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「東工大ホームカミングデイ2014」開催報告

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今年で3回目を迎えるホームカミングデイも、卒業生同士・卒業生と大学・卒業生と現役学生の交流を促す年間行事として定着しつつあります。今回は地域や一般の方にもご参加いただける企画を設けたことで、交流の場として、さらに充実したものとなりました。

すずかけ祭との同時開催

すずかけ台キャンパス
すずかけ祭との同時開催

5月17日(土)には、すずかけ祭との同時開催で「ホームカミングデイ2014すずかけ台」として特別講演会(日刊工業新聞社論説委員兼科学技術部編集委員 山本佳世子氏、東工大理工学研究科小長井誠教授)と全体交流会(大学会館3階ラウンジ)が開催され、多くの卒業生、現役教職員、現役学生が集まり盛況でした。

5月25日(日)には、「ホームカミングデイ2014大岡山」が開催され、数日前の降雨で心配された天気にも恵まれ、多くの卒業生、現役教職員、現役学生が集まりました。今回から東急線大岡山駅構内、すずかけ台駅構内の横断幕・ポスターや、大岡山北口商店街振興組合のご協力を得て商店街内にもポスターを掲示していただき、50名以上の一般参加者にも参加いただきました。

大岡山キャンパスでのホームカミングデイ

大岡山キャンパスでのホームカミングデイ

午前中から、徒歩で「ものつくりセンター」やスーパーコンピューター「TSUBAME」を見学するキャンパスツアー、バスで大岡山地区、緑ヶ丘地区を周遊するバスツアー、図書館内の見学ツアーが実施され、懐かしいキャンパスの「今」を御覧いただきました。

正午からは学生による演奏会が70周年記念講堂で行われ、前半はラテンジャズビッグバンド「ロス・ガラチェロス」による思わず踊りだしたくなるような演奏、後半は混声合唱団「コール・クライネス」の何度も全国優勝をしているハーモニーでオーディエンスを魅了しました。

キャンパスツアー(スーパーコンピュータTSUBAMEにて)

キャンパスツアー
(スーパーコンピュータTSUBAMEにて)

演奏会に続いて特別講演会が開かれ、前半はNTT東日本代表取締役社長 山村雅之氏による講演「お客様をつなぎ続けるために~東日本大震災を経験して~」で、いかなる時も「つなぎ続ける」使命を果たすため、同社が一丸となって復旧に取り組んだお話と動画が会場の感動を呼び、質疑応答も活気あるものとなりました。後半は2012年に設立された「地球生命研究所」所長・廣瀬敬教授による「地球の起源と生命の起源」。「地球外生命体は存在するか?」というSFチックなお話もアカデミックかつ夢をもって語られ、知的好奇心をそそる講演に会場の質問も後を絶ちませんでした。

混声合唱団コール・クライネス

混声合唱団コール・クライネス

ホームカミングデイ当日は学生サークルによる企画も盛りだくさんで、じゃぐテックによるジャグリングの披露、東工大ボランティアグループによる震災対応アプリの展示、茶道部による呈茶、自動車部による懐かしの名車の展示、東工大マイスターによる電気自動車「エコノムーブ」のデモ走行、西9号館では「ものつくりサークル大集合」企画が実施され、そしてグラウンドではサッカー部による公式戦も開催され大学イベントをさらに盛り上げてくれました。

ものつくりサークル大集合(西9号館)

ものつくりサークル大集合(西9号館)

16:30からは東工大蔵前会館(TTF)1階全フロア貸切で全体交流会が開かれ、会場には学科・分野別のテーブルが用意され、懐かしい顔ぶれによる旧交を温める場面に加え、現役学生とOBによる世代を超えた交流も会場の至るところで見られました。今年から学科・分野別テーブルに加え、サークルや学生交流プログラムOBのテーブルも用意され、陸上部、燕弓会、JAYSESのテーブルも設置され、若いOBや現役学生の交流が見られました。交流会冒頭、三島良直学長、庄山悦彦蔵前工業会理事長、小野功副学長の挨拶に続き、石田義雄蔵前工業会理事・東京支部長による乾杯の御発声、続いて男声合唱団シュヴァルベンコールOBによる合唱が交流会に華を添えました。

東工大と蔵前工業会共催によるホームカミングデイ2014は18:00に全体交流会の閉会とともに締めくくられ、卒業生と大学の絆を強める象徴的なイベントとして参加者の心に刻まれたことでしょう。

全体交流会会場(くらまえホール)

全体交流会会場(くらまえホール)

お問い合わせ先
東工大ホームカミングデイ事務局
Tel: 03-5734-2414
Email: hcd.ooka@jim.titech.ac.jp


BS11「宮崎美子のすずらん本屋堂」にパトリック・ハーラン先生と学生が出演

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リベラルアーツセンター、非常勤講師のパトリック・ハーラン先生と「コミュニケーションと国際関係」受講学生がBS11「宮崎美子のすずらん本屋堂」に出演します。

番組名
BS11「宮崎美子のすずらん本屋堂」
放送日
2014年6月20日(金)22:00~22:54

講義「コミュニケーションと国際関係」の様子

有機結晶が光で溶けるメカニズムを解明

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有機結晶が光で溶けるメカニズムを解明
-結晶内分子の “整列” と “運動” の共存がポイント-

要点

  • 光照射で融解する有機結晶の結晶構造を初めて解明
  • 分子が整列している部分と熱運動している部分の共存を観察
  • 分子の整列と運動の共存が、光融解現象の原因

概要

東京工業大学大学院理工学研究科の星野学研究員、腰原伸也教授らの研究グループは、有機結晶が光で融解するメカニズムを放射光X 線(用語1)による結晶構造観察で突き止めた。

まず長鎖アルキル基を有したアゾベンゼン(用語2)誘導体には「アゾベンゼンが整列した領域」と「長鎖アルキル基が結晶内で激しく運動している領域」の2領域が共存した特異な結晶構造をしていることを明らかにし、さらに、この結晶に紫外光を照射するとアゾベンゼンが光異性化反応(用語3)を起こして整列が壊れ、結晶中にもかかわらず液体のように激しく運動している長鎖アルキル基の領域と均一化されることで、融解が起こることを解明した。この結晶構造観察は放射光X線を利用した単結晶X 線構造解析(用語4)で、実験室系では得られないX 線回折データを高精度に集めることにより実現した。

通常、結晶を融解させるには室温以上に加熱する必要があるが、光照射という簡便な手段で結晶融解を実現する技術を使えば、有機材料の成形・加工の生産コストを大幅に削減できる。今回の研究は光照射による融解技術を産業化するための分子材料設計方針を提供するものである。

研究は産業技術総合研究所の則包恭央主任研究員と阿澄玲子グループ長、高エネルギー加速器研究機構の足立伸一教授と共同で実施した。この成果は米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン速報版で12 日に公開された。

論文情報

論文名
Crystal Melting by Light: X-ray Crystal Structure Analysis of an Azo
Crystal Showing Photoinduced Crystal-Melt Transition
(和文 光で溶ける結晶:光誘起結晶溶融転移を起こすアゾ化合物結晶のX 線結晶構造解析)
著者
Manabu Hoshino, Emi Uchida, Yasuo Norikane, Reiko Azumi,
Shunsuke Nozawa, Ayana Tomita, Tokushi Sato, Shin-ichi Adachi,
Shin-ya Koshihara
雑誌名
Journal of the American Chemical Society
DOI

用語説明

(用語1) 放射光X 線
蓄積リングと呼ばれる円形の加速器内を光速に近い速度で回るバンチ(複数の電子が寄り集まったもの)が、強力な地場で曲げられるときにその接線方向に放射される光のこと。実験室系用のX 線発生装置と比べて格段に強いX 線が利用できる。典型的にはX 線の波長であるが、真空紫外や赤外の放射光も利用されている。
(用語2) アゾベンゼン
2 つのベンゼン環がアゾ基(窒素原子同士の2 重結合)を介して連結した有機分子。アゾ基に対する2 つのベンゼン環の配置によって、シス体(同じ側にあるもの)とトランス体(違う側にあるもの)の2 種類の構造が存在する。
(用語3) 光異性化反応
分子が原子の得失なく化学結合の様式や組み合わせを変える(構変変化させる)化学反応のうち、光の照射によって起こる反応のこと。光照射によってシス体からトランス体、あるいはトランス体からシス体に構造変化する。トランス体の方がシス体よりも熱的に安定であるため、シス体は熱によってもトランス体に構造変化する。
(用語4) 単結晶X 線構造解析
分子が規則正しく整列した単結晶にX 線を照射すると、結晶中の分子構造と整列(周期構造)を反映した回折現象が起こる。この回折X 線を数千から数万記録しコンピュータで解析を行うことで、試料の分子構造と結晶構造(3 次元的な分子の配列)を観察することができる。

(a)本研究で対象にした長鎖アルキル基を有したアゾベンゼン誘導体。(b)紫外光照射によって結晶が溶けた様子を観察した顕微鏡写真。

図1 (a)本研究で対象にした長鎖アルキル基を有したアゾベンゼン誘導体。
(b)紫外光照射によって結晶が溶けた様子を観察した顕微鏡写真。

お問い合わせ先

大学院理工学研究科 物質科学専攻
教授 腰原伸也
Tel: 03-5734-2449
Email: skoshi@cms.titech.ac.jp

東京工業大学とオリコン・エナジーによる共同研究講座設置について

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東京工業大学と再生可能エネルギー関連事業を展開しているオリコン・エナジー株式会社(代表取締役社長:二宮貞治、本社:東京都港区、以下「オリコン・エナジー」という。)は、マイクロ波を再生可能エネルギー分野に応用し、化石燃料対比で圧倒的な二酸化炭素排出削減を可能にする技術開発を行うため、2014年7月14日より東京工業大学内に共同研究講座を開設することになり、(2014年6月19日)、「共同研究講座の設置・運営に関する協定」を締結しました。

すでに東京工業大学大学院理工学研究科応用化学専攻・和田研究室とオリコン・エナジーは、2013年11月よりマイクロ波を再生可能エネルギー分野に応用する共同研究を行っており、今回の共同研究講座の開設は、当該共同研究を発展させたものです。現在、当該共同研究は、実用化に結び付く実験結果を得るため、反応系のスケールアップを実施すべきフェーズに入っており、今回の共同研究講座においては、専任の研究者のもと、社会的に価値の高い研究成果を早期に得るべく、研究を加速させてまいります。

共同研究講座の概要

講座名
Oricon Energy マイクロ波技術共同研究講座
設置期間
2014年7月14日~2016年7月13日(2年間)
共同研究題目
マイクロ波を用いた高温反応系に関する研究
研究費用
オリコン・エナジーが全額拠出
共同研究担当教員
特任准教授 米谷真人
兼任教授  和田雄二(東京工業大学大学院理工学研究科応用化学専攻・教授)

東京工業大学大学院修士課程願書受付(6/23-27)

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東京工業大学大学院修士課程平成27(2015)年4月入学または平成26(2014)年10月入学の出願受付を下記のとおり行います。
受験を予定されている方は、募集要項に従い、【速達書留便】または【窓口提出】にて、出願してください。

1. 郵送する

出願書類一式を本学指定の封筒に入れ、速達書留郵便で送付してください。

受付期間
2014年6月23日(月)から6月27日(金)必着
郵送先
〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1-W8-103 東京工業大学学務部入試課

2. 窓口で提出する

出願書類一式を本学指定の封筒に入れ,必ず厳封の上、提出してください。願書提出時に窓口で大学職員による提出書類の確認は行いません。

受付期間
2014年年6月23日(月)から6月27日(金) 10:00~12:00、13:00~15:00
受付窓口
入試課(大岡山キャンパス・西8号館E棟212号室)

※受付期間以外は一切受付けません
※すずかけ台キャンパスでは窓口受付をしません
※最終日は混雑しますので、早めの提出を心がけてください

  

以上

中性子ハローがマグネシウム同位体にも出現

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中性子ハローがマグネシウム同位体にも出現
-中性子数の極端に多い原子核の普遍的性質となる可能性を示唆-

要 点

  • マグネシウム同位体「マグネシウム37」の微視的構造を決定
  • マグネシウム37に中性子ハローが出現していることを特定
  • マグネシウム37はハロー構造をもつ原子核として最重---より重い原子核の特異構造を知る手掛かりに

概 要

東京工業大学大学院理工学研究科の小林信之院生(現東京大学学振研究員)、中村隆司教授と理化学研究所の研究グループは、中性子が非常に多い原子核に現れる「中性子ハロー(用語1)」と呼ばれる特異構造が、中性子数が過剰なマグネシウム同位体(用語2)「マグネシウム37」(37Mg)にも現れていることを発見した。37Mgは、中性子ハロー構造が実験で確認されている原子核としては、最重のものとなった。

強力な不安定核ビーム(用語3)を供給する世界の拠点研究施設、理化学研究所のRIビームファクトリー(RIBF)を用い、中性子数が陽子数よりも極端に多い37Mgをビームとして取り出し、分解反応(用語4)という手法を用いた実験で解明した。4月に発表したネオン31(31Ne)に現れる特異構造(中性子ハローを含む)の解明に続く成果であり、中性子ハローが、中性子数の極端に多い原子核の普遍的性質となる可能性が広がった。

研究は、東工大、理研のほか、サレー大学(英)、日本原子力研究開発機構、米国ウェスタンミシガン大、カナダ・セントマリー大、韓国ソウル国立大、フランス・カン素粒子原子核研究所(LPC-CAEN)、東京大学原子核科学研究センター(CNS)、東京理科大学と共同で行った。この成果は6月18日に米国物理学会の学術誌「フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)」電子版に掲載される。

核図表(原子核の地図)

核図表(原子核の地図)。 横軸が中性子数、縦軸が陽子数(原子番号)を表わす。青色で表されているのがハロー構造をもつ原子核で今回新たに中性子ハロー構造が同定されたマグネシウム37(37Mg)はハロー構造が発見されている原子核の中で最も重い。

用語説明

(1) 中性子ハロー
1個または2個の中性子が芯原子核から外にしみだして薄く雲のように大きく拡がった状態(図1参照). 中性子が非常に多い原子核に10種程度みつかっている。今回の37Mgはその中で最も重い原子核である。
(2) 同位体
陽子数が同じで中性子数が異なる原子核(または原子)を同位体と呼んでいる。
(3) 不安定核ビーム
天然に存在する原子核は安定核、または安定同位体と呼ばれ、中性子数と陽子数はほぼ同数であるが(図2の黒い四角)、それより中性子数または陽子数が多くなると不安定になり、有限の寿命を持つ(短いものでミリ秒、長いものでは年単位になる)。このような原子核を不安定核(または放射性同位体、RI)と呼んでいる。不安定核は、重イオン加速器施設で加速された重イオンの反応で生成することができる。このとき生成された不安定核はビームとなるので、不安定核ビームと呼んでいる。
(4) 分解反応
この実験で用いているのはクーロン分解反応核力分解反応である。クーロン分解反応では重い標的を用い、その強いクーロン力によりビームの中の粒子(この場合は37Mg)を励起する。励起された37Mgは直ちに36Mgとnに分解する。この分解反応断面積(分解反応の確率)がハロー中の中性子の密度分布に感度がある。実際、ハロー構造があると極端に反応率が上がることがわかっている。一方、軽い標的を用いると短距離力の核力(原子核中の中性子・陽子を結び付けている力)により37Mgから1個の中性子が引きはがされる反応が主となる。この場合も反応率がハローの密度分布に依存するが、クーロン力より短距離力であるため、感度が異なる。この感度の違いを利用すると、ハローの密度分布や質量、中性子の軌道に関する情報が引き出せる。

論文情報

Observation of a p-Wave One-Neutron Halo Configuration in 37Mg, N. Kobayashi, T. Nakamura et al., Phys. Rev. Lett.112, 242501(2014). - Published 18 June 2014
DOI: 10.1103/PhysRevLett.112.242501outer

お問い合わせ先

東京工業大学 大学院理工学研究科 基礎物理学専攻教授
中村隆司
TEL: 03-5734-2652 FAX: 03-5734-2652
Email: nakaura@phys.titech.ac.jp

中濱正統さんが「第28回独創性を拓く 先端技術大賞」文部科学大臣賞を受賞

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大学院総合理工学研究科 物理電子システム創造専攻 博士課程2年の中濱正統さんが「第28回独創性を拓く 先端技術大賞」にて文部科学大臣賞(最優秀賞)受賞者に選ばれました。

先端技術大賞とは、「科学技術創造立国」の実現に向け、優れた研究開発成果をあげた全国の理工系学生と企業の若手研究者、技術者を表彰するものです。

中濱正統さん

中濱正統さん

受賞論文

「マイクロマシン構造を用いた温度無依存・波長可変レーザ ―革新的な大容量光インターコネクトを目指して―」
指導教員: 小山二三夫教授

今回の受賞を受け、中濱さんは次のようにコメントしています。

「この度は先端技術大賞・文部科学大臣賞という栄誉ある賞を頂くことになり、大変光栄に存じます。
これもひとえに皆様のご支援の賜物であり、日頃よりご 指導いただいております小山二三夫教授をはじめ、研究室の皆様に御礼申し上げます。
これを励みに、より一層精進して参る所存です。」

表彰式は2014年7月31日(木)東京・元赤坂の明治記念館にて行われます。
なお、先端技術大賞の本学学生の受賞は、4年連続となります。

中濱正統さん(左)と指導教員の小山二三夫教授(右)
中濱正統さん(左)と指導教員の小山二三夫教授(右)

機能性フィルムの表面歪み計測法を開発 -ウェアラブル端末やフレキシブルディスプレイ製造に威力-

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要点

  • 大きく曲がるフィルムの表面歪みを簡便に定量計測できる手法を開発
  • 柔軟なフィルムの曲げ歪みは従来の硬い材料とは大きく異なることを発見

概要

東京工業大学資源化学研究所の宍戸厚准教授、赤松範久大学院生、東京大学大学院新領域創成科学研究科の竹谷純一教授、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所藤川茂紀准教授らの研究グループは、機能性フィルムの簡便な表面歪み計測法を開発した。光を回折するグレーティング(用語1)をフィルム表面にラベル化することにより、フィルムの曲げによる表面歪み(用語2)を簡単に定量計測できることを明らかにしたもの。

さらに、光応答性を有するフィルムやシリコーンゴムからなる積層フィルムが従来の固体力学から大きく乖離した変形挙動を示すことを見いだした。これは、柔軟な材料の力学(ソフトメカニクス)が、硬い材料を扱う従来の固体力学とは大きく異なることを表すものである。ソフトメカニクスの進展に伴い、ウェアラブルデバイスやフレキシブルディスプレイ開発に弾みがつくと期待される。

ウェアラブル端末やフレキシブルディスプレイの開発には機能性を有する柔軟なフィルムの積層化が必要だが、これまでは変形や破壊を防ぐ鍵となる表面歪みの簡便な計測法がなかった。

この成果は、20 日に英国の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」(電子版)に掲載される。

用語説明

(注1) グレーティング
光を回折する回折格子。屈折率の周期構造体により形成される。内部に周期的な屈折率変化を有するものと、表面に周期的な凹凸を有するものがある。表面ラベルグレーティング法では、いずれのグレーティングも利用可能である。
(注2) 表面歪み
表面の変形状態を表す尺度であり、初期状態の長さに対する変位の比で定義される。フィルムの曲げに伴い表面が膨張するため、デバイスの破壊や疲労の原因となる。表面歪みの簡便な定量計測手法が望まれていた。

フィルムの曲げ変形に伴う表面の膨張と収縮

フィルムの曲げ変形に伴う表面の膨張と収縮。
同じフィルムでも異なる外部刺激によって表層の歪みは全く異なる。柔らかい材料特有の力学が存在することを明らかにした。

論文情報

Facile strain analysis of largely bending films by a surface-labelled grating method, Norihisa Akamatsu, Wataru Tashiro, Keisuke Saito, Jun-ichi Mamiya, Motoi Kinoshita, Tomiki Ikeda, Jun Takeya, Shigenori Fujikawa, Arri Priimagi, & Atsushi Shishido, Scientific Reports, 4, 5377/1-5377/6.

DOI: 10.1038/srep05377outer

お問い合わせ先 資源化学研究所 准教授 宍戸厚
TEL: 045-924-5242
Email: ashishid@res.titech.ac.jp


カーボンナノチューブを使い室温テラヘルツ波検出器を開発 -医療や食品・生体の非破壊検査など幅広い応用に道-

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要点

  • カーボンナノチューブアレイ薄膜を用いたフォトディテクターを開発
  • 室温動作のテラヘルツ波検出を実現

概要

東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センターの河野行雄准教授らは、米国ライス大学、同サンディア国立研究所と共同で、カーボンナノチューブを用いたテラヘルツ波(用語1)検出器の開発に成功した。

カーボンナノチューブをアレイ状に整列させたフィルムを用いてテラヘルツ波を室温で検出した。これは医療用イメージングや空港セキュリティー、食品検査など多岐にわたるテラヘルツ波の応用につながる成果である。テラヘルツ波は食品・生体の非破壊で安全な検査など多くの応用が期待されているが、エネルギーが光に比べて非常に小さいため、効率的に吸収・検出する材料や機構が少なく、検出には新たなアプローチが求められていた。

この研究成果は5月29日、米国化学会の学術誌「ナノレターズ(Nano Letters)」の電子版に先行掲載されました。

カーボンナノチューブ薄膜による室温テラヘルツ波検出の概念図
カーボンナノチューブ薄膜による室温テラヘルツ波検出の概念図

用語説明

用語1 テラヘルツ波
周波数が0.1 ~30 THzである電磁波帯のこと。電波と光の中間に位置し、未開拓電磁波とも呼ばれる。

論文情報

著者:
Xiaowei He, Naoki Fujimura, J. Meagan Lloyd, Kristopher J. Erickson, A. Alec Talin, Qi Zhang, Weilu Gao, Qijia Jiang, Yukio Kawano, Robert H. Hauge, François Léonard and Junichiro Kono
雑誌名:
Nano Lett., Article ASAP
論文タイトル:
Carbon Nanotube Terahertz Detector
DOI:

お問い合わせ先 東京工業大学 大学院理工学研究科
電子物理工学専攻
量子ナノエレクトロニクス研究センター准教授
河野 行雄
TEL: 03-5734-3811
FAX: 03-5734-3811
Email: kawano@pe.titech.ac.jp

「外国人研究者へのオリエンテーション及び外国人研究者等との懇談会」開催報告

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6月4日、第46回外国人研究者へのオリエンテーション及び外国人研究者等との懇談会が東工大蔵前会館で開催されました。

オリエンテーション:三島学長による挨拶

オリエンテーション:三島学長による挨拶

外国人研究者との懇談会は、学長主催により本学で教育・研究に従事している外国人研究者を招き、本学の教員及び各国の研究者の親睦を深めることを目的として、1991年12月4日より例年2回開催されているイベントです。第39回(2010年1月実施)からは、本学に関する理解を深める機会としてオリエンテーションも併せて実施しています。

オリエンテーション:聞き入る参加者たち

オリエンテーション:聞き入る参加者たち

第46回目となる今回は、外国人研究者へのオリエンテーションから始まり、三島学長と丸山理事・副学長から本学における教育、研究、国際交流について講演が行われました。その後の懇談会はくらまえホールにて開催され、辰巳理事・副学長及びケンブリッジ大学のMilne教授*によるゲストスピーチをいただいた後、大谷理事・副学長の発声による乾杯で会が進行し、和やかな雰囲気の中、交流が深められました。今回は本学の教職員、各国からの外国人研究者等あわせて約120名が参加し、最後は米崎大学院情報理工学研究科長の閉会の辞をもって、大盛況のうちに終了しました。

このオリエンテーションと懇談会の模様は、参加者のインタンビューを交えて、下記ウェブサイトにて後日報告予定です。(第46回懇談会の掲載は準備中です。)

懇談会:インタビューを受ける参加者
懇談会:インタビューを受ける参加者

* Milne教授は、本学が「世界トップレベルの海外大学からの教員招聘プログラム」により招聘した最初の教授で、本学では量子ナノエレクトロニクス研究センターに所属しています。

お問い合わせ先
国際部国際事業課国際基盤グループ
03-5734-7690
iad.events@jim.titech.ac.jp

劉岸偉教授が日本研究特別賞を受賞

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外国語研究教育センターの劉岸偉教授が、第1回「寺田真理記念 日本研究賞」の特別賞を受賞しました。

日本研究賞は、日本に対する理解増進のため、内外の優れた日本関係研究を顕彰し、奨励することを目的として、公益財団法人 国家基本問題研究所が設立し、受賞資格者は原則、若手か中堅の外国人の日本研究者で、対象作品は、ここ5年の間に刊行された著書とされています。

受賞著書:周作人伝 ある知日派文人の精神史

劉岸偉教授

劉岸偉教授

今回の受賞を受けて、劉教授は次のようにコメントしています。

「この度拙著『周作人伝ーある知日派文人の精神史』は国家基本問題研究所の「寺田真理記念・日本研究特別賞」に選ばれてまことに嬉しい。地味な研究書ともいうべき拙著の受賞は、これから日本研究に取りくむ後輩たちの大きな励ましとなるでしょう。かつて中国人の日本研究の遅れを一喝した戴季陶先生の批判を忘れず、時勢に流されることなく、しっかりと自分の目と足で研究活動を続けていく所存です。東工大・北京清華大との合同養成プログラムにも参加し、未来を担う両校の英才の教育に微力を尽くしていきたい。日頃の地道な教育、研究を通じて、中日間の意思疎通に少しでもお役に立てばと念じております。来日して三十年、いつかこの生活体験をふまえて、小泉八雲の『日本ー 一つの解明』の如き著書が書けたらいいなあ、と空想しているこの頃です。」

なお、「周作人伝 ある知日派文人の精神史」は第25回和辻哲郎文化賞も受賞しています。

すずかけ台キャンパスにて第11回料理教室開催報告

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2014年6月18日(水)、すずかけ台キャンパスの食堂にて料理教室が開催されました。
この料理教室は東工大生協・季の実ガーデン・保健管理センターすずかけ台分室の共催で行われ、今回で11回目を迎えます。料理教室で初めて出会う学生さんたちも居て、学生同士の交流の場にもなっているようです。

今回は取れたてのじゃがいもとたまねぎを使用し、コロッケとメンチカツ、オニオンスープ、デザートにタピオカを作りました。旬の食材を使用し、おいしいコロッケとメンチカツが沢山出来ました。揚げ物を作るのは今回が初めて。留学生を含め、みんなで揚げ物を体験しました。

ボリュームある試食に参加者たちは一同大満足でした。

調理手順を確認
1. 調理手順を確認

形成し、衣をつけます
2. 形成し、衣をつけます

揚げ物体験中
3. 揚げ物体験中

アツアツ、ホクホク。出来上がり!野菜と一緒にいただきます
4. アツアツ、ホクホク。出来上がり!野菜と一緒にいただきます

今回も多くの学生のご参加、ありがとうございました
今回も多くの学生のご参加、ありがとうございました!

機能性細胞膜の合成に成功、人工細胞にむけて大きな一歩 -完全制御可能な膜タンパク質合成システムの実現に道-

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要点

  • タンパク質を膜透過させる細胞膜上のトンネル「SecYEGトランスロコン」を試験管内で作製
  • SecYEGトランスロコンを介して数種の膜タンパク質を人工脂質膜に挿入
  • 細胞膜の機能を自律的に合成する人工細胞の実現に期待

概要

東京工業大学地球生命研究所の車兪澈(くるま ゆうてつ)WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)研究員、東京大学大学院新領域創成科学研究科の上田卓也教授と松林英明大学院生の研究チームは、人工細胞の構築に必要な、タンパク質を細胞膜に正確に組み込む分子装置を試験管内で作製することに成功した。上田教授が開発した試験管内タンパク質合成システム(PURE system、用語1)を用いて、膜タンパク質の合成に必須な膜上の分子装置を作製し、細胞と同じプロセスで膜タンパク質を合成した。この成果は、自律的に膜タンパク質を合成する人工細胞だけでなく、完全に制御可能な膜タンパク質合成システムの実現につながるものである。

生きた細胞の仕組みを詳細に理解するために、DNA、タンパク質、脂質などの生体分子を組み合わせて人工細胞を作製する研究が注目されている。しかし、それら細胞内分子を包み込む細胞膜の作製は、細胞膜上で働く膜タンパク質をうまく合成する有効な方法がなかったため非常に難しく、これまで人工細胞の実現を妨げていた。

この成果はドイツ化学会誌「アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション」のオンライン速報版で2014年6月4日に掲載された。

試験管内でのSecYEGトランスロコンの合成と、SecYEGを介したpOmpA、LepBの膜透過と、YidCの膜挿入
試験管内でのSecYEGトランスロコンの合成と、SecYEGを介したpOmpA、LepBの膜透過と、YidCの膜挿入

試験管内タンパク質合成系であるPURE systemにリポソームを加え、SecYEGを合成するための遺伝子secYsecEsecGを投入する(1)(2)。SecYEGが合成された後、pOmpAを合成するための遺伝子ompAと、pOmpAを膜の内側へ透過させる細胞質因子SecAを投入する(3)。透過されたpOmpAはリポソーム内側の脂質膜に固定される。その後、LepBを合成するための遺伝子lepBを投入し同じように膜透過させる(4)。膜透過したLepBは先に透過したpOmpAの根元を切断し、結果成熟体型のOmpAがリポソーム内空間に放出される(5)。また、SecYGEは多数回膜を貫通するYidCを膜内へ挿入させることもできる(6)。

用語説明

(用語1) 試験管内タンパク質合成システムPURE system
タンパク質合成に必要な37種類の因子をそれぞれ大腸菌から単離精製し、1つの試験管内に混合したタンパク質合成のための人工的なシステム。目的の遺伝子を投入し温めることで、数時間以内にタンパク質が合成できる。

掲載雑誌名、論文名および著者名

掲載雑誌名:
独国化学会誌Angewandte Chemie International Edition (Angew. Chem., Int. Ed.)
論文名:
In Vitro Synthesis of the E. coli Sec Translocon from DNA
著者:
Hideaki Matsubayashi, Yutetsu Kuruma, and Takuya Ueda
DOI:

お問い合わせ先

車 兪澈(くるま ゆうてつ)
東京工業大学 地球生命研究所 WPI研究員
TEL: 03-5734-3414 FAX: 03-5734-3416
Email: kuruma@elsi.jp

東京工業大学 地球生命研究所 広報担当
TEL: 03-5734-3163 FAX: 03-5734-3416
Email: pr@elsi.jp

「資史料館内覧会」開催報告

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東工大の歴史ならびに日本を中心とする工業教育史にかかわる各資史料(大学文書及び記録史料)を収集、調査・研究し、整理・保存して、内外に公開するとともに、教育・研究・年史編纂に貢献することを目的とし、2013年にスタートした博物館の資史料館部門。

資史料館内の公文書室 左奥が湿度調節装置

資史料館内の公文書室 左奥が湿度調節装置

公文書管理法で定める「国立公文書館等」(国立公文書館に類する機能を有する施設)として内閣総理大臣の認定を受けるために、大岡山キャンパス本館奥の4階部分(かつての図書館長室)を改修し、公文書室を設置しました。所狭しと並んだ書棚。ここに本学の歴史を物語る重要な書類が収蔵されていきます。

この新しい公文書室の内覧会を5月27日に開催し、学長はじめ、学部長・研究科長・研究所長等が見学しました。書棚の総延長は約340メートル(382段×0.9m)。長さをみると余裕がありそうですが、長期にわたって収蔵していきますので、1年あたりに使用できる棚の長さはせいぜい3メートル程度です。しかも、公文書室に入れたものは、基本的には廃棄できませんので、厳選されたもののみ収蔵していくことになります。他の保存すべき刊行物や冊子体等は比較的管理が簡単な資史料館の一般書庫(今後整備拡充予定)に保存し活用していきます。

資史料館内の閲覧・事務室

資史料館内の閲覧・事務室

今回、法人文書のうち重要なものを「特定歴史公文書等」として収蔵していくための施設として公文書室が整いました。今後、内閣府公文書課に申請をし、法律の要件を満たしているか否かの審査を経て、2015年4月から資史料館が正式に稼働することになります。

資史料館(博物館の資史料館部門)では、文書類の収集整理の傍ら、「とっておきメモ帳」や「発掘!東工大の研究と社会貢献」などのシリーズものを刊行し、話題を提供し続けていきますので、ご期待ください。

「第21回 My Study Abroad 留学報告会」開催報告

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6月13日の昼休みを利用して、My Study Abroad 留学報告会を開催しました。国際室が募集する留学プログラムで留学した学生によるこの報告会は、授業期間中、月1~2回開催されています。

今回は、派遣交換留学を利用して留学した4名の学生から発表がありました。

発表者は、人間環境システム専攻博士1年樋口諒さん(中東工科大学)、社会工学専攻修士2年橋本尚一郎さん(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)、土木工学専攻修士2年野村早奈美さん(カリフォルニア大学バークレー校)、金属工学科4年湯 亦茗さん(ジョージア工科大学)です。

それぞれの発表が終わるごとに、いくつもの質問がありましたが、留学報告会終了後も参加者からの質問が絶えず、留学を検討中の学生にとって貴重な機会となりました。

樋口諒さんの発表資料より

樋口諒さんの発表資料より

トルコの中東工科大学に留学した樋口さんは、専門であるビザンツ建築に関する理解を深めるため、トルコ国内にある多くの遺跡に足を運んだことが、修士論文の研究に大いに役立ったようです。また、授業で英語を使用するものの、実生活で必要となるトルコ語を覚えたことで、現地の人々との交流もでき、留学前と後でトルコのイメージがとても変わったとの報告がありました。

橋本尚一郎さんの発表資料より

橋本尚一郎さんの発表資料より

スイスのスイス連邦工科大学チューリッヒ校の建築学科に留学した橋本さんは、スタジオに所属し、授業の一環でヨーロッパの国々や東南アジアの国々に行く機会もあったようです。1年間の派遣交換留学後も、現地でインターンシップを経験する等、大変有意義な留学生活を送ることができたとの報告がありました。また、休み期間中には欧州の国々を旅行し、様々な都市の建造物に触れ、留学中にしかできないことを満喫できたようです。

野村早奈美さんの発表資料より

野村早奈美さんの発表資料より

アメリカのカリフォルニア大学バークレー校に留学した野村さんは、留学直前の事前準備が大変で、留学開始直後は思うように研究が進まず苦労したものの、世界中から優秀な留学生が集まる大学だったということもあり、多くの人と交流を持てたことが何よりの収穫だったようです。多様な価値観の集まるバークレーに半年間身を置いたことで、自分を客観的に見られるようになったようです。

湯 亦茗さんの発表資料より

湯 亦茗さんの発表資料より

アメリカのジョージア工科大学に留学した湯さんは、自身の専門の材料や金属とは異なる文系の科目が履修できたことが新鮮だったようで、「遊ぶ時は遊び、勉強する時は勉強する」という学生の姿勢にも共感を覚えたようです。また、派遣交換留学に応募する際のスケジュールや、留学先大学への出願の手順、留学中の授業の登録の方法やアトランタでの生活のポイントなど、派遣交換留学に応募を考えている学生に役立つ内容を発表しました。

海外に興味がある人、外の世界で自分を試してみたい人、是非一度留学体験談を聞きに来てみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ先
国際部留学生交流課派遣担当
Tel: 03-5734-7645
Email: hakenryugaku@jim.titech.ac.jp


「第20回大岡山蔵前ゼミ 東京スカイツリーの設計 -構造設計者の視点から-」開催報告

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大岡山蔵前ゼミは、東工大の全学同窓会である蔵前工業会の東京支部が主催する卒業生と学生の交流の場です。日本社会や経済をリードしている先輩を講師に迎え、これから社会に出る大学生・大学院生に、講演会・懇親会をとおして、様々な情報提供、意見交換を行っています。

今回は「東京スカイツリーの設計―構造設計者の視点からー」と題して、(株)日建設計・常務・構造設計部門代表 常木康弘氏と同構造設計部・主幹 中西規夫氏から、それぞれの経験と持ち味を生かして学生にも解り易く解説していただきました。

講演する常木氏

講演する常木氏

最初に、構造設計のベテランである常木常務から構造設計技術者の視点からスカイツリーや、東京タワーの設計に対する技術者の取り組み姿勢についての詳細な解説をいただきました。さらにはコンピュター技術の急速な発展とともに確立してゆく新たな構造設計技術の適用による設計検証など、塔の設計に対する歴史的な取り組みや東日本震災時の尖頭部アンテナの変形に対する解説、建設後50年を経過している東京タワーの改修など大変興味深い話をしていただきました。

講演する中西氏

講演する中西氏

続いて、現役の構造設計者である中西主幹から、スカイツリーが設計された時代背景や地域的な条件をご説明いただき、構造設計者と意匠設計者と共同でタワーの形が作り出されていった経緯や設計者としてのこだわりをお話しいただきました。また、建設物は施工者と協調したものつくりであるとの観点や、厚肉の鋼板を曲げて円筒を創り出す作業は、機械ではなく人間の技で行っていることなどを紹介されました。設計から施工、さらには運用1年を経た状況をつぶさに見てきた設計者の真摯な説明でした。

当日の聴衆は、学生88名、社会人68名、計156名が参加して行われ、大変盛況でした。今回は特に建築OB会である冬夏会や建築学専攻の教員、蔵前学生分科会の協力により大変充実した講演会となりました。続いてのロイアルブルーホールでの懇親会では、各所で先輩と学生との賑やかな語らいの輪が広がっていました。

講演会の様子
講演会の様子

お問い合わせ先

蔵前工業会東京支部事務局
Tel: 03-3748-4447
Email: kuramae-tokyo@deluxe.ocn.ne.jp

「第36回すずかけ祭」開催報告

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緑あふれる丘陵に林立する研究棟群と水辺の景観が美しいすずかけ台キャンパスは、今回も恒例の「すずかけ祭」を5月17日・18日に開催しました。近隣の住民の方々、大岡山の学生、受験希望者を含む遠方からの来客を迎え、普段は静寂な研究・教育環境は賑やかなお祭り会場に一変しました。両日天候にも恵まれ、来場者は初日に1,438名、2日目に1,766名、総計3,204名に達し、昨年の来場者総計3,183名を上回り、過去最高の来場者を記録しました。訪れた皆さまが、「すずかけ祭、最高!」という印象を持たれたことを願っています。

ウッドデッキ周辺からのJ2棟とG1棟
ウッドデッキ周辺からのJ2棟とG1棟

「すず」すずかけ門からすずかけ広場へ

すずかけ台駅(東京急行・田園都市線)を下車、すずかけ門からキャンパスに踏み込み、国道246号の橋桁をくぐると、新緑に映える丘陵と林立する研究棟群の景観が目の前に一気に拡がります。初めて来場した方は、都内の大学では見られない光景に驚かれたことでしょう。受付の正面では、一般参加チームを含む複数のチームがゲートボール競技に汗を流していました。

すずかけ門の受付

すずかけ門の受付

ゲートボール競技の参加者

ゲートボール競技の参加者

「か」加藤山の新緑を楽しんで

加藤山の新緑を楽しみながら、水辺の周囲に配置された遊歩道を散策される方もいました。大半は地元に住んでいる老夫婦や親子連れのようです。整備された加藤山の散策路には、総計243名が訪れました。緩やかなアップダウンを楽しみながら、すずかけ台キャンパスの自然を満喫されたのではないでしょうか。

「け」研究室を訪ねて

研究室公開は、すずかけ祭の最大の行事であり、ほとんどの研究棟が公開されました。各棟の研究室では、最先端の研究成果が紹介されました。来場者は、学生、幼少の子供連れなどの一般の方々であり、説明担当の学生は、普段の学会発表とは違った経験をしました。自分の研究内容を小学生にわかりやすく説明するのに戸惑ったようです。

研究室公開における子供向け企画

研究室公開における子供向け企画

研究室公開の一場面

研究室公開の一場面

「さ」散策を楽しんで

桜の名所として知られる東工大の大岡山キャンパスとは一味違ったすずかけ台キャンパスの周辺環境に触れることができたのではないでしょうか。キャンパスに設置されたペリパトスオープンギャラリーの彫刻展示(女子美術大学学生の作品群)に足を止める方もいました。

散策や研究室見学の合間に、すずかけホール周辺に設置された模擬店で飲物や軽食を楽しむ家族連れの姿が印象的でした。今回は10数研究室から模擬店の出店がありました。海外からの留学生も参加しており、例年以上に賑わっていました。いずれの模擬店も学生、教職員、近隣住民の方々による交流の場となっていました。

模擬店における留学生グループ

模擬店における留学生グループ

教職員の交流の場

教職員の交流の場

「い」イベント会場を回って

昨年、好評であったスタンプラリーは、今回も実施され、小中学生のグループや親子連れが参加していました。普段は静かなキャンパスを元気に走り回る小学生グループは、イベント会場を一段と盛り上げていました。今回のスタンプラリーは、昨年の915名を大きく上回る1,205名の参加が記録され、用意された景品が1,000名分だったため、早々に品切れになりました。

すずかけ祭最終日の5月18日の午後には、すずかけホールで本学管弦楽団のミニコンサートや本学音楽サークル・プラタナスの会によるピアノコンサートが開催されました。

スタンプラリー中の小中学生

スタンプラリー中の小中学生

管弦楽団によるミニコンサート

管弦楽団によるミニコンサート

「こ」高層棟における文化展へ

高層棟のJ2棟およびJ3 棟は、横浜市内で最も標高が高い場所と言われています。その20階では文化展が開催されました。文化展では書道展、5月18日には、お茶会が企画されました。今回も近隣の方々を中心に450名の来場が記録され、盛況な行事となりました。ここからは、富士山、東京スカイツリー、横浜ランドマークタワーを臨めます。文化展に参加された方だけではなく、すずかけ祭に参加された多くの方々が、この高層棟の最上階で素晴らしい眺望を楽しみました。

「う」ウッドデッキでひと休み

ジャグリングに見入る観客

ジャグリングに見入る観客

ウッドデッキは、すずかけ台キャンパスのほぼ中央に位置していることから、その周辺に模擬店が集中し、すずかけ祭の憩いの場として親しまれました。本学ジャグリングサークルによるジャグリングパフォーマンスを見ながら一休みをしたり、軽食をとる家族で賑わっていました。

すずかけ祭では、今回も大学院総合理工学研究科と大学院生命理工学研究科のオープンキャンパスとホームカミングデイが開催されました。オープンキャンパスには、1,327名の参加が確認されました。ホームカミングデイと共催された特別講演会は5月17日に大学会館3階の多目的ホールで開催されました。山本佳世子氏(日刊工業新聞社論説委員兼科学技術部編集委員)から「エンジニアのための技術コミュニケーション」、小長井誠教授から「太陽光発電に賭ける夢-1ワットの時代から1兆ワットの世界へ-」について講演を頂きました。

山本佳世子氏の特別講演

山本佳世子氏の特別講演

小長井誠教授の特別講演

小長井誠教授の特別講演

スパコン「京」がGraph500で世界1位 -ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析でも最高の評価-

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理化学研究所(野依良治理事長)と東京工業大学(三島良直学長)、およびアイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(Andrew J Deeks学長)は、大規模グラフ解析(互いに関連性のある複雑なデータの分析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500※において、スーパーコンピュータ「京(けい)」[1]による解析結果で第1位を獲得しました。これは、東京工業大学博士課程(理化学研究所研修生)の上野晃司氏らによる成果です。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、今回のランキング結果は、「京」がビッグデータ解析に関する高い能力を有することを実証するものです。

※)
ドイツのライプツィヒで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「International Supercomputing Conference(ISC) 2014」で6月23日(日本時間6月24日)に発表。前回(2013年11月)のランキングでは、「京」は第4位。

Graph500上位10位

公開されたGraph500の上位10位(http://www.graph500.org/outer)は以下の通りです。

順位
システム
名称
設置場所
ベンダー
国名
ノード数
プログラム
スケール
GTEPS
1
K computer
理研 計算科学研究機構
富士通
65536
40
17977
2
Sequoia
ローレンス・リバモア研
IBM
65536
40
16599
3
Mira
アルゴンヌ研
IBM
49152
40
14328
4
JUQUEEN
ユーリッヒ研
IBM
16384
38
5848
5
Fermi
CINECA
IBM
8192
37
2567
6
天河2A
国防科学技術大学
NUDT
8192
36
2061
7
Turing
GENCI
IBM
4096
36
1427
7
Blue Joule
ダーズベリー研
IBM
4096
36
1427
7
DIRAC
エジンバラ大学
IBM
4096
36
1427
7
Zumbrota
EDF社
IBM
4096
36
1427
7
Avoca
ビクトリア州生命科学計算
イニシアティブ
IBM
4096
36
1427

[1] スーパーコンピュータ「京(けい)」
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理化学研究所と富士通が共同で開発を行い、2012年に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理化学研究所の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

お問い合わせ先

広報センター

Tel: 03-5734-2975

Email: pr@jim.titech.ac.jp

※ 公開時、プレスリリースPDFがリンク切れしておりました。修正し、お詫び申し上げます。(2014.06.27 12:25追記)

東工大教育改革、学部・大学院を統一した「学院」の設置を記者発表

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2016年4月からスタートする東工大の新しい教育システム「東工大教育改革」の検討状況について、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)が、報道関係者に向けて発表しました。2013年10月に続き、2回目の記者発表です。

「東工大教育改革」について記者発表する三島良直学長

学院の誕生

今回の記者発表で三島学長は、学部組織3学部23学科、大学院組織6研究科45専攻で構成されている現在の組織を刷新し、学部と大学院を統一した6学院17系で構成される「学院」を設置することを発表しました。これは日本の大学では初めての取り組みです。

学部+大学院=学院

学院で一貫教育することにより、学士課程と修士課程、修士課程と博士課程の教育カリキュラムが統合されます(それぞれの課程ごとに学位は授与されます)。学生は入学から大学院修了までの出口を見通すことができ、自らの興味や関心に基づいて多様な選択や調整が可能になると考えています。

卓越した専門性とリーダーシップを備えた理工系人材を育てる

そのほか、専門分野ごとに新たに設計するカリキュラムや英語での大学院専門教育、教養教育の充実など、新しい教育内容を紹介しました。また、これらの新しい教育を実施するに当たり、クォーター制や達成度評価を導入するなど教育環境や教育支援体制の整備についても、現在の検討状況を説明しました。

東工大は世界トップ10に入るリサーチユニバーシティを目指し、日々教育研究を推進しています。世界トップスクールとしての教育システムを整備し、東工大教育が目指す「卓越した専門性とリーダーシップを併せもつ理工系人材」を輩出するため、引き続き教育改革に真摯に取り組んでまいります。

今後とも東工大教育改革にご注目ください。

内容の詳細は、プレゼンテーションデータのPDFPDFをご確認ください。

お問い合わせ先

広報センター

Tel: 03-5734-2975

Email: pr@jim.titech.ac.jp

河野行雄准教授がゴットフリード・ワグネル賞を受賞

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6月18日(水)、第6回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2014」授賞式が開催され、東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センターの河野行雄准教授が秀賞を受賞しました。

受賞スピーチを行う河野准教授

受賞スピーチを行う河野准教授

本学の前身である東京職工学校でも教授をつとめたドイツ人科学者、ゴットフリード・ワグネルにちなんで名付けられたこの賞は、日本を研究開発の拠点として活動しているドイツのグローバル企業11社による2008年から始まったプロジェクトで、日本の若手研究者支援と科学技術振興、そして日独の産学連携ネットワーク構築を目的としています。

受賞理由 「ナノ領域におけるテラヘルツ波センシング・イメージング技術の開発」

カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、半導体ヘテロ構造中2 次元電子ガス(2DEG)によるナノ構造を用いて、CNT/2DEG 複合素子によるテラヘルツ光子検出器、ワンチップ型近接場テラヘルツ撮影素子、グラフェンによる広帯域周波数可変テラヘルツ・赤外分光素子といった検出器や撮影・分光用の素子を新たに開発したことを評価されての受賞です。

今回の受賞に関して、河野准教授は次のようにコメントしています。

「これまで未開拓領域とされてきたテラヘルツ波は、物質・宇宙・生命科学から情報通信・セキュリティ・医療等に至る幅広い分野での応用が期待されています。この電磁波のセンシング・イメージング技術は新しい分野ならではの挑戦的課題が多くあり、その解決には従来技術の延長ではない新規な発想が必要とされます。その分、研究を進めていくやりがいと成功した場合の達成感があります。本学にゆかりのあるドイツ人科学者にちなんで名付けられた賞を受賞でき、大変光栄に思っております。ドイツは日本とともにこの分野で存在感のある国であり、今後は共同研究等を通じて日独の架け橋になるべく研究に邁進したいと思います。お世話になりました共同研究者の皆様、研究室のメンバーに深く感謝申し上げます。」

共催企業代表からトロフィーと目録を受け取る河野准教授(左)

共催企業代表からトロフィーと目録を受け取る河野准教授(左)

授賞式集合写真 河野准教授(前列最左)

授賞式集合写真 河野准教授(前列最左)

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