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舞踏研究部が国公立大学学生競技ダンス選手権大会で団体優勝

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2月3日に東京都調布市の電気通信大学調布キャンパスで開催された第106回冬国公立大学学生競技ダンス選手権大会(東部日本学生競技ダンス連盟主催)において、本学舞踏研究部が団体の部において19校中見事優勝を果たしました。

個人の部においては、同部から出場した30組のうち18組が入賞し、そのうち14組が決勝進出を果たしました。

競技ダンスとは

男女がペアになって踊る社交ダンスとほぼ同じものですが、社交ダンスが社交を目的としているダンスであるのに対し、競技ダンスは競技会にて技術や表現を競うことを目的としています。

学生の競技ダンスには、大きく3つの部門があり、全部で9種目のダンスがあります。

スタンダード

男女が組んで踊ります。

  • ワルツ
  • タンゴ
  • スローフォックストロット
  • クイックステップ

ラテンアメリカン

基本的に男女が離れて踊ります。

  • チャチャチャ
  • サンバ
  • ルンバ
  • パソドブレ

フォーメーション

4~8組が2~4種目のメドレーで隊列を構成しながら踊ります。

今回の国公立大会では開催されません。

東工大 舞踏研究部について

東京工業大学舞踏研究部は、学生競技ダンス連盟に所属している大学公認のサークルです。共同加盟校である白百合女子大学と杉野服飾大学と共に活動しています。部員数は、東工大生:19人 白百合女子大生:12人 杉野服飾大生:6人(2019年2月現在)です。

競技会にむけて日々練習に励んでいます。

東工大 舞踏研究部

今大会の入賞者

今回の国公立大学選手権の東工大チームの入賞者をご紹介します。

スタンダード

石井智(情報理工学院 数理・計算科学系 学士課程3年)・榮みなみ(白百合女子大学)組
ワルツ2~3年生の部 12位入賞
石井智(情報理工学院 数理・計算科学系 学士課程3年)
・榮みなみ(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

田中駿介(生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年)・伊東美結(白百合女子大学)組
タンゴ2~3年生の部 9位入賞
スローフォックストロット2~3年生の部 12位入賞
クイックステップ2~3年生の部 9位入賞

田中駿介(生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年)
・伊東美結(白百合女子大学)組
(写真提供/石塚琴音)

鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・吉村舞夏(第7類 学士課程1年)組
タンゴ1年生の部 準優勝
鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・吉村舞夏(第7類 学士課程1年)組
(写真提供/河内春香)

渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・小此木葵衣(第7類 学士課程1年)組
タンゴ1年生の部 4位入賞
渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・小此木葵衣(第7類 学士課程1年)組
(写真提供/河内春香)

アンジュンソク(第4類 学士課程1年)・松本奈々花(杉野服飾大学)組
タンゴ1年生の部 5位入賞
アンジュンソク(第4類 学士課程1年)・松本奈々花(杉野服飾大学)組
(写真提供/河内春香)

杉村峻也(第2類 学士課程1年)・林娟(杉野服飾大学)組
タンゴ1年生の部 8位入賞
杉村峻也(第2類 学士課程1年)・林娟(杉野服飾大学)組
(写真提供/河内春香)

渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・松本奈々花(杉野服飾大学)組
スローフォックストロット1年生の部 優勝
渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・松本奈々花(杉野服飾大学)組
(写真提供/河内春香)

鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・尻石夏美(杉野服飾大学)組
スローフォックストロット1年生の部 4位入賞
鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・尻石夏美(杉野服飾大学)組
(写真提供/河内春香)

杉村峻也(第2類 学士課程1年)・小倉万実(白百合女子大学)組
スローフォックストロット1年生の部 5位入賞
杉村峻也(第2類 学士課程1年)・小倉万実(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

アンジュンソク(第4類 学士課程1年)・中川真綾(白百合女子大学)組
スローフォックストロット1年生の部 8位入賞
アンジュンソク(第4類 学士課程1年)・中川真綾(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

ラテンアメリカン

佐藤大樹(環境・社会理工学院 融合理工学系 学士課程3年)・川合真桜子(東京音楽大学)組
チャチャチャ2~3年生の部 準優勝
サンバ2~3年生の部 優勝
ルンバ2~3年生の部 優勝
パソドブレ2~3年生の部 準優勝

佐藤大樹(環境・社会理工学院 融合理工学系 学士課程3年)
・川合真桜子(東京音楽大学)組
(写真提供/石塚琴音)

金子和夢(理学院 地球惑星科学系 学士課程3年)・町田茉菜美(白百合女子大学)組
チャチャチャ2~3年生の部 5位入賞
サンバ2~3年生の部 8位入賞
ルンバ2~3年生の部 5位入賞
パソドブレ2~3年生の部 8位入賞

金子和夢(理学院 地球惑星科学系 学士課程3年)
・町田茉菜美(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・小此木葵衣(第7類 学士課程1年)組
サンバ1年生の部 3位入賞
鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・小此木葵衣(第7類 学士課程1年)組
(写真提供/河内春香)

杉村峻也(第2類 学士課程1年)・藤村凪沙(白百合女子大学)組
サンバ1年生の部 4位入賞
杉村峻也(第2類 学士課程1年)・藤村凪沙(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・吉村舞夏(第7類 学士課程1年)組
サンバ1年生の部 5位入賞
渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・吉村舞夏(第7類 学士課程1年)組
(写真提供/河内春香)

杉村峻也(第2類 学士課程1年)・阿尻向日葵(白百合女子大学)組
パソドブレ1年生の部 準優勝
杉村峻也(第2類 学士課程1年)・阿尻向日葵(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・藤村凪沙(白百合女子大学)組
パソドブレ1年生の部 3位入賞
鈴木晟仁(第6類 学士課程1年)・藤村凪沙(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・中川真綾(白百合女子大学)組
パソドブレ1年生の部 4位入賞
渡辺晴紀(第2類 学士課程1年)・中川真綾(白百合女子大学)組
(写真提供/河内春香)

代表 石井智さん(情報理工学院 数理・計算科学系 学士課程3年)からのコメント

今大会では1年生を中心に、非常に多くの部員が結果を残すことができて、大変嬉しく思っております。

部員の日々の努力や応援してくださる卒業生の方々のサポートがあっての結果だと思っております。

僕自身、計算機科学を日頃から学んでおりまして、その中でダンススポーツと関連づけながら文武両道で頑張っているところです。

今後もこの調子で練習に励んでいき、今後の活躍につなげたいと思います。

東工大基金

舞踏研究部の活動は東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

東京工業大学 舞踏研究部

E-mail : tsubame.buken@gmail.com


動画で見る「東京工業大学 Tokyo Tech - Lead the future」

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東京工業大学は、本学で学びたい・研究したいと考えている方に向けて、PR動画「東京工業大学 Tokyo Tech - Lead the future(リード・ザ・フューチャー)」を公開しました。

東工大では1人1人が多様性を認め合い、それぞれの可能性を掛け合わせながら、その中から生まれる自由な発想を尊重しています。

誰も見たことのない未来をつくりだそうとあくなき挑戦を続けている東工大の姿と、キャンパスやサークルでの東工大生の様子を紹介していますので、ぜひご覧ください。

東京工業大学Tokyo Tech - Lead the future (30秒版)

東京工業大学Tokyo Tech - Lead the future (2分版)

横浜銀行と地域経済活性化に向けた包括連携協定を締結

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東京工業大学は、横浜銀行と相互の人的・知的資源の交流を図り、幅広い分野での連携・協力を通じて地域の諸課題解決に資することを目的とした包括連携協定を3月6日に締結しました。

協定書を囲む横浜銀行の大矢恭好代表取締役頭取(左)と本学の益一哉学長(右)

協定書を囲む横浜銀行の大矢恭好代表取締役頭取(左)と本学の益一哉学長(右)

協定締結に至った経緯

本学は、研究戦略企画・実施機能と産学連携機能を強力に束ねて実施するため、2017年に研究・産学連携本部を新たに設置しました。大学で生み出される知的財産の権利化・ライセンシングを十分に継続しつつ、それらの更なる積極的な活用に向けたベンチャー企業の創出や地域との連携を強化し、国・地域における経済の持続的な成長・活性化への貢献を図っています。

国内企業の99.7%を中小企業が占め、その中には優れた技術を持つ企業や、大企業では進出の難しいニッチな市場を開拓する企業も多数存在しています。京浜地域に特に強いネットワークを持つ横浜銀行と、世界最先端の技術、研究成果を有する本学が連携・協力することは、地域企業の技術力を高め、ひいては国・地域における経済の成長・活性化を促し、国際競争力の強化に大きく寄与できるものと期待されます。

そうした高い理念を実現すべく、双方が協力することを確認し、今回の協定締結に至りました。この理念を具体的に推進していくために、まずは、近日中に、横浜銀行から共同研究員を本学に受入れ、共同研究を開始する予定です。

主な連携内容

本年の予定

共同研究・共同研究員の受入れ

横浜銀行のネットワークを活用し、本学の技術シーズ・知的財産(特許)と地域ニーズのマッチング支援を実践し、地域産業のオープンイノベーションを加速させる方策に係る実証研究を、横浜銀行と共同で実施します。そのため、近日中に、横浜銀行の行員を共同研究員として、研究・産学連携本部(知的財産部門)に受け入れる予定です。

知的財産マッチング会(仮)

地域産業活性化を目指し、本学が保有する特許等の知的財産を、地域の中小企業等に紹介し、企業の製品開発や技術力の高度化、高付加価値化を支援します。

日時 : 2019年6月27日(木)(予定)

場所 : 東京工業大学 大岡山キャンパス 東工大蔵前会館 くらまえホール(予定)

包括連携事項

1.
東京工業大学のシーズ及び横浜銀行取引先のニーズとのマッチング支援
2.
東京工業大学及び横浜銀行に関係するベンチャー企業への支援
3.
横浜銀行の取引先への共同・委託研究など
4.
横浜銀行の取引先への学術・技術指導
5.
地域経済の持続的な成長・活性化
6.
その他本協定の目的達成に資すること

スキーム図

お問い合わせ先

東京工業大学 研究・産学連携本部

E-mail : venture@sangaku.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2445

平成30年度手島精一記念研究賞 授与式を挙行

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2月21日、大岡山キャンパス東工大蔵前会館くらまえホールで、手島精一記念研究賞の授与式が行われました。授与式には各賞受賞者のほか、本学関係者、本学同窓会組織である一般社団法人蔵前工業会の理事長および事務局長、元手島工業教育資金団役員が出席しました。

手島精一先生は、東京工業大学の前身である東京工業学校および東京高等工業学校の校長として25年有余にわたり工業教育に努め、日本の工業教育の進展のために多大な貢献を果たされました。手島先生が1917年に退官された際、先生の功績を称えるため、当時の政界、財界、教育界の諸名士が発起人となって募金が行われ、「手島精一記念研究賞」が設けられました。創設以来、本学関係者および本学大学院学生の研究を奨励し、多くの優れた業績の栄誉を称えています。

今年度は、研究論文賞、博士論文賞、留学生研究賞、発明賞、若手研究賞(藤野・中村賞)および著述賞の6つの賞を受賞した28件・計60名が、益一哉学長から賞状と副賞を授与されました。

授与式に引き続いて、ロイアルブルーホールで受賞者を囲んで祝賀会が行われ、出席者全員和やかな雰囲気のうちに閉会しました。

受賞者と出席者の記念撮影

受賞者と出席者の記念撮影

2018年度受賞者

今年度の受賞者は、以下のとおりです。(敬称略)

研究論文賞(3件 計28名)

  • 茶谷 悠平(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 特任助教)
  • 丹羽 達也(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 助教)
  • 和泉 貴士(ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社)
  • 菅田 信幸(生命理工学院 大学院生)
  • 長尾 翌手可(東京大学 大学院工学系研究科 助教)
  • 鈴木 勉(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
  • 千葉 志信(京都産業大学 総合生命科学部 准教授)
  • 伊藤 維昭(京都産業大学 総合生命科学部 名誉教授)
  • 田口 英樹(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 教授)
  • 「新生ポリペプチド鎖により誘起されるリボソーム不安定化の発見とその生理的意義」
    (Molecular Cell 68, 528-539, November 2, 2017)

  • 岩田 哲郎(技術部バイオ部門 技術職員)
  • 新村 芳人(東京大学 大学院農学生命科学研究科 特任准教授)
  • 小林 千鶴(生命理工学院 大学院生)
  • 白川 大地(生命理工学院 大学院生)
  • 鈴木 彦有(株式会社日本バイオデータ)
  • 榎本 孝幸(生命理工学院 博士研究員)
  • 東原 和成(東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授)
  • 吉原 良浩(理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー)
  • 廣田 順二(バイオ研究基盤支援総合センター 准教授)
  • “A long-range cis-regulatory element for class I odorant receptor genes”
    (NATURE COMMUNICATIONS 8:885 DOI:10.1038/s41467-017-00870-4)

  • Abdul-Hackam Ranneh (武田薬品工業株式会社)
  • 武元 宏泰(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教)
  • 左久間 隼矢(住友ゴム工業株式会社)
  • Aziz Awaad(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 博士研究員)
  • 野本 貴大(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教)
  • 持田 祐希(ナノ医療イノベーションセンター 主任研究員)
  • 松井 誠(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 特任助教)
  • 友田 敬士郎(JSR株式会社)
  • 内藤 瑞(東京大学 大学院医学系研究科 博士研究員)
  • 西山 伸宏(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授)
  • “An Ethylenediamine-based Switch to Render the Polyzwitterion Cationic at Tumorous pH for Effective Tumor Accumulation of Coated Nanomaterials”
    (Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 5057-5061)

博士論文賞(14名)

数学関係部門

  • 久野 恵理香(大阪大学 大学院理学研究科 助教)

“Investigating mapping class groups from the viewpoint of geometric group theory”

物理学関係部門

  • Sharankova Ralitsa(タフツ大学 研究員)

“Measurement of θ13 in reactor neutrino oscillation with the Double Chooz near and far detectors”

化学関係部門

  • 松並 明日香(AGC株式会社)

「含フッ素スルホニルジアミン配位子を有するヒドリドイリジウム錯体の反応性と水素移動型水素化脱フッ素化反応の開発」

  • 家高 佑輔(東京理科大学 助教)

「分子間相互作用の変調に基づく結晶性セルロース集合体の構造制御と機能材料への展開」

生命理工学関係部門

  • 持田 啓佑(生命理工学院 日本学術振興会特別研究員)

「出芽酵母における小胞体と核の選択的オートファジーの研究」

材料工学関係部門

  • 高橋 俊介(日野自動車株式会社)

「急温度勾配下の熱伝導率に基づいた鋼の連続鋳造用結晶化モールドフラックスによる緩冷却機構」

応用化学関係部門

  • 岸本 史直(東京大学 日本学術振興会特別研究員SPD)

「半導体へテロ構造の精密設計とマイクロ波照射による人工光合成系の反応ダイナミクス制御」

  • 戸田 達朗(旭化成株式会社 化学・プロセス研究所)

「複数のプロトン応答部位を有するピンサー型錯体の構造修飾と二核化」

機械工学関係部門

  • 長澤 剛(工学院 助教)

“Reaction Kinetics and Dynamics on Solid Oxide Fuel Cell Porous Electrodes through Species Territory Adsorption Model and Active Sites Imaging”

電気・電子工学関係部門

  • 井上 大輔(住友電気工業株式会社 研究員)

“GaInAsP/InP Membrane Integrated Lasers for On-chip Optical Interconnection”

  • 鈴木 大地(理化学研究所 基礎科学特別研究員)

“A Study on a Flexible Terahertz Camera for Omnidirectional Nondestructive Inspections”

情報学関係部門

  • 石田 愛(産業技術総合研究所)

“Studies on Group Signature(グループ署名に関する種々の研究)”

エネルギー関係部門

  • 西村 昂人(立命館大学 助教)

“Study of Heterojunction Interface of High-efficient Cu(In,Ga)Se₂ solar cells”

その他境界領域的な研究部門

  • 山田 直生(東京大学 大学院工学系研究科 日本学術振興会特別研究員PD)

“Development of Glutamine-Functionalized Polymers with Tumor-Selective Interaction Capacity by Sensing Dense Glutaminolysis-Related Transporters”

留学生研究賞(4名)

  • 葛 乾(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 研究員)

“A macroscopic dynamic network loading model for multi-reservoir System”

  • 韓 冬(科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 特任助教)

“Study on the Optimization of MEMS Fabrication for ECF (Electro-conjugate Fluid) Micropumps and Its Application to Soft Robots”

  • 王 洋(物質理工学院 材料系 博士研究員)

“High-Performance n-Channel Organic Transistors Using High-Molecular-Weight Electron-Deficient Copolymers and Amine-Tailed Self-Assembled Monolayers”

  • 王 蕾(株式会社東芝)

“Three-dimensional fingering structure of gravitationally unstable convection between miscible fluids in a porous medium (多孔質内における混和性流体の重力不安定対流の三次元フィンガー構造)”

発明賞(2件 計3名)

  • 小宮 健(情報理工学院 情報工学系 助教)

「標的核酸の検出方法及びキット」

  • 中原 啓貴(工学院 情報通信系 准教授)
  • 米川 晴義(ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社)

「ニューラルネットワーク回路装置、ニューラルネットワーク、ニューラルネットワーク処理方法およびニューラルネットワークの実行プログラム」

若手研究賞(藤野・中村賞)(2件 計2名)

  • 安藤 吉勇(理学院 化学系 助教)

「キノン類の酸化還元能を活用した新規分子変換法の開発と高次構造天然物の全合成への展開」

  • 河野 行雄(科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授)

「テラヘルツ帯フレキシブルカメラの創出と全方位検査への応用展開」

著述賞(3件 計9名)

  • 池上 彰(リベラルアーツ研究教育院 特命教授)
  • 岩崎 博史(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 教授)
  • 田口 英樹(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 教授)

『池上彰が聞いてわかった生命のしくみ 東工大で生命科学を学ぶ』(朝日新聞出版社)

  • 井田 茂(地球生命研究所 教授)

『系外惑星と太陽系』(岩波書店)

  • 齊藤 滋規(環境・社会理工学院 融合理工学系 教授)
  • 坂本 啓(工学院 機械系 准教授)
  • 竹田 陽子(環境・社会理工学院 融合理工学系 特任教授)
  • 角 征典(環境・社会理工学院 融合理工学系 特任講師)
  • 大内 孝子(フリーランス・エディター)

『エンジニアのためのデザイン思考入門』(翔泳社)

受賞者を代表して挨拶する田口英樹教授(研究論文賞・著述賞)
受賞者を代表して挨拶する田口英樹教授(研究論文賞・著述賞)

益学長から賞状を授与される受賞者
益学長から賞状を授与される受賞者

授与式にて
授与式にて

授与式後、談笑しながら記念撮影する受賞者
授与式後、談笑しながら記念撮影する受賞者

お問い合わせ先

研究推進部研究企画課 手島記念担当

E-mail : tokodai.tejima@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3805

社会人アカデミー 開催講座 Institutional Research論 第1期 2019年5月~8月 第2期 2019年8月~12月開催

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大学IR(Institutional Research)は教学分野で遂行され、近年、多くの大学において大学の運営に関わるIRも求められるようになってきています。本講座では、IR実務者のスキルアップのためにIRの背景、基礎、応用を最先端のIR実務者による講義も含めた内容から学びます。

大学におけるIR実務に携わる皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

日時
2019年5月11日 - 12月7日(隔週土曜日)
場所
講師
  • 森雅生 教授(東京工業大学)
  • 白鳥成彦 教授(嘉悦大学)
  • 高田英一 准教授(神戸大学)
  • 杉原亨 准教授(関東学院大学)
  • 大石哲也 特任准教授(東京工業大学)
対象者
大学におけるIR実務者
受講料
98,000円(税込)
申込期間
第1期 : 2019年3月1日(金)~2019年4月19日(金)
第2期 : 2019年3月1日(金)~2019年7月20日(土)
申込方法

社会人アカデミーサイトouterより申込用紙をダウンロードし、メール添付で送付してください。

送付先

東京工業大学 社会人アカデミー事務室

Tel : 03-3454-8867 FAX : 03-3454-8762
E-mail : jim@academy.titech.ac.jp

詳細は下記チラシ及び関連リンク先の講座・プログラム案内ページをご覧ください。

Institutional Research論 チラシ

Institutional Research論 チラシ

お問い合わせ先

東京工業大学社会人アカデミー事務室

E-mail : jim@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8867 FAX : 03-5734-8722

世界最長10 mの超長尺多関節ロボットアームで、水平方向10 kg保持を達成 廃炉調査への利用可能性を2019年度中に検討予定

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NEDOと東京工業大学は、狭い場所に進入できる細くて長いロボットの開発に取り組み、世界最長となる全長10 mの超長尺多関節ロボットアームを2018年9月に開発し、今回、アーム手先で10 kgの物体を水平方向に保持できることを実証しました。

図1. アーム手先で10 kgの水平方向保持を実証
図1. アーム手先で10 kgの水平方向保持を実証

テコの原理が働くため、長いロボットアームが重量物を保持することは容易ではありません。そこで今回、複数の化学繊維ロープを関節の滑車に巻きかけ、荷重を分散して支えることによって、これを実現しました。今後は、水平方向の保持だけでなく、重量物の持ち上げや運搬の実現に向けた技術開発を進めていきます。

今回、重量物の保持を実証できたことで、橋梁・トンネルなどの大規模構造物のインフラ点検作業などへの応用が期待できます。また、2019年度に日本原子力研究開発機構の楢葉遠隔技術開発センター(福島県)で、廃炉調査への利用可能性を検討する予定です。

図2. 超長尺多関節ロボットアームの全体アーム全長10 m、直径20 cm、重量300 kg(アーム部50 kg、基部250 kg)
図2. 超長尺多関節ロボットアームの全体アーム全長10 m、
直径20 cm、重量300 kg(アーム部50 kg、基部250 kg)

図3. 超長尺多関節ロボットアームの横スペースへの屈曲
図3. 超長尺多関節ロボットアームの横スペースへの屈曲

概要

老朽化した橋梁や大規模構造物の点検は重要課題であり、特に人による作業が難しい場所でのロボットアームの応用は喫緊の課題です。

そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と国立大学法人東京工業大学は、狭い空間に進入できるような細くて長いロボットの研究開発※1に取り組み、アーム全長10 m、直径20 cm、重量300 kgで、可動域は最大高さ10 m、水平8 mの世界最長※2の超長尺多関節ロボットアームを2018年9月に開発しました。

そして今回、このロボットアームの手先で、10 kgの物体を水平方向に保持できることを実証しました。テコの原理が働くため、長いロボットアームが重量物を保持することは容易ではありません。そこで、複数の化学繊維ロープを関節の滑車に巻きかけ、荷重を分散して支えることによってこのロボットアームを実現しました。今後は、水平方向の保持だけでなく、重量物の持ち上げや運搬の実現に向けた技術開発を進めていきます。

このロボットアームは、細長い形状で多くの関節を持つことから、障害物の回避、狭い場所への進入や探査が可能です。今回、10 kgの重量物の保持を実証できたことで、橋梁・トンネルなどの大規模構造物のインフラ点検作業における目視・打音検査の自動化などへの応用が期待できます。

なお、アーム全長10 m、直径20 cm、保持10 kgというスペックは、ロボットアームが原子力発電所の原子炉格納容器中心部に到達し、各種調査機器を搬送するための目標値であり、実際の廃炉作業に関わる企業へのヒアリング結果として、東京工業大学が設定したものです。

また、2019年度には、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の楢葉遠隔技術開発センター(福島県)で、構造物が狭く入り組んでいる廃炉現場を模した環境において、アーム手先の位置決め精度を測定し、アーム手先に取り付けたカメラによる目視や、各種センサーを用いた調査作業への利用可能性を検討する予定です。

本ロボットの最新の研究成果については、3月14日、15日に富山県黒部市で開催される第24回ロボティクスシンポジアouterで東京工業大学が発表します。

※1

研究開発

事業名 : 次世代人工知能・ロボット中核技術開発/革新的ロボット要素技術分野/高強度化学繊維を用いた『超』腱駆動機構と制御法の研究開発

実施期間 : 2015年度~2019年度

※2

世界最長

地上用垂直多関節型マニピュレータとして。東京工業大学調べ(2019年3月13日現在)

今回の成果

ロープによる多関節駆動機構

図4. ロープによる干渉駆動の原理
図4. ロープによる干渉駆動の原理

ロープによる関節駆動機構は、重量物である駆動部を根本部分に集中して配置できるため、アーム本体を軽量化できる利点があります。各関節には自由に回転する滑車が取り付けられており、その滑車にロープが巻きかけられています。ロープ先端部をアームの手先に固定して根元を引っ張ると、手先関節に力(トルク)が発生しますが、同じ大きさのトルクが経由する全ての関節に発生します(図4)。この特性を利用すると、手先関節を動かすためのトルクも根元関節の駆動に利用できるため、根元部分で大きなトルクを発生させることができます。この機構(図5(a))に対し、今回新たに中心部分に太径のロープを一本通し、アーム自重の大部分を太径ロープで支え、各関節の細かな動きを細径ロープで個別に制御する手法を開発しました(図5(b))。この機構により、複数の化学繊維ロープで荷重を分散して支えることで、従来に比してさらに大きな手先荷重を支えることが可能となり、今回10 kgの水平保持を実現することができました。(図6)。太径ロープの直径は5.5 mmで駆動部により最大3,000 kg重の張力を発生させています。

図5. 従来の干渉駆動機構(a)、本ロボットの機構(b)
図5. 従来の干渉駆動機構(a)、本ロボットの機構(b)

図6. 実際の根元関節の構造
図6. 実際の根元関節の構造

高強度化学繊維ロープによる腱駆動

高強度の化学繊維ロープは釣り糸や漁網、防弾チョッキなどに実用化されており、国内の繊維メーカーは、世界で大きなシェアを有しています。ステンレススチール製のロープに比較して、重さは1/8でありながら強度はおよそ2倍と、軽くて強いことが特徴です。一方で、時間経過とともに徐々に伸びてしまう特性や、滑らかで滑りやすいため端部を固定することが難しいなどの課題もありました。

本プロジェクトではこの化学繊維ロープをロボットの関節駆動に用いるための基礎的な特性を調査するとともに、それらの課題を解決する駆動機構要素群の開発を行い、実際にロボットアームに適用してその有効性を確かめ、高強度化学繊維ロープ腱駆動によるロボットシステム構築の手法を系統的に確立しました。

これにより、10 kg水平保持に必要な化学繊維ロープの選定、関節機構の設計、強力な張力を支えるためのロープの端部固定などが実現できました。

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本ニュースリリース内容 お問い合わせ先

NEDO ロボット・AI部

中井、渡邊

Tel : 044-520-5242

東京工業大学 工学院 機械系

准教授 遠藤玄

E-mail : endo.g.aa@m.titech.ac.jp

その他NEDO事業について

NEDO 広報部

藤本、坂本、佐藤

E-mail : nedo_press@ml.nedo.go.jp
Tel : 044-520-5151

東京工業大学についての一般的な問い合わせ

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

高校生・大学院受験生向け広報誌「TechTech」35号発行

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東京工業大学広報誌「Tech Tech(テクテク)」35号を発行しました。

Tech Techは、学士課程・大学院課程受験生向けに、東工大の最新の研究や、学生生活、研究室の様子、卒業生の活躍など本学のさまざまな面を豊富な画像とわかりやすい文章でご紹介する広報誌です。

最新号では、「景 ―広がりゆく土木と景観のデザイン―」と題して、環境・社会理工学院 土木・環境工学系の真田純子准教授と株式会社イー・エー・ユーの崎谷浩一郎代表取締役との対談や、2018年度に新たに始まった取り組みをご紹介する「進化する東工大」などを特集しています。

裏表紙にある「頭の体操QUIZ」も人気コンテンツですので、ぜひ挑戦してください。

TechTech No.35

TechTech No.35

CONTENTS

景 ―広がりゆく土木と景観のデザイン―

真田純子准教授(環境・社会理工学院)×崎谷浩一郎さん(株式会社イー・エー・ユー 代表取締役)

未来のコンピュータが見えてきた

小寺哲夫准教授(工学院)

進化する東工大

未来へ向けて変わり続けるこれからの「教育」と「研究」

博士たちのキャリアデザイン論

田中彰吾さん(東海大学現代教養センター 主任教授)

学生企画

東工大のGLOBAL化事情

学内の配布場所や、郵送での請求方法については、以下のページをご確認ください。

バックナンバーはこちら

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

電話 : 03-5734-2976

E-mail : publication@jim.titech.ac.jp

リサーチ・ショーケースをタイで初めて開催

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1月29日、東工大は、タイ国立科学開発技術庁(NSTDA)の協力を得て、「東工大リサーチ・ショーケース(2019 Tokyo Tech Research Showcase in Thailand)」を、タイ・パトゥムタニー県タイランド・サイエンス・パークで初めて開催しました。本学は、2018年3月に、タイにおける国際共同研究・産学連携を推進するため、「東工大 Annex バンコク」(アネックス バンコク)を設置しました。このリサーチ・ショーケースとは、広く社会に向け研究内容を紹介するイベントのことで、本学の最先端の研究を積極的に発信することにより、さらに連携を活性化させようとするものです。

第1回目のテーマは、情報技術、人工知能およびその関連分野です。水本哲弥理事・副学長とNSTDAのチャダマス・ツバセタクル副長官のスピーチののち、下記の本学教員が研究内容を紹介しました。

水本理事・副学長
水本理事・副学長

ツバセタクルNSTDA副長官
ツバセタクルNSTDA副長官

福田大輔准教授(環境・社会理工学院)

“Big Data Applications in Transportation Planning”
「交通計画におけるビッグデータの適用可能性」

高田潤一教授(環境・社会理工学院)

“Characterization of radio channels - 5G, IoT, cognitive radio and sensing”
「無線通信路特性の計測 ―5G、IoT、コグニティブ無線、センシング」

福田准教授(環境・社会理工学院)
福田准教授(環境・社会理工学院)

高田教授(環境・社会理工学院)
高田教授(環境・社会理工学院)

三宅美博教授(情報理工学院)

“Interpersonal Synchrony of Body Movement and Application to Interactive Robotics”
「身体のインターパーソナルな同調とそのロボティクスへの応用」

小池康晴教授(科学技術創成研究院)

“Brain Machine Interface using non-invasive method”
「非侵襲脳活動計測によるブレインマシンインタフェース」

三宅教授(情報理工学院)
三宅教授(情報理工学院)

小池教授(科学技術創成研究院)
小池教授(科学技術創成研究院)

タイ政府は、国家戦略に基づいたタイランド4.0という新経済政策に取り組んでいますが、キーワードの一つであるイノベーションを推進するうえで、情報、人工知能等はその中核をなす技術です。その関心の高さを表すかのように、会場にはタイの大学・研究機関、在タイ企業から約230名の来場者がありました。

休憩時間には、講演者と来場者との間で多くの議論が交わされたほか、本学がタイにおいて実施している国際連携大学院、TAIST-Tokyo Techの学生がポスターセッションを行うなど、東工大とタイ関係機関の連携を促進させるよい機会となりました。

アネックス バンコクは、今後もタイにおける定例のイベントとしてリサーチ・ショーケースを開催していく予定です。

TAIST-Tokyo Tech(タイスト トーキョーテック)は、2007年からNSTDAおよびタイのトップクラス大学と連携して運用している修士課程プログラムです。自動車工学、組込情報システム、エネルギー資源工学の3分野の教育を行っています。

東工大教員、NSTDA職員及び日本大使館書記官との記念撮影

東工大教員、NSTDA職員及び日本大使館書記官との記念撮影

お問い合わせ先

国際部国際事業課

E-mail : annex.bangkok@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3827


最先端エッジAI技術を活用した牛の行動観察システムを共同開発 酪農・畜産業におけるアニマルウェルフェア向上を目指して実証実験を開始

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東京工業大学、信州大学および電通国際情報サービス(以下、ISID)の共同プロジェクトチームは、東京工業大学COI(COI=センター・オブ・イノベーション。以下、東工大COI)『サイレントボイス[用語1]との共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点のもと、最先端エッジAI[用語2]技術を活用した牛の行動観察システムを開発しました。2021年の社会実装を目指し、信州大学農学部で2019年4月から2020年3月まで実証実験を実施します。

近年、畜産分野において、アニマルウェルフェア[用語3]に関する消費者意識の高まりが報告されており、世界で、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼育方式が提案されるようになりました。家畜のアニマルウェルフェアの向上には放牧を含む様々な管理運用が必要で、その対応コストが課題となっています。東工大COI「動物のサイレントボイスとの共感」チーム(リーダー:伊藤浩之 東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授、サブリーダー:竹田謙一 信州大学 学術研究院農学系 准教授)では、牛のサイレントボイスを聴くことをテーマとしたハードウェア、ソフトウェアの共通プラットホームの整備を進めており、酪農・畜産業におけるアニマルウェルフェアの普及を研究テーマの一つに掲げています。これまでの取り組みで、牛に首輪型センサを取り付けて、複雑な牛の飲水・摂食、腹臥位、立位、歩行などの行動や姿勢の情報を、AI処理により推定できるようになりました。今後は牛が病気にかかり始めているのか、発情、分娩の兆候が見えだしているのか、あるいはストレスを感じているのかといった状態を推定できるよう研究を進めます。

当プロジェクトでは、このAI処理をソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社のIoT向けスマートセンシングプロセッサ搭載ボード「SPRESENSE™(スプレッセンス)※1」に実装し、通信機能を備えた首輪型デバイス「感じて考える首輪」のプロトタイプを開発、さらにこのデバイスを用いて牛の行動データを広域で収集し、牧場の温度・湿度などの飼育環境の情報をも併せて収集・分析する行動推定システムを構築しました。(図1、2参照)

2019年4月からは、このシステムを用いて牛の健康状態を把握し、アニマルウェルフェアに配慮しつつ低コストで飼育管理を実現する仕組みの構築に向けた実証実験を信州大学農学部で行います。

※1
SPRESENSE™は、ソニー株式会社の商標です。

図1. システムコンセプト:多数頭をリアルタイムで同時モニタリング

図1. システムコンセプト:多数頭をリアルタイムで同時モニタリング

図2. 実験風景の様子(信州大学農学部附属AFC農場にて)

図2. 実験風景の様子(信州大学農学部附属AFC農場にて)

本システムの特徴

現在普及している牛用エッジデバイスでは、牛の動きの加速度データを測定し、単純に圧縮してBluetooth(ブルートゥース)で送信しているため、検知できる状態の種類が限られていることや、通信距離が短いため放牧で利用しにくいことが課題です。従来の技術を組み合わせて4Gネットワークなどにより牛の動きの加速度データをそのままクラウドに送ってAI処理すれば、放牧地にいる牛の様々な状態を推定できると思われますが、デバイスの消費電力が大きいため頻繁な電池の交換や充電が必要になってしまいます。

当プロジェクトチームは、ネットワークを介してあらゆるものが繋がるIoTの時代においては、エッジデバイスからゲートウェイデバイス、クラウドまでの各レイヤーにおけるAI処理のバランスを最適化したシステムアーキテクチャが必要であると考えています。当プロジェクトが開発した行動推定システムは、エッジデバイスとクラウドのAI処理量と通信量のバランスを最適化することで、これまで課題であったエッジデバイスの長バッテリー寿命とクラウド間の通信のコスト削減に対応できることが特徴です。

本実証実験で用いる「感じて考える首輪」のプロトタイプには、エッジデバイスでAI処理を実行するのに必要な、高性能で低消費電力なプロセッサを搭載したソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社のIoT向けスマートセンシングプロセッサ搭載ボード「SPRESENSE™」を採用し、東京工業大学が開発した牛行動AI分析アルゴリズムを組み込んでいます。これにより、歩行や摂食といった行動・状態をAI処理で推定してデータ量を圧縮し、低消費電力・低ビットレート・広域カバレッジ(Low Power, Wide Area(LPWA))の無線技術を活用することで、多状態推定・放牧利用・長期間動作を両立できるようにします。

最先端エッジAI技術により推定された牛の状態データに加え、牧場内の様々な環境データをISIDのクラウドサービス「FACERE®(ファケレ)※2」に収集します。その上で、総合的なアニマルウェルフェアの状態は、全てのデータを集約したクラウドのAIで推定します。

※2
FACERE®は、株式会社電通国際情報サービスの商標です。

本システムの研究開発における各機関の役割

東京工業大学の役割

東京工業大学は、本システム研究開発のチームリーダーを務めるとともに加速度センサをはじめとするセンサ類の開発、AI処理のデバイスへの実装方式の開発、畜産農家への新システム普及の検討、アニマルウェルフェアの社会的受容性の研究を担当しています。

信州大学の役割

信州大学は、本システム研究開発のサブリーダーを務めるとともに、農学部附属AFC農場における牛の行動データをもとに、エッジAI学習のための教師データの作成、エッジAI処理による行動分類の検証、アニマルウェルフェアに適したエッジデバイスの装着方法、飼育環境整備の研究を担当しています。

ISIDの役割

ISIDは、システム全体の構成検討、クラウドサービスFACERE®を活用したデータ収集・解析システムの構築と解析結果を可視化するアプリケーションの開発を担当しています。今回の実証実験で得られる知見を元に、東工大COIにおけるエッジAIシステムの酪農・畜産業への展開支援、ならびに東工大COI参画メンバーと協力し、様々な産業用途での利用を提案します。

『サイレントボイスとの共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点について

図3. 「サイレントボイスとの共感」地球インクルーシブセンシングのコンセプト略図
図3. 「サイレントボイスとの共感」
地球インクルーシブセンシングのコンセプト略図

東京工業大学では、文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「革新的イノベーション創出プログラム」の東工大COI拠点として研究開発を進めており、2018年4月1日からは『サイレントボイスとの共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点(プロジェクトリーダー:廣井聡幸 ソニー株式会社 R&Dセンターシステム技術開発第1部門長、研究リーダー:若林整 東京工業大学 工学院 教授)として研究開発を推進しています。

地球を取り巻く限られた環境の中で経済発展によるQoL向上を目指す人類にとって、地球上における人間以外との共存共栄は今後ますます必須となります。同拠点では、地球上の人類の枠を超えた様々な声なき声(サイレントボイス)に耳を傾け、共感する(インクルーシブセンシング)ことにより、人・社会・環境の問題に対して、人を通じて低環境負荷/地球に優しい方法で人々が自ら解決するサイクルの実現を目指しています。

用語説明

[用語1] サイレントボイス : 地球上の自然、里山、社会、人に存在する今まで測ることができなかった・気づかなかった現象を、新規のセンサ技術および既存のセンサ技術を用いて顕在化させた統合的データのこと。東工大COIでは、上記センサ技術により取得されるデータをAI処理により、解釈可能あるいは私たちに関わりのある情報にすることを「サイレントボイス」に声を与えると表現しています。

[用語2] エッジAI : 通常はクラウド側で実行されるAIの処理をセンサなどのデバイスが存在するエッジ側で実行する仕組み。

[用語3] アニマルウェルフェア : 国際獣疫事務所(OIE)は、アニマルウェルフェアを「動物の生活や死(食用目的のと殺や疾病管理目的の安楽殺)という状況における動物の肉体的および精神的状態」と定義しています。すなわち、人類による動物利用(家畜、実験動物、展示動物、伴侶動物など)を認めつつも、前述の状況に際して、可能な限り苦痛を排除しようとするものです。近年では、オリンピックでの食材調達コード(畜産物)にアニマルウェルフェアが示され、また消費者教育の推進に関する法律(2012年施行)の下で普及が進められている「倫理的消費」の畜産対応として、アニマルウェルフェアが示されています。昨年12月には、スターバックスコーヒーがアニマルウェルフェアに配慮されている非ケージシステムで生産された鶏卵を2020年までに全世界で使用するといった声明を出し、他の世界的な外食産業、ホテルチェーンでも同様の動きがあります。

実証実験に関するお問い合わせ先

株式会社電通国際情報サービス 戸田、松島

E-mail : g-iot-info@group.isid.co.jp

東京工業大学 地球インクルーシブセンシング研究機構

E-mail : coi.info@coi.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3562

信州大学 農学部動物資源生命科学コース 動物行動管理学研究室

E-mail : ktakeda@shinshu-u.ac.jp

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

信州大学 農学部 広報担当

E-mail : nogakuweb@shinshu-u.ac.jp
Tel : 0265-77-1300(代) / Fax : 0265-77-1315

※取材申込は信州大学農学部HP「お問い合わせ」outerを参照

株式会社電通国際情報サービス コーポレートコミュニケーション部 李

E-mail : g-pr@isid.co.jp
Tel : 03-6713-6100

オートファゴソームに脂質を供給する仕組みを解明 オートファジーにまつわる数十年来の謎が明らかに

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要点

  • オートファジーにおいて、分解対象を包む袋状の膜(オートファゴソーム)が作られる際の材料(リン脂質)がどのように供給されるのか、これまで分かっていなかった
  • たんぱく質Atg2がリン脂質を直接輸送する活性を持ち、オートファゴソーム前駆体にリン脂質を供給することで膜伸長を起こすことを発見した
  • オートファゴソーム形成の分子機構が明らかとなり、オートファジーを制御する特異的制御剤の開発が加速すると期待される

概要

微生物化学研究所の野田展生 部長、大澤拓生 博士研究員らは、オートファジーを担うたんぱく質群の1つであるAtg2が2つの脂質膜[用語1]の間で脂質の輸送を担う活性があることを発見し、その活性がオートファゴソーム[用語2]を作るための脂質供給を行うことを明らかにしました。

細胞内のたんぱく質を分解する仕組みの1つであるオートファジーにおいて、オートファゴソームの形成は分解対象を決定する極めて重要なステップですが、オートファゴソームを作るための脂質供給の仕組みはこれまで分かっていませんでした。

本研究グループは、オートファゴソームの前駆体膜(隔離膜)と小胞体膜の接点に局在するAtg2が、リン脂質[用語1]を収容するポケットを持つことをX線結晶構造解析法[用語3]で明らかにしました。さらに試験管内でAtg2の活性を調べた結果、Atg2が2つの膜をつなぎ止め、両者の間でリン脂質の輸送を担う活性を持つことを明らかにしました。そしてこの活性を失った変異体は酵母におけるオートファジーを強く阻害しました。以上の結果から、Atg2は脂質輸送を担う新奇たんぱく質であり、その活性を用いて小胞体などの細胞内脂質膜からオートファゴソーム前駆体へと脂質を直接輸送し、オートファゴソームの形成に働くという全く新しい仕組みが明らかになりました。

本研究により、オートファジーの要であるオートファゴソームの形成過程の基本原理が明らかとなり、今後のオートファジーの特異的制御剤の開発に向けた基盤となることが期待されます。

本研究は、東京工業大学の大隅良典 栄誉教授、中戸川仁 准教授、小谷哲也 研究員、および東京大学の鈴木邦律 准教授のグループと共同で行いました。

本研究成果は、2019年3月25日(英国時間)に英国科学誌「Nature Structural& Molecular Biology」のオンライン速報版で公開されました。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)

研究領域:
「ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術」
(研究総括:田中啓二 東京都医学総合研究所 理事長)
研究課題名:
「オートファジーの膜動態解明を志向した構造生命科学」
研究代表者:
野田展生(微生物化学研究会 微生物化学研究所 部長)
研究期間:
平成25年4月~平成31年3月

JSTは本領域で、先端的ライフサイエンス領域と構造生物学との融合により、ライフサイエンスの革新につながる「構造生命科学」と先端基盤技術の創出を目指します。

上記研究課題では、オートファゴソーム形成に働くたんぱく質群が膜の上で繰り広げる相互作用を構造生物学的に明らかにすることで、オートファゴソーム形成機構の分子論的解明を目指します。

研究の背景と経緯

オートファジーは細胞内の主要な分解経路であり、有害なたんぱく質凝集体や傷ついたミトコンドリアなどの分解を通して、細胞の恒常性維持に働いています。そしてオートファジーの異常は神経変性疾患やがんなど、重篤な疾病を引き起こすことが知られています。すなわち生体にとって極めて基本的かつ重要な現象であり、そのメカニズムを知ることは疾病の治療・予防法の開発のために欠かせません。オートファジーの最大の特徴は、オートファゴソームと呼ばれる二重膜のオルガネラを新たに作り出す点にあります。オートファゴソームに包まれたものは全て細胞内分解の場所であるリソソームへと運ばれ分解されることから、オートファゴソームを作る過程がオートファジーによる分解対象を決定づけます。しかしオートファゴソームの形成過程は、依然として多くの謎に満ちており、中でもオートファゴソームの膜を作るための材料であるリン脂質の供給方法は全く分かっていませんでした。

リン脂質の供給源には、小胞体が有力な候補として挙げられています。しかしリン脂質は不溶性であり、細胞質を自由に移動できないことから、それをオートファゴソーム形成の材料として使うためには何らかの移動手段が必要になると考えられていました。

研究の内容

オートファゴソームの形成は、多くのAtgたんぱく質[用語4]が担っています。本研究グループは、Atgたんぱく質のうち、伸長中のオートファゴソーム前駆体(隔離膜)と小胞体の接点に局在することが知られているAtg2に着目し、その構造と機能の解明を進めました。まずX線結晶構造解析法を用いて、Atg2の一部分の立体構造を初めて高分解能で決定することに成功しました。その結果、Atg2には大きな疎水性のポケットがあること、そのポケットを使ってリン脂質を脂質膜から引き抜き、収容できることを見いだしました。

オートファゴソーム形成過程の模式図

図1. オートファゴソーム形成過程の模式図

オートファジーが誘導されると、細胞質中に突如膜構造が出現し(隔離膜)、それが分解対象を包み込みながら伸長し、閉じてオートファゴソームとなる。隔離膜が伸長するためには膜の材料となるリン脂質が必要であり、小胞体などから供給されると考えられてきたが、その運び方はこれまで謎であった。

次にAtg2が持つ機能を試験管内で調べました。蛍光脂質を組み込んだ人工脂質膜(リポソーム)を用いた解析の結果、本研究グループはAtg2がリポソーム同士をつなぎ止めるとともに、つなぎ止めたリポソーム間でリン脂質の受け渡しをするという新奇活性を持つことを世界で初めて明らかにしました。このリン脂質の受け渡し活性は、Atg2の特定のアミノ酸に変異を入れることで失われますが、同じ変異を酵母内のAtg2に入れたところ、オートファゴソームが形成できないことが分かりました。すなわち試験管内で見られたAtg2の脂質輸送活性は、実際のオートファジーにおけるオートファゴソームの形成に働いていることが明らかとなりました。Atg2は小胞体と隔離膜の接点に局在することから、小胞体からリン脂質を引き抜き、直接隔離膜へと輸送することでオートファゴソーム形成のための材料を提供していると考えられます。またオートファゴソームの膜は通常のオルガネラには豊富に見られる膜たんぱく質がほとんど含まれないという特徴があります。それは長年の謎でもありましたが、Atg2はリン脂質のみの移動を許可し、他のたんぱく質などが隔離膜へ流入するのを防ぐ役割も担っていると考えられます。

従来、オートファゴソーム形成のためのリン脂質供給の仕組みとして、小胞輸送を介したモデルや、小胞体膜が直接隔離膜につながることで脂質が移動するモデルなどが考えられてきました。今回明らかとなった、新奇脂質輸送たんぱく質であるAtg2を介したリン脂質の供給は、オートファゴソーム形成の仕組みとして全く考えられてこなかったものであり、オートファジーの基礎研究に劇的な変化を起こすような、画期的な成果であると考えられます。

Atg2による小胞体から隔離膜へのリン脂質の供給モデル

図2. Atg2による小胞体から隔離膜へのリン脂質の供給モデル

Atg2は伸長中の隔離膜の先端に局在し、小胞体と隔離膜をつなぎ止める。さらにAtg2は小胞体からリン脂質を引き抜き、それを隔離膜側へと送り込むことで隔離膜伸長を引き起こす。Atg2はまた、小胞体の脂質以外の成分(膜たんぱく質など)が隔離膜に流入するのを防ぐ役割も担っていると考えられる。

今後の展開

オートファジー分野における積年の課題であった脂質供給機構が明らかになったことで、オートファゴソーム形成の分子機構の完全理解に向けた研究が加速されることが期待されます。そしてオートファゴソーム形成機構の理解が深まることで、オートファジーの人為的制御を介したさまざまな疾病の治療・予防法の開発研究が促進されることが期待されます。さらに今回見いだした「たんぱく質を介した脂質輸送による脂質膜の新生」は、オートファジー分野のみならず、細胞生物学全般において初めて明らかとなった現象であり、細胞生物学の基礎研究全般の推進に貢献する成果です。

用語説明

[用語1] リン脂質と脂質膜 : リン脂質とはリン酸エステルを持つ脂質の総称で、親水性の部分と疎水性の部分の両方を持つ。疎水性の部分があるため単独では水に溶けないが、疎水性部分を向かい合わせて脂質二重層を形成することで水溶液中でも安定して存在できる。細胞のさまざまな脂質膜は主にリン脂質からなる脂質二重層で作られている。

[用語2] オートファゴソーム : オートファジーが誘導されると、細胞質に新たに作り出される二重膜のオルガネラ。オートファゴソームが取り囲んだもの(さまざまなたんぱく質や核酸など)はすべて分解の場であるリソソーム(酵母の場合は液胞)へと輸送され、リソソーム内の分解酵素群の働きで分解される。

[用語3] X線結晶構造解析法 : 結晶はX線を回折する性質があるが、この性質を利用して結晶の構成物の原子がどのように立体的に配列しているのかを決定する手法。たんぱく質は結晶になる性質があるため、たんぱく質の立体構造を明らかにするために広く利用されている。

[用語4] Atgたんぱく質 : 酵母で同定されたオートファジーを制御するたんぱく質群の名称で、これまでに40種類以上報告されている。Atgの後におおよそ同定された順に通し番号がつけられている。Atgたんぱく質群のうち、栄養飢餓時のオートファゴソーム形成に重要なものは18種類である。

論文情報

掲載誌 :
Nature Structural& Molecular Biology
論文タイトル :
Atg2 mediates direct lipid transfer between membranes for autophagosome formation
著者 :
Takuo Osawa1, Tetsuya Kotani2, Tatsuya Kawaoka3, Eri Hirata3, Kuninori Suzuki3,4,5, Hitoshi Nakatogawa2, Yoshinori Ohsumi6, Nobuo N. Noda1*
所属 :
1Institute of Microbial Chemistry (BIKAKEN), Tokyo, Japan.
2School of Life Science and Technology, Tokyo Institute of Technology, Yokohama, Japan.
3Department of Integrated Biosciences, Graduate School of Frontier Sciences, University of Tokyo, Kashiwa, Japan.
4Life Science Data Research Center, Graduate School of Frontier Sciences, University of Tokyo, Kashiwa, Japan.
5Collaborative Research Institute for Innovative Microbiology, University of Tokyo, Tokyo, Japan
6Cell Biology Center, Institute of Innovative Research, Tokyo Institute of Technology, Yokohama, Japan.
DOI :
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お問い合わせ先

研究に関すること

微生物化学研究会 微生物化学研究所 構造生物学研究部 部長

野田展生

E-mail : nn@bikaken.or.jp
Tel : 03-3441-4173 Fax : 03-6455-7348

JSTの事業に関すること

科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ

川口哲

E-mail : crest@jst.go.jp
Tel : 03-3512-3524 Fax : 03-3222-2064

取材申し込み先

微生物化学研究会 微生物化学研究所 知的財産情報室

E-mail : office@bikaken.or.jp
Tel : 03-3441-4173 Fax : 03-3441-7589

科学技術振興機構 広報課

E-mail : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404 Fax : 03-5214-8432

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
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東京大学 新領域創成科学研究科 広報室

E-mail : info@edu.k.u-tokyo.ac.jp
Tel : 04-7136-5450

大学院エネルギーコース学生によるポスター発表会を実施

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1月31日に、2018年度「エネルギーイノベーション協創プロジェクト」「エネルギー学理実践研究A」のポスター発表会が、東工大大岡山キャンパス 環境エネルギーイノベーション棟にて開催されました。

ポスター発表会 ―エネルギー問題研究の位置づけを再認識―

ポスター発表会は、エネルギーコースに所属し、「エネルギーイノベーション協創プロジェクト」「エネルギー学理実践研究A」「エネルギー学理実践研究B」を受講している修士課程・博士後期課程の学生の俯瞰力を養うことを目的として、毎年開催しています。ポスター発表を通して、異なる分野の研究課題を学ぶと共に、エネルギー問題に対する自身の研究の位置づけを再認識する場となります。異なる学術的な背景を持つ学生が、修士・博士の垣根を越えてエネルギーという共通のキーワードに対して学際的な議論を行うことができます。今年度で3年目を迎え、修士課程・博士後期課程をあわせて74名の学生がポスター発表会に臨みました。

ポスター発表会の様子

ポスター発表会の様子

一部の博士後期課程の学生は、「エネルギー学理実践研究B」におけるPBL(Project Based Learning、課題解決型学習)の場として、本発表会を1つのプロジェクトとして捉え、世代や分野を超えて活発な交流・議論を行う方策を模索しました。これらの学生によって本発表会が運営され、当日の受付や会場設営が行われました。ポスター発表会は、2グループに分かれて行われました。各グループ1時間ずつ、参加学生のみならずコースの教員も交えて活発な議論が繰り広げられました。学生同士で議論を深めたり、教員と真剣勝負に臨む学生もいたりと、わずか2時間でしたが、有意義な時間となりました。

チュートリアル講演会 ―研究内容をわかりやすく発表―

ポスター発表会の後、新進気鋭の若手教員による「チュートリアル講演」を参加者全員が聴講しました。チュートリアル講演は、昨今、異分野の研究者に対して自身の研究内容をわかりやすく発表する機会が増えてきているため、学生のスキル向上の一助になることを目指し、初めて企画されました。工学院 機械系の渡部弘達助教が、持続可能な社会を実現する1つのアプローチである「低炭素循環型社会」の実現が求められていることを念頭に、固体酸化物燃料電池(SOFC)やダイレクトカーボン燃料電池(DCFC)に関する研究内容をわかりやすく紹介しました。研究内容は、ベーシックな研究からものつくりにいたるまで多岐にわたっており、エネルギー分野の研究に携わる学生にとって励みとなる有意義な内容でした。講演の最後には、研究を進めていく上で重要なことなど学生へのアドバイスも行われ、熱心に聞く学生の姿が印象的でした。

渡部助教によるチュートリアル講演

渡部助教によるチュートリアル講演

最後に交流会が行われました。優秀なポスター発表を行った「エネルギーイノベーション協創プロジェクト」の参加学生の中から最優秀賞1件、優秀賞10件、また「エネルギー学理実践研究A」の参加学生の中から最優秀賞1件、優秀賞1件の発表があり、エネルギーコースの末包哲也コース主任(工学院 機械系 教授)から受賞者に対し表彰状が授与されました。

なお、昨年の発表会の模様(ビデオ映像)はエネルギーコースウェブouterにて閲覧可能です。

参加学生のコメント

村田歩紀さん(工学院 電気電子系 修士課程1年)

大学外で発表する機会は稀で貴重な場面であると思いますが、大学内で発表を行う経験もまた貴重なものであると実感しました。専門分野外の方への発表が中心であるため、自分の研究の意義について余すことなく伝えることを重点的に意識し、ポスターの作成や発表に取り組みました。これらから、研究の成果を報告するというだけでなく、的確で「伝わる」発表をするまでが研究であるということを再認識しました。学生同士の議論も活発に行われ、モチベーションの向上にもつながりました。学内という範囲で自分の視野を広げ、プレゼンテーションの質を高めるという非常に有意義な経験ができました。

エネルギーコースとは

エネルギーコースは理学院の化学系、工学院の機械系、電気電子系、物質理工学院の材料系、応用化学系、環境・社会理工学院の融合理工学系という4学院6系から構成される複合系コースです。各系における深い専門性をベースとしながら、エネルギーに関する体系的な幅広い知識の習得を目指しています。複雑化したエネルギー諸問題を「多元的エネルギー学理」の視点から判断できる俯瞰力を備え、イノベーションを牽引する人材を育成します。

複合系コースとは

東工大は2016年に教育改革を行い、世界最高水準の研究の中で学生が自ら学び考える教育を進め、独自の教育カリキュラムを構築しています。学士課程卒業生の約9割が入学する大学院(修士課程と博士後期課程)で学生は自分の「コース」を自由に選択します。

中でも、異なる学問領域を融合した「複合系コース」は、複数の学院や系にまたがっている先駆的なコースとして、教育改革で誕生したコースです。地球規模の社会的課題を解決するために、専門分野にとらわれず、さまざまな分野の知見を活かす人材を育成し、東工大は21世紀の理工系総合大学に求められる役割を果たします。

複合系コースでは、「エンジニアリングデザインコース」「ライフエンジニアリングコース」「原子核工学コース」「知能情報コース」「都市・環境学コース」そして「エネルギーコース」の計6つのコースを提供しています。

稲木信介准教授と北野政明准教授が2018年度「東工大の星」支援【STAR】に決定

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2018年度「東工大の星」支援【STAR】(英語名称:Support for Tokyo Tech Advanced Researchers【STAR】)の採択者に物質理工学院 応用化学系 稲木信介准教授と元素戦略研究センター 北野政明准教授の2名が決定しました。

「東工大の星」支援【STAR】とは、東工大基金を活用し、将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者や、基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者へ大型研究費の支援を通じて、次世代を担う本学の輝く「星」を支援するものです。

第6回目の今回は、2名の「星」が学長及び研究・産学連携本部長の協議により選考されました。

所属部局
担当系
職名
氏名
准教授
 
准教授

(前列)北野政明准教授(左)、稲木信介准教授(後列)益一哉学長(左)、渡辺理事・副学長(研究担当)

(前列)北野政明准教授(左)、稲木信介准教授
(後列)益一哉学長(左)、渡辺理事・副学長(研究担当)

受賞者の研究概要とコメント

稲木信介 物質理工学院 応用化学系 准教授

稲木信介 物質理工学院 応用化学系 准教授

研究概要:バイポーラ電気化学に基づく機能性高分子材料の開発

陽陰極を同時に発現するワイヤレス電極(バイポーラ電極)を利用するバイポーラ電気化学は、古くからその原理が知られているものの、近年では電気エネルギー(電子)を試薬とする化学合成法への応用、すなわち、次世代の軽く、柔軟な有機・高分子材料を創製する分野として再注目されています。この古くて新しいバイポーラ電気化学により、配線せずに導電性高分子をパターニングする技術や導電性高分子ネットワークの形成、バイポーラ電極表面に生じる電位分布を巧みに利用した傾斜高分子材料の開発などを実現し、これまでにない技術・材料を提案してきました。さらに、広い意味でのレドックス(酸化・還元)化学と融合させ、スマート分子変換技術やエネルギー変換、ならびにレドックス系を精密に複合化したスマートシステムの構築などの新しい価値創造を目指します。

受賞にあたってのコメント

今回、東工大の星」支援【STAR】に採択いただき、大変光栄に存じます。バイポーラ電気化学という面白い現象に出会って以来、興味本位で楽しみながら、ともに研究を推進してきた学生や共同研究者に御礼申し上げます。本支援を機に、さらに挑戦的な研究に取り組みたいと考えております。東工大基金を通じて支援していただいた寄附者の皆様に感謝申し上げます。

北野政明 元素戦略研究センター 准教授

北野政明 元素戦略研究センター 准教授

研究概要:電子化物、またはヒドリド化合物を含む新規固体触媒の開発

アンモニア(NH3)は、窒素系肥料や食品、医薬品などの原料として広く使用されています。近年では水素エネルギー貯蔵材料としても注目されており、益々需要増加が見込まれます。現在は、大量のエネルギーを使い、高温高圧の環境下で空気中の窒素と水素を反応させるハーバー・ボッシュ法で合成されています。結晶骨格中に電子やヒドリドイオンを高密度に含有する新規電子化物や水素化物を開発し、それらを利用することで窒素分子を低温で活性化する触媒を創生し、現在の工業プロセスを凌駕するアンモニア収率を目指していきます。

受賞にあたってのコメント

この度は、「東工大の星」に選んでいただき大変感謝しております。今回いただいた支援でこれまで以上に自分自身の研究を発展させ、独創的かつ世界トップレベルの研究成果を上げることで、支援いただいた恩に報いていきたいと決意しております。基礎研究として優れた成果を上げることはもちろんのことですが、触媒は世の中で使われることが重要ですので、実用化を目指した研究にも邁進いたします。

「東工大の星」支援の概要

目的

東工大基金を活用し、本学における優秀な若手研究者への大型支援を実施することにより、本学の中期目標である基礎的・基盤的領域の多様で独創的な研究成果に基づいた新しい価値の創造を促進し、もって、学長の方針に基づく本学の研究力強化に資することを目的とします。

支援対象者

公募によらず、様々な業績を勘案し、学長及び研究・産学連携本部長の協議により決定します。

観点

  • 将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者
  • 基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者

役職等

若手研究者を准教授以下(原則40歳以下)とします。

益学長らと懇談

益学長らと懇談

和やかに歓談する北野准教授と稲木准教授

和やかに歓談する北野准教授と稲木准教授

東工大基金

この支援プロジェクトは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

研究推進部 研究企画課 研究企画第1グループ

E-mail : kenkik.kik1@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7688

光からエネルギーを取得し、タンパク質を合成する人工細胞 より生物に近い機能を持つ人工細胞が誕生

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要点

  • 光エネルギーからATPを合成する人工細胞小器官を作製
  • 人工細胞小器官を持った人工細胞が光によりタンパク質を合成
  • 光駆動型のバイオデバイス開発につながる可能性

概要

東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)の車兪澈(くるま ゆうてつ)特任准教授と東京大学 大学院新領域創成科学研究科の博士課程大学院生Samuel Berhanu(サミュエル・ベルハヌ)、上田卓也教授は、光をあてるとタンパク質を作り出すことができる人工細胞[用語1]の作製に成功した。

人工細胞は、脂質膜の中でDNAからタンパク質を合成する擬似的な細胞だ。これは、非生物である物質や遺伝情報から、生命現象が創発する過程を再現できるとして期待されている。しかし、これらの反応は、あらかじめ供給したエネルギー源を消費して反応を行うだけのもので、実際の細胞のようにエネルギー源であるATP[用語2]自体を生産することはできなかった。

研究グループは今回、光をあてるとATPを生産する植物の葉緑体のような細胞小器官[用語3]を人工的に作製し、これを人工細胞に組み入れることで、光エネルギーからタンパク質を合成することに成功した。さらにこの方法を用いて細胞小器官を構成している膜タンパク質を合成できた。より生物に近い、エネルギー的に自立した人工細胞の実現に道が拓けた。

本成果は、2019年3月22日付の「Nature Communications」に掲載された。

研究成果

我々人間が日々の生活で電気を消費して生きているように、細胞もATPと呼ばれるエネルギー源を消費して生きている。ATPは通常呼吸や光合成により細胞内で生産される。

車特任准教授らは、光エネルギーを利用してATPを生産する、直径約100 - 200 nm(nmは、1 mmの100万分の1)の人工細胞小器官[用語4]を生み出した。

光照射により生産したATPを遺伝情報伝達分子(mRNA[用語5])の材料として、または翻訳のエネルギーとして消費することで、DNAからタンパク質を合成する人工細胞を作製した。これにより、光という物理的なエネルギーを、情報伝達分子や機能性高分子に変換することが人工細胞系で可能になった。さらに反応産物として人工細胞小器官の部品となるタンパク質を合成することで、実際の生物と同じ様に自身のパーツを生み出すことに成功した。

背景

近年、生体分子や遺伝子を人工的に組み合わせることで、分子から生きた細胞を創る研究が合成生物学の分野で進められている。人工細胞は、脂質から形成されるカプセル状の膜小胞の内に、タンパク質合成反応に必要な36種類の酵素とリボソーム、低分子化合物などを封入して、膜の中でタンパク質を合成する擬似的な細胞だ(図1)。このように最小限の因子から構成される細胞は、生きるために必要な最小限の機能や遺伝子をボトムアップ的に実証することになるため、合成生物学やゲノム科学の分野で大きく注目されている。また、地球上に生物、すなわち細胞が誕生したばかりの初期の様相を反映していると考えられていることから、生命の起源を探究する新しい側面を担う研究としても注目される。

これまでの人工細胞は、生体エネルギー源となるATPを一緒に内封し、それを使い切ることで細胞のような振る舞いを再現してきたが、外部の物理的・化学的エネルギーからATPそのものを自立的に生産することはできなかった。

脂質膜小胞の内部でタンパク質を合成する人工細胞(右)。

図1. 脂質膜小胞の内部でタンパク質を合成する人工細胞(右)。

研究の経緯

細胞内のATPは主に細胞膜、またはミトコンドリア内膜に存在するATP合成酵素[用語6]によって合成される。ATP合成酵素が働くためには、あらかじめ膜内外のプロトン濃度勾配を形成する必要があり、これが直接のエネルギーとなる。プロトン濃度勾配は通常、呼吸や光合成による電子伝達系を経て形成される。

研究グループは、好塩菌から単離したバクテリオロドプシン(bR)[用語7] が光エネルギーからプロトン濃度勾配を形成することに着目し、bRとATP合成酵素を組み合わせることで、光によってATPを合成する人工細胞小器官を作製した(図2)。直径数百nmほどのこの人工細胞小器官を、細胞と同じくらいのサイズの大きな膜小胞(GUV[用語8])に閉じ込めて光を当てたところ、実際の細胞内と同じレベルのATPを人工膜の中に合成することができた。

ATP合成酵素とバクテリオロドプシンからなる人工細胞小器官と、それを含む人工細胞の概念図。

図2. ATP合成酵素とバクテリオロドプシンからなる人工細胞小器官と、それを含む人工細胞の概念図。

このように光で合成したATPを、転写(DNAからmRNAを合成する反応)の基質や、翻訳(mRNAからタンパク質を合成する反応)のエネルギーとして利用することで、光からタンパク質を合成する人工細胞を設計した。人工細胞はGUVの中に無細胞タンパク質合成系(無細胞系[用語9])を封入することでできる擬似的な細胞である。今回利用した無細胞系は、転写・翻訳反応に関わる36種類の酵素とリボソーム、様々な低分子化合物から組み立てた、再構築型の無細胞系である。ここからATPを取り除き、代わりにその前駆体であるADPを加えることで光によりATPを作る人工細胞をデザインした。

具体的には、光合成したATPからmRNAを合成し、翻訳と合わせることでGFP(緑色蛍光タンパク質)を合成した。また、アミノ酸をtRNA[用語10]に結合する際のエネルギーとして、または翻訳の直接的なエネルギー源であるGTP(グアノシン3リン酸)を合成するためのエネルギーとしてATPを消費することでGFPを合成した(図3)。生きた細胞の中ではATPを細胞内諸反応のエネルギー源として、あるいはmRNAの基質として消費している。そのため、今回、生きた細胞と同じことを人工細胞系で再現した事になる。

(a)光によりGFPを合成する人工細胞と、(b)合成されたGFPのタンパク質電気泳動による可視化。(c)光を当てた人工細胞の内、約60%が有意GFPを合成した。
図3.
(a)光によりGFPを合成する人工細胞と、(b)合成されたGFPのタンパク質電気泳動による可視化。(c)光を当てた人工細胞の内、約60%が有意GFPを合成した。

さらに、光合成されたATPからbRを合成することで、人工細胞小器官のATP合成活性を強化するような人工細胞をデザインした。合成されたbRは人工細胞内部の人工細胞小器官に組み込まれることでATP合成量が約1.5倍上昇。同じように、ATP合成酵素の膜部分(Fo)を光合成することで、約1.4倍上昇した(図4)。このことは、自分で自分のパーツを作ることで、細胞と同じような正のフィードバック構造を再現したことを意味する。

bRまたはFoの光合成による人工細胞小器官の活性の増加。bRmutまたはFo-amutは活性を欠損した変異体であるため、光合成後も人工細胞小器官の活性は変化しない。
図4.
bRまたはFoの光合成による人工細胞小器官の活性の増加。bRmutまたはFo-amutは活性を欠損した変異体であるため、光合成後も人工細胞小器官の活性は変化しない。

今後の展開

消費された後のATPはADPとリン酸に分解される。今回構築した人工細胞小器官は、このADPに再度リン酸をチャージし、再利用することができる。このようなエネルギーリサイクル系を人工細胞に組み込むことで、長期間反応を行う寿命の長い人工細胞ができると期待される。

タンパク質合成反応以外にも、ATPを反応エネルギーとして利用する数多くの細胞内反応を、本当の細胞に近い時空間条件で再現することができる。そのほかにも、光で生化学反応を制御するバイオデバイスの開発など、将来的な産業応用も期待できる。

用語説明

[用語1] 人工細胞 : 直径数μmから数十μmマイクロメートルの膜小胞の内部でタンパク質を合成する擬似的な細胞。内部に無細胞系を持つ。

[用語2] ATP : アデノシン3リン酸。アデノシンに3分子のリン酸が結合したエネルギー貯蔵分子。細胞内での様々な反応に消費される。

[用語3] 細胞小器官 : 細胞内部にある様々な機能を持つ構造体。ミトコンドリアや、葉緑体などがこれにあたる。

[用語4] 人工細胞小器官 : バクテリオロドプシンとATP合成酵素を直径約100 - 200nmの脂質膜(リポソーム)に構成した人工的な細胞小器官。光をあてることで、バクテリオロドプシンがリポソーム内に水素イオン(プロトン)を輸送し、これにより形成されたリポソーム内外のプロトン濃度勾配がATP合成酵素を駆動させることでATPを合成する。

[用語5] mRNA : 伝令RNA。タンパク質を合成するため、DNAの持つ遺伝情報をコピーしたRNA。

[用語6] ATP合成酵素 : 膜を介したプロトン濃度勾配をエネルギーとして、ADPとリン酸からATPを合成する酵素。F型のATP合成酵素は3種類の膜タンパク質と5種類の細胞質タンパク質から構成される。

[用語7] バクテリオロドプシン(bR) : 高度好塩菌が紫色の細胞膜上に持つ7回膜貫通型の膜タンパク質。光をあてると内部のレチナールが異性化し膜の反対側へプロトン分子をポンプする。

[用語8] Giant Unilamellar Vesicle (GUV) : 巨大膜小胞。リン脂質から構成されるカプセル状の膜構造。内部中空になっており様々な分子を内包することができる。

[用語9] 無細胞系 : 試験管内でDNAの持つ遺伝情報から転写翻訳を経てタンパク質を合成するバイオテクノロジーツール。個々の因子から再構築したものはPURE systemと呼ばれる。

[用語10] tRNA : 転移RNA。mRNA上の3つ文字記号を解読し、対応するアミノ酸をリボソームに運ぶ73~93塩基のRNA。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Artificial photosynthetic cell producing energy for protein synthesis
著者 :
Samuel Berhanu, Takuya Ueda, Yutetsu Kuruma
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 地球生命研究所 特任准教授

車兪澈

E-mail : kuruma@elsi.jp
Tel : 03-5734-2708 / Fax : 03-5734-3416

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東工大の研究力を紹介するパンフレット「Tokyo Tech Research」改訂

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このたび、東工大の研究を紹介するパンフレット「Tokyo Tech Research(東工大の研究力) 2019-2020」(日・英 改訂版)を発行しました。

各分野で活躍している38名の研究者を取り上げたリサーチマップ、研究ハイライト、科学技術創成研究院や各学院等の研究分野や研究への取り組みについて、それぞれ最新の情報を紹介しています。

Tokyo Tech Research 2019 - 2020

Tokyo Tech Research 2019 - 2020
Tokyo Tech Research 2019 - 2020

CONTENTS

東工大の研究概要

リサーチマップ2019-2020

研究ハイライト

研究院、学院等

ライブラリ

P2.3 東工大の研究
P2.3 東工大の研究

P4 TOKYO TECH RESEARCH MAP
P4 TOKYO TECH RESEARCH MAP

学内の配布場所や、郵送での請求方法については、以下のページをご確認ください。

お問い合わせ先

研究・産学連携本部 国際研究広報担当

E-mail : ru.staff@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3188

未来社会DESIGN機構(DLab) 2018年度のあゆみとこれから

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2018年9月に発足した「未来社会DESIGN機構(以下、DLab)」は、東工大と社会が一緒に、これまでの科学・技術の延長線上で予測する未来とは異なる「人々が望む未来社会」を考える場です。未来への道筋をデザインし、その未来デザインを社会と共有し、真の社会貢献を実現することを目指しています。

DLabは、学内だけでなく学外からも構成員を迎え、発足前から活動開始に向けた準備を活発に行ってきました。例えば、2018年6月と8月に構成員たちが本学に集まり、プレミーティングとプレワークショップを行いました。また、学内では少なくとも週1回以上のミーティングや打合せを行いました。これらの内容を踏まえて、10月28日、広く外部からの参加者を集めたキックオフイベントを開催しました。

以上の活動成果を反映した上で、2019年度からはより具体的なプロジェクトの始動を予定しています。

DLabは、東工大と社会が混ざる組織

DLabには、所属、役職、専門分野、年齢、性別と、あらゆるボーダーを超えた多様なメンバーが参加しています。東工大からは、学院やリベラルアーツ研究教育院、科学技術創成研究院等のさまざまな専門分野を持つ教員と多様な部署から集まった事務職員が参加し、専門分野の壁、教職員の壁を超えたアイデアを出しあっています。さらに、他大学の教員、行政、広告会社、メディアなど様々な分野の有識者が、世の中の期待や現状を可視化し、政策研究や課題解決の視点を提示していきます。このようなメンバーが、ワークショップなどのイベントに参加する東工大生、高校生や一般の方などと一緒に、30~50年先の豊かな未来社会像をデザインし、活動の輪を広げていきます。

指定国立大学法人としての強みを活かした「未来」のビジョン策定

DLab設立の背景には、東工大が指定国立大学法人となったことがあります。 2018年3月20日、東工大は、文部科学大臣から「指定国立大学法人」の指定を受けました。世界最高水準の教育研究活動の展開が見込まれる国立大学として選ばれたのは、現時点で、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、そして東工大の6大学です。

同年4月に就任した益一哉学長は、次のように語っています。

本学の指定国立大学法人構想は、これまで進めてきた教育改革・研究改革・ガバナンス改革を強みとして、創立150周年を迎えようとする2030年に向けて、更なる飛躍を目指すものです。本学は、卓越した教育研究活動により優秀な人材を社会へ輩出すること、及び優れた研究成果を還元することで、社会課題の解決を図るという国立大学としての責務を果たすとともに、本学の行っている活動をより広く発信することで社会との連携を一層強め、指定国立大学法人として豊かな未来社会の実現に貢献して参ります。

どのように「豊かな未来社会」を実現するか。そこで創設されたのが、DLabです。

DLabは、東工大と社会とが積極的に交わり「人々が望む未来社会とは何か」を一緒になって考え、そこに至る道筋をデザインしていく組織です。遠い未来像を夢想するだけでなく、現代社会において顕在化している課題とともに、将来の潜在的課題や生じ得る変化を分析し、「既存の科学・技術、政策」や「明らかになっていないが必要と目される科学・技術、政策」も併せて提示し、バックキャスティング(未来の視点から今を思考すること)により実現すべき未来社会像と、そこに至る道筋を導き出すことを目指しています。

これまでのDLab

2018年6月と8月にDLabの構成員たちが集まり、プレミーティング、プレワークショップを開きました。様々なバックグラウンドを持つ人たちがそれぞれの思い描く「未来」像を出し、どんな「未来」をDLabとして提案すべきか、その道筋をつけるためのアイデアを自由に出し合いました。そのイメージを軸に、さらにたくさんの外部の人々を招いた本格的なワークショップを開催して、DLabのお披露目としました。それが、10月に開催されたキックオフイベントです。

プレミーティング 個々の考える「未来」と「夢」を

6月1日に行われたプレミーティングでは、参加メンバーがグループワークでブレインストーミングを行い、学内外の構成員等で「未来」や未来に対する「夢」を描いていきました。

  • 科学・技術が底流にあるが、一見原始的な自給自足型の農耕経済が実現している社会こそが未来です
  • 2030年より遥か先の想像もつかない未来を、今見てみたい
  • 主観である幸せをなんとか数値化できると、未来が見えるはず
  • 地球の最後に思いを馳せたい。そのとき人類は、宇宙に羽ばたいているのか
  • ものづくりから、価値づくりの時代になる
  • 「~すべき」未来ではなく「~たい」未来
  • すべての武器を楽器にかえて
  • 「会いたい!」をかなえるスーパー交通システム

グループワーク終了後は、自由に考えた未来について、意見交換を行いました。

アラジンの魔法のランプにお願いするなら、こんな夢

アラジンの魔法のランプにお願いするなら、こんな夢

プレワークショップ 「未来のイメージ」を集約しよう

8月6日のプレワークショップでは、最初に、構成員のうち学外と学内からの数名に「私の創りたい未来社会のイメージ」を発表してもらいました。その後、構成員がその発表を基にグループワークを行い、グラフィックレコーディングで可視化されたイメージを共有し、参加者の未来のイメージを語り合いました。

話題が尽きないテーマ「未来」

話題が尽きないテーマ「未来」

  • 今よりベターなNEO東京を世界中の都市のモデルに
  • 冒険できる!楽観的で、帰れる場所があって、目的と違うものに興味があって
  • 時計の針をいつでも巻き戻せる自由を
  • 人々が生き生きとするために

ワークショップ終了後、多様なアイデアが出たこのワークショップを土台として、DLabで何度もミーティングを重ね、より具体的な「未来のイメージ」を集約していきました。

高校生から専門家まで、130名が集まったキックオフイベント

10月28日に行われたキックオフイベントには、DLabの構成員はもちろん、東工大の学生・教職員、学外からは高校生、社会人、卒業生、さらにメディア関係者など130名以上の多様な方々が参加しました。

テーマは「ボーダーを、超えよう。」

DLabの構成員である3名の教員が、専門分野からかんがみた「未来」を語り、その内容を元に参加者全員が4~5名のグループに分かれて議論し、最終的には全員がオリジナルの「未来のイメージ」を文字と絵で表現しました。

みんなの創造力を掻き立てる130以上の未来社会イメージの絵

みんなの創造力を掻き立てる130以上の未来社会イメージの絵

第1ラウンドは、工学院 電気電子系の岡田健一准教授の「無線のボーダーを超える」。第2ラウンドは、環境・社会理工学院 土木・環境工学系の鼎信次郎教授の「変化する地球の環境-『ボーダー』を考えるために-」。第3ラウンドでは、生命理工学院 生命理工学系の山口雄輝教授による「創薬の壁を超えて」。

1.通信、2.環境問題、3.医療・健康と、未来を考える上で不可欠な科学・技術のリアルを教えてもらった上で、3つのラウンドでは毎回メンバーを変えて、新鮮な顔ぶれで対話をしてもらいました。例えば、高校生とリベラルアーツ研究教育院の教員と東工大の卒業生とメディア関係者が同じテーブルで話し合うなど、未来を創造する上で理想的な「混ざり方」が実現し、オリジナリティ溢れるアイデアがたくさん出てきました。

今回のワークショップは、リベラルアーツ研究教育院の中野民夫教授が活用する「えんたくん」という折りたたみ式の丸いダンボールを4名の膝の上に乗せて、その上にメモを書いていく、というスタイルです。初めて経験した人にも、「お互いの距離が近いので自由に話ができる」「若い人が臆さず意見を出せる」「それぞれのアイデアを文字とイラストなどで繋いでいけるため、新しい考え方が生まれやすい」と大好評でした。

ワークショップのまとめとして、DLabの佐藤勲機構長(理事・副学長(企画担当))からは、こうする「べき」という未来よりもこうあり「たい」という未来をみんなで創造していきたいので、今後もより積極的にイベントやワークショップに参加してもらいたい、との要望がありました。最後にDLabの上田紀行構成員(リベラルアーツ研究教育院長)の司会で学外構成員とのミニシンポジウムが行われ、DLabへの大きな期待が語られました。

130名の参加者が描いた「私の創りたい未来」は、後日、東工大大岡山キャンパスの百年記念館にも展示されました。

これからのDLab

2年目を迎える2019年度には、いよいよ「未来社会像」を発信する予定です。

軸となるのは、キックオフイベントに集った130名以上の参加者が描いた未来像です。多様で膨大な個人個人が描いた未来像に込められたアイデアをどうやって活かし、DLabの「未来社会像」につなげていくのか。DLabはすでに何度となくミーティングを繰り返しています。数々の素晴らしいアイデアをただのアイデアで終わらせないためにも、DLabでは自由に未来を語れる場として、賛否両論を巻き起こすような未来社会像を社会に提示したいと議論を深めています。

もちろん、「人々が望む未来社会」像は1つではないはずです。異なった背景をもつ人々の未来像はさまざまですし、テーマや切り口によって「豊かな未来社会」のイメージは異なってきます。DLabは、社会の皆さんとの対話、未来社会像の提示とそこに至る道筋の共有というプロセスを幾度となく繰り返して、社会からの批評を得て、真に「人々が望む未来社会」を模索し続けます。

また、DLabの構成員である外部の専門家や教職員、イベントに参加した高校生や東工大生、メディア関係者などのインタビューをウェブ上で発信し、DLabの活動の魅力を視点を変えて伝えていきます。

DLabの取り組みは発足前の活動を含めた1年を経て、ようやくその緒についたばかりです。幸い、数多くの多様な人たちからサポートをいただき、より良い「未来」をデザインする用意が整おうとしています。ツイッターやフェイスブックも開始しましたので、楽しんでいただけるようなメッセージやコンテンツを発信します。また、楽しみながら未来を語れるワークショップやイベントの開催も予定しています。

どうぞ、今後もDLabの活動にご期待ください。

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東京工業大学 社会人アカデミー 2019年度ベンチャー未来塾開講のご案内

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本講座は2014年度に開講し、新たなビジネスチャンス獲得の場として、高い評価をいただいてまいりました。国の政策・立案に関わる府省庁関係者や新興上場企業執行役員が集い、毎回、講義とディスカッションを行います。開講以来、課題解決力を模索し、共に新たなビジネスチャンスを得られる場としてご好評いただいてまいりました。

共に未来を構想し、今後の豊かなネットワークを得るための場として、皆様のご受講を心よりお待ちしております。

日時
2019年5月21日(火)、5月28日(火)、6月4日(火)、6月11日(火)、6月18日(火)、6月25日(火)
場所
新丸の内ビルディング10F 東京21cクラブ
対象者
新興企業などで意思決定に関わる方
募集人数
20名(最少開催人数10名)
受講料
198,000円(税込)
申込期間
2019年3月1日(金)~2019年5月8日(水)まで
※定員となり次第締め切ります。なお、応募状況により締切日変更の可能性があります。
申込方法
社会人アカデミーウェブサイトouterから申込書をダウンロードし、必要事項を記入・押印のうえ、PDFファイルで東京工業大 学社会人アカデミー事務室までメール添付にて送付してください。

ベンチャー未来塾2019 チラシ表

ベンチャー未来塾2019 チラシ裏

お問い合わせ先

東京工業大学 社会人アカデミー事務室

E-mail : jim@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8722

協働研究拠点の第1号「コマツ革新技術共創研究所」を設置 先端科学技術と産業現場の知見を結集 機械部品の高機能化へ向け研究を深化

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東京工業大学とコマツは、東工大における新しい産学連携プログラム「協働研究拠点」の第1号としてコマツ革新技術共創研究所を2019年4月1日(月)に設置します。 東工大すずかけ台キャンパスに置かれた専用スペース(325 m2)に東工大・コマツ双方からの人材による企画室を設置し、連携テーマの探索、研究の企画機能を担う組織対組織の幅広い分野での連携を進めていきます。

(右から)東工大:科学技術創成研究院 大竹教授、益学長、コマツ:岩本専務執行役員CTO、開発本部 材料技術センタ 住谷所長

(右から)東工大:科学技術創成研究院 大竹教授、益学長
コマツ:岩本専務執行役員CTO、開発本部 材料技術センタ 住谷所長

経緯

東工大とコマツは2015年に組織的連携協定を締結し、建設機械などの高性能化に欠かせないトライボロジー技術※を中心として複数の共同研究を進めてきました。現場のノウハウや経験に依存してきたトライボロジー分野で、東工大の機械・材料・化学各分野の研究者とコマツの研究者による基盤的な研究を進めてきたことで、油圧ポンプの寿命延長など、実際の製品にも活用できる多くの知見を得てきました。

トライボロジー技術:潤滑、摩擦、摩耗、焼付きなど摺動にともなう現象を扱う科学技術

目的・今後の展開

今回設置する共創研究所では、これまでのトライボロジー研究をさらに深化させ、また機械要素全体に研究分野を拡げることで、機械部品の高機能化と長寿命化を図ります。さらに産業の現場で現出する未解明事象を基盤研究の源泉として、新たな研究分野を生み出していく構想です。そのために、共創研究所では東工大・コマツ双方からの人材による企画室を設置し、連携テーマの探索、研究の企画機能を担っていきます。

共創研究所の設置により、東工大にとっては学内にない産業現場の課題への接点、コマツにとっては自社が保有しない先端技術の獲得、さらに双方にとっては新たな人材育成の場の形成につながります。今後も東工大とコマツは、このような取り組みを通じて、先端科学技術と製造業のノウハウを結合して日本の産業競争力の底上げを図っていきます。

なお、東工大として共創研究所の設置は最初のケースとなり、コマツの国内大学における研究所の設置は、大阪大学に続き2校目です。

協働研究拠点とは

  • 企業と東工大の組織対組織の大型の連携を実現する新しい制度
  • 東工大が学内に拠点専用のまとまったスペースを確保し、共同研究を実行する
  • 拠点内に企画室を設けて新たな研究プロジェクトを計画し、連携の枠を拡大する
  • 企業は、自社の研究所の分所としての占有スペースを設けられる。それにより、関連する東工大研究室との密なコミュニケーションを可能にする

協働研究拠点コマツ革新技術共創研究所

協働研究拠点コマツ革新技術共創研究所

コマツ革新技術共創研究所の概要

名称
国立大学法人東京工業大学オープンイノベーション機構協働研究拠点コマツ革新技術共創研究所
場所
東京工業大学すずかけ台キャンパス S1棟 神奈川県横浜市緑区長津田町4259
設置期間
2019年4月1日(月)~2024年3月31日(日)
拠点長
大竹 尚登(東京工業大学 科学技術創成研究院 教授 科学技術創成研究院副研究院長)
副拠点長
住谷 明(コマツ 開発本部 材料技術センタ 所長)

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

研究者・留学生向け英文メールニュース 「Tokyo Tech Bulletin No. 54」を配信

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新規緑色蛍光タンパク質型グルコースセンサーを開発 リアルタイムで細胞内グルコースの動態を可視化

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要点

  • グルコースの細胞内での挙動を光学顕微鏡で可視化観察できるセンサーを開発
  • 3種の反応性が異なるセンサーを使い分け、広い濃度範囲のグルコースを検出
  • デュアルカラーイメージング、線虫個体内でのin vivoイメージングを達成

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の北口哲也准教授は東京大学 大学院総合文化研究科の坪井貴司教授、三田真理恵大学院生らと共同で新規緑色蛍光タンパク質型グルコース(ブドウ糖)センサー「Green Glifon[用語1]」の開発に成功した。センサーは緑色蛍光タンパク質[用語2]を基盤とし、グルコース添加により蛍光輝度が約7倍に上昇する。このセンサーは細胞内グルコースの動態を高い時空間分解能で検出でき、バイオイメージングの有効なツールとなる。

今回開発したセンサーはグルコースへのEC50[用語3]値が異なる3タイプ(50 μM、600 μM、4,000 μM)からなり、これらの使い分けで生理的な濃度域である数百μM~10数mMのグルコース濃度変化のほとんどを検出できる。そして、細胞内のグルコース動態に加え、細胞小器官特異的な可視化やカルシウムイオンとの同時可視化も実現した。また細胞だけでなく、線虫個体内のグルコース動態も可視化できることから、in vivo[用語4]イメージングにも適用できる。人工甘味料[用語5]とグルコースとの生理学的な相関を検討し、膵β細胞[用語6]への人工甘味料投与が細胞内のグルコース動態を攪乱させる可能性を見出した。

以上の結果から、開発した3タイプのセンサーは生細胞のリアルタイムなグルコース動態の観察を可能にし、細胞のエネルギー動態やその破綻による病態を解析するうえで、重要なツールになると期待される。

研究成果は「Analytical Chemistry(アナリティカル・ケミストリー)」オンライン版にて3月14日に公開された。

研究成果

北口准教授らは緑色蛍光タンパク質を基盤とした3種のグルコースセンサー (Green Glifon)を開発し、それらを利用した生細胞内グルコース動態の可視化に成功した。Green Glifonは分割した緑色蛍光タンパク質(Citrine)の間に、グルコース結合ドメイン配列を融合した構造を持つ(図1A)。

蛍光タンパク質とグルコース結合タンパク質をつなぐ、リンカー領域[用語7]の長さとアミノ酸配列を最適化することにより、グルコース添加時の蛍光輝度が約7倍に上昇した(図1B)。さらに、グルコース結合ドメインへ変異を導入することで、グルコースへの反応性が異なる3種の変異体を獲得することに成功した。3種のGreen GlifonのEC50値はそれぞれ50 μM、600 μM、4,000 μMであり(図1C)、濃度依存曲線の直線化の範囲から、8 μMから15 mMまでの濃度のグルコースを定量性高く検出できることが判明した。

Green Glifonの構造模式図とその性質

図1. Green Glifonの構造模式図とその性質


(A)分割した緑色蛍光タンパク質Citrineの配列の間に、グルコースへの結合ドメインとしてMglBの配列を挿入した。グルコースが結合ドメインへ結合すると、リンカー領域を通して構造変化がCitrineへ伝わり、蛍光輝度が上昇する。(B)3種のGreen Glifonの蛍光輝度変化率。グルコース添加で蛍光輝度が約7倍に増加する。(C)3種のGreen Glifonの各グルコース濃度への応答。それぞれのEC50値は44 μM(Glifon50)、590 μM(Glifon600)、3,800 μM(Glifon4000)となった。

Green Glifonをヒト子宮頸がん細胞株HeLa(ヒーラ)細胞に遺伝子導入し、細胞外にさまざまな濃度のグルコースを投与すると、その濃度に応答したGreen Glifonの輝度変化が見られた(図2)。さらに、細胞膜、核、ミトコンドリアへの局在化シグナルを融合したGreen Glifonによって、細胞小器官特異的なグルコース動態を可視化できた(図3A)。そしてGreen Glifonは、生きている線虫体内でも発現し、グルコース特異的な蛍光輝度変化を示したことから、in vivoイメージングへの適用が可能であることも示された(図3B)。

Green Glifonを用いた細胞内グルコース動態の可視化実験

図2. Green Glifonを用いた細胞内グルコース動態の可視化実験


HeLa細胞に各Green Glifonを導入し、3 mMまたは25 mMグルコースを投与した際の蛍光輝度変化を測定した。それぞれ、グルコース濃度に応答した蛍光輝度変化がみられた。

細胞小器官への局在化と生きた生物個体でのグルコース動態の可視化実験

図3. 細胞小器官への局在化と生きた生物個体でのグルコース動態の可視化実験


(A)細胞膜、核、ミトコンドリアへ特異的に発現させたGlifon600の蛍光輝度変化を測定した。ミトコンドリアでは蛍光輝度が変化せず、グルコースが取り込まれないことを示した。(B)線虫の咽頭筋にGlifon4000を発現させ、グルコースや他の単糖であるフルクトースを投与したときの蛍光輝度変化を測定した。グルコース投与時のみ、Glifon4000の蛍光輝度が上昇した。

また、マウス膵β細胞株であるMIN6 m9細胞に、Green Glifonと赤色カルシウム蛍光指示薬「Rhod2」を共導入し、グルコース刺激を与えると、両者の蛍光輝度の上昇を捉えることができた(図4)。この結果から、グルコースとカルシウム動態の2色同時可視化も可能であることが分かり、マルチカラーイメージングへの適用が期待された。

細胞内グルコースおよびCa2+動態の同時可視化実験

図4. 細胞内グルコースおよびCa2+動態の同時可視化実験


MIN6 m9細胞にGlifon4000とCa2+蛍光指示薬であるRhod2を共導入し、それぞれの蛍光輝度変化を測定した。高グルコース投与によって両者の蛍光輝度が上昇し、グルコースとCa2+動態との2色同時可視化が可能であることが示された。

最後に、インスリン分泌を司る膵β細胞の細胞株であるMIN6 m9細胞に人工甘味料を投与すると、細胞内グルコース濃度が上昇することが示唆された(図5)。この反応は、細胞外にグルコースがない条件では見られず、人工甘味料が膵β細胞内へのグルコース取り込みを促進させ、細胞内恒常性を攪乱させる可能性が示された。

膵β細胞株への人工甘味料による細胞内グルコース動態の攪乱

図5. 膵β細胞株への人工甘味料による細胞内グルコース動態の攪乱


MIN6 m9細胞にGlifon4000を導入し、25 mMの人工甘味料を投与した際の細胞内グルコース動態を測定した。細胞外にグルコースがない条件ではGlifon4000の蛍光輝度は上昇しないが、細胞外にグルコースがあるとGlifon4000の蛍光輝度が上昇した。人工甘味料投与の刺激によって細胞内へのグルコース取り込みが促進される可能性を見出した。*は p < 0.05、**は p < 0.01を示す。

背景

グルコース(ブドウ糖)は細胞の成長や増殖、血糖を調節するインスリンの分泌反応など、さまざまな生命活動や恒常性維持において重要な役割を果たしている。細胞内グルコースの動態は、細胞内の酵素の状態や細胞外からの刺激によってダイナミックに変化し、その代謝は、さまざまな生体反応の原動力となる分子を作り出す。

そして、グルコース代謝の破綻はホルモン分泌の異常を含むさまざまな細胞生理機能の変化を引き起こし、糖尿病を代表とした代謝疾患や神経障害など、個体レベルの病態にも深く関与する。したがって、細胞や個体におけるグルコース動態を明らかにすることはエネルギー代謝に関わる細胞生理機能だけでなく、病気の原因も明らかにできる可能性が高いと考えられる。

グルコース動態やそれを制御する関連分子の動態を、生きた細胞内で詳しく解析するためには、蛍光タンパク質を利用した分子センサーによる生細胞イメージングが有効であり、時空間分解能および汎用性が高いセンサーの開発が待ち望まれていた。

研究の経緯

蛍光タンパク質を利用した分子センサーはフォルスター共鳴エネルギー移動(Förster resonance energy transfer, FRET)型[用語8]と単色蛍光型の2種に大きく分けられる。以前に開発されていたFRET型のグルコースセンサーにより細胞内のグルコース動態の可視化は達成されていた。しかしながら、1つの検出分子に対し、2種類の蛍光を検出する必要があるという構造的なデメリットを抱えており、分子間の機能相関や階層性を検討するマルチカラーイメージングには不向きだった。一方、北口准教授らの研究グループとほぼ同時期に開発された単色蛍光型グルコースセンサーは、哺乳類由来の細胞内や生体内でのグルコース動態の可視化には適用されていなかった。

今後の展開

今回、開発したグルコースセンサー Green Glifonは、従来の技術では実現が難しかった、生細胞におけるグルコースと異なる分子の同時可視化を可能にし、マルチカラーイメージング技術への応用が期待された。そして細胞レベルだけでなく、生物個体での可視化解析が可能なことから、グルコース代謝を制御する分子基盤、エネルギーの恒常性を維持する機構、その機構の破綻による病態の解明への貢献が期待される。

用語説明

[用語1] Green Glifon : Green Glucose indicating fluorescent proteinの略。以前に開発したATPセンサーMaLionに倣って、キメラ動物から命名。

[用語2] 蛍光タンパク質 : 発色団をもち、ある特定の光(励起光)を吸収し、吸収した光よりも波長が長い光(蛍光)を放出する性質を持つタンパク質。今回開発した蛍光タンパク質センサーは、蛍光タンパク質と標的分子へ結合するタンパク質の配列を融合したもので、標的分子の結合または解離によって蛍光タンパク質の蛍光輝度を変化させ、標的分子の濃度変化や活性などを蛍光輝度の変化を通して検出する。

[用語3] EC50 : 50%効果濃度(半数効果濃度)。薬物や抗体など、今回はセンサーが最低値からの最大反応の50%を示す濃度のこと。

[用語4] in vivo : イン・ビボ。「生体内で」という意味。in vitro(イン・ビトロ)は「試験管内で」という意味。

[用語5] 人工甘味料 : 甘味をもつ化合物で、食品などの甘味料として広く使用される。天然には存在せず、合成甘味料とも呼ばれている。細胞表面の受容体に受容されることで甘味シグナルを誘導するが、細胞内には取り込まれず代謝もされないため、生体はエネルギーとして利用することができない。

[用語6] 膵β細胞 : 膵臓のランゲルハンス島にある内分泌細胞。血糖値を調節するインスリンを合成・分泌する。

[用語7] リンカー領域 : タンパク質同士をつなぐ、数個から数十個のアミノ酸からなる領域。

[用語8] フォルスター共鳴エネルギー移動型 : FRET型。2色の蛍光タンパク質と標的分子結合部位が連結された構造をしている。標的分子と結合、もしくは解離することで構造が変化し、2つの蛍光タンパク質の距離が近づくことで、片方の蛍光タンパク質の励起エネルギーがもう片方へと移動し、蛍光比が変化することを利用する。

論文情報

掲載誌 :
Analytical Chemistry
論文タイトル :
Green fluorescent protein-based glucose indicators report glucose dynamics in living cells
著者 :
Marie Mita#, Motoki Ito#, Kazuki Harada, Izumi Sugawara, Hiroshi Ueda, Takashi Tsuboi, Tetsuya Kitaguchi#共同筆頭著者、共同責任著者)
DOI :

お問い合わせ先

研究に関すること

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

准教授 北口哲也

E-mail : kitaguct-gfp@umin.ac.jp
Tel : 045-924-5270 / Fax : 045-924-5248

東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系

教授 坪井貴司

E-mail : takatsuboi@bio.c.u-tokyo.ac.jp
Tel : 03-5465-8208 / Fax : 03-5465-8208

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


新規な分子進化のルーツを持つ糖鎖分解酵素の発見 真核生物由来endo-β-1,2-グルカナーゼの単離同定及び機能構造解析

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研究の要旨

東京理科大学 理工学部 応用生物科学科 田口速男教授および中島将博講師、東京工業大学 理学院 化学系 宮永顕正助教らのグループは、天然では希少な多糖である“β-1,2-グルカン”を内部より加水分解する、真核生物由来のβ-1,2-グルカナーゼを初めて単離同定することに成功し、そのアミノ酸配列、機能および立体構造から糖加水分解酵素の新規なファミリーを創設しました。また、本酵素が既知の糖加水分解酵素とは異なるユニークな反応機構をもつことも明らかにしました。

本研究成果はThe Journal of Biological Chemistry誌に3月29日付け(米国東部時間)で掲載されました。

研究の背景

β-1,2-グルカンとは一部の共生細菌や病原性細菌が合成・分泌する多糖であり、宿主への共生や感染、また細胞内浸透圧の調節物質として知られています([参考論文1][参考論文2])(図1A)。また、環状β-1,2-グルカンの誘導体は合成フラボノイド(ビタミン様物質)の一種の水溶性を非常に向上させることが報告されています[参考論文3]。天然では希少とされていますが、近年、当グループにより直鎖状β-1,2-グルカンの人工的な(酵素法による)大量調製法が確立され[参考文献4]、β-1,2-グルカンに作用する関連酵素の探索が容易になりました。

β-1,2-グルカンを内部より加水分解するβ-1,2-グルカナーゼ(SGL)はそのうちの一つであり、2017年に原核生物由来SGL(CpSGL)の単離及び同定が行われ、新規な糖加水分解酵素(GH)のファミリー[用語1](GH144)が創設されています[参考文献5]。しかし、真核生物にもβ-1,2-グルカン分解活性を示す微生物が報告[参考文献6]されているにもかかわらず、CpSGLの近縁酵素の中には真核生物由来のものは全く見出されませんでした。そのため、真核生物と原核生物ではSGLの起源が異なると考えられます。

研究成果の概要

唯一の炭素源として大量調製された直鎖状β-1,2-グルカンを用いて、培養液上清中にβ-1,2-グルカン分解活性が認められる糸状菌Talaromyces funiculosusからSGL(TfSGL)の精製・単離を行いました。本酵素の遺伝子同定により判明した全アミノ酸配列から近縁酵素を系統的に検索したところ、既知のGHは全く見出されませんでした(図1B)。また、これら近縁酵素のほとんどは真核生物由来のものであり、粘菌や子のう菌に機能未知タンパク質として分布していました。したがって、本酵素は、これらの機能未知タンパク質とともに、新規GHファミリーを構成していることが示唆されました。

β-1,2-グルカンの構造(A)とTfSGLの系統樹(B)

図1. β-1,2-グルカンの構造(A)とTfSGLの系統樹(B)


(B)TfSGL及びその近縁タンパク質の中に、既知のGHは全く見出されませんでした。また、近縁タンパク質のほぼ全てが真核生物由来のタンパク質でした。

酵母を宿主とした組換え型TfSGL(TfSGLr)は、天然型酵素と同様にβ-1,2-グルカンに対して特異的な分解活性を発揮しました。さらに生化学的な機能解析から、本酵素が基質内部から分解を行うendo[用語2]の分解活性を示すこと、アノマー反転型[用語3] の反応機構を持つこと、5糖以上のβ-1,2-グルコオリゴ糖(Sopns、nは結合したグルコースの分子数を示す)に作用し、その還元末端から主にSop2を遊離することも明らかになりました。

本酵素には立体構造既知の近縁酵素がありません。そこで、ヨウ素の異常分散効果を利用して位相決定を行い、(α/α)6 toroid foldの全体構造を有するTfSGLrの立体構造の決定に成功しました。さらに、本酵素の触媒機構および基質認識機構を解明するために、非活性型変異体E262Q(262番目のグルタミン酸をグルタミンに置換した変異体)とβ-1,2-グルカンを用いてミカエリス複合体構造[用語4] を構造解析から取得しました(図2)。

TfSGL-β-1,2-グルカン複合体の全体構造及び基質ポケット構造

図2. TfSGL-β-1,2-グルカン複合体の全体構造及び基質ポケット構造


クレフト状の基質ポケットにしっかりと基質が結合していました。

GH酵素において一般的なアノマー反転型の反応機構では、切断部位へ直接プロトン供給可能な距離と求核水を直接活性化可能な距離に酸性残基(それぞれ一般酸触媒、一般塩基触媒)が存在します[参考文献7]。しかし、大変興味深いことに、本酵素にそのような残基は見出されませんでした。そこで、切断点近傍に位置するすべての触媒候補アミノ酸残基に対して部位特異的置換変異体を作成し、それらのβ-1,2-グルカンに対する活性を調べたところ、E262、D177(一般酸触媒候補)及びD446(一般塩基触媒候補)の3変異体に顕著な活性低下が認められました。D446はβ-1,2-グルカンとの複合体構造中において、求核水とは別の水分子を介して求核水と相互作用可能な距離に存在していることから、この残基が一般塩基触媒である可能性が強く示唆されました。一方で、D177及びE262は、それぞれ基質自身の別々な3位ヒドロキシ基を介して基質の切断部位の酸素原子と相互作用しており、これらのいずれかが一般酸触媒としてはたらくことが示唆されました。

そこで、D177及びE262のどちらが一般酸触媒かを決定するために、各々の残基と相互作用する3位ヒドロキシ基の酸素原子を除去した(各残基から基質の切断部位への作用が遮断された)基質誘導体に対する分解活性を調べました。その結果、E262と相互作用するヒドロキシ基が還元された基質のみで分解が認められませんでした(図3)。この結果は、E262が基質の3位ヒドロキシ基を介して一般酸触媒残基として機能することを示しており、本酵素が触媒機構の上でも新規な特徴をもつことが明らかになりました(図4)。

推定されたTfSGLの一般酸触媒経路

図3. 推定されたTfSGLの一般酸触媒経路


構造解析より推定された基質の3位ヒドロキシ基(3-OH)を介して行われる触媒経路。赤色は酸素原子を表します。基質の3位ヒドロキシ基の酸素原子を還元して除去すると触媒経路が遮断されました。

本研究により明らかになったTfSGLの触媒機構

図4. 本研究により明らかになったTfSGLの触媒機構


基質の一部を介して作用する一般酸触媒及び求核水とは別の水分子により求核水を活性化させる触媒反応を行う一般塩基触媒。いずれにおいても、TfSGLの反応機構は一般的なアノマー反転型酵素とは異なるものでした。

今後の展望

β-1,2-グルカン関連酵素の研究は、基質の大量合成法確立を皮切りに、近年急速に進展しています。本研究により報告した真核生物由来SGLに関する知見は、原核生物由来SGLと真核生物由来SGL間での分子進化を明らかにするための一助となり、新規なβ-1,2-グルカン関連酵素を発見するために役立つと考えられます。また、真核生物由来SGLは共生、または寄生を行う菌に多く存在することから、本酵素や、その近縁酵素は真核生物の共生や寄生に何らかの関わりをもっているかもしれません。

さらに、TfSGLの触媒機構は一般的な反転型酵素のものとは一般酸及び一般塩基触媒の両者において異なる非常に特殊なものでした。いずれか一方が異なるGH酵素は稀に報告されていますが、両者とも異なるものは本酵素が初めてです。本研究成果の知見は、他のGH酵素群のまだ見つかっていない多様な反応機構の推定や解析やTfSGLと同様の反応機構をもつ新規な酵素の発見につながると考えられます。

用語説明

[用語1] GHファミリー : GHは、基本的に酵素のアミノ酸配列によって分類され、CAZy(Carbohydrate-Active enZYmes Database)には161のファミリー(2019年3月22日現在)が設立されています。しかし、非常に多種多様な糖鎖に対して非常に数が少なく、今後も新規なファミリーが発見されていくと考えられます。

[用語2] endo : ポリマー基質の末端からではなく、内部から加水分解を行う分解様式のことです。末端のない基質(環状基質)に対しても活性を示すことが可能です。

[用語3] アノマー反転型酵素 : 図4(左)で示した基質のアノマー位のヒドロキシ基の向きが反応産物で反転する酵素のことです。一般的には2つの酸性アミノ酸残基がそれぞれ一般酸触媒および一般塩基触媒として働きます。この触媒機構では、切断部位近傍に存在する一般酸触媒が直接グリコシド結合中の酸素原子をプロトン化します。同時に、一般塩基触媒が求核攻撃を行う水分子(求核水)を活性化し、求核水がアノマー位炭素原子に求核攻撃することにより分解が生じます。

[用語4] ミカエリス複合体 : 酵素が基質に結合し、反応が生じる直前の複合体構造を表します。

参考論文

[1] Dylan, T., Ielpi, L., Stanfield, S., Kashyap, L., Douglas, C., Yanofsky, M., Nester, E., Helinski, D. R. and Ditta, G.(1986)Rhizobium meliloti genes required for nodule development are related to chromosomal virulence genes in Agrobacterium tumefaciens. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 83, 4403–4407.

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論文情報

掲載誌 :
The Journal of Biological Chemistry
論文タイトル :
Identification, characterization and structural analyses of a fungal endo-β-1,2-glucanase reveal a new glycoside hydrolase family
著者 :
Nobukiyo Tanaka, Masahiro Nakajima, Megumi Narukawa-Nara, Hiroki Matsunaga, Shinji Kamisuki, Hiroki Aramasa, Yuta Takahashi, Naohisa Sugimoto, Koichi Abe, Tohru Terada, Akimasa Miyanaga, Tetsuro Yamashita, Fumio Sugawara, Takashi Kamakura, Shiro Komba, Hiroyuki Nakai and Hayao Taguchi
DOI :
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