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ニュースレター「AES News」No.2夏号発行

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ソリューション研究機構先進エネルギー国際研究(AES)センターouterが、ニュースレター「AES News」No.2夏号を発行しました。

AESセンターは、従来の大学研究の枠組みを越えて、企業、行政、市民などが対等な立場で参加する、開かれた研究拠点「イノベーションプラットフォーム」です。低炭素社会のエネルギーシステム実現に向けたソリューション研究開発を推進しています。

また、学内外の教員と会員が連携し、既存の社会インフラを活かしながら革新的な省エネ・新エネ技術を取り入れ、安定したエネルギー利用環境を実現する先進エネルギーシステムの確立を目指しています。

こうした日ごろの活動を、より多くの方々にご理解いただき、また、AESセンター企業・自治体会員および本学教職員の連携を深めるために、AESセンターではニュースレター「AES News」を、今年度より季刊誌として発行しています。今回は第2号となる夏号のご案内です。

ニュースレター「AES News」No.2夏号

第2号・2015年夏号

  • 中上英俊特任教授
    巻頭記事「エネルギー産業のパラダイムシフト」
  • AES活動報告(2015年4月~6月)
  • 共同研究部門紹介(東京ガス共同研究部門、三菱商事共同研究部門)
  • AES行事開催予定、AESセンターの概要

ニュースレターの入手方法

冊子版

冊子版は、以下の場所で配布しています。郵送をご希望の場合は、問い合わせ先までご連絡ください。

  • 大岡山キャンパス:東工大蔵前会館1階 インフォメーション

  • すずかけ台キャンパス:すずかけ台大学会館1階 広報コーナー

PDF版

PDF版は以下のサイトからダウンロードできます。なお、バックナンバーも掲載しています。

お問い合わせ先

ソリューション研究機構 先進エネルギー国際研究(AES)センター
Email : aescenter@ssr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3429


卒業設計・修士制作展2015開催報告

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6月24日~7月7日に、緑が丘6号館1階ホールにて建築学科および建築学専攻の卒業設計・修士制作展が行われました。東工大建築学科、建築学専攻では、毎年卒業設計・修士制作展を開催しており、学生の作品を展覧会で公開できる貴重な機会となっています。

卒業設計および修士制作は、建築学科、建築学専攻学生によるこれまでの集大成です。東京工業大学で建築を学ぶ学生が真摯に向き合い、全力で取り組んだ作品を展覧会という形で公開します。今年は、学部生の優秀作品9点と修士の作品2点を展示し、在学生をはじめ、教員、学外一般の方、他大学の学生、高校生のべ800人余が来場しました。

展覧会初日の6月24日には、4名の出展者代表と、東工大OBを中心とした組織であるTTIT建築設計教育研究会会員による講評会が行われました。建築業界の第一線で活躍されている、本学出身の著名な建築家の方々の鋭い講評により、講評会は非常に有意義なものでした。

講評の様子
講評の様子

修士制作代表者(李一純)プレゼンテーション

修士制作代表者(李一純)プレゼンテーション

卒業設計代表者(園佳美)プレゼンテーション

卒業設計代表者(園佳美)プレゼンテーション

卒業設計代表者(岩田翔太)プレゼンテーション

卒業設計代表者(岩田翔太)プレゼンテーション

卒業設計代表者(河合杏奈)プレゼンテーション

卒業設計代表者(河合杏奈)プレゼンテーション

卒業設計優秀作品

【大岡山建築賞】 「道 屋根の連なりが築く常滑の町」 河合杏奈

道 屋根の連なりが築く常滑の町

道 屋根の連なりが築く常滑の町

愛知県常滑は900年以上続く窯業の町ですが、その産業は衰えつつあります。この現状に対し、町の様相を支える生活の構造を、生きた形で継続させていくための共同の窯屋を計画しました。窯屋の形態を取り入れた形式が切妻の棟として山を囲むように連なり、それらを貫く道が町と人々を繋ぎとめます。

【大岡山建築賞・銀賞】 「風景の継承」 岩田翔太

風景の継承

風景の継承

再開発が盛んに行われている南千住駅前には廃墟となったセメントサイロがあります。この場所を敷地とし、風景の重要な要素を円柱の上部と捉え、残しつつも、下部では丘を計画することで市民に開放します。見慣れた風景の中で人はサイロの中に留まり、そして、流れていきます。

【大岡山建築賞・銀賞】 「水懐の庭」 園佳美

水懐の庭

水懐の庭

千葉県香取市佐原は古くから利根川水系の恩恵を受ける水郷のまちとして栄えていましたが、市街地化や護岸整備等により、水辺との日常的な関わり関わりは薄れてしまいました。かつての船溜り跡地に一筋の水路を通し、それに沿った親水公民館を再設計しました。

【優秀作品】 「再資源市場 ― 墨田区編 ―」 下田益央

再資源市場 ― 墨田区編 ―

再資源市場 ― 墨田区編 ―

かつて物作りで栄えた墨田区に、地下に工場、地上に販売所としての機能をもつ市場を計画しました。外側は町の動線に、内側は吹き抜けに合わせ変形し、全体は大屋根によって統合されます。ゴミを介して様々な人が集まり、交錯する場となります。

【優秀作品】 「渋谷 ― 大地の覚醒 ―」 新居壮真

渋谷 ― 大地の覚醒 ―

渋谷 ― 大地の覚醒 ―

渋谷は川を伴う谷として自然的側面に恵まれている一方で、経済活動が盛んな地としての人工的側面も強いです。地球環境を意識せざるを得ない今日、都市における唯一の自然の名残である地形に応答した再開発を計画しました。

【優秀作品】 「時の彫像」 西慶三

時の彫像

時の彫像

青山公園にある軍用ヘリポートの一角を転用し、敷地の歴史を未来に継承するための古墳のような建築を目指しました。屋上での花畑の活力と、地下での納骨堂の荘厳さの間にある「生」と「死」が入り混じる空間は、人々に死生観を問い直す時間を与えます。

【優秀作品】 「塔の息吹」 前原航

塔の息吹

塔の息吹

無機質な高層建築からの脱却を目指した提案を、東京都芝浦地区に計画しました。柱は揺らぎながら人のスケールに寄り添い、外皮はスリットと捩れにより開放され、吹き抜けが出現します。人々を受け入れ、外部を巻き込むことで、その塔は息吹くのです。

【優秀作品】 「Noah's Ark」 巻島雄途

Noah's Ark

Noah's Ark

横浜駅は40万人/日の乗車人員を誇るターミナル駅でありながら、災害に対して脆弱です。災害時の避難場所としての「地上5m以上に65,000m2以上の床を有する空間」を公共空間の層というかたちで創出し、駅前空間の新しい形を考えました。

【優秀作品】 「風景の更新 ― 谷根千における路地空間の再編 ―」 宮本富有

風景の更新 ― 谷根千における路地空間の再編 ―

風景の更新 ― 谷根千における路地空間の再編 ―

谷根千地域では、建物の更新と共にそれぞれの家は壁を建て、閉じるようになり、かつて生活の場が広がっていた路地は失われつつあります。これまでの路地の使われ方をヒントに、谷根千に路地を生む建築を5つ提案しました。

以下、実行委員からのコメントです。

お越しくださったみなさま、天候に恵まれない日もありながら足を運んでいただき誠にありがとうございました。予想以上の来場者数を受けて、実行委員一同非常に嬉しく思っております。来年度以降も多くのご来場を心よりお待ちしております。

お問い合わせ先

河合杏奈 (理工学研究科 建築学専攻 村田研究室)
Tel : 03-5734-2568

学内のwebサイトで発生した障害について(お詫び)

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7月17日(金)20:30頃から7月21日(火)9:00頃まで、学術国際情報センターが管理を代行する学内組織(約400)のwebサイトが閲覧できない状態となりました。

学外からの大規模なアクセスによる過負荷が主な原因でしたが、現在は当該アドレスからのアクセスを遮断するなど対策を実施し、回復しております。なお、webページの改ざんやサーバへの侵入など、閲覧停止以外の問題は確認されておりません。

復旧までに時間がかかりましたこと、特に上記時間に情報を閲覧できなかった皆様には大変ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

本件の詳細につきましては、学術国際情報センター ネットワークシステム担当のページに記載しています。

学勢調査2014提言書、学長へ

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昨年実施された学勢調査2014の調査結果と、それに基づく提言書が、学長に届けられました。

学生スタッフ代表から三島学長へ提言書奉呈

学生スタッフ代表から三島学長へ提言書奉呈

学勢調査は、学生の学園生活の現状を大学に伝え、その意見を大学の運営に反映させるために、2年に1度実施する、本学の全学生を対象としたWeb上でのアンケートです。アンケート設問は、設問作成担当の学生スタッフにより精査・検討され、10月の調査で1,793名からアンケート回答を得ました。その後、解析・提言作成担当の学生スタッフ19名によって、データの集計と解析、キャンパスミーティング(関係部署でのヒアリング)が行われ、スタッフ間での熱心な討論を経て、提言書としてまとめられました。なお、設問作成担当、解析・提言作成担当ともに、自ら応募した学生有志で構成されています。

今回の調査では特に、2016年度からの教育改革を見据えて、その趣旨と内容を学生に伝えるとともに、改革に対する学生からの要望と意見を集約することに焦点をあてています。

三島学長、丸山副学長と学生スタッフで記念撮影

三島学長、丸山副学長と学生スタッフで記念撮影

7月6日、学生スタッフを代表した3名が学長室を訪れ、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長に提言書を手渡しました。学生代表による今回の調査の概要、特徴、全体的な提言の説明につづき、三島学長は出席した学生スタッフ一人一人から解析結果とそれらに基づく提言を聞きました。その後、学長は「学生の真剣な意見をできる限り反映させて、東工大をよりよい大学に進化させていきます。」と、心強い言葉を述べました。

本提言書は、教育研究に係る重要事項を審議する教育研究評議会の構成員、各専攻長・学科長やヒアリングを行った大学関係部署にCDにて配布されるとともに、Web上でも公開されています。

学勢調査ワーキンググループ主査の岩附信行教授は、「教職員・学生各位にぜひ、一読をお勧めします。」とコメントしています。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

問い合わせ先

学生支援センター自律支援部門室

Tel: 03-5734-7629

スーパーコンピュータ「京」がGraph500で世界第1位を奪還

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スーパーコンピュータ「京」がGraph500で世界第1位を奪還
―ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析でも最高の評価―

要旨

理化学研究所(理研)と東京工業大学、アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリン、九州大学、富士通株式会社による国際共同研究グループは、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500において、スーパーコンピュータ「京(けい)」[用語1]による解析結果で、2014年6月以来、再び第1位を獲得しました。これは、東京工業大学博士課程(理研研修生)上野晃司氏らによる成果です。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、今回のランキング結果は、「京」がビッグデータ解析に関する高い能力を有することを実証するものです。

本研究の一部は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「ポストペタスケール高性能計算に資するシステムソフトウェア技術の創出」(研究総括:佐藤 三久 理研計算科学研究機構)における研究課題「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤」(研究代表者:藤澤 克樹 九州大学、 拠点代表者:鈴村 豊太郎 ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン)および「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」(研究総括:喜連川 優 国立情報学研究所)における研究課題「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」(研究代表者:松岡 聡 東京工業大学)の一環として行われました。

ドイツのフランクフルトで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「ISC2015」で7月13日(日本時間7月14日)に発表。前回(2014年11月)のランキングでは、「京」は第2位。
スーパーコンピュータ「京」

Graph500上位10位

公開されたGraph500outerの上位10位は以下の通り。

順位
システム名称
設置場所
ベンダー
国名
ノード数
プログラムスケール
GTEPS
1
K Computer
理研 計算科学研究機構
富士通
82.944
40
38.621
2
Sequoia
ローレンス・リバモア研
IBM
98.304
41
23.751
3
Mira
アルゴンヌ研
IBM
49.152
40
14.982
4
JUQUEEN
ユーリッヒ研
IBM
16.384
38
5.848
5
Fermi
CINECA
IBM
8.192
37
2.567
6
天河2A
国防科学技術大学
NUDT
8.192
36
2.061
7
Turing
GENCI
IBM
4.096
36
1.427
7
Blue Joule
ダーズベリー研
IBM
4.096
36
1.427
7
DIRAC
エジンバラ大学
IBM
4.096
36
1.427
7
Zumbrota
EDF社
IBM
4.096
36
1.427
7
Avoca
ビクトリア州生命科学計算イニシアティブ
IBM
4.096
36
1.427

Graph500とは

近年活発に行われるようになってきた実社会における複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされています。例えば、インターネット上のソーシャルサービスなどでは、「誰が誰とつながっているか」といった関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われます。また、サイバーセキュリティや金融取引の安全性担保のような社会的課題に加えて、脳神経科学における神経機能の解析やタンパク質の相互作用分析などの科学分野においてもグラフ解析は用いられ、応用範囲が大きく広がっています。こうしたグラフ解析の性能を競うのが、2010年から開始されたスパコンランキング「Graph500」です。

規則的な行列演算である連立一次方程式を解く計算速度(LINPACK[用語2])でスーパーコンピュータを評価するTOP500[用語3]においては、「京」は2011年(6月、11月)に第1位、その後、2014年11月は第4位になりました。2015年7月13日に公表された最新のランキングでも引き続き第4位につけています。一方、Graph500ではグラフの幅優先探索(1秒間にグラフのたどった枝の数(Traversed Edges Per Second;TEPS[用語4]))という複雑な計算を行う速度で評価されており、計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められます。

今回Graph500の測定に使われたのは、「京」が持つ88,128台のノード[用語5]の内の82,944台で、約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝から成るプログラムスケール[用語6]の大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功しました。ベンチマークのスコアは38,621GTEPS(ギガテップス)です。Graph500第1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算によるだけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したものであり、幅広い分野のアプリケーションに対応できる「京」の汎用性の高さを示すものです。また、それと同時に、高いハードウェアの性能を最大限に活用できる研究チームの高度なソフトウェア技術を示すものと言えます。「京」は、国際共同研究グループによる「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤プロジェクト」および「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」の2つの研究プロジェクトによってアルゴリズムおよびプログラムの開発が行われ、2014年6月に17,977GTEPSの性能を達成し第1位、2014年11月に19,582GTEPSを達成し第2位でした。今回、国際共同研究グループによって「京」のシステム全体を効率良く利用可能にするアルゴリズムの改良が行われ、2倍近くの性能向上を達成し、世界第1位を再度獲得しました。

今後の展望

大規模グラフ解析においては、アルゴリズムおよびプログラムの開発・実装によって今回のように性能が飛躍的に向上する可能性を示しており、今後も更なる性能向上を目指していきます。また、上記で述べた実社会の課題解決および科学分野の基盤技術へ貢献すべく、スーパーコンピュータ上でさまざまな大規模グラフ解析アルゴリズムおよびプログラムを研究開発していきます。

東京工業大学博士課程 上野晃司氏のコメント

「京」は昨年6月に1度は1位を獲得したものの11月には2位となってしまっていました。今回共同研究者の方々と共に、アルゴリズムの新手法の考案、実装、および徹底した性能の分析とそれによる改良を実施し、大幅にスコアを向上させることに成功しました。再び世界1位になれたことを大変嬉しく思っています。今後もこのような努力を続け、「京」のポテンシャルをどこまで活かせるか、挑戦したいと思います。

用語説明

[用語1] スーパーコンピュータ「京(けい)」 : 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

[用語2] LINPACK : 米国のテネシー大学のJ. Dongarra博士によって開発された規則的な行列計算による連立一次方程式の解法プログラムで、TOP500リストを作成するために用いるベンチマーク・プログラム。ハードウェアのピーク性能に近い性能を出しやすく、その計算は単純だが、応用範囲が広い。

[用語3] TOP500 : TOP500は、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクト。1993年に発足し、スーパーコンピュータのリストを年2回発表している。

[用語4] TEPS(Traversed Edges Per Second) : Graph500ベンチマークの実行速度をあらわすスコア。Graph500ベンチマークでは与えられたグラフの頂点とそれをつなぐ枝を処理する。Graph500におけるコンピュータの速度は1秒間あたりに調べ上げた枝の数として定義されている。

[用語5] ノード : スーパーコンピュータにおけるオペレーティングシステム(OS)が動作できる最小の計算資源の単位。「京」の場合は、ひとつのCPU(中央演算装置)、ひとつのICC(インターコネクトコントローラ)、および16GBのメモリから構成される。

[用語6] プログラムスケール : Graph500ベンチマークが計算する問題の規模をあらわす数値。グラフの頂点数に関連した数値であり、プログラムスケール40の場合は2の40乗(約1兆)の数の頂点から構成されるグラフを処理することを意味する。

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

理化学研究所 計算科学研究機構 広報国際室

岡田昭彦
Email : aics-koho@riken.jp
Tel : 078-940-5625 / Fax : 078-304-4964

理化学研究所 広報室 報道担当

Email : ex-press@riken.jp
TEL : 048-467-9272 / Fax : 048-462-4715

国立大学法人九州大学広報室

Tel : 092-802-2130 / Fax : 092-802-2139

富士通株式会社 広報IR室

Tel : 03-6252-2174 / Fax : 03-6252-2783

科学技術振興機構 広報課

Tel : 03-5214-8404 / Fax : 03-5214-8432

国立台湾科技大学副学長が三島学長を表敬訪問

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5月21日、国立台湾科技大学の李篤中副学長と同大視察団一行が東工大を訪問し、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長、岸本喜久雄理工学研究科工学系長等と懇談を行いました。

懇談では、李副学長による国立台湾科技大学の概要説明に続いて、三島学長が東工大の概要および教育改革スーパーグローバル大学創成支援事業への取り組みに関する説明を行いました。懇談の最後に李副学長は、同大の学生が海外で学ぶ機会を持てるように、今回の訪問を機に本学と積極的に連携していきたいという廖慶榮学長の意向を伝えました。

三島学長(左)と李副学長(右)
三島学長(左)と李副学長(右)

懇談後、一行は学術国際情報センター(GSIC)outerを訪問し、同センターに設置されているスーパーコンピュータ「TSUBAME 2.5」の説明を青木尊之副センター長から受けた後、最新のエネルギー技術を駆使した環境エネルギーイノベーション棟(EEI棟)へ移動し、山田明教授(電子物理工学専攻)より最先端環境技術を要する同施設の特色等の説明を受けました。

  • GSICで青木尊之副センター長(左奥)より説明を受ける視察団一行

    GSICで青木尊之副センター長(左奥)より説明を受ける視察団一行

  • EEI棟にて、山田教授(右)による説明を受ける李副学長(左)

    EEI棟にて、山田教授(右)による説明を受ける李副学長(左)

また、翌日午後からは、本学工学系の教員と両学の研究内容に関するワークショップを行い、関連する研究室を見学しました。

国立台湾科技大学は1974年に設立された理系・科学技術系の国立大学です。約10,000人の大学生、大学院生が台湾台北市にあるキャンパスで学んでいます。

Art at Tokyo Tech 2015 Summer 開催報告

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Art at Tokyo Techは、毎年大学院社会理工学研究科が主催して行っている、芸術と科学の融合教育を目的としたイベントです。今年は、4月にオーディションを行い、昼休みを利用したミニ・コンサートを、夏・秋に開催することになりました。

4月22日に開催されたオーディションは、ピアノ、弦楽、木管、金管など広く音楽にかかわる演奏を対象とし、東工大の学生・教職員、またはその家族で高校生以上の方から応募を受け付けました。ジャンルはクラシックに限るわけではありません。短い1、2曲を気軽に演奏するエントランスホールコンサートプログラムですので、音楽を趣味とする方からプロの方まで、音楽を愛好する幅広い多くの方々の参加を募集しました。

夏のコンサートは6月18日、6月24日、7月10日の3回、西9号館2階のエントランスホールにおいて開催され、オーディション通過した各回2組の演奏者が、個性あふれる演奏を披露しました。立見が出るほど多くの方々にご来場いただき、盛況のうちに終了しました。

6月18日(木)12:30~13:00

上田敬人(ピアノ)

  • 演奏曲/
    練習曲1、2(上田敬人)
  • プロフィール/
    小学生、中学生のときにピアノを弾いていた。

三宅雅也(フルート)、五十嵐和幸(フルート)、遠藤直輝(ピアノ)

  • 演奏曲/

    アンダンテとロンド(ドップラー)

    ハンガリーの主題による小二重奏曲(ドップラー)

  • プロフィール/

    三宅雅也:11歳よりフルートを始める。2013年度は東京工業大学管弦楽団で団長を務めた。TBSK管弦楽団、大田フィルハーモニー管弦楽団、Naniwoウインドオーケストラなどに所属。現在小野田裕子氏に師事。

    五十嵐和幸:12歳よりフルートを始める。東京工業大学管弦楽団、TBSK管弦楽団に所属。現在中山広樹氏、小野田裕子氏に師事。

    遠藤直輝:5歳からピアノを始める。2002年ちば音楽コンクールB部門優秀賞、2007年ピティナ・ピアノコンペティションE級地区本選優秀賞を受賞。大学入学後にチェロを始め、2013年度には東工大管弦楽団のチェロ首席奏者を務めた。現在TBSK管弦楽団にてチェロ首席奏者を務める。

上田さん

上田さん

(左から)遠藤さん、五十嵐さん、三宅さん

(左から)遠藤さん、三宅さん、五十嵐さん

6月24日(水)12:30~13:00

山野花穂(ピアノ)

  • 演奏曲/

    抒情小曲集より「春に寄す」(グリーグ)

    前奏曲 Op.32-12(ラフマニノフ)

    バラード 3番(ショパン)

  • プロフィール/
    小1よりヤマハでピアノを始める。小3~小5の間、種田ルート氏および種田直之氏に師事。以降は師事せず趣味として細々と続けていた。大学入学後は音楽サークルプラタナスに入り学園祭等で演奏。大学3年後期、ワシントン大学に留学中、同大学ピアノ学科のクリスティーナ・バルデス氏に師事。

中村純子(ピアノ)

  • 演奏曲/

    フモレスク(C.ベンソン)

    フランス組曲 第5番 BWV816(J.S. バッハ)

  • プロフィール/
    4歳よりピアノを始め、東京及びロンドンにて研鑽を積む。現在はアンサンブルや伴奏を中心に演奏活動をしつつ、ピアノ教室講師も務める。ムジカポルト室内合奏団メンバー。また、英国の音楽集団"Shonorities"の一員として現代音楽の演奏・録音活動にも携わる。
山野さん

山野さん

中村さん

中村さん

7月10日(金)12:30~13:00

村松彩香(ピアノ)

  • 演奏曲/
    ロンド・カプリチオーソ(メンデルスゾーン)
  • プロフィール/
    6歳からピアノを始める。第1回、第3回、第4回富士と緑の音楽祭出演。現在は東京工業大学音楽サークル プラタナスの会に所属し活動している。

竹森賢(ユーフォニアム)、相馬啓亮(伴奏)

  • 演奏曲/

    Midnight Euphonium(ゴフ・リチャーズ)

    Party Piece(フィリップ・スパーク)

  • プロフィール/
    東京工業大学理学部情報科学科2年。現在、同大学管弦楽団にてトランペットトップを務める。中学からユーフォニアムを始め、高校では全日本吹奏楽コンクールにメンバーとして出場経験あり。中高ではともにユーフォニアムトップ・学生指揮を務めた。今までに露木薫、大山智、現在は新井秀昇に師事。

(左から)竹森さん、相馬さん、村松さん
(左から)竹森さん、相馬さん、村松さん

10月には、秋のエントランスホールコンサートを開催予定です。

問い合わせ先

大学院社会理工学研究科 社会理工等グループ

Email : art.jim@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2107

7月28日15:30 キャプションに誤りがありましたので、修正しました。

細野秀雄教授が、IGZOターゲットの開発により「第40回井上春成賞」を受賞

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細野秀雄教授が、IGZOターゲットの開発により「第40回井上春成賞」を受賞
―高精細・低消費電力・フレキシブルなディスプレイの実現に寄与―

国立大学法人東京工業大学応用セラミックス研究所の細野秀雄教授とJX日鉱日石金属株式会社(社長:大井滋)は、「酸化物半導体In-Ga-Zn-Oスパッタリングターゲットの開発」により「第40回井上春成賞」を受賞しました。同賞は、大学・研究機関などの独創的な研究成果をもとに企業が開発・事業化した優れた技術について、研究者および企業の双方を表彰するという日本の代表的な技術賞の一つです。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の前身である新技術開発事業団の初代理事長であり、工業技術庁初代長官でもあった井上春成氏が、わが国科学技術の発展に貢献した業績に鑑み1976年に創設されました。過去の受賞歴は井上春成賞ウェブサイトouterをご参照ください。

酸化物半導体In-Ga-Zn-O(IGZO)は、細野教授により1990年代半ばより独自に研究がはじめられ、2004年に高性能TFT(薄膜トランジスタ)へ利用可能であることが示されました。その後各社による実用化に向けた開発が行われる中、2010年にJX日鉱日石金属(電材加工事業本部薄膜材料事業部)が他社に先駆けて初めて、長さ2.7メートルの大型スパッタリングターゲットの量産化に成功しました。IGZO-TFTを用いたディスプレイは、高精細・低消費電力・フレキシブルといった優れた性能をもち、今後ますますの市場拡大が見込まれています。その技術の概要と特徴については添付資料PDFをご参照ください。

2015年7月15日に日本工業倶楽部で行われた表彰式には、細野教授と大井社長が出席し、表彰状と賞牌が贈呈されました。細野教授と大井社長による受賞あいさつの要旨は以下の通りです。

細野教授

IGZO-TFTは、2003年に結晶についてScience誌に、2004年にはアモルファスについてNature誌に最初の論文を掲載しました。また、その前にJSTから特許申請を済ませました。IGZO-TFTのディスプレイ応用には、大型ガラス基板上にスパッタリングでその薄膜を形成するための、大型で緻密なセラミックスのターゲットが不可欠です。今回、共同受賞するJX日鉱日石金属は、最初にその技術を完成させ、2010年で東工大が主催した国際ワークショップ(TAOS 2010)の際に実物を展示しました。これによって実用化の準備が整いつつあることが参加者に伝わりました。また、特許ライセンスを最初に受け製品化に成功しました。その後、内外の多くの企業がそれに倣っています。同社の高い技術力とモラルに敬意を表します。

大井社長

細野教授が発明されたIGZO酸化物半導体は、これまでのアモルファスシリコン半導体に比べ10倍の電子移動度を持つ画期的なものです。当社は、スパッタリングターゲットのトップベンダーとして長年培ってきた非鉄金属材料技術をベースに、「高電導度」、「高強度」、および「高平滑度」の品質要求に応え、細野教授による発明の実用化に大きく貢献出来たと考えております。ウェアラブル端末や高機能ディスプレイへの応用が可能なIGZO-TFTは、来るべきIoT社会のキーデバイスとして今後も利用の拡大が期待されており、更なる高品質化を通じて、このような社会の潮流変化の一端を担ってまいります。

受賞式の様子(2015年7月15日、於日本工業倶楽部)
受賞式の様子(2015年7月15日、於日本工業倶楽部)

(後列左から3人目)井上春成賞委員会 中村委員長(科学技術振興機構理事長)
(前列左から3人目)東京工業大学 細野教授
(前列左から4人目)JX日鉱日石金属 大井社長

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

JX日鉱日石金属株式会社 広報・CSR部

Tel : 03-5299-7082 / Fax : 03-5299-7343


強誘電体の極薄単結晶膜を世界で初めて作製

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強誘電体の極薄単結晶膜を世界で初めて作製
―超高密度新規メモリーで長時間使えるスマホ実現に道―

概要

東京工業大学元素戦略研究センター(センター長 細野秀雄教授)の清水荘雄特任助教と同センター兼総合理工学研究科の舟窪浩教授、東北大学金属材料研究所の今野豊彦教授と木口賢紀准教授らの研究グループは、極薄膜でも特性が劣化しない強誘電体エピタキシャル膜(結晶方位が揃った単結晶膜)の作製に世界で初めて成功した。強誘電体膜の組成を検討して選択するとともに、薄膜を成長させる基材の結晶構造とその単位格子の長さを工夫することにより達成した。

これによって従来、安定した特性の強誘電体膜が得られないためにできなかった超高密度メモリーなど新規デバイスの作製が可能になり、高性能で電池が飛躍的に長持ちするスマートフォンなどの実現が期待される。また薄くなるほど特性が劣化するとされた強誘電体の“サイズ効果”を覆すもので、“逆サイズ効果”特性の起源解明や新物質探索の加速につながる成果だ。

最近、強誘電体の薄膜も見つかっていたが、多結晶であり、不純物相も存在するため、安定した特性を得ることが難しい状況だった。

今回の研究成果は応用物理分野で影響の大きい学術誌「アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)」オンライン版に7月24日付で掲載された。

研究の背景

強誘電体は電源を切っても電圧をかけた方向によって2つの安定した状態が実現するため、データーが保存できるメモリーとして広く実用化されており、電車のICカードなどで使用されている。また強誘電体は力によって電圧を発生したり電気信号により大きさが変化したりする圧電性[用語1]を併せ持つため、ガスコンロの着火器、加湿器のミストの作製、さらにインクジェットプリンタや3次元プリンタで使用されるマイクロデバイス(Micro Electro Mechanical Systems、MEMS[用語2])の動力源として利用されている。

これ以外にも、高性能でありながら電池が長もちするコンピュータが期待されているが、これらは現在までに実用化されていない。これらの実現のために不可欠な薄い強誘電体膜が作製できないことがその最大の理由である。強誘電体は薄くしていくと特性が低下する“サイズ効果”があることが広く知られており、過去50年以上にわたって多くの研究者や企業がこの問題に取り組んできたが、解決できていない。

4年前に、極微細なトランジスタの絶縁体として広く使われている酸化ハフニウム基物質で、これまで不可能と考えられていた薄さで強誘電性が発現することが報告され、また、薄いほど特性が良くなる“逆サイズ効果”が見いだされて、大きな注目を集めた。(図1)

酸化ハフニウム基物質で発見された強誘電性の膜厚依存性(赤)
図1.
酸化ハフニウム基物質で発見された強誘電性の膜厚依存性(赤)
従来研究された物質(図の黒)が、膜厚が薄くなるほど強誘電性が劣化する“サイズ効果”を有しているのに対し、酸化ハフニウム基物質(図の赤)では薄くなるほど強誘電性が向上する“逆サイズ効果”を有している。しかしこの特性の起源は明らかになっていない。

だが、これまでに報告されている強誘電体は、さまざまな方位を向いた粒の集合体(多結晶)であり、不純物相も存在するため、安定した特性を得ることが難しい状況だった。このため、強誘電性の“逆サイズ効果”の起源についてもほとんど解明されていなかった。

強誘電性は結晶の特定の方位に発現するため、非常に薄い強誘電体を用いたデバイスを実用化するためには、結晶方位が揃った単結晶膜の作製が不可欠になる。しかしこれまで非常に薄い単結晶膜を作製することはできていなかった。

研究手法・成果

東工大の清水特任助教らのグループは、強誘電体膜の組成を状態図から再度検討して最適化したY2O3を置換したHfO2を選択するとともに、薄膜を成長させる基材の結晶構造およびその格子の長さを工夫することで、15ナノメーター (100万分の15ミリ)まで薄くても特性が劣化しない強誘電体単結晶膜の作製に成功した。(図2)また、この単結晶膜を用いることで、強誘電体相が400℃以上の高温まで安定に存在することを世界で初めて明らかにした。(図3)このことから、広い温度範囲での使用が可能であることが分かった。

作製に成功した単結晶HfO2基強誘電体の高分解能像とそのイオンの配列
図2.
作製に成功した単結晶HfO2基強誘電体の高分解能像とそのイオンの配列
ハフニウムイオン、イットリウムイオンおよび酸化物イオンの配列が走査透過電子顕微鏡像で直接確認できる。
強誘電体のXRD回折強度の温度依存性
図3.
強誘電体のXRD回折強度の温度依存性
強誘電相の回折強度が400℃まで確認でき、強誘電体相が400℃以上まで安定して存在できることを明らかにしました。

期待される波及効果

今回の研究成果は、以下のような波及効果が期待される。

a) “夢のメモリー”強誘電体メモリーの高容量化の実現

強誘電体メモリーはUSBメモリーのように電源を切ってもデーターが保存でき、USBメモリーより高速で動作できることから“夢のメモリー”としてICカードなどで実用化されている。しかし多くの情報を入力して管理することを可能にする大容量のメモリーは現在までできていない。今回の研究成果は、電源を切ってもデーターが保持でき、高速動作できる“夢のメモリー”の高密度化が実現する。

b) 新規デバイスの実現

強誘電体はこれまで薄くすると特性が劣化する“サイズ効果”によって、薄膜を用いたデバイスができなかったが、結晶方位の揃った強誘電体単結晶膜が得られたことで、以下のデバイスの実現が期待できる。

  1. 1.超高密度新規メモリー
    抵抗変化型メモリー(Resistance Random Access Memory、ReRAM[用語3])は、消費電力が小さく、大容量化が期待できるとして、さまざまな物質が検討されてきたが、安定した動作と信頼性の確保が難しいことから、本格的な普及には至っていない。
    強誘電体は電源を切った時に2つの状態が実現し、抵抗値も異なる。従って強誘電体を用いた抵抗変化型メモリーの基本アイデアは50年以上前に提案されていた。しかし強誘電体を用いた抵抗変化型メモリーを実現するには、非常に薄い強誘電体層が必要なため、ほとんど検討されてこなかった。
    今回の成果により、強誘電体抵抗変化メモリーの実用化研究が始まる。
  2. 2.高性能で電池の寿命が飛躍的に延びたスマートフォン
    現在のスマートフォンやノートパソコンなどは、性能を重視すると電池の消費量が大きくなるため、電池をもたせて数時間使えるように性能を落として使用している。そのため低消費電力でも高速で動作する新しい演算素子が必要とされている。
    極薄膜でも安定した強誘電性が得られると、高性能で使用しても消費電力が低く、電池の持ちの良い新タイプのトランジスタを作製することが可能となる。これによって、高性能で電池の寿命が飛躍的に延びたスマートフォンやノートパソコンが実現できる。

c) “逆サイズ効果”を有する強誘電性の起源の解明と新物質探索の加速

2011年に見つかった酸化ハフニウムを基本組成とする強誘電体は、これまで多結晶のみしか得られておらす、単相も得られていなかった。そのために、薄いほど特性が向上する“逆サイズ効果”がなぜ発現するのかは明らかになっていない。

単結晶が得られたことで、こうした基礎的な知見が明らかになり、酸化ハフニウム基強誘電体の“逆サイズ効果”特性の起源解明が期待できる。また新物質の開発の知見になると考えられ、新物質の探索が加速する。

今回の研究は、文部科学省元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>電子材料領域「東工大元素戦略拠点」、日本学術振興会の科学研究費、文部科学省の科学研究費、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業(東北大学 微細構造解析)プラットフォームの一環として行われた。

用語説明

[用語1] 圧電性 : 結晶が外力による圧力に応じて誘電分極を生じる効果を圧電効果という。また電場を結晶に加えることで結晶が歪む効果を逆圧電効果という。通常、両方の効果を合わせて圧電性と呼ばれている。また、このような現象を示す結晶を圧電体という。

[用語2] MEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems) : 機械要素部品、センサー、アクチュエーター、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイス。

[用語3] ReRAM(抵抗変化型メモリー、Resistance Random Access Memory) : 電圧の印加による電気抵抗の変化を利用した半導体メモリー。低消費電力で、高密度から可能で、読み出し速度が大きいのが特徴、現在多くの方式の多くの物質が検討されており、実用化も始まっている。

論文情報

掲載誌 :
Applied Physics Letters
論文タイトル :
Growth of epitaxial orthorhombic YO1.5-substituted HfO2 thin film
(日本語訳:斜方晶YO1.5置換HfO2エピタキシャル薄膜の成長)
著者 :
Takao Shimizu, Kiliha Katayama, Takanori Kiguchi, Akihiro Akama, Toyohiko J. Konno, and Hiroshi Funakubo
DOI :

問い合わせ先

研究に関すること: 全般

元素戦略研究センター
特任助教 清水荘雄
Email : shimizu.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5446

大学院総合理工学研究科 物質科学創造専攻
教授 舟窪浩
Email : funakubo.h.aa@m.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5446

測定に関すること

東北大学 金属材料研究所
教授 今野豊彦
Email : tjkonno@imr.tohoku.ac.jp
TEL : 022-215-2125 / Fax : 022-215-2126

東北大学 金属材料研究所
准教授 木口賢紀
Email : tkiguchi@imr.tohoku.ac.jp
TEL : 022-215-2128 / Fax : 022-215-2126

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター
Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東工大生がハーバード大学生と交流~第4回大倉山国際学生フォーラム

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公的研究機関等でインターンシップを行うため来日したハーバード大学生と日本人学生の交流イベント「第4回大倉山国際学生フォーラム」が6月27日に横浜市の大倉山記念館にて開催され、東工大生が参加しました。

「日本の視覚文化はどのように生まれ、広がったか」が今回のテーマで、ロバート・キャンベル東京大学大学院教授による「19世紀の日本のビジュアルアート」と題した講演がありました。続いて、レディーガガの靴を手掛けることで有名なアーティストの舘鼻則孝氏が、日本の伝統文化からどのように斬新な靴をデザインするに至ったかについて講演しました。その後、ハーバード大学生と日本の学生がペアとなり、一緒に白い扇子にメッセージや絵を描き、出来上がった扇子を交換するというワークショップが行われ、ハーバード大学生との交流を深めました。

文化の伝統と革新についてトークセッション
文化の伝統と革新についてトークセッション

参加した森水紀さん(生命理工学部生命工学科2年)は、以下のようにコメントしています。

大学に入学してから国際交流の場に参加したのは初めてでした。自分に合うものがなかなか見つからず、海外の学生との交流の機会がほしいと考えていた中、グローバル理工人育成コースouterの短期留学の説明会で今回のイベントが紹介され、応募しました。

このような場は初めてで、最初は物怖じしてなかなか話しかけることができませんでしたが、話してみると、とても気さくな方ばかりでした。専攻している分野や日本滞在中での出来事など、様々な話をするなかで、日本の高校からハーバード大学に進学した人や、日本の女子力について研究している人もいて驚きました。また、舘鼻則孝氏がデザインした靴も展示されており、ヒールレスハイヒールを実際に試着することもできました。

様々なバックグラウンドを持つ人と交流できて、とても貴重な経験となりました。また、参加した学生には、海外滞在経験のある人、これから留学を考えている人が多く、刺激となりました。今回のイベントに参加したことで留学への気持ちがより強いものとなり、英語学習など留学に向けて準備したいと思いました。また、ここで出会った人々との関わりも大切にしたいです。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

和気あいあいとした雰囲気

和気あいあいとした雰囲気

本イベントは、ハーバード大学ライシャワー日本研究所、大倉陽子プロジェクトチームの主催、横浜市、横浜日米協会の共催、アメリカ大使館の後援により実施され、横浜市立大学、慶応義塾大学、東京大学、東京工業大学の学生が参加しました。

集合写真
集合写真

問い合わせ先

東京工業大学国際部留学生交流課

Email : ryu.jig@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2984

第2回オープン創薬コンテストで13個のヒット化合物を発見

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  • 標的タンパク質に対しコンピュータ技術を用いて薬のタネとなる化合物を提案し試験する、世界にもほぼ例がないオープン創薬コンテスト
  • 参加グループの提案化合物から約2000個を選び、アッセイ試験[用語1]を実施、標的としたヒトC-Yes酵素[用語2]に対する阻害活性を持つヒット化合物を13個発見
  • 受賞者はベンチャー企業の研究員、博士号取得直後のアカデミア研究員、大学院修士課程学生など

特定非営利活動法人 並列生物情報処理イニシアティブ(IPAB、秋山泰理事長:東京工業大学教授)と東京工業大学学術国際情報センターの関嶋政和准教授らが共同で実施したオープン創薬コンテスト『コンピュータで薬のタネを創る 2』により、標的としたヒトC-Yes酵素に対して阻害活性を有するヒット化合物を13個発見できました。各グループの手法と発見された化合物は、7月17日(金)に東京工業大学大岡山キャンパスで開催する発表会・表彰式で明らかにされました。

同コンテストの最大の特徴は、事前に公開した一つの標的タンパク質に対して、各参加チームがそれぞれのコンピュータ技術を用いて薬のタネとなる候補化合物の予測(IT創薬)を行い、応募された化合物に対して実際にアッセイ試験を実施して、提案された化合物の効果と、予測手法の性能を評価する点です。

第2回オープン創薬コンテストの流れ

同コンテストは、関嶋准教授らの発案で昨年初めて開催され、今回は2回目となります。2014年12月に参加グループを募集し、2015年1月~3月に参加登録と予測の提出を行いました。参加費は無料で、匿名による参加も可能です。参加グループは、事前に指定された約240万種の入手可能な化合物の中から、活性があると予測する化合物の識別番号を答えます。参加における唯一の義務は、用いた手法と得られた結果の公表に同意することです。

提案された化合物の中から、実行委員会(委員長 関嶋政和東京工業大学准教授)が審査委員会(委員長 産業技術総合研究所 広川貴次氏)の助言を受けて約2000化合物を選出し、4月~6月に海外の専門業者への外注によりアッセイ試験を実施しました。その結果、標的としたヒトC-Yes酵素に対して阻害活性を有するヒット化合物を新たに13個発見できました。

今回、ヒット率部門とリガンド効率部門で二つのグランプリを受賞するグループ「IMSBIO」の望月正弘氏((株)情報数理バイオ)は、昨年度の第1回コンテストでもグランプリを受賞していますが、一年間で予測性能の大きな進展が見られました。新規化合物部門でグランプリを受賞する「ソ創」の山本一樹氏(東京大学大学院医学系研究科(当時))は、昨年度は学生奨励賞を受賞した若手研究者です。グランプリに迫る総合成績を出した2つのグループには優秀賞が授与されます。「チーム TSUBAME-2」の安尾信明氏(東京工業大学大学院情報理工学研究科)は修士課程の学生で、昨年度は学生奨励賞を受賞しました。「Gromiha-Velmurugan」のマイケル・グロミハ氏(インド工科大学マドラス校)も昨年度からの参加者であり、各参加グループが前回の結果を参考にして、確実に技術力を高めている様子が見て取れます。

IPABコンテスト『コンピュータで薬のタネを創る2』 発表会・表彰式

  • 日時:
    2015年7月17日(金) 13:00~17:30 (12:30受付開始) 参加無料
  • 場所:
    東京工業大学 大岡山キャンパス 西9号館ディジタル多目的ホール

コンテスト受賞グループ

「 」内は参加グループ名

  • ヒット率部門グランプリ(NEC賞):
    「IMSBIO」 代表者:(株)情報数理バイオ 望月正弘氏

  • 新規化合物部門グランプリ(JBIC賞):
    「ソ創」 代表者:東京大学大学院医学系研究科(当時) 山本一樹氏

  • リガンド効率部門グランプリ(ナミキ商事賞):
    「IMSBIO」代表者:(株)情報数理バイオ 望月正弘氏

  • 優秀賞(シュレーディンガー賞):
    「チームTSUBAME-2」代表者:東京工業大学大学院情報理工学研究科 安尾信明氏

  • 優秀賞(DDN賞):
    「Gromiha-Velmurugan」代表者:インド工科大学マドラス校 マイケル・グロミハ氏

コンテスト受賞者と関係者の記念撮影
コンテスト受賞者と関係者の記念撮影

用語説明

[用語1] アッセイ試験 : 生体分子や細胞などを用いて、影響を調べる試験。バイオアッセイ。今回は、ヒトC-Yes酵素への各提案化合物の阻害活性を、一定濃度、または濃度を変化させて調べた。

[用語2] C-Yes(シーイエス)酵素 : 他のタンパク質をリン酸化する酵素の一種。細胞増殖やがんとの関連性が知られるほか、ウエストナイルウイルスの増殖にも関係する可能性が報告されている。

問い合わせ先

特定非営利活動法人 並列生物情報処理イニシアティブ(IPAB)

理事長 秋山泰
Email : office@ipab.org
Tel : 03-5734-3645(秋山) / 03-5830-3819(事務局)

コンテスト実行委員長 東京工業大学学術国際情報センター

准教授 関嶋政和
Email : sekijima@gsic.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3325

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

2015年ネパール地震 学生が現地調査

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2015年4月25日、ネパールの首都カトマンズ北西77km地点を震源とするモーメントマグニチュード※17.8の巨大地震が発生しました。さらに5月12日にはネパール東部を震源としてモーメントマグニチュード7.3の余震が発生しています。これらの大地震によって8000人以上が死亡し、経済損失は100億ドルとも推定されています。ネパールでは過去にも巨大地震が発生しており、1934年にはリヒターマグニチュード※28.4の地震でカトマンズの人口の約30%が亡くなりました。

東京工業大学の学生チームは6月1日から一週間をかけてネパールを訪れ、今回の地震による被害状況を調査しました。このチームは土木工学専攻のアニール准教授の下に集った7人の学生から構成され、うち6人はネパール人留学生です。

  • Samith Buddika
    土木工学専攻、耐震構造・構造工学、博士課程2年
  • Satish Bhagat
    土木工学専攻、耐震構造・構造工学、博士課程1年
  • Rohit Kumar Adhikari
    土木工学専攻、耐震構造・構造工学、修士課程2年
  • Anuja Shrestha
    土木工学専攻、耐震構造・構造工学、修士課程2年
  • Sanjeema Bajracharya
    土木工学専攻、耐震構造・構造工学、修士課程1年
  • Jenisha Singh
    土木工学専攻、地盤地震工学、修士課程1年
  • Rajali Maharjan
    国際開発工学専攻、修士課程2年

(a)震源位置、(b)調査地域(赤点で示している)
(a)震源位置、(b)調査地域(赤点で示している)

ネパールは地震が多発する地域ですが、経済的な事情から多くの古い構造物が耐震性をほとんど考慮せずに建設されています。この調査の主目的は、今回の地震による被害の範囲と特徴について評価し、構造物の被害低減策を提案することです。特にカトマンズ・バレーとシンドパルチョーク地区について重点的に調査を実施しました。また、地すべり、地盤沈下、液状化といった地盤の被害についても調査しました。

この調査によって明らかになったのは、最新の耐震工学の知見に基づいて設計された建物にはほとんど損傷がなく、被害の大半は耐震設計基準が適用されていない構造物で発生したということです。甚大な被害を被った文化遺産では、適切なメンテナンスや補強工事がなされていませんでした。また、適切な地盤の調査や改良が建設前に行われていないといった問題も確認されました。

構造物や地盤の被害、救助活動や人道支援などを含む全般的な調査報告は、アニール研究室のウェブサイトouterで公開されています。

ラリトプールの近代的高層マンションの前にて(重大な損傷は認められない)

ラリトプールの近代的高層マンションの前にて
(重大な損傷は認められない)

シンドゥパルチョーク地区の倒壊した校舎(柱が折れ、1階部分が押しつぶされている)

シンドゥパルチョーク地区の倒壊した校舎
(柱が折れ、1階部分が押しつぶされている)

アラニコ・ハイウエイ(ドーラルガット~タトパニ)に沿った地すべり

アラニコ・ハイウエイ(ドーラルガット~タトパニ)に沿った地すべり

丘陵から転がり鉄筋コンクリート建物に衝突した巨大な岩石

丘陵から転がり鉄筋コンクリート建物に衝突した巨大な岩石

※1
モーメントマグニチュード : 断層運動の規模から地震の規模を表す指標。
※2
リヒターマグニチュード : 地震波の振幅から地震の規模を表す指標。

リベラルアーツ研究教育院キックオフシンポジウム 開催報告

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東工大は現在教育改革を進めており、2016年4月から新しい教育がはじまります。この改革の取り組みのなかで、東工大の教養教育を主導する「リベラルアーツ研究教育院」が同じく2016年4月に発足します。

総合司会の山崎教授

総合司会の山崎教授

発足に先立って、「リベラルアーツ研究教育院キックオフシンポジウム」が以下のとおり開催されました。外国語研究教育センター 山崎太郎教授の総合司会のもと、新たな教養教育の理念とその実践について、本学学生による発表も含め、活発な議論が展開されました。三島良直学長、本学教職員、学生に加え、学外からの出席者も多数あり、100名以上が参加して活気あふれるシンポジウムとなりました。

日時
7月6日 17:00~19:00
場所
プログラム
1.
学長挨拶(三島良直学長)
2.
主査挨拶(リベラルアーツセンター 上田紀行教授)
3.
学生発表: 「わたしたちの『出会い』を生み出す教育」
(登壇者:4類 田中雅人、4類 三穂野春彦、5類 田中結花、電気電子工学科 馬場美岬、大学院社会理工学研究科博士後期課程 仲谷佳恵)
4.
シンポジウム:「新たな教養教育のキックオフ」
(パネリスト: 大学院理工学研究科 西森秀稔教授、外国語研究教育センター 谷岡健彦教授、大学院社会理工学研究科 林直亨教授、リベラルアーツセンター 伊藤亜紗准教授)

1. 学長挨拶

三島学長の挨拶

三島学長の挨拶

三島良直学長より、現在本学で進められている大規模な教育改革の概要について説明があり、新カリキュラムではリベラルアーツ教育が大きな一本の柱となることが強調されました。教養教育の独自の伝統を有する東工大において、今の学生に適したリベラルアーツのカリキュラムをいかにして作り込んでいくかは、今回の教育改革の主眼のひとつでもあります。リベラルアーツ研究教育院の演じるべき役割は大きく、その活躍におおいに期待する旨のメッセージがありました。

2. 主査挨拶

上田主査の挨拶

上田主査の挨拶

リベラルアーツ研究教育院創設準備会主査である上田紀行教授より、まずカリキュラム改革のこれまでの経緯について説明がありました。世界トップ10の理工系総合大学を目指すため、MITやハーバード大学等への視察もおこないました。その結果、これからの大学は社会のニーズに受動的に応えるのではなく、21世紀の世界を変えていく主体とならねばならないと考えるにいたった、と上田教授はいいます。続いて、来年度4月より始まる新カリキュラムの概要が紹介されました。学部1年次の「東工大立志プロジェクト」、3年次の「教養卒論」、修士1年次の「リーダーシップ道場」なども予定されています。他大学には見られないユニークな取り組みのなかで、学生のコミュニケーション能力や主体性を育み、豊かな社会性・人間性を備えた志ある人材を育てていきたいという抱負が語られました。

3. 学生発表:「わたしたちの「出会い」を生み出す教育」

新カリキュラム開始に備えて準備を進めているリベラルアーツ研究教育院ワーキンググループが、「学生キックオフメンバー」を募集し、教養教育に関心のある本学学生10数名が集まりました。外国語研究教育センターの谷岡健彦教授がファシリテーター(進行役)を務め、アクティブラーニングの手法を取り入れたワークショップが数回実施されました。当発表では、メンバーのうちの5名が、その報告をおこないました。

ワークショップには各学生がニックネームを用いて参加したため、本発表でもニックネームにて登壇し、「自分のなかの文系度」、「物語」、「出会い」、「ケミストリー」、「主体性」等をキーワードに、それぞれ自身と教養科目との関係や授業の印象を語りました。また、今回アクティブラーニングを体験した感想や、今後のリベラルアーツ教育に関する希望など、各自が率直な意見を述べました。

今年度後期からはパイロット(試験的)授業も開講され、来春の新カリキュラム開始に向けて、より本格的な準備が進められる予定です。

学生キックオフメンバー5名による発表
学生キックオフメンバー5名による発表

4. シンポジウム:「新たな教養教育のキックオフ」

リベラルアーツ研究教育院所属予定の3名(谷岡健彦教授、林直亨教授、伊藤亜紗准教授)に加え、大学院理工学研究科の西森秀稔教授をパネリストに迎え、上田主査の司会のもと、新たな教養教育についての議論がおこなわれました。

シンポジウム(左より、上田教授、西森教授、谷岡教授、林教授、伊藤准教授)
シンポジウム(左より、上田教授、西森教授、谷岡教授、林教授、伊藤准教授)

まず西森教授から、「役に立つ学問とは何か」という大きな問いかけがあり、すぐにおもしろいと思えなくても、長い時間をかけてきちんと理解すれば、最終的にはおもしろいと思えることがあるのだという見解が、教授の専門分野での経験に基づいて述べられました。

谷岡教授の発表では、おもに学生キックオフメンバーとのアクティブラーニングの体験をもとに、主体的な学びを可能にする工夫について、意見が述べられました。また、みずからニックネームを用いてワークショップに参加したことにより、教員の「権威」について再考を促されたという感想も語られました。

林教授は「役に立つ・役に立たない」をキーワードとして、教養科目の意義について論じました。たとえば文学は役に立たないと思われがちですが、小説でさまざまな事柄を追体験すれば、失敗・落胆から立ち直るためのレジリエンス(精神的回復力)を養うことに繋がります。いっぽうで健康・スポーツに関する授業は、生きていくうえで不可欠な基礎知識を提供するという意味で、文字通り役に立つことなどが述べられました。

最後に、伊藤准教授がおもに新カリキュラムで重視される学生同士の繋がりについて語りました。グループワークの目的は、他者と一体になることではなく、他者との意見の相違を認識することにある、という意見が述べられました。さらに、教員と学生との関係という観点から、専門家の重要な役割は、一般人にわかりやすく説明することよりは、むしろ一般人に寄り添って一緒に考えることにあるのではないか、という提言もありました。

続いて上田主査と4人のパネリストとの間で、活発なディスカッションが展開されました。なかでも議論が集中したのは、自由と強制との兼ね合いの問題でした。新カリキュラムでは、学生の自主性に大きな重点がおかれるものの、軸となる授業の大部分は必修科目です。ある程度の枠を作ることは必要ですが、そのうえでどこまで学生に自由を与え、どうやって主体性を引きだすのか、それが要となるという認識が共有されました。さらに議論の後半では、「多様性」がキーワードとなり、多様性を認める姿勢を理工系学生に修得してもらうことが、教養教育のひとつの目標であるという点が強調されました。最後はフロアの学生からも質問や意見が出され、新たな教養教育のあり方を考えるにあたって、たいへん意義深いシンポジウムとなりました。

フロアより発言する学生キックオフメンバー

フロアより発言する学生キックオフメンバー

フロアからの質問

フロアからの質問

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

岩田聡氏を悼んで

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本学卒業生である任天堂社長の岩田聡氏が7月11日に永眠されました。謹んでお悔やみ申し上げます。

同氏は、北海道の高校を卒業後、1978年に東京工業大学工学部に入学し、在学中よりゲームソフト制作会社「株式会社ハル研究所」でアルバイトを始めました。1982年に情報工学科を卒業後、同社に入社しました。

その後、「星のカービィ」シリーズなどを制作し、天才プログラマーと称され、1993年に同社社長に就任しました。2000年には、任天堂株式会社に入社し取締役に就任、「ニンテンドーDS」「Wii(ウィー)」を発売するなど経営者としても手腕を発揮しました。

岩田聡氏
岩田聡氏(写真提供:任天堂株式会社)

時代に先駆け、新しい時代を切り開いていった稀有な人材で、本学の卒業生としては異色の経歴の持ち主でした。同氏の若すぎるご逝去を悼むと共に、本学内外で同じ時を過ごした方々に同氏の思い出を語ってもらいました。

工学部時代の同級生 植松友彦教授(大学院理工学研究科通信情報工学専攻)

岩田君とは、1978年に5類に入学したときに名簿の順番が近いこともあり、すぐに知り合いになりました。電気工学実験では同じ班だったこともあります。いち早くプログラミングに取り組んでいた岩田君は、国産の一体型パーソナルコンピュータであるMZ-80KやPC-8001が発売される前に、Commodore社のPET2001を所有して、日夜その腕を磨いていました。当時のパソコンは高価で、電気系でも持っていた学生は10名以下だったと思います。同じアパートに住む同級生は彼のコンピュータでゲームを楽しんでおり、彼の部屋を「ゲームセンター岩田」と呼んでいました。

岩田君は、ソフトウェア関係の授業やプログラム実習では抜群の才能を発揮しており、同級生の間では、彼がプログラムを誰よりも早くかつ正確に書くことが知れ渡っていました。私もソフトウェア関係の授業で分らないことがあると彼によく聞いていました。

ゲーム会社に就職した後、任天堂の社長に就任したことは知っていたのですが、卒業後は長い間会う機会がなく、結局2012年の卒業30周年同期会で再会できたのが最後になりました。活躍を期待していたのですが残念でなりません。岩田君のご冥福を心よりお祈りします。

同じ研究室の先輩 佐伯元司教授(大学院情報理工学研究科計算工学専攻)

岩田聡君は、私が博士課程の学生だった頃、1981年に卒業研究で工学部情報工学科榎本肇研究室に配属されてきました。

当時同研究室では、画像処理、プログラミング言語などの研究を行っており、同氏は、タブレット上にペンで数式を手書きし、超小型コンピュータ(マイクロコンピュータ)で認識させる研究を行い、当時としてはすばらしい性能を誇るプログラムを開発してくれました。

今、思いますと、任天堂の大ヒット商品であるニンテンドーDSの「1つの画面上にペンで手書き入力を行う」という機能の原型ともいえる研究をやっていたのだなと、同氏の先見の明にあらためて感服している次第です。

研究室内でも明るく、同級生の面倒見もよく、任天堂で発揮したリーダーシップの片鱗を当時より発揮しておりました。今後、日本の世界に誇るゲーム業界のみならず、IT業界までも牽引していってくれるものと思っておりましたが、あまりに早すぎる逝去に残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。

ハル研究所でのアルバイト仲間 松岡聡教授(学術国際情報センター先端研究部門)

37年前、高一時代の放課後は池袋西武デパートのPET2001を中心としたマイコン販売コーナーにてゲームプログラミングに勤しむ毎日でしたが、かの地で東工大の新入生だった岩田氏と出会い、直ぐに意気投合しました。二年後には彼を含むその仲間が中心となってゲーム関連の開発会社であるHAL研究所が設立され、浅草橋のマンションの一室が「開発室」となり、皆泊まり込みで初期の8ビットパソコン・MSX・そしてファミコンのゲームソフト開発に明け暮れました。後に自分が博士課程に進学し研究に専念する為HAL研究所を離れる時、岩田氏は「自分はゲーム業界できっと成功するが、松岡も必ず研究者として成功するだろう」と言ってくれました。その時彼はともかく自分はまさか、と思っていましたが、様々な偶然を経て現在、自分が彼の卒業校の情報系の教員となったのは今思えば驚きです。

その後の彼の活躍は、その際立った先見の才を発揮して時代を創ったという点で「和製ビル・ゲイツ」というべきですが、それ故早逝されたのは本当に残念でなりません。心からご冥福をお祈りするとともに、彼のような逸材を再び育むのが、今の自分の大きな役目であると感じております。

世界初、空気圧駆動型内視鏡ホルダーロボット発売―大学発ベンチャーによる革新的手術支援ロボット―

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東京工業大学と東京医科歯科大学の両大学発のベンチャー企業 リバーフィールド株式会社(本社:東京都新宿区、社長:原口大輔)は、小型・軽量で操作性に優れた内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ):Endoscope MAnipulator RObot」を開発し、本年8月より販売を開始します。販売は医療関連製品のトップメーカーである株式会社ホギメディカル(本社:東京都港区、社長:保木潤一)を通じて行います。

EMAROは東京工業大学精密工学研究所の只野耕太郎准教授と東京医科歯科大学生体材料工学研究所の川嶋健嗣教授の空気圧を用いた超精密制御技術に関する10年を超える研究成果を活かした世界初の空気圧駆動型手術支援ロボットです。

開発の背景

近年、外科手術において、術後の回復が早い、傷口が小さいなどの利点から、開腹手術に代わって低侵襲手術が広く行われています。低侵襲手術は身体への侵襲度が低い医療機器を用いた診断・治療で、特に内視鏡外科手術が注目されています。内視鏡を操作するにあたっては、スコピストと呼ばれる助手の医師が内視鏡の操作を行う必要があり、執刀医との円滑な意思疎通が求められることや手振れの発生などが問題となっており、内視鏡操作を支援する新たな医療機器の需要が高まっていました。既存の内視鏡ホルダーロボットは電動モーター駆動を用いており、空気圧駆動のような柔らかさを出すには不向きです。

EMARO概要

EMARO外観図

EMARO外観図

EMAROは頭部にジャイロセンサーを装着した執刀医が、頭を上下・左右に傾けると、その動きを感知して、空気圧で内視鏡を動かします。動く自由度は、内視鏡の抜き差し(前後)、上下、左右、そして回転の4つがあり、頭部の動きと足元のスイッチを組み合わせて制御します。従来、超精密制御を要求される手術関連のロボットに連続的な空気圧制御を行うことは大変困難でしたが、東京工業大学香川利春教授の永年に渡る流体計測制御技術を基盤として、只野准教授と川嶋教授が空気圧駆動系の厳密なモデル化と独自の制御技術の導入により極めて精密な空気圧制御を実装することに成功しました。空気圧駆動は産業用ロボットなどでも掴む動作に使われているように、動きが非常に柔らかく滑らかで、しかも安全性が高いという利点があります。また、直径約10mmと注射器サイズの小さなシリンダーへの空気の出し入れだけで大きな出力を得ることができる機構のため、大幅な小型化・軽量化を図ることができます。

EMAROを用いることにより、執刀医はスコピストを介することなく、望む画像を手ぶれなしに得ることができ、より正確な手術を行うことができます。また、スコピストの役目をEMAROが担うため、医師不足に悩む中小規模の病院でも腹腔鏡手術が可能となり、より多くの患者がこの手術を受けられるようになります。

今後の事業展開

EMAROは超精密空気圧制御技術を生かした手術関連ロボットの第一弾です。現在、空気圧駆動型の鉗子を有する手術支援ロボットシステムを開発中です。この最大の特長は、鉗子にかかる力を空気圧を通じて検出し、執刀医にフィードバックできることです(力覚)。手術支援ロボットでは、執刀医は患者から離れたところにあるコンソールの前に座り、内視鏡の画像を見ながら両手でコントローラを動かして鉗子や内視鏡を操作します。力覚があれば、自分の手で直接手術しているような感覚をもてるので、手術の精度がより高くなると期待されています。

内視鏡操作システム(左が従来法、右がEMAROを使った操作)

図1. 内視鏡操作システム(左が従来法、右がEMAROを使った操作)

EMAROの仕様

項目
内容
備考
販売名
内視鏡用ホルダ EMARO
 
型式
EMR-RS01
 
区分
クラス1(一般医療機器)
特定保守管理医療機器
届出番号:13B3X10174000001
特管第五区分:光学機器関連
販売地域
日本国内
 
駆動原理
空気圧駆動
 
自由度
4自由度
(上下、左右、前後、回転)
 
外形寸法
幅732mm×奥行1743mm×高さ1933mm
最大伸長時
重量
125kg
付属品含まず
定格電圧・周波数
AC 100V ・ 50/60Hz
 
操作インタフェース
  • ヘッドセンサ(上下、左右)
  • フットスイッチ(前後、回転)
  • マニュアルスイッチ(上下、左右、前後、回転)
  • コンソールパネル(上下、左右、前後、回転)
 
設定値
各自由度毎に5段階で速度調整可能
コンソールパネルにて調整
対象診療科
呼吸器外科、外科、泌尿器科、婦人科
 
搭載可能内視鏡
市販されている一般的な硬性内視鏡(φ10mm、φ5mm)
斜視鏡用カメラヘッド固定パーツも有り

リバーフィールド株式会社概要

設立日 :
平成26年5月20日
所在地 :
東京都新宿区西新宿7丁目3番4号
資本金 :
210百万円
代表取締役社長 :
原口大輔
社員数 :
16名
事業内容 :
手術支援ロボット等の医療機器研究開発および販売
沿革 :
  • 東京工業大学精密工学研究所の川嶋健嗣客員教授(東京医科歯科大学教授)と只野耕太郎准教授らが空気圧駆動の精密制御技術を生かした手術システム支援ロボット機器を社会に提供し、普及させることを目的として設立。
  • 文部科学省の「イノベーションシステム整備事業 大学発新産業創出拠点プロジェクト」(START: Program for Creating Start-ups from Advanced Research and Technology)に採択されたプロジェクト「気体の超精密制御技術を基盤とした低侵襲ロボットシステムの開発」(研究代表者:只野耕太郎)を母体とする。
  • 事業プロモーターユニットとして株式会社ジャフコの協力を得ている。

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東京医科歯科大学 広報部広報課

Email : kouhou.adm@cmn.tmd.ac.jp
Tel : 03-5803-5011 / Fax : 03-5803-0272

リバーフィールド株式会社

Email : info@riverfieldinc.com
Tel : 03-5332-8250 / Fax : 03-5332-8251


日本学術振興会 ひらめき ときめきサイエンス 東京工業大学での実施プログラムのご案内

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ひらめき☆ときめきサイエンス

ひらめき☆ときめきサイエンスは独立行政法人日本学術振興会による事業で、科学研究費助成事業による研究の内容を小・中・高校生にわかりやすく伝える体験プログラムを募集・支援するものです。

平成27年度実施プログラムとして、東京工業大学からは4件が採択されました。既に満席となっているプログラムもありますが、夏休みに本学の教員が子どもたちに向けて行う活動の様子を是非ご覧いただきたく、各プログラムをご案内します。

目で見てわかる昔の日本語と今の日本語:タイムマシンに乗らずに行ける昔の世界

日時
8月5日(水)9:50~16:45
場所
大岡山キャンパス 留学生センター 1階ラウンジ
代表者
留学生センター 山元啓史准教授

講師の山元啓史准教授
講師の山元啓史准教授

ことばは時代につれて変化していきます。今の私たちの知っていることばの意味は今の意味で、昔のことばの意味とまったく同じではありません。もしタイムマシンに乗って昔の日本語が聞けたなら、「何か変だぞ、ちがうぞ?」と思うことでしょう。今では大昔の録音は残っていませんから、実際に聞くことはできません。しかし、昔の文章から、ことばの使い方を図に描いて目で見ることはできます。そんな目で見てわかる昔のことばの世界についてお話しします。

DNAオリガミで遊ぼう

日時
8月7日(金)9:40~17:00
場所
代表者
大学院総合理工学研究科 小長谷明彦教授

DNA は生命の設計図として細胞に含まれています。このDNAを使ってナノメートルサイズのロボットを創ろうというDNAオリガミが注目を集めています。このプログラムでは、DNAオリガミを初めて作る人を対象に、DNAオリガミの設計法やDNAオリガミを作るための原理であるDNAハイブリダイゼーション、そしてDNAオリガミを観測するための原子間力顕微鏡(AFM)について学習します。

DNAオリガミ

  • DNAオリガミで作成したニコニコマークのAFMによる観察

    DNAオリガミで作成したニコニコマークのAFMによる観察

  • 原子間力顕微鏡(AFM)で用いるプローブ(針)の取り付け

    原子間力顕微鏡(AFM)で用いるプローブ(針)の取り付け

コンピュータビジョン、ヒューマンビジョン、あなたのビジョン2015

日時
8月7日(金)13:40~16:30
8月8日(土)9:40~12:30
場所
大岡山キャンパス 石川台1号館
代表者
大学院理工学研究科 葭田貴子准教授

機械に外界環境を認識させたり、機械を人にとって安全で使いやすいものにするためには、コンピュータビジョンと、人の視覚の脳科学(ヒューマンビジョン)を両方知ることが重要です。ここでは大きなオーロラの3D 立体映像をバーチャルリアリティで体験することを通じて、立体視の原理を用いて高さを測定する原理や、人が頭部を動かすことにより世界を認識する仕組みを伝え、機械系に複数の視覚の研究室がある意味を考えます。

前回の様子
前回の様子

地球とあそぼう2015 ~石の不思議を調べて地球を知ろう~

日時
8月28日(金)9:45~12:30(午前の部)、13:45~16:30(午後の部)
場所
大岡山キャンパス 百年記念館
代表者
地球生命研究所 丸山茂徳特命教授

「地球とあそぼう2015」では、大きく分けて3つの実習を行います。

1.
きれいな鉱物をタガネで宝石のような形にけずって、その形や色を観察しよう
2.
南アメリカ・ボリビア産化石を砂利の中から探し出そう
3.
重液という薬品を使って重い石と軽い石に分ける実験を行おう

実習を通して地球の歴史と秘密に触れてみよう!

(共催:地球生命研究所)

  • 鉱物を割ってその形を観察しよう。

    鉱物を割ってその形を観察しよう。

  • たくさんの石の中からいろいろな種類の化石を探そう。

    たくさんの石の中からいろいろな種類の化石を探そう。

  • 重液という薬品を使って重い石と軽い石を分けよう。

    重液という薬品を使って重い石と軽い石を分けよう。

  • 石が水に浮く?

    石が水に浮く?

受付状況、詳細なスケジュールは日本学術振興会ひらめき☆ときめきサイエンス実施プログラム一覧outerよりご確認ください。

問い合わせ先

広報センター
Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

ケネディ駐日米国大使が三島学長と懇談

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7月13日、キャロライン・ケネディ駐日米国大使及び大使館職員が本学を訪問し、三島良直学長及び岡田清理事・副学長、丸山俊夫理事・副学長、安藤真理事・副学長、大谷清理事・副学長と懇談しました。

ケネディ駐日米国大使と三島学長
ケネディ駐日米国大使と三島学長

懇談では、三島学長による本学の概要等の説明に続いて、丸山理事・副学長(教育・国際担当)が本学の学生交流の状況について説明しました。学生の交流実績や、他大学と比較して海外からの留学生受入割合が多いこと等について言及しました。さらに、本学に在籍する女性教職員・研究者・学生の現状と増やす方策について大使から質問があり、岡田理事・副学長(企画・人事担当)から男女共同参画推進センターouterにおける取り組み等について説明がありました。

懇談の様子
懇談の様子

ケネディ駐日米国大使と三島学長

懇談終了後、学長と大使が記念品の交換を行い、今後のアメリカと日本の大学間の教育・研究交流事業の促進について、和やかに意見交換をしました。大使からは、9月12日にアメリカ大使館が主催する「アメリカ留学EXPOouter」についての紹介があり、東工大の学生にも参加して欲しいとの話がありました。

その後大使は、本学が実施するパネルディスカッション「Women in STEM-理工系分野での女性の活躍をめざして-」に参加し、三島学長の挨拶に続いて講演を行いました。このパネルディスカッションは、大学の世界展開力強化事業「グローバル理工系リーダー養成協働ネットワーク(TiROP)」の一環で開催されました。

STEM:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4つの学術分野の略称。

ケネディ駐日米国大使、東工大で講演

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7月13日、キャロライン・ケネディ駐日米国大使が東京工業大学を訪問し、理工系分野への女性進出の課題や今後の取り組みをテーマにしたパネルディスカッション「Women in STEM —理工系分野での女性の活躍をめざして—」に出席し、講演を行いました。同イベントは、本学の「グローバル理工系リーダー養成協働ネットワーク(TiROP)」プログラムの一環として開催されました。

STEMは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の総称。

会場の様子
会場の様子

同パネルディスカッションは、科学、技術、工学、数学といった理工系分野へ女子学生にどのように関心をもってもらうか、また、同分野で活躍する研究者や女子学生にどのようなサポートが必要なのか、といった議題を率直に話し合う場として設けられました。会場には、東京と神奈川にある高校の女子生徒、東工大の学部・大学院の女子学生、さらにTiROPのサマープログラムに参加している留学生、約200名が参加しました。

学長による挨拶

学長による挨拶

開会の挨拶の中で、三島良直学長は、ケネディ大使を迎えて同イベントが開催できることに感謝の意を表し、続いて、東工大に在籍する女性教員、研究者、学生の数を増やすための東工大の取り組みについて言及しました。また、理工系分野で女性が一層活躍できる環境を作るために、今回のパネルディスカッションを通して、有益な意見が出ることを期待していると話しました。

三島学長の紹介を受けて、ケネディ大使は、米国が男女を問わず科学技術分野の研究者の地位の向上を率先して支援をしてきたことを述べました。さらに、理工系分野で研究を行う会場の女子学生たちを奨励し、「高い技術能力、革新的な発想力、優れた統率力を活かして、自らの生活を転換し、国の歴史を変えることができます」と語りかけました。

講演するケネディ大使
講演するケネディ大使

パネルディスカッションには、以下の6名がパネリストとして参加し、本学留学生センターの野原佳代子教授が司会を務めました。

  • ケリーナ・クレーグ‐ヘンダーソン氏(米国国立科学財団 東京オフィス事務所長)

  • 近藤科江教授(東工大 生体分子機能工学専攻)

  • 山田明教授(東工大 電子物理工学専攻)

  • セリーヌ・ムージュノ准教授(東工大 機械物理工学専攻)

  • アナスターシャ・ボボカルロノヴァさん(マサチューセッツ工科大学(MIT) 生物学・生物工学専攻 学部3年/TiROP 受入れ学生)

  • 武末江莉さん(東工大 物質電子化学専攻 博士1年/TiROP派遣学生)

パネリストの様子
パネリストの様子

ディスカッションでは、より多くの女子学生に、理工系分野に関心をもってもらうよう、東工大を含めた日本の理工系大学が努力しているにも関わらず、幾つかの困難があることが浮き彫りになりました。パネリストからは、女性の役割に対して日本の社会的・文化的側面が影響していることが理由として挙げられ、女子高校生にアピールするためのアプローチの方法が提案されました。

また、研究活動と家庭生活の両立の難しさや、結婚や家族形成において社会が女性に求める役割など、理工系分野で活躍する女性研究者が直面している問題に触れ、日米両国の研究機関等による研究者支援の事例などが紹介されました。理工系分野に進み、活躍している女性たちが持つ、大きな影響力についても言及しました。

さらに、女性だからこそ、活躍が期待されている理工系分野についても紹介されました。東工大の女性教員である近藤教授とムージュノ准教授は、各研究室で行っている研究内容について紹介し、女性研究者だからこそ貢献、活躍できる分野が理工系であることを強調しました。ムージュノ准教授は、「工学はあなた達が思うよりもかっこいい。私たちは人の役に立つもの、例えば、友人とコミュニケーションし、感動を共有するためのものを作り出しています。」と話しました。

ムージュノ准教授の発表

ムージュノ准教授の発表

学生による発表

学生による発表

このパネルディスカッションで挙げられた意見をもとに、東工大の比類ない研究や教育を最大限に活かして、より多くの女性教員、研究者、学生が活躍できる環境づくりやその支援の改善が期待されます。

問い合わせ先

国際部留学生交流課事業推進グループ

Email : ryu.jig@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2984

大隅良典栄誉教授が第31回国際生物学賞を受賞

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独立行政法人日本学術振興会は、第31回(平成27年)国際生物学賞を東京工業大学フロンティア研究機構の大隅良典栄誉教授に授与すると発表しました。

国際生物学賞は、昭和60年(1985年)に昭和天皇の御在位60年と長年にわたる生物学の御研究を記念するとともに生物学の奨励を図るため、生物学の研究において世界的に優れた業績を挙げ、世界の学術の進歩に大きな貢献をした研究者に授与することを目的として設けられたものです。

大隅良典栄誉教授
大隅良典栄誉教授

大隅教授の受賞理由は、オートファジー(自食作用)研究において、分子レベルでの知見がゼロであったところからスタートし、多数のATG遺伝子の働きによってオートファジーが引き起こされるメカニズムを解明し、生物界に広く保存された重要な生命現象であることを示して、生命科学の重要な新しい分野を確立したことによるものです。

授賞式は、例年12月頃に東京・上野の日本学士院において開催され、授賞式及び受賞者を囲んでの記念茶会には、毎年、天皇皇后両陛下がご臨席いたします。

また、記念シンポジウムは12月5日(土)、6日(日)に京都にて開催予定です。

大隅良典栄誉教授コメント

この度今年度の国際生物学賞の受賞の報せを頂きました。国際生物学賞は生物学者であられた昭和天皇の御在位60年を記念して生物学の奨励を目的として創設されました。これまで30人の受賞者がおられますが、日本人は僅か6人です。その中でも日本でなされた仕事となると、1988年の木村資生先生と1999年の江橋節郎先生という大先輩による輝かしい業績があります。このような方々に混じってこのたびの栄誉を受けることは、身の引き締まる思いでおります。

オートファジーは、細胞が普遍的に持っている、自分自身の構成成分の分解機構です。私はひたすら、酵母という小さな生物を用いて、オートファジーの基礎的な解析を進め、関わる遺伝子群とその機能を明らかにしてきました。遺伝子の同定を機にオートファジーの研究は近年急速に広がりを見せ、高等動物の様々な生理機能に関わること、様々な病態にも関係していることが分かってきました。分解が合成に劣らず生命活動には重要であることが次第に明らかになりつつあります。私は今後残された研究時間で今一度原点にかえって、「オートファジーとは何か」という問いに向き合いたいと思っています。また細胞生物学という基礎分野の研究に若い世代が新たな興味をもって参画し、発展させてくれることを願っています。

今回の国際生物学賞の選考にあたりご推薦を頂いた方々、選考の任に当たられました諸先生方に厚く御礼申し上げます。またこれまで私の研究を共に進めて頂いた沢山の仲間に心から感謝したいと思います。

三島良直学長コメント

このたび大隅良典栄誉教授が国際生物学賞を受賞されることを大変嬉しく、また光栄に存じます。大隅教授は生命科学の全く新しい分野の研究を先導してこられ、オートファジーのメカニズムおよび生理学的機能を解明して医療への応用につながる大きな礎を築かれました。東工大はこれまでに幅広い科学技術の分野で卓越した研究成果を生み出してきていますが、今回の受賞を機に、生命科学分野での世界最先端研究をリードできる体制をさらに強化し、全学を挙げて支援していく所存です。

8月の学内イベント情報

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2015年8月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

2015年8月の学内イベント情報

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