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2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る連携協定を締結

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2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と連携協定 協定書

2020年 東京オリンピック・パラリンピック
競技大会組織委員会と連携協定 協定書

本学は、昨年9月に開催が決定された2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を盛り上げていくため、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と連携協定を締結しました。

締結式は、6月23日、本学を含めた全国552の大学と同委員会との間で行われ、今後、同大会を盛り上げていくべく、連携協力を図っていきます。

2020年夏 東京オリンピック・パラリンピック開催!

お問い合わせ先

広報センター
Tel: 03-5734-2975
Email: pr@jim.titech.ac.jp


東工大スパコンTSUBAME-KFCが省エネ性能スパコンランキング2期連続世界1位を獲得!

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次世代TSUBAME3.0に向けたプロトタイプシステム、オイルによる冷却システムを備えた「TSUBAME-KFC」がスパコンの省エネランキングGreen500 Listの2014年6月版において世界1位を獲得し、2013年11月版に引き続き2期連続で世界1位を達成。

東京工業大学学術国際情報センター(GSIC)が、日本電気株式会社(NEC)、米国NVIDIA社など内外各社の協力で開発し、2013年10月に稼動を開始したスーパーコンピュータ「TSUBAME-KFC」(用語1)が再び世界最高の省電力スパコンとして認定されました。The Green 500 List(用語2)の2014年6月版において1ワットあたり4,389.82メガフロップス(用語3)という値を記録し、世界1位になったことが6月30日(ニューヨーク時間)に発表されました。2013年11月版に引き続き2期連続での1位となり、低炭素社会の実現に向けた日米合同の技術リーダーシップを示したといえます。同時にビッグデータ処理の省エネルギー性を競うために昨年から始まったThe Green Graph 500 List (用語4)のビックデータ部門にて世界6位となりました。

TSUBAME2.5

TSUBAME2.5

また、昨年9月にアップグレードされた同センターのスパコン「TSUBAME2.5」も1ワットあたり2,951.95メガフロップスを記録し、The Green500 Listにおいて世界8位にランキングされています。「TSUBAME2.5」は、The TOP500 Listにおいても世界13位となり、日本国内ではスーパーコンピュータ「京」に次ぐ第2位となりました。

TSUBAME-KFC

TSUBAME-KFC

TSUBAME-KFCはTSUBAME2.0の後継となるTSUBAME3.0及びそれ以降のためのテストベッドシステムとして、同センターが推進する文部科学省概算要求「スパコン・クラウド情報基盤におけるウルトラグリーン化技術」プロジェクトによって設計・開発されたものです。同プロジェクトではスーパーコンピュータの消費電力とそれに係る冷却電力の双方の削減を目標としており、TSUBAME-KFCでは計算ノードを循環する油性冷却溶媒液の中に計算機システムを浸して冷却する油浸冷却技術及び冷却塔による大気冷却の組み合わせによって非常に少ない消費電力で冷却できるように設計しています。

TSUBAME-KFCシステムは40台の計算ノードとそれらを接続するFDR InfiniBandネットワークで構成されています。各計算ノードは1UサイズのサーバにIntel Xeon E5-2620 v2プロセッサ(Ivy Bridge EP)を2基、NVIDIA Tesla K20X GPU(用語5)を4基搭載しており非常に高密度になっています。40ノードを1つの油浸ラックに収容されるコンパクトな設計になっています。システム全体の理論ピーク演算性能は217テラフロップス(倍精度)になります。

今回の結果は、東工大学術国際情報センターにおいて省電力化を目指して行われてきた種々の研究成果が結実したものと言えます。ウルトラグリーン化プロジェクトだけでなく、同センターにおける科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(JST-CREST)における「ULPHPC(超低消費電力高性能計算)」「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」などの基礎研究プロジェクト、また米国NVIDIA社との数年来の共同研究プロジェクトにおいて、最新技術であるGPU(用語5)のスパコンにおける大幅活用やHPCシステムの省電力化の研究などが続けられてきました。それらの成果をもとに、NECと米国NVIDIA社を中心に、米国Green Revolution Cooling社、米国Super Micro Computer社、米国インテル社、Mellanox社などが加わった企業と共同開発が行なわれました。

用語1  TSUBAME-KFC

TSUBAME Kepler Fluid Coolingが語源。TSUBAME2.5と同様にNVIDIA社のKepler世代GPUを搭載していますが、TSUBAME-KFCでは計算ノードを液体に浸けて冷却している特長から名づけられています。

用語2  The Green 500 List :

スパコンのベンチマーク速度性能を半年ごとに世界一位から500位までランキングするThe TOP 500 Listに対して、近年のグリーン化の潮流を受けTOP500のスパコンの電力性能(速度性能値 / 消費電力)を半年ごとにランキングしているリスト。http://www.green500.orgouter

用語3  ペタフロップス(Peta flops)、テラフロップス(Tera flops)

フロップスは1秒間で何回浮動小数点の演算ができるかという性能指標。ギガ(10の9乗)、テラ(10の12乗)、ペタ(10の15乗)など。

用語4  The Green Graph 500 List :

The Green 500 Listのように、ビッグデータ解析性能を競うGraph 500のスパコンの電力性能(解析性能値 / 消費電力)を半年ごとにランキングしている2013年の5月から始められたリスト。 http://green.graph500.org/outer

用語5  GPU (Graphics Processing Unit)

本来はコンピュータグラフィックス専門のプロセッサだったが、グラフィックス処理が複雑化するにつれ性能および汎用性を増し、現在では実質的にはHPC用の汎用ベクトル演算プロセッサに進化している。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター プレス担当
TEL: 03-5734-2975 FAX: 03-5734-3661
Email: media@jim.titech.ac.jp

「第22回 My Study Abroad 留学報告会」開催報告

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6月24日の昼休みを利用して、My Study Abroad 留学報告会を開催しました。国際室が募集する留学プログラムで留学した学生によるこの報告会は、授業期間中、月1~2回開催されています。

今回は、派遣交換留学を利用して留学した3名の学生が発表しました。大学院社会理工学研究科経営工学専攻修士2年の島田洋佑さん(シンガポール国立大学/シンガポール)、工学部機械科学科4年の永田彩乃さん(ミュンヘン工科大学/ドイツ)、大学院総合理工学研究科物理情報システム専攻博士1年の竇書洋さん(南洋理工大学/シンガポール)です。

発表中の様子

発表中の様子

シンガポール国立大学に留学した島田さんは、日系企業が多く集まるシンガポールで、多くの社会人の方と接する貴重な機会があったそうです。また、日本食の店も数多くあるため、日本が恋しい気持ちにならず、留学先としてシンガポールはとても良い環境であるとの報告がありました。さらに、多くの優秀な学生と交流でき、学生寮はヨーロッパからの留学生が圧倒的に多く、彼らと交流ができたこともまたシンガポール国立大学を選んで良かったと感じる理由のようです。世界中から優秀な学生を集めるために、学生寮を始め、キャンパスの設備は非常に整っているとのことです。

永田さんの発表資料より抜粋

永田さんの発表資料より抜粋

学部3年の後期に半年間、ミュンヘン工科大学に留学した永田さんからは、学部生で留学することのメリットやデメリット、現地で生活を始めるにあたり必要な諸手続きや生活費用等、これから留学を控える学生に役立つ内容の発表がありました。また、ミュンヘンにある有名な博物館や美術館で、元々興味があったドイツの芸術や文化に直接触れ、ドイツでの生活を満喫したようです。さらに、ヨーロッパの他の国にも足を運び、多くの芸術作品を鑑賞できたので、ドイツを留学先として選んで良かったとの報告がありました。

島田さん、竇さんの発表資料より抜粋

島田さん、竇さんの発表資料より抜粋

南洋理工大学に留学した竇さんは、修士課程を修了し、博士課程に入る前の3ヶ月間を利用して留学しました。日常生活では英語が主流であるものの、標準的な英語と比較して特別なアクセントのあるシンガポール英語に慣れるのが大変だったようです。また、シンガポールは家賃が高いですが、清潔で安い学生寮があり、学食が非常に安いそうです。さらに治安が良く、夜遅くまで交通網も発達しているシンガポールは、留学先として非常に過ごしやすかったとの報告がありました。

学生時代に一度海外で生活をしてみたい人、自分の力を外で試してみたい人、是非一度留学体験談を聞きに来てみてはいかがでしょうか。次回は7月22日(火)の予定です。

お問い合わせ先
国際部留学生交流課派遣担当
Tel: 03-5734-7645
Email: hakenryugaku@jim.titech.ac.jp

事務職員 13名を表彰 -大学の業務運営に貢献

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6月25日に大学院情報理工学研究科大会議室において、職務表彰式が行われました。この表彰は、事務職員等を対象として、職務上の功績があった職員を表彰し、職員の勤労等に報いるとともに、他の職員の勤労意欲を高め、大学の発展に寄与することを目的として行われているものです。

表彰状の授与

表彰状の授与

職務の遂行にあたり、大学の業務運営に貢献し、成績顕著と認められた事務職員13名が表彰を受け、三島良直学長から表彰状が授与がされました。

今回表彰された職員は次のとおりです。

職務表彰(11件 11人)

推薦部局
所属グループ等
職名
氏名
推薦理由
総務部
総務課
総務秘書グループ
主査
藤原則雄
「各種行事等の実施について多大なる貢献」
企画・評価課
総合企画グループ
スタッフ
角野葉子
「教育改革の推進にあたって、積極的に業務を遂行し、抜群に努力」
財務部
主計課
総務・監査グループ
グループ長
城戸陽
「主計課総務・監査グループ業務の着実な遂行」
経理課
運用・支出グループ
グループ長
小野寺慎哉
「業務への献身的な取組で、効率化と大幅経費削減を実現」
国際部
国際連携課
企画・調整グループ
グループ長
園山みお
「海外機関等との調整による国際交流イベント実施への多大なる貢献」
留学生交流課
交流推進グループ
スタッフ
堀有美子
「協定校からの交換留学生等の受入業務における多大なる貢献」
国際事業課
国際基盤グループ
スタッフ
松島史秋
「国際部、国際事業課内における業務システム改革・マネジメント」
学務部
教務課
教育企画グループ
スタッフ
笹川祐輔
「担当職務に抜群に努力し、特に成績が顕著である」会議効率化の工夫、教育推進室業務の円滑な運営に寄与
入試課
学部入試グループ
グループ長
関口広海
「入試業務について抜群に努力し、教職員からの信頼が顕著である」
研究推進部
研究企画課
コンプライアンス担当
専門職
古池はるみ
「教育研究資金不正防止計画の推進」
研究資金管理課
研究資金契約グループ
主任
上里真理子
「外部資金業務経験を生かした事務の体系化・リーダーとして貢献」

業務改善(2件 2人)

所属
職名
氏名
改善計画
すずかけ台地区事務部
総務課
総務・研究所グループ
主査
高橋是光
「鍵の貸し受け自動化のための鍵管理システムの導入」
総務課
総合理工事務グループ
主任
奈須純子
「研究科内各種会議の電子化、集約化」

表彰者の方たちで
表彰者の方たちで

転写時のRNAの長さを制御する仕組みが明らかに ―がん化のメカニズム解明につながると期待―

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概要

東京工業大学大学院生命理工学研究科の山口雄輝教授と山本淳一研究員らは、遺伝子(DNA、デオキシリボ核酸)から作られるRNA(リボ核酸)の長さを、RNAポリメラーゼII(用語1)に結合する「NELF」というタンパク質が制御していることを突き止めた。遺伝子発現のエンジンともいえるRNAポリメラーゼIIにNELFが直接作用して、RNAの長さを適切にコントロールする仕組みを発見したもので、学術的な意義だけでなく、がん化の仕組みの解明につながると期待される。

NELFの働きを人為的に阻害すると、snRNA(用語2)やヒストンメッセンジャーRNA(用語3)といった本来は短いRNAが適切なプロセシング(加工・処理)を受けず、異常に長いRNAが作られるようになる。その結果、機能的に重要なsnRNAやヒストン(用語4)が働けなくなり、細胞は増殖できなくなることが分かった。

RNAポリメラーゼIIという酵素は遺伝子からRNAを写し取る(転写)。従来は、どこからどこまでが遺伝子で、どこからどこまでをRNAに写し取るべきかという情報はDNAの塩基配列に刻み込まれており、RNAポリメラーゼIIは正確に転写を行なうと考えられていた。

この成果は6月27日(英国時間)に英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications = Natureの姉妹誌)」に掲載される。

RNAポリメラーゼIIによって作られる3種類のRNA

図. RNAポリメラーゼIIによって作られる3種類のRNA

NELFはプロセシングの経路の選択に関わっている

図. NELFはプロセシングの経路の選択に関わっている

用語説明

(用語1) RNAポリメラーゼII
遺伝子発現のエンジンともいえる酵素で、細胞内の遺伝子の大部分がこの酵素によってRNAへと写し取られる。

(用語2) snRNA
メッセンジャーRNAとは異なりタンパク質の情報を持たず、RNAとして機能している。細胞の核内で起こるスプライシングという反応(メッセンジャーRNAの中からタンパク質を作るのに邪魔な配列を取り除く反応)に関わっている。

(用語3) メッセンジャーRNA
遺伝子→メッセンジャーRNA→タンパク質、という有名なセントラルドグマに登場するRNAの一種。タンパク質のアミノ酸配列に関する情報を含んでおり、遺伝子からタンパク質が作られる過程の中間体として機能する。

(用語4) ヒストン
1メートルにおよぶ紐状のゲノムDNAを、十万分の一以下の大きさの細胞の核内に収納するのに必要なタンパク質。ヒストンタンパク質はヒストンメッセンジャーRNAから作られる。

本成果の発表先と発表日

著者:
Junichi Yamamoto, Yuri Hagiwara, Kunitoshi Chiba, Tomoyasu Isobe, Takashi Narita, Hiroshi Handa, Yuki Yamaguchi
発表先:
Nature Communications
論文タイトル:
DSIF and NELF interact with Integrator to specify the correct post-transcriptional fate of snRNA genes
DOI:

お問い合わせ先

大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 教授
山口 雄輝
TEL: 045-924-5798
Email: yyamaguc@bio.titech.ac.jp

7月の学内イベント情報

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2014年 7月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

7月の学内イベント情報

「JCHM 第一回総会及びシンポジウム」開催報告

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6月13日、大岡山キャンパス 緑が丘6号館ホールにてJCHM第一回総会およびシンポジウムが開催されました。

JCHM(Japanese Consortium for Human Microbiome)は日本人腸内環境の全容解明をテーマに掲げ、当研究に関心を持つ関係機関・団体・企業との連携によるパートナーシップ制度です。

黒川JCHM運営委員長の開会挨拶

黒川JCHM運営委員長の開会挨拶

小野副学長による挨拶

小野副学長による挨拶

今回は発足以来初となる総会とシンポジウム、及びワークショップで、初の総会にも関わらず研究者、協賛企業、学生、関係者含め81名の参加がありました。

冒頭、東京工業大学の小野副学長から、本コンソーシアムに協賛頂いた企業への謝辞と今後の生命理工学の発展を目指したい旨の開会の挨拶がありました。

つづいて、特別招待講演ではEMBL(欧州分子生物学研究所)のPeer BORK博士と国立がん研究センターの谷内田真一博士による、最新の腸内細菌叢に関する研究内容の発表がありました。講演後、参加者から活発な質問があり、有意義なシンポジウムとなりました。

午後からは、菌叢解析パイプラインの実践を、ワークショップ形式で開催しました。ここでは本学大学院生命理工学研究科 生命情報専攻の森宙史助教が講師を務め、 実際のデータを用いた解析を行いました。 協賛企業の研究員の方々や研究機関の研究者、学生が参加し、大変好評でした。

シンポジウム、ワークショップに関するアンケートには多くの意見が寄せられました。JCHMでの今後のイベントの参考といたします。

山田JCHM代表による活動報告

山田JCHM代表による活動報告

Peer Bork博士による特別講演

Peer Bork博士による特別講演

谷内田博士による特別講演

谷内田博士による特別講演

会場の様子

会場の様子

会場の様子

会場の様子

ランチ懇親会の様子 於緑が丘ホール

ランチ懇親会の様子 於緑が丘ホール

東工大基金

本プロジェクトは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先
大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 山田研究室
JCHM事務局
Tel: 03-5734-3629
Email: info@jchm.jp

RU11「大学における学術研究資源を活用した基盤の戦略的強化について」緊急声明

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学術研究懇談会(RU11)は、日本における最先端の研究・人材育成を担う、国立・私立という設置形態を超えたコンソーシアムです。北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の11大学で構成されています。

このたび、RU11の総長・塾長・学長は、大学における学術研究資源を活用した基盤の戦略的強化について声明をまとめました。

平成26年7月4日

大学における学術研究資源を活用した基盤の戦略的強化について(RU11緊急声明)

学術研究懇談会(RU11)

北海道大学総長
山口 佳三
東北大学総長
里見  進
筑波大学学長
永田 恭介
東京大学総長
濱田 純一
早稲田大学総長
鎌田  薫
慶應義塾長
清家  篤
東京工業大学学長
三島 良直
名古屋大学総長
濵口 道成
京都大学総長
松本  紘
大阪大学総長
平野 俊夫
九州大学総長
有川 節夫

学術研究懇談会(RU11)は、学術の発展を目的とし、研究及びこれを通じた高度な人材の育成に重点を置く、国立・私立という設置形態を超えたコンソーシアムとして、我が国全体の統合的な大学研究力強化に向けて連携して継続的な活動を行っています。

20世紀後半に我が国は、工業生産技術の革新を牽引力として世界トップレベルの経済大国となりました。しかし、現在、その経済成長モデルは成熟し、またアジア諸国が急伸する中、世界的な競争が熾烈になっており、世界における経済的地位を維持することは容易ではありません。
資源の乏しい我が国が今後も成長を続けていくには、人的資源による新しい知識を活用して新しい経済的価値を自ら生み出し続けなければなりません。そのためには、様々な分野でイノベーションを駆動することが不可欠であり、その基盤となる科学技術力の強化は喫緊の最重要課題です。

これまでの経済成長の過程で、大学、企業、公的研究機関に科学技術研究開発の基礎基盤が着実に蓄積されてきました。事実、これら長年かけて培ってきた知的基盤的資源こそが我が国の優位性であり、今後世界的競争を勝ち抜くための原動力となることは論をまちません。

大学や研究機関においても、4期に及ぶ科学技術基本計画のもとで、科学技術振興投資が行われ、競争的な研究資金が投入されています。一方、我が国の財務構造改革も重要な課題となる中で、大学や公的研究機関についてもより効率的かつ機動的な組織への転換が必要となり、国立大学の法人化や公的研究機関の独立行政法人化が行われ、既に10年あまり経過しました。その間、継続的に必要な組織運営に関わる基盤的財源の不安定化が進む中で、短期的な重点プロジェクトは促進するという状況が常態化し、その結果、組織基盤が大きく弱体化しました。特に、次世代を支える若手研究人材の育成や雇用の劣化をまねいていることは深刻です。

国立大学法人は、平成28年度から第3期中期計画期間に入ります。この期に研究力強化のための資金投入のあり方を抜本的に見直し、国民による投資が長期的な基盤強化に効果的に資するものとなるよう、戦略を立て直し、それを着実に進めて行く必要があります。特に、来年度は第2期中期計画を仕上げる最終年度として極めて重要な時期です。

このような大学を取り巻く状況を鑑み、学術研究懇談会(RU11)として、国立・私立という設置形態を問わず大学における学術研究の継続が、今後の我が国の発展にとって極めて重要であることを改めて発信します。特に留意すべきこととして、以下の2項目について提言します。

(1) 国立大学の基盤財源としての運営費交付金の配分見直しについて

国立大学の特別経費プロジェクトである「教育研究プロジェクト」は、中長期的な視点で地道な活動を支援することにより、大きな成果をあげるものが少なくありません。このようなプロジェクトは、優秀な若手人材育成のための土壌になるものでもあり、一定期間の継続性を確保することが重要です。このような観点から、教育研究プロジェクトの第3期中期計画以降の連続性について柔軟な対応を強く求めます。

世界水準の研究大学が学術研究の進展や社会構造の変化を踏まえた教育研究組織の柔軟な再編成・強化などの「機能強化」を図ることが極めて重要であることは論をまちませんが、その機能強化は、大学自身が自らの構想力と長期的視野に基づいてさらにその先の改革につながる萌芽を育むことと同時に行われなければなりません。
教育研究プロジェクトは大学における新しい教育研究活動の取り組みを支援するもので、現場からの提案をもとに各大学が厳選して提案しているものです。既存の部局の枠を越えた分野横断的な教育研究の展開や国立大学をハブとして私立大学とも連携し、国立・私立の枠を越えた教育研究の展開といった機能強化や大学改革の芽となる取り組みが数多く行われています。我が国の大学の機能強化は、国立・私立という設置形態を問わず大学の共通する喫緊の課題です。

以上のように、各大学における教育研究プロジェクトは、まさに第3期における大学の機能強化を先取りするものも多く含まれていますので、一律に中断に追い込むことは、大学改革を後退させてしまうことになりかねないと危惧します。

(2)大学院充実のための国公私立大学を通じた公募型事業について

大学院教育強化のためのG-COEプログラムや博士課程教育リーディングプログラム、グローバル化促進のためのG30プログラムなど、いずれも大きな成果をあげてきており、多くの事業が公募による時限事業として進められてきました。これら事業は最終年度まで継続することはもちろん今後の大学における国際化、機能強化などの観点から極めて重要なものであるため、今後も複数年にわたり継続する事業に対する国の恒久的な財政的支援を強く求めます。

従来、プログラム終了後の恒久化は、提案した大学の自己責任で行うこととされています。しかし、大学においては、間接経費や運営費交付金など共通経費財源は依然限られており、これらを恒久化することは財源的に極めて困難です。他方で、政府の科学技術・学術審議会や総合科学技術・イノベーション会議、産業競争力会議などは、こぞって我が国が世界で先頭を競っている分野などを軸にした卓越した大学院の形成に大きな期待を寄せています。第3期における運営費交付金の配分見直しにおいては、これら事業の成果を十分に評価し、これらの事業を通じて培われた資源を最大限に活用する観点から、学内資源の再配分の仕組みと相まってこれらの取り組みを重点支援する仕組みを構築すべきです。

お問い合わせ先
研究推進部研究企画課研究企画グループ
電話 03-5734-3803
E-mail pro.sien@jim.titech.ac.jp


附属図書館で室内楽演奏会を開催

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「図書館と学生の絆を深める機会を増やしたい」
附属図書館長が学生に寄せる思いから、6月11日の昼休みに、附属図書館大岡山本館にて東京工業大学管弦楽団による室内楽演奏会が実現しました。

弦楽四重奏

弦楽四重奏

曲目

1.
弦楽四重奏
ハイドン
弦楽四重奏曲第77番ハ長調『皇帝』第2楽章
2.
クラリネット三重奏
ルネ・ガーバー
『ソナチネ』

演奏会は約50人の学生・教職員で盛況となりました。
附属図書館では、今回の経験をこれからの活動に生かし、今後も新たなイベントを計画していく予定です。

クラリネット三重奏

クラリネット三重奏

演奏に聴き入る聴衆

演奏に聴き入る聴衆

TSUBAME e-Science Journal Vol.11 発行

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TSUBAME e-Science Journal Vol.11 を発行しました。
TSUBAME e-Science は東工大のスーパーコンピュータTSUBAMEを利用した研究成果を発表する広報紙です。
Vol.11 では TSUBAME を利用した 3つの研究事例の記事が掲載されています。

  • TSUBAME-KFC : 液浸冷却を用いた世界一省エネなスーパーコンピュータ
  • 超並列計算機TSUBAMEの利用による幾つかの有機化合物のシュレーディンガー解の計算
  • GPGPUによる地震ハザード評価

ご希望の方には、日本語(前半)と英語(後半)を合冊して印刷した冊子を郵送いたします。
送付先の住所(学内の場合はメールボックス番号)、所属、氏名を以下のアドレスまでお知らせください。
宛先: tsubame_j@sim.gsic.titech.ac.jp

TSUBAME e-Science Journal Vol.11

TSUBAME e-Science Journal Vol.11

お問い合わせ先
学術国際情報センター
Tel: 03-5734-2085
Email: tsubame_j@sim.gsic.titech.ac.jp

高分子の「かたち」をつくる「匠の技」のブレークスルー

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高分子の「かたち」をつくる「匠の技」のブレークスルー
-K3,3グラフ構造高分子の合成に成功-

要点

  • 高分子の「かたち」をつくる「匠の技(ものつくり技術)」の新展開
  • ユニークなトポロジー幾何学的性質のK3,3グラフ構造高分子の合成
  • 高分子合成化学から生化学・トポロジー幾何学まで広いインパクト

概要

東京工業大学大学院理工学研究科の鈴木拓也元大学院生、山本拓矢助教、手塚育志教授らの研究グループは、同研究グループが開発した高分子反応プロセス (ESA-CF法、 用語1) を用い、複雑な構造の多環状高分子(図1)の合成に成功した。

このうち特に「K3,3グラフ構造」(図1、用語2)は、「非平面グラフ」としてのトポロジー幾何学的性質が知られ、また最近、ユニークな生理活性を示す環状オリゴペプチド構造としても確認されたことから広く注目されている。高分子合成化学領域だけでなく生化学からトポロジー幾何学にまでインパクトを与えるものと期待される。

今回の研究では、単一サイズの六分岐テレケリクス(用語3、図2)を新規に設計・合成しESA-CF法を用いて、 ナノスケールのK3,3グラフ構造高分子とその構造異性体を合成した。次いで両者の流体力学的体積(サイズ)の違いに着目してリサイクルSEC分取(用語4)を行い、目的とするK3,3グラフ構造高分子の単離を達成した。

この研究成果は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン速報(Just Accepted Manuscripts)で6月23日に掲載された。

用語説明

(用語1)ESA-CF法
カチオン性テレケリクスと多価アニオンとの静電相互作用による自己組織化を利用し、単環状・多環状などの複雑なトポロジー高分子を選択的に合成する手法。

(用語2)K3,3グラフ構造
図1に示す非平面(頂点を結ぶ辺の交叉が避けられない)グラフ。したがって、ガス・水道・電気の3種類のラインを3軒の家に交差しないようにつなぐことはできない。

(用語3) テレケリクス
末端に官能基を有する高分子。

(用語4)リサイクルSEC分取
高分子化合物をその大きさ(サイズ)によって分離する技術。

掲載雑誌名、論文名および著者名

掲載雑誌名:
米国化学会誌Journal of the American Chemical Society
論文名:
Constructing A Macromolecular K3,3 Graph through Electrostatic Self-Assembly and Covalent Fixation with A Dendritic Polymer Precursor
著者:
Takuya Suzuki, Takuya Yamamoto, and Yasuyuki Tezuka
DOI:

K<sub>3,3</sub>グラフと関連する複雑な多環状縮合構造高分子の「かたち」(青色の「かたち」は、これまでに報告されたもの、また赤色は今回の論文で報告したもの。なお緑色には、六分岐テレケリクスの末端の連結様式を示している。)
図1. K3,3グラフと関連する複雑な多環状縮合構造高分子の「かたち」
(青色の「かたち」は、これまでに報告されたもの、また赤色は今回の論文で報告したもの。
なお緑色には、六分岐テレケリクスの末端の連結様式を示している。)

六分岐テレケリクスのESA-CF法を用いたK<sub>3,3</sub>グラフ構造高分子の構築
図2. 六分岐テレケリクスのESA-CF法を用いたK3,3グラフ構造高分子の構築

お問い合わせ先

東京工業大学 大学院理工学研究科
有機・高分子物質専攻 教授 手塚育志
TEL: 03-5734-2498
FAX: 03-5734-2876
Email: ytezuka@o.cc.titech.ac.jp

鞭毛モーターの規則的配列機構を解明 -鞭毛を動かす"エンジン"が正しい間隔で並ぶ仕組み発見-

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要点

  • 真核生物の鞭毛・繊毛を駆動する分子モーター・ダイニンが、微小管上に一列に一定間隔で並ぶ仕組みを解明
  • ダイニンを微小管に結合させるタンパク質複合体「ドッキング複合体」が一定間隔の土台を作ることを発見

概要

東京大学大学院理学系研究科の大和幹人大学院生、神谷律名誉教授(学習院大学理学部客員教授)、東京工業大学資源化学研究所の若林憲一准教授らの研究グループは、名古屋大学エコトピア科学研究所、東京工業大学生命理工学研究科、コネチカット大学ヘルスセンター、マサチューセッツ大学メディカルスクールとの共同研究により、真核生物の鞭毛(用語1)を動かすエンジンであるタンパク質「ダイニン」(用語2)が、鞭毛を構成するタンパク質繊維「微小管」(用語3)上に規則的に並ぶ仕組みを解明した。

「外腕ダイニン」の根元に存在する「ドッキング複合体」(用語4)の性質に着目し、それ自体が約24nmの長さで、微小管上の決まった位置に数珠つなぎで結合することを突き止めた。ドッキング複合体が作った24nm周期の上に外腕ダイニンが乗ることで、ダイニンの24nm周期の結合ができあがる。鞭毛の構築メカニズムの理解だけでなく、外腕ダイニンの欠陥が主因と考えられているヒト疾患「原発性繊毛不動症候群」の研究に役立つと期待される。

この成果は米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版に6月16日に掲載された。

用語説明

(1)鞭毛・繊毛
真核細胞から生える毛状の細胞小器官。「1細胞からたくさん生える数μm程度の短いもの」を繊毛、「1細胞から数えられる程度生えるそれより長いもの」を鞭毛と呼ぶ習慣があるが、これらは本質的には同じ器官である。ダイニンの駆動により波打ち運動を行うタイプと、ダイニンを持たないため動かず、化学・力学センサーとして働くタイプがある。

(2)ダイニン
微小管の上を動くタンパク質。生体エネルギーATP(アデノシン3リン酸)の加水分解によって得られたエネルギーで構造変化して動く。

(3)微小管
チューブリンと呼ばれるタンパク質が重合してできあがった、中空のタンパク質繊維。直径約25nm。

(4)ドッキング複合体
外腕ダイニンの基部にあって微小管結合に介在するタンパク質複合体。分子量約83k, 62k, 21kの3つのタンパク質から成る。このうち62kの遺伝子はヒトに至るまで進化的によく保存されており、そのダイニンドッキング機能も保持されていると考えられている。

論文情報

著者:
Mikito Owa, Akane Furuta, Jiro Usukura, Fumio Arisaka, Stephen M. King, George B. Witman, Ritsu Kamiya, and Ken-ichi Wakabayashi
雑誌名:
PNAS 2014 ; published ahead of print June 16, 2014
論文タイトル:
Cooperative binding of the outer arm-docking complex underlies the regular arrangement of outer arm dynein in the axoneme
DOI:

クラミドモナス細胞。鞭毛断面の模式図。2連微小管をダイニンの側から見た模式図

(左)クラミドモナス細胞。2本の鞭毛を持ち、平泳ぎのように動かして水中を泳ぐ。鞭毛の長さは約12μm。
(中)鞭毛断面の模式図。9組の2連微小管が2本の微小管を囲む「9+2構造」をもつ。2連微小管の上のモータータンパク質ダイニンが向かい側の2連微小管に対して滑り運動をすることで鞭毛は屈曲する。
(右)2連微小管をダイニンの側から見た模式図。外腕ダイニンは24nm周期で1列に配列している。他の構造は96nm周期で配列している。

お問い合わせ先
資源化学研究所 准教授 若林憲一
Tel: 045-924-5235
Email: wakaba@res.titech.ac.jp

池上彰教授と語らう「初夏の読書会」開催報告

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6月18日、東工大リベラルアーツセンター主催の「読書会」が開かれました。

この読書会は、本を多様な視点から読み解き、深く議論し、教養について考える機会を提供することを目標とし、今回が4回目の開催となります。

課題図書「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」とイベントのちらし

課題図書「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」とイベントのちらし

議論では様々な意見が出されました

議論では様々な意見が出されました

今回の課題図書は「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」(大和書房)。著者である女性経営コンサルタントのカレン・フェランが、30年のキャリアから、理論やチャートよりも会社再建に一番必要なことは何かを赤裸々に綴っている話題の新書です。将来、企業や研究室でプロジェクトに取り組むことになる学生たちに考えてほしいということで、池上彰教授が選択しました。

参加者は、学部生、大学院生、田町に通う社会人学生を含めた12名で、会の進行は、学部1年生の松本海斗さんをリーダーとした3名の学生スタッフが務めました。

前半は「既存の理論やモデルをどう生かすべきか」、「会社はどうあるべきか」といったテーマでディスカッション。今回はスタッフの提案により、15時開始のところを早めに参加者に集まってもらい、1時間親睦の時間を設けたため、緊張がほぐれて会の最初からとても活発な意見交換が行われました。

後半は二手に分かれディベート形式にて、「会社は、数値目的や業績評価によって人を管理すべきではないのでは?」を、数値目的の必要性や社員のモチベーションなどをキーワードに議論しました。

3時間半という長時間の会でしたが、議論は尽きないまま和やかな雰囲気での終了となりました。最後に池上彰教授からは、エリート大学を卒業しコンサルタントをするような立場になったとしても、現場の労働者一人一人に対してのリスペクトが大事で、理論だけではなく人間を見ることが大切、との言葉がありました。

参加者からは、「少人数だったので発言できる回数が多くてよかった」「普段あまり読まない分野の本について、自分よりも年上の方と議論するのがとても楽しかった」「身の回りの友達には無い、物事の見方を得られたように思う」などの意見が寄せられました。

リベラルアーツセンターでは今後もこういった、学生同士が多様に議論できる読書会を開催する予定です。

池上彰教授とのディスカッション

池上彰教授とのディスカッション

池上彰教授と参加した学生たち

池上彰教授と参加した学生たち

お問い合わせ先
リベラルアーツセンター
Email: office@liberal.titech.ac.jp

導電性ナノファイバーネットワークを利用したフレキシブルで割れない透明導電フィルム

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概要

東京工業大学の松本英俊准教授、戸木田雅利准教授、坂尻浩一特任准教授、東啓介院生らの研究グループは、簡便かつ安価な製造法で得られるフレキシブルで割れない透明導電フィルムを開発した。

研究の背景

透明導電フィルムは、光と電気を通すことのできるフィルム材料であり、ディスプレイや太陽電池などのデバイスで用いられている。現在、利用されている酸化インジウムスズ(ITO)はコストが高く供給量に限界があり、脆弱で曲げ耐性もないため、代替物材料が強く求められている。

研究成果

エレクトロスピニング法(用語1)によって作製される髪の毛の100分の1~1000分の1の細さを持つ繊維「ナノファイバー」をマスクとして、金属蒸着フィルムをエッチング処理する、超薄型、軽量、フレキシブルで割れない透明導電フィルムの作製方法を初めて確立した。これまでにITOと同等の高い可視光透過率(80%)と高い導電性(45Ω/sq=表面抵抗率)を示す高分子フィルムの作製に成功している。このフィルムの表面には、アルミニウムナノファイバーからなる導電性ネットワークが形成されており、ナノファイバーとフィルムの密着性も良好である。フィルムの光透過率と導電性はファイバー径とネットワーク構造の制御によってカスタマイズすることができる。導電材料としてアルミニウムを用いることで既存のITO代替技術より低コストで透明電極フィルムを作製できることも大きな強みである。アルミニウム以外の金属の利用も可能である。

今後の展開

我々の開発した透明導電フィルムは、ITO代替材料としてデバイスの低コスト化に寄与するだけでなく、将来的にはフレキシブルデバイスを含む携帯から大型パネルに至るまで各種電子デバイスへの応用が期待できる。具体的には、薄型テレビ、インタラクティブタッチパネル、スマートフォン、タブレット端末、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子、電磁シールド、機能性ガラスなどが有望な用途である。

用語説明

(用語1) エレクトロスピニング法
数千~数万ボルトの高電圧を利用した超極細繊維の連続紡糸技術。常温、大気圧という穏やかな条件下で髪の毛の100分の1~1000分の1の細さを持つ繊維「ナノファイバー」の製造が可能。

導電性ナノファイバーを利用したフレキシブルで割れない透明導電フィルム
導電性ナノファイバーを利用したフレキシブルで割れない透明導電フィルム

エレクトロスピニング法を用いた金属蒸着フィルム表面へのナノファイバーマスクの作製
エレクトロスピニング法を用いた金属蒸着フィルム表面へのナノファイバーマスクの作製

導電フィルム表面のアルミニウムナノファイバーネットワーク
導電フィルム表面のアルミニウムナノファイバーネットワーク

論文情報

論文タイトル:
Facile fabrication of transparent and conductive nanowire networks by wet chemical etching with an electrospun nanofiber mask template
雑誌名:
Materials Lettes
DOI:
執筆者:
東啓介、坂尻浩一、松本英俊、姜聲敏、渡辺順次、戸木田雅利
所属:
大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻

お問い合わせ先

大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻
准教授 松本英俊
TEL/FAX: 03-5734-3640
Email: matsumoto.h.ac@m.titech.ac.jp

同専攻 准教授 戸木田雅利
TEL: 03-5734-2834 FAX: 03-5734-2888
Email: mtokita@polymer.titech.ac.jp

サークル「ScienceTechno」が子どものための科学イベントに出展

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6月8日、川崎駅前にある東芝未来科学館とラゾーナ川崎プラザで行われた大規模な科学イベント「サイエンスリンク」に東京工業大学ScienceTechnoが参加し、訪れた子どもたちに科学の楽しさや面白さを伝えました。

サイテクのブースには行列が!

サイテクのブースには行列が!

東工大 ScienceTechno(サイテク)は、科学の楽しさを多くの人と分かち合うことを目的に、小学校や公民館などで科学実験・工作教室の企画・運営を行っています。特に子どもが科学の不思議に触れる機会を設けることで、科学を好きになってくれるきっかけとなることを目指しています。昨年は計90回もの科学教室を開催しました。近年は科学おもちゃの工作教室や実験教室にとどまらず、新たに演示形式の教室を行うなどして、様々な種類の科学イベントに挑戦しています。また、他大学の団体とも積極的に交流を行っています。「サイエンスリンク」とは、サイエンスコミュニケーションという、科学をわかりやすく伝える活動を行っている学生主体の団体が、多くの大学から集まり企画し、合同で開催するイベントです。

マクスウェルのコマ 図解

マクスウェルのコマ(左)は重心とコマの先端が同じ位置にあるので、傾いてもバランスが取れていて、回り続けることができます。
普通のコマ(右)は重心が先端よりも上の位置にあります。だから傾いてしまうと重力がコマを倒す向きにはたらいて、バランスが取れなくなってしまいます。

今回サイテクのブースでは、子ども2、3人に対し一人のスタッフがつき、子どもに「マクスウェルのコマ」という簡単なおもちゃの工作を教えました。これは、重心をコマの支点の部分にもってくることによって、傾けて回しても倒れないという不思議なコマです。どうしたら子どもたちに楽しんでもらえるか、また、どうしたら科学の楽しさを伝えることができるかを考えながらいっしょに工作を行っていきました。幸いにもマクスウェルのコマは好評で、20席以上の席を用意したにも関わらず席は常に満席、混雑時は列ができ子どもたちを待たせてしまうこともありました。コマが傾いても回り続ける不思議な姿に、子どもたちだけでなく多くの親御さん方も驚き、「すごーい!」と歓声を上げてくださいました。沢山の子どもたちに楽しんでもらおう!と用意した400個の材料は終了時刻の30分前にはなくなってしまいました。

マクスウェルのコマは大好評でした。

マクスウェルのコマは
大好評でした。

他にも多くの団体による工作や体験のブースもあり、サイエンスリンク全体で5000人を超える来場数を記録しました。今回のサイエンスリンクにご協力いただいた東芝未来科学館も、過去最高の入場者数を記録したそうです。たくさんの子どもたちに楽しんで科学を学んでもらうことができたのではないかと思います。

サイテクは次回行われるサイエンスリンクにも出展します。8月16・17日の2日間、お台場にある日本科学未来館で開催されますので、是非お越しください。

「サイエンスリンク」という大規模な科学イベントに参加させていただいたことは、サイテクにとって大変貴重な経験となりました。来場してくれた多くの子どもたちにきっと科学の面白さを伝えることができたと信じています。東工大ScienceTechno(サイテク)は今後も、一人でも多くの子どもたちに科学の楽しさ、面白さ、不思議さを伝えていきます。


「先進セラミックス国際会議」開催報告

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6月25日~27日にメルパルク横浜において、第8回先進セラミックス国際会議 (STAC8-The Eighth International Conference on the Science and Technology for Advanced Ceramics) が開催されました。招待講演27件、口頭発表50件、ポスター発表78件と計155件の論文発表があり、221名が参加しました。

STACは、セラミックス材料の科学から応用までを広く扱う日本発の国際会議として、2007年に東工大応用セラミックス研究所(応セラ研)が開催して始まりました。その後、東工大工学部無機材料工学科、応セラ研、物質・材料研究機構 (NIMS) がそれぞれ中心組織として開催してきました。

STACの特徴として、毎回中心組織と重点領域が変わることが挙げられます。応セラ研が中心となった第1回・第3回・第5回では新材料開発・界面・測定技術など基礎的なトピックス、無機材料工学科が中心となった第2回・第7回では伝統的セラミックスから機能・生体セラミックスまで全般的なトピックス、NIMSが中心となった第4回・第6回では構造材料・材料設計に重点が置かれました。

応セラ研が中心組織として企画した今回は、特別セッションとして下の3つのテーマを取り上げました。

(1)
Ubiquitous element strategy for innovative materials
(革新的材料開発のためのユビキタス元素戦略)
(2)
Computer-assisted materials design, modeling, theory
(コンピュータ支援材料設計、モデリング、理論)
(3)
Cutting-edge glass / Amorphous science
(最先端ガラス/アモルファス科学)

特別セッションを中心に、関連の強い2分野以上をジョイントセッションとし、異分野の研究者が相互のセッションに参加する工夫がなされました。

ポスターセッションでは、25日に39件、26日に39件の発表があり、学生、若手研究者の中から、最優秀ポスター賞としてソウル国立大学のMr. Kanghoon Yimと大阪大学のMr. Hikaru Nagataniの2件が選ばれました。また、ポスター賞としては、メリーランド大学のDr. Shingo Maruyama、東京工業大学のMr. Toshinao Tatsuno、ノースウェスタン大学のMr. Kelvin Chang、東京工業大学のMr. Manabu Kanouの4件が選ばれました。

学生のポスター発表の様子

学生のポスター発表の様子

授賞式の様子。Conference ChairのProf. M. Itoh (左端) とPoster Award受賞者

授賞式の様子。Conference ChairのProf. M. Itoh (左端) とPoster Award受賞者

お問い合わせ先
東工大応用セラミックス研究所 神谷利夫
Tel: 045-924-5357
Email: tkamiya@msl.titech.ac.jp

「東工大POTTERY CAMP」報告展 開催報告

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「東工大POTTERY CAMP」報告展

博物館では、2013年11月より半年間を費やして附属高校生と東工大生が共に取り組む “東工大POTTERY CAMP ~やきものづくりから学ぶものつくり” を実施しました。

この成果報告展が、工学部無機材料工学科、附属科学技術高等学校との共催により、5月25日~6月30日の約1ヶ月間、百年記念館2階展示室にて開催されました。期間中は、学内外から多くの来場者があり、一連の活動とそこで生まれた作品に対する講評を受けることができました。

東工大生の手による益子の器

展示室の壁面に沿って設けられた展示台には、参加者21名と教職員12名の手による総制作数500点以上のうち、92点の益子焼が並びました。型・手びねり・ろくろといった種々の手法により成形された生地と、 7種の釉薬(並白・糠白・糠青磁・灰・飴・柿・黒)の組合せ、そこに参加者ひとりひとりのアイデアが加わった実に多彩な作品の数々。益子の土と釉薬をもちいて、卒業生・濱田庄司が築いた登り窯により焼成されたこれらの作品は、まさに東工大生の手による東工大製・益子焼となりました。

制作された多彩な作品の数々
制作された多彩な作品の数々

制作された多彩な作品の数々

全参加者の作品が一堂に並ぶ展示風景.手前は村田浩先生による見本作品。壁面には本プログラムのプロセスを解説するタペストリーと写真

全参加者の作品が一堂に並ぶ展示風景.手前は村田浩先生による見本作品。
壁面には本プログラムのプロセスを解説するタペストリーと写真

POTTERY CAMP2013報告会

飯田侑美さん(学部1年)

飯田侑美さん(学部1年)

姜竣銘さん(学部2年)

姜竣銘さん(学部2年)

小栗寛生さん(修士2年)

小栗寛生さん(修士2年)

6月24日には、博物館長である大谷理事・副学長の呼びかけにより、鈴木蔵前工業会理事、本学の岡田、丸山両理事・副学長、齋藤附属科学技術高等学校長、東工大基金室をはじめとする学内関係者を招いて、本プログラムの報告会が行われました。報告会では、参加者を代表して3名の学生(飯田さん(学部1年)、姜さん(学部2年)、小栗さん(修士2年))が、自らの作品の前に立ちプレゼンテーションを行いました。制作上の工夫やその過程で学んだこと、実生活の中で用いる器に対する関心が変化したこと、ものつくりと文化との関わりについて考えはじめたことなど、このプログラムから得た学びを率直な言葉で表していました。

プログラムを終えて

1916(大正5)年に濱田庄司が東京高等工業学校(東工大の前身)を卒業してから約100年の時を経て、濱田が生涯作陶をつづけた益子の地に現在の東工大生・附属高校生が集い、作陶に取り組みました。濱田庄司や島岡達三、また今回のプログラムを通じて終始熱心に指導に当たってくださった村田浩先生をはじめとする現代の陶芸家の方々が、何を思い目指して日々の探究を続けてこられたのかについて、参加者は個々の専門分野や興味を動機として、多方面から学び感じることができました。

参加した学生・教職員

POTTERY CAMP2013報告会に参加した方たちで

東工大基金

本プロジェクトは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先
東京工業大学 博物館
Tel: 03-5734-3340
Email: centshiryou@jim.titech.ac.jp

国際交流プログラム「5th ASCENT」開催報告

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2014年3月、東工大に拠点を置く学生団体「国際交流学生会SAGE」により「第5回アジア理工系学生連携促進プログラム 5th ASCENT」が開催されました。

ASCENTとは何か

ASCENTは、東工大生の国際交流の促進、日本や東南アジアの理工系学生たちとの持続的ネットワークの構築などを目的とし、毎年3月に東京で開催されています。

毎回、プログラム全体を通して学習するテーマを選定し、関連した研究室見学・特別講義・企業・研究所見学などを通して、現在の東南アジアでの問題や、現地で適用されうる日本の技術などについての学習を行い、ディスカッション・最終発表を行っています。また、学術分野をプログラムの中心に据えながらも、文化交流会・鎌倉観光・フェアウェルパーティなどを通して学生間の交流を促進し、より強固な学生間ネットワークの構築を目指しています。

5th ASCENTの開催

2014年3月14日~23日に行われた今回の5th ASCENTでは、テーマを「都市とは ~発展に伴う問題~」と設定し、特に、めまぐるしい経済発展に付随する「廃棄物問題」「交通問題」という2つの視点から、都市問題を考察しました。見学や講義を通して学んだことを、各国の都市が抱える実際の課題にどのように適用することができるのか、各国の視点からディスカッションが行われました。その後、集大成として各グループの考えた「理想的な都市」に関する発表が行われました。

スケジュール

3/14
到着日、歓迎会
3/15
開会式、文化交流会、事前学習発表
3/16
講演会、ディスカッション
3/17
企業見学 1
3/18
企業見学 2
3/19
特別講義、企業見学発表、ディスカッション、研究室見学
3/20
研究室見学、ディスカッション
3/21
ディスカッション、最終発表会、交流会
3/22
観光、Farewell Party
3/23
出国日

歓迎会

到着日の夜、海外学生の歓迎会がホテル近くのレストランで行われました。料理を楽しみながら自己紹介をするなど、これから10日間にわたってともに学習するメンバーとの、最初のコミュニケーションの場となりました。

企業見学

プログラムの一環として、2日間にわたって4つの研究所や企業の見学をしました。5th ASCENTでは、廃棄物と交通という点から都市問題の解決に貢献する、国立環境研究所、土木研究所、鉄道総合技術研究所、芝浦水再生センターの4施設を訪問し、都市の抱える問題に密着した研究や技術の適用プロセスを実際に見学する、良い機会となりました。

特別講義・企業見学発表

東工大で社会学を専門とするTom Hope准教授による、魅力的で伝わりやすいプレゼンテーションの方法やテクニックについての講義を受けました。また、その内容を活かし「企業見学で得たもの」というテーマの下、参加者は数人のグループに分かれてプレゼンテーションを行いました。

研究室見学

企業見学と同様、廃棄物や交通の問題に取り組む、本学の合計7つの研究室見学を行いました。参加者たちは、日本をリードする研究室を訪れることで、実際に研究で使われる設備を見る、研究者・技術者と直接質疑応答するなど、貴重な経験をすることができました。

ディスカッション・最終発表会・交流会

ASCENTではディスカッションの時間を設け、見学や講演を通して知識を得るのみではなく、参加者同士で議論を行い、理解を深めることができます。8日目にはASCENTの集大成として、参加者が4つのグループに分かれ、最終報告を行いました。内容は、今回の見学やディスカッションを通して得た知見から、「理想的な都市を想像する」というテーマに沿ったプレゼンテーションで、グループごとに色のある魅力的な発表となりました。

また、そのあとに開かれた東工大生との交流会では、日本との文化の違いや現地の都市問題に関する企業や政府の取り組み、さらには最終発表での工夫などについて、食事をしながら会話を楽しんでいました。

文化交流会

文化交流会では、日本・タイ・インドネシアの学生がそれぞれ用意した文化交流の発表を行いました。例えば東工大生は日本の伝統的な踊り「ソーラン節」を披露したり、タイとインドネシアからの学生は自国でよく知られている遊びを参加者全員で行ったりなど、今まで知らなかった相手国の文化に触れました。

観光

参加者間の仲をさらに深めるため、最終発表会の翌日に鎌倉を訪問しました。歴史的な寺院を訪問し、日本の文化を興味深そうに見学していました。また、和菓子を楽しんだり、お土産を買ったりし、楽しく充実した1日を過ごしていました。

6th ASCENT構想

SAGEは、2015年3月に6th ASCENTを企画しています。6th ASCENTでは「未来につながるエネルギー」をテーマに設定し、エネルギーの現状や課題に様々な方面からアプローチができるプログラムになります。より柔軟で技術面に偏りすぎない、視野の広いディスカッションを実現するため、エネルギーに関連した研究を行う学生のみならず、関連の薄い学科・専攻の学生の参加も歓迎します。

アジア内の大学に属する学士・修士・博士課程の学生であれば応募可能です。参加申し込みの開始は秋ごろを予定していますが、SAGEのウェブサイトやTwitter・Facebook・メールマガジンを通して、最新の情報を手に入れることができます。是非、下記問い合わせよりSAGEの詳しい活動をご覧ください。ASCENTでの貴重な経験が、理工系学生間のネットワークを構築するだけでなく、国際意識の醸成、各種留学プログラム、さらには海外でのボランティアやインターンシップなどに向けた最初の一歩となることを期待しています。

国際交流プログラム「5th ASCENT」に参加した学生・教職員

国際交流プログラム「5th ASCENT」に参加した学生・教職員

お問い合わせ先
SAGE代表 平本嶺王
Email: sage.tokyo.tech@gmail.com

10年先を見据えた世界的トップリーダから学ぶ生命理工学フォーラム 開催報告

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最近20年のライフサイエンス研究の発展はめざましいものがあります。特に理工学の複数分野との融合研究によって、再生医療や超高速ゲノム解析に代表される革新的なライフサイエンス・エンジニアリング技術が多く開発されています。幅広い視点で未来を見据え、新たな発想に基づいた柔軟で創造性あるアプローチの重要性が益々高まっています。

10年先を見据えた世界的トップリーダから学ぶ生命理工学フォーラム ポスター

10年先を見据えた世界的トップリーダから学ぶ生命理工学フォーラム
ポスター

このような現況のなか、創設から20年を経た大学院生命理工学研究科は、将来のライフサイエンス研究を担う学部生・大学院生、若手研究者を対象に、10年先を見据えた近未来のライフサイエンス研究のあり方や方向性を考える「10年先を見据えた世界的トップリーダーから学ぶ生命理工学フォーラム」を企画しました。国内外で最先端の研究を展開し、ライフサイエンス分野の世界的リーダーである先駆的研究者を招聘し、その分野において解決すべき問題点や理工系研究者に期待したい技術を含めた現状と将来について、熱く語っていただくことを目的としています。

記念すべき第1回フォーラムを5月28日、すずかけ台大学会館(すずかけホール)にて開催し、世界をリードする脳科学者、御子柴克彦教授(理化学研究所・脳科学総合研究センター)にご講演いただきました。御子柴先生は、1989年に細胞が外からの刺激に応じて細胞内でカルシウムイオンを放出するIP3受容体チャネルを発見し、その遺伝子配列を世界に先駆けて決定されました。その後も細胞内における情報伝達機構に関する研究で常に世界をリードされてきました。その功績によって、学士院賞をはじめ国内外の数多くの賞を受賞され、今年2月にはフランス共和国の最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受章されています。

御子柴先生と生命理工若手研究者との交流会

御子柴先生と生命理工若手研究者との交流会

本フォーラムをより有益なものとするために、講演会に先立ち、研究科を代表して岡田助教(分子生命)、門之園助教(生体分子)、鈴木准教授(生体システム)、十川准教授(生命情報)の4名が自身の最新の研究成果を御子柴先生に紹介し、交流する機会をもうけました。研究科長室でおこなった研究交流会は、終始和やかな雰囲気で進みましたが、発表途中での活発な質疑応答もあり、一人15分の発表時間の予定は大幅にオーバーし、とても密度の濃い有意義な時間をもつことができました。世界的に著名な研究者から直接質問やアドバイスをいただくことができ、若手研究者にとっても励みとなり、また東工大のライフサイエンス研究を知っていただく良い機会になりました。

講演会に先立ち、本フォーラム設立の趣旨を説明する関根研究科長

講演会に先立ち、本フォーラム設立の趣旨を説明する
関根研究科長

研究交流会終了後に休む間もなく、午後4時から講演会がおこわれました。学部1年生から大学院生、そして本研究科研究員、教員と、会場のすずかけホールは予備の椅子も埋まるほど多くの聴講者が集まりました。講演タイトルは「生命科学における真理の探求」で、御子柴先生の世界的な発見から、現在に至る研究の発展の経緯を、あますことなく解説していただきました。そのなかでも、講演タイトルの副題とされた「オリジナルな研究で世界をリードするには」どうしたらよいかを、学生や若手研究者に向けて、最初は語りかけるように、そして研究成果の部分にさしかかると熱く語ってくださいました。御子柴先生の研究成果は、どれも世界をリードするエキサイティングなものであり、そのデータ量の膨大さに聴衆は驚かされました。長年多くの研究員らが積み重ねてきた研究成果は、予定していた1時30分の講演時間内に収まりきるものではなく、講演会は2時間30分にも及ぶものとなりました。

学生に語りかけるように研究の楽しさ、醍醐味、そしてオリジナリティの重要性を話される御子柴克彦先生

学生に語りかけるように研究の楽しさ、醍醐味、
そしてオリジナリティの重要性を話される御子柴克彦先生

予定時間を大幅に超える講演会でしたが、途中退席者はほとんどなく、多くが御子柴先生の講演を最後まで傾聴していました。また、来年70歳になられる御子柴先生ですが、2時間半ものあいだ疲れた様子を見せることなく、情熱的に研究の面白さを語ってくださいました。講演の後半は多少専門知識が必要となる内容でしたが、その詳細が理解できずとも、膨大なデータ量と圧倒的な研究成果を肌に感じることができました。

学部・大学院生から教員まで200名以上の聴講者で埋まる講演会の様子。

学部・大学院生から教員まで200名以上の聴講者で埋まる
講演会の様子

以上のように、第1回のフォーラムは、講演者との研究交流会とともに、非常に有意義なものとなりました。2012年に創設20周年を迎えた大学院生命理工学研究科では、次の30周年、40周年と、常に未来を見据えた研究を展開していくために、本フォーラムがそのきっかけとるよう、今後とも継続して回を重ねていく予定です。

お問い合わせ先
生命理工学研究科事務室
Tel: 045-924-5940

四肢形成時に細胞の生死の運命を決めるメカニズムを解明

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要点

  • “細胞死”により、器官や組織の形が適切に調整されているが、その制御機構は不明だった
  • 四肢の細胞が生きるか、死ぬかの運命はヘテロ二量体をつくる AP-1 転写因子の組み合わせで制御される
  • 様々な器官や組織の形成過程で働く細胞死の理解促進につながる成果

概要

東京工業大学生命理工学研究科の須田夏野元大学院生、田中幹子准教授、伊藤武彦教授、東京大学分子細胞生物学研究所の白髭克彦教授らの研究グループは、生体が形づくられる際に不可欠な細胞死の詳細なメカニズム解明に成功した。

四肢の発生過程で「BMP」(用語1)というタンパク質により制御されるAP-1 転写因子(用語2)「MafB」が、ほかのどのAP-1 転写因子と結合して二量体を形成するかによって、四肢の細胞が死ぬか、生きるかの運命が決められていることを突き止めたもの。この成果によって様々な器官や組織の形成過程で働く細胞死のメカニズムの理解につながると期待される。

体の形がつくられる際には、適切な場所で、適切な量の細胞が自主的に死ぬ 細胞死 によって、器官や組織の形が適切に調整されている。四肢の発生過程では、手首や指の間で細胞死がおこること、そして四肢の細胞死は、細胞死をおこす領域に特異的に発現している BMPによって制御されていることはよく知られていた。しかし、BMP の下流で、どんなメカニズムで細胞死が制御されているのかは、これまでほとんど明らかにされていなかった。

この研究は東京大学、横浜市立大学、英国バース大学と共同で行った。成果は7月8日 国際発生生物学専門誌「Development」オンライン版に掲載された。

用語説明

(1)BMP
Bone Morphogenic Protein の略。発生過程の様々なプロセスで働く分泌性シグナルタンパク。

(2)AP-1 転写因子
塩基性ロイシンジッパー(bZIP)ドメインを共通の構造として持つ一群の転写因子。MafB、cJun、cFos は AP-1 転写因子の一種。転写因子とは、核内で DNA に結合して、標的遺伝子の発現調節に関わるタンパクの総称。AP-1 転写因子はbZIP ドメインを介して AP-1 転写因子同士で、ホモ、もしくはヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の発現を調節する。

論文情報

著者:
Natsuno Suda, Takehiko Itoh, Ryuichiro Nakato, Daisuke Shirakawa, Masashige Bando, Yuki Katou, Kohsuke Kataoka, Katsuhiko Shirahige, Cheryll Tickle and Mikiko Tanaka
雑誌名:
Development (2014) 141, 2885-2894
論文タイトル:
Dimeric combinations of MafB, cFos and cJun control the apoptosis-survival balance in limb morphogenesis
DOI:
四肢の細胞が生きるべきか、死ぬべきかの運命を制御する仕組み

図1
四肢の細胞が生きるべきか、死ぬべきかの運命を制御する仕組み

(上)MafB (緑)の二量体パートナーが cJun (青)であった時は、p63p73 といった細胞死を促進する遺伝子(紫)の発現が活性化され、細胞は死ぬ運命に導かれる。

(下)MafB (緑)の二量体パートナーが cFos (橙)で あった場合は、細胞は生きる運命に導かれる。

お問い合わせ先
東京工業大学 大学院生命理工学研究科
生体システム専攻 准教授 田中幹子
TEL: 045-924-5722
FAX: 045-924-5722
Email: mitanaka@bio.titech.ac.jp

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