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第9回「蔵前ベンチャー賞」「蔵前特別賞」授与式 開催報告

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11月24日、第9回「蔵前ベンチャー賞」「蔵前特別賞」の授与式が、東工大蔵前会館 くらまえホールで開催されました。

前列左より受賞者、國枝博昭氏、ミケレ・グアラニエリ氏、盛田正明氏、上杉秀樹氏、三澤茂計氏 後列左より谷明人経産省技術総括審議官、三島良直東京工業大学学長、石田義雄蔵前工業会理事長
前列左より受賞者、國枝博昭氏、ミケレ・グアラニエリ氏、盛田正明氏、上杉秀樹氏、三澤茂計氏
後列左より谷明人経産省技術総括審議官、三島良直東京工業大学学長、石田義雄蔵前工業会理事長

受賞記念講演会の様子

受賞記念講演会の様子

「蔵前ベンチャー賞」は2007年、「蔵前特別賞」は2009年に、東工大の全学同窓会である蔵前工業会が設置した賞です。「蔵前ベンチャー賞」の目的は、「高い経営理念を持って、新しい技術、サービス、製品、ビジネスモデル等を事業化することにより、新しい市場や雇用を創造したベンチャーを表彰する」ことです。一方、「蔵前特別賞」は社会の進歩に顕著に貢献した個人または企業を表彰しています。

当日は授与式に引き続き、両賞の受賞者による記念講演会が行われ、その後は会場をロイアルブルーホールに移して交流会が催されました。

今回の講演会参加者は134名、その後の交流会参加者は122名となり、大盛況でした。交流会では、講演者を中心にして会話の輪が広がり、今年は学生の参加者が40名と多く、活発な交流がされました。

「蔵前ベンチャー賞」がベンチャー・中小企業の革新、活性化の一助となること、また、「蔵前特別賞」により、東工大卒業生の多方面での活躍や社会貢献を多数の方に知っていただく機会となることが期待されます。

会話の輪が広がる交流会
会話の輪が広がる交流会

蔵前ベンチャー賞

株式会社ハイボット

取締役Chairの広瀬茂男氏は、1973年に東工大制御工学専攻修士課程、1976年に同博士課程を修了し、1992年に東工大教授、2013年以降は名誉教授となり、現在に至ります。取締役CTOのミケレ・グアラニエリ氏は、2004年東工大機械宇宙システム専攻修士課程、2007年に同博士を修了しました。

株式会社ハイボットは、極限作業型ロボットの創造開発に40年以上の実績を有する広瀬研究室の成果を基に2004年創業した東工大発ベンチャーです。様々な特殊環境で活躍する、独創的な最先端ロボットを提供しています。ロボット産業のパイオニアとして本格的な事業展開が期待されます。

東工大が認定したベンチャー企業に与えられる称号。東工大の技術や知財を活用して創業した企業、もしくは、学生が起こした企業に対して与えられる。

株式会社シービーエージャパン

代表取締役の國枝博昭氏は、1973年に東工大電子工学科を卒業し、1978年に同電気工学専攻博士課程を修了、1994年から東工大教授を務めています。

指紋認証は、

1.
公安関係や入国管理システムなどの公的認証
2.
電子錠やネットワーク端末機などの業務認証
3.
スマートフォンやネット決済などの消費者向けユーザー認証

に大別されます。大学研究室発ベンチャーを発展させて、独自の事業分野を開拓しています。

株式会社コモドソリューションズ

代表取締役社長の上杉秀樹氏は、1979年に東工大電気電子工学科を卒業しました。

ハードウェア技術およびソフトウェア技術を活用し、医療連携分野、スマートフォン分野、エンターテイメント分野など多方面で事業展開を行っています。独自の技術力により、有力顧客を獲得し、創業したベンチャーを堅実に成長させてきました。

中央葡萄酒株式会社

代表取締役の三澤茂計氏は、1973年に東工大応用化学科を卒業し、三菱商事に入社しました。その後、1982年中央葡萄酒に入社、1989年に社長に就任し、現在に至ります。

同社は1923年に三沢長太郎氏が創業し、茂計氏は4代目です。世界的なワインコンクール(英国)「デカンタ-・ワールド・ワイン・アワード2014」で金賞を授賞しました。家業を引き継ぎ、これを世界一流のワイナリーに革新した中興の祖です。品質、ブランド政策「勝沼ワイン」等地域のワイン振興にも貢献しています。

蔵前特別賞

盛田正明テニス・ファンド 会長 盛田正明氏

東工大テニス部 黒崎 まどかさんから盛田 正明氏へ花束の贈呈

東工大テニス部 黒崎 まどかさんから
盛田 正明氏へ花束の贈呈

盛田氏は1951年に東工大電気化学科を卒業し、ソニー副社長、ソニー生命会長を歴任し、現在は日本テニス協会名誉会長を務めています。

テニスで世界のトップに立てる選手の養成を目標に私財を投じて盛田正明テニス・ファンドを設立し、厳しい選考により才能のあるジュニア選手を見出して米国へ送り出してきました。錦織圭選手は期待に応えて世界のトップ選手となり、日本の青少年に夢を与えています。この活動を通じて社会に顕著に貢献しました。


東工大生オリジナル 腸内細菌ボードゲーム「バクテロイゴ」発売決定

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大学院生命理工学研究科の学生達が山田拓司講師と考案した、腸内細菌のしくみを楽しく学べるボードゲーム「バクテロイゴ」が発売されることになりました。このゲームは、東工大基金事業:「日本再生:科学と技術で未来を創造する」プロジェクト-ものつくり人材の裾野拡大支援-を活用し、株式会社リバネスと産学連携本部、東工大生協の協力のもと制作されました。

腸内細菌ボードゲーム「バクテロイゴ」

ヒトの腸内には、1000種100兆個体の細菌が共生していると言われていますが、近年、腸内細菌の解析技術が飛躍的に向上し、これらの細菌の網羅的な調査が可能となったことから、様々な発見が相次いでいます。

「バクテロイゴ」は、自分たちの研究テーマである腸内細菌研究を広く紹介しようと、「日本人の腸内細菌叢の全容解明とその産業応用プラットフォーム(JCHM)」代表の山田講師監修のもと、学生自らが考案したものです。サイエンスカフェや子ども向け科学イベントでも大変好評で、子ども達から「とても楽しかった!」「もっとやりたい!」「勉強になった」といった声が多くきかれ、学生たちにとっても研究テーマを広く伝えるスキルを磨く良い機会にもなっています。

「バクテロイゴ」は12月15日にリバネス出版より発売され、全国の書店、東工大生協で購入できます。

腸内細菌ボードゲーム「バクテロイゴ」
腸内細菌ボードゲーム「バクテロイゴ」

JCHM(Japanese Consortium for Human Microbiome)とは
ヒトの腸内には 1000種100兆個体の微生物が共生していると言われ、 それらの腸内細菌の乱れは多くの疾病に関わっている事が知られています。 欧米では腸内細菌解析の重要性が早くから認識され、 大型予算が割り当てられ多くの研究者が携わっていることから、日本においても日本人腸内環境の全容解明は急務と言えます。そのため、JCHMでは、日本人腸内環境の全容 解明をテーマに掲げ、 日本人腸内微生物データーベース構築による「日本人固有の腸内環境及び腸内代謝系の発見」と 「疾病マーカーの発見」を目指したプロジェクト活動を推進しています。

東工大基金

このプロジェクトは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

大学院生命理工学研究科 生命情報専攻 山田研究室
Email : info@jchm.jp
Tel : 03-5734-3629

社会・人間科学系社会・人間科学コース 説明会開催報告

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11月28日、環境・社会理工学院 社会・人間科学系 社会・人間科学コースの説明会が開催され、他大学の学部生、大学院生、社会人など6名が参加しました。

東工大では現在、2016年4月スタートに向けて、教育システムの抜本的な改革を進めています。それに伴い、3学部・6研究科が6学院、23学科・45専攻が19系、1専門職学位課程に統合・再編されます。そのうちのひとつが環境・社会理工学院 社会・人間科学系であり、そこで実施される大学院課程の教育が、社会・人間科学コースです。

説明会会場
説明会会場

当日はまず、大岡山キャンパス西9号館 W棟2階203室で、全体説明会を開催しました。社会・人間科学コース担当予定教員である猪原健弘教授(現:大学院社会理工学研究科価値システム専攻)が、来年4月から始まる新しいカリキュラムについて説明し、少ない人数でアットホームな雰囲気の中、きめ細やかで活発な質疑応答も行われました。参加者の関心の高さが伺えました。

その後、引き続き同じ会場で、分野説明会が開催されました。社会・人間科学コースには、以下の5つの分野が設けられています。

  • 政治・法律・行政分野
  • 教育・福祉・健康分野
  • 文化・芸術分野
  • 科学技術社会分野
  • 認知・数理・情報分野

各分野の代表の教員がスライドを使いながら、その分野を担当する教員の紹介を行いました。担当科目、研究テーマ、主な研究業績、志望者の皆さんへのメッセージなど、各教員の情報は、以下のページにも掲載されています。

説明会の後は、以下の4人の教員の研究室公開も行いました。教員の研究や研究室がより掘り下げて紹介されました。

  • 室田真男教授(現:大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻)
  • 林直亨教授(現:大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻)
  • 西田亮介准教授(現:大学マネジメントセンター)
  • 村井源助教(現:大学院社会理工学研究科価値システム専攻)

参加者からは、「地域政策に興味があるがどのように研究を進めていけばいいか」といった質問や「コミュニケーション能力を重視したコースのカリキュラムに興味がある」といった意見が寄せられ、教員や研究室の現役の学生が丁寧に回答しました。

社会・人間科学コースでは今後も、コースの説明会、分野説明会、研究室公開を開催します。今後の予定は以下のページに掲載しています。

また、大学院を目指す皆さんに、社会・人間科学系・コース担当予定教員が、研究計画書の書き方や口頭発表のやり方についてアドバイスする「大学院チャレンジ塾」も開催しますので、ぜひご利用ください。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

お問い合わせ先

猪原健弘
Email : inohara.t.aa-shs-setsumei-kai@ml.m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3366

サラマンカ大学総長が東工大を訪問

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11月5日、スペインのサラマンカ大学のダニエル・エルナンデス・ルイペレス総長、マリア・アンヘレス・セラノ国際担当副学長が本学を訪問し、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長と懇談をしました。懇談には、塚田由佳国際連携課長、日本サラマンカ大学友の会理事の吉岡弘裕氏も同席しました。

(左から)塚田国際連携課長、丸山理事・副学長、セラノ副学長、三島学長、ルイペレス総長、吉岡理事
(左から)塚田国際連携課長、丸山理事・副学長、セラノ副学長、三島学長、ルイペレス総長、吉岡理事

懇談ではまず、三島学長が本学の概要紹介と来年4月に本学が導入を予定している教育システム及びスーパーグローバル大学創成支援事業について説明を行いました。続いて、セラノ副学長がサラマンカ大学の歴史や研究分野について紹介しました。また、セラノ副学長は、同大学の特色として、同大学が中南米諸国の多くの大学設立に関わってきたことから、中南米諸国の大学との結びつきが強いこと、また、同大学のスペイン語プログラムが世界的に高い評価を得ており、毎年10,000人近い学生が同プログラムを受講していることを紹介し、国際色豊かな学生交流が行われていることを話しました。

懇談の最後に、ルイペレス総長から、同大学は今後も学生や研究者の国際交流を推進していきたいと思っており、日本の大学とも連携関係を拡げていきたいとの話がありました。

懇談の様子
懇談の様子

サラマンカ大学は、スペインの首都マドリードから西北西約200kmにある、約800年前に設立された現存するスペイン最古の大学で、オックスフォード、ケンブリッジ、パリ、ボローニャの各大学とならぶヨーロッパで最も古い大学のひとつです。

東工大ボート部 東日本新人選手権優勝

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東京工業大学 端艇部(ボート部)が、10月24日、25日に埼玉県戸田市 戸田ボートコースで開催された、一般社団法人 東京都ボート協会主催 第38回東日本新人選手権に出場し、男子ダブルスカル、男子舵手付フォアで準優勝、男子エイトで優勝しました。

男子エイト表彰台
男子エイト表彰台

男子ダブルスカル

男子ダブルスカル

男子ダブルスカル

ダブルスカルは、1人2本ずつ、両手にオールを持って漕ぐスカルタイプのボートを、2人で漕ぐ競技です。10月25日に行われた決勝で準優勝した東京工業大学A(無双)のメンバーを紹介します。

  • 理学部情報科学科2年 髙橋翔大
  • 工学部経営システム工学科2年 馬場俊輔

男子舵手付フォア

舵手付フォアは、両手で1本のオールを持って漕ぐスウィープタイプのボートで、4人の漕手が二手のサイドに分かれ、それとは別に舵手(コックス)が1人乗り、1チーム5人により構成される競技です。10月25日に行われた決勝で準優勝した東京工業大学(OKAZAKI)のメンバーを紹介します。

  • 工学部電気電子工学科2年 藤井健人
  • 生命理工学部生命工学科2年 服部淳
  • 生命理工学部生命工学科2年 池田郁也
  • 生命理工学部生命科学科2年 稲子晴也
  • 工学部土木・環境工学科2年 三浦弘靖

男子舵手付フォア
男子舵手付フォア

男子エイト

エイトは、漕手が8人になった舵手付フォアともいえる競技で、舵手(コックス)が1人加わるため1チーム9人で構成されます。10月24日に行われた決勝で優勝した東京工業大学(NOZAWA)のメンバーを紹介します。

  • 工学部3類1年 小川翔太郎
  • 理学部1類1年 舩岡知広
  • 工学部6類1年 遠山哲
  • 理学部1類1年 芝昌平
  • 工学部4類1年 海上元輝
  • 工学部6類1年 矢部拓海
  • 理学部1類1年 金子寛明
  • 工学部6類1年 長谷川青春
  • 工学部5類1年 中島雪暢

主将 工学部機械宇宙学科3年 菅野康平さんからのコメント

今年の東日本新人戦では、出場した1、2年生がとても素晴らしい結果を残してくれました。選手全員が一丸となって日々重ねた努力の結果が形になり、主将として、そして先輩としてとても嬉しく思います。しかしこの賞は選手の力だけで掴みとったものではなく、OB様方、コーチの方々、そしていつも僕らを支えてくれるマネージャーのみんなが一丸となったからこそ手にすることができました。この新人戦での快挙を誇りに、そして糧として、東工大ボート部は総力を上げてより強いチームを目指します。そして、必ず、来年の全日本大学選手権では全国4位以内に入り、皆様にご報告いたします。どうか我々の活躍にご期待、ご声援宜しくお願い致します。

PS:新入生の皆さん、ボート部は皆さんの入部をお待ちしています!!

お問い合わせ先

東京工業大学端艇部
Email : titboat@green.ocn.ne.jp

三次元積層メモリーの厚さを1/10に極薄化する技術にめど

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三次元積層メモリーの厚さを1/10に極薄化する技術にめど
―300mmウエハーの厚さ2μm領域でDRAM特性を確認―

要点

  • シリコンの厚さを2μm台にするとDRAMの電気特性が劣化
  • バンプとTSVを組み合わせた垂直配線に比べ、配線長を1/10に短縮
  • テラバイトの高帯域を実現することが可能に

概要

東京工業大学異種機能集積研究センターの大場隆之教授はWOWアライアンス[用語1]と共同で、直径300mmのシリコンウエハーをデバイス層の半分にも満たない2マイクロメートル(μm)級に超薄化することに成功し、この厚さでは半導体メモリー(DRAM)の特性が劣化する現象を初めて明らかにした。

同技術はバンプ[用語2]を用いないWOW積層技術[用語3]に応用することが可能で、ウエハーの薄化は4μmレベルが実用的であることが分かった。ウエハーの厚さが4μmレベルであれば、薄化前と薄化した後のリフレッシュ時間の累積故障率が変わらないことを確認、薄化による新たな原子欠陥が生じないことを実証した。

この薄化プロセスを用いれば、上下積層チップの配線長が従来の1/10以下になり、配線抵抗と配線容量が大幅に低減される。超小型でテラビット(1テラは1兆)級の大規模メモリーへの応用が期待される。

この成果は米国ワシントンDCで12月6~9日に開かれる国際電子デバイス会議「IEDM 2015」で発表された。

背景

半導体メモリーチップを積層し、上下チップを電気接続すれば、積層数に比例したメモリー容量が得られ、極端に微細化しなくても大容量メモリーを得ることができる。上下配線の長さはバンプサイズとチップを貫通する接続孔(TSV[用語4])の長さ(チップの厚さ)で決まり、この配線長を短くすれば配線抵抗と電気容量が低減される。

バンプ接続を前提としたこれまでのTSV配線では、チップ厚さの限界が約50μmであり、バンプとTSVを合わせた長さは約100μmになる。TSV一本当たりのデータ転送速度を少なくし(低周波数)、帯域幅を高めると消費電力が低くなる。このカギを握るのはウエハーの厚さである。だが、どこまで薄くできるのかはこれまで明らかになっていなかった。

研究成果

東工大の大場教授らはウエハーを薄化してから積層し、TSVで直接上下チップを接続配線するバンプレスTSV配線を開発している。この方法を用いれば、バンプが不要になり、薄化プロセスの限界までウエハーを薄くすることができる。FRAM[用語5]、MPU[用語6]、DRAM[用語7]に対して、同研究グループはこれまでに10μm以下の薄化に成功していた。

今回はどこまでウエハーを薄くできるかの極限を知るために2μm台の薄化を行った。この厚さはデバイス層の1/3以下の厚さで、機械研削方式では世界で初めての試みである。先端2ギガビットDRAMが形成された300mmウエハーを厚さ775μmから約0.3%の2μmまで薄化した。このような薄化を行うことにより、ようやくデバイス特性の劣化が観察され(観察個所の厚さは2.6μm)、DRAMの限界厚さが4μm前後にあることを明らかにした。厚さ4μmは、DRAMのデバイス層よりも薄く、可視光も透過する。

同薄化技術を利用すると、デバイス層を含めても10μm以下となり、この厚さがTSVの長さになる。これは従来のバンプを利用したTSVに比べ長さが約1/10に短縮される。TSVが短くなると、これに比例して配線抵抗と電気容量がそれぞれ小さくなる。長さが1/10になると配線性能の指標となる配線抵抗と電気容量の積は1/100に減少する。このため4ギガビット、8ギガビット、16ギガビットといったメモリー容量の拡大に合わせてWOWプロセスを使って4層、8層、16層積層しても薄化したチップであれば電気的な課題が解消される。

薄化チップを64層積層しても全体の厚さは800μm以下に収まり、仮に16ギガビットメモリーを積層すれば小型ながら1テラビットの大規模メモリーを実現することができる。このようなメモリーの大容量化を従来の微細化で行っても、ずいぶん先の線幅5ナノメートル(nm)でも達成できない。このように積層されたDRAMは、FOWLP技術[用語8]におけるデバイス部品としても用いることができる。

超薄化でTSVを短く、また小さくできると、加工しやすくなり、生産性が大幅に向上する。同時にバンプの制約がなくなるので、1平方mm当たり1000本から1万本のTSVを形成することができる。

今後の展開

ウエハー厚さ4μmで、このようなTSVを利用すれば低周波数でも高帯域が可能となり、ギガビット転送速度当たりのエネルギー効率が向上する。このためビッグデータ向けのサーバーやスマートフォンをはじめ小型携帯端末の消費電力が大幅に削減される。メニコアMPU[用語9]と組み合わせれば、テラバイトの高帯域を実現することが可能になる。

WOWプロセスを用いて2-μm台まで薄化したDRAMの断面電子顕微鏡写真

図1. WOWプロセスを用いて2-μm台まで薄化したDRAMの断面電子顕微鏡写真

5.4-μmまで薄化した300mm DRAMのSi厚さ分布

図2. 5.4-μmまで薄化した300mm DRAMのSi厚さ分布

Si厚さ5-μm台まで薄化したDRAMの歩留まり比較:(a)Cu強制汚染無しと(b)Cu強制汚染有り。Cu強制汚染有り無し関係なく、歩留まりや特性の変化は見られない。
図3.
Si厚さ5-μm台まで薄化したDRAMの歩留まり比較:(a)Cu強制汚染無しと(b)Cu強制汚染有り。Cu強制汚染有り無し関係なく、歩留まりや特性の変化は見られない。
Si残し厚さに対するDRAMのデータ保持時間依存性。4-μm厚さまで薄くしても劣化は見られない。

図4. Si残し厚さに対するDRAMのデータ保持時間依存性。4-μm厚さまで薄くしても劣化は見られない。

用語説明

[用語1] WOWアライアンス : 東京工業大学を中心に設計・プロセス・装置・材料半導体関連の複数企業および研究機関からなる研究グループ。薄化したウエハーを簡単に積層することができ、バンプレスTSV配線を用いた三次元化技術を世界で初めて開発した。

[用語2] バンプ : 電極部にメッキで形成した配線接続のための突起。

[用語3] WOW積層技術 : ウエハーの積層(Wafer-on-Wafer)で大規模集積回路を作製する三次元集積技術。積層方法には、チップ同士の積層(Chip-on-Chip)、チップとウエハーの積層(Chip-on-Wafer)があり、COC、COW、WOWの順に生産性が高くなる。

[用語4] TSV : Through-Silicon-Viaの略で、シリコンウエハーを貫通させ埋め込み配線で上下チップチップを接続させる接続孔。最近では、シリコン材料以外にも配線するため、前工程における垂直配線(vertical interconnects)とした方がわかりやすい。

[用語5] FRAM : Ferroelectric RAMの略。強誘電体を利用した不揮発メモリーの一種。

[用語6] MPU : Micro-Processing Unitの略。コンピューター内で基本的な演算処理を行う超小型演算装置でコンピューターの心臓部に当たる半導体チップ。

[用語7] DRAM : Dynamic Random Access Memoryの略。コンピューターに利用される揮発メモリーの一種。

[用語8] FOWLP : Fan-out Wafer Level Packageの略。再配線されたウエハーにデバイスチップを搭載し、チップとウエハーを配線接続するものである。バンプを用いない分薄くなり、小型パッケージが可能になる。

[用語9] メニコアMPU : 複数の論理回路(コアプロセッサ)を有するMPU。2個あればデュアルコアプロセッサと呼び、通常2桁以上のコアプロセッサを有するMPUに対して用いられる。

学会発表

学会名 :
2015 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM)
発表タイトル :
A Robust Wafer Thinning down to 2.6-μm for Bumpless Interconnects and DRAM WOW Applications
発表者 :
Y.S. Kim, S. Kodama, Y. Mizushima, T. Nakamura, N. Maeda, K. Fujimoto, A. Kawai, K. Arai and T. Ohba

問い合わせ先

東京工業大学異種機能集積研究センター
秘書 沼澤文恵

Email : numazawa.f.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5866

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

10を超えるインパクトファクター~東工大発材料科学ジャーナル「NPG Asia Materials」

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東工大がネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)と共同で出版している材料科学ジャーナル「NPG Asia Materials」が、2015年のインパクトファクター(文献引用影響率)として10.118を獲得しました。これは、アジア太平洋地域での材料科学系ジャーナルのトップであるばかりではなく、全世界の材料科学誌と、それを含む広範な総合誌を合わせた259誌の中でも14位という位置を占めています。

NPG Asia Materials

NPG Asia Materials

インパクトファクターとはある特定雑誌に掲載された全論文が、特定の一年間において、一論文あたり平均何回引用されているかを示す数字です。数が大きいほど論文が頻繁に引用されており、影響度の大きな雑誌であるということになります。

「NPG Asia Materials」は2008年に、本学が材料科学分野で採択されていたグローバルCOEプログラムouterの活動の一環として創刊され、プログラム終了後も発展を続けています。

現在、編集長は本学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻 マーティン・バッハ教授が務めています。加えて、編集委員6名のうち2名も東工大に在籍しています。まさに東工大発の東工大が支えるジャーナルです。「NPG Asia Materials」のwebサイトのトップバナーには、「founded in association with the Tokyo Institute of Technology(東京工業大学と共同で設立)」と記されています。

インパクトファクターが示すように、「NPG Asia Materials」は国際誌として認知されており、論文投稿数の1位は圧倒的に中国、2位は韓国となっており、日本からの投稿は5位となっています。東工大はもちろん、日本の大学、研究機関から、優れた研究成果を公表する場としてぜひ「NPG Asia Materials」をお考えください。

「NPG Asia Materials」紹介ページ
「NPG Asia Materials」紹介ページouter

キャンパス・アジアプログラム国際評価委員会 開催報告

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12月5日、大岡山キャンパスに国内外から以下の評価委員をお招きし、東工大が実施する交換留学プログラム「キャンパス・アジアプログラム」の国際評価委員会が開催されました。

  • 慶應義塾大学(日本) 小尾晋之介教授
  • 清華大学(中国) 曲 徳林 教授
  • サウサンプトン大学(イギリス)/北陸先端科学技術大学院大学(日本) 水田博教授
  • ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校(アメリカ) 中村俊雄教授
  • 株式会社韓国フルヤメタル(韓国) 河賢權CEO

評価委員(左から)中村教授、曲教授、小尾教授、水田教授、河氏
評価委員(左から)中村教授、曲教授、小尾教授、水田教授、河氏

キャンパス・アジアプログラムは、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」として運営されている交換留学プログラムです。キャンパス・アジアプログラムでは、プログラムを外部評価委員の方々に客観的に評価いただくために、2013年から毎年、評価委員会を開催しています。事業最終年度となる今回は、東工大だけでなくパートナー校である清華大学、韓国科学技術院(KAIST)のプログラム構想責任者も以下の通り参加し、それぞれの成果を説明しました。

  • 東京工業大学(日本) 原正彦教授
  • 清華大学(中国) 邢新会教授
  • 韓国科学技術院(KAIST)(韓国) キム・ユン教授

プログラム構想責任者(左から)邢教授、キム教授、原教授
プログラム構想責任者(左から)邢教授、キム教授、原教授

成果説明の後、優れた取り組みや継承すべき点、改善点などのディスカッションを行い、最後に各委員の方よりコメントをいただきました。

  • 事業終了後も、3カ国で実施することの意義があるプログラムを、何らか継続していったほうがよい
  • 学生は具体的な成果を狙って参加するため、費用対効果が明確であり、研究室の「見える化」が肝要となる
  • 学生が参加費を自己負担してでも参加するような、持続性のあるプログラムをつくるべきである
  • 学部生と大学院生の活動は区別をつける方が効果的ではないか
  • 関係の強い企業への売込みやアピールを積極的に行うと良い

など、客観的な見地からならではの貴重な意見を多くいただきました。

国際評価委員会の様子
国際評価委員会の様子

お問い合わせ先

東京工業大学国際部留学生交流課
「大学の世界展開力強化事業」キャンパス・アジア事務局
Email : campusasia@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2984


国際共同研究に向けてウプサラ大学との関係を強化―第2回東工大-ウプサラ大合同シンポジウムを開催―

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日本とスウェーデンから120人を超える研究者や学生が参加して、「第2回東工大-ウプサラ大 合同シンポジウム」が11月16日、17日に東工大で開催されました。

本シンポジウムは2014年9月にウプサラ大において開催された第1回シンポジウムのフォローアップとして開催され、今回は「持続可能な社会の実現に向けた新たなテクノロジーとシステム」をテーマに、次世代型太陽電池、水素燃料電池、有機電池、省エネ性能に優れた建築、バイオ燃料などの研究成果の紹介と意見交換が行われました。また産学連携やベンチャー企業設立についても議論が交わされました。

三島良直学長

三島良直学長

マリカ・エドフ教授

マリカ・エドフ教授

東工大の安藤真理事・副学長(研究担当)は、開会にあたり「国際的な研究力強化には海外の大学との研究協力が不可欠であり、今回のシンポジウムは極めて有意義かつ重要な機会です」と述べました。

安藤真理事・副学長
安藤真理事・副学長

オープニングセッションでは、東工大の三島良直学長が「東工大は2030年までに全世界の研究大学の上位10校にランクインするという目標を掲げています。これは極めて野心的なものですが、教育の質を高め、研究の強みを伸ばし、国際化を進めて、世界最高の理工系総合大学を目指して最大限の努力を行っています」と2016年4月から導入する教育・研究改革の概要を説明しました。

ウプサラ大学理工学部の副学部長マリカ・エドフ(Marika Edoff)教授は、太陽電池に関する研究を紹介するとともに、持続可能な開発を推進するために環境・エネルギー技術分野において両大学がどのように世界レベルの研究に取り組んでいるかについて基調講演を行いました。

在日本スウェーデン大使館のヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス(Victoria Forslund Bellass)公使は、「日本とスウェーデンの協力分野には未開拓で可能性を秘めているものがまだまだあります。両国はともに科学研究分野をリードしている国であり、世界レベルの研究や高等教育においてウプサラ大学と東工大は最適なパートナーと言えます」と述べました。

ヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス公使
ヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス公使

オープニングセッションに引き続き「太陽エネルギー技術とそのシステム」「電気化学を基盤とするエネルギー変換デバイス」「イノベーションと産学連携」の3つの全体会議が開かれました。

伊原学教授(左)とピーター・リンドブラッド教授(右)

伊原学教授(左)とピーター・リンドブラッド教授(右)

最初の全体会議では、化学工学専攻の伊原学教授から「環境エネルギーイノベーション棟(EEI棟)」と、そのエネルギー網管理システム「エネスワロー(Ene-Swallow)」の特徴について説明がありました。

伊原教授は、プラズモニック太陽電池に関する最初の論文を発表した1997年当時には、このテーマに関する論文はほとんど発表されていなかったが、2008年には多くの科学者がこの分野に参入し、状況が変化し始めたことを紹介。「昨年末の時点では2,970件の論文が発表されるなど、この分野は大きな進歩を遂げつつあります」と述べました。

ソリューション研究機構の岡崎健特任教授は、「水素社会に向けて―イノベーションとグローバリゼーション」と題する講演を行いました。同教授は、日本の水素燃料自動車の開発に向けた取り組みと、将来的な需要に応えるためのオーストラリアから日本への水素輸入に関する研究を取り上げ、「使用する水素の量を増やすためには、水素を供給する国際的な戦略を策定する必要があります」と強調しました。

分科会(数学)

分科会(数学)

シンポジウム2日目は6つの分科会で始まりました。「環境とエネルギー技術」「材料科学」「環境とエネルギー分析」「起業家精神とイノベーション」「ゲーム設計とヒューマンインターフェース」「数学」の各テーマに沿って、参加した研究者や学生はアイデアを活発に交換し、今後の共同研究の可能性を模索しました。議論に熱が入り、一部のセッションは昼食時間にも続けられました。

分科会(起業家精神とイノベーション)
分科会(起業家精神とイノベーション)

最後の全体会議では、産業界との連携やベンチャー企業の設立に関する経験が紹介されました。

ウプサラ大学経営工学部のマルカス・リンダール(Marcus Lindahl)学部長は、スウェーデンのゴットランド島におけるユニークな協力事業を紹介しました。大型クルーズ船用の埠頭を建設し、観光客を増やし、同島の経済を活性化するというものです。ウプサラ大学の多くの学部が同島の大企業や中堅企業と協力し、多くの観光客の受け入れをいかに円滑に行うかを検討してきました。

リンダール教授は「このような取り組みを経済的・文化的・社会的な観点から持続可能なものにするには、どのようにすればいいのでしょうか?」と問題を提起しました。

クロージングセッションでは、ウプサラ大学理工学部の教員連携部門長のピーター・リンドブラッド(Peter Lindblad)教授が、東工大とウプサラ大学とが素晴らしい関係を築くに至った理由は、科学分野に秀でた特質など数多くの共通点があり、さらにお互い共通のビジョンを持っていることを指摘しました。

リンドブラッド教授は「私たちは工学分野における世界レベルの研究者になるという共通の目標を抱いています。それと同時に、私たちの研究が、より良い環境、より良い社会、そしてより良い世界に向けて貢献するものであって欲しいと望んでいるのです」と述べました。

本シンポジウムを受け、両大学は第3回シンポジウムを2016年9月にウプサラ大において開催することに合意しました。これからも研究に関する情報交換を行い、新たな共同研究分野の開拓、教育分野での連携プログラムづくりを行っていく予定です。

集合写真
集合写真

資史料館リーフレット「発掘!東工大の研究と社会貢献」第3回、第4回を発行

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東京工業大学資史料館が、リーフレット「発掘!東工大の研究と社会貢献」の第3回と第4回を発行しました。このシリーズでは、東工大発の世界に貢献した研究や発明、発見を紹介しています。

資史料館では、今まで築き上げてきた本学の歴史を学生に知ってもらい、今後の勉学、研究にいそしむ心の育成のため、リーフレットを発行しております。博物館(百年記念館)1階及び本館3階の資史料館では配布もしていますので、ぜひお立ち寄りください。

シリーズ「発掘!東工大の研究と社会貢献」第3回

アンモニア合成を通して人類を支えた人たち

東工大は 驚異的な省エネを実現しつつあるRu触媒発祥の地です。

アンモニア合成を通して人類を支えた人たち

第3回は、100年前に東工大で研究が始まり、現在もなお新触媒の開発と言う形で受けつがれている「アンモニア合成を通して人類を支えた人たち」について紹介します。

私たちの生存に食料は欠かせません。その食糧生産に不可欠な窒素肥料はチリの硝石に頼っていましたが、それが枯渇し始めた時に、代替法として空気中の窒素(N2)から直接窒素肥料の基となるアンモニア(NH3)を工業的に生産することに成功したのが有名なHaberグループです。本学の初代図書館長も務めた田丸節朗はドイツ留学中にそのグループの一員として活躍しました。

そして2015年は、その論文が確定してから100周年にあたり、東工大では現在に至るまで、アンモニア合成用の新しい触媒の開発と高性能化の研究が続けられています。

シリーズ 「発掘!東工大の研究と社会貢献」第3回PDF

シリーズ「発掘!東工大の研究と社会貢献」第4回

フグと東工大

大岡山で繰り広げられたフグ毒との闘い
すずかけ台で花開いたフグの研究

フグと東工大

第4回では「フグと東工大」の関わりについて、紹介します。

フグ毒は古くから人類特に日本民族を悩ませてきました。1950年にフグの猛毒テトロドトキシンの結晶化を成し遂げた横尾晃が、フグ毒の研究を始めたのは大岡山キャンパスの本館3階55号室でした。しかし、東工大の大岡山キャンパスで「フグ毒の化学的研究」が革新的な転換を迎え、後にすずかけ台キャンパスでフグ自身が体内から毒を排出する仕組みが発見されたことはあまり知られていません。現在でも、すずかけ台の生命理工学研究科でフグは飼育されており、研究成果を上げています。

シリーズ 「発掘!東工大の研究と社会貢献」第4回PDF

お問い合わせ先
東京工業大学博物館 資史料館部門
Email : centshiryou@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3340

12月16日10:50 注記に誤りがありましたので、削除しました。

第3回資源研国際フォーラム開催報告

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東京工業大学資源化学研究所(資源研)は、10月19日~20日、東工大蔵前会館において第3回資源研フォーラムを開催しました。

集合写真

資源研では、研究成果の公開、国内外の研究者との研究交流の促進を目指して、昨年度から資源研フォーラムを開催しています。今回は、資源研が参画している「附置研究所間アライアンスによるナノとマクロをつなぐ物質・デバイス・システム創製戦略プロジェクトouter」(以下、アライアンス事業)の共催のもと、国際シンポジウムを開催しました。

次世代エレクトロニクス、エネルギー、医療、環境調和材料の「物質・デバイス・システム創製基盤技術」を 「ナノとマクロの融合」により研究開発することを目的とし発足したプロジェクト。大阪大学産業科学研究所、東北大学多元物質科学研究所、北海道大学電子科学研究所、東京工業大学資源化学研究所、九州大学先導物質化学研究所が参画している。それぞれの得意分野で戦略的に連携を組み、ネットワーク型共同研究を推進する事により、物質・デバイス・システム創製研究の格段の進展を図る。

シンポジウムのテーマは、創立70有余年の資源化学研究所の理念に因み、「『資源化学』ニューフロンティア」と掲げられました。

シンポジウム冒頭では、穐田宗隆資源研所長による開会挨拶に続き、安藤真理事・副学長(研究担当)が挨拶しました。

その後、上記アライアンス事業の4つのグループプロジェクトに関連する以下のセッションが設けられ、異なる研究分野間、研究所間、さらには海外との研究交流の推進を目指しました。

  • セッション1:「バイオインスパイアード材料と技術」
  • セッション2:「π共役系材料」
  • セッション3:「イノベーティブ触媒」
  • セッション4:「先端材料とデバイス」

各セッションは、ドイツ、フランス、米国から著名な研究者、および、アライアンス事業に参画している他4研究所の関連研究者による招待講演と、所内教員による話題提供によって構成され、最先端の研究紹介と活発な意見交換が行われました。

さらに、所内若手教員全員によるポスターセッションには、他研究所の若手研究者や海外若手研究者のポスター発表も加わり、研究現場の最新の研究成果の紹介と活発な研究交流が行われました。コンパクトな1日半のシンポジウムながら、招待講演11件、話題提供8件、ポスターセッション29件を数え、屹立した研究成果発表と分野を超えた活発な学術交流が行われました。

初日の夜は懇親会が開催され、三島良直学長は挨拶で、東工大が現在取り組んでいる改革の概要を説明し、資源研の学術・国際交流への取り組みに対する評価と期待を述べました。

参加者は144名にのぼり、多くの招待者、参加者から実りのある充実した国際シンポジウムであったとの声をいただき、第3回資源研フォーラムは盛況のうちに閉会しました。

なお、翌日以降も引き続き、以下の関連イベントが開催され、「資源研フォーラムウィーク」として、資源研の最新成果の発信と学術交流を積極的に推進することができました。

  • 10月20日~21日
    アライアンス事業「新エネルギー・材料・デバイス」分科会(資源研山口猛央教授主催)
    於:東工大蔵前会館
  • 10月22日
    人工光合成に関するワークショップ(同長井圭治准教授主催)
    於:田町キャンパス キャンパスイノベーションセンター
  • 10月23日~24日
    「共役材料とダイナミクス」ポストシンポジウム(同彌田智一教授主催)
    於:すずかけ台キャンパス フロンティア創造共同研究センター

お問い合わせ先

資源化学研究所
Email : forum@res.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5961

三島学長が第9回日中学長会議に出席

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10月29日に、第9回日中学長会議が九州大学伊都キャンパスにおいて開催され、本学からは三島良直学長、関根直子国際事業課長が出席しました。

三島学長は前から3列目、右から5番目(撮影者:国立大学法人九州大学)
三島学長は前から3列目、右から5番目(撮影者:国立大学法人九州大学)

日中学長会議は、日本と中国の大学間の交流を活発化させることを目指し、両国の学長間で率直な意見交換を行う場として、2000年に第1回会議が日本にて開催され、その後は日中両国において隔年で開催されています。今回の会議は、「グローバル時代における日中大学の国際化」をテーマとし、日中両国の35大学6機関から約200名の参加がありました。

分科会で発表する三島学長

分科会で発表する三島学長

基調講演の後、参加者は「大学の国際化と社会貢献」と「日中大学での次世代人材共同育成と学術共同研究」をテーマとした分科会に分かれました。三島学長は、後者の分科会に出席し、現在、本学が取り組んでいる教育改革と研究改革、さらに本学と中国を含む海外の大学間とで行われている研究・教育交流の状況を紹介するとともに、海外のパートナーとの連携によるグローバル人材共同育成等の将来の展望について発表を行いました。その他の参加大学からも発表が行われた後に、今後の日中両国の大学の連携のあり方や課題について、活発な議論が交わされました。

分科会の様子
分科会の様子

また、学長会議と並行して開催された学生フォーラムには中国側15大学、日本側17大学から参加があり、本学からは安部健太郎さん(大学院理工学研究科電子物理工学専攻・修士課程2年)が参加しました。フォーラムに参加した学生は2グループに分かれ、日中両国の大学の国際化への学生の貢献、大学の国際化の必要性について議論しました。

最後の全体会合では、2つの分科会と学生フォーラムでの議論の内容の報告と、会議の成果をまとめた「グローバル時代における日中大学の国際化に関する福岡宣言」が採択されました。

分子が変形する様子を2兆分の1秒刻みでコマ撮り撮影―光機能性物質の動作メカニズム解明に成功―

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要点

  • 光照射により原子や分子が動く様子をコマ撮りで撮影し、「分子動画」を作成
  • 光照射による物質状態の時間変化を研究する手法に道を拓く
  • 光機能性材料の応答機構の解明や、生体分子などの動きを目で見て理解

概要

東京工業大学大学院理工学研究科の石川忠彦助教と腰原伸也教授、マックス・プランク物質構造ダイナミクス研究所(ドイツ)のドウェイン・ミラー教授らの共同研究グループは、光スイッチ[用語1]候補材料である分子性結晶[用語2] Me4P[Pt(dmit)2]2(図1参照)に光をあて、原子や分子が動く様子の直接観測に世界で初めて成功した。結晶中の原子や分子の動きを2兆分の1秒という時間分解能と100分の1ナノメートル(nm)以下という空間分解能を併せ持つ「分子動画」として映像化し、結晶内での特定の分子の動きの組み合わせが結晶の機能と連携していることを明らかにした。

A:Pt(dmit)2分子の構造式。角括弧で囲まれた部分はdmit配位子と呼ばれる。B:Me4P[Pt(dmit)2]2の低温電荷分離相でのPt(dmit)2分子がつくる面における分子配列の様子。強く2量化したPt(dmit)2分子が基本単位となっている。数字の“0”、“2”は、各々の2量体の価数(符号は負)を表しており、価数の異なる二量体が互い違いに規則正しく整列している。C:高温金属相での同じくPt(dmit)2面内の分子配列の様子。すべての二量体は等価であることがわかる。
図1.
A:Pt(dmit)2分子の構造式。角括弧で囲まれた部分はdmit配位子と呼ばれる。B:Me4P[Pt(dmit)2]2の低温電荷分離相でのPt(dmit)2分子がつくる面における分子配列の様子。強く2量化したPt(dmit)2分子が基本単位となっている。数字の“0”、“2”は、各々の2量体の価数(符号は負)を表しており、価数の異なる二量体が互い違いに規則正しく整列している。C:高温金属相での同じくPt(dmit)2面内の分子配列の様子。すべての二量体は等価であることがわかる。

ミラー教授らが開発した、超短パルス電子線源(時間幅0.4 ピコ秒程度、1ピコ秒は1兆分の1秒)を用いることで、分光測定に匹敵する時間分解能が得られる電子線回折像測定[用語3]装置により回折像をコマ撮りで撮影し、光照射によって構造が変化する様子を直接観測した。この手法により、生体分子をはじめとする様々な物質の光応答機構解明のための研究手法の革新が期待できる。

結晶中の原子や分子に光が当たるとどのように動き、形が変化するのかが、物質の光応答機構を解明する上での鍵を握っている。しかし、これまでは実際の物質の動き、特に光スイッチや光エネルギー変換[用語4]物質の動作で重要な、1兆分の1秒以下で起こる高速変化は光スペクトル[用語5]の変化から推定するしかなかった。

本研究グループには理化学研究所の加藤礼三主任研究員や愛媛大学の山本貴准教授らが参画した。

研究成果は、12月18日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載される。

この研究は科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST)「先端光源を駆使した光科学・光技術の融合展開」研究領域(研究総括:伊藤正(大阪大学 名誉教授/大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター 特任教授))における研究課題「光技術が先導する臨界的非平衡物質開拓」の一環として行われた。

研究の背景と経緯

モノに光が当たると、光のエネルギーがモノを構成する原子や分子中の電子に吸収され、電子は励起状態となる。この励起状態にある電子が引き金となって物質全体の形(結晶構造)や電子状態[用語6]を微弱な光ですばやく変化させ、場合によっては化学反応が起きる(一部は人工光合成とも呼ばれている)ことにより、様々な光機能が発揮されると考えられている。この考えに基づいて光機能材料の開発が現在、世界中で進められている。

光により情報を読み書きする光メモリーや信号の切り替えを行う光スイッチ、化学反応を促進する光触媒などはその一例である。光機能材料の開発は太陽光の有効利用による省エネルギー社会の実現や光通信、光コンピューティングへの応用による高速・高効率な情報インフラ開発など、我々の日常生活に様々な恩恵をもたらすと期待される。

光機能性物質の探索やその動作機構を解明するには、光励起によって引き起こされる電子状態や結晶構造の変化を経時的に観察し、どのような速さで、かつどのような順番で変化が進むのかを調べることが必要不可欠である。最近では、超短パルスレーザー光源[用語7]の開発普及により、1~10兆分の1秒程度の時間分解能で光学スペクトル測定が手軽に行えるようになり、これを用いた電子状態の時間変化の研究が盛んになっている。

これに加え、X線を用いた回折像測定により、原子の位置を経時的に直接追えれば、光学スペクトル測定とは独立に分子や結晶の形状(構造)変化の直接観測が可能となる。しかしX線を超短時間パルス化して、光照射後の回折像変化のコマ撮り撮影を行おうとすると、種々の問題が存在する。例えば、異なる発生源を持つ励起光パルスとX線パルスを時間的に同期させる方法の問題、物質表面付近で強く吸収される励起光に対してX線は遥かに物質の奥深くまで侵入するために、関与する体積の違いからX線回折像の光励起による変化は必然的に小さいという問題、さらにはX線による物質へのダメージの問題など、電子状態と構造変化の関係の解析はいまだ困難な状況にあった。

一方、ミラー教授らの研究グループはピコ秒(ps)以下の時間幅を持ち、かつ高強度のパルス電子線源を開発した。そして、これを用いた高い時間分解能を持つ電子線回折像測定装置を開発した。電子線パルスを用いるため、X線パルスを使う際の問題の多くは解決されるうえに、放射光施設のような大型施設ではなく、通常の実験室に収まるコンパクトな測定装置で観測が可能となる。

そこで、電子状態の超高速な変化の観測を得意とする腰原教授と石川助教、ミラーグループのスチュワート・ヘイズ博士と羽田真毅博士(現JSTさきがけ研究者、岡山大学)が協力して、同一の光応答材料候補に対して電子状態観測のための分光測定と構造変化観測のための電子線回折測定を複合・複眼的に組み合わせて利用する新手法を開発し、「結晶中での原子や分子の実際の動きを見る」という世界の光応答物質研究者の夢の実現に挑戦した。

研究成果

東工大の石川助教らは電荷分離相転移[用語8]を示すMe4P[Pt(dmit)2]2(図1参照)を測定対象として、電子線回折測定による物質構造の時間変化の観測をヘイズ博士や羽田博士と協力して試みた結果、観測に成功した。さらに、特定の分子変形を仮定することのない新たな解析手法の適用により「分子動画」を作成することにも成功し、分子動画から光照射によって引き起こされた原子分子の動きを“直接”見ることに成功した。

測定対象であるMe4P[Pt(dmit)2]2は、理化学研究所の加藤礼三主任研究員のグループによって開発され、Pt(dmit)2分子(図1A)が結晶中で強く二量化[用語9]して、この二量化の結合の強さと結晶中での分子の価数及び電気の流れやすさなどの特性が強く相関している。温度を下げると電荷分離相転移(図1B、C)が起き、低温では、価数の異なる二量体が秩序だって整列するこの系(測定対象)特有の電荷分離相が実現していることを加藤グループが明らかにした。

石川助教らは愛媛大の山本准教授らの協力のもと、この電荷分離相転移による光学スペクトル変化(図2A)の詳細を明らかにした。次に100 K (低温電荷分離相、Kは絶対温度の単位)において、光照射による光学スペクトルの時間変化測定を行い、図2Bの結果を得た。光照射直後の光学スペクトル変化は、高温相に変化した時に予想されるスペクトル変化(図2B中、太線)と一致しており、高温相と同様の状態が出現したことを示している。つまり、低温電荷分離相に光をあてると、氷が溶けて水になるように、二量体の価数の秩序が乱れて電子が動き出し金属状態が生まれていることがわかった。

この光による状態変化は、光スイッチ材料への展開を可能とする重要な特性である。その発生機構に関しては、二量化の強さ(度合い)が変わるような構造変形が光励起によって超高速で引き起こされ、その結果、電子が動き出すと理論的に予測されているが、従来の手法では直接的な証拠を得ることはできなかった。

A:Me4P[Pt(dmit)2]2の光学密度スペクトルの温度依存性。電荷分離相転移(相転移温度Tc = 218 K)に伴い、スペクトル形状が大きく変化している。B:100K(低温相)における光励起後0.15 psの光学密度変化差分スペクトル(黒丸)と比較のために計算した高温相(290 K)と低温相(100 K)の光学密度の差分スペクトル。測定エネルギー域全域にわたってスペクトル形状は良い一致を示しており、光励起直後に電荷分離状態が溶けて、金属状態が生成している事を示唆している。
図2.
A:Me4P[Pt(dmit)2]2の光学密度スペクトルの温度依存性。電荷分離相転移(相転移温度Tc = 218 K)に伴い、スペクトル形状が大きく変化している。B:100K(低温相)における光励起後0.15 psの光学密度変化差分スペクトル(黒丸)と比較のために計算した高温相(290 K)と低温相(100 K)の光学密度の差分スペクトル。測定エネルギー域全域にわたってスペクトル形状は良い一致を示しており、光励起直後に電荷分離状態が溶けて、金属状態が生成している事を示唆している。

今回のパルス電子線によるコマ撮り回折像測定では、光学スペクトル測定とほぼ同じ時間分解能で、光照射により引き起こされる構造変化を捉えられた。この時間依存性を解析すると、光学測定の結果と時間変化がほぼ一致しており、同じ変化を構造と電子状態両面から見ていることが確実となった。理論予測通りに、電子状態変化と結晶格子構造変化との密接な関連性を示す結果である。

さらに、ミラーグループのアレクサンダー・マークス博士の協力のもと、ある程度自由に原子位置を動かし、実際の回折像測定データを再現する構造を決める手法でヘイズ博士がデータ解析を行った。この解析手法では、これまで行われていた原子分子の特定の動き方を特定したモデル解析と違い、想定外の動き方を再現することも可能である。

この解析結果を基にして、2兆分の1秒の時間分解能(測定間隔は5兆分の1秒)と100分の1 nm以下の空間分解能を併せ持つ分子動画を作成した。図3は、作成した分子動画の一部である。すると、実際の分子の動きはごく限られた少数の典型的な動きの重ね合わせであることが、明確となった(図4)。その動き方の一つ(分子の回転運動:図4中の緑矢印)は、今回の研究で用いた解析手法なくしては発見が困難だったため、これまで誰も予想をしていなかった。分子動画から判明した原子分子の動きを用いると、これまでの光学測定の結果も矛盾なく説明できる。

A:光励起前のPt(dmit)2二量体の構造の模式図。灰色の球がPt原子、黄色の球がS原子、黒色の球がC原子を表す。B:電子線回折像を解析して作成した、各遅延時間におけるPt(dmit)2二量体の構造。Aの模式図と同じ方向から見ており、白い球体が各原子を表す。
図3.
A:光励起前のPt(dmit)2二量体の構造の模式図。灰色の球がPt原子、黄色の球がS原子、黒色の球がC原子を表す。B:電子線回折像を解析して作成した、各遅延時間におけるPt(dmit)2二量体の構造。Aの模式図と同じ方向から見ており、白い球体が各原子を表す。
本研究で判明した構造変化ダイナミクスのまとめ。図中丸は、Pt原子を表し、長方形はdmit配位子を表す。色分け(凡例参照)は、光学測定から判明した二量体の価数や二量化度の強さの違いを区別している。矢印は電子線回折から判明した原子位置の動きを表す。緑矢印で表される分子全体の回転運動は、これまで予想されていなかった動きである。
図4.
本研究で判明した構造変化ダイナミクスのまとめ。図中丸は、Pt原子を表し、長方形はdmit配位子を表す。色分け(凡例参照)は、光学測定から判明した二量体の価数や二量化度の強さの違いを区別している。矢印は電子線回折から判明した原子位置の動きを表す。緑矢印で表される分子全体の回転運動は、これまで予想されていなかった動きである。

今後の展開

今回の研究成果により、光照射に応答した構造変化を直接観測できたため、理論モデルとの明確な比較が初めて可能となった。また初期過程においてこれまで考慮されていなかった分子の動きが観測されたことは、本物質を基にした光機能性分子材料の設計方針に重要な知見を与えるものである。

超短時間パルス電子線による電子線回折像のコマ撮り測定と特定の原子の動き方を仮定しない構造の時間変化決定手法の組み合わせは、汎用的で他の複雑な系にも適用できる。例えば、生体分子における光合成過程のような、思いもよらない複雑な動きをする場合にも、光照射に応答した構造変化の時間依存性を直接目で見て理解する道を拓くと期待される。

また、本研究で用いた超短時間パルス電子線を用いた高い時間分解能を持つ電子線回折像測定装置は、ドイツ国内でミラーグループが運用しているものであるが、ほぼ同じ性能を持つ装置を羽田博士が現所属の岡山大学で立ち上げ、運用を開始しており、国内において同様の測定が現時点で可能となっている。

用語説明

[用語1] 光スイッチ : 光をあてている間だけ電気が流れたり、色が変わったりするなど、光をあてることで起こる状態変化を使って、電気回路中のスイッチのような切り替え制御の役割を果たすこと。

[用語2] 分子性結晶 : 分子が分子構造を保ったまま、集合して結晶化した固体。分子が単位となって物性現象が起こる。

[用語3] 回折像測定 : X線や電子線の持つ波としての性質を利用して、測定対象の物質にあてた時に物質内部の周期性により出来る回折パターンを観測し、そのパターンを解析する事によって、原子や分子の位置を決定する事を目的とした測定。

[用語4] 光エネルギー変換 : 光の持つエネルギーを取り出して、電気回路やエンジンを動かすような別の形のエネルギーに変換すること。

[用語5] 光スペクトル : 物質が光をどの程度反射するか透過するかなどについては、あてた光の波長によってその割合が変わる。このような波長依存性を指す。光をあてた対象物質の性質を反映する。

[用語6] 電子状態 : 固体中の電子は単独で自由空間にいる場合と異なり、周りに存在する多数の原子や分子の特性やそれらが構成する結晶の周期性によって、その動きやすさや空間的な分布の仕方などが決まる。これによりその固体の持つ様々な性質(電気の流しやすさや磁性の有無など)が決まる。

[用語7] 超短パルスレーザー光源 : ごく短時間だけ光るカメラのフラッシュのような光(“パルス光”と呼ぶ)を発するレーザー光源。ここでは、パルスの時間幅として、1 psよりも短い程度のものを指す。

[用語8] 電荷分離相転移 : 同じ種類の分子や二量体[用語9]が同じ価数を持っている状態から、電子のやり取りが起こる事で、違う価数の分子や二量体が存在する状態になる事。対象物質では、温度変化によってこのような状態変化が起こる。

[用語9] 二量化 : 分子二つが強く結合して、あたかも一つの分子のようにみなした方が良い状態になることを指す。また、結合した二つの分子をまとめて、“二量体”と呼ぶ。

論文情報

掲載誌 :
Science
論文タイトル :
Direct observation of collective modes coupled to molecular-orbital driven charge transfer
著者 :
Tadahiko Ishikawa, Stuart A. Hayes, Sercan Keskin, Gastón Corthey, Masaki Hada, Kostyantyn Pichugin, Alexander Marx, Julian Hirscht, Kenta Shionuma, Ken Onda, Yoichi Okimoto, Shin-ya Koshihara, Takashi Yamamoto, Hengbo Cui, Mitsushiro Nomura, Yugo Oshima, Majed Abdel-Jawad, Reizo Kato, R. J. Dwayne Miller
DOI :

問い合わせ先

(研究に関する事)

大学院理工学研究科 物質科学専攻
助教 石川忠彦

Email : tishi@chem.titech.ac.jp
Tel / Fax : 03-5734-2614

大学院理工学研究科 物質科学専攻
教授 腰原伸也

Email : skoshi@cms.titech.ac.jp
Tel / Fax : 03-5734-2449

ドイツ マックス・プランク物質構造ダイナミクス研究所(MPSD)
博士 スチュアート・ヘイズ (Stuart A. Hayes)

Email : stuart.hayes@mpsd.mpg.de
Tel : +49 (0) 40 8998-6219

ドイツ マックス・プランク物質構造ダイナミクス研究所(MPSD)
教授 ドウェイン・ミラー(R. J. Dwayne Miller)

Email : dwayne.miller@mpsd.mpg.de
Tel : +49 (0) 40 8998-6260

理化学研究所 加藤分子物性研究室
主任研究員 加藤礼三

Email : reizo@riken.jp
Tel / Fax : 048-467-9408 / Fax : 048-462-4661

愛媛大学 大学院理工学研究科 環境機能科学専攻
准教授 山本貴

Email : yamataka@ehime-u.ac.jp
Tel / Fax : 089-927-9608

(JST事業に関する事)

科学技術振興機構 戦略研究推進部
グリーンイノベーショングループ
鈴木ソフィア沙織

Email : crest@jst.go.jp
Tel : 03-3512-3531 / Fax : 03-3222-2066

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東京工業大学 広報センター

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科学技術振興機構 広報課

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東工大 グローバル水素エネルギーコンソーシアム発足記念シンポジウム 開催報告

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将来の水素利用体系に関する、総合的かつ技術的な検討を産学官が連携して推進する組織として、「東工大グローバル水素エネルギーコンソーシアム」が発足しました。

この発足を記念したシンポジウムが、11月26日、東工大蔵前会館で開催されました。当日は300人を超える参加者が集まり盛況となりました。三島良直学長は、冒頭のあいさつで「とてもチャレンジングなコンソーシアムで、成長していってほしい」と期待を寄せると、谷明人経済産業省技術総括審議官も「このコンソーシアムが関連する個別技術のまとめ役となってほしい」と強く要望していました。

三島良直学長

三島良直学長

谷明人氏

谷明人氏

岡崎健特命教授

岡崎健特命教授

コンソーシアムの全体的な構想については、コンソーシアムの代表でもある岡崎健特命教授(ソリューション研究機構)が説明し、「燃料電池以外の水素の利用技術もさまざまに抱合し、将来の水素利用体系について総合的な検討を、技術面に重点を置きながらやっていきたい」との方向性を示しました。

コンソーシアムの目的については、伊原学教授(化学工学専攻)が説明し、「関連する技術を中立的に評価するためにその基盤の構築を目指すとともに、ボトルネック技術を明らかにして、その要素技術の開発・実証を行う」と言明しました。

その後、このコンソーシアムに参加する11の企業・組織から取り組みについてのプレゼンテーションがありました。

  • 「未利用資源"褐炭"から造るクリーン水素サプライチェーン構想」
    川崎重工業株式会社 西村元彦氏 (水素チェーン開発センター副センター長、理事)
    西村氏はオーストラリアの褐炭から水素を作り、サプライチェーンを作り上げる構想を紹介しました。

  • 「SPERA水素システムと今後の展望」
    千代田化工建設株式会社 岡田佳巳氏 (技師長)
    岡田氏も水素サプライチェーンに触れ、既存のインフラを使うプランを解説しました。

  • 「弊社酸素吹き石炭ガス化技術の水素製造技術への適用について」
    電源開発株式会社 作野慎一氏 (技術開発部研究推進室上席課長)
    水素を製造する技術に酸素吹き石炭ガス化技術を適用させる取り組みを紹介しました。

  • 「水素社会への取り組みについて」
    三菱商事株式会社 大槻晃嗣氏 (地球環境・インフラ事業グループ、環境事業本部 環境 R&D 事業部 事業部長)
    大槻氏は、水素を運ぶ技術ができれば、例えば赤道上の太陽光発電で作ったCO2フリー水素を運ぶことも可能だと話しました。

  • 「水素に関する取り組み」
    東京ガス株式会社 藤田顕二郎氏 (エネルギーシステム研究所長)
    藤田氏は、水素を導入していく3ステップ(燃料電池の普及→水素自動車用の本格普及→化石燃料の代替)をわかりやすく説明しました。

  • 「大阪ガスの水素エネルギーに関する取り組み」
    大阪ガス株式会社 田中琢実氏 (技術戦略部 企画チーム)
    田中氏は高効率の家庭用・業務用・産業用の定置用燃料電池の導入と水素ステーションの整備に貢献したいと語りました。

  • 「イワタニの水素事業のご紹介」
    岩谷産業株式会社 中島康広氏 (プロジェクト部マネージャー)
    中島氏も、水素自動車の普及に向けた国内の水素供給体制の確立を目標に掲げました。

  • 「水素供給 ―つくる、はこぶ、ためる― への取組みと課題」
    JX日鉱日石エネルギー株式会社 斎藤健一郎氏 (中央技術研究所上席フェロー)(東京工業大学 AESセンター 特任教授)
    斎藤氏は、まずは化石燃料由来の水素で水素自動車の普及を支え、長期的には再生可能エネルギーによる水素の活用に向かいたいとの意向を示しました。

  • 「CO2フリー水素システム ―普及の可能性と今後の動向―」
    一般財団法人 エネルギー総合工学研究所 坂田興氏 (プロジェクト試験研究部部長、参事)
    坂田氏は、水素の製造・輸送・貯蔵の技術開発は、今まで結びつかなかったものが結合しイノベーションを引き起こすとの見解を披露しました。

  • 「水素利活用に向けた高砂熱学の取組み」
    高砂熱学工業株式会社 加藤敦史氏 (技術研究所 主査)
    加藤氏は、CO2の排出量が多い業務部門への水素利活用技術について紹介しました。

  • 「株式会社日本製鋼所における水素社会に向けた取り組みについて」
    株式会社日本製鋼所 久保和也氏 (システム技術グループ主任研究員)
    久保氏は、水素を貯蔵する技術をベースに蓄圧器や圧縮機、貯蔵合金の開発の取り組みを報告しました。

会場の様子
会場の様子

東京工業大学の取り組みについては、3人の教授が説明しました。加藤之貴教授(原子炉工学研究所)は水素エネルギーの関連研究を紹介し、平井秀一郎教授(環境エネルギー機構長)は、燃料電池の関連研究を解説しました。山田明教授(電子物理工学専攻)は、数多くの太陽光エネルギー関連研究を紹介しながら、人材育成から先端研究を一貫して推進していることを強調しました。

最後に、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議議員の久間和生氏が講評しました。「米国、欧州、中国と戦っていくには、オールジャパン体制で圧倒的に強い基盤技術を創出することが重要で、国内の企業や大学が連携するこの取り組みは素晴らしい」と熱をもって話しました。閉会のあいさつでは安藤真理事・副学長(研究担当)が「大変先進的で素晴らしい取り組みで、何年後に何ができているのか明確になっていくことが楽しみ」と期待を寄せていました。

お問い合わせ先

グローバル水素エネルギーコンソーシアム事務局
Email : ghec@ssr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3335

すずかけ台キャンパスにて第15回料理教室開催~押しずし&メキシコのチキン料理

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12月9日、すずかけ台キャンパスの生協食堂にて、今年度2回目となる料理教室が開催されました。この料理教室は、東工大生協と保健管理センターすずかけ台分室の共催で行われるもので、今回で15回目を迎えます。

作業を分担

作業を分担

今回のメニューは以下の4品です。

  • 押しずし
  • ミラネサ・エンパニサド(メキシコのチキン料理)
  • エリンギと小松菜のお吸い物
  • 寒天苺ミルクデザート

押しずしは牛乳パックを使い土台を作成し、錦糸卵作りは交互に全員で行いました。スモークサーモンといくら、アスパラガスで飾りを施し、クリスマスやお正月にも楽しめる1品に仕上がりました。

ミラネサ・エンパニサドはチキンのカツレツです。鶏の胸肉をラップで包み、コップや皿などで平らに伸ばし、卵とパン粉をつけて油で揚げました。まずメキシコ人留学生がデモンストレーションを行い、皆で作成しました。お手製サルサをかけておいしく頂きました。

メキシコ人留学生によるデモンストレーション

メキシコ人留学生によるデモンストレーション

錦糸卵作り

錦糸卵作り

各グループで作業を分担しながら、円滑なコミュニケーションを図り、4品を完成させました。総勢17名中15名が留学生の参加でした。

盛り付け完了
盛り付け完了

集合写真
集合写真

お問い合わせ先

保健管理センターすずかけ台分室
Email : nurses@jim.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5107


2015年度前期の附属図書館企画展示 開催報告

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東工大附属図書館では、所蔵資料の利用促進のため、1年を通じて企画展示を行っています。テーマは2~3ヶ月毎に変更します。基本的に図書館サポーター※1の学生が本を選び、ポスターや配布用のリストとコメントを書いたポップの作成を行っています。

2015年度前期に実施した展示を紹介します。

  • 新入生にすすめる本 展示風景

    新入生にすすめる本 展示風景(すずかけ台)

  • 通学・通勤カバンの中にこの1冊 展示風景(大岡山)

    通学・通勤カバンの中にこの1冊 展示風景(大岡山)

図書館サポーター推薦:新入生にすすめる本

展示期間:4月1日~5月31日

新入生にすすめる本

毎年4月の恒例企画です。図書館サポーターの学生が自身の経験に基づいて、新入生におすすめの本を選びました。授業の理解に役立つ本のみならず、プレゼンテーションやレポートのコツが学べる本、留学に関する本、長期休暇に訪れたい世界の名所を紹介した本など、大学生活を幅広く応援する内容となりました。また、それぞれの本に添えられた先輩からのコメントはどれも説得力があり、ポップを熱心に読む新入生の姿が頻繁に見られました。配布用に印刷した展示本リストは置くたびにすぐなくなるなど、大変好評でした。

紹介されている本とその推薦文は、以下のリストをご覧ください。

図書館サポーター推薦:通学・通勤カバンの中にこの1冊

展示期間:7月24日~9月30日

図書館サポーター推薦:通学・通勤カバンの中にこの1冊

通学・通勤に電車やバスを利用されている方の中には、移動時間や待ち時間を何かに活用したいと思っている方もいらっしゃるでしょう。そんなスキマ時間を充実させるような、持ち運びやすい文庫、移動時間にもキリよく読める短編小説、気軽に楽しめる雑学の本などが並びました。展示した本はほとんどがすぐに借りられました。特に人気があって何度も借りられていたのが、「99.996%はスルー」や「直感を裏切る数学」などブルーバックス※2の新書だったところが、東工大らしい光景でした。

紹介されている本とその推薦文は、以下のリストをご覧ください。

図書館サポーター
カウンター対応の補助、書架の整理、資料の整備、広報活動、展示等の企画、図書館利活用の相談など、図書館内でさまざまな仕事を補助する本学学生
ブルーバックス
「科学をあなたのポケットに」をテーマに講談社が発行する、自然科学系の新書シリーズ

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問い合わせ先

研究推進部 情報図書館課 利用支援グループ

Tel : 03-5734-2097

附属高校科学部が"楽しく""実感"「ピタゴラはやぶさ2」を製作

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東京工業大学附属科学技術高等学校(以下、附属高校)の科学部では、はやぶさ2の打ち上げにあわせて2014年より、展示物「ピタゴラはやぶさ2」を製作しています。これは、NHKのピタゴラスイッチでおなじみのピタゴラ装置を使って、はやぶさ2のミッションの旅路を紹介するものです。子どもから大人まで大勢の人に、「はやぶさ2のミッションの内容や真価を“楽しく”“実感”してもらいたい」という考え方で作られました。

 実物は、附属高校の文化祭「弟燕祭」で二日間限定の展示でしたが、現在はYouTubeで公開しています。

「ピタゴラはやぶさ2 Sason2」全景

「ピタゴラはやぶさ2 Sason2」全景

二年目の今年は2015年10月3、4日の「弟燕祭」で「ピタゴラはやぶさ2 Season2」が披露されました。小惑星Ryugu(1999JU3)へ着地寸前の姿で、約1メートルの高さにそびえ、その周りに縦横無尽にピタゴラ装置が巡らされています。

今年紹介しているミッションは「スイングバイ」「軌道調整」「安全退避」「クレータ生成」「サンプル採取」の五つです。これに、打ち上げと帰還の二つの要素が加わり、参加者はわずか30秒余りではやぶさ2の旅路を辿ることができます。

搭載しているピタゴラ装置
搭載しているピタゴラ装置

参加者体験型装置

目的地の小惑星Ryuguへと伸びた一筋のクモの糸を進むような、はやぶさ2の難業を疑似体験することができます。

参加者がプール用の空気入れを踏むと、ストローで作られたでH-IIロケットがリフトオフし、その後ロケットに弾かれるようにして、はやぶさ2(直径16ミリの鉄球)が旅を開始します。

世間で話題になった「スイングバイ」は、斜面の勾配と磁石を使い目に見えないコースを作ることで再現しています。鉄球の勢いがよすぎればコースアウトしてしまうため、力の調整が難しいです。続く「軌道調整」では、参加者がコントローラで進路を決めることができます。

参加者が進路を決める「軌道調整」
参加者が進路を決める「軌道調整」

コントローラでイオンエンジンを操作すると、点灯したイオンエンジンの反対側に移動。ただし、操作から動き始めるまでの、宇宙通信を模したタイムラグに、ついオーバーコントロール。

はやぶさ2ならではのミッションの装置

ドミノを使った「安全退避」の仕組

ドミノを使った「安全退避」の仕組

はやぶさ2は、Ryuguから地球生命の原材料を含むと考えられるサンプルを持ち帰るため、金属片をRyuguに打ち込んで人工クレータを作り、新鮮な内部を表出させてサンプルを採取します。この時、事前にRyuguの背後に回り込み、打ち込みの際の衝撃を回避してから再び採取位置に戻ります。これは、はやぶさ2ならではの高度な技術ミッションです。

「ピタゴラはやぶさ2」では、「安全退避」として、Ryuguを取り巻くドミノによる軌道を、赤い退避ゾーンから安全な青いゾーンへと駆け抜けていく様子で表現しています。そして、続く「クレータ生成」では、宇宙風化した表面として茶色いココアパウダー、その下層に白い小麦粉層という二層構造の疑似小惑星表面に金属球を落とし、内部のフレッシュな白い小麦粉層が飛び散ってクレータを描く様子を、その場で楽しみながら体験できるようになっています。

ココアを使った「クレータ生成」の仕組
ココアを使った「クレータ生成」の仕組

茶色い表面に、内部から飛び出した白い小麦粉が描いた、目の前でできたばかりのクレータが見られる。月のクレータの形状を手本にして、事前実験を重ねた自信作

東京工業大学附属科学技術高校 科学部顧問 成田彰のコメント

科学部が10年前に宇宙技術班を立ち上げた頃、ほとんどの高校生にとって、宇宙技術は、手の届かない憧れるだけのものでした。その後、東工大ものつくり教育研究支援センターによる「ロケットガール&ボーイ養成講座・東京チーム」に参加の機会を得て東工大生と一緒にハイブリッドロケットを作る体験を経て、今、自分たちの手で模擬人工衛星「缶サット」を作り、高校生対象の競技会「缶サット甲子園」に出場しています。そして、小さいながらも自分たちの模擬宇宙ミッションのプロジェクトを動かして、その過程にある困難と克服、失敗と復活を知りつくしています。

そんな自分たちならではの仕事として、はやぶさ2のミッションの難度をピタゴラ装置の動作に置き換えて、そして、それを楽しく体験していただくことを思いつきました。憧れるだけではなくなった高校生たちの手による「ピタゴラはやぶさ2」で、おもしろさの中にはやぶさ2の凄さと真価を見つけ、ともに宇宙技術の魅力を実感していただければと願っています。

「ピタゴラはやぶさ2」は、2020年のはやぶさ2の帰還までバージョンアップして行く予定です。ぜひ附属高校の弟燕祭(例年10月実施)で、現物を前にして、ピタゴラ装置が描くミッションに楽しくハラハラドキドキしながら、はやぶさ2(そして、他の探査機や人工衛星、ロケットも)が成し遂げている偉業を御一緒に確かめて下さい。

お問い合わせ先

東京工業大学附属科学技術高等学校 科学部
Email : sci_club@hst.titech.ac.jp
Tel : 03-3453-2251

講演会「多様な人材が職場で活躍する社会の実現に向けた日本企業の取り組み」開催

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11月25日、大岡山キャンパス西8号館10階大会議室で、英語による講演会「Japanese Corporate Efforts to Realize Dynamic Engagement of Diverse Human Resources(多様な人材が職場で活躍する社会の実現に向けた日本企業の取り組み)」が開催されました。日本経済団体連合会(経団連)教育・スポーツ推進本部副本部長の長谷川知子氏をお招きしました。

講演中の長谷川氏
講演中の長谷川氏

この講演会は、東工大の学生交流プログラムYSEP (Young Scientist Exchange Program)が主催したもので、当日の参加者は約80名でした。東工大の海外協定校からの受け入れ学生、協定校への派遣予定学生の他、本学の正規課程で学ぶ留学生や教職員も参加しました。

講演会冒頭、水本副学長は開会の挨拶を述べるとともに、イノベーション人材養成機構outerの博士課程学生キャリア教育プログラムにおいて、長谷川氏の尽力により企業との連携が実現したことへの感謝の意を表明しました。

水本副学長による開会の挨拶
水本副学長による開会の挨拶

講演会では長谷川氏はまず、経団連の概要と日本企業がグローバル人材を求める背景を紹介しました。経団連が企業に対して実施したアンケート結果に基づき、企業が求める人材像や、外国人留学生の採用状況、経団連による日本人学生の海外留学の支援、女性が働きやすい労働環境づくりに関する取り組みが説明されました。この内、企業が求める能力については、理系文系ともに「論理的思考力と問題解決能力」がトップであるものの、理系については、「専門分野の知識」が次ぎ、文系とは異なる傾向が見られました。また、外国人留学生を採用したことのある会員企業は55%に上りますが、採用者に占める外国人留学生の割合は5%未満の企業が4分の3に上ることが示されました。

さらに、経団連はグローバル人材の育成を促進するため、2012年に日本人の海外留学生のための奨学金を創設したり、留学帰国生及び外国人留学生向けの合同就職説明会・面接会「経団連グローバル・キャリア・ミーティング」を開催したりしています。女性の役員・管理職への登用を推進するため、経団連が会員企業に対して数値目標を含むアクションプランの作成を呼びかけ、既に49社が自発的に計画を作成・公表していることも紹介されました。

講演後は参加した学生から、日本企業が外国人留学生に対して期待する能力、一斉採用の背景、長時間労働の文化などについて質問が出され、長谷川氏から丁寧な回答がありました。

本講演会の後、同じ会場で派遣・受け入れ学生の交流会が開催されました。まず8つのグループに分かれ、コピー用紙の造形物の高さを競うアイスブレイクで緊張をほぐしました。その後、長谷川氏の講演を踏まえて、留学の目的、将来計画とそのための準備、日本や海外に留学した場合の注意点や便利情報などについて、活発なグループ・ディスカッションが行われました。

初対面の参加者にリラックスしてもらうための手法

作成した紙の塔の高さを競うアイスブレイク
作成した紙の塔の高さを競うアイスブレイク

集合写真
集合写真

問い合わせ先

留学生センター 佐藤由利子

Tel : 03-5734-3524

留学生交流課 上田英一

Tel : 03-5734-7645

第27回大岡山蔵前ゼミ「自動車メーカーの現状と今後の課題及び成長戦略」開催報告

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12月4日、東工大蔵前会館にて第27回大岡山蔵前ゼミが開催されました。

大岡山蔵前ゼミは、東工大の全学同窓会である蔵前工業会の東京支部が主催する、卒業生と現役学生の交流の場です。日本社会や経済をリードしている先輩を講師に迎え、これから社会に出る大学生・大学院生に、講演会と懇親会をとおして、様々な情報提供、意見交換を行っています。

講演会の様子
講演会の様子

今回は「自動車(トラック)メーカーの現状と今後の課題及び成長戦略」と題し、株式会社アイメタルテクノロジー代表取締役社長(元 いすゞ自動車株式会社 常務取締役生産部門統括) 水谷春樹氏(本学卒業生)を迎え、ご講演いただきました。学生97名、社会人44名(教職員8名、一般3名を含む)、計141名が参加し、盛会となりました。

水谷春樹氏

水谷春樹氏

講演内容は、日本の自動車(トラック)産業の現状をメーカーの視点で解説し、世界のトラックメーカーとの違い及びグローバル経済圏の動向、商品ニーズをベースとして今後の方向性を探るものでした。また、トラックに求められる製品技術の改革及び生産技術改革、仕組みの改革を中心として、今後の課題、及び成長戦略を考え過去の経験よりグローバル化対応についての事例を紹介しました。

水谷氏は、いすゞ自動車時代の経験を基に講演しました。

経験のひとつ目は、1997年、ポーランドでのジーゼルエンジンの現地生産法人、いすゞモーターポルカの創立です。当地は特有の色がなく、教育水準も高く、日本的経営の導入が容易だったとうです。

もうひとつは、アメリカの自動車メーカー ゼネラルモーターズ(GM)出資比率50%の会社 ディーマックス リミテッド社長としての、アメリカ赴任の経験です。世界のGMが、急速に業績を悪化させ、崩壊する様子を話しました。業績悪化の原因は、高価な大型車中心の生産を続け、中・小型車に移行した市場変化に対応できなかった上に、従業員の給与の高さにある、と水谷氏は述べました。「変化に対応できる会社のみが生き残る」とし、「企業は幅広い教養を持ち、独創的な人材を望んでいる。皆さんにもそのようになってほしい」と話を結びました。

講演会後の懇親会では、卒業生と現役学生との交流が行われました。水谷氏は、食事もできないほど大勢の学生に質問攻めに合っていました。

現役学生からの質問に水谷氏が回答
現役学生からの質問に水谷氏が回答

ELSI/Kavli IPMU 合同一般講演会「起源への問い」

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2016年1月10日、日本科学未来館 未来館ホールにおいて東京工業大学地球生命研究所(ELSI)と東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)との合同一般講演会を初開催いたします。

宇宙・地球・生命...その起こりはどのようなものだったのでしょう。私たちは歴史のなかで、たえずこの問いに向き合ってきました。

本講演会では宇宙・地球・生命の起源について、今どこまで解き明かされているかその最先端のサイエンスをわかりやすくお話しするとともに、起源を問うとはどういうことなのかという根源的な話題について、サイエンティストと哲学者が対話します。

年初です。昨年といわず起源を振り返ってみませんか?

日時
2016年1月10日(日) 13:00~16:30(開場12:30)
場所
  • 日本科学未来館 未来館ホール(お台場)outer
  • 〒135-0064 東京都江東区 青海2-3-6
  • 新交通ゆりかもめ 「船の科学館駅」下車、徒歩約5分/「テレコムセンター駅」下車、徒歩約4分
  • 東京臨海高速鉄道りんかい線 「東京テレポート駅」下車、徒歩約15分
主催
東京工業大学地球生命研究所・東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
対象
高校生以上
参加費
無料
定員
  • 300名
  • 応募多数の場合は抽選となります。
  • 抽選は中高生、初回参加者、既参加者の枠を設け、各枠内で行います。
  • 抽選の結果は、当選、キャンセル待ち、落選のいずれかをお知らせいたします。
  • キャンセル待ちでお知らせした方には、当日のキャンセル待ちをご案内いたします。
申し込み
応募フォームouterをご利用ください。
締め切り:12月27日
通知
決定の通知は12月28日にご連絡いたします。

ELSI/Kavli IPMU 合同一般講演会「起源への問い」ポスター

問い合わせ先

東京工業大学地球生命研究所

E-mail : pr-mail@elsi.jp
Tel : 03-5734-3163

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