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大岡山キャンパスに、東工大生のためのコワーキング・スペース「Attic Lab」が誕生

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4月19日、東工大大岡山キャンパス第一食堂2階に、本学学生が主体的に企画・プロデュースをしたコワーキング・スペース「Attic Lab(アティックラボ)」(以下、Attic Lab)が誕生しました。

Attic Labの様子

Attic Labの様子

Attic Labは本学学生のためのコワーキング・スペースで、スタートアップを創業したい、これから何か新しいことを始めたい、自分のアイデアを実現したい、さまざまなイベントを通じてネットワークを広げたい、といった目的を持つ東工大生が集まる場です。

学生設計メンバー 笹田知里さん(環境・社会理工学院 建築学系 修士課程2年)のコメント

学生による自主施工の様子 壁塗り
学生による自主施工の様子 壁塗り

空間をデザインするにあたって、まず今回の場所のコンセプトである、東工大生にとっての「秘密基地」を具体化し、「それぞれの専門の知識を持ち寄り『集合知』、最初は隠れた場所でこっそり、しかし着実に『オタク感』、試行錯誤を繰り返し『実験室』、時が来たら天井を突き破って世に出ていく『屋根裏部屋』」といった空間コンセプトのキーワードを導き出しました。「オタク感・実験室・屋根裏部屋」というキーワードからは「色や素材感の持つ荒さ、タフさ、堅実さ、不器用さ」を持つ空間をイメージし、それを「木・コンクリート・金属・モノクロなどの異なる色や素材感の組合せ」によって構成することで「集合知」を表現しました。また、構成材毎のデザインは「集合知」を生かすことに重点を置きました。

1)「集合知」の活動をドライブさせる天井デザイン

アルミホイルで仕上げられた天井中央部分が光を反射し、既存の天井形状も相まってより明るくなることで、空間の中心に視線や活動が集中するようにしました。

2)「集合知」を共有するコミュニケーションツール

キャンバスのような白い壁は、付箋やメモなどを貼ってアウトプットを可視化させるツールとしました。また、木の可動棚は学生の活動成果を展示・発信するツールとして、木板のステーショナリーウォールは利用者の偶発的な会話を生み出すツールとして、それぞれデザインしました。

3)「集合知」が増殖するコレクティブアート

この空間は、学生の使い方によって改修・更新されることを推奨しています。個々の活動によって多様に彩られていく、コレクティブアートのベースとなるデザインとしました。

学生による自主施工の様子 天井仕上け
学生による自主施工の様子 天井仕上け

学生による自主施工の様子 床施工
学生による自主施工の様子 床施工

学生による自主施工の様子 家具つくり
学生による自主施工の様子 家具つくり

今回の自主改修に当たっては、研究・産学連携本部の方々、東工大卒業生の方々、地域の内装業者・工務店の方々など、多くの方々からアドバイスやサポートをいただいたおかげで、施工を実現させることができました。そして自主施工の作業には、建築学系の学生だけでなく、様々な系・コースの学生に集まってもらえ、完成させることができました。ほぼ全員が初めての施工作業という中、自ら状況を理解し、考え、互いに意見を交わしながら、積極的に進めていく姿に、ものつくり大学の学生としての飲み込みの早さや技術力の高さを改めて実感しました。空間デザインや企画運営といった形で場づくりに参加し、起業やスタートアップの道を目指す学生たちをサポートすることで、この大学の学生の持つ潜在能力を、より多様な形で生かしていきたいと強く思いました。Attic Labでは、私のように、それぞれに合った関わり方で、場づくりへの参加を歓迎しています。一緒に楽しく場を盛り上げましょう!

学生運営メンバー 野村彩乃さん(工学院機械系学士課程2年)のコメント

私達はこれまで、東工大に必要なコワーキング・スペースとはどのような形なのか議論を重ねてきました。また、第一食堂2階のレセプションルームをリフォームする過程も学生に手伝ってもらいながら行ってきました。私たちは「オープン時の姿は完成形ではない」と考えています。それはこの場所が、屋根裏部屋(Attic)の実験場(Lab)であり、自分たちでこっそりと、しかし自由に、場の改修・更新を繰り返していく、「秘密基地」のような空間にしたいと考えているからです。

Attic Labを実際に、スタートアップや起業をしている学生やビジネスコンテストに出場している学生に使っていただきたいのはもちろんなのですが、学内にはスタートアップや起業に興味のある学生や学内で開かれているビジネスコンテストの存在を知っている学生が少ないと感じています。そのためAttic Labでは、スタートアップを身近に感じられるような講演会を行ったり、アイデア出しからプロトタイプまで行うアイデアソンのようなイベントも行っていきたいと考えています。学生自らが企画、設計、施工に携わり、今後も学生主体の企画・運営で進めていきます。

Attic Labの利用やイベント情報については、随時Facebook(フェイスブック)に掲載します。Be more creative!(思うがままに作ろう!)を合言葉にAttic Labファミリーとして東工大を盛り上げて行きましょう!

Attic Lab設立までの経緯

研究・産学連携本部ベンチャー育成・地域連携部門では、学生のアントレプレナー精神を涵養する環境を整備するため、学生が活動できる「場」の提供や、ビジネスアイディアコンテストの企画・開催、その後のメンタリングなどの支援を行っています。

Attic Labプロジェクトは、このような支援の一環として、主として学生のアントレプレナー・マインドの育成や在学生と卒業生・実業家とのネットワーク作りの場を形成する目的で発案されました。

このプロジェクトを実施するにあたっては、学生の自主性を重んじ、学生自らが企画・設計・施工に携わりこの場を完成させ、完成後も学生主体で、企画・運営を行っていくこととしています。

また、企画・運営を担当する学生へのメンター支援を株式会社みらい創造機構在職の卒業生が、デザイン・建築を担当する学生へのメンター支援を株式会社ツクルバ在職の卒業生が協力しました。

開所式テープカット

開所式テープカット

Attic Labは、その誕生まで学生の自主性を重んじ、本学卒業生とのネットワークを大切にした活動をしてきました。

これからも「東工大生が新しいことを始める場」として当初の理念を大切にして発展させていきます。

お問い合わせ先

研究・産学連携本部 ベンチャー育成・地域育成部門

E-mail : venture@sangaku.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2479


「移民と宗教」理工系学生能力発見・開発プロジェクト第13回シンポジウム開催

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東京工業大学の理工系学生能力発見・開発プロジェクトは創造性の育成と国際的リーダーの育成を目的として、本学学生が主体となってシンポジウム開催などに取り組んでいます。その一環として、1月17日に第13回シンポジウム「移民と宗教~宗教の異なる人の共存~」を大岡山キャンパスで開催しました。学生から社会人までさまざまな所属や年齢の方約39名が来場し、宗教に興味と関心を持っていることがうかがえました。

シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

2018年12月に出入国管理法の改正が成立し、多くの外国人が日本へやってくることが予想されます。外国人や異なる宗教を持った人々とどう接していくべきなのかを考える機会として、本学 リベラルアーツ研究教育院の弓山達也教授と大正大学の星野壮専任講師をパネリストとしてシンポジウムを行いました。

問題の所在を整理し星野氏に問いかけをする弓山教授
問題の所在を整理し星野氏に問いかけをする弓山教授

弓山教授からの問いを受けて講演する星野氏
弓山教授からの問いを受けて講演する星野氏

シンポジウムの冒頭、弓山教授が仕事のために来日している外国人とそのご家族や、留学生などの日本に居住する外国人が増加した背景や、外国人が日本でどのように生活し、宗教とどのように関わっているのか、と質問を投げかけました。これに対する返答として、僧侶でもある星野氏による講演が行われました。星野氏は、在日ブラジル人を例にとり、彼らに対応した街や店を紹介し、彼らの意識について話しました。「多くの在日ブラジル人は、日本に来てから日本とブラジル文化との差異を感じることで自分が『ブラジル人』であると強く認識するようになる。宗教活動が自分のアイデンティティの剥奪体験の埋め合わせだったり対抗アイデンティティの表れとなったりするのではないか」と語りました。また、「日本人は無宗教だと言われているが、これから外国人が増えていくと予想される現代において、宗教についてリテラシーを高め、多文化に対してより寛容になる必要がある」と指摘しました。

参加者とのディスカッションでは、日本ではあまり宗教的でないという自覚を持つ人が多い中で、異なる宗教間での交流などの話題を含め、あらゆる角度から宗教について議論が行われました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

シンポジウム司会を務めた後藤美奈さん(生命理工学院 生命理工学系 学士課程3年)のコメント

司会を担当した後藤さん
司会を担当した後藤さん

今回のシンポジウムは宗教をテーマに行われました。私自身、1年目に宗教学を文系科目として選択し学んだことから、宗教に非常に関心がありました。宗教そのものを理解するだけでなく、宗教を通して他者を知ることが自己を知ることに繋がるのだと学びました。宗教にかかわらず、他の文化を学ぶことが相互理解へと進み、自らを豊かにすると考えるようになりました。

理工系学生能力発見・開発プロジェクトとは

創造性の育成と国際的リーダーの育成を目的として本学が主催する、本学の学士課程学生を対象としたプロジェクトです。シンポジウムのテーマ立案からパネリストへの出演交渉、開催当日の司会や運営など、全ての活動を学士課程学生が主体となって行っています。現在の取り組みはシンポジウムの開催、特別講義の開催、国内学会の見学の3つが中心です。創造性、国際性、リーダーシップをはじめ、企画力、交渉力、コミュニケーション力といった参加学生の総合的な人間力を養います。

2018年度には、特別企画「東工大生と日本科学未来館を巡る会」(8月20日、24日)の開催、今回のシンポジウム「移民と宗教~宗教の異なる人の共存」(1月17日)の開催、日本植物学会、日本生化学会、日本脳科学会への参加(第3~4クォーター)への参加を実施しました。

2019年度はまず、2019年6月26日(水)に認知神経科学に関する特別講義を開催する予定です。

お問い合わせ先

学生支援センター自律支援部門

E-mail : siengp@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7629

理学院講演会「Event Horizon Telescopeは何を見たのか」開催報告

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4月24日、大岡山キャンパスのレクチャーシアターで第2回理学院講演会「Event Horizon Telescope (イベント・ホライズン・テレスコープ)は何を見たのか」を開きました。

4月10日、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」の研究チームが史上初めてブラックホールを撮影したと発表しました。ブラックホールとその外側を分ける境界面(ブラックホールの表面)を「事象の地平面(イベント・ホライズン:event horizon)」と呼びます。

このニュースを受け、理学院 物理学系の須山輝明准教授がブラックホールの理論的背景について、また、理学院 物理学系の河合誠之教授が、観測の原理および将来への展望を、数式を交えながらも平易に解説しました。

本学学生、高校生を含め、小学生から成人まで約180名の参加者があり、講演後、活発な質疑応答がありました。

熱心な質問が続いた講演会

熱心な質問が続いた講演会

手製のブラックホールを手に解説する須山准教授

手製のブラックホールを手に解説する須山准教授

登壇者・主催者のコメント

須山准教授

講演会にお越しいただきありがとうございました。多くの方からご質問をいただき、一般相対性理論やブラックホール、今回のイベントホライズン望遠鏡の成果に対する皆さんの熱い興味に感銘を受けました。今回の講演で、宇宙のサイエンスが皆さんにより身近なものになったと感じてくれたら嬉しいです。

河合教授

予告が開催直前だったにもかかわらず多くの参加者にお集まりいただいたことは嬉しい驚きでした。今回解説したのは私の研究成果ではありませんが、多くの方がブラックホール天体に興味をお持ちということは、私自身の研究の励みにもなります。直ちに社会に役立つかどうかはひとまずおいて、純粋な好奇心に駆られた研究への参加や応援をよろしくお願いいたします。(宇宙の研究が役に立たないとは言っていません。念のため)

山田光太郎理学院長

講師のお二人の楽しそうな空気が会場に溢れた会でした。参加者の皆様、急な告知にもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございました。多くの質問をいただいたおかげで講演会がまとまり、完成したように思います。また理学院講演会にてお目にかかるのを楽しみにしております。

東工大入試問題を例に講演する河合教授

東工大入試問題を例に講演する河合教授

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お問い合わせ先

理学院

E-mail : rig.jim1@jim.titech.ac.jp

5月16日15:30 本文に一部修正が入りました。

東工大を目指す方へ -リーフレット発行

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「お理工だけじゃ ダメなんだ。」

中高生のあなたが想い描く未来とは。

あなたの学びの選択肢として、東工大を知っていただく機会となることを願って、リーフレットを発行しました。

「お理工だけじゃ ダメなんだ。」

東工大からのメッセージをぜひ受け取ってください。

あなたの心にひっかかる言葉を一つでもみつけたら…。

それがあなたと東工大の出会いです。 

東工大が気になった人へ。

高校生・受験生に向けた以下のウェブサイトを始め、パンフレットやガイドブックをたくさん用意しています。

東工大ボート部 第62回五大学レガッタ 優勝

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東京工業大学 端艇部(ボート部)が、4月27日に戸田ボートコース(埼玉県戸田市)で開催された「第62回五大学レガッタ」に出場し、男子エイト、男子舵手付きフォア、男子シングルスカルで優勝しました。

五大学レガッタは、1919年の東京高等工業学校(現・東京工業大学)と東京外国語学校(現・東京外国語大学)との対校レースを起源とした大会で、1958年から中断することなく毎年開催されている伝統戦です。参加校は東京工業大学、東京外国語大学、東京海洋大学、筑波大学、防衛大学校の5大学です。

今大会では、ボート競技の花形である男子エイトで3年連続の優勝、セカンドクルーである男子舵手付きフォアや男子シングルスカルも2年連続で優勝を飾ることができ、幸先の良い今シーズンのスタートがきれました。また、本学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行教授も会場に応援に駆け付け、OB、OGを含めたくさんの方々と勝利の喜びを分かち合いました。

優勝を喜ぶ現役部員とOB・OG
優勝を喜ぶ現役部員とOB・OG

男子エイト

男子エイトの優勝メンバー

男子エイト優勝メンバー
(左から、服部さん、奥井さん、中森さん、井上さん、
清水さん、白形さん、原さん、内田さん、村田さん)

エイトは、両手で一本のオールを持って漕ぐスウィープタイプのボートで、8人の漕手(ローワー)が二手のサイドに分かれ、それとは別に舵手(コックス)が1人乗り、1チーム9人により構成される競技です。優勝したメンバーを紹介します。

  • 清水健太郎さん(物質理工学院 材料系 学士課程2年)
  • 井上幸大さん(工学院 経営工学系 学士課程4年)
  • 服部広暉さん(工学院 機械系 学士課程4年)
  • 原哲郎さん(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 学士課程3年)
  • 村田翔太郎さん(情報理工学院 情報工学系 学士課程4年)
  • 白形一将さん(工学院 機械系 学士課程2年)
  • 内田陸さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程3年)
  • 中森康友さん(工学院 機械系 学士課程4年)
  • 奥井優さん(理学院 地球惑星科学系 学士課程4年)

クルーチーフ 中森さんのコメント

研究室での生活はかなり忙しいですが、自分で試行錯誤していく楽しさを感じ始めています。今大会では1カ月の練習でやってきた成果が実り、無事優勝することができました。しかし、課題も多く見つかった大会でした。これから夏の大会まで、研究もしつつ、さらに気を引き締めて頑張っていこうと思います。

男子舵手付きフォア

男子舵手付きフォア優勝メンバー

男子舵手付きフォア優勝メンバー
(上段左から、小木曽さん、田辺さん、増田さん、野瀬さん、
下段、飯嶌さん)

舵手付きフォアは、「漕手が4人となったエイト」ともいえる競技で、舵手(コックス)1人が加わるため1チーム5人で構成されます。優勝したメンバーを紹介します。

  • 飯嶌大樹さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程2年)
  • 小木曽喬皓さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 学士課程3年)
  • 増田章吾さん(理学院 地球惑星科学系 学士課程2年)
  • 田辺洋輝さん(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 学士課程2年)
  • 野瀬保憲さん(工学院 経営工学系 学士課程2年)

クルーチーフ 小木曽さんのコメント

日々の練習がこうして形になるのは、最高に嬉しいです。ボートに限った話ではなく勉強もですが、結局、付け焼き刃ではなく時間をかけてつくったものは強いな、と感じます。東工大ボート部の次なる目標はインカレ入賞です。ボートも勉強も1日1日を大切に頑張りますので、注目していてください。

男子シングルスカル

男子シングルスカル優勝の増田さん

男子シングルスカル優勝の増田さん

シングルスカルは、オールを2本持ってスカルタイプのボートを1人で漕ぐ、ボート競技唯一の個人種目です。優勝したメンバーを紹介します。

  • 増田大樹さん(工学院 システム制御系 学士課程4年)

増田さんのコメント

昨年の宣言通り、今年も優勝することができて嬉しく思います。私の研究内容はボートをいかに速く進めるかにも関わってくるので、その成果が出たのかもしれません。今年で引退になってしまいますが、ボートと研究をより一層頑張り、最後の大会で悔いが残らない結果を出せるよう努力していきます。

益学長への優勝報告
益学長への優勝報告
(左から、端艇部部長の小酒英範教授、端艇部主将の服部さん、益一哉学長、端艇部主務の久保宰さん)

東工大基金

端艇部の活動は東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

東京工業大学端艇部

E-mail : titboat@green.ocn.ne.jp
Tel : 048-442-5581

和田章名誉教授が2019年日本建築学会大賞を受賞

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本学の和田章名誉教授が、一般社団法人日本建築学会による2019年日本建築学会大賞を受賞しました。本賞は、和田名誉教授の「耐震建築の構造デザインに関する研究・開発および国際活動への貢献」に対して授与されたものです。

日本建築学会は1886年に創設され、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかることを目的とする学術団体です。日本の建築界において主要な役割を果たしており、現在、約3万5千名の会員が所属しています。日本建築学会大賞は、建築に関する学術・技術・芸術の発展向上に長年の業績を通じて、特に著しく貢献した個人会員(表彰件数は原則として年2件)を対象として選定され、受賞者には賞状と賞牌が贈られます。2019年各賞贈呈式は2019年5月30日(木)に建築会館ホール(東京都港区)にて行われます。

和田名誉教授のコメント

和田章名誉教授
和田章名誉教授

1945(昭和20)年の終戦から5ヵ月後に疎開地の岡山県玉野市で生まれ、平和で自由、そして希望に満ち溢れた時代を生きてきました。東京工業大学に入学したとき東京オリンピックの開催があり、素晴らしい先生に恵まれ、修士課程を修了した年に大阪万博が開かれました。

目まぐるしく変化した時代、コンピュータの飛躍的な発展と解析技術の進展、多くの実験研究、具体的な構造設計・耐震改修設計など、東京工業大学、日本建築学会を中心に、多くの仕事を続けることができました。

「平成」には、阪神・淡路大震災、東日本大震災が起き、我々の進めてきた研究開発、耐震技術、都市形成には未熟さがあり、驕りは許されないと思っています。「令和」を迎え、大きな自然に敬意を持たねばならないこと、我々は、暮らす人々への愛、子や孫への愛、多くの愛が必要なことを強く感じています。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975

光スイッチを持つナノカプセル 水中、様々な化合物の内包と光照射による放出に成功

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要点

  • 水中で2ナノメートルサイズのカプセルを自己組織化で作製
  • 水に不溶な化合物をナノカプセルに内包することで水溶化
  • 短時間の光照射でナノカプセルから内包物を水中に放出
  • 水溶性と光応答性を持つ分子フラスコとしての利用に期待

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所のロレンツォ・カッティ博士研究員、岸田夏月大学院生(物質理工学院 応用化学系 修士課程1年)、吉沢道人准教授らの研究グループは、水中で光刺激に応答する2ナノメートル(nm)サイズ[用語1]のカプセルの作製に成功した。このナノカプセルは、水に不溶な化合物を内包して水溶化し、また、短時間の光照射で内包物を水中に放出することができる。本成果は、水中で使用可能な“光スイッチ”を持つナノカプセルの最初の例であり、大小様々な化合物の内包と放出が簡便にできることから、生化学や臨床医学の分野での応用が期待される。

ナノメートルサイズのカプセルは、その内部空間に分子を取り込むことで、物性や反応性を変化させることができるため、革新的な材料機能や触媒反応の開発を目指した研究が盛んに行われている。しかしながら、水中で使用でき、様々な分子を取り込むだけでなく、簡単に取り出すこともできるカプセルは未開発であった。本研究では、2つのアントラセン[用語2]環を含むV型の両親媒性分子[用語3]を新たに合成し、それらが水中で自己組織化することで、約2ナノメートルの球状カプセルが100%収率で形成することを見出した。このナノカプセルは、水に不溶な化合物(ナイルレッドや銅フタロシアニンなど)を内包により効率良く水溶化した。注目すべきは、得られた内包体に紫外光を短時間照射すると、カプセルの骨格変形により内包物を水中に完全に放出できることである。

上記の成果は、2019年4月24日付でNature Communications誌(Nature姉妹誌)にオープンアクセス論文として掲載された。

研究の背景とねらい

水と光は、私たちの日常生活に必須である。これらの自然資源を合成化学や材料化学の分野で利用することは、持続可能な科学技術社会の発展に必要不可欠である。これまでに、ナノメートルサイズの人工カプセルは数多く合成されており、その特異な機能(分離や安定化、反応など)が見出されている。しかしながら、水中で使用でき、なおかつ、刺激応答性、とりわけ光に応答するナノカプセルは未開発であった。水溶性と光応答性を合わせ持つナノカプセルが合成できれば(図1a)、生化学や臨床医学分野での幅広い応用が期待できる。

2013年に近藤圭博士と吉沢道人准教授らは、2つのアントラセンを120度の角度で連結した両親媒性分子(図1b)が水中で自己集合して、水溶性のナノカプセルが形成することを報告した[参考文献1]。このナノカプセルは高い分子内包能を有するが、光などの外部刺激に対する応答性を持たない[参考文献2]。また、これまでに他の研究グループから、溶媒の変化や酸・塩基の添加に応答するナノカプセルが報告されているが、これらは溶液の性質を変えるため、生体応用などに問題があった。

今回、カッティ研究員らは、2つのアントラセン環を60度で連結したV型両親媒性分子1o(図1c)を新たに設計し、その光照射で閉環体1c(図1d)に変換することで、ナノカプセルを容易に分散状態にできると考えた。また、この閉環体を加熱または光照射することで、ナノカプセルの再生が期待できる。あらかじめナノカプセル内に化合物を閉じ込めることで、光照射による内包物の放出も可能になると考えた。

(a)水溶性と光応答性をあわせ持つナノカプセルの集合と分散(b)既報の両親媒性分子(c)今回設計した新規なV型両親媒性分子1o(d)光照射によって得られる閉環体1c
図1.
(a)水溶性と光応答性をあわせ持つナノカプセルの集合と分散(b)既報の両親媒性分子(c)今回設計した新規なV型両親媒性分子1o(d)光照射によって得られる閉環体1c

研究内容

光応答性ナノカプセルの形成と解離

2つのアントラセン環と2つの親水基を持つV型両親媒性分子1o(図1c)は、1,2-ジメトキシベンゼンを出発原料にして、6段階の反応で合成した。1oを水中、室温で5分間撹拌することで、アントラセン部位の分子間でのπ-スタッキング相互作用および疎水効果[用語4]により自己組織化し、選択的にナノカプセル2が形成した(図2a左)。これをNMR(核磁気共鳴装置)、DLS(動的光散乱法)およびAFM(原子間力顕微鏡:図2b)で分析したところ、ナノカプセルは、約5分子の1oからなる約2ナノメートルの球状集合体であることが判明した(図2a右)。

(a)ナノカプセル2の模式図と計算モデル構造(b)ナノカプセル2のAFM分析図

図2. (a)ナノカプセル2の模式図と計算モデル構造(b)ナノカプセル2のAFM分析図

次に、ナノカプセル2の水溶液に380 nmの紫外光を10分間照射したところ、カプセルが完全に分散状態になることがNMR、DLSおよびUV-vis(紫外可視分光光度計)分析で明らかになった。この現象はまず、ナノカプセルを構成する1oの2つのアントラセン環が光照射により結合し、すべてが閉環体1cに変換された。その結果、分子間でのπ-スタッキング相互作用が立体的に阻害され、集合状態を維持できずに分散した。また、1cの水溶液を160 ºCで30分間加熱すると結合が切断され、1oの再生によりナノカプセルが再生した。同様に、1cに短波長の光照射(287 nm)することで、約80%の効率でカプセル構造が再生した。ナノカプセル2の安定性は高く、光照射による分散と加熱による集合は5回以上の繰り返しが可能であった。

ナノカプセルによる分子の内包と放出

親水性のナノカプセル2は内部に疎水性の空間を持つことから、水に不溶な疎水性の色素のナイルレッド(NR)や顔料の銅フタロシアニン、1ナノサイズの球状のフラーレンC60などを効率良く内包し、水中に溶かすことができた。例えば、V型両親媒性分子1oNRを乳鉢と乳棒で2分間の磨りつぶした後、水を加えてから混合物をろ過することで、赤色の均一溶液が得られた(図3a、b)。その水溶液のUV-visおよびDLS、NMR分析からNR内包体の構造を明らかにした。次に、この赤色溶液に紫外光(380 nm)を10分間照射した結果、ナノカプセルの分散に伴い内包物のNRが水中に完全に放出され、ろ過によりNRを分離することで無色の1c溶液が得られた(図3c)。

同様の方法で、銅フタロシアニンやフラーレンC60の内包体の水溶液も作成することができ、紫外光を照射することで内包物を放出して青色や黄色の溶液が無色となった。さらに、ナノカプセルに蛍光性のクマリン314を内包することで蛍光がオフに、一方、光照射によりクマリンを放出することで蛍光がオンになった。水中で、ナノカプセルによる大小様々な化合物の内包と光刺激による放出を初めて達成した。。

ナノカプセル2によるナイルレッド(NR)の内包と放出のスキーム:(a)NRの内包の手順(b)NRの内包体の生成(c)光照射によるナノカプセルの分散とNRの放出
図3.
ナノカプセル2によるナイルレッド(NR)の内包と放出のスキーム:(a)NRの内包の手順(b)NRの内包体の生成(c)光照射によるナノカプセルの分散とNRの放出

今後の研究展開

本研究では、光スイッチを持つV型両親媒性分子を新たに設計し、それらが水中で自己集合し、ナノサイズのカプセルが選択的に形成することを明らかにした。また、そのナノカプセルは様々な化合物を効率良く内包した。さらに、短時間の光照射で内包物を水中に完全に放出することに成功した。水溶性と光応答性を兼ね備えた新種の分子フラスコとして、今後、生化学や臨床医学の分野での利用が期待される。

参考文献

[1] K. Kondo, A. Suzuki, M. Akita, M. Yoshizawa, Angew. Chem. Int. Ed., 2013, 52, 2308–2312.

[2] K. Kondo, J. K. Klosterman, M. Yoshizawa, Chem. Eur. J., 2017, 23, 16710–16721 (Minireview).

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Polyaromatic Nanocapsules as Photoresponsive Hosts in Water
(分子内包/放出能を有する光応答性の芳香環ナノカプセル)
著者 :
Lorenzo Catti, Natsuki Kishida, Tomokuni Kai, Munetaka Akita, and Michito Yoshizawa*
DOI :

用語説明

[用語1] ナノメートル(㎚)サイズ : 1メートルの10億分の1の長さ

[用語2] アントラセン : 3つのベンゼン環を連結した形のパネル状有機分子

[用語3] 両親媒性分子 : 水に馴染む親水性と水を避ける疎水性の両方を持つ分子

[用語4] π-スタッキング相互作用および疎水効果 : 分子間で働く比較的弱い相互作用

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

准教授 吉沢道人

E-mail : yoshizawa.m.ac@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5284

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

極寒の冥王星の地下に海が存在できる謎を解明 メタンハイドレートに包まれた内部海

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要点

  • 地下に存在する海(内部海)がなぜ凍らないのかなど、冥王星にまつわる3つの謎を同時に解明。
  • メタンハイドレートが内部海を包むように存在することで、冥王星は特徴的な姿に進化。
  • 宇宙にはこれまで考えられてきたよりも多くの海が存在することを示唆。

概要

北海道大学 大学院理学研究院の鎌田俊一准教授、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のフランシス・ニモ教授、東京工業大学 地球生命研究所の関根康人教授らの研究グループは、冥王星に関する3つの謎を数値シミュレーションによって同時に解明しました。

冥王星は、太陽系の最果てに存在する地表温度がマイナス220℃の極寒の氷天体です。NASAの探査機が2015年に初めて冥王星を訪れ、分厚い氷の下に海(内部海)が存在すること、赤道域に窒素氷河で覆われた白い巨大盆地が存在すること、窒素の大気が存在することといった驚きの姿を明らかにしました。しかし、なぜこのような特徴的な姿をしているのか、特に、極寒の冥王星で内部海がなぜ凍結せず暖かいままなのかはNASAの探査でも解明されていない難問でした。

今回、研究グループは冥王星の内部海とそれを覆う分厚い氷の間にメタンハイドレートが存在すると、メタンハイドレートが効率的な断熱材として機能して内部の熱を逃がさず、その結果、表面は極寒でも内部海は凍結しないことを明らかにしました。さらに、このメタンハイドレートの存在から、巨大な盆地が赤道に存在できることや、冥王星が窒素の大気を持つという、冥王星の特徴的な姿を同時に説明できることもわかりました。

本研究成果は、宇宙における液体の水の存在を考える上で重要です。特に、内部海は地球外生命の存在可能性を考える上で重要ですが、これまで内部海に関する議論は巨大ガス惑星を周回する氷衛星に限られてきました。しかし、今回の発見は冥王星のような衛星ではない多くの氷天体であっても、実は内部海を持つものが広く存在できることを示すものであり、地球外生命の存在可能性をさらに広げるものです。

なお、本研究成果は日本時間2019年5月21日(火)午前0時(英国夏時間2019年5月20日(月)午後4時)公開のNature Geoscience誌の速報(AOP)電子版に掲載されました。

背景

近年の惑星探査により、木星などの巨大ガス惑星を周回し、氷を主成分とする氷衛星のいくつかは海を持つことがわかってきました。このような海は「氷地殻」と呼ばれる厚い氷の下に存在するため、「内部海」と呼ばれています。内部海が凍結しない原因を解明することは、生命を育みうる海が宇宙のどこにどれだけあるかを理解する上で欠かせません。NASAの探査機ニュー・ホライズンズによる冥王星探査により、赤道付近に白いハートに見える地域が観測され、その左半分は巨大な盆地であることがわかりました(図1)。この事実から、冥王星の氷地殻の下にも内部海が存在すること、そして巨大盆地の地下では氷地殻が薄く、その分内部海が厚いことがわかりました(図2)。もし内部海が厚くないと、巨大盆地が極に向かうように冥王星は自然と回転してしまうからです。しかし、これまで冥王星は氷衛星よりも冷たく熱源にも乏しいため、内部海は既に完全に凍結したと考えられていたことや、長い時間をかければ氷も水飴のように振る舞うため、氷地殻の凸凹がならされたと考えられていたことから、今回判明した地下構造は全く予想できなかったものでした。

さらに、この地下構造のほか、冥王星の物質についても謎がありました。それは、冥王星の表面や大気は窒素に富み一酸化炭素が少ないのに対し、冥王星と同じような場所で形成し、同じような物質で構成されていると考えられる彗星は反対の組成を持つということです。

このように、NASAの探査以来、冥王星が特徴的な姿をしている理由は全くの謎とされてきました。

図1.冥王星の「白いハート」の特徴。

図1. 冥王星の「白いハート」の特徴。

(左)色彩を強調したカラー画像を元に作成(NASA/JHUAPL/SwRI)。白いハートは赤道付近に存在する。(右)地形データを元に作成。ハートの左半分は巨大な盆地である。

図2. 本研究で提唱する冥王星の内部構造。氷地殻と内部海の間にガスハイドレート層が存在する。

図2. 本研究で提唱する冥王星の内部構造。
氷地殻と内部海の間にガスハイドレート層が存在する。

研究手法

研究グループは、主にメタンを閉じ込めたガスハイドレートが内部海と氷地殻の間に存在する(図2)という新たなアイデアに基づき、2種類の数値計算を実行しました。ガスハイドレートは水分子でできた「かご」の中に気体分子を閉じ込めた氷のような物質です。特に、メタンを閉じ込めたメタンハイドレートは地球の海底にもあり、天然資源として近年注目されています。

本研究では、メタンハイドレートが通常の氷と比べて熱伝導性が悪く高い粘性をもつことに着目しました。地球の海と異なり、冥王星の海の上には厚い氷地殻があるために海上でも低温・高圧であること、また元々存在するであろうメタンや一酸化炭素に加えて、有機物の熱分解などにより海底からメタンなどが持続的に供給されうることから、海上ガスハイドレート層の形成と維持に必要な条件が揃うこともわかりました。

1つ目の数値計算は、太陽系が形成されてから現在までの約46億年間に及ぶ冥王星内部の熱・構造進化シミュレーションで、内部海の凍結に要する時間を算出しました。もう1つの数値計算は氷地殻の長期粘弾性変形[用語1]シミュレーションで、氷地殻の厚さの均一化にかかる時間を算出しました。

研究成果

1つ目のシミュレーションの結果、メタンハイドレートが存在しない場合は何億年も前に内部海は完全に凍結しますが、存在する場合には内部海はほとんど凍結しないことがわかりました(図3)。この結果は、メタンハイドレートが断熱材として効率的に機能し、その下にある内部海は長期間暖かいままとなる一方で、氷地殻はすぐに冷えて硬くなるため、天体内部がより一層冷えにくくなることを示しています。

また、2つ目のシミュレーションの結果、メタンハイドレートが存在しない場合には氷地殻厚の均一化にかかる時間はたった100万年程度ですが、存在する場合には10億年以上かかることがわかりました。これは、メタンハイドレートの粘性が高いことに加えて、その上の氷地殻が冷えて硬くなるためです。メタンや一酸化炭素などはガスハイドレートに取り込まれやすいため、地下のガスハイドレート層に貯蔵されて地表にあまり出てこられない一方で、窒素分子は取り込まれにくいため表面に出てきます。このような理由で、地下のガスハイドレート層が特定の分子だけを吸着するフィルターのように機能するために、一見すると不思議な窒素に富む表層になることがわかりました。

図3.冥王星内部の熱・構造進化シミュレーションの例。

図3. 冥王星内部の熱・構造進化シミュレーションの例。

(左)メタンハイドレートが存在しない場合、内部海は完全に凍結してしまう。(右)メタンハイドレートが存在する場合、内部海は凍結しない。

今後への期待

本研究は、内部海の長期維持メカニズムを新たに提唱するものです。比較的大きな氷天体であればガスハイドレートの形成・維持条件が満たされるため、その存在を想定した内部海研究の進展が期待されます。また、内部海がなく生命とは無縁と予想されてきた氷天体であっても、地下にガスハイドレートがあれば内部海が維持されている可能性があり、それは一見不思議な元素組成という観測できる形で推察できることも分かりました。この結果は、今後の惑星探査に有用であることに加え、宇宙における海や生命の研究において基本的な考え方になると期待されます。

なお、本研究の一部は日本学術振興会科学研究費補助金(JP16K17787、JP17H06456、JP17H06457)と自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター・サテライト研究の助成を受け、実施しました。

用語説明

[用語1] 長期粘弾性変形 : 固体物質の地質学的時間スケールにおけるゆっくりとした変形のこと。

論文情報

掲載誌 :
Nature Geoscience
論文タイトル :
Pluto's ocean is capped and insulated by gas hydrates(冥王星の海はガスハイドレートに包まれ断熱されている)
著者 :

鎌田俊一1、フランシス・ニモ2、関根康人3, 倉本 圭1, 野口直樹4、木村 淳5、谷 篤史6

(1北海道大学大学院理学研究院、2カリフォルニア大学サンタクルーズ校、3東京工業大学地球生命研究所、4徳島大学大学院社会産業理工学研究部、5大阪大学大学院理学研究科、 6神戸大学大学院人間発達環境学研究科)

DOI :
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鎌田俊一

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「伝わるレポートが書ける!わかりやすい文章の書き方ワークショップ」開催

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4月23日、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院外国語セクションと学生支援センター修学支援部門が協力し、大岡山キャンパス80年記念館で「伝わるレポートが書ける!わかりやすい文章の書き方ワークショップ」を開催しました。このワークショップでは、文章指南の専門家でもある、リーダーシップ教育院・リベラルアーツ研究教育院の小泉勇人准教授が講師を務め、英語と日本語のライティングのコツをデモンストレーション形式で伝えました。

英文についてディスカッションを行う環境・社会理工学院 社会・人間科学系の細田恵雅さん(修士課程1年)と講師の小泉准教授
英文についてディスカッションを行う環境・社会理工学院
社会・人間科学系の細田恵雅さん(修士課程1年)と講師の小泉准教授

論文の結論部を検討する工学院 システム制御系の渡辺隆之助さん(博士後期課程1年)と小泉准教授
論文の結論部を検討する工学院 システム制御系の
渡辺隆之助さん(博士後期課程1年)と小泉准教授

学士課程1年生から博士課程1年生まで24名の学生と、佐藤勲 総括理事・副学長(企画担当)、井村順一 副学長(教育運営担当)、神田学 教育革新センター副センター長をはじめとする10名を超える参観の教職員が見守る中、参加学生が事前に提出した3つの英語と日本語の学術的な文章について、講師がチュータリングを行いました。講師は書き手に、「もっとも伝えたいことは何なのか」「それは文中のどこに書いてあるのか」などの質問を投げかけます。書き手は自分の書いた文章を見直しながら質問に答えていくうちに、自分自身で、どこをどのように変えれば読み手に自分の意図がより詳しく伝わるのかに気づいていきました。

熱心に聞き入る参加者たち
熱心に聞き入る参加者たち

デモンストレーションを見た参加者は、序論で自分の主張をはっきり提示し、それを後続のパラグラフで支持し、最後に結論でまとめるという構成をとるだけで、ずいぶんわかりやすい文章になることを実感しました。また、講師が赤ペンで添削をしていくのではなく、あくまでも対話を通じて、書き手自身に、よりわかりやすい文章の書き方を気づかせていくチュータリングの手法もよく理解できました。

文章の書き方に関するワークショップをこのような形で共催するのは初めての試みでしたが、アンケートでは、7割近くの学生が「ワークショップに参加でき、満足している」「ワークショップを受講したことで、内容に対する興味や意欲が高まった」という質問に「そう思う」「強くそう思う」と答えており、学生にとってよい刺激になったようです。ワークショップ後の懇親会でも、「次回以降もあるとよい」という意見がいくつも出ていましたので、今後もこのようなワークショップを継続的に実施し、ライティングセンターの設立に向けて活動していきます。

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お問い合わせ先

リベラルアーツ研究教育院 外国語セクション・学生支援センター修学支援部門

E-mail : flcscr@flc.titech.ac.jp  concierge.info@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2287  FAX : 03-5734-2760

テレビ朝日「タモリ倶楽部」に真田純子准教授が出演

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本学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系の真田純子准教授が、テレビ朝日「タモリ倶楽部」に出演します。

石積み技術の研究者である真田准教授の著書『図解 誰でもできる石積み入門』をきっかけに始まったこの企画。真田准教授の指導のもと、チームワークが不可欠な石積みを通して、タモリさんと初共演のゲストの方々が親交を深めます。

「タモリ倶楽部」は、毎回さまざまな企画を斬新な切り口で取り上げる長寿番組です。

真田准教授のコメント

真田准教授

普段、棚田や段畑に使われる石積み技術の研究の傍ら、石積み技術を継承するためのワークショップ「石積み学校」を運営しています。石積み学校では、当日初めて顔を合わせた参加者でもすぐに声を掛け合い、作業分担し効率よく作業が行われます。また、出来上がった後には達成感から、より結束力が高まるようです。こうした作業の特性を企業の新人研修に利用してもらい、CSR活動と研修を兼ね備えた活動で風景や文化の継承に役立てていこうと考えています。

今回はタモリ倶楽部において、石積みで仲良くなるという特性を取り上げていただきました。とても楽しくロケを行うことができたので、番組でもそれが伝わり、石積みの普及につながると良いなと思っています。

真田准教授の石積みを始めとする研究については、受験生向け広報誌「Tech Tech(テクテク)」の対談記事「景-広がりゆく土木と景観のデザイン」でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

番組情報

  • 番組名
    テレビ朝日「タモリ倶楽部」
  • タイトル
    共同作業で連帯感炸裂! レッツ!!石積ミュニケーション
  • 放送予定日
    2019年5月24日(金)24:50~25:20(地域によって異なります)
    通常の放送時間と異なります
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お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

熊井真次教授が第22回軽金属学会賞を受賞

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物質理工学院 材料系の熊井真次教授が、一般社団法人 軽金属学会「第22回軽金属学会賞」を受賞しました。本賞は、熊井教授のアルミニウム合金をはじめとする軽金属の学理および技術の進歩発展への多大な貢献、ならびに副会長、理事、国際交流委員会委員長、国際会議実行委員長、関東支部長等を歴任する等、軽金属学会への顕著な貢献に対して授与されたものです。

軽金属学会は、アルミニウムなどの軽金属に関する学術・技術の進歩発展を図り、工業の発展に尽くすことを目的として、1951年に発足した学術団体です。軽金属学会賞は軽金属に関する学理又は技術の進歩発展に顕著な貢献をした者に贈られる軽金属学会の最高賞です。5月10日に富山国際会議場(富山県富山市)において表彰式ならびに受賞講演が行われました。

熊井教授のコメント

熊井教授

この度軽金属学会の最高賞である軽金属学会賞を受賞させていただき、たいへん光栄に思っています。このような賞をいただけたのも、非才・非力な私に大学の一研究者として生きる道を拓いて下さり、またその道程において常に応援して下さった恩師、同僚、学生諸君、共同研究者その他多くの方々のお陰であり、感謝に堪えません。学生時代から今日に至るまで東京工業大学には40年以上お世話になっていますが、この間、大岡山、すずかけ台の2つのキャンパスを2往復しました。異動を機に研究分野を変えるよう心がけたこともあり、その結果、色々なテーマに取り組むことになりましたが、研究対象は一貫してアルミニウムとその合金でした。今回の受賞は、私の周りに集まってくれた優秀で、アルミニウムが好きな学生諸君との共同作業の賜物であると感じております。

受賞講演を行う熊井教授(表彰状、記念品とともに)

受賞講演を行う熊井教授(表彰状、記念品とともに)

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お問い合わせ先

物質理工学院 教授 熊井真次

E-mail : kumai.s.aa@m.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2559

超短パルス光を用い固体中の量子経路干渉を観測 新しい光励起過程計測方法の開発に成功

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要点

  • 電子コヒーレンス情報をフォノン強度に焼き付けて計測する
  • 量子経路干渉による電子コヒーレンスの崩壊と復活を観測
  • 不透明領域のコヒーレントフォノン生成でもラマン過程が支配的

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の中村一隆准教授、萱沼洋輔特任教授と慶應義塾大学 大学院理工学研究科の鹿野豊特任准教授らは、超短パルス光照射をした半導体結晶中で、光遷移過程の量子経路干渉[用語1]による電子コヒーレンス[用語2]の崩壊と復活現象が起こること、不透明領域においてもコヒーレント光学フォノン[用語3]生成に誘導ラマン過程[用語4]が支配的であることを明らかにした。

高精度に時間制御したフェムト秒[用語5]パルス対を半導体単結晶(n型GaAs=ガリウム・ヒ素)に照射し、発生するコヒーレント光学フォノンにより変化する反射率を実時間計測した。数十アト秒[用語5]精度でパルス間隔を変化させることで、電子・フォノン状態の量子重ね合わせ状態をアクティブに制御することに成功し、電子コヒーレンスの崩壊と復活現象を観測した。

また、コヒーレント光学フォノン生成の素過程に関する量子論に基づいた理論計算と比較することで、観測された電子コヒーレンスの振る舞いは、誘導ラマン過程によることを示した。今回の研究により、固体中における高精度の量子状態制御が可能になると期待される。

研究成果は5月20日(米国東部時間)に米国物理学会誌「Physical Review(フィジカル・レビュー) B」のRapid Communication(速報)およびEditor's Suggestion(注目論文)としてオンライン版に掲載された。

研究成果

中村准教授らは90 K(-183.15 ℃)に冷却したn型GaAs単結晶を試料に用い、約50フェムト秒のパルス幅をもつ近赤外光による時間分解反射光強度測定[用語6]を行った。光のエネルギーはGaAsのバンドギャップよりも大きい1.55 eV(電子ボルト)であり、光は不透明領域にある。

ポンプ(励起)パルスを照射することでコヒーレント光学フォノンを励起し、それによって引き起こされる物質内の分極を、時間を遅らせて照射するプローブ(計測)パルスの反射率変化として検出した。これにより、コヒーレント光学フォノン(8.7 THz=テラヘルツ)とフォノンプラズモン結合モード(7.7 THz)による振動が観測された。

次に、中村准教授のグループが製作した高精度干渉計を用いて、励起パルスを約30アト秒の精度で時間差が制御されたパルス対に加工し、これを試料に照射した。パルス対の時間間隔を変化させることで、発生するコヒーレント光学フォノンとフォノンプラズモン結合モードの振動強度を制御することができた。

特に、パルス間隔を300アト秒ステップで変化させることで、約2.7フェムト秒間隔の電子コヒーレンスによる干渉縞が観測された(図1(a)(b))。これは、電子コヒーレンスの情報をフォノン強度に焼き付けて観測したことを意味している。この電子コヒーレンスの干渉は光パルス対自身の干渉よりも長く続いており、バルクGaAs中で電子状態のコヒーレンスが保持されていることが分かった。また、電子コヒーレンスを示す干渉縞が50フェムト秒付近で弱くなったあとで再度強くなる(崩壊と復活)現象が観測された。

この現象を説明するために、2バンドの電子準位と変位した調和振動子で構成される簡単なモデルを考え、光と物質の相互作用に関してフォノンの生成の量子力学的な理論計算を行った。図2のように、誘導ラマン過程(図2(a))による計算結果は実験を良く再現することができた。実験で観測された電子コヒーレンスの崩壊と復活現象は、誘導ラマン過程に含まれる多数の量子経路の干渉によることが明らかになった。

また、通常は光吸収過程が支配的と考えられる不透明領域において、コヒーレント光学フォノン生成では誘導ラマン過程が支配的であることを初めて見出した。今回の結果は「光を用いて電子・フォノン状態の量子重ね合わせ状態をアクティブに制御する」ことができることを示している。

図1. 光学フォノン(a)、光学フォノンプラズモン結合振動(b)、光干渉強度(c)の励起パルス間隔依存性。(a)(b)の約2.7フェムト秒の早い振動が電子コヒーレンスによる干渉縞である。
図1.
光学フォノン(a)、光学フォノンプラズモン結合振動(b)、光干渉強度(c)の励起パルス間隔依存性。(a)(b)の約2.7フェムト秒の早い振動が電子コヒーレンスによる干渉縞である。
図2. 理論計算で得られた光学フォノンの励起パルス間隔依存性。(a)誘導ラマン過程、(b)光吸収過程による結果。(a)は図1の実験結果とよく合っている。
図2.
理論計算で得られた光学フォノンの励起パルス間隔依存性。(a)誘導ラマン過程、(b)光吸収過程による結果。(a)は図1の実験結果とよく合っている。

背景

量子コンピュータや量子情報通信などの次世代量子技術では、量子コヒーレンスを活用することがキーポイントになっている。量子コヒーレンスは孤立した原子分子では長時間保持されるが、固体中では多数の原子との相互作用のため非常に短い時間で失われてしまうことが知られているが、その保持時間の定量的な値はよく分かっていない。中村准教授らはサブフェムト秒で制御した光パルス対を用いた干渉型過渡反射率計測を用いて電子コヒーレンス情報をフォノン強度に焼き付けて測定することにより、半導体バルク固体中の電子コヒーレンス保持時間の計測を可能にした。

また、超短光パルスで励起されるコヒーレントフォノンは、格子振動のダイナミクス研究や原子運動制御に用いられている。その生成メカニズムとしては、光吸収過程と誘導ラマン過程が関与するが、その寄与の大きさを実験的に判別することは非常に困難だった。今回の理論計算は光吸収過程と誘導ラマン過程における幾つかの量子経路干渉が大きく異なることを示した。

今後の展開

今回、フェムト秒光パルス対を用いた量子経路干渉法により、電子・フォノン状態の量子重ね合わせ状態をアクティブに制御することができ、フォノン生成過程の同定に成功した。この方法を用いることで、固体中における高精度の量子状態制御が可能になることが期待される。

用語説明

[用語1] 量子経路干渉 : 始状態から終状態に向かって複数の経路がある場合に、量子力学的に同時にいくつかの経路を通って現象が起こり、相互に干渉すること。

[用語2] 電子コヒーレンス : 電子状態が量子力学的な特性である干渉性をもっていること。

[用語3] コヒーレント光学フォノン : 光学フォノンは光により直接生成することのできる結晶を構成する原子の集団振動(格子振動)を量子化したもの。コヒーレント光学フォノンは、光学フォノンの振動周期よりも短いパルス幅の光パルスで励起することにより、振動のタイミングが揃った光学フォノンの集団が形成され、物質の反射率・透過率などのマクロな物理量を変化させるもの。

[用語4] 誘導ラマン過程 : 物質の光照射を行うと、物質内部にフォノンを生成するなどの励起を起こし、入れた光の波長とは異なる波長の光を放出する現象がラマン過程である。誘導ラマン過程は、励起光と一緒に散乱光と同じ波長の光を照射することで、ラマン過程を誘導すること。

[用語5] フェムト秒・アト秒 : フェムト秒は1000兆分の1秒(10-15秒)のことで、アト秒はフェムト秒のさらに1000分の1(10-18秒)の時間である。

[用語6] 時間分解反射光強度測定 : 励起パルスを照射することで時々刻々と変化する反射率を、励起パルスから遅れて照射される観測パルスの反射光の強度変化として測定する方法のこと。

論文情報

掲載誌 :
Physical Review B, Rapid Communication
論文タイトル :
Ultrafast Quantum-path Interferometry Revealing the Generation Process of Coherent Phonons
著者 :
中村一隆、横田謙介、奥田悠貴、加瀬麟太郎、北島誉士、三島遊、鹿野豊、萱沼洋輔
DOI :

本成果は、JST CREST、JSPS科学研究費補助金25400330, 14J11318, 15K13377, 16K05396, 16K05410, 17K19051, 17H02797、東京工業大学科学技術創成研究院フロンティア材料研究所共同利用研究、分子科学研究所共同研究、公益財団法人精密測定技術振興財団の支援をうけて得られた。

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所

准教授 中村一隆

E-mail : nakamura.k.ai@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5387

取材申し込み先

慶應義塾広報室

E-mail : m-pr@adst.keio.ac.jp
Tel : 03-5427-1541 / Fax : 03-5441-7640

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

安定な単一分子素子を再現性良く形成 分子コンピューター実現に有望な技術を開発

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要点

  • 不安定だった単一分子素子の21倍の安定化と40%のノイズ低減に成功
  • 分子を使った超微小電子回路の実現に向け、応用が可能になった
  • 多様な機能をもつ単一分子素子を形成できる汎用的技術を開発

概要

東京工業大学 理学院 化学系の原島崇徳大学院生(博士後期課程1年)、西野智昭准教授、筑波大学 小野倫也准教授(現 神戸大学 教授)らの研究グループは、安定な単一分子素子[用語1]を再現性良く形成する技術の開発に成功した。

この技術の鍵は高分子[用語2]を使用することにより、安定な構造が形成できたことにある。その結果、従来の技術よりも素子の安定性が21倍と飛躍的に向上することが分かった。さらに、単一分子素子を流れる電流のノイズ量は従来よりも40%低減した。

これまで単一分子を使った素子は形成確率が低く、また容易に破断する欠点があった。今回、開発した技術はこれらを解決するものであり、分子によって構成された電子回路、すなわち分子エレクトロニクス[用語3]の実現に現実的な道筋を与えるものといえる。

研究成果は4月29日発行のドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション)」に掲載された。

研究成果

単一分子素子とはたった一つの分子に導線やスイッチなどの素子機能を付与したものである。分子をもとに極めて微小な電子回路を作成する分子エレクトロニクスの実現に向け、有望な技術となっている。だが、分子エレクトロニクスに関する従来の研究では、単一分子素子の安定性が非常に低いことが問題となっていた。

今回の技術は高分子を利用してより安定な構造を作ることにより、素子の保持時間は3.6倍、さらに再現率は5.2倍に向上することが分かった。この二つの性能の向上の結果、従来の技術よりも素子の安定性が21倍と飛躍的に向上することが分かった。さらに、単一分子素子を流れる電流のノイズ量は従来よりも40%低減し、電気信号を伝達するうえで重要な性能の向上がみられた。

一方、第一原理計算[用語4]に基づく理論シミュレーションから、高分子を使った今回の技術でも、従来の単一分子素子と同じ機構によって電気伝導[用語5] が生じていることが明らかになった。この技術は様々な分子に適用できる汎用性を有しているものと考えられ、多様な機能をもつ単一分子素子の実現が期待できる。

高分子を用いて形成された単一分子素子

図1. 高分子を用いて形成された単一分子素子

研究の背景

近年、物質の最小単位である分子を使ってコンピューターを作る分子エレクトロニクスに大きな期待が寄せられている。現在のコンピューターやスマートフォンなどで用いられている半導体製の集積回路[用語6]は近い将来、微細化の限界を迎え、それ以上の小型化が実現できなくなるためである。

このため、コンピューターを構成するために、トランジスタなどの機能を付与した単一分子素子が活発に研究、開発されている。しかし、単一分子を使った素子は形成確率が低く、また容易に破断する欠点があった。分子エレクトロニクスの実現に向けて、単一分子素子を再現性良く、かつ安定に形成できる技術が強く求められていた。

今後の展開

今回の研究で単一分子素子を高い信頼性で形成できる技術の開発に成功したといえる。今後はこの技術を用いて形成した単一分子素子にスイッチやトランジスタ特性などの電子機能性を組み込むことによって、コンピューターの動作に必要な論理演算を実現することが課題となる。

また、半導体の集積回路と同様に、異なる機能を持った単一分子素子を連結した集積化も必要となる。今回の技術の鍵となった高分子は、様々な種類の分子を組み合わせることもできる。そのため、所望の機能をもった分子を用いることで集積化は容易に実現できるものと考えられる。

用語説明

[用語1] 単一分子素子 : たった一つの分子によって構成された回路素子。

[用語2] 高分子 : 分子量が小さい分子の多数回の繰り返しによって構成される分子。

[用語3] 分子エレクトロニクス : 物質の最小単位である原子や分子を利用した電気回路を組み立てようとする学術分野。

[用語4] 第一原理計算 : 量子力学の基本原理に基づいた、物質の電子状態の計算手法。

[用語5] 電気伝導 : 今回の研究の分子素子のようなミクロな世界では、分子部分をすり抜けるようにして電子が通過することで電気が通る。

[用語6] 集積回路 : 一つのチップの中に複雑な機能を多数の素子が配線され複雑な機能を有する電子部品。配線される素子が小型であるほど消費電力は削減され、性能も向上する。現在、数十nm(ナノメートル)程度の小型化が達成されているが、それ以上の小型化は原子・分子スケールの空間制御が必要なため、現行の技術では非常に困難である。

論文情報

掲載誌 :
Angewandte Chemie International Edition
論文タイトル :
Highly reproducible formation of polymer single-molecule junction for well-defined current signal
著者 :
Takanori Harashima, Yusuke Hasegawa, Satoshi Kaneko, Manabu Kiguchi, Tomoya Ono and Tomoaki Nishino
DOI :
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お問い合わせ先

理学院 化学系

准教授 西野智昭

E-mail : tnishino@chem.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2242 / Fax : 03-5734-2610

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

2018 AOTULE 学生会議 参加報告

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東京工業大学が加盟するアジア・オセアニア工学系トップ大学リーグ(The Asia-Oceania Top University League on Engineering、以下「AOTULE」)は、アジアとオセアニアの13大学からなる連盟です。加盟する大学間の合同ワークショップや、学生・教職員の派遣交流などを通して、工学系の教育研究の質を向上させ、国際意識を養うことが目的です。

AOTULEは年に1度、加盟大学の学生が集まり研究発表を行う「学生会議」を開催しており、2018年度は11月21日から23日にかけて、インド工科大学マドラス校で行われました。東工大からは学士・修士・博士課程の学生計23名が参加し、他の加盟大学からも約20名が参加しました。参加した東工大生に、会議を振り返ってもらいました。

古橋知樹さん

物質理工学院 応用化学系 修士課程1年

2018年11月21日から23日まで、インド工科大学マドラス校(IIT Madras)にて開催された、AOTULE学生会議2018に参加させていただきました。アジア・オセアニア各国から集まった同年代の学生と交流ができる機会はとても貴重であり、この会議は私にとって非常に刺激になりました。インド工科大学で経験した日々についてご報告します。

日本を出発し、7時間のフライトを経てシンガポールでトランジットを行い、そこからさらに4時間半のフライトで、インド工科大学マドラス校のあるチェンナイに到着しました。チェンナイはインドの南部に位置し、世界で2番目に長いと言われているマリーナ・ビーチで有名な都市です。インド工科大学はインド国内に16校ありますが、会場となったマドラス校はインド工科大学の中でも特に優れており、2018年のインド国内の大学ランキングでは総合で第2位、工学では第1位となっています。私は2年前に1度このマドラス校を訪れているので、今回は2度目の訪問でした。

初日はウェルカム・イベントとウェルカム・ディナーで終了し、研究発表は2日目でした。 発表は“Translating ideas for social impact(社会を変える革新的なアイデア)”、“Urban mobility(都市の交通を考える)”、“Smart city(スマート・シティの実現)”の3トピックに分かれ、持ち時間15分でそれぞれ別の会場で行われました。普段の学会発表とは異なり、同じトピックであっても内容がかなり違うため、私は自分の研究内容が聞いている人に伝わるか心配でした。しかし、いざ発表してみると、同じ分野の質問はもちろん、異分野専攻の学生からも質問が来たため、私の研究内容を伝えることができたと感じたと共に、海外の学生の理解力および質問力に感銘を受けました。さらに、異分野からの質問は普段私が気に留めていなかった部分を指摘していたため、私の研究をさらに発展させることにも繋がりました。このような異分野交流というものは、伝え方を工夫しなければならない一方、普段は得られない考えを得ることができる貴重な機会だということを改めて認識することができました。特にこのAOTULE学生会議は専攻だけでなく、文化や生い立ちも異なる学生が集まっているため、日本で行う異分野交流よりももっと様々な意見を得ることができました。

さまざまなスナックの並んだカウンター
さまざまなスナックの並んだカウンター

ミルクと砂糖のたっぷり入ったマサラティーを飲みながら
ミルクと砂糖のたっぷり入ったマサラティーを飲みながら

研究発表の他に私が感銘を受けたのはティー・ブレイクです。このAOTULE学生会議のプログラムには頻繁にティー・ブレイクがありました。初日のウェルカム・イベントの前、発表の休憩時間、発表後など。さらにこのティー・ブレイクではお茶だけではなくお菓子や食事も普通に出ます。もちろん、ティー・ブレイクとは別に朝食、昼食、夕食はあるので、最初にプログラムを見た時は、なぜこんなにもティー・ブレイクがあるのだろうと不思議でなりませんでした。しかし、初日のティー・ブレイクの時間にその意味が分かりました。他の大学から来ている学生がいたので、なんとなく話しかけてみました。すると、その学生の研究内容と私の研究内容が偶然にも近かったのもあり、時間を忘れて研究内容のディスカッションをしていました。さらに他の学生も交えて、研究だけではなく文化や考え方の話などもでき、会話はどんどん膨らんでいきました。そうしているうちにいつの間にかティー・ブレイクは終わってしまい、次のプログラムへの移動となりました。他のティー・ブレイクでも色々な学生と会話ができ、初めは疑問だったティー・ブレイクも、終わってみればとても充実した時間となっていました。異分野交流には研究発表のような意見を言う場も大切です。しかし、このティー・ブレイクのような他愛もない会話ができる時間というのも実は大切であり、貴重な時間であると感じたことは、私にとって新たな気づきでした。

上記のような学生間の交流の他に、チェンナイの街並みを見る機会もありましたので、そちらについても紹介させていただきます。まず、大学構内や街中にはたくさんの動物がいました。3日目に大学構内のラボツアーをしている最中には鹿が歩いていたり、シティ・ツアーで街に出てみると日本でいう猫と同じくらいの感覚で牛が歩いていたりしました。また、大学構内や街にあるお寺にも行きました。そこで気がついたことは、日本ではシヴァやガネーシャなどの神様のことを勉強する機会が少ないということです。インドネシア出身の学生に聞いてみると、小学校や中学校で勉強したと言いましたが、日本ではほとんど出てきません。こういった場面でも教育制度の違いが見られているため、異文化交流をするためにも、最低限は知っておいた方が良いと感じました。

チェンナイのシティ・ツアー

チェンナイのシティ・ツアー

AOTULE学生会議2018を通して、伝え方を工夫すること、自分とは違った観点からの意見をもらうこと、自由な会話をすること、最低限の知識を持っておくことが異分野・異文化交流において大切であることが分かりました。これからの時代、グローバル化はますます進み、異分野・異文化交流は当たり前になることが予想されます。そんな時代の中では、世界の常識を加味した上で日本人の良いところをどう生かすかということが大切になってくると思います。今回得られた経験は私にとって、世界の常識を感じるとともに、日本人として何ができるかを考えさせてくれる、非常に充実したものでした。

お問い合わせ先

工系国際連携室

E-mail : ko.intl@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3859

計算科学と実験で新機能物質(MAX相)を発見

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要点

  • 金属とセラミックスの性質を備えたMAX化合物をホウ化物で実現
  • 計算科学で新化合物Ti2InB2の存在が示唆され、実験で合成に成功
  • 2次元構造の新物質TiBを合成、2次電池のアノードとしての優れた性質を示唆

概要

東京工業大学 元素戦略研究センターの細野秀雄栄誉教授、多田朋史准教授、Junjie Wang特任助教(現 西北工業大学教授)、Tian-Nan Ye特任助教、Jiazhen Wu研究員らのグループは、与えられた化学組成から安定な結晶構造を第一原理計算[用語1]で探索する手法と実験による合成、キャラクタリゼーション[用語2]により、Ti2InB2(チタン・インジウム・ホウ素)という新物質の創製に成功した。この物質はMAX相(M:遷移金属、A:pブロック元素[用語3]、X:窒素(N)または炭素(C))というセラミックスと金属の性質をもち、新しい機能材料として関心を集めている物質群に分類できる。MAX相でX=N、C以外で見出されたのは初となる。また、この物質を真空中で加熱すると、Inが選択的に蒸発し、元の結晶構造をほとんど保持した層状の結晶TiBが得られた。この物質はMXene(複合原子層物質[用語4])と呼ばれる2次元構造を有する新物質であることが分かった。得られたTiBは、計算によるとLiやNaイオン電池のアノード電極の材料として、よく知られたMXene物質Ti3C2(炭化チタン)よりも優れた特性を持つことが示された。

研究成果は5月24日に英国科学誌「Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)」に掲載された。

研究の背景と経緯

有用な機能をもつ新物質・新材料をいかにして効率よく見出すかは、物質科学と材料科学の大きな課題である。本研究グループは計算科学と実験を有機的に組み合わせて新機能物質の探索を行っている。最近では電子がアニオンとして振舞う電子化物(エレクトライド)[用語5] [参考文献1]を対象に、化学式を与えて安定な結晶構造を遺伝的アルゴリズム[用語6]密度汎関数計算[用語7]で予測する手法で探索し、計算で選ばれた候補物質を実際に合成することで、未知物質であったSr5P3[用語8]を見出し、これが1次元電子化物結晶であることと結論した[参考文献2]。さらに、電気測定からこの物質が計算で予測されたような金属状態ではなく、有限なバンドギャップをもつ半導体であることが判明し、モット絶縁体[用語9]の電子化物であることが分かった。今回は、高い電気伝導度をもつが熱的に安定で機械加工が可能など金属とセラミックスの中間的な性質をもつことが知られている、六方晶で層状構造をもつMAX相(M:遷移金属、A:+3価の金属、X:炭素、または窒素)に注目し、本研究が初となるXがホウ素の安定な化合物の探索を行った。また、MAX相からAを選択的に取り除いた層状化合物はMXeneと称され、MX層の金属伝導性と表面にOHや酸素などで修飾すると親水性になり、粘土のように可塑性を示す。また層間にLi+、Pb2+などのイオンを可逆的に出し入れできるので、2次電池のアノード材料としても期待されている。

研究成果

図1のようにM=Ti、X=Bの組み合わせであるTixAyBzで安定なMAX相が存在するかどうかを計算で探索し、Ti2InB2というこれまで存在が報告されていない結晶が、安定に存在することが示唆された。そこで固相のバルク合成を行ったところ、目的とする化合物の生成がX線回折で確認された。また、その原子配列は、原子番号に敏感な像を与えるHAADF-STEM[用語10]という電子顕微鏡の観察でも確認された(図2)。

ホウ素系のMAX相の探索のスキーム

図1. ホウ素系のMAX相の探索のスキーム

理論予測されたホウ化物系MAX相Ti3C2の結晶構造と実際に合成された同化合物の電子顕微鏡写真

図2. 理論予測されたホウ化物系MAX相Ti2InB2の結晶構造と実際に合成された同化合物の電子顕微鏡写真

次に合成されたTi2InB2から、これまでのMXeneの合成法であるフッ化水素酸によるInのエッチングを試みたが、試料全体が溶解してしまった。そこで、Inの融点が低いことから高温で減圧にすればIn層が選択的に蒸発するのではないかと考え処理を行った。その結果、層状構造をもつTiBが得られた。この新物質TiBの層間へのLi+とNa+の挿入による理論比容量(1グラム当たり1時間に蓄えられる電流)を計算したところ、これまで報告されたMXeneであるTi3C2やTi2Cよりも40%程度大きいことが分かった。また、電池の充電―放電の速度に相当するイオンの拡散速度を決める障壁の高さも同程度ないしはやや低いという値が得られた(図3)。

合成されたMXene化合物TiBの写真とその中でのナトリウムイオンの拡散

図3. 合成されたMXene化合物TiBの写真とその中でのナトリウムイオンの拡散

今後の展開

炭化物、窒化物に限られていたMAX相がホウ化物まで拡張でき、さらに直接の合成ができないMXene相であるTiBが得られたことから、さらに新たなMAX相やMXene相の存在がいろいろな系で存在することが示唆された。両相ともにユニークな物性を有することから、2次電池の正極材料以外にも応用の可能性が広がるものと期待される。

用語説明

[用語1] 第一原理計算 : 物質の中の電子の運動を、量子力学のシュレディンガー方程式に従い、経験的パラメーターを用いずに計算する方法。計算機の性能が飛躍的に向上したので、汎用性が増している。

[用語2] キャラクタリゼーション : 材料の構造や性質の調査、測定する方法を一般的に表す。

[用語3] pブロック元素 : 周期表で第13 - 18族に属する元素(ヘリウムを除く)。

[用語4] MXene(複合原子層物質) : 2次元層状の物質化合物の一つのクラス。数元素層の遷移金属と炭化物イオン、または窒化物イオンから構成される。金属とセラミックスの中間的な物性をもつ。

[用語5] 電子化物(エレクトライド) : 電子が陰イオンとして振舞う化合物。

[用語6] 遺伝的アルゴリズム : データを遺伝子で表現した「個体」を複数用意し、適応度の高い個体を優先的に選択して交叉(組み換え)・突然変異などの操作を繰り返しながら解を探索する手法。評価関数に関して知識がない場合で適用可能という利点がある。

[用語7] 密度汎関数理論 : 電子系のエネルギーなどの物性を電子密度から計算することが可能であるとする理論。

[用語8] Sr5P3 : アニオンとしての電子が1次元のチャンネル中に閉じ込められた電子化物。計算でその存在が予測され、実際に実験で確かめられた。

[用語9] モット絶縁体 : バンド理論では金属になると予想されるにもかかわらず、電子間の力の効果によって電子が動けなくなっている物質。

[用語10] HAADF-STEM : High-angle Annular Dark Field Scanning TEM。細く絞った電子線を試料に走査させながら当て、透過電子のうち高角に散乱したものを環状の検出器で検出することにより像を得る。散乱の強度が原子番号ともに増すので、原子の識別に使える。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Discovery of hexagonal ternary phase Ti2InB2 and its evolution to layered boride TiB(六方晶三元化合物Ti2InB2の発見と層状ホウ化物TiBへの展開)
著者 :
Junjie Wang, Tian-Nan Ye, Yutong Gong, Jiazhen Wu, Nanxi Miao, Tomofumi Tada, and Hideo Hosono
DOI :

参考文献

[1] K.Lee, S-Wng Kim, Y.Toda, S.Matsuishi, and H.Hosono; Dicalcium nitride as a two-dimensional electride with an anionic electron layer; Nature, 494, 336 (2013).

[2] J.Wang, K.Hanzawa, H.Hiramatsu, J.Kim, N.Umezawa, K.Iwanaka, T.Tada, and H. Hosono; Exploration of Stable Strontium Phosphide-Based Electrides: Theoretical Structure Prediction and Experimental Validation; J. Am. Chem. Soc., 139, 15668 (2017).

お問い合わせ先

東京工業大学 元素戦略研究センター

栄誉教授 細野秀雄

E-mail : hosono@mces.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5009

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


衝撃破壊の瞬間、材料に何が起こるのか パルスX線の応用でナノ秒間に起こる現象の目撃に成功

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本研究成果のポイント

  • 衝撃破壊にともなう金属組織の微細化をパルス状の硬X線により直接捉えることに成功
  • 衝撃波進展にともなう金属組織のマイクロメートルサイズからナノメートルサイズへの変化を定量的に解析

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所、熊本大学 パルスパワー科学研究所、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所、テクニコン-イスラエル工科大学、筑波大学の研究グループは、KEKの放射光実験施設 フォトンファクトリー・アドバンストリング(PF-AR)を用いて、金属内に伝搬する衝撃波によってナノ秒(1ナノ秒=10億分の1秒)の間に進行する金属組織の微細化を直接観測することに成功しました。

本成果は5月20日、科学雑誌Scientific Reportsオンライン版に掲載されました。

背景

形あるものは必ず壊れる。これは自然の摂理ですが、最も短い時間で起こる破壊が衝撃波による衝撃破壊です。衝撃波は、高速衝突・爆発・火山噴火・雷・隕石・超音速飛行中の飛行機などによって発生することが知られていて、特に高圧の衝撃波は1キロメートル毎秒以上の高速で物質に伝搬し、材料内部を不均一に後戻りできない状態に破壊します。 現代社会で安全な生活を送るためには衝撃破壊の正確な計測が必要となります。しかし、衝撃波は音速で伝搬するため、破壊は一瞬のうちに起き、不均一かつ非常に複雑です。衝撃波内の破壊現象についての評価は難しく、衝撃破壊前と後の物質を見比べて想像するしかありませんでした。

研究内容と成果

図1. 衝撃破壊前の純アルミニウム箔の金属組織図
図1. 衝撃破壊前の純アルミニウム箔の金属組織図
結晶粒のカラーマッピング(色は結晶構造の向きに対応)。

多くの金属材料は細かい金属結晶が集合した多結晶状態になっており(図1)、材料の機械的特性は金属結晶のサイズや状態によって決まります。材料に高い圧力の衝撃波を加えると衝撃圧力に耐えられなくなり、材料は破壊されます。衝撃波内では、まず元に戻ることができる変形(弾性変形[用語1])が起こり、元に戻れる限界を超えた変形(塑性変形[用語2])を経て破壊に至ります。

自治医科大学 医学部とKEK 物質構造科学研究所に所属する一柳 光平 博士、KEK 物質構造科学研究所の野澤 俊介 准教授、深谷 亮 特任助教、木村 正雄 教授、足立 伸一 教授、熊本大学 パルスパワー科学研究所の川合 伸明 准教授、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の中村 一隆 准教授、テクニコン-イスラエル工科大学のKlaus-Dieter Lis 教授、筑波大学 生命環境科学研究科の髙木 壮大 大学院生からなる共同研究グループは、衝撃破壊の瞬間を実際に見るために、純アルミニウム箔内の金属組織の衝撃破壊による微細化に注目しました。

KEKの放射光実験施設PF-ARビームラインNW14Aの、原子サイズの波長かつ100ピコ秒の時間幅を持つパルス状のX線を使った時間分解X線回折[用語3]を用いると、純アルミニウム箔の金属組織の微細化過程を精密に調べることができます。研究グループは、この測定法と、ナノ秒のパルス幅を持つ高強度レーザーを組み合わせた実験を考案しました(図2)。高強度パルスレーザーはたった1回、試料に集光照射させるだけで、試料表面のコート材を吹き飛ばすことにより5万気圧以上の高圧衝撃波を発生させることができます。それだけで試料に穴が開きます(図3)。

図2. 衝撃波伝搬下の時間分解X線回折測定の概略図

図2. 衝撃波伝搬下の時間分解X線回折測定の概略図

アルミコートとプラスチック材があることで、アルミニウム箔は吹き飛ばされずに衝撃波のみを受ける。

図3. 衝撃破壊後の試料

図3. 衝撃破壊後の試料

試料の大きさはおよそ5 mm角。パルスレーザー照射により一部分が後方へ吹き飛び、直径0.5 mmほどの穴が開いている。

測定ではまず、破壊前の試料のX線回折像(図4右側)を撮影します。高強度パルスレーザー照射1回の8ナノ秒間に、同期させた100ピコ秒間(1ピコ秒=1兆分の1秒)のX線パルスを1回だけ照射し、衝撃波が伝搬する間に衝撃破壊中の試料のX線回折像(図4左側)を撮影します。試料を替え、X線パルス照射のタイミングを3ナノ秒ずつずらして繰り返し測定を続け、計100組の回折像を得ました。破壊前と破壊中の回折像の各回折点を照らし合わせると、金属結晶が微細化していることはもちろん、金属原子の配置が粒子内でどれだけずれているか(不均一歪み)がわかります。

X線回折像の解析の結果、マイクロメートルサイズだった金属の結晶粒は衝撃破壊によりナノメートルサイズまで細分化し(図5)、さらに極めて小さくなった各金属結晶内部で結晶の不均一性(結晶内の原子位置のずれ)が瞬間的に増大していることがわかりました。パルスX線をストロボ的な測定に応用することで、衝撃破壊後に観測される金属組織の状態とは異なる、衝撃破壊中の組織の微細化や結晶の不均一性を観測することに成功しました。

図4. 衝撃破壊前後のX線回折像

図4. 衝撃破壊前後のX線回折像

(左側)破壊後:回折点が連続。結晶粒が小さいことを示す。(右側)破壊前:回折点が非連続。結晶粒が大きいことを表す。

図5. 高圧の衝撃波による金属組織の微細化過程

図5. 高圧の衝撃波による金属組織の微細化過程

本研究の意義、今後への期待

極めて短い時間に起こる現象の瞬間を捉える新しい測定技術が、材料科学の発展に大きく寄与することは言うまでもありません。

衝撃波が引き起こす高速破壊現象による金属組織の微細化過程を理解することは、これまで極めて困難であった衝撃破壊の評価を可能にするだけでなく、レーザーピーニング[用語4]などに代表される衝撃波を利用した組織微細化加工に応用できるものと期待できます。

本研究は、科学研究費 若手研究(A)「時間分解ラウエ回折法による衝撃破壊素過程の解明」(研究代表:一柳 光平)、同 挑戦的萌芽研究「角度分散型時間分解X線回折による3次元衝撃圧縮状態の研究」(研究代表:一柳 光平)、同 新学術領域研究(研究領域提案型)「ソフトクリスタル:高秩序で柔軟な応答系の学理と光機能」(研究代表:加藤 昌子)、東レ科学研究助成金「時間分解X線測定による多段衝撃波内の構造・反応ダイナミクス解析」(研究代表:一柳 光平)の支援を受けて実施されました。

用語説明

[用語1] 弾性変形 : 力を受けた固体に生じた変形が、力を取り除けば元に戻る変形。

[用語2] 塑性変形 : 力を加えて変形させたとき、永久変形を生じる変形。力を取り除いた後にも歪みが残る。

[用語3] 時間分解X線回折 : ある瞬間の原子の構造情報を得るための手法の一つ。今回の実験では、材料が変形する瞬間に短パルスX線を当てX線回折データを収集した。

[用語4] レーザーピーニング : 短い時間幅のレーザーを照射したときの局所的な衝撃圧縮により材料表面に圧縮の残留応力を付与し、表面を加工硬化する技術。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports(オンライン版5月20日)
論文タイトル :
Microstructural deformation process of shock-compressed polycrystalline aluminum
(衝撃圧縮下における多結晶アルミニウムのミクロ組織変形過程)
著者 :
K.Ichiyanagi, S.Takagi, N.Kawai, R.Fukaya, S.Nozawa, K.G.Nakamura, K.D.Liss, M.Kimura, S.Adachi.
DOI :

研究内容に関するお問い合わせ先

自治医科大学 医学部

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

物質構造科学研究所 協力研究員 一柳光平

E-mail : ichiyana@post.kek.jp
Tel : 029-879-6185

取材申し込み先

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

広報室長 引野肇

E-mail : press@kek.jp
Tel : 029-879-6047 / Fax : 029-879-6049

学校法人 自治医科大学

大学事務部 研究支援課 小川孝志

E-mail : shien@jichi.ac.jp
Tel : 0285-58-7550 / Fax : 0285-40-8303

国立大学法人 熊本大学

総務部 総務課 広報戦略室 山下貴菜

E-mail : sos-koho@jimu.kumamoto-u.ac.jp
Tel : 096-342-3269 / Fax : 096-342-3110

国立大学法人 筑波大学 広報室

E-mail : kohositu@un.tsukuba.ac.jp
Tel : 029-853-2040 / Fax : 029-853-2014

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

グローカルスプリングスクール2019開催報告

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「グローカルスプリングスクール 2019」が、3月3日~5日にかけて大岡山キャンパス北2号館(EEI棟)多目的ホールにて開催されました。

グローカルスプリングスクールは、博士後期課程学生、修士課程学生、専門職学位課程学生、本学留学生、社会人、他大学学生が参加できる集中開講科目の新しい試みです。今回は、「Design for Humanity(ひとによりそうを形にする)」をテーマに開催しました。博士後期課程学生は博士文系教養科目1単位が取得できます。

本プログラムは、2016年から博士文系教養科目の学生プロデュース科目を担当している教員チームが準備と実施を行っています。今回は、リベラルアーツ研究教育院の猪原健弘教授が責任者となり、金子宏直准教授がスケジュール・講演設定、原田大介准教授がグループ分けと相互理解、栗山直子助教がワークショップ設計・準備、畑中健二助教がグループワーク方法論を担当しました。

特別講演者

3月3日(日)

講演者 島影圭佑

講演:島影圭佑氏

起業家、研究者、デザイナー。

株式会社オトングラス代表取締役。

筑波大学落合陽一研究室助教。

JST CREST xDiversity。

慶應義塾大学博士課程。

専門はデザインリサーチ、インクルーシブデザイン、スペキュラティヴデザイン、ファブ、HCI

3月5日(火)

講演者 土佐信道

ワークショップ:土佐信道氏
(明和電機 アートユニットプロデューサ)

明和電機紹介:土佐信道プロデュースによる芸術ユニット。青い作業服を着用し作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶなど、日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイルで、様々なナンセンスマシーンを開発しライブや展覧会など、国内のみならず広く海外でも発表。音符の形の電子楽器「オタマトーン」などの商品開発も行う。2016年1月には中国上海の美術館McaMで、初の大規模展覧会を成功させた。デビュー25周年となる2018年は大分、長崎での個展を開催。

来賓・審査

  • 水本哲弥理事・副学長(教育担当)
    水本哲弥理事・副学長(教育担当)
  • 井村順一副学長(教育運営担当)
    井村順一副学長(教育運営担当)
  • 関口秀俊副学長(国際連携担当)
    関口秀俊副学長(国際連携担当)

第1日目

開会式では、井村順一副学長(教育運営担当)が挨拶をし、本プログラム責任者の猪原教授がプログラムの目的と概要について説明しました。

第一講演では、島影圭佑氏(株式会社オトングラス代表取締役、筑波大学 落合陽一研究室 助教)が、メガネ型の視覚拡張機器オトングラス開発について話をしました。現在福祉機器として地方自治体に導入されています。

オトングラスの実演では、メガネをチラシにかざすだけで、読み上げ翻訳ができる機能が体験できました。その後、プログラムテーマである「Design for Humanity(ひとによりそうを形にする)」に関連して、デジタル・ファブリケーションが大量生産品とは異なるデザインの可能性を開くこと、トースター・プロジェクトの紹介、自身の新しいビオトープ作り等の取組みについて講演をしました。

ウェルカム・ランチにおいて、参加者全員の自己紹介ポスターによる交流をするとともに、島影氏を囲んで意見交換を行いました。

島影氏と学生の歓談

島影氏と学生の歓談

午後は、原田准教授の指導により、博士後期課程、修士課程、他大学の5名から6名の混成チームの合計9グループに分かれ、チームワークの始めにグループ名を決めてメンバーの紹介を行いました。

その後、金子准教授の指導により、人間の身体について理解するためのリサーチワークの方法を学習し、調査で得られた情報でカードを作成しました。そして、情報共有のためのカードゲームをグループ対抗で行いました。

第2日目

猪原教授による、研究者倫理のレクチャーの後、教授開発の研究者倫理カードを活用して理解を深めるグループワークを行いました。

その後、畑中助教がブレインストーミングとKJ(ケージェー)法を中心にディスカッションの方法論についてのレクチャーを行いました。ディスカッションの方法論を利用して、ヒューマニティーについてのグループディスカッションを行い、グループによるプレゼンテーションを行いました。

猪原教授開発のカードを使った研究者倫理学習

猪原教授開発のカードを使った研究者倫理学習

午後は、金子准教授の指導により、グループごとに本プログラムの最終プレゼンテーションで扱う社会的課題についてグループディスカッションを行い、テーマを決定しました。

今回のプログラムでは、最終プレゼンテーションの説明のために立体的なモデルを作成する必要がありました。そのため、栗山助教の指導により、モデルの作り方(スクラッチアンドビルド)のワークショップを行いました。

理工系の学生は、最終プレゼンテーションのアイデアをディスカッションするともに、アイデアを形にするために、工作道具、マイコン、レゴなどを組み合わせてモデルを作る作業に時間を忘れて熱心に取り組んでいました。多くの学生がプログラム終了後も作業を続けていました。

第3日目

明和電機の土佐代表取締役社長による講演
明和電機の土佐代表取締役社長による講演

前日の作業の続きをするため、朝から学生が会場に来て、モデルづくりを行っていました。

午前中は、世界的なアートユニット、明和電機の土佐信道代表取締役社長が、世界でのアートユニットとしての活動の紹介、明和電機のアート作品、ヒット製品のオタマトーンを例に製品制作についての講演を行いました。続けて、異なるものを組み合わせて全く新しいアイデアを生み出す、明和電機の発想法ワークショップを参加者全員と行いました。ワークショップを通じて、学生の考えたナンセンスマシーンのアイデアの紹介も行い、会場は楽しい雰囲気でした。

また、明和電機の柔軟な発想法、ブランディング戦略は学生たちにも共感をもたれました。

午後は、いよいよ、最終プレゼンテーションのポスター作成とモデルの完成作業が続けられ、プレゼンテーションまでの緊張した時間が続きました。

モデルづくりのパーツ選び
モデルづくりのパーツ選び

ポスターとモデルの制作
ポスターとモデルの制作

最終プレゼンテーションは、各グループが10分間の短い時間で、グループメンバー全員が交代でアイデアを発表しました。

最終プレゼン風景

最終プレゼン風景

最終プレゼンテーションには、井村副学長、関口秀俊副学長(国際連携担当)が審判になり、表彰グループを決定しました。水本哲弥理事・副学長(教育担当)とリベラルアーツ研究教育院の上田紀行研究教育院長が参観しました。

今回、優れたプレゼンテーションを行った2つのグループが表彰されました。井村副学長からグローカル賞が、食品ロスを減らすためのアイデアを提案したグループへ授与され、関口副学長からイノベーティブ賞が、孤独の問題に取り組むアイデアを提案したグループに授与されました。

グローカル賞受賞グループと井村副学長
グローカル賞受賞グループと井村副学長

イノベーティブ賞受賞グループと関口副学長
イノベーティブ賞受賞グループと関口副学長

水本理事・副学長から本プログラムの総括が述べられた後、参加者の代表として、一橋大学からの参加者に修了証が授与されました。

水本理事・副学長から一橋大学参加者へ修了証の授与
水本理事・副学長から一橋大学参加者へ修了証の授与

プログラムの終了前に、参加者全員で全員あくしゅ会を行い退場して、散会しました。

各グループでは将来の共同研究を約束するなど、本プログラムの終了を惜しむ様子もみられました。

また、期間中、中村聡副学長(国際広報担当)、本学教職員の参観、企業からの参観、報道機関の取材等がありました。

本プログラムは、国際教育プログラムの促進支援(2018年9月以降実施分、実施代表 猪原健弘)を受けて実施を行いました。

お問い合わせ先

リベラルアーツ研究教育院 文系教養事務

Tel : 03-5734-3776

研究者・留学生向け英文メールニュース 「Tokyo Tech Bulletin No. 55」を配信

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Tokyo Tech Bulletin(トーキョー テック ブリテン)」は、東京工業大学の研究成果やニュース記事、学生の活動などを紹介し国内外へ広く配信する英文メールニュースです。

この度、Tokyo Tech Bulletin No. 55が発行されました。

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In the spotlight

Tokyo Tech Bulletinは英語で配信を行っていますが、コンテンツは一部を除いてすべて日英両方で掲載しています。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : publication@jim.titech.ac.jp

NHK Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門」に伊藤浩之准教授が出演

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本学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の伊藤浩之准教授が、NHK Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門」に出演します。

「人間ってナンだ?超AI入門」は、実用化されているサービスや製品の中でどうAIが使われているか、そこに流れる思想は何か、現場取材を通して迫り「人間とは何か?」を考える知的教養番組です。

今回は、「味わう」をテーマにする回で伊藤准教授も研究・開発に加わった、AIによる「牛の行動観察システム」を解説し、実際の現場の様子として信州大学の農場で撮影を行いました。

信州大学の農場での撮影の様子

信州大学の農場での撮影の様子

伊藤准教授のコメント

伊藤准教授

専門は電子回路工学なのですが、色々な縁があり東工大『サイレントボイスとの共感』地球インクルーシブセンシング研究拠点(EISESiV)で酪農・畜産に関するプロジェクトを楽しくやらせて頂いています。国際的に重要になってきているアニマルウェルフェアを国内・アジアで普及・推進するための仕組み作りと、それを支え酪農・畜産の生産性向上と効率化に貢献する牛群管理システムの研究開発を進めているところです。牛の状態(発情や疾病、それらの前段階など)は牛の行動の変化から分かる場合があるため、我々は、牛にセンサを取り付けて、その加速度データ等からAIを使って牛の行動を推定する技術の研究開発を進めています。

番組では、このシステムのキーテクノロジーの一つであるEdge AI技術(牛に取りつけたセンサ内でAI処理を行う技術)に関して取り上げて頂きました。

AIは私自身勉強中で語れるほどの知識や経験が無いのと、インタビュー慣れしていないこともあり、分かりやすい説明ができていたか正直なところ不安しかありませんが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

  • 番組名
    NHK Eテレ「人間ってナンだ?超AI入門」
  • タイトル
    第10回「味わう」
  • 放送予定日
    2019年6月5日(水)22:50 - 23:20

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

NEDOと起業家支援に関する相互協力の覚書を締結 東工大発ベンチャーの創出、ベンチャー支援人材の育成などで連携

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本学は5月29日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)と「東工大発ベンチャー※1」の創出に向けた支援やベンチャー支援人材の育成など、起業家支援に係る相互協力の覚書を締結しました。

覚書署名式でのNEDO 渡邉政嘉理事(左)と渡辺治理事・副学長(研究担当)(右)

覚書署名式でのNEDO 渡邉政嘉理事(左)と渡辺治理事・副学長(研究担当)(右)

概要・背景

国内の産業技術のイノベーションにおいて、シーズとなる技術を有する大学の存在がさらに注目される中、その知的財産や研究開発成果の社会実装の手段として、大学発ベンチャーの創出・育成が重要視されています。

こうした背景からNEDOは、大学発ベンチャーや起業家支援を積極的に行っている大学と、起業家支援に関する相互協力の覚書を順次締結しており、本学はその7例目です。今回の覚書締結によりNEDOと本学は、ビジネスプランコンテストなどを通じた大学発ベンチャーの創出に関する取り組みのほか、ベンチャー支援人材やオープンイノベーション推進人材の育成などを実施していく予定です。また、東工大発ベンチャーの創出やオープンイノベーションの推進に向け、研究開発型ベンチャーが次々と誕生し成功事例を積み重ねていくベンチャーエコシステムのさらなる裾野拡大や、イノベーション創出環境の整備に貢献していきます。

覚書の内容

1. 大学発ベンチャー創出に向けた活動の活性化

本学が実施する大学発ベンチャー創出に向けたビジネスプランコンテストなどについて、NEDOが実施する「NEDO Technology Commercialization Program」(ネド・テクノロジー・コマーシャライゼイション・プログラム、TCP)※2と連携して、「東工大発ベンチャー」の創出に向けた支援を行います。

2. 研究開発型ベンチャーの現場支援人材やオープンイノベーション推進人材の育成

NEDOが実施する高度専門支援人材育成プログラム「NEDO Technology Startup Supporters Academy(SSA)」※3オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)※4の活動において、本学のベンチャー創出現場から優先的に人材を受け入れ、研究開発型ベンチャーの現場支援人材やオープンイノベーション推進人材を育成します。

3. NEDO委嘱カタライザーの派遣

東工大発ベンチャーや企業化を目指す相談案件に対し、NEDO委嘱カタライザー※5を無料で派遣します。

※1 東工大発ベンチャー

東京工業大学の研究成果又は人的資源を活用して起業されたベンチャー企業に授与する称号。新たな技術又はビジネス手法を基に起業した法人のうち、申請資格に該当する場合に申請が可能。学内審査を経て称号授与が決定される。

※2 NEDO Technology Commercialization Program (TCP)

技術を基に起業して事業を大きく拡大させたいと考えている起業家、起業家予備群、起業意識のある研究者などを支援するためのプログラム。

※3 高度専門支援人材育成プログラム「NEDO Technology Startup Supporters Academy (SSA)

国内のベンチャーエコシステムを下支えするための公益的視点と、広い知見や高い専門性をもって研究開発型ベンチャーの成長を伴走支援できる人材を育成するプログラム。

※4 オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)

大企業やベンチャー企業の積極的なマッチング機会やピッチイベント、ワークショップなどの開催を通じて、国内のオープンイノベーションの発展や活性化を目指す民間団体。

※5 NEDO委嘱カタライザー

NEDOが委嘱したベンチャー支援経験の豊富な有識者。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

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