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大隅良典栄誉教授が2015年ガードナー国際賞を受賞

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大隅良典栄誉教授

ガードナー財団(本部:カナダ・トロント)は、25日、2015年ガードナー国際賞を東京工業大学フロンティア研究機構の大隅良典栄誉教授に授与すると発表しました。ガードナー国際賞は生命科学・医学分野の賞として、最も著名な賞の一つとして知られ、受賞者の多くがノーベル賞を受賞しています。

大隅教授の受賞理由はオートファジー(自食作用)の仕組みの分子レベルでの解明です。オートファジーとは細胞内のタンパク質の分解と再利用の基本的な仕組みで、その機能に異常が生じると神経変性疾患、癌、感染症等の病気を引き起こすなど医療においてもその重要性が認識され始めています。

ガードナー賞メダル

大隅教授は細胞が自身の一部を分解したり、内部の不要物を除去し、侵入者を排除し、健全な細胞を維持するオートファジー現象を世界で初めて肉眼で観察することに成功しました。オートファジーは細胞のリサイクルシステムであり、体の恒常性を維持する機能を持っています。大隅教授は、オートファジーに関わる遺伝子群を明らかにし、その分子機構を解明しました。

オートファジーは、アルツハイマー病などの神経変性疾患、癌、加齢に伴う病気などを治療する医療への応用が期待されています。多くの研究者が、分子レベルのメカニズムのさらなる解明と、生理学上の重要性を明らかにするために取り組んでいます。

授賞式は2015年10月29日にカナダ・トロントで開催される予定です。

大隅良典栄誉教授コメント

ガードナー国際賞という栄えある賞を受けることになり大変光栄に存じます。27年間にわたって、酵母を用いてオートファジー研究に取り組んできましたが、このような基礎的な研究が契機となり、大きな研究領域が展開され、医療にまでつながる研究成果が生まれつつあることを大変嬉しく思います。分子機構はもとより、健康や病気との関連や生理学的意義についても、まだまだ分かっていないことは多くあります。現在では多くの研究者がオートファジー研究に取り組んでおり、一層の研究の発展を願っています。

三島良直学長コメント

大隅良典栄誉教授がガードナー国際賞を受賞されることを大変嬉しく光栄に存じます。大隅教授はオートファジーという生命科学の全く新しい分野の研究を先導してこられ、基礎的仕組みを解明し、医療への応用につながる大きな礎を築かれました。東工大は基礎から応用までの幅広い科学技術の分野で卓越した研究成果を生み出してきています。今回の受賞を機に、生命科学分野での世界最先端研究をリードできる体制をさらに強化し、全学を挙げて支援していきます。

ガードナー賞: ガードナー国際賞(Gairdner International Award)は、カナダのガードナー財団より、医学にたいして顕著な発見や貢献を行った者に与えられる学術賞。毎年、3名から6名に与えられる。賞金は10万カナダドル。医学に関する賞として、最も著名な賞の一つとして知られる。1959年から開始され、これまでの55年間において15か国320人が受賞、うち82人がその後ノーベル賞を受賞。

ガードナー財団: 実業家、篤志家など様々な分野で活躍したJ. A. ガードナー氏が50万ドルを寄付して1957年にカナダ・トロントに設立。自身も関節炎などに悩まされたことから医学分野での顕著な業績をもたらした研究者を称える賞を設置。

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター
Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975
Fax : 03-5734-3661


英国王立研究所クリスマスレクチャーの視察~東工大教育改革に向けて

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東工大では現在、2016年4月スタートに向けて、教育システムの抜本的な改革を進めており、改革の目玉のひとつとして、「科学・技術の最前線」を始めとした実験付き講義の実施が予定されています。それを見据えて2015年3月、西5号館にある階段状のW531講義室を、東工大版レクチャーシアター※1とする工事が終了しました。このような会場で行われる講義のお手本に、英国王立研究所が毎年実施しているクリスマスレクチャーがあります。東工大の教職員13名が、2014年クリスマスレクチャーを視察しました。

※1
主に初年次の学生を対象に、理工系の卓越した授業・実験・講演を実施し、最先端の技術を体感させる場

2014年クリスマスレクチャーの様子
2014年クリスマスレクチャーの様子

クリスマスレクチャーの視察は、今回が2回目です。2013年末、クリスマスレクチャーを参考にした講義を東工大で実施する可能性を探るため、2つのグループが視察に派遣されました。今年度はこの結果をもとに、講義に取り入れられている工夫、講義内容・手法として参考になる点などを調査し、具体的な実施案に反映させるべく、再度視察することになりました。また、この夏に東工大で、2014年のクリスマスレクチャーを公演することが検討されており、そのための留意点を確認することも目的のひとつでした。

今回の視察メンバーは、実験付き講義を実施する各類の代表7名、レクチャーシアターの企画・運営に主導的に取り組む「国際フロンティア理工学教育プログラム」専門委員会の特命教授3名、さらに事務職員3名の計13名です。

2014年クリスマスレクチャーは、マンチェスター大学のダニエル・ジョージ教授が講師を務めました。東工大は、講義が行われる12月11日、13日、16日の3回にあわせ、3班に分かれて視察しました。今回の講義のテーマは電気・電波・通信で、「Sparks will fly: how to hack your home(ひらめきが飛ぶ:どのようにしてあなたの家に浸透したか)」と題し、電球、電話、モーターという、3つの身近な電気の応用について紹介する内容でした。

講義当日、英国王立研究所の貴重な所有品を見る、バックヤードツアーの機会がありました。それぞれの分野で先駆的な研究を行った、英国王立研究所と関係の深い研究者達※2の実験装置や器具、ノートなどの、当時のままの実物を目にし、視察メンバーは感動を覚えました。

※2
例:ハンフリー・デービー(ナトリウムとカリウムを発見)、ヘンリー・ブラッグ(ノーベル物理学賞)、マイケル・ファラデー(電磁気学および電気化学の分野で貢献)、ジェイムズ・デュワー(液体酸素が磁性を持つことを発見)

講義が行われた元祖レクチャーシアターは、赤を基調とした荘厳な雰囲気のある、すり鉢状の会場で、1階300席、2階150席、計450席の半円状の空間です。客席は約45度の急勾配の構造で、視察メンバーが座った最後列からは、講師をはるか下に見下ろす状態でしたが、講師の手元を大写しにできるスクリーンが設置されていて、どの客席からも講義に集中できる配慮が為されていました。

講義は各テーマにあわせ、世界初の発明として有名な、スワンによる白熱電球、ベルによる電話、ファラデーによるモーターを模した、いずれも手作り感たっぷりの装置を示し、実際に作動させて見せることからスタートしました。そして、これらに関連する技術の進歩を、次から次へと実験・デモを行いながら、話を進めていきました。チームワークの良さ、講師・前説者の話術の巧みさ、12~17歳の参加者を飽きさせず長時間引きつける運営など、参考にすべき点が多く、極めて有意義な視察となりました。

これから「東工大レクチャーシアター」で行われる企画に、今回の視察を大いに生かしていきます。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

お問い合わせ先

ものつくり教育研究支援センター
国際フロンティア理工学教育プログラム担当 津田健
Email : tsuda.k.aa@m.titech.ac.jp

エチオピア科学技術大臣が三島学長を表敬訪問

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エチオピア科学技術省のダミトゥ・ハンビサ・ボンサ大臣とマルコス・タクレ・リケ特命全権大使一行が2月17日に東工大を訪問し、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長と懇談しました。

三島学長(中央左)、ダミトゥ科学技術大臣(中央右)、マルコス特命全権大使(右から5人目)
三島学長(中央左)、ダミトゥ科学技術大臣(中央右)、マルコス特命全権大使(右から5人目)

三島学長による東工大の概要説明に続いて、エチオピア側からはエチオピア政府によって行われてきた経済社会開発政策と、今後の発展に向けた科学技術省の役割と取組みについて説明があり、日本の大学との連携を通して、科学技術分野での人材・技術育成に取り組みたいと話しました。

懇談後、一行はエチオピア留学生が在籍している山浦弘研究室(理工学研究科 機械制御システム専攻)を訪問し、留学生より機械のダイナミクス、コントロール、トライボロジー(相対運動境界面の科学)等に関する説明を受けました。その後、須佐匡裕・小林能直研究室(理工学研究科 材料工学専攻)を訪問しました。

山浦弘教授(中央)、ダミトゥ科学技術大臣(右から3人目)、エチオピア人留学生(右から2人目)
山浦弘教授(中央)、ダミトゥ科学技術大臣(右から3人目)、エチオピア人留学生(右から2人目)

「ホンダの夢を世界の空に ホンダにおけるジェットエンジン開発物語」開催報告

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東京工業大学で進行中の教育改革の端緒として「国際フロンティア理工学教育プログラム」が始まりました。本年度その試行として、類ごとに国際的に著名な科学者・技術者を招聘して学部1年次学生向けの特別講義を実施することとなりました。

藁谷篤邦氏

藁谷篤邦氏

4類では、ホンダジェットエンジン開発者で本学卒業生である株式会社本田技術研究所 取締役 執行役員 航空機エンジンR&Dセンター担当 藁谷篤邦氏を招き、「ホンダの夢を世界の空に ホンダにおけるジェットエンジン開発物語」と題した講演をしていただきました。1月27日、大岡山キャンパス70周年記念講堂にて、「機械工学系リテラシー」特別講演として開催されました。

機械工学系リテラシー:
4類の新入生を対象とした通年の講議。「4類系学科の専門教育の導入科目」と位置づけ、エンジニアリングセンス養成の第一段として、これから学ぶ機械工学を中心とする工学の広がりと奥深さを種々の実体験を通じて楽しく理解させる。

講義の企画にあたり、4類関連学科の教員で構成される対応委員会を設置して、講義の内容について検討し、国際フロンティア理工学教育プログラムの趣旨を考慮するとともに、4類ならではの企画を立案するために以下の方針を設定しました。

1.
最新の科学技術、特に機械システム技術に関する内容の講義とすること
2.
最新の科学技術の開発に直接携わり、国際的に活躍、評価されている日本人エンジニアに依頼すること
3.
開発リーダーに相当するエンジニアを選出し、エンジニアの個性が感じられる講義をしてもらうこと
4.
実物に接する機会を設けること

その結果、講演主題を航空機とし、講師として本学機械工学科を卒業され、株式会社本田技術研究所でジェットエンジン開発リーダーを務めた藁谷篤邦氏を選出しました。講演に際しては、機体およびジェットエンジンモデルの展示を依頼しました。「機械工学系リテラシー」の受講生は約220名であり、学内から広く聴講を許すことにしたため、70周年記念講堂を会場としました。

当日午前中にモデルの搬入および演壇上への設置などの準備を終え、12時50分に開場、13時20分より開始しました。約80分間の主な講義内容は以下の通りでした。

1.
イントロ
Hondaの紹介、ビジネスジェットとは、飛行機の進化におけるエンジンの役割
2.
Hondaにおけるジェットエンジン開発
  • 研究編
    目標は低価格・低燃費、セラミックガスタービンでのトライ、コンベンショナル設計によるベース機試作、軽量化、低エミッション、高信頼性、加工技術、各種テスト
  • 事業化編
    航空機エンジン事業の収益構造、GEとの合弁事業化、事業化へのハードル
3.
まとめ
日本の会社としての課題とチャンス、今後の方向性、学んだこと

さまざまな画像やビデオ映像を用いて、ジェットエンジンの歴史、ホンダにおける開発経緯、性能保証のための各種テストの内容などが解説されました。講義の最後は「決してあきらめない」ことが最も大事であるとのメッセージでまとめられました。講義終了後には質疑応答が30分間以上にわたり続けられ、多数の質問を受けて、講義を終了しました。その後、壇上に展示したモデルを見学するために大勢の学生が残り、実機を興味深く見入る様子がうかがえました。

質疑応答

質疑応答

展示モデル公開

展示モデル公開

聴講者は約300名にのぼり、アンケートでは大多数から好評の意見が寄せられました。初年度学生には少々難しいと思われる専門用語や内容が含まれていたものの、動機付けの講義として充分な効果を発揮し、その役割を果たしました。藁谷氏からは、今後も同プログラムにより実施予定の授業科目「科学・技術の最前線」などに協力いただけるとの心強い支援の言葉をいただきました。

講義を終えて、聴講学生とともに
講義を終えて、聴講学生とともに

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

お問い合わせ先

国際フロンティア理工学教育プログラム事務室
Email : kokusaif@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3190

東京工業大学「教育研究資金不正防止計画」の策定について

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東京工業大学はこのたび新たに「教育研究資金不正防止計画」を策定しました。

平成25年度に発覚した本学元教授による研究費不正使用が昨年末に関係者の逮捕にまでいたったこと及び他大学の不正事例を踏まえ、これまでの不正防止計画を抜本的に見直し、実効性のある取り組みを実施します。

この取り組みにつきまして、以下の資料のとおり記者会見を行いましたので、お知らせいたします。

学長コメント

東京工業大学はこのたび新たに「教育研究資金不正防止計画」を策定しました。

これまでも、全学を挙げて教育研究資金の不正使用防止に取り組んできたところですが、さらなる不正防止対策として、外部有識者の意見も踏まえ、教員と業者の癒着が生じる可能性のある環境の排除、相互牽制の効く仕組みの導入などの取組を推進します。

また、今回の研究不正を踏まえた管理監督上の責任を明確にするため、報酬の10分の1を3ヶ月自主返納するとともに、4名の理事・副学長に対しては、「厳重注意」を行いました。これを受けて、各理事・副学長は報酬の10分の1を1ヶ月自主返納いたします。

教職員一同、不正を生まない厳正な教育研究環境を構築するため、教育研究資金不正防止対策を推進し、信頼回復に努めてまいります。

平成27年3月27日

国立大学法人 東京工業大学
学長 三島良直

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター
電話: 03-5734-2975 / FAX: 03-5734-3661
Email: pr@jim.titech.ac.jp

グアナファト大学長が三島学長を表敬訪問

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2月2日、メキシコのグアナファト大学、ホセ・マニュエル・カブレラ学長一行が東工大を訪問し、三島良直学長、岡田理事・副学長、丸山理事・副学長等と懇談しました。

はじめに、三島学長から東工大の概要のほか、現在本学が取り組んでいる教育改革や文科省によるスーパーグローバル大学創成支援事業について説明があり、続いてカブレラ学長によりグアナファト大学の概要について説明がありました。その後、今後の相互交流について意見交換を行いました。

昨年10月にグアナファト大学で開催された第2回日墨学長会議で同学長と面識のあった山田明教授(電子物理工学専攻)も同席し、メキシコでの思い出話も出るなど、訪問は終始和やかに行われました。

その後、一行はものつくり教育研究支援センターを訪れ、山田教授からセンターの概要等の説明を受け、熱心に施設と展示物を見学しました。

両学長を囲んで(中央左が三島学長、中央右がカブレラ学長)
両学長を囲んで(中央左が三島学長、中央右がカブレラ学長)

小池英樹教授らが国際会議で最優秀ショートペーパー賞を受賞

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大学院情報理工学研究科計算工学専攻の小池英樹教授らの論文が、3月9~12日にシンガポールで開催された、情報技術による人間の能力拡張に関する国際会議(6th Augmented Human International Conference)において、最優秀ショートペーパー賞(Best short paper award)を受賞しました。

賞状

賞状

この賞は査読を通過した12件の論文(8ページ)、15件のショートペーパー(4ページ)から、プログラム委員会が選定した最も優秀な1件のショートペーパーに与えられるものです。

受賞論文のタイトルは「LumoSpheres: Real-Time Tracking of Flying Objects and Image Projection for a Volumetric Display(空間型3次元ディスプレイのための空中浮遊物体の実時間追跡と画像投影)」です。

空間型3次元ディスプレイを実現するための基礎技術として、空中を浮遊する物体を実時間追跡し、映像投影する際に生じる遅延問題を、予測モデルによって解決するアプローチに関する論文です。

小池英樹教授

小池英樹教授

今回の受賞に関して、小池先生は以下のようにコメントしています。

SF映画などに登場する空間型3次元ディスプレイを実現しようという野心的なプロジェクトで、本研究はまだまだ基礎的な段階ですが、国際会議で一定の評価を頂いたことは嬉しいです。空間型3次元ディスプレイの実現に向けて本研究をさらに進めて行きたいと考えています。

TechTech ~テクテク~

2015年3月発行の広報誌 TechTech No.27にて、小池研究室の研究を特集しています。

広報誌 > TechTech ~テクテク~

請求方法

CONTENTS
P2. Labo 01 HCI 人間×コンピュータの相互作用 小池英樹教授

「中性子で元素を変えよう」高校生・一般向け講演会開催報告

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研究成果を国民に易しく発信するため、高校生・一般向けの講演会「中性子で元素を変えよう-放射能を無くする原子核変換を目指して-」を、3月15日、本学原子炉工学研究所で開催しました。

今、原発の使用済み核燃料に含まれる放射性物質が問題となっています。この問題を解決する切り札として、中性子をぶつけて放射能を減らす「核変換」が注目されています。核変換は現代の錬金術であり、寿命の長い放射性物質を減らすことができます。

講演会は、講演1「原子・分子、原子核の性質」と講演2「放射能を無くする原子核変換を目指した基礎研究」の2部構成で、いずれも講師は本学原子炉工学研究所の井頭政之教授が務めました。中性子を使った実験の専門家である井頭教授による講演は、基礎知識の説明と原理から最先端の研究まで含んでいました。

講演を熱心に聴講する参加者の様子
講演を熱心に聴講する参加者の様子

参加者は35名で、内訳は高校生10名、30代2名、40代1名、50代7名、60代以上15名でした。各講演は質疑応答時間も含めて80分で、長時間にもかかわらず参加者は熱心に聴講していました。質疑応答も非常に活発で、特にお年を召した方からの質問が多かったです。アンケート結果から、両講演ともに内容について「大変面白かった」と「かなり面白かった」が約80%、理解度についても「良く理解できた」と「かなり理解できた」が約80%で、当初の目的を達成できました。

アンケートの自由記述欄には、「今回の講演の様に、東工大の他の研究室の研究についても講演をしてほしい。」(同趣旨の記述が他11名)、「この会合の案内が新聞の折り込みできたのには驚きました。」、「質問時間を多く取って頂けたのは大変良かった。」、「東大からは多くの講演会や実習等の案内が来ますが、東工大からはとても少ないと思っています。(高校の物理担当教員)」などが書かれていました。東工大からの研究成果の更なる発信が期待されていることが伺えました。

お問い合わせ先

井頭政之
Email : iga@nr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3378


脳ブームの迷信、真実、教訓 ~ 学生とともに学ぶ

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リベラルアーツが動き出す シリーズ講演会 第5回 開催報告

「東工大発、世界を見据えたリベラルアーツとはなにか。」多彩なゲストを迎え、さまざまな視点から考えていく全7回の講演会シリーズです。東工大は現在教育改革を進めており、2016年4月から新しい教育がはじまります。この改革の取り組みのなかで、東工大の教養、語学、健康教育などを司る「リベラルアーツ研究教育院」が同じく2016年4月に発足します。この講演会シリーズは同研究教育院の発足に向け、準備を進めている同研究教育院ワーキンググループが、スーパーグローバル創成支援事業の支援を受け、実施しています。

このシリーズ講演会は主に東工大の大学院生、教職員を対象としていますが、今回の講演会は一般にも公開されました。

第5回
日時
3月16日(月)14:00~15:30
場所
西8号館10F大会議室
タイトル
「脳ブームの迷信、真実、教訓~学生とともに学ぶ」
講師
藤田一郎(大阪大学教授)

講演の前半では、藤田教授が大阪大学基礎工学部生物工学コースにておこなってきたPBL授業が、具体例を挙げつつ紹介されました。PBL(Problem-based learningもしくはProject-based learning)とは、「課題探求型」の教育手法で、受講生がみずから問題・プロジェクトを設定し、主体性をもってそれにとりくむことが大きな特徴です。たとえば数名の学生チームが錯視ビデオを作成し発表するなど、外への発信にも重点がおかれています。PBLを成功させるコツも伝授され、東工大のリベラルアーツ研究教育院における参加型授業の実施を考えるうえでも、数多くの示唆がありました。

藤田一郎教授

藤田一郎教授

藤田教授の学生が作成し、コンテストで入賞した錯視ビデオ

藤田教授の学生が作成し、コンテストで入賞した錯視ビデオ

講演後半で論じられたのは、藤田教授の学生がPBL授業の課題としてとりくみ、メディアでも大きな反響をよんだ「脳ブームの迷信、真実、教訓」というテーマです。1990年代より脳科学は急速に一般社会に浸透しはじめ、いわゆる脳ブーム現象が起きたわけですが、世間に氾濫する脳科学情報のなかには、真偽の怪しいものも少なくありません。藤田教授は某脳トレ本の実例を詳細に検証し、脳ブームの功罪を確認したうえで、看過できないその実態に警鐘を鳴らします。さらに講演の結びでは、科学と社会との健全な関係の実現に向けて、貴重な提言がなされました。

講演後のディスカッション

講演後のディスカッション

講演後、フロアからたくさんの質問が出され、活発な議論がおこなわれました。なかでも印象に残ったのは、クリティカルシンキングの重要性に関するものです。怪しげな科学情報が巷にあふれる時代にあって、とりわけ専門知識をもつ東工大生や卒業生になにができるのか。情報の発信はむろんのこと、受信をめぐる倫理の問題についても、大いに考えさせられる講演になりました。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

岡田哲男 理学系長・大学院理工学研究科理学系長 就任挨拶

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2015年4月1日付で就任した、岡田哲男 理学系長・大学院理工学研究科理学系長からの挨拶をご紹介します。

理学系長・理学部長に就任にあたって

岡田哲男

岡田哲男

2015年4月1日付けで理学系長を拝命しました。私は、当時“日本で一番楽”と言われていた京都大学理学部・大学院理学研究科の出身です。必修はなく、単位認定はあまく、良く言えば学生の自己管理・裁量に任されていました。しかし、私を含めて怠惰な学生にとっては"野放し"であったために無駄に過ごした時間が少なくはなく、もったいないことをしたと思うこともあります。現在、本学では来年度からの教育改革に向け、一部科目の必修化、単位の厳格化などが進められています。当時の京大の対極とも言うべき教育改革に少なからず関与することになり、皮肉な運命を感じています。

大学院修了後、静岡大学の教養部で9年半の間1,2年生の化学の教育を担当しました。多い年には半年の講義に換算して10コマ以上の授業を担当し、教育に多くの時間を割きました。その上、一緒に研究をしてくれる学生がいなかったため、重い教育負担の間を縫って実験するなど研究のための時間を捻出しました。当時の教養部は、低学年の学生に対する教育に特化しており、また卒業する学生の最終的な質に対してほとんど責任を負わないことになっていました。私はこのような組織の存在に強い疑義を持っていました。また、研究を軽視している教員が多く、機会がある度にこのような教養部は不要、解体すべしという意見を述べていました。偶然この時期に大綱化で教養部がなくなることになりました。1995年10月、当時の私の思いが現実のものになる直前に東工大に転任しました。これもまた皮肉な巡り合わせでした。

本学の理学系は多くの理工系基礎科目の責任部局と位置付けられています。理学系の教員は責任感だけで理工系基礎科目を担当しているわけではありません。この科目への熱い思いに触れることもしばしばです。優秀な学生と共に研究を進められる時間的、精神的なゆとりが、教育に向かう熱意を生むのだと思います。静岡大学時代にはつらかった1年生相手の授業ですが、私も本学で受け持つことに苦痛を感じることはなくなりました。試行錯誤することがおもしろく感じることも少なくありません。これが受講学生からの好評価につながるかどうかはともかくとして、教える側に過度の負担を強いないことが、教育システムとしてうまく機能するポイントだと思います。教える側だけでなく、(京大方式の是非はともかく)教わる側にも適度なゆとりは必要だと思います。

理学系は本学の中でも最も多様性に富んだ部局です。好奇心を駆動力とする研究推進、研究への国内外からの高い評価、そして教育に対する熱い思いは理学系教員に共通していますが、教育・研究における具体的な手法や考え方は様々です。これまではこの多様性が組織としての弱点になることが多かったように思います。今年度から法改正に伴い教授会の権限が縮小されました。また、部局長の役割も変わり、部局の独自性が薄れる方向に進んでいます。生物の進化や進歩は多様性によって支えられていますし、現代社会でも多様性が重視され、その重要性が認識されています。大学も例外ではありません。一定のガバナンスは必要ですが、画一化は組織としての弱体化につながります。本学の基本路線を尊重しつつ理学系の多様性を大学全体の発展に生かせるよう力を尽くす所存です。

アンモニア合成の大幅な省エネ化を可能にした新メカニズムを発見

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ポイント

  • エレクトライド触媒は効率よくアンモニアを合成できる画期的なものだが、その反応メカニズムの詳細は分からなかった。
  • エレクトライド触媒を用いると、アンモニア合成で最も時間のかかっていた窒素分子の切断反応が速やかに進行していることが分かった。
  • アンモニア合成の省エネプロセス化と窒素化合物新合成法への応用が可能。

概要

JST戦略的創造研究推進事業において、東京工業大学の細野 秀雄教授、原亨和教授、北野政明准教授らは、以前開発した常圧下で優れたアンモニア合成活性を持つルテニウム担持12CaO・7Al2O3エレクトライド[用語1])を触媒に用いると、強固な窒素分子の切断が容易になり、アンモニア合成で速度の最も遅い律速段階[用語2])が窒素分子の解離過程ではなく、窒素-水素結合形成過程となることを見いだしました。

アンモニアは、窒素肥料原料として膨大な量が生産されており、最近では燃料電池などのエネルギー源(水素エネルギーキャリア)としても期待が高まっています。これまでどの触媒[用語3]を用いても、強固な三重結合を持つ窒素分子の切断に高温、高圧の条件が必要であったため、アンモニア合成は多大なエネルギーを消費するプロセスとなっていました。

本研究グループは、同位体[用語4]を用いた窒素交換反応に計算科学を導入することで、この触媒上では窒素分子の切断の活性化エネルギー[用語5]が既存触媒の半分以下に低減し、その切断反応がアンモニア合成の律速段階ではないことを見いだしました。また、速度論解析[用語6]や水素吸蔵特性[用語7]を調べることで、エレクトライド触媒の水素吸蔵特性が反応メカニズムに大きな影響を与え、窒素-水素の結合の形成過程が律速段階であることを示唆しました。

今回の成果により、アンモニア合成プロセスの省エネルギー化に向けた触媒開発の有力な手がかりが得られたといえます。今後、この結果を利用したさまざまな化学反応への応用が期待できます。

本成果は、AccelプログラムにおいてPNNL(パシフィック・ノースウェスト・ナショナル・ラボラトリー、米国)のピーター・スシュコ博士らと共同で行ったものです。

本研究成果は、2015年3月30日(英国時間)に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン速報版で公開されました。

本成果は、以下の事業・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 ACCEL

研究課題名 :
代表研究者 :
東京工業大学 元素戦略研究センター センター長 細野 秀雄
PM :
科学技術振興機構 横山 壽治
研究実施場所 :
東京工業大学
研究開発期間 :
2013年10月~2018年3月

研究の背景と経緯

人工的にアンモニアを合成する技術は、ハーバーとボッシュによって初めて見いだされ、この技術(ハーバー・ボッシュ法、HB法)は、1912年代に工業的に完成してから約100年経った現在でも、人類の生活を支えるために必要不可欠となっています。また、アンモニア分子は分解することで多量の水素発生源となり、かつ室温・10気圧で液体になることから、燃料電池などのエネルギー源である水素運搬物質としても期待されています。

HB法の鍵は反応を速やかに進行させる触媒であり、鉄やルテニウムを含む多くの触媒が開発されてきました。アンモニア合成反応では、窒素分子の三重結合が極めて強固で安定なので、それを切断するのに大きなエネルギーを要してしまい、その結果として、どの触媒を用いても窒素分子の結合を切断する過程が全体の反応の速度を遅くしていること(律速)が知られていました。

本研究で用いた触媒は、C12A7エレクトライドという細野教授らが2003年に開発した物質の表面に、ナノサイズのルテニウムの微粒子を担持させたものであり、従来の触媒よりも効率よくアンモニアを合成できることを2012年に報告していました。しかし、その反応メカニズムの詳細は明らかになっていませんでした。

研究の内容

本研究では、当グループが開発したエレクトライドを担体に用いた触媒を使うと、これまでのアンモニア合成用触媒と比較して、以下のように反応メカニズムが大きく異なることが分かりました。

1.
窒素分子の切断の活性化エネルギーがこれまでの半分以下に低減。
2.
その結果、窒素分子の切断反応はもはや律速でなくなり、
3.
代って、窒素解離の次に障壁の高い窒素―水素の結合形成過程が律速に変化する。

具体的には、窒素ガス(14N2、質量数28)と同位体窒素ガス(15N2、質量数30)が混ざったガス中で触媒を加熱すると、触媒表面上で窒素分子の切断反応と再結合反応が起こり、質量数29の窒素分子(14N15N)が生成します。この質量数29の窒素分子の生成速度をもとに、各触媒の窒素切断反応の速度を調べたところ、図1に示すようにC12A7エレクトライドにルテニウムを担持した触媒は、他のどのルテニウム触媒よりも低温での窒素切断反応に対する活性が高く、その活性化エネルギーは他の触媒の半分以下となりました。このことから、C12A7エレクトライドの強い電子供与能(電子を他に与える能力)によって、ルテニウム触媒の性能が大きく向上し、強固な窒素―窒素三重結合を効率よく切断できることが明らかとなりました。さらに、この速度論解析結果と量子化学計算を組み合わせることで、この触媒を用いたアンモニア合成反応の律速段階が窒素の切断過程ではないことが明らかとなりました。

さまざまな材料にルテニウムを担持した触媒を用いた窒素分子切断反応

図1. さまざまな材料にルテニウムを担持した触媒を用いた窒素分子切断反応

C12A7エレクトライドにルテニウムを担持した触媒が、他の触媒の半分以下の活性化エネルギーを示すことが確認できます。

C12A7エレクトライドにルテニウムを担持した触媒は、300℃以上の反応温度において水素の吸蔵と放出挙動を示し、他の材料ではこのような挙動は見られませんでした(図2)。また、320℃よりも高い温度と低い温度で活性化エネルギーが変化することも明らかとなりました(図3)。つまり、320℃を境に反応メカニズムが変化していることが分かります。C12A7エレクトライドは水素中で加熱するとケージ内に水素をH-イオンとして吸蔵することが可能であり、さらに取り込んだH-イオンは水素として再び放出することもできます。これらの結果から、300℃以上の反応温度において窒素切断の促進効果に加えて水素吸蔵効果も反応メカニズムに多大な影響を及ぼしていることが分かりました。

さまざまな材料にルテニウムを担持した触媒の水素吸蔵と水素放出挙動

図2. さまざまな材料にルテニウムを担持した触媒の水素吸蔵と水素放出挙動

ルテニウムを担持したC12A7エレクトライドはアンモニア合成温度領域(300度以上)で水素の吸蔵と放出をすることが確認できます。

さまざまな温度でルテニウムを担持したC12A7エレクトライドを用いてアンモニア合成反応を行った結果

図3. さまざまな温度でルテニウムを担持したC12A7エレクトライドを用いてアンモニア合成反応を行った結果

320℃を境に活性化エネルギーが変化していることが確認できます。

以上の結果から既存の触媒との反応メカニズムの違いをまとめると(図4)、既存の触媒では、窒素分子の切断が律速段階であり、生成した窒素原子と水素原子が触媒表面上で反応しアンモニアが生成します。一方、C12A7エレクトライド触媒では、C12A7エレクトライドの電子がルテニウムのナノ粒子上に吸着した窒素分子に移動するために、窒素分子が原子に速やかに解離し、同時にルテニウム上で切断された水素が、C12A7エレクトライドのカゴの中にH-イオンとして収納されます。さらに、このH-イオンが原子状水素として放出され、窒素原子と反応することでアンモニアが生成されると考えられます。このようにアンモニア合成の律速段階が窒素分子の切断から窒素解離の次に障壁の高い窒素―水素結合の形成過程に変化することを明らかにしました。

既存触媒とルテニウムを担持したC12A7エレクトライド上でのアンモニア合成のメカニズム

図4. 既存触媒とルテニウムを担持したC12A7エレクトライド上でのアンモニア合成のメカニズム

C12A7エレクトライドは、カゴの中の電子がルテニウムに供与され、それが窒素分子に移動することで窒素三重結合(N≡N)の切断が容易となり、ルテニウム上で切断された水素はケージ内にH-イオンとして取り込まれ、原子状水素として放出され窒素原子と反応しアンモニアが生じます。

今後の展開

今回の成果により、穏和な条件でのアンモニア合成を実現するには、電子注入効果と水素吸蔵効果が重要な役割を果たしていることが明確になりました。従って、アンモニア合成プロセスの省エネルギー化に向けた触媒開発の有力な手がかりが得られたことになります。また、この触媒を用いると、安定な窒素分子の解離が速やかに進行することを利用できるため、アミンなど窒素を含む化合物を合成する化学反応への応用展開が期待されます。

用語説明

[用語1] エレクトライド : 電子がアニオンとして働く化合物の総称です。通常の物質の性質からは逸脱した性質を持つ物質として関心を集めていましたが、あまりに不安定なため、物性がほとんど不明のままでした。細野グループは、2003年に直径0.5ナノメートル程度のカゴ状の骨格が立体的につながった結晶構造をしている12CaO・7Al2O3を使って、安定なエレクトライドを初めて実現しました。このエレクトライドは金属のようによく電気を通し、低温では超伝導を示す。また、アルカリ金属と同じくらい電子を他に与える能力を持つにもかかわらず、化学的にも熱的にも安定というユニークな物性を持つ。

[用語2] 律速段階 : 化学反応において最も遅い反応段階であり、この反応速度が全体の化学反応の速度を支配している。

[用語3] 触媒 : 化学反応系に少量存在して、化学反応を著しく加速したり、特定の反応だけを起こしたりするが、それ自体は反応の前後で変化しない物質である。

[用語4] 同位体 : 原子番号が同じで、重さ(質量数)だけが異なる原子のことで、化学的性質は同等である。

[用語5] 活性化エネルギー : 反応の出発物質の基底状態から遷移状態に励起するのに必要なエネルギーのことであり、このエネルギーが小さいほど、その反応は容易になる。反応中に触媒が存在することで、活性化エネルギーを下げることが可能である。

[用語6] 速度論解析 : 化学反応の速度を解析することで、反応のメカニズムや化学反応の本質を明らかにするための解析手法である。

[用語7] 水素吸蔵特性 : 物質が、水素を物質内部に取り込む性質のことである。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Electride support Boosts Nitrogen Dissociation over Ruthenium Catalyst and Shifts the Bottleneck in Ammonia Synthesis
(エレクトライド担体がルテニウム触媒上での窒素切断を促進し、アンモニア合成の律速を変化させる)
著者 :
Masaaki Kitano, Shinji Kanbara, Yasunori Inoue, Navaratnarajah Kuganathan, Peter V. Sushko, Toshiharu Yokoyama, Michikazu Hara and Hideo Hosono
DOI :

問い合わせ先

C12A7エレクトライドについて

東京工業大学 元素戦略センター センター長
応用セラミックス研究所 教授
細野 秀雄
Email : hosono@msl.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5009
Fax : 045-924-5196

触媒反応について

東京工業大学 応用セラミックス研究所 教授
原 亨和
Email : mhara@msl.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5311
Fax : 045-924-5381

JSTの事業に関すること

科学技術振興機構 戦略研究推進部 ACCELグループ
剱持 由起夫
Email : suishinf@jst.go.jp
Tel : 03-6380-9130
Fax : 03-3222-2066

報道担当

科学技術振興機構 広報課
Email : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404
Fax : 03-5214-8432

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター
Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975
Fax : 03-5734-3661

Bill Lee教授(Imperial College London)が講演 原子炉研コロキウム

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Bill Lee教授
Bill Lee教授

3月5日、原子炉工学研究所2号館で、平成26年度第29回原子炉研コロキウムが開催されました。今回は、Imperial College LondonのBill Lee教授を招き、 “Nuclear Ceramics: Key Materials in Waste Management and Advanced Reactors” (原子力用セラミックス:原子力廃棄物処理及び先進原子炉におけるキーマテリアル)について講演していただきました。Bill教授は、エンジニアリングセラミックス分野で世界的に著名な先生ですが、英国での原子力分野でも活躍されている先生です。現在、Imperial College Londonの材料工学科教授、原子力工学センターのセンター長を務めています。また、英国において科学技術や原子力に係る委員会メンバーとしても活躍されています。

コロキウムでは、Imperial College Londonの紹介があった後、英国での原子力の現状、Imperial College Londonでの原子力研究について紹介されました。その後、原子力廃棄物処理及び先進原子炉への適用を目指したセラミックスの研究開発について講演していただきました。およそ1時間の講演後、30分ほど質疑応答の時間を設けましたが、教職員だけではなく、参加学生からもBill先生の講演に対して英語での活発な質疑応答が行われました。

講演後の質疑応答
講演後の質疑応答

お問い合わせ先

原子炉工学研究所 助教 吉田克己
Email : k-yoshida@nr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3082

4月の学内イベント情報

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2015年4月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

2015年4月の学内イベント情報

中井検裕 大学院社会理工学研究科長 就任挨拶

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2015年4月1日付で就任した、中井検裕 大学院社会理工学研究科長からの挨拶をご紹介します。

社会理工学研究科長に就任して

社会理工学研究科長 中井検裕

中井検裕

2015年4月1日付で社会理工学研究科長を拝命しました。来年度からは新しい教育研究組織への移行が予定されていますので、1年間ということになりますが、とはいえ、研究科長として研究科と本学の発展のため、努力したいと考える点を以下に記しておきたいと思います。

第1に、教員、学生、職員間のより一層円滑なコミュニケーションをはかりたいと思います。私は専門が都市計画ですが、都市計画という仕事は、立場や考え方の異なる多くの人々の葛藤に耐えられる良き都市の大きな絵を描き出す仕事であり、そのためにはコミュニケーションは最も重要な要素です。社会理工学研究科に所属する教員、学生、職員も、専門領域や研究科への関わり方、コミットメントは様々でしょうが、コミュニケーションを円滑にすることで、1つの大きな絵を描けるような環境にできればと考えています。

第2は、特に学生に向けてですが、留学の勧めです。私は1980年の本学社会工学科卒業で、その後、修士課程、博士課程と進学しました。博士課程の最初の1年間は論文のテーマも決められずになんとなく時間をただ過ごしていたのですが、今にして思えば、恩師の故石原舜介教授からかけられた「君、留学でもしてみるか」という一言がその後を決めたように思います。結局、当初9か月間だった留学予定が、その後、今でいう特任助教のようなポストに恵まれたこともあって、イギリスには5年近く生活していました。その時に得た知識や経験は何物にも代えがたいものであり、人によって受け取り方は様々でしょうが、やはり若い頃に日本の外に出て知識を広げ、経験することの重要性はまちがいないと思います。近年、日本から海外への留学生の減少が指摘されています。社会理工学研究科では、従来から学生に対して留学の支援等を積極的に行ってきていますが、海外に行ってみようと自発的に思えるような環境と支援体制をこれまで以上に充実できるよう努力したいと思います。

第3は、次年度から予定されている新組織への円滑な移行です。社会理工学研究科は人間社会と科学技術の調和を目標に1996年に創設され、文理融合の研究教育をキーワードとしてきました。研究科の20年間の歴史の中で、歴代の研究科長やスタッフの努力によって、このことは学内、学外で相当程度に認知されるようになったと考えています。社会理工学研究科の教員は、来年度以降、工学院、環境・社会理工学院、リベラルアーツ研究教育院等、複数の学院に分かれて所属することが予定されています。研究科の全教員が、研究科で培われた社会理工学のDNAを大事に活かしつつ、新組織で気持ち良く出発していただけるよう、最後の社会理工学研究科長として可能な限り努める所存です。

本計画は本学による構想であり、文部科学省大学設置・学校法人審議会の審査結果によって確定するため、変更があり得ます。

「スポーツする楽しさ、スポーツ科学の面白さ」を学生と学ぶ

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リベラルアーツが動き出す シリーズ講演会 第6回 開催報告

「東工大発、世界を見据えたリベラルアーツとはなにか。」多彩なゲストを迎え、さまざまな視点から考えていく全7回の講演会シリーズです。東工大は現在教育改革を進めており、2016年4月から新しい教育がはじまります。この改革の取り組みのなかで、東工大の教養、語学、健康教育などを司る「リベラルアーツ研究教育院」が同じく2016年4月に発足します。この講演会シリーズは同研究教育院の発足に向け、準備を進めている同研究教育院ワーキンググループが、スーパーグローバル創成支援事業の支援を受け、実施しています。

このシリーズ講演会は主に東工大の大学院生、教職員を対象としていますが、今回の講演会は一般にも公開されました。

第6回
日時
3月16日(月)15:45~17:15
場所
西8号館10F大会議室
タイトル
「スポーツする楽しさ、スポーツ科学の面白さ―教養として、専門として」
講師
彼末一之(早稲田大学教授、大阪大学名誉教授)

東工大出身で現在は早稲田大学スポーツ科学学術院教授の彼末一之教授が登壇し、生理学から脳神経科学、スポーツ科学にわたる話題を、自身の体験を交えながら分かりやすく語りました。

講義テーマを話す彼末一之教授の様子
講義テーマを話す彼末一之教授の様子

なぜ運動をするのか? 運動は健康によい?

講師の彼末一之教授の講義風景

講師の彼末一之教授の講義風景

なぜ人は運動をするのかを考えるにあたって、彼末教授は生理学のホメオスタシスの概念から説明しました。体温や血圧、代謝等を一定に保つホメオスタシスを維持するには、ホルモンや自律神経の働きに加えて「行動」が必要になります。生きることと運動・スポーツの繋がりはここから始まるとのことでした。

動物が生きていくには、栄養素や水を確保するため、配偶者探索のため等々、「行動」が必要になる理由がいくつもあります。そもそも、人間とは生きることに有利な行動を快感と感じるようになっています。とすれば、運動にも心地よいと思う理由があるはずです。ただし運動が体に良いからと言って、誰もがすぐに楽しく運動ができるわけではありません。持久走が嫌になる、運動が辛くてしたくないという経験をした人も多いでしょう。基本的には、運動を楽しむためにはある程度のレベルに達する必要があり、そこで良いコーチ・指導者の必要性が出てきます。

司会の林直亨教授

司会の林直亨教授

「そこで東工大の出番ではないか」との話から、「体を使って、かつ飽きないゲームの開発ができないだろうか」という提唱がありました。

動かないことが健康に良くないということは明確で、テレビを1時間観ると、21分寿命が縮むという統計の数字があります。そこで彼末教授から「ここまで話を聞いた聴衆の皆さんは、もう寿命が21分は縮みました、ではそれを埋め合わせるために、ストレッチをしましょう」と提案があり、全員が立ち上がって大きく伸びをするという一幕もありました。

スポーツ科学の楽しさ

講師の彼末一之教授の講義風景

講師の彼末一之教授の講義風景

スポーツを「科学する」ことについても実際の事例を交えた興味深い説明が展開されました。「運動神経がよいとはどういうことか?」「女子サッカーの澤選手や卓球の福原選手は何がすごいのか?」という疑問に対しての答えも明かされました。「結局、これは「脳の問題」で、頭の中で上手くイメージを持つことができるかどうかの勝負になります。できない動作はイメージできないのです」と彼末先生は話しました。

また、金メダリストと普通の人を比べて、運動時の脳の働きが違うことを示す実験結果が紹介されました。この他、会場の聴衆がスライドに映し出された手の写真を見て、それが右手か左手かを瞬間的に見分けるという実験が行われ、参加者たちはイメージを持つことの難しさを実感する機会も持つことができました。

今回の講演では、運動・スポーツという切り口で、様々な分野の科学的分析から有意義な結果が導き出せることが語られました。そして「スポーツは科学のまな板に載る」という彼末教授のメッセージが参加者には強く印象に残ったようです。また自分の経験と他人の経験を比べて科学的に分析する視点の重要性など、東工大生が視野を広げて様々な「教養」を身につけることを考える上で、示唆に富んだ話がありました。

ホメオスタシス : 生物および鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のこと。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革


モンゴル教育科学大臣が三島学長を表敬訪問

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2月5日、モンゴル教育科学省のL. ガントゥムル大臣一行が東工大を訪問し、三島良直学長と懇談しました。懇談には、長年に亘って、国際協力機構(JICA)や国連教育科学文化機関 (UNESCO)と連携し、モンゴル国での教育開発プロジェクトに携わってきた学術国際情報センターの山口しのぶ教授と大学院理工学研究科国際開発工学専攻の高田潤一教授、さらに大学院総合理工学研究科物質電子化学専攻の原正彦教授が同席しました。

三島学長による東工大の概要及び、本学の教育改革や文部科学省スーパーグローバル大学創成支援事業の取り組みについて説明の後、L. ガントゥムル大臣からは現在のモンゴルの高等教育現場の状況や国際交流促進への取り組みが紹介されました。高等教育と科学技術分野での改革が進む中、より多くのモンゴル人学生が日本の大学で学べるよう、協力を依頼されました。

(前列左から)三島良直学長、L. ガントゥムル モンゴル教育科学大臣(後列左から)加藤隆行国際部長、原正彦教授(物質電子化学専攻)、高田潤一教授(国際開発専攻)N. Dulamjav 国際交流部長、モンゴル国立教育大学、山口しのぶ教授(学術国際情報センター)、J. Batkhuu 副学長(研究・技術担当)モンゴル国立大学、塚田由佳国際連携課長、Ch.バーサンダッシュ モンゴル科学技術大学副学長(研究・技術担当)

(前列左から)三島良直学長、L. ガントゥムル モンゴル教育科学大臣
(後列左から)加藤隆行国際部長、原正彦教授(物質電子化学専攻)、高田潤一教授(国際開発専攻)N. Dulamjav 国際交流部長、モンゴル国立教育大学、山口しのぶ教授(学術国際情報センター)、J. Batkhuu 副学長(研究・技術担当)モンゴル国立大学、塚田由佳国際連携課長、Ch.バーサンダッシュ モンゴル科学技術大学副学長(研究・技術担当)

原研究室にて説明を受けるL. ガントゥムル教育科学大臣

原研究室にて説明を受けるL. ガントゥムル教育科学大臣

その後、一行は原教授が協力研究員を務める地球生命研究所(ELSI)に移動して、本学に在籍しているモンゴル人留学生3名と対面しました。また、星元紀事務部門長から同研究所の概要説明を受けた後、化学進化実験室を見学し、原始的な地球環境を再現する実験装置について原教授から説明を受けました。

地球生命研究所(ELSI)にて3名のモンゴル人留学生(後列)と
地球生命研究所(ELSI)にて3名のモンゴル人留学生(後列)と

第2回資源研フォーラム「ハインリヒ-ハイネ大学ジョイントシンポジウム」

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東京工業大学資源化学研究所(資源研)は、平成26年度からアウト・リーチ活動として「資源研フォーラム」を開催しています。これは、学内外に資源研のアクティビティーを紹介するとともに、学内外との交流をはかって、資源研のより一層の発展を目指そうという活動です。第2回となる今回は、3月4日・5日に、ハインリヒ-ハイネ大学とのジョイントシンポジウムを開催しました。

ドイツの東部・デュッセルドルフ市は、日本の商社や銀行が支店を置き、日本人8,000人が暮らすヨーロッパ屈指の日本人居住都市として知られています。一時期休止されていた直行便の運行も2012年から再開され、日独交流の拠点となっています。ハインリヒ-ハイネ大学は、デュッセルドルフ市郊外にある総合大学で、医学・自然科学系の学部が充実しています。また、現代日本研究を特色とする日本学科があり、日本文化研究が活発に行われています。同大学の自然科学系の中でも、植物科学系は、ケルン大学、ユーリヒ研究センター、マックスプランク研究所植物科学部門とともに、ドイツ研究振興協会の支援による植物科学研究拠点を形成し、植物の資源活用について活発な研究を行っています。

東工大資源研で植物科学の研究を行っている複数の研究者が、同大学とかねてから交流を持っていたことから、今後の共同研究や学術交流の活性化を図ることを目的として、今回のジョイントシンポジウムが開催されました。

このシンポジウムでは、ハインリヒ-ハイネ大学の研究担当副学長・植物分子発生生物学講座ピーター・ヴェストホフ教授が「C4光合成の進化」、植物生理生化学講座ゲオルグ・グロス教授が「C4光合成の酵素の制御機構」、基礎生物学研究所の皆川純教授が「光合成生物の有効な光利用」について、それぞれ基調講演を行いました。

さらに、ハインリヒ-ハイネ大学の植物生化学講座マリオン・アイゼンフート助教、東工大資源研の植物科学系の3名の教員、資源研を含む5大学附置研究所による共同利用研究拠点事業「物質・デバイス領域共同研究拠点outer」に参加している7名の研究者、および、本学大学院生命理工学研究科の2名の教員が、光合成生物の遺伝子発現やタンパク質の機能制御などの基礎研究の成果、さらには光合成生物を利用した物質生産など応用研究につながる研究成果について講演を行いました。また、若手研究者・大学院生が関連する研究について20件のポスター発表を行いました。

会議には、本学の教職員・学生、関連分野の大学教員、および、近隣大学の学生など70名近くが参加し、植物科学の活用と将来について活発な討論を行いました。さらに、ハインリヒ-ハイネ大学とドイツの植物科学研究拠点についても紹介があり、今後の交流についても意見交換が行われました。

最後に、ピーター・ヴェストホフ副学長から、このジョイントシンポジウムをぜひ両大学交流のキックオフにしたい、という力強い言葉をいただき、盛会のうちに閉会しました。

集合写真

お問い合わせ先

東京工業大学資源化学研究所
Email : suzu.sigen@jim.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5961

FD研修「英語による教授法(実践)研修」実施報告

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東工大では現在、2016年4月スタートに向けて、教育システムの抜本的な改革を進めています。それに向けた教員サポートの一環として、3月2日~3月6日の間、FD研修「英語による教授法(実践)研修」が開催されました。各研究科の助教から教授まで、様々な立場の意欲溢れる23名の教員が参加し、計5日間のプログラムを修了しました。

FD : ファカルティ・ディベロップメントの略称で、教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称

グループワークの様子
グループワークの様子

今回の研修は、クイーンズランド大学付属英語学校による「英語による専門科目授業を実施(CLIL)するために必要な能力を向上させること」を目的とする内容のプログラムを採用しました。CLIL とは“Content and Language Integrated Learning(内容と語学の統合学習)”の略で、非母国語を媒介に科目を教授するアプローチを指します。

自分のPCを使って講義資料に改良を加えていく様子

自分のPCを使って講義資料に改良を加えていく様子

受講者は、CLILの原理はもちろん、様々な課題や活動を体験することによって、学習者の意欲を引き出す方法を学びました。そして、実際に自らの担当科目の講義資料を持ち込み、その場でノートパソコンを使いながら、講義計画に改良を加えていきました。最終日にはグループに別れ、研修で学んだヒントを取り入れてどのように自分の担当講義を変更したかについて、1人8分の持ち時間でプレゼンテーションを行いました。

プレゼンテーションの様子
プレゼンテーションの様子

プレゼンテーションの様子

今回の研修は、英語力を向上させるための内容ではありません。英語を使って「どのように教えるか」の代わりに、学習者を中心として「どのように学ばせるか」ということに主眼を置いた教育設計を、英語で理解・体験するものだったという点が特徴です。受講者からも「英語の授業だけでなく、日本語の授業にも応用できるヒントがたくさんあった」という意見が多く寄せられました。また、「これまでに受けたことのある授業形態でしか、授業を実践できないと思うので、新たな授業形態を実際に体験できる今回の研修のような機会は貴重だと思う。」という感想もありました。CLILによる講義の学習者の立場となることによって、いつもとは異なる視点から授業を見直すことができたようです。

今回参加した23名の受講者は皆とても積極的で、新しいことをどんどん取り入れようと意欲的でした。元気でパワフルな講師の影響もあり、教室が常に明るい雰囲気に包まれていました。毎日席替えをし、いろいろなパートナーと活動を行うことによって、今まで知り合うことのなかった他研究科の教員と知り合うことができたことも、副次的な収穫となったようです。

明るく和やかな雰囲気

明るく和やかな雰囲気

最終日には受講者へ修了証が授与された

最終日には受講者へ修了証が授与された

今回、この「英語による教授法(実践)研修」は初めての試みでしたが、大変好評を得たFD研修となりました。今後も定期的にこのような研修を実施し、多くの教員に体験してもらう予定です。

講師を囲んで集合写真
講師を囲んで集合写真

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

お問い合わせ先

学務部教務課教育企画グループ
Email : kyo.kyo@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7602

東京工業大学 - アーヘン工科大学国際産学連携共同シンポジウム開催報告

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3月30日に、東工大―アーヘン工科大学共同国際産学連携シンポジウムを、東工大蔵前会館くらまえホールで開催しました。株式会社エヌ・アール・ダブリュージャパン(ドイツNRW州経済振興公社日本法人)の共催、大田区、大田区産業振興協会他日独の公的・民間諸機関の後援を得ました。本連携に興味を持つ企業、大学関係者等200名近い参加がありました。

日本と欧州を代表する理工科系総合大学である東工大とアーヘン工科大学は、全学交流協定を締結し、かねてより研究、教育両面で活発な交流を進めています。この連携関係の一層の強化を図るため、アーヘン工科大エルンスト・シュマハテンベルク学長の来訪を機会に、本シンポジウムが開催されました。

会場風景
会場風景

シンポジウムの冒頭に、東工大 三島、アーヘン工科大学 シュマハテンベルク両学長から、それぞれの大学紹介及び産学連携の戦略に関する説明がありました。その後、アーヘン工科大学フリッツ・クロッケ教授、東工大精密工学研究所 新野秀憲教授が講演を行いました。

東工大 三島学長

東工大 三島学長

アーヘン工科大学 シュマハテンベルク学長

アーヘン工科大学 シュマハテンベルク学長

クロッケ教授の講演タイトルは「ITテクノロジーとエンジニアリング・サイエンス融合による未来の生産の強化」です。第4の産業革命と呼ばれ、ドイツ政府が推進する、製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクト「インダストリー4.0」と、それによる製造プロセスの技術革新をテーマとした内容でした。新野教授は「精密工学研究所における最近の工作機械工学研究」と題し、日本が得意とするものづくりの基本となる工作機械工学の研究展開について講演しました。二人とも、大学での研究を、産業界と連携してイノベーションへと導くための、大学の役割を強調していました。

アーヘン工科大学 クロッケ教授

アーヘン工科大学 クロッケ教授

東工大 新野教授

東工大 新野教授

それに引き続き、日独の企業、両大学の講演者、政府関係者を交え、エヌ・アール・ダブリュージャパン ロエル社長の司会で、パネルディスカッションが行われました。日独それぞれ異なった立場のパネリストにより、日独の大学と産業界の連携について、問題点や今後の展望について、活発な議論が行われました。会場からも熱心な質問やコメントが寄せられ、大変盛り上がったパネルディスカッションとなりました。

パネルディスカッション
パネルディスカッション

東工大は「世界トップ10に入るリサーチユニバーシティ」を目指し、研究や教育の改革を進めています。また、世界トップクラスの大学との、国際産学連携プロプログラムを推進しており、1月7日に米国マサチューセッツ工科大学(MIT)と国際産学連携ワークショップを開催しました。今回のアーヘン工科大学との共同シンポジウムは、国際産学連携に関する2回目のイベントなります。

今回のシンポジウムの議論を踏まえ、日独の関係者とも協議を継続し、今後着実に連携プロジェクトの具体化を図っていく予定です。また、今年の夏にアーヘン工科大学で次回のシンポジウムを開催することも検討しています。日独の企業や政府、公的機関他、関係各位には今後の一層のご支援をお願いするとともに、本学に対するご質問、ご要望等がありましたら、ご遠慮なく以下の問い合わせ先にご連絡をいただくようにお願いします。

お問い合わせ先

東工大-アーヘン工科大学国際産学連携共同シンポジウムワーキンググループ
Email : tokyo.tech.aachen@jim.titech.ac.jp

エネルギーミックス、電力平準化を目指すスマートグリッド"エネスワローver.3"を開発

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“エネスワローver.3”が制御する東工大・大岡山キャンパスのメガソーラーと各種分散電源

概要

東京工業大学は、エネルギーミックスと電力の平準化をおこなう独自のスマートグリッド“エネスワローver.3”を企業数社と共同で開発し、大岡山キャンパスで運用を開始しました。738kWの太陽電池、105kWのガスエンジン、96kWh(48kWh×2台)のリチウムイオン二次電池をキャンパス内に増設し、2012年に竣工した「東工大環境エネルギーイノベーション棟(EEI棟)」の650kWの太陽電池、100kWの燃料電池、排熱を利用する空調機器などのEEI棟エネルギーシステムとも連携して制御します。 今回の増設によって、大岡山キャンパスの太陽電池の発電容量は合計で約1.4MWとなり、メガソーラー発電所に匹敵する発電容量となりました。また、“エネスワローver.3”は、熱需要に応じた各分散電源の高効率運転をおこなうとともに、リアルタイムデータに基づく独自の電力予測式によってピークカット制御をおこないます。さらに、停電時には各分散電源が連携し、環境エネルギーイノベーション棟に電力を供給し、長期の停電時でも永続的に自立運転をおこなうことができます。“エネスワローver.3”は、高度制御および規模の点で世界初の技術です。

大岡山キャンパス太陽電池の増設図

大岡山キャンパス太陽電池の増設図

スマートグリッド“エネスワローver.3”の特長

大岡山キャンパスに増設された太陽電池:738kW(大岡山キャンパスの屋根に増設)、ガスエンジン:35kW×2台=105kW、リチウムイオン二次電池:48kWh×2台、およびEEI棟既設の太陽電池:650kW、燃料電池100kWの分散電源の運転を制御し、EEI棟および大岡山キャンパスの基幹電力データを集約化するシステムである。

  • ピークで大岡山キャンパス電力の約15%の電力(1/28 10:40では約12%)を太陽電池を主とする分散電源で供給可能となった。
  • エネスワローver.2では、キャンパス全体の太陽光発電量のリアルタイム取得を実現した。
  • エネスワローver.3では、ver.1、ver.2との相互連携、統合化が可能となった。
  • リアルタイムデータに基づく「1. 30分ごとの電力量予測」、「2. 数分後の電力予測」を独自開発した計算式で予測したうえで、ピークカット制御が可能となった。
  • 停電時には、各発電機(太陽電池、ガスエンジン、燃料電池)からの発電電力と空調・照明・エレベータなどによる消費電力の差を最小にする制御をおこない、2台のリチウム二次電池(48kWh×2)を使って長期の停電時でも永続的に自立運転をおこなうことができる。(この蓄電池制御構成は、2012年東工大から特許を申請済み)
エネスワローの管理画面1

エネスワローの管理画面1

エネスワローの管理画面2

エネスワローの管理画面2

スマートグリッド“Ene-Swallow ver.2, 3”の開発

基本設計・設計統括

東京工業大学 理工学研究科 伊原学研究室

情報システム設計

NTTデータ カスタマサービス株式会社
株式会社NTTデータビジネスシステムズ

ソフトウエア設計

シムックス株式会社

各分散電源設置工事統括・エネルギーデータ計測

東京工業大学 施設運営部
株式会社 関電工

太陽電池設置設計

パナソニックESエンジニアリング株式会社
パナソニック株式会社

ガスエンジン排熱利用設計

アズビル株式会社
ヤンマーエネルギーシステム株式会社

二次電池制御工事・設計

宝電設工業株式会社
株式会社 東芝

技術協力

株式会社 日本設計

問い合わせ先

大学院理工学研究科化学専攻 准教授
伊原 学
Email : mihara@chem.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3337

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