や英語力を特に強化したい人にも、またそうでない人にもお勧めできます。

まず、英語やディスカッションについてです。海外の学生とほぼすべての時間一緒なので英語を話す機会が多く、グループでディスカッションやプレゼンテーションを行います。留学や英語に元々興味がある人にとっては、留学や英語へのさらなるモチベーションにも、実践的なトレーニングにもなると思います。一方で、そうでない人にとっても、そうでない人こそ、グループでのディスカッションを通じて、性別、民族、出身地、文化、考え方の異なる人々の持つ専門知識や、自分とは異なる視点を利用すれば、物事をより正確に見ることができることを実感できます。多様な知識、経験、考え方が、自分の知らなかった、気づかなかったことに気づかせてくれます。帰国後も、私は積極的に自分の意見や悩みを共有し、フィードバックを求め、学ぶつもりで真剣に答えを聞くことを以前より意識するようになったと思います。

次に、熱意さえあれば海外の友達ととても仲良くなれます。私達は、帰国後も連絡を取り、お互いの国に旅行や留学をしたりガイドをしたりしています。何より楽しいですし視野も広がります。私はAYSEASを通してこのような機会をいただいたことに最も感謝しています。

ハノイ大教会(聖ヨセフ大聖堂)

ハノイ大教会(聖ヨセフ大聖堂)

陳韋宏(物質理工学院 応用化学系 修士課程1年)

Tokyo Tech-AYSEASは、留学を考えている人にお勧めしたいです。10日間は程よい長さなので、大学院生でも研究にあまり影響が出ないと思います。私がAYSEASに参加した理由は、海外の日系企業に興味を持っていたからです。ハノイでの訪問先の一つ、ソフトウェア開発の企業は、私たちの先輩にあたる東工大出身のベトナム人が設立した企業で、日本向けサービスに特化したユニークな会社でした。報告、連絡、相談(報連相)やOJT(職業訓練)など、日本企業と同様の特徴がありました。

私は台湾の大学に在学していた時に4回海外渡航プログラムに参加した経験がありますが、AYSEASの特別なところは、異なる国からの参加学生と知り合い、活動する機会が多いところだと思います。そのおかげで現地の生活をじっくり体験できました。帰国後の10月10日に行われた東工大での帰国報告会では、自分のグループの順番が回ってくる前に、現地で同じグループだったベトナム、フィリピンの学生とインターネットを通じてビデオ・トークをしました。プレゼンテーションの直前はとても緊張しましたが、彼らのおかげで私たちの不安は完全に打ち消されました。私は大学院生活の中で彼らと出会うことができてとても嬉しいです。 10日間の現地滞在中に、私たちは見知らぬ他人から親しい友人へとなりました。もしこの出会いがなければ、研究に従事するだけの味気ない毎日を送っていたかもしれません。AYSEASに参加できてよかったと思います。

JICAベトナム事務所訪問

JICAベトナム事務所訪問

お問い合わせ先

学務部留学生交流課交流推進第1グループ

E-mail : ayseas@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3433

東工大デジタル創作同好会traPがGoogle Play IGFでトップ10入り

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4月28日に開催されたグーグルプレイ インディーゲームス フェスティバル2018(Google Play Indie Games Festival、以下IGF2018)で東京工業大学デジタル創作同好会traP(トラップ)が制作したスマートフォン向けアクションゲーム、「Ninja Flicker(ニンジャフリッカー)」がトップ10入りを果たしました。

IGF2018は、2017年までにグーグルプレイで公開されたインディーゲームのうち審査員が選出した20作品を展示・審査するイベントで、今年は4月に東京都港区で開催されました。

トップ10入りしたチームの集合写真(3列目左端から大森さん、後藤さん)

トップ10入りしたチームの集合写真(3列目左端から大森さん、後藤さん)

NinjaFlickerのアイコン
NinjaFlickerのアイコン

インディーゲームとは、個人や小規模な企業・サークルによって制作されたゲームのことを指します。

traPから応募したNinja Flickerは、背景をスクロールする感覚で忍者を操作し、ゴールまで導くアクションゲームです。手裏剣や刀を使った攻撃や鉤縄によるロープアクション、印を描いて発動する忍術を活用してステージを攻略していきます。

Ninja Flickerは学生サークルでは唯一選出され、Ninja Flicker制作班のリーダーの後藤司さん(工学部 情報工学科 学士課程4年)とプログラマーの大森淳貴さん(工学部 情報工学科 学士課程4年)がファイナルイベントに参加しました。

ファイナルイベントでは選出された20作品それぞれにブースが用意され、一般参加者と審査員が自由に見て回ることが出来ます。展示の後には審査員と来場者の投票によりトップ10が選出されます。

そしてトップ10に選出されたゲームの製作者は5分間のプレゼンテーションを行い、その内容から審査員によってトップ3が選ばれます。

Ninja Flickerは惜しくもトップ3入りは逃しましたが、見事トップ10に選出される快挙を成し遂げました。

展示ブースの様子
展示ブースの様子

審査員のバーチャル ユーチューバー、キズナアイさん
審査員のバーチャル ユーチューバー、キズナアイさん

トップ20入りしたゲームのアイコンの一部

トップ20入りしたゲームのアイコンの一部

Ninja Flicker制作班リーダー 後藤さんのコメント

グーグルのインタビューを受ける後藤さん
グーグルのインタビューを受ける後藤さん

グーグルという有名な企業のコンテストで入賞することができてとても嬉しいです。

ゲームを制作している当時について、リーダーの私が大体方向性を決めていましたが、改善するべき点などはみんなで意見を出し合い、より良いゲームになるように軌道修正して今のゲームができました。

traPは競技プログラミングやセキュリティの分野では多くの賞を取っていますが、ゲームで受賞できたのはこれが初めてであり、サークルに貢献できたかなと思います。

トップ20の選出では、Fun(楽しさ)・Innovation(革新性)・Design(デザイン)・Technical & Production quality(技術力と品質)の4つの点が審査ポイントとなりました。Ninja Flickerの制作においては、UI(ユーザー インターフェイス)コントローラーに頼らない斬新な操作性、そして全てのグラフィック・サウンド素材を自作することにこだわった点が評価され、トップ20に選出していただけたと自負しています。

東京工業大学デジタル創作同好会traPとは

traPは2015年にゲーム制作サークルとして設立されました。2016年にはデジタル創作同好会traPと改名し、ゲーム制作に限らない活動を行うサークルとなりました。

活動内容はゲーム制作、アプリ制作、イラスト制作、サウンド制作、競技プログラミング、CTF(キャプチャー ザ フラッグ)など多岐にわたります。2018年には公認サークルとなり、現在では250名を超えるメンバーが活動しています。

お問い合わせ先

東京工業大学デジタル創作同好会traP

E-mail : info@trap.jp

「高等専門学校生向け・東工大GUIDE」を発行

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高専生向けにリアルな東工大を紹介する広報誌「高等専門学校生向け・東工大GUIDE(ガイド)」を発行しました。

学生生活や研究の様子、キャリアパスなど、高専生にとって参考となるだけでなく、多くの方にとっても東工大の魅力をより知っていただける内容となっています。ぜひご覧ください。

入学案内

コンテンツ

  • 東工大の世界をのぞいてみよう!
  • TOKYO TECH DAYS 高専の先輩の今をインタビュー
  • 俺の研究紹介
  • 東工大の研究室ってどんなところ?
  • VOICE 社会で活躍する高専・東工大卒業生
  • 先輩論 聞かせてください!【回答者 益一哉学長】

東京工業大学社会人アカデミー グローバル産業リーダー教育プログラム 2018年度2月 Enterprise Engineering(Leading Digital)コースのご案内

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東京工業大学 社会人アカデミーでは、産業のグローバル化に対応できる企業人材を育成することを目的として、グローバル産業リーダー育成プログラム(GINDLE―Global INDustrial LEader)を設置しております。

その中のコースとして、情報システムベンダーあるいはユーザ企業の情報システム関連部署の部課長レベルおよびシニアコンサルタントを対象にEnterprise Engineering(Leading Digital)コースを開講いたします。

ICT(情報通信技術)の利活用に焦点を当てた講義・演習を通じて、企業活動におけるICT活用力向上のための、知識とスキルを身につけることができます。以前は英語での講義でしたが、皆様からのご要望にお応えし、今回は日本語で講義が行われます。

開催概要

受講期間
2019年2月21日(木)~23日(土)
定員
10名(※最小開催人数5名)
受講料
121,500 円(税込み)
受講場所
お申込期間

2018年12月3日(月)~2019年2月1日(金)(締切日必着)

定員に達した場合、募集を終了します。お申し込み状況に応じて、締切日を変更することがあります。
申込方法および詳細
東京工業大学 社会人アカデミーウェブサイトouterから申込用紙をダウンロードし、必要事項を記入の上、下記の「お問合せ先」まで、メールに添付してお送りください。

お問い合わせ先

東京工業大学 社会人アカデミー事務室

E-mail : ecc@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8867、03-3454-8722

平成30年度永年勤続者表彰式にて48名を表彰

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11月22日に大岡山キャンパス大岡山西8号館10階情報理工大会議室にて、永年勤続者表彰式が行われました。この表彰は、永年(他国立大学等を含む勤続20年(うち本学勤務10年以上))職務に精励した職員を対象とするもので、今回表彰された方は48名でした。

表彰式では、益一哉学長から一人一人に表彰状の授与と記念品の贈呈が行われ、永年の功労に対して祝辞が送られました。続いて表彰を受けられた者を代表して、科学技術創成研究院 小池康晴教授からの謝辞がありました。

今回表彰された方々は次のとおりです。

学長祝辞
学長祝辞

代表謝辞
小池教授による代表謝辞

平成30年度東京工業大学永年勤続表彰者一覧

所属
職名
氏名
理学院
教授
川口博之
理学院
教授
上妻幹旺
理学院
教授
本多宣博
工学院
教授
妹尾大
工学院
教授
宮川雅巳
工学院
准教授
齊藤卓志
工学院
准教授
伊藤治彦
工学院
准教授
青柳貴洋
工学院
助教
李冬菊
工学院
助教
棟居洋介
工学院
助教
島根哲哉
物質理工学院
教授
大内幸雄
情報理工学院
准教授
小野功
生命理工学院
教授
德永万喜洋
生命理工学院
教授
福居俊昭
生命理工学院
教授
村上聡
生命理工学院
准教授
田川陽一
生命理工学院
助教
猪早敬二
リベラルアーツ研究教育院
教授
劉岸偉
科学技術創成研究院
教授
小池康晴
科学技術創成研究院
教授
小林能直
科学技術創成研究院
准教授
木倉宏成
科学技術創成研究院
准教授
松本義久
科学技術創成研究院
准教授
長谷川純
附属科学技術高等学校
教諭
井口実千代
総務部 総務課
専門職
牧野崇行
総務部 人事課 人事企画グループ
グループ長
小倉一朗
総務部 人事課 すずかけ台人事グループ
グループ長
橋口陽
総務部 人事課 労務室
専門職
上田英一
財務部 主計課 決算グループ
グループ長
萩原正太郎
財務部 契約課 大岡山第5契約グループ
グループ長
相馬弘子
学務部 教務課 大学院グループ
グループ長
淺田芳弘
学務部 教務課 教育企画グループ
グループ長
渡部功一
学務部 教務課 教育企画グループ
主任
岡村純
学務部 留学生交流課 交流推進第1グループ
グループ長
柴田恭子
学務部 留学生交流課 交流推進第3グループ
グループ長
下園健一
学務部 リーディング大学院支援室 プログラム推進グループ
主査
須藤恵美
研究推進部 研究企画課
課長
田中陽子
研究推進部 研究資金支援課 受託研究契約グループ
スタッフ
浅井美和子
研究推進部 情報基盤課 基盤システムグループ
主任
昆野長典
すずかけ台地区事務部 研究院支援課 研究院事務第2グループ
主任
野尻由美
大岡山第二事務区 工系事務第2グループ
主任
鈴木裕生
大岡山第二事務区 工系事務第4グループ
グループ長
木田史子
大岡山第二事務区 工系事務第4グループ
主任
竹居亮
大岡山第二事務区 工系事務第5グループ
グループ長
髙井秀之
大岡山第二事務区 すずかけ台事務グループ
主任
佐藤剛
技術部 大岡山分析部門
技術職員
大塚洋子
技術部 安全管理・放射線部門
技術職員
関栄

(所属順・敬称略)

記念写真

記念写真

問い合わせ先

総務部 人事課 労務室

Email : jin.iku@jim.titech.ac.jp

工系学生国際交流プログラム派遣 2019年度募集説明会および2018年度前学期留学報告会 開催報告

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2019年度の工系学生国際交流基金派遣募集説明会および2018年度前学期の工系留学報告会が11月7日、大岡山キャンパス本館で開催されました。

工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院の3学院は、国際的感覚を持つ工学を専門とする高度技術者を養成するため、所属学生を海外の大学等に派遣する支援を合同で行っています。この学生国際交流プログラムは、海外で様々な国の研究者や学生と共に研究を行うことで専門性を深め、さらには、より広範な先端科学技術・知識を学びながら異文化に触れることで、学生自身の修学意欲の一層の向上と国際意識の涵養を図ることをねらいとして実施しています。

工系国際交流委員会主査の竹村准教授による募集説明
工系国際交流委員会主査の竹村准教授による募集説明

グローバル人材育成推進支援室 太田特任教授による「グローバル理工人育成コース」上級の説明
グローバル人材育成推進支援室太田特任教授による
「グローバル理工人育成コース」上級の説明

前半に行われた募集説明会では、工系国際交流委員会主査の竹村次朗准教授(環境・社会理工学院 土木・環境工学系)がプログラムの概要ならびにこの日から募集開始となった2019年度の夏期派遣について説明を行いました。また、グローバル人材育成推進支援室 太田絵里特任教授から、当プログラムによる留学は、科学・技術の力で世界に貢献する人材の育成を目的とする教育カリキュラムである「グローバル理工人育成コース」上級の修了要件の一部を満たす、との説明がありました。

後半には2018年度の工系留学報告会が行われました。これは、当プログラムで2018年夏季・秋季に短期留学した学生が履修対象となっている講義「国際研究研修」の一環として実施されたものです。

派遣先大学と発表者(計11名)は以下の通りです。(発表順、敬称略)

派遣先大学
発表者(所属・学年は発表当時)
留学期間
インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)
小石原奈央(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
2018年8月~10月
カリフォルニア大学サンタバーバラ校:UCSB(米国)
彭祖癸(工学院 機械系 修士課程1年)
内山巧(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
2018年6月~8月
2018年6月~9月
アーヘン工科大学(ドイツ)
ヨピ・プラボヲ・オクチョヴアン(環境・社会理工学院 建築学系 修士課程1年)
2018年6月~9月
オックスフォード大学(英国)
松田洋明(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
藤澤祐太郎(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
2018年7月~9月
2018年7月~9月
清華大学(中国)
董越(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
2018年6月~9月
南洋理工大学(シンガポール)
石曾根香菜(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
西崎雄太(物質理工学院 材料系 修士課程2年)
2018年6月~9月
2018年7月~9月
ジョージア工科大学(米国)
舩田陸(工学院 システム制御系 博士後期課程3年)
2018年6月~11月
香港城市大学(中国)
アマンダ・アール(環境・社会理工学院 イノベーション科学系 博士後期課程2年)
2018年8月~10月

報告会では、留学経験者が留学生活について英語で発表を行いました。

留学経験者の発表

物質理工学院 材料系の小石原さん(修士課程1年) / インペリアル・カレッジ・ロンドン留学

研究所の友達とロンドン郊外へサイクリング
研究所の友達とロンドン郊外へサイクリング

休憩中の様子
休憩中の様子

私は学部3年のときに2ヵ月半の短期留学をしていたので、英語での日常会話や海外での生活に大きな不安は感じていませんでした。しかし今回は、飛行機の手配や住居探し、受入大学側とのやり取りを自分で行わなければなりませんでした。また現地でも、最初は研究室の雰囲気に慣れること、研究の進め方、休日の過ごし方など1人で乗り越えなければならないことが多くありました。周りに日本人がほとんどいなかったため英語を使う機会がたくさんあり、自分がマイノリティだったので周りにアピールすることも多く、自分が成長するにはとても良い環境でした。

様々なバックグラウンドを持つ大学院生と研究の苦楽をともにし、交流できたことはとても刺激的でした。小さなことを一つ一つ乗り越えていくことで、少しずつ自信がつきました。

今後留学をしようか迷っている人は、ぜひ挑戦してほしいです。語学力に自信がなくても、ある程度の専門知識があればなんとか伝わります。自分の目的に合った留学をしてほしいと思います。

工学院 機械系の彭さん(修士課程1年) / UCSB留学

留学を決めたのは正直、一念発起であり、留学のために大した準備もしていなければ覚悟もできていませんでした。しかし、振り返ると本当に留学してみてよかったと心の底から思っています。

一番大きな成果は、自信がついたことではないかと思います。留学前は、話せない英語から何となく目を背けてきましたが、いざ英語圏へ飛び込むと、できない英語を毎日使っていかねばなりませんでした。最初はもちろん、不安も焦りもありましたし、周りに迷惑ばかりかけている自分が嫌でした。しかし、「すべては自分を成長させるプロセスだ」と自分に言い聞かせ、最終的にポジティブな姿勢であらゆることに向かいました。すると絶対無理だと思ったこともやってみれば案外うまくいくものだと分かり、自信を持てるようになりました。この経験は今後の自分の考え方に影響する非常に貴重な経験であり、これからの人生においても常に自信を持って困難を乗り越えていきたいと思います。

また、研究の楽しさを再認識することができました。日本にいるときと異なり、授業や雑務など全くなかったため、2ヵ月間研究と向き合うことができました。実験すればするほどわからないことが湧いてきて、それらを理解するために一生懸命考えるプロセスの繰り返しが、自分にはとてもやりがいを感じました。現地の先生方はもちろん、学生たちも研究に対してとても真剣であり、彼らと研究について話し合って次々と新しい知見を得ることで、常に自分を成長させることができました。

英語に関して、私は今でも何とかやっていけるレベルですが、それでもこの2ヵ月間一生懸命英語を聞いて話すことで留学前よりはだいぶ上達した気がします。一番嬉しかったのは、最後のプレゼンテーションで自分のジョークが会場に受けたことです。こういった良い経験は、今後自分が英語学習を続けるモチベーションに繋がると思います。

研究室のメンバーと(中央が彭さん、最右が指導教員のオマール・サレハ教授)
研究室のメンバーと
(中央が彭さん、最右が指導教員のオマール・サレハ教授)

所属プログラムCISEIサマーインターンシッププログラムのメンバーと(右から3番目が彭さん、中央が内山さん)
所属プログラムCISEIサマーインターンシッププログラムの
メンバーと(右から3番目が彭さん、中央が内山さん)

物質理工学院 材料系の内山さん(修士課程1年) / UCSB留学

ポスターセッションにて(最右が内山さん)
ポスターセッションにて(最右が内山さん)

実験室にて
実験室にて

今回の留学では、私が今いる研究室では対象としていない重合法でのポリマー合成がメインでした。最初は慣れない研究室、装置、文化および習慣、研究内容と、不安が沢山ありましたが、一つ一つ乗り越えていき、逆にそれらが向こうでしか積めない貴重な経験となりました。このような経験を通し、自分に自信がつきました。またUCSBの材料系にいる日本人学生は私1人でしたが、博士研究員や会社から派遣されている訪問研究員3名(うち2名は東工大出身)のコミュニティーに入り、世界で活躍している日本人の話を聞けたのも非常に嬉しく、今後の人生の参考となりました。

研究室の外では、インターンシップの友達や、研究室のメンバーと過ごしました。インターンシップの友達は様々な国から来ており、それぞれ国民性が出て、なかなか癖が強く戸惑ったこともありましたが、新鮮で多様な経験が出来ました。

環境・社会理工学院 建築学系のヨピさん(修士課程1年) / アーヘン工科大学留学

研究室のメンバーと(左から5番目がヨピさん)
研究室のメンバーと(左から5番目がヨピさん)

サッカーチームのメンバーと(最左がヨピさん)
サッカーチームのメンバーと(最左がヨピさん)

所属した研究室では、幾何学的に非線形な要素に対する超弾性材料の実装に、アイソジオメトリック離散化を使用する研究を行いました。大学寮は時期的な問題で探すのが非常に難しかったのですが、アーヘンにあるインドネシア留学生協会に問い合わせたところ、宿舎を紹介してもらうことが出来ました。大学外ではやはり英語が通じにくい環境であるため、生活に必要な程度のドイツ語は学んでいくことをお勧めします。また、土木工学のサッカー選手権に参加したり、その仲間たちとベルギーのデュルビュイに遠足に行ったりし、研究以外にも充実した活動を行うことが出来ました。

物質理工学院 材料系の松田さん(修士課程1年) / オックスフォード大学留学

クライスト・チャーチにて
クライスト・チャーチにて

所属研究室の外観
所属研究室の外観

指導教員となったジェイミー・ワーナー教授の研究室は、主にグラフェンをテーマにしているナノ材料の研究室です。グラフェンの実用化に焦点を当てており、材料の合成法、その簡単な特性評価、およびグラフェンを用いたデバイスの作製の3つをテーマにした研究が多くありました。研究室は真面目な雰囲気で、学生、研究員、技術員含め20名ほどが在籍していました。特に中国人の数は多く、彼らは非常に勤勉です。

本留学の成果は、海外の研究室の標準的な博士課程学生の生活を経験できたこと、語学力が向上し、より正確に意思疎通できるようになったことの他に、オックスフォード大学の中身を見てこられたことだと思います。オックスフォード大学は自分を成長させるのに素晴らしい環境であり、世界中から集まってくる学生、特に博士課程学生は向上心に溢れ、人格・能力ともに成熟していました。現地の学生は、それぞれ自分の考えを持ち、専門外の分野にも関心を持ち、仕事も遊びもメリハリを持って全力投球する人が多くいました。日本でこのような人に出会う機会は少ないので刺激的でした。いかなる時もポジティブ思考を心がけ、前向きに積極的に行動していけば留学だけでなく、多分人生も、間違いなく有意義かつ楽しいものになると思います。

物質理工学院 材料系の藤澤さん(修士課程1年) / オックスフォード大学留学

プロジェクトメンバーと夕食(最左が藤澤さん)
プロジェクトメンバーと夕食(最左が藤澤さん)

指導教員のオライリー教授と
指導教員のオライリー教授と

私が所属した研究室は、30年以上企業と共同研究をしており、私もN-tec(エヌテック)社というオックスフォードの小さい会社の研究者として実験などを行いました。テーマは大きく分けて2つ行い、どちらもAMG Aluminum(エーエムージー・アルミニウム)社というイギリスの素材メーカーから委託された研究テーマです。1つ目はAl-Ti(アルミニウム-チタン)合金における結晶粒微細化剤の性能評価を行い、実験と分析をして最適組成を考えました。2つ目はDC(急速冷却)鋳造シミュレータという装置の生産性向上のための改良を行いました。1つ目のテーマについては大きなプロジェクトだったので、プロジェクトの一部分を任され、DC鋳造プロセスシミュレータを使った実験と分析を行い、その結果をもとに毎週チームのメンバーとディスカッションをしていました。2つ目のテーマについては私が主体で任されており、技術者と話し合いながら新しく装置を改良しました。私は東工大では薄膜の磁性について研究しており、金属の凝固については初めてのテーマだったので、はじめは大変苦労しましたが、博士学生のサポートなどもあり、何とか乗り越えることができました。

私はこの留学の前に2回短期留学をしていたので日常会話では不自由ない英語力は持っていましたが、いざチームでディスカッションなどすると、はじめはコミュニケーションが取れず苦労しました。しかし、チームで研究したり、寮で共同生活したりすることはとても貴重な経験で3ヵ月という短い期間ながらとても多くのことを得られ、密度の濃い時間を過ごすことができたと思っています。今、留学に興味を持っている人は自分の現在の英語力に関わらず挑戦することをお勧めします。

物質理工学院 材料系の董さん(修士課程1年) / 清華大学留学

研究室のメンバーと(左から2番目が董さん、右から5番目が指導教員の謝続明教授)
研究室のメンバーと(左から2番目が董さん、右から5番目が指導教員の謝続明教授)

急激な成長や革新と、安定した生活が共存する不思議な時期に、大国である中国の首都で現地の空気を肌で感じられたことは、私にとって非常にいい経験でした。特に今回は街に住み、更に学外の同世代と3ヵ月間生活を共に出来たことは、おそらくこのプログラムの長い歴史の中でもそう多いことではないと思います。私は滞在中、研究室の内外を問わず、おそらく一期一会に終わるであろう人々とも積極的に交流を図りました。親の金銭援助も受けられたこともあり、「体験のためなら」と惜しみなくお金を使いました。こうしたからこそ自信をもって「肌で感じた」と言えるのだと思います。この留学プログラムはたった3ヵ月であり、旅の恥はかき捨てです。言語に自信がないなどと不安に思うことなど一切ありませんでした(ネイティブ相手ならば2単語程度でコミュニケーションはとれる。)

今後留学する学生さんには、現地の人が普段しているようなことを一通り行うのはもちろん、驚くような、あるいは目を疑うような経験もして帰ってきて報告してもらえたら面白いと思います。注意点ですが、学外の人とも深い話をしたいのなら現地の言葉がある程度使えることは必須だと思います。

物質理工学院 材料系の石曾根さん(修士課程1年) / 南洋理工大学留学

研究室のメンバーと(最左が石曾根さん、前列最右が指導教員のシュ・ロン教授)
研究室のメンバーと
(最左が石曾根さん、前列最右が指導教員のシュ・ロン教授)

研究室のメンバーとの観光にて(右から3番目が石曾根さん)
研究室のメンバーとの観光にて(右から3番目が石曾根さん)

過去3ヵ月程度の留学に参加した先輩方から、この短期間で研究を完成させることはできないし、行くなら研究以外にも目的を持つべきだということを言われていたので、私は留学の目的の一1つに、多くのバックグラウンドを持つ人たちと話すことを掲げていました。東工大にも留学生はたくさんいますし、話す機会はありますが、あくまでも日本人ベースになっていると思います。周りを見渡せば日本人がたくさんいて、話が続かなかったときに助けを求めることができます。それに私たちは日本での生活に慣れており、留学生と仲良くなることは慣れた生活に訪れる少しの変化でしかありません。

しかし、今回のシンガポールでの生活は日本人が周りに1人もいない環境で、もちろん母国語を話す機会はなく、知り合いもいなかったので頼る人も最初はおらず、生活自体が手探りの状況でした。その中で拙い英語で話しかけて仲良くなれたときは心から嬉しかったですし、お互いの出身国について、専門について、そしてくだらない話で盛り上がったときはとても楽しかったです。正直、留学してから1ヵ月は孤独を感じることが多くありました。と言うのも、私が所属した研究室は私以外が皆中国人で、彼らの結びつきがとても強かったのと、ホステルも私以外ほとんどマレーシア出身の同じ専門学校に通っている学生だったからです。彼らの多くはまともに日本人と話すのは初めてだったこともあり、同じアジア人だとは言え接し方が分からなかったはずです。また、欧米と比べてアジア人はシャイな人が多いため、積極的に話しかけてはくれません。この環境に身を置くことは生まれて初めてだったために最初は戸惑いました。ただ、根気強く話しかけていると、彼らは皆喜んで私を受け入れてくれるようになりました。そして、仲良くなるまでの壁が分厚かった分、一度仲良くなるととことん仲良くしてくれました。この経験は少なくとも日本にいると経験できなかったと思います。かつ、日本人が多く住んでいたり、多く留学したりしているところでも経験できないはずです。南洋理工大学はまだ日本人があまり留学しておらず、かつ中心部から離れているため日本人があまり滞在していません。確かに学術的な面では欧米が先行していると思いますが、これからアジア諸国は経済的にも学術的なレベルもどんどん上がってくると思います。その中で、多くのアジアの人たちと交流できたことがシンガポールを選んだメリットであったと思います。

物質理工学院 材料系の西崎さん(修士課程2年) / 南洋理工大学留学

研究室
研究室

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイにて
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイにて

今回シンガポールで生活することによって、グローバル化の波は思っていた以上に大きいものだったことを体感しました。これまでにも海外へ旅に出掛けた経験はあり、日本に住んでいても海外からの人が増えてきているなとは思ってはいましたが、留学生という身分で自分が実際に他国の街に住んでみると見えてくるものは全く違ったものでした。今や世界中の国が互いに同じ土俵でしのぎ合い、そして一緒により良い世の中を創り上げていっているわけです。そんな中自分の語学力について、国によって訛りがあるとはいえ思った以上に言葉を聞き取れないことが多くありました。それでも生活は出来ますが、改善していかなければならず語学に対するモチベーションが向上しました。また生活の中では中国語を耳にすることも多く、今後の世界情勢を見ても余裕が出て来れば中国語の学習をしてみたいとも思いました。中国から来ていた友達とはたくさんのことを話しましたが、友達から聞いた中国国内の色々な話もとても興味深かったです。

シンガポールは本当に色々な民族が住んでいて、それでも、このような極めて小さい国土でありながら、経済的に成功しています。近隣諸国と比較してもその様はまるで国家の芸術のようでした。もっとも、それらは強力な政府の下に成り立っていて、それによくありがちな負の面が少なからずあることも知ることができました。

留学を通じて辛いことやしんどいことは色々ありましたが、それでも、振り返って本当に幸せな日々でした。初めジン・ユ先生のところへ行くと決まった際は、東工大での研究テーマとは少し離れた分野の方であったため、上手くやっていけるか正直心配に思う時もありました。しかし、何事も挑戦が大事であるとの想いを胸に飛び込んだことは、結果的にとても正解であったように思います。

工学院 システム制御系の舩田さん(博士後期課程3年) / ジョージア工科大学留学

研究室の友人と(右が舩田さん)
研究室の友人と(右が舩田さん)

研究室のメンバーと(右から2番目が舩田さん)
研究室のメンバーと(右から2番目が舩田さん)

私が所属した研究室は、複数台のロボットを協調させて制御目的を達成させるという研究分野を始めとして、制御の分野において第一線で活躍をしており、受入担当教員であるマグナス・エガステット先生も著名な方です。その研究室に客員研究員の身分で受け入れていただきました。

私の留学時期は、博士後期課程3年というかなり遅めで、かつ卒業間近でした。この時期に留学をしたことには、良かったことと悪かったことの両面がありました。

まず、今までとは全く異なる環境で研究を進めるという経験を、卒業間近に出来たことはとても役に立ったと思います。大学か企業かのどちらを進路として選ぶにしても、博士課程卒業後は今までとは違う環境で異なる研究を進めることになるのが一般的だと思います。そういった立場になる直前に良い練習の機会になったと思いますし、ある程度の研究成果を出せたことで自信にもつながったと思います。

一方で、悪かったこととしては、もっと早く海外の研究や大学の環境を知っておくべきであったということです。やはり、海外での研究環境や進め方は、今まで自分がやってきた日本のものとは大きく異なり、もっと早く知って今後のキャリアに活かしたほうが良かったという後悔の念も強くあります。

環境・社会理工学院 イノベーション科学系のアールさん(博士後期課程2年) / 香港城市大学留学

ドラゴン・フェスティバルにて
ドラゴン・フェスティバルにて

報告会にて
報告会にて

香港留学の成果は有益なものでした。研究は前進し、新しい様々な角度や議論から学び、そして新しい文化や暮らしを経験することができました。さらに、将来に向けたすばらしい人脈もできたと思います。留学を検討している皆さんへのメッセージは「是非挑戦してみてください。留学は、初対面の人に出会い、たくさんの新しいことを学び、自分の心を開くことができる絶好の機会です!」

本イベントは、留学プログラムについての理解を深めるとともに、帰国して間もない留学経験者からの新鮮な現地情報や感想に触れることができる機会でした。本プログラムへの応募を検討している学生も積極的に質問し、意見交換や情報交換が活発に行われました。

工系国際交流委員のバッハ教授による閉会の辞
工系国際交流委員のバッハ教授による閉会の辞

夏期派遣は一年の中でも特に人気があります。その理由としては、(1)夏季休暇を利用できるため、本学でのカリキュラムとの調整がしやすい、(2)留学やその準備が就職活動等と両立して進められる、(3)年に1回のみの募集および派遣の対象である3学院夏期短期学生交流プログラム(Summer Exchange Research Program:SERP)が含まれ、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校などの欧米先進大学へ留学できること等が挙げられます。工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院の3学院は、欧米や豪州・アジアの有力大学との学生国際交流協定締結を推し進め、派遣先の質と量を確保できるように活動を拡大しています。

本プログラムは、受入・派遣の双方向プログラムである特徴を生かし、工系サマープログラム留学生との交流イベントも企画・運営されています。今回発表した学生も積極的にそのような機会を利用し、留学に臨みました。

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お問い合わせ先

工系国際連携室

E-mail : ko.intl@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3969

12月は寄付月間 Giving December 欲しい未来へ、寄付を贈ろう

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東工大は、寄付月間の賛同パートナーとして日本の寄附文化醸成に協力しています。

今年で4回目となる寄付月間(Giving December)。多くの人たちに寄付について考えてもらおうと、12月1日~31日に行われている全国的な啓発キャンペーンです。今や世界的な篤志家となったビル・ゲイツ氏や日本の著名なスポーツ選手らが初回から広報に協力したこともあり、年々関心が高まってきました。

各地でさまざまな関連イベントが行われる中、東工大は「卒業した留学生とつながろう!」をテーマに、世界で活躍する同窓生との絆を深める企画を考えました。

マニラ市内で行われた同窓生のクリスマスパーティー

マニラ市内で行われた同窓生のクリスマスパーティー

世界各地に、卒業した留学生を中心とした13の同窓生グループがあり、東工大を支えてくれています。海外の同窓生にも東工大の今を知ってもらえるよう、オンラインコミュニティが発行するメールマガジンを定期的に発信しています。海外からもいろいろなお便りをいただくようになり、双方向のコミュニケーションが活発になってきました。「チーム東工大」のグローバルネットワークが、寄附文化と共に広がっています。

基金室では、教育、研究、社会連携、国際交流をはじめ、東工大のさまざまな事業へのご寄附を受け付けています。

寄付月間2018ポスター

寄付月間2018ポスター

お問い合わせ先

東京工業大学 基金室

E-mail : bokin@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2415、2417


TBSテレビ「未来の起源」に宮本研究室の学生が出演

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無線給電システム無線給電システム

科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 宮本智之研究室の勝田優輝さん(工学院 電気電子系 修士課程1年)が、TBS「未来の起源」に出演します。

研究室で開発に取り組んでいる「光を使って無線で電気を送る無線給電システム」が紹介されます。

勝田優輝さんのコメント

勝田優輝さん

この度、光を使って無線で電力伝送を行う「光無線給電」について取材していただきました。

光無線給電はレーザーやLEDなどの光源と太陽電池を用いた無線給電方式で、光ビームにより長距離の電力伝送が可能、高周波による機器への影響がないなどの利点があります。今回は長距離の光無線給電実験とフライアイレンズを用いたデモンストレーションを中心に取材を受けました。

番組を通じて、皆さんにも本研究の魅力を感じて頂ければ幸いです。

番組情報

  • 番組名
    TBS「未来の起源」
  • 放送予定日
    2019年2月10日(日)22:54 - 23:00(放送地域:関東、愛知、岐阜、三重)
  • (再放送)
    BS-TBS 2019年2月17日(日)20:54 - 21:00
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お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

「第55回外国人研究者へのオリエンテーション及び外国人研究者等との懇談会」開催報告

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東京工業大学は1月17日、外国人研究者へのオリエンテーション及び外国人研究者等との懇談会をすずかけ台キャンパス大学会館で開催しました。

外国人研究者との懇談会は、学長主催により本学で教育・研究に従事している外国人研究者を招き、本学の教員及び各国の研究者の親睦を深めることを目的として、1991年より例年2回開催されているイベントです。また2010年1月からは、本学に関する理解を深める機会としてオリエンテーションも併せて実施しています。

オリエンテーションでは、益一哉学長による大学紹介があり、その後のQ&Aセッションでは、益学長と佐藤勲理事・副学長(企画担当)、水本哲弥理事・副学長(教育担当)、渡辺治理事・副学長(研究担当)の3名が回答者として登場しました。参加者からは、大学のダイバーシティに関する質問や意見が飛び出し、活発な議論がなされました。

オリエンテーションでの益学長による大学紹介
オリエンテーションでの益学長による大学紹介

Q&Aセッションの様子
Q&Aセッションの様子

続く懇談会は水本理事・副学長の開会の辞に始まり、途中、参加者3名によるスピーチでは、新年の抱負などが語られました。終始和やかな雰囲気の中、交流が深められ、最後は佐藤理事・副学長の閉会の辞をもって、大盛況のうちに終了しました。

懇談会風景

懇談会風景

懇談会風景

「留学生による日本語スピーチコンテスト」を初開催

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東京工業大学 国際交流学生会SAGE(以下、SAGE)は、「第1回留学生による日本語スピーチコンテスト」を12月15日に東工大大岡山キャンパス本館で開催しました。東工大在学中の韓国、中国、マレーシア、インドネシア、ポーランドから合計10名の留学生が原稿選考を通過し、スピーチコンテストに出場しました。

第1回留学生による日本語スピーチコンテスト参加者・審査員・SAGE部員の集合写真

第1回留学生による日本語スピーチコンテスト参加者・審査員・SAGE部員の集合写真

本コンテストは、提示されたテーマに関して留学生が日本語でスピーチをし、日本語力とスピーチの独創性を競う大会です。留学生による日本語のスピーチを通じて、「国際交流=英語」というイメージを払拭し、国際交流の本質である「様々な文化・考え方に触れられる」ことを東工大生に再認識してもらうことを目的として企画されました。本学の同窓会組織である一般社団法人蔵前工業会、および東工大学務部学生支援課が後援しました。

スピーチ、および質疑応答の様子

スピーチ、および質疑応答の様子

スピーチ、および質疑応答の様子

本コンテストの出場枠はビギナークラスとアドバンスクラスに分けられました。ビギナークラスのテーマは「日本に来て感じたこと、学んだこと」、日本語学習歴あるいは日本居住歴が1年以下の東工大留学生を対象としています。アドバンスクラスのテーマは「東工大生として、日本、そして世界の科学技術を考えよう」、1年以上の日本語学習経験がある東工大留学生を対象としています。

審査員による審査の様子
審査員による審査の様子

内容、構成、態度、言葉遣い、質疑応答などの項目を基準に、蔵前工業会の金島正治理事、リベラルアーツ研究院の調麻佐志教授、佐藤礼子准教授、森田淳子准教授の計4名の審査員が採点しました。

ビギナークラスに4名、アドバンスクラスに6名の計10名(学士課程1年~博士後期課程3年)が参加しました。発表内容は、「ドラえもん」からAI最先端技術までと幅広く、観客からの笑いや驚きによって場を盛り上げました。

ビギナークラス

 
氏名
所属
課程・学年
国籍
最優秀賞
于 佳芸(う かげい)
第3類
学士課程1年
中国
優秀賞
ウィン・イン・タム
工学院 電気電子系
修士課程2年
マレーシア
参加賞
許 鳴琴(きょ めいきん)
情報理工学院 情報工学系
修士課程1年
中国
 
チェ・ミンソ
日韓共同理工系学部留学生事業予備教育プログラム
研究生
韓国

アドバンスクラス

 
氏名
所属
課程・学年
国籍
最優秀賞
マテウシュ・ビシェク
情報理工学院 数理・計算科学系
博士後期課程3年
ポーランド
優秀賞
アウギ・アトコ
物質理工学院 応用科学系
学士課程3年
インドネシア
参加賞
ナム・ユンハク
日韓共同理工系学部留学生事業予備教育プログラム
研究生
韓国
 
ヨム・サンウン
日韓共同理工系学部留学生事業予備教育プログラム
研究生
韓国
 
イ・ジョンデ
日韓共同理工系学部留学生事業予備教育プログラム
研究生
韓国
 
刘 益民(りゅう えきみん)
物質理工学院 材料系
修士課程1年
中国

審査員の金島理事は、すべてのスピーチ終了後に行われた総評で「楽しい時間を過ごさせていただきました。様々な考えに触れることができ、審査時間があっという間に終わりました」と述べ、出場者の日本語力の高さや発想の斬新さをたたえました。

プロジェクトリーダー 濱野勇真さん(第2類、学士課程1年)のコメント

濱野勇真さん

僕は今、第2類で材料科学の基礎を学んでいます。

今回の大会を通して、留学生が自分の国とは異なる言語を用いて、自分の意見を情熱を持って話す姿が見受けられました。参加した留学生のように、他国の言語を用いて自分の意見を表現することは、留学の際だけでなく、グローバル化していく将来の社会で必要なものであることを実感しました。それと同時に、日本人である自分も、日本語という言葉の素晴らしさに気づき、自国の文化を再認識するきっかけとなりました。

ビギナークラス最優秀賞受賞者 于さんのコメント

于 佳芸さん

私は今、第3類で応用化学研究のための基礎知識を学んでいます。

スピーチコンテストのテーマは「日本に来て感じたこと、学んだこと」で、日本に来た意味や自分の将来のことについてもう一度真剣に考えさせられました。スピーチコンテストは日本語を使う機会のみならず、考えを深めるきっかけにもなります。

また機会があれば、皆さんもぜひSAGEの活動に参加してください。

アドバンスクラス最優秀賞受賞者 マテウシュさんのコメント

マテウシュ・ビシェクさん

このスピーチは僕にとって大切な経験となりました。友達と一緒に、原稿に書くためいろいろな言語の問題について話すことは、大変日本語の勉強になりました。それに、スピーチの準備は、過去の辛い体験を振り返り、乗り越える機会を与えてくれました。

このコンテストに参加した理由は、友達に大切なメッセージを伝えたかったからです。僕がスピーチで優勝して、とてもびっくりしていると同時に、感謝しています。僕がスピーチで優勝できたのは、他の人たちもその課題を考えており、僕のメッセージが理解されたからだと思います。大学では、情報理工学院で主にコンピューターシミュレーションについての研究を行っています。

お問い合わせ先

東京工業大学 国際交流学生会SAGE

E-mail : sage.tokyo.tech@gmail.com

ヒストン遺伝子を全セット持つ巨大ウイルスの発見 DNA関連遺伝子のウイルス起源に新たな証拠

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京都大学化学研究所 緒方博之 教授、京都大学理学研究科 吉川元貴 博士課程学生、東京理科大学 武村政春 教授、生理学研究所 村田和義 准教授、東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)outer 望月智弘 研究員らの共同研究チームが、アメーバに感染する新規巨大ウイルスを発見しました。メドゥーサウイルスと名づけられたこの巨大ウイルスは、全セットのヒストン遺伝子をゲノム内に保持しており、特異な粒子形態とゲノム組成から新たな「科」に属することが明らかになりました。ヒストンは真核生物がDNAを折り畳んで核内に収納するために必須な5種類のタンパク質で、その一部を持つウイルスはこれまでに知られていました。しかし、ヒストン遺伝子全セットを保持するウイルスはメドゥーサウイルスが初めてです。真核生物のDNA関連遺伝子がウイルスに由来するという仮説が提唱されていますが、本研究成果はそうした仮説を支持する結果と考えられます。今後、ウイルスヒストンの役割などメドゥーサウイルスの感染過程を分子レベルで解明することにより、巨大ウイルスと真核生物の太古以来の共進化誌が紐解かれるのではないかと期待されます。

本研究成果は、2019年2月6日に米国の国際学術誌「Journal of Virology」にオンライン掲載されました。

メドゥーサウイルスの粒子構造(左)とヒストン遺伝子やDNA複製酵素の系統樹の模式図(右)

図1. 左はメドゥーサウイルスの粒子構造。右はヒストン遺伝子やDNA複製酵素の系統樹の模式図。真核生物の系統樹の根本からウイルスの遺伝子の系統が派生している。DNA複製酵素(真核生物のDNAポリメラーゼδ)遺伝子やヒストン遺伝子は、遺伝子水平移動によってウイルスから真核生物にもたらされたのかもしれない。

背景

今世紀初頭、生物学の常識を覆すウイルスが発見されました。ミミウイルスと呼ばれるそのウイルスは、単細胞真核生物(原生生物)であるアメーバを宿主として増殖します。粒子サイズとゲノム長で数多くの単細胞生物を凌ぐ大きさと複雑さを誇るミミウイルスの発見は、「ウイルスは小さくて単純なものだ」という生物学者の固定観念を覆し、大きなインパクトを与えました。ミミウイルスの発見を端緒に、世界中の研究者が巨大ウイルスハンティングを開始し、パンドラウイルス、ピソウイルス、マルセイユウイルスなど様々な巨大ウイルスの発見が相次ぎ、日本では東京理科大学 武村政春教授らのグループにより、トーキョーウイルス(マルセイユウイルスの仲間)やミミウイルス・シラコマエ(ミミウイルスの仲間)などの発見がなされました。

こうした巨大ウイルスは調べれば調べるほど、その生き生きとした多様で複雑な「生き様」が伺え、その結果、「ウイルスは生命なのか?」といった根本的疑問が沸き上がると同時に[参考文献1]、ウイルスは細胞から進化したのではないか[参考文献2]、ウイルスがDNAを発明したのではないか[参考文献3]、細胞核はウイルス由来ではないか[参考文献4]という挑戦的かつ挑発的な仮説が提唱されました。

今回、共同研究チームは、北海道にある温泉地域の湯溜まりとその水底の泥土サンプルから、アメーバを宿主として新しい巨大ウイルスを分離し、その感染過程、粒子構造、ゲノム組成の詳細を調査しました。その結果、この巨大ウイルスが、これまでに知られていた巨大ウイルスと多くの点で異なることが明らかになりました。

研究手法・成果

メドゥーサウイルス粒子のクライオ電子顕微鏡による単粒子解析
図2. メドゥーサウイルス粒子のクライオ電子顕微鏡による単粒子解析
(a)クライオ電子顕微鏡で見たメドゥーサウイルス粒子。(b)3D構築した粒子の断面図。赤矢印は核を覆う脂質二重膜がカプシドと結合している部分を表す。(c)図bの黄色い四角部分の拡大図。(d)単粒子解析による3D構築した粒子像。白矢印は粒子の大きさ(T=277)を算出するためのk値、h値。(e)図dの黒い四角部分を切り出した拡大図。

新規巨大ウイルスはアメーバを宿主として増殖しますが、感染過程で一部のアメーバ細胞が厚い膜を被り休眠状態に入る(シスト化する)ことが明らかになりました。これが、見たものを石に変える能力を持つギリシア神話の怪物「メドゥーサ」をイメージさせることから、この新規巨大ウイルスをメドゥーサウイルスと名づけました。

メドゥーサウイルスは、粒子径が260ナノメートル、ゲノム長が38万塩基対とこれまでに記録されている巨大ウイルスの中では小型の巨大ウイルスでした。しかし、クライオ電顕単粒子解析により、先端が球状のスパイクでウイルス粒子表面が覆われているなど、独特の粒子形態が浮き彫りになりました。ゲノムの遺伝子組成にも特徴があり、ゲノム内の461個のタンパク質遺伝子のうちなんと61%(279個)が、データベースに類似した遺伝子がない新規遺伝子であることが判明しました。また、感染過程の観察から、ウイルスゲノムの複製がアメーバの細胞核内で完了していることも伺え、これまでに報告されてきた巨大ウイルスとは様相を異にしていました。こうした結果と遺伝子解析(分子系統解析)の結果を総合し、共同研究チームは、メドゥーサウイルスが新しい「科(family)」つまり「メドゥーサウイルス科」に属するウイルスだと結論しました。「科」はウイルスの分類体系において事実上最上位の分類群です。

ヒストン遺伝子の系統樹

図3. ヒストン遺伝子の系統樹
赤:メドゥーサウイルス、青:その他のウイルス、黒:ヒトを含む真核生物と古細菌。

メドゥーサウイルスのゲノムで最も際立った特徴は、ヒストン遺伝子を全セット(ヒストンH1, H2A, H2B, H3, H4の5種類)保持していたことです。これまでにマルセイユウイルスやパンドラウイルスがヒストン遺伝子の一部を保持していることは知られていましたが、ヒストン遺伝子全セットを保持するウイルスはメドゥーサウイルスが初めてです。ウイルス粒子からもウイルス由来のヒストンタンパク質が検出されました。分子系統解析の結果はさらに興味深いものでした。これらのヒストン遺伝子はその進化の枝が、真核生物の系統樹の根っこの部分から派生しており、その起源が真核生物の共通祖先よりも古いことが明らかになりました。つまり、ウイルスのヒストン遺伝子は、真核生物の特定の系統から獲得されたものではないのです。このことは、真核生物の先祖がヒストン遺伝子を古代のウイルスから獲得した可能性を示唆しています。同様の進化シナリオがメドゥーサウイルスのDNA複製酵素遺伝子の解析からも浮き彫りになりました。

さらに、アメーバとメドゥーサウイルスのゲノム比較から、進化の過程で数多くの遺伝子の受け渡し(遺伝子水平移動)が両者の間で起こっていたことも明らかになりました。遺伝子の受け渡しの方向は、アメーバからウイルス、ウイルスからアメーバへの両方向の事例がありました。アメーバがウイルスから受け取った遺伝子の中にはウイルスの殻を作るためカプシドタンパク質遺伝子もありました。メドゥーサウイルスは、宿主と遺伝子をやり取りするのが得意なのかもしれません。

波及効果、今後の予定

今後、研究チームは電子顕微鏡観察、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析、ウイルスタンパク質の生化学的解析などを利用し、ウイルスヒストンの役割など、メドゥーサウイルスの感染過程を分子レベルで解明することを目指しています。その結果、巨大ウイルスと真核生物の太古以来の共進化誌をさらに紐解くことができるのではないかと期待しています。

研究プロジェクトについて

本研究は科研費(新学術領域提案型「ネオウイルス学」、基盤研究B)、生理研共同研究、京都大学化学研究所共同利用・共同研究の支援を受けて行われました。

研究者のコメント

  • ウイルスは生命の進化や発展に重要な役割を果たしてきたと考えられています。今回、メドゥーサウイルスの発見により、巨大ウイルスが太古の真核生物の進化に関わってきた痕跡を新たに見出すことができました。もし仮に、ウイルスが真核生物誕生の歴史に影響を与えたのであれば、大変興味深いことです。今後さらに研究を進めて、ウイルスと生命の起源について理解を深めていきたいと思います。(吉川元貴)
  • 本研究は、ウイルスハンティング、分子生物学、構造生物学、バイオインフォマティクスの専門家が協力して成し遂げた成果です。異分野の研究者が協力することにより、新「科」に属するメドゥーサウイルスを一早く特徴づけることができました。今後も、ウイルスの魅力的な世界を冒険していきたいと考えています(緒方博之)。

論文情報

掲載誌 :
Journal of Virology
論文タイトル :
Medusavirus, a novel large DNA virus discovered from hot spring water(メドューサウイルス―温水から発見された新規大型DNAウイルス)
著者 :
Genki Yoshikawa, Romain Blanc-Mathieu, Chihong Song, Yoko Kayama, Tomohiro Mochizuki, Kazuyoshi Murata, Hiroyuki Ogata, Masaharu Takemura
DOI :

参考文献

[1] Claverie J.-M., Ogata H. Ten good reasons not to exclude giruses from the evolutionary picture. Nat. Rev. Microbiol., 7, 615 (2009). doi: 10.1038/nrmicro2108-c3outer.

[2] Claverie JM. Viruses take center stage in cellular evolution. Genome Biol. 7, 110 (2006). doi: 10.1186/gb-2006-7-6-110outer.

[3] Forterre P. Three RNA cells for ribosomal lineages and three DNA viruses to replicate their genomes: a hypothesis for the origin of cellular domain. Proc Natl Acad Sci U S A. 103, 3669-3674 (2006). doi: 10.1073/pnas.0510333103outer.

[4] Takemura M. Poxviruses and the origin of the eukaryotic nucleus. J Mol Evol. 52, 419-25 (2001). doi: 10.1007/s002390010171outer.

お問い合わせ先

研究に関すること

緒方博之(おがた ひろゆき)

京都大学 化学研究所 教授

E-mail : ogata@kuicr.kyoto-u.ac.jp
Tel : 0774-38-3270

武村政春(たけむら まさはる)

東京理科大学 教授

E-mail : takemura@rs.kagu.tus.ac.jp
Tel : 03-5228-8373

村田和義(むらた かずよし)

生理学研究所 准教授

E-mail : kazum@nips.ac.jp
Tel : 0564-55-7872

望月智弘(もちづき ともひろ)

東京工業大学 地球生命研究所 研究員

E-mail : tomo.mochiviridae@elsi.jp
Tel : 03-5734-2678

取材申し込み先

京都大学 総務部広報課 国際広報室

E-mail : comms@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp
Tel : 075-753-5729 / Fax : 075-753-2094

東京理科大学 研究戦略・産学連携センター(URAセンター)

E-mail : ura@admin.tus.ac.jp
Tel : 03-5228-7440 / Fax : 03-5228-7441

自然科学研究機構 生理学研究所 研究力強化戦略室

E-mail : pub-adm@nips.ac.jp
Tel : 0564-55-7722 / Fax : 0564-55-7721

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

電場による磁石極性の反転に成功 次世代低消費電力磁気メモリー実現の道拓く

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要点

  • 磁場を用いず、電場のみで磁石極性を反転する事に成功
  • 酸化物薄膜を用い、走査プローブ顕微鏡で観測
  • 次世代低消費電力磁気メモリーへの応用に期待

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の清水啓佑大学院生(当時、現同大学博士研究員)、東正樹教授、大場史康教授、同大学元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授(当時)、九州大学大学院総合理工学研究院の北條元(はじめ)准教授、名古屋工業大学大学院工学研究科の壬生攻教授らの研究グループは、磁石の性質(強磁性[用語1])と電気を蓄える性質(強誘電性[用語2])が共存したセラミックス結晶について、室温で電場により磁石の極性を反転(磁化反転)させることに成功した。電場による磁化反転は次世代磁気メモリー実現の鍵として注目されていながらも、これまでに室温で実証されたことはなかった。

同研究グループは強磁性と強誘電性が共存した「コバルト酸鉄酸ビスマス」を薄膜形態で安定化させ、その磁気ドメイン[用語3]強誘電ドメイン[用語4]の構造を走査プローブ顕微鏡[用語5]で調べた。その結果、両ドメインの構造は類似しており、強磁性と強誘電性には相関が存在することが明らかとなった。さらに走査型プローブ顕微鏡の探針を用いて電場を印加し、電気分極を反転させることにより、磁化の方向を反転させることに成功した。電場により制御可能な低消費電力の磁気メモリー実現につながる成果と期待される。

同研究グループには東工大の川邊諒大学院生、清水陽樹大学院生、山本孟大学院生(いずれも当時)、勝俣真綸大学院生、重松圭助教が参画した。

研究成果は米国化学会誌「Nano Letters(ナノレターズ)」のオンライン版で2月7日(日本時間)に公開された。

研究の背景

スマートフォンの普及やビッグデータなどによる情報処理量の爆発的な増大に伴う、情報通信機器の消費電力が問題になるなかで、低消費電力・高記録密度・不揮発性の次世代メモリーデバイスへの要求が高まっている。こうした観点から注目されるのが、強磁性と強誘電性を併せ持つマルチフェロイック物質[用語6]である。

強磁性と強誘電性の相関が十分に強く、電場によって磁化方向を反転することができれば、磁場発生のための電力が不要となる。このため、不揮発性・高安定性という現在の磁気メモリーの特徴を生かしつつ、低消費電力・高記録密度かつ簡易な素子構造を有する次世代磁気メモリーの実現が期待される。

研究成果

これまでに九州大学の北條准教授、東京工業大学の東教授らは、室温で強磁性と強誘電性が共存したコバルト酸鉄酸ビスマスを、薄膜形態で安定化させることに成功している(図1)。しかしながら、磁化の方向が薄膜の面内方向を向いていたために、通常の走査型プローブ顕微鏡を用いて磁気ドメインを観察することは困難であり、強磁性と強誘電性の相関を調べることはできなかった。

今回、薄膜を成長させるための基板の種類および薄膜の成長する方向を工夫することにより、薄膜試料の磁気ドメインを観察することに初めて成功した。同一視野において強誘電ドメインと比較することにより、強磁性と強誘電性には相関が存在することが明らかとなった。さらに走査型プローブ顕微鏡の探針を用いて電場を印加し、電気分極を反転させることで、磁化の方向を反転させることに成功した(図2)。

図1. コバルト酸鉄酸ビスマスの磁気構造の模式図。スピンが傾斜しているため、磁化は打ち消し合わずに、自発磁化が電気分極に直交した方向に現れる。
図1.
コバルト酸鉄酸ビスマスの磁気構造の模式図。スピンが傾斜しているため、磁化は打ち消し合わずに、自発磁化が電気分極に直交した方向に現れる。
図2. 電気分極反転前(上)と電気分極反転後(下)のコバルト酸鉄酸ビスマス薄膜の室温における圧電応答顕微鏡像(左)と磁気力応答顕微鏡像(右)。それぞれ、強誘電ドメイン構造と磁気ドメイン構造に対応する。色は、それぞれ電気分極の薄膜面内成分および磁化の薄膜面外方向の成分を表している。上左図の強誘電ドメインが寒色であることは、電気分極の面外成分が紙面の奥方向を向いていることに対応する。下左では電気分極の方向が反転したため、強誘電ドメインの色が暖色に変化している。また、右上下を比較すると、電気分極の反転により、磁化の面外成分が反転していることがわかる。
図2.
電気分極反転前(上)と電気分極反転後(下)のコバルト酸鉄酸ビスマス薄膜の室温における圧電応答顕微鏡像(左)と磁気力応答顕微鏡像(右)。それぞれ、強誘電ドメイン構造と磁気ドメイン構造に対応する。色は、それぞれ電気分極の薄膜面内成分および磁化の薄膜面外方向の成分を表している。上左図の強誘電ドメインが寒色であることは、電気分極の面外成分が紙面の奥方向を向いていることに対応する。下左では電気分極の方向が反転したため、強誘電ドメインの色が暖色に変化している。また、右上下を比較すると、電気分極の反転により、磁化の面外成分が反転していることがわかる。

今後の展開

今回の成果は新しい磁気メモリー実現のための鍵といわれてきた、室温での電場による磁化反転を実験的に証明したものである。電場により制御可能な低消費電力の磁気メモリー実現のための道を拓いた成果といえる。鉄酸ビスマスをベースとしたマルチフェロイック物質の開発に拍車がかかるものと期待される。

付記

本研究の一部は、神奈川県立産業技術総合研究所・戦略的研究シーズ育成事業「革新的環境調和機能性材料創出」(代表・東正樹東京工業大学教授)、文部科学省・科学研究費助成事業・基盤研究A「ビスマス・鉛ペロブスカイトのs―d軌道間電荷分布変化解明と巨大負熱膨張への展開」(代表・東正樹東京工業大学教授)、若手研究A「分極回転:巨大な圧電応答の設計と実現」(代表・北條元九州大学准教授)、旭硝子財団若手継続グラント「Bi系マルチフェロイック薄膜の磁気構造制御と電場による磁化反転の実現」(代表・北條元九州大学准教授)、文部科学省・ナノテクノロジープラットフォームの援助を受けて行った。

用語説明

[用語1] 強磁性 : 電子は自転に例えられるスピンと呼ばれる内部自由度をもち、2つの状態(例えば上向きと下向き)をとる。隣り合う電子のスピンが同じ方向を向いて整列した状態を強磁性状態と呼ぶ。

[用語2] 強誘電性 : 電界(電圧を、その電圧が印加されている試料の厚みで割ったもの)を印加されていない状態でも電気分極(物質中で陽イオンと陰イオンの重心がずれていることから生じる、電荷の偏り)を持ち、かつ外部電界の向きに応じて電気分極の向きを可逆的に反転できる性質のことを強誘電性と呼ぶ。

[用語3] 磁気ドメイン : 磁区とも呼ばれ、各磁性原子のもつ電子スピンの向きが揃った区域のことを指す。

[用語4] 強誘電ドメイン : 電気分極の向きが揃った区域のことを指す。

[用語5] 走査型プローブ顕微鏡 : 先端を尖らせた探針を用いて、物質の表面および表面近傍をなぞるように走査することで物質表面についての情報を得る顕微鏡のこと。探針の種類および走査方法を変更することで、強誘電ドメインの構造を調べる圧電応答顕微鏡、強磁性ドメインの構造を調べる磁気力応答顕微鏡として使用することができる。

[用語6] マルチフェロイック物質 : 一般に、複数の強的秩序を有する物質のことを指す。狭義では、強磁性と強誘電性の2つの強的秩序を有する物質を指す。

論文情報

掲載誌 :
Nano Letters
論文タイトル :
Direct observation of magnetization reversal by electric field at room temperature in Co-substituted bismuth ferrite thin film
著者 :
Keisuke Shimizu, Ryo Kawabe, Hajime Hojo, Haruki Shimizu, Hajime Yamamoto, Marin Katsumata, Kei Shigematsu, Ko Mibu, Yu Kumagai, Fumiyasu Oba, and Masaki Azuma
DOI :

本研究全般に関するお問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授

東正樹

E-mail : mazuma@msl.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5315、080-4402-5315 / Fax : 045-924-5318

九州大学大学院 総合理工学研究院 准教授

北條元

E-mail : hojo.hajime.100@m.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-583-7526 / Fax : 092-583-8853

名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授

壬生攻

E-mail : k_mibu@nitech.ac.jp
Tel : 052-735-7904

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

九州大学広報室

E-mail : koho@jimu.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-2130 / Fax : 092-802-2139

名古屋工業大学 企画広報課広報室

E-mail : pr@adm.nitech.ac.jp
Tel : 052-735-5647 / Fax : 052-735-5009

NHK Eテレ「100分de名著」にリベラルアーツ研究教育院の中島岳志教授が出演

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本学 リベラルアーツ研究教育院の中島岳志教授が、NHK Eテレ「100分de名著」に出演します。

「100分de名著」は、誰もが一度は読みたいと思いながらも、なかなか手に取ることができない古今東西の「名著」を、25分×4回の計100分で読み解く番組です。

今回は、スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』を読み解きます。

中島岳志教授
中島岳志教授

中島教授のコメント

オルテガ『大衆の反逆』は90年ほど前の著作ですが、現代こそ読まれるべき作品です。

「みんなが同じであること」に快楽を覚える「大衆」(=mass man:大量人)を、オルテガは「平均人」とみなし、平等という名の均質化が拡大することを嫌悪しました。

オルテガが守ろうとしたリベラリズムとは何だったのか?

何故にオルテガは伝統的価値を保守しようとしたのか?

ポピュリズムが蔓延する現代を読み解くカギを、オルテガの名著から探りたいと思います。

  • 番組名
    NHK Eテレ「100分de名著」
  • タイトル
    オルテガ『大衆の反逆』
    第1回 大衆の時代/第2回 リベラルであること/第3回 死者の民主主義/第4回 「保守」とは何か
  • 放送予定日
    2019年2月4日、11日、18日、25日(月)/22:25 - 22:50
  • 再放送予定日
    2019年2月6日、13日、20日、27日(水)/5:30 - 5:55、12:00 - 12:25
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お問い合わせ先

リベラルアーツ研究教育院文系教養事務

E-mail : ilasym@ila.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7689

超高速・超指向性・完全無散逸の3拍子がそろった理想スピン流の創発と制御 「弱い」トポロジカル絶縁体の世界初の実証に成功

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要点

  • 理論予想以後実証できずにいた「弱い」トポロジカル絶縁体[用語1]状態の直接観察に世界で初めて成功した。
  • 従来の「強い」トポロジカル絶縁体では不可能であった無散逸の理想的スピン流[用語2]を実現した。
  • 通常絶縁体(スピン流OFF)と「弱い」トポロジカル絶縁体(スピン流ON)の切り替えが室温近傍で可能となり、スピントロニクス[用語3]応用への道筋を開いた。

概要

東京大学 物性研究所の近藤猛准教授、黒田健太助教、野口亮大学院生、および東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の笹川崇男准教授らの研究グループは、産業技術総合研究所 物質計測標準研究部門 ナノ構造化学材料評価研究グループ 白澤徹郎主任研究員、理化学研究所 創発物性科学研究センター 計算物質科学研究チーム有田亮太郎チームリーダー、および大阪大学 大学院理学研究科 物理学専攻の越智正之助教らと共同で、擬一次元[用語4]の結晶構造を持つビスマスヨウ化物β-Bi4I4(Bi:ビスマス、I:ヨウ素)において、「弱い」トポロジカル絶縁体相を世界で初めて観測しました。さらに、室温近傍で結晶の冷却速度を制御する事により、通常絶縁体からトポロジカル絶縁相へと転移させ、これに伴うスピン流のON/OFF制御を実証しました。

情報集積の行き詰まる「エレクトロニクス」に代わり、情報爆発に対する救世主と目されているのが「スピントロニクス」です。その理想的な条件は、限りなく速い速度で(超高速)、レーザーのごとく直進し(超指向性)、情報を失うことなく伝達する(完全無散逸)、スピン流です。それを実現すると理論的に予想されていたのが「弱い」トポロジカル絶縁体ですが、これまで未発見でした。

本研究では、スピントロニクス応用に向けて熱望されている理想スピン流を創発する「弱い」トポロジカル絶縁体を世界で初めて実証・観測しました。これによりレーザー照射で情報を可逆的に書き換えが可能なDVDの「スピントロニクス」版も可能であり、トポロジカル物性の真髄とも言える無散逸スピン伝導を利用した次世代のスピントロニクス技術に新展開をもたらすことが考えられます。

本成果は、英国科学誌「Nature」2019年2月11日(英国時間)に掲載されました。

研究の背景

「金属」「半導体」「絶縁体」に続く第4の固体状態として「トポロジカル絶縁体」の存在が2005年に理論提案され、すぐのちに実験的にも実証されて以来、その基礎・応用研究が世界各国で競って行われています。2016年にはトポロジカル理論研究にノーベル賞が与えられ、更なる後押しを受けたことで、「トポロジカル絶縁体」の研究は今、物質科学で最もホットな研究テーマの一つです。

トポロジカル絶縁体の表面に出現する金属状態では、電流(つまり抵抗による熱的エネルギーロス)を伴わないスピン流(純スピン流)が発生するため、そのデバイス応用が期待されています。3次元物質のトポロジカル絶縁体は「強い」「弱い」という2つに分類されることがトポロジカル物理学の黎明期に理論予想されました。しかし、これまでに発見されてきたトポロジカル絶縁体はすべて「強い」方に分類されたことから、「弱い」トポロジカル絶縁体はそもそも実在するのか?が解決すべき一大テーマでした。

従来の「強い」トポロジカル絶縁体では、物質が持つあらゆる結晶表面にスピン流が発生します。ところが、その特性が災いして、スピン流は放射状に広がり流れとして取り出すことが難しいだけでなく、向きの異なるスピン同士が散乱し合うためスピン状態が保持できない、といった応用面でのデメリットを抱えていました。一方、本研究で発見した「弱い」トポロジカル絶縁体では、スピン流が結晶の側面にのみ閉じ込められて一方向にそろって伝導するため、指向性が極めて高く(超指向性)、また、スピンのupとdownが反平行に保たれることから、スピン状態の寿命が実質的に無限大(完全無散逸)となります(図1参照)。これらは「弱い」トポロジカル絶縁体ならではの優れた特性であり、純スピン流を実際にデバイス応用させる上での決定打となる可能性があります。

スピン流が結晶側面のみで伝導する「弱い」トポロジカル絶縁体では、「強い」トポロジカル絶縁体とは違って、通常の絶縁体と同様の結晶表面と、トポロジカル絶縁体の特徴が顕在化する結晶表面との組み合わせで物質が構成されます。このような性質を検証するためには、各結晶表面の電子状態をそれぞれ独立に測定する必要がありました。しかし、それを可能にする候補物質が無かっただけでなく、特別な実験技術が必要であったため、「弱い」トポロジカル絶縁体の実証は、その予想後10年を経てしても研究者の挑戦を阻み続けてきました。本研究では、最適な候補物質を見定め、最先端の光電子分光技術と表面X線回折技術を用いることで、「弱い」トポロジカル絶縁体の観察に初めて成功し、この未解決問題に終止符を打ちました。

通常の絶縁体と「強い」・「弱い」トポロジカル絶縁体の概略図
図1.
通常の絶縁体と「強い」・「弱い」トポロジカル絶縁体の概略図。通常の絶縁体では結晶全体が電気を流さないが、トポロジカル絶縁体では表面のみが伝導的になり、スピン流が流れる。「強い」トポロジカル絶縁体では、様々な向きを持つスピンが散逸しながらあらゆる方向に流れるため、スピン流を取り出すことが難しい。一方、「弱い」トポロジカル絶縁体では、向きを揃えたスピンが一定の方向へほぼ散逸すること無く流れるため、スピン流を抽出し易い。Bi4I4では、通常の絶縁体(α相)から「弱い」トポロジカル絶縁体(β相)へと室温付近で相転移を生じる優れた機能性を持つことが分かった。

研究内容と成果

本研究では擬一次元の結晶構造を有するβ-Bi4I4について、放射光を用いたナノ顕微・角度分解光電子分光[用語5]装置を利用することで、「弱い」トポロジカル絶縁体の表面電子状態を直接観測しました。ナノ顕微・角度分解光電子分光装置は、試料に照射する光を極限まで集光することで達せられる数100 nmの空間分解能を武器に、薄い試料で制約を受ける微小側面に対しても、その電子状態を直接観測することを可能にします。

実験の結果、結晶の上面の電子状態は通常の絶縁体と同じである一方で、結晶側面のみにトポロジカル絶縁体としての性質が現れていることを発見しました(図2参照)。これは、最先端のナノ顕微分光測定だからこそ可能となった、世界初となる「弱い」トポロジカル絶縁体の観測結果です。さらに、「弱い」トポロジカル絶縁体では、トポロジカル表面電子状態が結晶側面に閉じ込められた結果、指向性が極めて高いスピン流が流れていることが明らかになりました。これまで見つかっていた「強い」トポロジカル絶縁体では、スピン流が結晶表面を放射状に流れ、拡散されるスピン状態の散逸も強く、効率よくスピン流を取り出すことができません。しかし、「弱い」トポロジカル絶縁体の側面では、スピンを担う電子の質量がゼロで移動度が極めて高い(つまり超高速である)ことはもとより、超指向性を持ち、散乱も受けないほぼ無散逸なスピン流が流れています(図1参照)。併せて本研究グループは、室温付近で結晶の冷却速度を制御することで、「弱い」トポロジカル絶縁体のβ-Bi4I4が、通常の絶縁体であるα-Bi4I4に構造相転移して、スピン流のON/OFF制御が可能であることも実証しました。これまでに、冷却速度制御による構造相転移、すなわちON/OFFの現象はDVDの可逆的な書き込み原理として一般的に利用されてきました。本研究の発見は、トポロジカル相を用いた情報の書き込みを同様の原理で行うディスク媒体の実現可能性を示すと共に、理想的スピン伝導を用いるスピン注入メモリの制御技術への礎となります。

本研究成果は、トポロジカル物理学の黎明期からの未解決問題(「弱い」トポロジカル絶縁体は実在するのか?)を解決したことで、自然科学の学理開拓へ多大な貢献を成しただけでなく、超高速・超指向性・完全無散逸の3拍子がそろった理想スピン流の創発と制御を実証しており、将来のスピントロニクスデバイスの開発に向けて極めて重要です。

ナノ顕微・角度分解光電子分光測定の概略と、β-Bi4I4で実現している電子状態。
図2.
ナノ顕微・角度分解光電子分光測定の概略と、β-Bi4I4で実現している電子状態。上面は通常の絶縁体と同じく電気を流さない電子状態であるのに対して、側面ではトポロジカル状態が出現し、電気を流す電子状態になっている。トポロジカル電子状態にある側面では、超高速で、指向性が強く、散乱されにくいスピン流が生成されていることが理論および実験から示された。

今後の展望

本研究は、世界初となる「弱い」トポロジカル絶縁体の実証、および従来から知られる「強い」トポロジカル絶縁体を凌駕する機能性を示しました。材料科学分野で最も進展の著しいトポロジカル物性物理において、発見が遅れた「弱い」トポロジカル絶縁体の検証はこれからであり、その潜在能力はまだまだ未知数だと言えます。今後、他のトポロジカル絶縁体では実現しない新奇な性質を理論・実験の両面から見つけ出す研究が進展して行くことが考えられます。さらに、「弱い」トポロジカル絶縁体のキャリア制御や微細加工を行うことによって、新たなスピン流デバイスの開発につながることが期待されます。

なお、本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究 (CREST) 「二次元機能性原子・分子薄膜の創製と利用に資する基盤技術の創出」研究領域 (研究総括:黒部 篤) における研究課題「トポロジカル量子計算の基盤技術構築」課題番号 JPMJCR16F2 (研究代表者:笹川 崇男) の一環として行われました。

用語説明

[用語1] トポロジカル絶縁体 : 結晶中の電子状態の非自明なトポロジーを反映して、結晶の中身は電気を通さない絶縁体であるが、表面のみ電気を通す金属となる特殊な物質のこと。

[用語2] スピン流 : 電子は電荷に加えてスピン角運動量を持っている。電流は電荷が流れている状態であるが、同様にスピン角運動量が流れている状態をスピン流と呼ぶ。

[用語3] スピントロニクス : 現代社会の基礎となっているエレクトロニクスでは、電子の「電荷」の性質しか利用できない。一方で、電子の持っている「電荷」「スピン」の両方の性質を活用する次世代の省エネ技術がスピントロニクスである。スピントロニクスは、高性能なハードディスクなどに応用されており、私たちの生活にとって身近な存在になりつつある。

[用語4] 擬一次元 : 実際に作成可能な範囲で、理想的な一次元物質に限りなく近づけた物質を擬一次元物質という。

[用語5] ナノ顕微・角度分解光電子分光 : 角度分解光電子分光とは、物質に光を照射して外に飛び出す電子(光電子)を分析することで、物質内の電子状態を調べる実験手法。光電子の運動エネルギー、および脱出角度を分析することで、固体中の電子の運動量とエネルギーの関係を直接的に調べることができる。ナノ顕微・角度分解光電子分光装置では、照射する光をナノサイズ(1 ㎛以下)にすることで、微小な物質でも測定が可能となっている。

論文情報

掲載誌 :
Nature」2019年
論文タイトル :
A weak topological insulator state in quasi-one-dimensional bismuth iodide
著者 :
R. Noguchi, T. Takahashi, K. Kuroda, M. Ochi, T. Shirasawa, M. Sakano, C. Bareille, M. Nakayama, M. D. Watson, K. Yaji, A. Harasawa, H. Iwasawa, P. Dudin, T. K. Kim, M. Hoesch, V. Kandyba, A. Giampietri, A. Barinov, S. Shin, R. Arita, T. Sasagawa*, and Takeshi Kondo* (* 責任著者)
DOI :

お問い合わせ先

東京大学 物性研究所

准教授 近藤猛

E-mail : kondo1215@issp.u-tokyo.ac.jp
Tel : 04-7136-3370

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所

准教授 笹川崇男

E-mail : sasagawa.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5366

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


東京工業大学 社会人アカデミー 2019年度 開催講座 理工系一般プログラム 「環境科学」「環境工学リサイクルコース」「環境工学エネルギーコース」「食の安全と安心」

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東京工業大学社会人アカデミーは、例年4月~8月に一般の方を対象にした講座「理工系一般プログラム」を開催しています。2019年度は、「環境科学」、「環境工学リサイクル」、「環境工学エネルギー」、「食の安全と安心」の4コースを開講いたします。理工系一般プログラムは、私たちを取り巻く生活環境に焦点を当て、受講者自身で問題と解決策について考えていただく位置づけで実施しています。

各コースとも大学・大学院レベルの講義内容となっており、一般社会人向けのプログラムですが、受講の動機が明確であれば、年齢等の受講資格は問いません。幅広い方々のお申込みをお待ちしております。

各コースへのお申込み方法等は社会人アカデミーのウェブサイトouterをご覧ください。

日時
2019年4月17日(水) - 8月9日(金)
場所

各コースの概要

環境科学(コースレベル:初・中級)

環境科学 パンフレット

“環境”の研究・教育を重ねてきた大学・研究機関のスペシャリストが講義を担当。文科系や一般市民にもわかりやすい内容で構成されています。地球環境問題についてきちんと学習したい方、環境保全活動等へ参加するにあたり基本的な知識を得たい方、地球環境に関連する科目を専攻する予定で、具体的な学習内容をイメージしたい高校生におすすめの講座です。

受講期間:2019年4月20日 - 6月22日(毎週土曜日)

環境科学(コースレベル:初・中級)パンフレットのダウンロードPDF

食の安全と安心(コースレベル:基礎)

食の安全と安心 パンフレット

わかりやすさ、丁寧な指導で定評のある講師が、食の安全確保について基礎から講義を行います。食品に潜む危険や問題、その対応策を知っておく必要がある方、食品の善し悪しがきちんと判断できる賢い消費者になりたい方におすすめの講座です。

受講期間:2019年4月17日 - 7月31日(毎週水曜日)

食の安全と安心(コースレベル:基礎)パンフレットのダウンロードPDF

環境工学リサイクル・エネルギー(コースレベル:中級)

エンジニアを長く経験した講師が、地球環境に大きな影響を与えるエネルギーのシステムや問題点、解決策を紹介します。“廃棄物処理” 、“リサイクル” 、“エネルギー”の知識を習得する必要がある方、上記キーワードに関連した学習をしたい方におすすめの講座です。

環境工学(1)リサイクルコース パンフレット

環境工学(2)エネルギーコース パンフレット

環境工学(1)リサイクル受講期間:2019年4月19日 - 6月14日(毎週金曜日)

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環境工学(2)エネルギー受講期間:2019年6月21日 - 8月9日(毎週金曜日)

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問い合わせ先

東京工業大学社会人アカデミー事務室

E-mail : jim@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8867

土山絢子さんがストックホルム国際青年科学セミナーでノーベル賞授賞式等に参加

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理学部 地球惑星科学科の土山絢子さん(学士課程4年)が、公益財団法人 国際科学技術財団による選考を経て、「ストックホルム国際青年科学セミナー(以下、SIYSS)」の日本代表として、2018年ノーベル賞授賞式等に参加しました。

世界各国から派遣された若手科学者。前列、水色の着物が土山さん(国際科学技術財団提供)

世界各国から派遣された若手科学者。前列、水色の着物が土山さん(国際科学技術財団提供)

土山さんは12月4日に日本を出発し、12月12日に帰国するまで様々なプログラムに参加しました。

若手科学者向けのプログラムとして、ストックホルムの高校生約300名を聴衆とするSIYSSセミナーが開催され、土山さんは地震学の研究について発表し、高校生との活発な質疑応答が行われました。

世界の震源地図を見せながらプレゼンテーションをする土山さん(国際科学技術財団提供)

世界の震源地図を見せながらプレゼンテーションをする土山さん(国際科学技術財団提供)

また、翌日に行われた倫理セミナーでは、科学倫理に関する課題が与えられ、ディスカッションやディベートの機会が設けられました。

プログラムのハイライトであるノーベル賞関連イベントでは、ノーベル賞受賞者によるノーベルレクチャー、レセプション、授賞式等に出席し、ノーベル賞受賞者と直接交流ができる貴重な経験となりました。

土山さんは、2017年夏、東工大・アジア理工系学生派遣交流プログラム(Tokyo Tech-AYSEAS)への参加をきっかけに留学に興味を持ち、翌年春にはグローバル理工人育成コースの一環であるジョージア工科大学リーダーシッププログラムへ参加、そして今回のSIYSSに挑戦しました。

いずれも10日間前後の短期のプログラムでしたが、これらの経験を糧に2019年秋、派遣交換留学に出発予定です。

土山さんのコメント

今回の派遣を通して一番印象に残っているのは、SIYSSセミナーです。自分の研究分野である地震学を、専門知識がなく、また地震を経験したことのないスウェーデンの高校生にどのようにわかりやすく伝えるか、ということが課題でした。

プレゼンテーションでは、「世界のどこで地震が発生しているか」「深発地震とは何か」など基本的な話題を中心に説明し、その後のポスター発表で自身の研究発表等を行いました。プレゼンテーション後の質疑応答では多くの質問を受け、英語で回答することに苦労しながらも、会場を盛り上げることができました。

普段参加しているセミナーや学会とは全く異なる視点からの質問が多く、より多くの人に研究を理解してもらうことの難しさを感じると同時に、理解してもらえた時の達成感も得ることができました。

ポスター発表の様子(国際科学技術財団提供)

ポスター発表の様子(国際科学技術財団提供)

ノーベル賞関連行事では、ノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の本庶佑先生のノーベルレクチャーが印象に残りました。長年の基礎研究の成果を発信し、世界を舞台に賞賛を受ける先生の姿に、同じ日本人としての誇りを感じ、研究者としての憧れを抱きました。

SIYSSに参加する上で一番大切なことは、「自身の研究に誇りを持って取り組むこと」だと思います。世界中から若手科学者が集う場所では、研究への熱意と専門性が武器となります。専門性がはっきりしていれば、他の分野との共通点も見つけやすく、ノーベル賞受賞者や世界中の若手科学者との交流がより充実することは間違いありません。

これまで数多くの著名な研究者を輩出してきた専門性の高い東工大の学生として、このSIYSSに応募・参加する意義があると私は思います。

SIYSSとは

SIYSSは、スウェーデン青年科学者連盟が毎年ノーベル賞週間に合わせてストックホルムで開催するセミナーで、世界各国から派遣された若手科学者がノーベル賞授賞式などの諸行事に参加するほか、自身の研究発表を行います。若手科学者の国際交流の場として、参加者の科学に対するモラルの向上や熱意の高揚につながっています。

今回は19ヶ国から25名が参加しました。

国際科学技術財団から毎年2名の学生(大学生・大学院生)が日本代表としてSIYSSに派遣され、2018年は本学の土山さんがそのうちの1名に選出されました。1987年以降、本学からの派遣学生は計9名となりました。

第13回四大学連合文化講演会を開催

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開会あいさつを行う東工大の益学長
開会あいさつを行う東工大の益学長

11月22日に一橋大学一橋講堂(東京都千代田区)において、「第13回四大学連合文化講演会」を開催しました。

四大学連合は、それぞれ異なる特色と強みを持つ、東京工業大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、一橋大学の4大学が連携することによって、これまでの高等教育で達成できなかった新しい人材の育成と、学際領域、複合領域の研究教育の更なる推進を図ることを目的として2001年3月に結成されました。

四大学連合のアウトリーチ活動として、四大学連合の8研究所が主体となり、「環境・社会・人間における『安心・安全』を探る-安全で安心の出来る社会-」をテーマに、一般の方にもわかりやすく最新の学術研究を紹介する文化講演会を毎年開催しています。

講演する東工大 先導原子力研究所の竹下所長
講演する東工大 先導原子力研究所の竹下所長

第13回を迎える今回は、東工大の益一哉学長が開会のあいさつを行った後、4大学を代表する4名の研究者が、科学技術、医療、政治、社会、経済など、さまざまな視点からの講演を行いました。本学からは、科学技術創成研究院 先導原子力研究所の竹下健二所長が、「福島第一原子力発電所事故で発生した汚染土壌の浄化技術」と題して、福島の早期復興を環境の視点から考える汚染土壌処理・処分に関する研究動向を紹介しました。講演者4名の動画は、四大学連合ウェブサイトouterからご覧いただけます。

平日の午後にもかかわらず、30歳代~70歳代の幅広い年代の260名の方に参加いただき、参加者からは「四大学それぞれの特色を生かした研究成果を知ることができ、大変参考になりました」などの声が寄せられました。

第14回四大学連合文化講演会は、2019年11月1日(金)に東京医科歯科大学 鈴木章夫記念講堂(東京都文京区)で開催する予定です。

お問い合わせ先

研究院支援課研究院事務第1グループ

E-mail : ken.jim1@jim.titech.ac.jp

Tel : 045-924-5734

35億年前の地球に、生命繁栄の証拠を確認 堆積物中に残る最古の生命活動の記録を実験的に解読

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要点

  • 約35億年前の太古代地球に硫酸塩還元細菌が広く繁栄していたことが判明
  • 代謝経路に働く酵素によって生じる硫黄安定同位体分別を実験的に再現
  • 地球化学に細胞の代謝酵素という異分野の知識を融合することで実現

概要

東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)のショウン・エリン・マックグリン(Shawn E. McGlynn)准教授、ソウル大学校 地球環境科学部のミン・スブ・シム(Min Sub Sim)助教、北海道大学 低温科学研究所の緒方英明特任准教授らの研究グループは、約35億年前の太古代の地球に硫酸塩還元[用語1]細菌が広く繁栄していたことを突き止めた。硫酸塩を代謝して呼吸[用語2]を行う硫酸塩還元細菌の代謝経路に働く酵素によって生じる硫黄安定同位体分別を実験的に再現して解明した。

現生の硫酸塩還元細菌を培養し、細菌の代謝に起因する硫黄安定同位体分別を、太古代の海底堆積物に記録された硫黄安定同位体分別と比較することで、太古代の硫酸塩還元細菌が硫酸塩をどの程度代謝していたか、細菌の細胞内で代謝速度がどのように制御されていたかを確認した。

これにより、太古代には硫酸塩還元細菌が広く繁栄していたことが初めて明らかになった。また地球化学に細胞の代謝酵素という異分野の知識を融合することで、太古代の地球環境を理解するための指標を得ることができた。

35億年前の地球は無酸素環境だったが、既に生命が存在し、その一部が硫酸塩還元細菌だったことは以前から知られていた。しかし硫酸塩還元細菌が当時の環境下でどの程度成功した生物であったのか、どのような生命活動を行っていたのかは謎だった。

研究成果は1月9日発行の英国の国際学術誌「Nature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)」電子版に掲載された。

研究の背景

生命はいつ、どのように誕生し、この地球でどのように生きてきたのだろうか。例えば恐竜のように大型で現在に比較的近い時代に生きた生物なら、化石を発見することで姿や生活の様子を知ることができる。

しかし、今から約40億~25億年前、太古代と呼ばれる時代に存在したとされるごく最初期の生命は、わずか1個の細胞からなる単細胞生物であったため、化石が得られることは非常に稀である。この時代に生物が存在したことを確認し、活動の様子を推定する手掛かりとなるのが、当時の海底堆積物に残された安定同位体である。

同位体とは、同じ元素でありながら中性子の数が異なる原子をいう。水素を除くすべての原子は原子核の中に陽子と中性子の2種類の粒子を持っており(水素原子は通常、中性子を持っていない)、陽子の数によって原子の種類が決まっている。例えば炭素原子なら陽子の数は必ず6個、酸素原子なら8個である。

しかし中性子の数は同じ種類の原子の中でも必ずしも一定とは限らない。例えば炭素原子では多くの場合、中性子の数は陽子と同じ6個だが、中性子を7個持つ原子、8個持つ原子も一部存在する。陽子の数は同じだが中性子の数の異なる原子を同位体という。陽子と中性子の数の和を質量数といい、中性子を6個持つ炭素原子の質量数は12、中性子7個なら13である。これらはそれぞれ炭素の原子記号Cと合わせて12C、13Cのように表される。

同位体の多くは不安定であり、短いものでは1秒以下の寿命しか持たずに崩壊して別の原子に変化する。しかし一部は安定で、変化することなく環境中に残り続ける。炭素の場合、12Cと13Cが安定同位体である。

自然界における安定同位体の比率は元素ごとにほぼ一定である。しかし、中性子の多い同位体は少ない同位体と比べて中性子の数の分だけ重いため、中性子の少ない同位体と比べて微生物の体に取り込まれにくい傾向がある。このため、生命活動によって生成された物質には、生命活動に使用されなかった物質と比べ、軽い同位体が含まれている可能性が高くなる。このように何らかの理由によって、安定同位体の比率が通常の状態から変化することを安定同位体分別と呼ぶ。

今回、研究の対象とした硫酸塩に含まれる硫黄原子には、32S、33S、34Sの3種類の安定同位体が存在する。太古代の堆積物の安定硫黄同位体比(34S/32S)は既に測定されているが、微生物の硫酸塩還元の結果として推定される硫黄同位体分別よりも、分別量がかなり小さいことが問題となっていた。

当時の硫酸塩還元細菌は、現生のものと比べて不活発だったのだろうか。当時の環境には十分な硫酸塩がなく、細菌は飢えていたのだろうか。研究グループは微生物による数段階の硫酸塩還元プロセス[用語3]のうち、ある特定の反応に関わる酵素(Apr=APS還元酵素、アデノシンホスホ硫酸レダクターゼ)に着目し、Aprによる硫黄同位体分別を堆積物のものと比較して、堆積物中の同位体分別量が小さい理由を推定した。

研究成果

酵素Aprによる同位体分別は、堆積物の同位体分別に酷似していた。さらに数値シミュレーションにより、硫酸塩の還元に必要な電子が環境中に充分供給されない場合、Aprによる還元反応の速度が低下することもわかった。硫酸塩から硫化物に至る代謝の過程で使用される酵素はAprの他にもあるが、堆積物のものと類似した同位体分別(物質によって同位体の比が変わること)を持つものはこれまで見つかっていなかった。また、Aprによる反応は硫酸塩の代謝速度全体を制御する重要な反応であるが、この反応による同位体分別はこれまで調べられていなかった。

以上の成果に基づき、研究グループは、Aprによる反応は硫酸塩還元の律速段階[用語4]であること、また、35億年前の堆積物中の硫黄同位体分別値とAprによる同位分別値が酷似していたことから、Aprによる還元反応に必要な電子を供給する電子ドナー[用語5]が環境中に充分存在し、太古代に硫酸塩還元細菌の還元反応が活発かつ安定的に行われていたと解釈した。

硫酸塩還元細菌は、エネルギー源となる硫酸塩の不足に苦しんでいたわけではなく、硫酸塩の代謝に必要な電子を豊富に確保して、広く繁栄していた可能性が高いことが推定できた。これは、微生物の細胞の中で行われる化学反応が、堆積物中に同位体比として記録されていることが数値的に確認できた初めてのケースである。

今後の展望

今回の研究では硫酸塩還元細菌という微生物の1グループの、1つの酵素について、同位体分別を測定した。しかし、同位体分別を起こす微生物種はこの1グループのみではない。太古代から現在に至るまでに登場した多くの微生物種について、生化学と堆積物記録を比較することで、微生物同士の生命活動の類似度や堆積物が堆積した当時の古環境を知ることができる。

グループの研究者の1人、東京工業大学のショウン・エリン・マックグリン准教授は、地球化学と生物学、さらにはシミュレーションを融合させたこの新しい研究分野を「進化的及び同位体的酵素学」と呼び、酵素反応の理解が地球史の解明に今後一層寄与することを期待している。

硫酸塩還元を行う単細胞微生物の顕微鏡写真(クレジット:Guy Perkins and Mark Ellisman, National Center for Microscopy and Imaging Research)
図1.
硫酸塩還元を行う単細胞微生物の顕微鏡写真(クレジット:Guy Perkins and Mark Ellisman, National Center for Microscopy and Imaging Research)
図2. 微生物による硫酸塩還元によって生じた硫化物を含む鉱物(黄鉄鉱(FeS2))(クレジット:ELSI 上野雄一郎)
図2.
微生物による硫酸塩還元によって生じた硫化物を含む鉱物(黄鉄鉱(FeS2))(クレジット:ELSI 上野雄一郎)

AprによるAPS中の硫黄原子の還元について説明するマックグリン准教授(クレジット:ELSI)

AprによるAPS中の硫黄原子の還元について説明するマックグリン准教授(クレジット:ELSI)

用語説明

[用語1] 還元 : 物質が水素、または電子を得る化学反応をいう。

[用語2] 呼吸 : 人類を含めた多くの生物は、糖を二酸化炭素に分解することで生命活動に必要なエネルギー(ATP)をつくり出している。この分解の過程では有機物から水素が分離され、その水素から電子が分離されて、酸素に渡される。電子の受容体としての酸素を体内に取り込み、糖の分解で生成された二酸化炭素を吐き出す過程が、酸素呼吸(好気呼吸)である。しかし、酸素が不十分、または全くない状態でも、一部の微生物などは、酸素以外の物質を電子受容体として呼吸を行うことができる。硫酸塩還元細菌は、硫酸塩の分解で生じる硫酸イオンを電子受容体として利用してエネルギーを生成し、硫化物(硫化水素など)を排出する。

[用語3] 硫酸塩還元プロセス : 硫酸塩とは、硫酸イオン(SO42-)を含む無機化合物である。硫酸イオンは安定性の高いイオンで、このままの状態では還元反応が起こりにくいため、代謝過程ではまずATPを使用して、硫酸イオンを反応性が高く高エネルギーを持つアデニリル硫酸(APS)に変化させる。APSはApr(APS還元酵素)により還元されて亜硫酸塩となり、亜硫酸塩は別の酵素で還元されて、硫化物イオン(S2-)となる。

[用語4] 律速段階 : いくつかの段階を経て進む化学反応で変化速度が最も遅い反応のこと。この反応速度で全体の反応速度が決まる。

[用語5] 電子ドナー : 硫酸塩の還元を充分に、かつ速やかに行うためには、豊富な電子が必要となる。海水中では水素などが電子ドナーとなり得るが、太古代の海水中には硫酸塩還元細菌の他にメタン生成菌や酢酸生成菌などの細菌が存在し、それらの細菌も代謝のための電子ドナーとして水素を必要としたと考えられている。堆積物の硫黄同位体分別がAprのものと類似していたことは、硫酸塩還元細菌が電子ドナーの獲得において他の細菌より優位に立っていたと解釈できる。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Role of APS reductase in biogeochemical sulfur isotope fractionation
著者 :
Min Sub Sim, Hideaki Ogata, Wolfgang Lubitz, Jess F. Adkins, Alex L. Sessions, Victoria J. Orphan & Shawn E. McGlynn
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 地球生命研究所 准教授

Shawn E. McGlynn(ショウン・エリン・マックグリン)

E-mail : mcglynn@elsi.jp

日本語でのお問い合わせ先

北海道大学 低温科学研究所 特任准教授

緒方英明

E-mail : hideaki.ogata@pop.lowtem.hokudai.ac.jp

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

「留学生と外資系企業のための交流会 Career Talk」開催報告

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1月24日、東工大大岡山キャンパスの百年記念館で「留学生と外資系企業のための交流会 Career Talk~New Information Exchange Event with Foreign Companies」が行われました。東工大イノベーション人材養成機構(IIDP)と学生支援センターキャリア支援部門が、独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)の協力を得て開催しました。

企業のブースで情報・意見交換を行う東工大留学生

企業のブースで情報・意見交換を行う東工大留学生

企業のブースで情報・意見交換を行う東工大留学生

企業のブースで情報・意見交換を行う東工大留学生

国内の外資系企業を対象とした「日本の投資環境に関するアンケート」(JETRO実施)によると、ビジネスを行ううえでの阻害要因として「人材確保の難しさ」が毎年上位に挙げられています。中でも、即戦力、特に外国語が堪能な理系人材の確保は大きな課題です。一方、日本で働きたい外国人留学生の就職率を引き上げることは、日本政府の政策課題にもなっています。留学生(グローバル人材)と外資系企業が接点を持ち、情報交換を通じて理解を深める機会は双方にメリットが大きいことから、約10年前から交流会を開催するようになりました。今回、内容・規模を更に発展させた形で初めてJETROとの共催で開催しました。

当日は、エリクソン・ジャパン(スウェーデン)、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(アメリカ)、マイクロン・メモリ・ジャパン(アメリカ)を始めとする28社がブースを構え、約3時間にわたって東工大留学生約250名と熱心に情報・意見交換を行いました。

参加した学生からは「今まで知らなかった外資系企業をたくさん知ることができました。インターンシップのきっかけにもなりそうです」「外資系企業と留学生に特化した交流会は珍しく、とても有意義でした」「企業のニーズや求める人材像をフェイス・トゥ・フェイスで聞くことができました」などの感想がありました。また企業からも「学生が知りたいことや学生の考えを聞く良い機会となりました」「ほとんどが理系のバックグラウンドを持つ学生だったので、大変有意義でした」「留学生の方がとても熱心でした」といった声が聞かれ、双方にとって満足度の高いイベントとなりました。

外資系企業の9割が理系人材を求めていると言われ、学生のアクセスが容易な大学内で交流会を開催した意義は大きいものがあります。また、2018年5月に「日本経済の発展と国際的に活躍する人材育成を目指した包括的連携推進協定」を締結した東工大とJETROの連携強化にもつながりました。

グローバル人材の育成がますます重要になる中、交流会の継続開催や、講義への外資系企業からの講師派遣などでJETROの協力を得ながら、留学生を一層、支援していきます。

お問い合わせ先

イノベーション人材養成機構(IIDP)

E-mail : iidpinfo@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7615(内線:7615)

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