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平成28年度学士課程入試(前期日程)における受験票発送の誤りについて(お詫び)

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本学の平成28年度学士課程入学試験(前期日程)において、受験票の発送を取り違える誤りがありました。

これは、出願資格(基準点)を満たしていない者(5名)に対して受験票を送付するとともに、資格を満たしている者(5名)に対して資格のない旨の通知を行ったというものです。

受験生及び保護者、関係の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げますとともに、今後は、全学を挙げて再発防止に努めてまいります。

なお、該当する受験生に対しましては、すでに個別に連絡させていただきました。

基準点:本学が指定する大学入試センター試験5教科7科目の成績(得点合計)で600点

東京工業大学長 三島良直


ユネスコ・バンコク事務所との学術交流協定の締結

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東京工業大学と国連教育科学文化機関(ユネスコ)バンコク事務所(以下、ユネスコ・バンコク事務所)の学術交流協定(全学協定)が締結されました。

2015年12月11日、ユネスコ・バンコク事務所のグアンジョ・キム所長と日本信託基金(JFIT)コーディネーターの筒井清香氏が東工大を訪問し、調印式が行なわれました。今回の協定締結は、国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標達成に向け、アジア太平洋地域において、科学技術を活用した貢献を両機関で連携して進めていくことを目的としています。

キム所長(左)と三島学長(右)
キム所長(左)と三島学長(右)

1961年に設立されたユネスコ・バンコク事務所は、主に2つの機能を有しています。まず、アジア太平洋地域教育局として、域内のユネスコ加盟国や各国のユネスコ事務所に対し、教育分野における政策助言、技術支援、能力強化、ネットワーク作り等を推進しています。それと共に、メコン地域6か国(カンボジア・タイ・ベトナム・ラオス・ミャンマー・シンガポール)の統括拠点として、同諸国における教育、科学、文化、情報、コミュニケーションに関するユネスコの全プログラムの運営を実施しています。

東工大とユネスコとの連携は、1960年代にユネスコと文部省(当時)の共催により実施した、開発途上国の化学・化学工学分野における若手育成ユネスコ大学院研修講座の開設にさかのぼります。38年間にわたる同事業を通じ、約500名の若手研究者が本学で学びました。また、2004年から2007年には、アジアのユネスコ加盟国の若手研究者を対象とした水資源管理と環境に関する1年間のプログラム「東工大―ユネスコ国際研究コース」を実施し、34名が同プログラムを修了しました。

近年では、本学の学術国際情報センター(GSIC)と大学院理工学研究科国際開発工学専攻が中心となり、情報技術を活用した教育分野、文化分野での様々な共同研究・協働事業を実施しています。これまでユネスコ本部世界遺産センター、ユネスコ・バンコク事務所と学術交流協定(部局間協定)を結びました。現在、GSICの山口しのぶ教授、国際開発工学専攻の高田潤一教授、山下幸彦准教授がアジア・太平洋地域における教育研究オンラインデータベースの開発・運用への技術支援を行い、山口・高田研究室の学生もユネスコ・バンコク事務所で同支援プログラムにインターンとして参加しました。

(左から)広瀬特任教授、筒井JFITコーディネーター、キム所長、三島学長、山口教授、高田教授
(左から)広瀬特任教授、筒井JFITコーディネーター、キム所長、三島学長、山口教授、高田教授

今回の協定の締結により、両機関の連携の歴史に新たなページが記されました。キム所長は、今回の協定締結を「実に建設的で実践的」と評し、「ユネスコにとっても東工大と協定をこのタイミングで締結できたことは素晴らしいことだ」と述べました。

本協定により、教育、科学、文化、そして情報とコミュニケーションの分野における共同プロジェクトの実施、職員交流、ユネスコ・バンコク事務所への本学大学院生のインターン派遣の機会拡大等、更なる連携が期待されています。

調印式及び調印式前に行われた懇談には、山口教授、高田教授、グローバルリーダー教育院の広瀬晴子特任教授、加藤隆行国際部長、塚田由佳国際連携課長が同席しました。

テレビ朝日じゅん散歩「理系の最高峰・東工大は陶工大!?」

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2月18日に放送予定のテレビ朝日「じゅん散歩」で、高田純次さんが東工大を散歩します。

「じゅん散歩」は高田純次さんの出演する散歩番組で、以前は、地井武男さんの「ちい散歩」、加山雄三さんの「若大将のゆうゆう散歩」が放送されていました。

東工大は、加山雄三さんの「若大将のゆうゆう散歩」でも登場したことがあり、今回2回目の登場となります。

百年記念館
百年記念館

  • 番組名
    テレビ朝日「じゅん散歩」
  • 放送予定日時
    2月18日(木) 9:55~10:30
  • 内容
    高田純次が自由気ままに「大岡山」を散策/理系の最高峰・東工大は陶工大!?/和菓子店の地下で鉄道模型を発見/1個100円!たい焼きならぬくり焼き!?

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

未利用の太陽光エネルギーを利用可能にする透明・不燃な光波長変換ゲルを開発―太陽電池や光触媒等の変換効率向上に資する材料革新

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要点

  • イオン液体を有機色素とともにゲル化した“光波長変換イオノゲル”を開発
  • 透明、不燃、非流動、不揮発という長所をすべて備えた、応用に適した形態の光アップコンバージョン材料(長波長光を短波長光に変換する波長変換材料)
  • 太陽電池や光触媒などの変換効率向上技術の応用可能性を大きく広げた

概要

東京工業大学大学院理工学研究科の村上陽一准教授らは、日本化薬株式会社と共同で、不燃性と不揮発性、光学透明性、非流動性をすべて兼ね備えた、光エネルギー変換に未利用な長波長光を利用可能な短波長光に変換する“光波長変換イオノゲル”の開発に世界で初めて成功した。このような波長変換を“光アップコンバージョン”という。本成果は「イオン液体[用語1]を色素とともにゲル化する」という着想により実現したもので、太陽電池や光触媒など幅広いエネルギー変換効率の向上を行うための、応用に適した材料開発の成果である。

太陽光に適用できる光アップコンバージョン材料は従来、流体(有機溶媒)ベースが大半であり、応用に適さなかった。また、流動性抑制のためにポリマー埋め込みや溶媒のゲル化等を行った場合でも、可燃性や揮発性、光学的な濁りなどを伴い、応用実現に向けて問題が存在していた。

本成果はこうした従来の問題点を一挙に解決したもので、材料面の課題が存在していた光アップコンバージョン技術の応用可能性が大きく広がることになる。

本成果は2月4日発行の米国化学会誌「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリーBouter」に掲載され、注目すべき成果として同誌の表紙を飾った。

研究成果

社会における太陽光エネルギーの役割はますます重要となっている。ところが、太陽電池や光触媒、人工光合成などの光エネルギー変換では、各材料に固有の“しきい値波長”が存在し、それより長波長側の光はたとえ何ワットあっても変換に利用されずエネルギー損失となり、これが変換効率に根本的な制限を与えている。現状では使うことができていない長波長の光を、エネルギー変換に利用可能な“より短波長の光”に変換するのが、光アップコンバージョン技術である。

下図に開発した試料を示す。これは「イオン液体[用語1]を色素とともにゲル化する」という独自の着想により創製された。ゲル化剤には最適と判断されたポリマー塩[用語2]を用いた。イオン液体にゲル化剤と色素を添加する方法と条件について試行錯誤と最適化を重ねた結果、優れた均一性、ゲル強度、光学透明性を達成する試料作製法を見出し、波長変換機能をもつイオノゲルを開発した。

開発した試料

図. 開発した試料

図A~Dはガラス容器に厚さ6 mmのゲル試料が入った写真である。図Aは試料の高い光学透明性を示している。図Bは試料を倒置している写真であり、形態安定性を示している。図Cはこの試料に赤色の光を入射(約10 mW)すると、より波長の短い青色の発光に変換されることを示している。図Dは試料を直接炎に3分間さらしても着火しない不燃性を示している。図Eは試料の光吸収と発光のスペクトルを示している。

今回の研究から、驚くべきことに、ゲル内部における色素分子の拡散係数が、ゲル化剤を添加しない流動性のある試料の場合から低下しないことが分かった。これは直感に反する一方、応用には有利な結果である。すなわち、イオン液体をゲル化して流動性を抑制しても、アップコンバージョン効率に影響する色素分子の拡散性は全く犠牲にならないという特長が発見された。具体的に、流動性のあるイオン液体試料と流動性が抑制されたイオノゲル試料との間で全ての励起光強度において同じアップコンバージョン効率を示すことが見出された。さらに、このゲルは温度によって可逆に“液体 ⇔ ゲル”と変化する物理ゲルであるため、応用においては複雑な形状をした容器への注入と、廃棄時の容器からの抜き取りが容易に行えるという長所も存在している。

背景と経緯

太陽光やランプ光のような、いわゆるレーザー光でない光を“非コヒーレント光”という。非コヒーレント光に適用できる光アップコンバージョン技術では、従来は流体(有機溶媒)ベースが大半であり、応用に適さない形態だった。また、流動性抑制のためにポリマー埋め込みや有機溶媒のゲル化を行った従来の光アップコンバージョン材料でも高い可燃性や揮発性があり、あるいは光学的に濁り、応用実現の障害となっていた。

応用はこれらのどれかに一つに問題があっても困難となる。特に太陽電池や光触媒などで大規模に使用する場合、安全面での“不燃性”、安定性と環境負荷の少なさの面での“不揮発性”、および漏洩リスク防止の面での“非流動性”が強く求められていた。今回開発した波長変換材料は、これらの全てを同時に達成した、非コヒーレント光に適用可能な初めての光アップコンバージョン材料となる。

今後の展開

光吸収波長と発光波長は使用する色素によって変えることができ、使用可能な色素は有機合成の自由度の高さにより事実上無数存在している。すなわち、本成果は、光アップコンバージョン技術の応用に向けて普遍的な解決を与える基盤的材料開発である。今後は各目的に対して最適な色素側の開発・探索が課題となる。

用語説明

[用語1] イオン液体 : 近年注目を集めている、“第三の溶媒”と呼ばれる不燃で実用上不揮発な常温溶融塩。イオンのみからなり、室温付近で液体の塩(有機塩)、と定義される。
参考文献:イオン液体,高分子学会 [編集],共立出版2012.

[用語2] ポリマー塩 : 本研究で用いたイオン液体の陰イオンと共通の陰イオンをもつ高分子塩で、ACS Macro Lett.20121,1108–1112においてイオン液体のゲル化能が報告されたものを合成、使用した。

論文情報

掲載誌 :
Journal of Physical Chemistry B
論文タイトル :
Transparent and Nonflammable Ionogel Photon Upconverters and Their Solute Transport Properties
著者 :
Y. Murakami, Y. Himuro, T. Ito, R. Morita, K. Niimi, and N. Kiyoyanagi
DOI :

問い合わせ先

大学院理工学研究科 機械物理工学専攻
准教授 村上陽一

Email : murakami.y.af@m.titech.ac.jp
Tel / Fax : 03-5734-3836

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

TBSテレビ「未来の起源」に飯野裕明准教授が出演

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本学、像情報工学研究所 像情報システム部門の飯野裕明准教授が、TBS「未来の起源」に出演します。飯野准教授の研究する「液晶性の有機半導体材料」ついて紹介されます。

飯野裕明准教授
飯野裕明准教授

コメント

この度、TBSテレビの「未来の起源」の取材を受けました。テレビの取材を受けることが初めてだったため大変緊張しましたが、テレビ局の方に大変上手に取材をしていただきました。番組の中では、当研究グループで開発しました液晶性の有機半導体材料に関してできるだけわかりやすく説明し、また、実際のサンプルや作製プロセスなども取材していただきました。取材現場で手伝ってくれた研究室の皆さま、丁寧に取材をしていただきました辻村様にこの場を借りて感謝いたします。

  • 番組名
    「未来の起源」
  • 放送日
    TBS: 2月21日(日) 22:54~23:00
    (再放送)BS-TBS: 2月28日(日) 20:54~21:00

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

ELSI/Kavli IPMU 合同一般講演会「起源への問い」を開催

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1月10日、東京工業大学地球生命研究所(ELSI)と東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)は、日本科学未来館未来館ホールにて、合同一般講演会「起源への問い」を開催しました。

本講演会は、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム研究拠点が合同で主催する初めての一般向けイベントであり、ELSIの廣瀬所長の提案により開催が決定しました。

まず、Kavli IPMUの村山斉機構長が「宇宙の起源と星の誕生」というタイトルで講演をしました。

LiteBIRD計画について語る村上機構長
LiteBIRD計画について語る村上機構長

村山機構長は宇宙のはじまりとされているビッグバンやニュートリノ、暗黒物質について語り、ビッグバンの前に起こるインフレーションをLiteBIRDという計画で直接見てみたいと夢を語りました。そして最後に、「宇宙が複数個あったとして、たまたま条件の良い宇宙に地球があり、人類が生まれているのか、この宇宙の地球以外の惑星に生命はいるのだろうか」という問いを投げかけ、観客の好奇心をかきたてました。

続いて、ELSIの廣瀬敬所長が「地球の起源と生命の起源」というタイトルで講演をしました。

地球の起源について語る廣瀬所長
地球の起源について語る廣瀬所長

廣瀬所長はこの宇宙の中で地球が誕生したであろうストーリーとして太陽の周りにあった塵が衝突を繰り返し原始惑星になり、原始惑星同士のジャイアントインパクトが起こり地球に月が誕生したという惑星形成の標準モデルや、地球の海の起源やスノーライン、ハビタブルゾーンについて語りました。

そして一方で生命の起源の解明は惑星や地球の起源を解明するよりはるかに難しいとし、その理由として、現在発見されている惑星の情報は2,000近くあることに対して、地球上の生命は20種類のアミノ酸、4つのDNA塩基、共通の遺伝暗号表を用いているたった1種類しかいないため、普遍性や特異性が分かりにくいことをあげました。

その難しい状況の中で、ELSIでは、タンパク質がない状態で地球上にあった鉱物を触媒とし、原始の代謝反応(逆クエン酸回路の反応)が起き、その中でアミノ酸が合成された後に、タンパク質が合成され、最終的には鉱物ではなくタンパク質が触媒となっていたという仮説を立て、逆クエン酸回路は本当にタンパク質なしに成立するのか、二酸化マンガンのような触媒がどのようにしてタンパク質に置き換わるのかを実験室で明らかにしたいと展望を語りました。

休憩後は、東京大学共生のための国際哲学研究センターの梶谷真司センター長が「科学と世界観の系譜~人間の存在意義の歴史性~」というタイトルで講演をしました。

コペルニクスの地動説とダーウインの進化論について語る梶谷センター長
コペルニクスの地動説とダーウインの進化論について語る梶谷センター長

梶谷センター長は、まず「科学が引き起こした世界観の革命」としてコペルニクスの地動説とダーウインの進化論の説明をしました。そして、宇宙の進化と生命の進化というようにダーウインの進化論は現在も尚議論されているとし、ダーウィニズムや適者生存、進化論が社会的に与える影響などについて語り、「宇宙になぜ生命が存在するのか」「人間が地球に存在するのは偶然なのか偶然ではないのか」「私たちはどういう存在でどこに行くのか」といった問いを観客に投げかけて講演は終わりました。

鼎談「起源を問うとはどういうことか」

鼎談「起源を問うとはどういうことか」

鼎談では、梶谷センター長がモデレーターを務め、この宇宙に地球という水と緑に恵まれた星が存在することや、地球上に人間という知的な生命体が存在することは出来過ぎなのではないかと語り、「地球に生命が存在するのは偶然なのだろうか」と廣瀬所長、村山機構長に問いました。

村山機構長は自然定数や方程式を考えていると出来過ぎていると感じることもあると語り、廣瀬所長も海の割合や生命の誕生はとても低い確率で成り立ってるので出来過ぎていると感じると語りました。そして起源を解明するということは、われわれが宇宙の中でどれだけ特殊か普遍性があるのかを知る唯一の手段であると語り、鼎談は幕を閉じました。

鼎談後は、講師を囲むティータイムが設けられました。

来場者から講師に対し1つ質問が出ると、それに対し他の来場者からも質問が出るという様子は、日頃ELSIやIMPUで行われている研究者同士のディスカッションの様だという声が、廣瀬所長と村山機構長から上がりました。

ティータイムにて来場者からの質問に答える廣瀬所長
ティータイムにて来場者からの質問に答える廣瀬所長

ELSIとKavli IPMUでは今後もこのような共同イベントを開催していく予定ですので、どうぞご期待ください。

お問い合わせ先

東京工業大学地球生命研究所

Email : event@elsi.jp
Tel : 03-5734-3163

「東工大テニュアトラック教員 2015年度研究成果発表会」開催報告

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2015年12月1日、東工大テニュアトラック教員のオープンシンポジウムが大岡山キャンパス西9号館コラボレーションルームで開催され、学内外から36名の参加がありました。

シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

2011年度から始まった東工大の新テニュアトラック制度は、教員(講師、准教授)を一定の任期(5年)をつけて採用し、その期間内の研究成果と教育成果などが高く評価された場合に、任期の定めのない教員とする雇用形態です。この制度は他国・他大学で多く採用されている助教相当を主対象とした制度とは少し異なる特徴を持っています。

東工大のテニュアトラック制度では、独立した研究者(PI)として研究を進める機会が十分に得られるだけでなく、所属する専攻等のメンターや他の教員との積極的な協調が期待されています。これまでに9名のテニュアトラック教員を採用し、今年度、初代2名の教員のテニュア獲得が決まりました。

各教員の成果を公正に評価することが極めて重要なことから、このシンポジウムは審査・評価等の一機会として毎年開催されています。成果発表は英語で行われますが、教員の出身、多様な専門分野を考慮して、司会進行・質疑応答は、発表者や質問者に合わせ、英語または日本語にて適宜、柔軟に行うことにしています。

今年度は7名のテニュアトラック教員がそれぞれの研究成果について発表しました。有機・高分子物質、機械物理工学、生命情報、数学、基礎物理学など、専門分野は広範囲に渡っており、いずれもこの1年間にかなりの進展があったことを示す内容で、学外参加者からも称賛の言葉をいただきました。

発表者(テニュアトラック教員)

  • 有機・高分子物質専攻 准教授 松本英俊

  • 有機・高分子物質専攻 准教授 早水裕平

  • 機械物理工学専攻 准教授 セリーヌ・ムージュノ

  • 機械物理工学専攻 准教授 葭田貴子

  • 生命情報専攻 講師 小寺正明

  • 数学専攻 准教授 米田剛

  • 基礎物理学専攻 准教授 宗宮健太郎

  • 有機・高分子物質専攻 准教授 松本英俊

    有機・高分子物質専攻
    准教授 松本英俊

  • 有機・高分子物質専攻 准教授 早水裕平

    有機・高分子物質専攻
    准教授 早水裕平

  • 機械物理工学専攻 准教授 セリーヌ・ムージュノ

    機械物理工学専攻
    准教授 セリーヌ・ムージュノ

  • 機械物理工学専攻 准教授 葭田貴子

    機械物理工学専攻
    准教授 葭田 貴子

  • 生命情報専攻 講師 小寺正明

    生命情報専攻
    講師 小寺正明

  • 数学専攻 准教授 米田剛

    数学専攻
    准教授 米田剛

  • 基礎物理学専攻 准教授 宗宮健太郎

    基礎物理学専攻
    准教授 宗宮健太郎

また、シンポジウム開始にあたり、「日本の大学等機関におけるテニュアトラック制の現状とテニュアトラック普及・定着事業」と題してJST科学技術イノベーション創出基盤構築事業プログラム主管の榎敏明氏より特別講演をいただきました。東工大の今後のテニュアトラック制度の在り方に関して大変参考になるご講演となりました。

最後に、この制度の運営責任者である岡田理事・副学長の挨拶と、総括メンター黒田特命教授および2015年度新規採用のテニュアトラック教員の挨拶で閉会しました。

お問い合わせ先

テニュアトラック制度事務局

Email : tenure.track@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7627

噛めば噛むほどエネルギー消費―実際の食事と食後のガム咀嚼でエネルギー消費の増加を実証―

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要点

  • よく噛んで食べると食後のエネルギー消費量が増加する
  • 食後にガムを噛むと、その後40分程度までエネルギー消費量が増加
  • 咀嚼(そしゃく)を基盤にした減量手段の開発につながる

概要

東京工業大学大学院社会理工学研究科の林直亨教授らは、急いで食べる時に比べ、よく噛(か)んで食べる方が食後のエネルギー消費量(食事誘発性体熱産生[用語])が増加することを明らかにした。また、その差は食後のガム咀嚼(そしゃく)によっても埋められない程度の差であることも分かった。

林教授らは300kcalのブロック状試験食を用いて、よく噛んで食べる方が食後のエネルギー消費量が増加することを2014年に明らかにした。今回はパスタ、ヨーグルト、オレンジジュース(合計621kcal)といった一般的な食事でも同様のことが起こることを検証した。食事をはやく食べた後、3時間の食事誘発性体熱産生量は15kcalだったが、よく噛んで食べた時には30kcalと有意に高い値であり、先行研究を確認することができた。

また食後15分間ガムを噛むと、エネルギー消費量が6~8kcal増加し、この増加はガム咀嚼後40分程度続いたが、食事のはやさの違いに匹敵するほどの影響ではなかった。

よく噛んで食べることや食後のガムがエネルギー消費を増加させることの裏づけとして、また咀嚼を基本にした減量手段の開発に役立つものとして期待される。研究成果は2月17日に欧州の肥満学会誌「オベシティ(Obesity) 誌」に掲載される。

研究成果

被験者12名に安静時の測定後、パスタ、ヨーグルト、オレンジジュース(合計621kcal)を与えた。食品をできるだけはやく食べる試行とできるだけよく噛んで食べる試行とを行った。加えて、食事終了後に15分間ガムを噛む試行と噛まない試行とを行った。安静時から摂食、摂食後3時間までのエネルギー消費量(酸素摂取量)を計測し、食事誘発性体熱産生量を算出した。

その結果、食後3時間の食事誘発性体熱産生量ははやく食べた試行の場合、平均15kcalだった一方、良く噛んで食べた時には30kcalと有意に高い値を示した。ガムを噛むことによって食事誘発性体熱産生量は咀嚼後40分程度まで増加し、総計ではガム咀嚼によって食事誘発性体熱産生量が平均6~8kcal増加した。

はやく食べるよりも、よく噛んで食べたほうが食後のエネルギー消費量が増えることを確認した。また、これまでガムを咀嚼するだけでは、咀嚼終了後にはエネルギー消費量はすぐに元に戻る(Levine 1999)とされていた。ところが、食後のガムの咀嚼はエネルギー消費量を長時間増加させ、食事誘発性体熱産生量を増加させることが示された。とはいえ、15分間のガム咀嚼は食べるはやさの違いを埋めるほどの効果はなかった。

今回の実験で、ガムは飲み下すことがないので、嚥下(えんげ)した食物の形状に影響しないにもかかわらず、食事誘発性体熱産生量が増加した。この結果は食事誘発性体熱産生量を増やす要因が咀嚼自体であることも示している。

背景

早食いが過食をもたらし、それが原因で体重が増加する可能性が示唆されている。一定量の食事を摂取した場合に、食べるはやさが体型に何らかの影響を与えるかについては明らかではない。

林教授らは300kcalの試験食をよく噛んで食べると、はやく食べるよりも食事誘発性体熱産生量が増加することを明らかにしている。そこで、食後のガムの咀嚼が、よく噛んで食べることの代替機能を有するとの仮説を立てた。今回の研究では通常の食事でも同様のことが起こるのかを検証し、また食後のガム咀嚼が食事をよく噛んで食べることに匹敵する効果があるのかについて検討した。

今後の展開

ゆっくりよく噛んで食べることが良い習慣であることの裏づけとして、また咀嚼を基本にした減量手段の開発に役立つものとして期待される。

はやく食べた際(左)とよく噛んで食べた際の食後3時間の体重1kg当りの食事誘発性体熱産生の個人値、平均値および標準誤差を示した。食べるはやさは有意に食事誘発性体熱産生に影響した。ガム咀嚼(赤丸)もガム咀嚼なし(青丸)に比べて有意に高い値を示したものの、食べるはやさの影響には匹敵するものではなかった。
図.
はやく食べた際(左)とよく噛んで食べた際の食後3時間の体重1kg当りの食事誘発性体熱産生の個人値、平均値および標準誤差を示した。食べるはやさは有意に食事誘発性体熱産生に影響した。ガム咀嚼(赤丸)もガム咀嚼なし(青丸)に比べて有意に高い値を示したものの、食べるはやさの影響には匹敵するものではなかった。

用語説明

[用語] 食事誘発性体熱産生 : 摂食後に起こる栄養素の消化・吸収によって生じる代謝に伴うエネルギー消費量の増加である。基礎代謝量の1割程度を占める。

論文情報

掲載誌 :
Obesity 2016年 24巻
論文タイトル :
Effect of postprandial gum chewing on diet-induced thermogenesis.
著者 :
HAMADA Yuka, MIYAJI Akane, HAYASHI Naoyuki
DOI :

問い合わせ先

大学院社会理工学研究科 人間行動システム専攻
教授 林直亨

Email : naohayashi@hum.titech.ac.jp
Tel / Fax : 03-5734-3434

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


人生と2016年 一年のビジョンを描くワークショップ ~本当にやりたいことは?~

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1月13日、大岡山キャンパス西9号館コラボレーションルームにて、コミュニケーション論を専門とする本学 中野民夫教授によるワークショップ「人生と2016年 一年のビジョンを描くワークショップ ~本当にやりたいことは?~」が開催されました。本学リベラルアーツセンターが主催しました。

ワークショップポスター
ワークショップポスター

中野教授はワークショップのコンセプトを以下のように述べています。

「人生とは、何かをなそうと計画している時に起こる、別の出来事」という至言があります。人生、思うようにはいかない。それは苦しみでもありますが、未知の世界に開かれるのは楽しみでもあります。ただ、まずは「何かをなそうと」夢や志を持たないと、思わぬ「別の出来事」も展開しません。2016年の新春に、将来を展望しつつ、この一年の計を立て、移り変わる今ここを楽しむ術を、参加体験型のワークショップで一緒に探求しましょう。

リベラルアーツセンターではこれまでもたくさんのイベントを主催してきましたが、そのアンケートの感想として最も多かったのが、「初対面の人とコミュニケーションがとれたことが楽しかった」「もっと参加型のイベントをしてほしい」といった内容でした。そんな東工大生の意見に応えるかたちで、リベラルアーツセンターが中野教授に相談し、今回のイベントが企画されました。

ワークショップの流れ

ワークショップの流れ

ワークショップの目的・目標

ワークショップの目的・目標

参加者と積極的にコミュニケーション

参加者と積極的にコミュニケーション

ワークショップでは、参加者がリラックスして意見を述べられるよう場作りが、中野教授の発案により工夫されました。CDによるBGMはもとより中野教授によるギターの生演奏があったり、通常の机を取り除いて「えんたくん」という段ボールの丸い座卓を用いたりし、参加者同士が親近感がわくように座ってもらって会が始まりました。

中野民夫教授

中野民夫教授

まず最初の対話のテーマは「大ウソつき大会」。くじ引きによって決まった4人の参加者が円卓を囲み、ウソの自分を装って自己紹介をするというものです。参加者はそれぞれ「私は中学生です」「私は野球選手です」など架空の自分を想像しながら楽しく会話をし、見栄をはることも謙遜することもなく自然にコミュニケーションがとれ、参加者の緊張が一気になくなりました。また、ウソの自分に対して他人は自分をどう見ているのかという率直な意見も聞こえ、客観的に自分を見直すいい刺激を受けました。

えんたくんを膝に乗せて小グループになり会話
えんたくんを膝に乗せて小グループになり会話

休憩をはさんだ後は、体操をしてから部屋を暗くしてゆっくりとした瞑想が行われました。時間に追われて時計を手放せない日常から離脱して、参加者はゆっくりと自問自答。過去や未来へ思いを巡らせて、大きな夢を抱くことができました。

イベント中は終始なごやかな雰囲気で、中野教授の歌とともに会が終わると、最初は他人だった参加者およそ30名全員が一体感のある仲間となり、会場は率先したコミュニケーションが絶えないまま閉幕となりました。

大きな輪になってディスカッション
大きな輪になってディスカッション

参加者のアンケートには「ぜひもう一度参加したい」「自分の根源に迫る不思議な体験ができて嬉しかった」など多数の意見が寄せられました。

お問い合わせ先

東工大 リベラルアーツセンター

Email : office@liberal.titech.ac.jp

平成28年度前期日程試験を受験される方へ

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平成28年度前期日程試験

2月25日(木) ~ 2月26日(金)

期間中キャンパス内への関係者以外の立ち入りを制限させていただいております。

注意事項

所定の試験日程による試験実施が困難になるような不測の事態が発生した場合、「高校生・受験生向けサイト」の新着入試情報で情報発信しますので、定期的に確認をお願いします。

試験場へのアクセス

試験場は以下の2つの会場があります。先に公表している「(前期日程)試験場、受験上の注意等PDF」にあるとおり、受験番号によって試験場が異なりますので、お間違えのないように今一度ご確認ください。

受験番号 10001 ~ 13342 : 東京工業大学 大岡山キャンパス

東急大井町線・目黒線 「大岡山駅」下車 徒歩1分

  • 中央改札を出て左手に進み、マクドナルド前の横断歩道を渡るとすぐに正門があります。

受験番号 13343 ~ 13892 : 東京工業大学 田町キャンパス(附属科学技術高等学校)

JR山手線・京浜東北線「田町駅」下車 徒歩2分

  • 芝浦口(東口)方面に進み、エスカレーターを降りてすぐ右手に正門があります。

地下鉄都営三田線「三田駅」下車 徒歩5分

  • A4口を出て、JR田町駅方面へ。以下同上。

なお、試験室等の詳細を記載した試験場案内については、2月24日(水)に「高校生・受験生向けサイト」の新着入試情報に掲載いたしますので、確認をお願いします。

平成28年度前期日程試験を受験される方へ

「OPLによる大学院教育の展開~世界から必要とされる人材育成を目指して~」開催報告

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1月27日、東京工業大学大岡山キャンパスにて、シンポジウム「On the Project Learning※1(以下OPL) よる大学院教育の展開~世界から必要とされる人材育成を目指して~」を開催しました。このシンポジウムは情報環境学専攻が2011年度より実施しているプロジェクト「高度専門教育のためのOPLを核とした情報環境教育・研究システムの展開」の関連行事で、企業関係者、教員、学生、一般参加者をあわせて、およそ70名の参加があり活発な議論が行われました。

会場の様子
会場の様子

はじめに、情報環境学専攻の廣瀬壮一教授より開会の挨拶として、本プロジェクトが企業と学生が密に連携する先進的な事例であること、そして本シンポジウムがプロジェクト5年間の集大成となることを述べました。

久村氏による基調講演

久村氏による基調講演

第1部では初めに、日産自動車株式会社フェローの久村春芳氏が「企業に必要な人財の能力と人財の育成-企業競争力の視点から-」と題して、基調講演を行いました。産業に関する世界の中心都市の変遷を概観し、そして、日本の産業構造が過当競争の時代になっていきていることを説明しました。そこで、企業として競争力を高めるためには、Innovative(革新的であること)とReliable(信頼できること)がともに重要であることを述べました。その中で、学生が企業から求められている能力として、Vision(将来の構想)を作り、戦略を作り、そして実行するリーダーシップが重要と強調しました。日産自動車株式会社における人財育成では、マネジメント力、技術力、人間力の3要素を鍛えていき、自律人財を目指していること、例として新興国に赴任し現地の社会課題を解決する取り組みを紹介しました。最後に、単位取得の条件を全てプロジェクト遂行としている海外の大学の事例を紹介し、OPL教育が推進しているプロジェクト型教育の重要性を述べました。

角方氏による基調講演

角方氏による基調講演

次に、株式会社リアセックキャリア総合研究所所長の角方正幸氏が「OPL教育システムの可能性と限界-企業が求める課題解決力育成の視点から-」と題して基調講演を行いました。先ず、自身の経験から、KJ法(カードを用いたブレーンストーミングによる発想法)が仕事をする上でスキルとして役立っていること、また仕事をすることとは課題を解決することという考え方を学んだことを紹介しました。次に、社会構造の変化とともに求められる人材要件も変わり、企業から求められる能力で「専門性」は減少傾向にあり、相対的価値が薄れてきていることを話しました。一方で、方法論や物の考え方、探究心といった事柄が重要さを増してきており、OPL教育における博士力の育成という目標は、企業の求めている課題解決力育成に合致していると評価しました。また、OPL型の教育スタイルの導入により、経験から身に着く行動特性、対人基礎力や対課題基礎力を引き上げることが大切であると指摘しました。その実現のためには、企業など社会との連携とともに、教職員同士が、学生の能力向上などの教育成果について頻繁に話題に挙げることのできる環境が重要と強調しました。

第2部では、本学情報環境学専攻修士1年の学生が行ってきた情報環境学プロジェクトの成果報告会が行われました。国内企業連携班が6班と、海外からの留学生と本専攻学生との混成チームによる国際班が2班の合計8班に分かれ、口頭報告を実施しました。タイトルと連携企業は下記のとおりです。

国内企業連携班

  • 1班
    「混ンドル ~飲食店の混雑状況確認アプリ~」 連携企業 清水建設
  • 2班
    「振り込め詐欺防止装置 ~おばあちゃんプロテクタ~」 連携企業 JR東日本
  • 3班
    「Pinch Shopper ~買い物代行マッチングサービス~」 連携企業 NTTデータ
  • 4班
    「Share Stand ~スポーツ応援ツール~」 連携企業 NEC
  • 5班
    「Assist Best Coordinate ~服装提案アプリ~」 連携企業 ベクトル総研
  • 6班
    「地域犯罪予防アプリ」 連携企業 富士通

国際班

  • 国際1班
    「Autonomous Music Technologies」
  • 国際2班
    「Impact Detection Technology ~衝撃検知~」

各班がそれぞれの問題意識に取り組み、連携企業として協力頂いた方々から多くのアドバイスを頂き、プロジェクトとして成果をまとめ上げました。学生からは、周囲を説得するためのスキルなど、実社会で必要なことを学び、視野を広げられたといった意見が出ました。また、企業の方々からは、学生の考え方をダイレクトに知ることができ、議論を通して企業側でも多くの気づきが得られたなどの意見がありました。

学生発表の様子
学生発表の様子

最後に、情報環境学専攻の笹島和幸教授より、2008年度から始まったPBL(Project Based Learning※2)大学院教育プロジェクトから数えて8年に及ぶプロジェクトの経緯、そして今後の大学院教育において目指したい「創造課題解決能力育成」という方向性を紹介しました。また、学生に向けて、研究力として、自分自身でどう考えどうアプローチしたか、問題設定から解決までを含むPDCAサイクル※3を体得して欲しいと述べました。

※1
On the Project Learning : 企業等と連携したPBL型学修やプロセスメモ、オフラボディスカッションなどを配置した課題解決能力を育成する大学院教育。
※2
Project Based Learning : グループで問題発見・解決を行い、グループワークやマネジメント、課題解決の総合を学習する教育方法。
※3
PDCAサイクル : Plan-Do-Check-Actの頭文字で、計画・実行・評価・改善という一連のプロセスのこと。考試省(考える・試す・省みる)とも呼ばれ、これを繰り返すことにより、より良いものへ進化させることが出来る。

お問い合わせ先

OPL事務局

Email : opl@mei.titech.ac.jp

英文ニュースレター Bulletin No. 41 配信

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Tokyo Institute of Technology Bulletinは3か月に一度本学が配信している英文ニュースレターです。 東京工業大学の研究成果やニュース記事、学生の活動などを国内外へ広くメールで配信をしております。

この度、Tokyo Institute of Technology Bulletin No. 41 が発行されました。

メールでの配信をご希望の方は申込フォームからご登録ください。

Tokyo Institute of Technology Bulletinは英語で配信を行っていますがコンテンツは全て日英両方でご覧頂けます。

Tokyo Institute of Technology  Bulletin | Research and education at Japan's foremost university dedicated to science and technology

A potential control over superconductivity

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A potential control over superconductivity

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News

Through Students' Eyes

Tokyo Institute of Technology Bulletin No.41

文部科学省 大学の世界展開力強化事業「採択7大学総括シンポジウム」参加報告

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文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」(タイプB-1 米国大学等との協働教育の創成支援)が今年度で終了となるため、採択7大学による5年間の総括シンポジウム「米国大学等との教育交流の発展に向けて」が、早稲田大学小野記念講堂にて1月22日に開催され、本学の関係教職員ならびに学生が参加しました。

第1部では「プログラムへの参加前と参加後を比較して、自身もしくは周囲に起こった変化」というテーマのもと、今年度、本学の「大学の世界展開力強化事業」であるグローバル理工系リーダー養成協働ネットワーク(TiROP)派遣プログラムでカリフォルニア工科大学へ留学した根岸走さん(生体分子機能工学専攻博士1年)と、夏季英国超短期派遣プログラムに参加した貴志崇之さん(制御システム工学科3年)が発表しました。

シンポジウムに参加しての感想

根岸走さん

根岸走さん

根岸走さん

私はTiROPを利用し、2015年10月から12月までの3か月間、カリフォルニア工科大学のBrian M. Stoltz研究室にて有機合成化学の研究を行いました。アメリカで過ごした3か月間は研究・生活両面において、毎日が驚きの連続でした。研究に対する姿勢や進め方、文化の違いや多様性などすべてのことが自身にとって新しく、非常に貴重な体験ができました。本イベントでは、それらの体験を通して自分自身がいかに成長・変化できたかを発表させて頂きました。

また、本イベントでは他大学の方々の留学体験談も聞くことができ、留学目的も専門分野も異なる彼らの発表によって、自身の見識をより一層広げることができました。今回の自身の留学経験や他の方々の発表から、価値観の違う人々との交流が我々を大きく成長させてくれると改めて感じるとともに、この留学経験を生かし、これから世界を舞台に活躍するためにも、さらに研究に精進していかなければならないと思いました。

貴志崇之さん

貴志崇之さん

貴志崇之さん

本イベントでは、TiROP超短期派遣プログラムで学んだことを振り返り、また他大学の留学プログラムを聞いて刺激を受ける良い機会だったと思います。

私がイギリスに留学したのは2015年9月中の2週間で、留学直後は英語学習や自身の専門科目に対する学習意欲が上がり、積極的に取り組んでいたのですが、4ヶ月経ち意欲が少し下がっていました。

しかし今回のイベントで発表する機会をいただき、発表の準備をする過程で、留学直後の学習意欲を思い出すのと同時に、留学中の経験や得た価値観を思い出すことができました。またイベント中には他大学学生の留学についての発表もあり、長期間留学をされた大学院生の方々の海外生活での経験や苦労がその後の成長や卒業後の進路にどのように影響したのかを聞くことができ、その活躍ぶりに刺激を受けました。

今回のイベントはさまざまな大学の学生同士が発表を通して留学での経験や成果、成長を共有し合うことができた貴重な機会だったので、今回聞いたことを今後の学生生活に少しでも生かしていきたいと思います。

パネルディスカッション

第2部は、本事業がもたらした自大学への効果と事業終了後の展開について、採択大学の代表教員によるパネルディスカッションが行われました。本学からはTiROP構想責任者である理工学研究科工学系長 岸本喜久雄教授が登壇し、TiROPの成果を中心に発表しました。「今回参加した大学は、文部科学省スーパーグローバル大学創成支援事業にも採択されている。実施事業における課題点や実施プログラム継続の有無については、本事業で基盤となった構想やネットワークを活用していく予定である」と述べました。

大学院理工学研究科工学系長 岸本教授(TiROP構想責任者・右から2人目)
大学院理工学研究科工学系長 岸本教授(TiROP構想責任者・右から2人目)

採択7大学:東京工業大学、早稲田大学、慶應義塾大学、国際教養大学、東京大学、名古屋大学、立命館アジア太平洋大学

お問い合わせ先

留学生交流課 「大学の世界展開力強化事業」TiROP事務局

Email : tirop@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2984

質量のないディラック電子の磁気モーメントを精密測定―トポロジカル絶縁体の隠れた個性を発見―

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要旨

理化学研究所創発物性科学研究センター創発物性計測研究チームの付英双(フ・インシュアン)国際特別研究員(研究当時)(中国・華中科技大学教授)、花栗哲郎チームリーダー、強相関量子伝導研究チームの川村稔専任研究員、創発計算物理研究ユニットのモハマド・サイード・バハラミーユニットリーダー、東京工業大学応用セラミックス研究所の笹川崇男准教授らの共同研究グループは、「トポロジカル絶縁体[用語1]」表面に形成される質量ゼロの「ディラック電子[用語2]」が持つ磁気モーメント(磁力の大きさと向きを表すベクトル量)を精密に測定する新しい手法を開発しました。

トポロジカル絶縁体は、固体内部の電子は動くことができませんが、その表面には自由に動く電子が自然に現れる物質です。また、この表面の電子には質量がありません。このような質量ゼロの電子はディラック電子と呼ばれ、通常の電子とは異なる性質を示します。特にトポロジカル絶縁体表面のディラック電子は、電気伝導と磁性の間の強いつながりが特徴で、スピントロニクス[用語3]などへの応用が期待されています。表面のディラック電子を制御するためには、磁性を特徴づける基本的な量である電子の磁気モーメントの情報が必要です。しかし、表面ディラック電子の磁気モーメントを測定できる手法はこれまで存在しませんでした。

今回、共同研究グループは、「走査型トンネル顕微鏡法/分光法(STM/STS)[用語4]」を用いた磁気モーメントの新しい評価法を開発し、2種類のトポロジカル絶縁体に適用しました。その結果、2つの物質でディラック電子の運動速度がほとんど同じであるのに対し、磁気モーメントは大きさも方向も全く異なることが分かりました。

これは、トポロジカル絶縁体の隠れた個性を明らかにしたもので、磁気モーメントを通したディラック電子の新しい制御法の開発へつながる成果です。

本研究は、国際科学雑誌『 Nature Communications 』(2月24日付:日本時間2月24日)に掲載されました。

共同研究グループ
  • 理化学研究所 創発物性科学研究センター
    創発物性計測研究チーム
    • 国際特別研究員(研究当時) 付英双 (フ・インシュアン)
      (中国・華中科技大学教授)
    • チームリーダー
      花栗哲郎  (はなぐり てつお)
  • 強相関量子伝導研究チーム
    • 専任研究員
      川村稔(かわむら みのる)
  • 創発計算物理研究ユニット
    • ユニットリーダー
      モハマド・サイード・バハラミー(Mohammad Saeed Bahramy)
  • 東京工業大学応用セラミックス研究所
    • 大学院生(研究当時)
      五十嵐九四郎(いがらし きゅうしろう)
    • 准教授
      笹川崇男(ささがわ たかお)

1. 背景

「トポロジカル絶縁体」は、固体内部の電子は動くことができませんが、その表面には自由に動く電子が自然に現れる物質です。この表面の電子は質量がゼロで、「ディラック電子」と呼ばれています。トポロジカル絶縁体を強磁性体と接合させたり、大きな磁気モーメント(磁力の大きさと向きを表すベクトル量)を持つ不純物を添加して物質そのものを強磁性にしたり、あるいは強い磁場を与えたりすることにより、表面ディラック電子の置かれた環境を磁気的にします。すると、ディラック電子の持つ磁気モーメントが影響を受け、その結果、ディラック電子は質量を獲得することが知られています。ディラック電子の質量制御はトポロジカル絶縁体の応用にとって重要な鍵の1つですが、そのためには、ディラック電子が持っている磁気モーメントの正確な評価が必要です。

電子の磁気モーメントは「g因子[用語5]」と呼ばれる数に比例します。真空中の電子のg因子は約2ですが、物質中では周囲の影響によってg因子が2から大きくずれ、負の値をとることさえあります。通常、g因子は試料全体の磁気測定から見積もることができますが、トポロジカル絶縁体では試料内部の電子による寄与が非常に大きいので、表面にのみ存在するディラック電子だけの寄与を正確に見積もることは不可能です。表面金属状態の電気抵抗の磁場依存性を詳しく解析すると、原理的にはディラック電子のg因子の大きさを見積もることができますが、その符号を決めることはできません。また、現実の試料では試料内部にも動ける電子がわずかに存在するため、表面金属状態の信頼できる電気抵抗のデータを得ることは極めて困難です。そのため、表面ディラック電子のg因子を測定できる新手法の開発が求められていました。

2. 研究手法と成果

共同研究グループは、電子の磁気モーメントが磁場の方向に揃えられる効果(ゼーマン効果)に着目しました。ゼーマン効果により、電子の持つエネルギーは与える磁場に比例して変化し、その比例定数の符号と大きさはg因子の符号と大きさを反映します。一般に、自由に動く電子に磁場を与えると、電子が取り得るエネルギーはとびとびの値に量子化されますが、ディラック電子ではその中の1つのエネルギー準位がゼーマン効果の影響を特に強く受けることが理論的に分かっています。したがって、共同研究グループは、この準位のエネルギーが磁場によってどのように変化するかを調べると、g因子を高精度に評価できると考えました。

しかし、この手法の理論的検討を行う過程で、現実の試料ではゼーマン効果以外にも準位エネルギーの磁場依存性をもたらす外因的な効果が、2つ存在することが分かりました。1つは、試料中の帯電した欠陥が作る「不均一なポテンシャルエネルギーの影響」です。磁場中で運動する電子が描く軌道は磁場と共に小さくなるので、電子が感じる実効的なポテンシャルエネルギーは磁場によって変化し、そのために余計な磁場依存性が現れます。もう1つは、「電子速度のエネルギー依存性の影響」です。理想的なディラック電子の速度は一定ですが、現実のトポロジカル絶縁体表面の電子の速度はエネルギーによってわずかに変化し、そのためにゼーマン効果とは異なる準位エネルギーの磁場依存性が現れてしまいます。ただし、これら2つの外因的磁場効果の大きさは、ポテンシャルエネルギー分布と電子速度のエネルギー依存性が分かっていれば、理論的に正確に見積もることが可能です。すなわち、g因子の高精度測定を行うためには、磁場中での「電子のエネルギー準位」、「ポテンシャルエネルギー分布」、「電子速度のエネルギー依存性」の3種類のデータが必要になります。

これらの全てを同一のセットアップで測定できる手法が、「走査型トンネル顕微鏡法/分光法(STM/STS)」です。STM/STSを用いると、どこにどのようなエネルギーを持った電子がどのくらい存在するか評価できます。したがって、エネルギー準位の測定とポテンシャルエネルギー分布の評価は容易です。また、電子速度のエネルギー依存性は、磁場中で多数のエネルギー準位が測定できれば解析によって求められることが既に分かっています。

ゼーマン効果は非常に小さいので、測定には高いエネルギー分解能が必要です。そのためには、熱の影響を取り除かなければなりません。また、ポテンシャルエネルギーの分布による磁場効果は場所に強く依存するので、原子レベルで正確に同じ位置で測定を行わねばなりません。本研究では、理研で開発した、磁場の影響をほとんど受けず、極めて高い安定度を持つ顕微鏡を最低1.5 K(ケルビン:1.5 Kは約-272℃)まで冷却し、最大12 T(テスラ:1 Tは地磁気の約2万倍)までの強磁場を与えて実験を行いました。試料には、東京工業大学で作製した、「Bi2Se3」(Bi:ビスマス、Se:セレン)と「Sb2Te2Se」(Sb:アンチモン、Te:テルル)という2つの異なるトポロジカル絶縁体の高品質単結晶を用い、物質による共通点と相違点を探ることにしました。

まず、この2つの物質の電子エネルギー準位をさまざまな磁場中で測定しました。この結果を解析したところ、電子速度には物質による違いがほとんどないことが分かりました(図1)。次に、ゼーマン効果を強く示すエネルギー準位に着目し、試料表面のいくつかの場所でそのエネルギー準位の磁場依存性を高精度測定しました。ポテンシャルエネルギー分布は場所によって大きく異なるので、準位エネルギーの磁場依存性の生データは、場所ごとに異なる振る舞いを示します(図2)。しかし、外因的磁場依存性の効果を補正すると、同じ物質であれば、準位エネルギーの磁場依存性は、どの場所でもほとんど同じであることが分かりました(図2)。この結果は、外因的効果が正しく取り除かれたことを意味し、補正された磁場依存性が正確にゼーマン効果を反映していることを保証するものです。

最終的に求められたディラック電子のg因子は、Bi2Se3では「18」、Sb2Te2Seでは「-2」となり、2つの物質で大きさだけでなく、符号まで異なっていることが分かりました。g因子、すなわち磁気モーメントが持つ大きな物質依存性は、電子速度が2つの物質でほとんど同じであることと対照的です。

STM/STSで測定した磁場中のディラック電子のエネルギー準位

図1. STM/STSで測定した磁場中のディラック電子のエネルギー準位

1 T(テスラ)おきに磁場を変化させて得られたデータを、縦方向にずらして表示してある。磁場中で現れるピーク構造は、電子がとり得る量子化されたエネルギー準位を示している。Bi2Se3(左)でもSb2Te2Se(右)でもピークの現れ方はほとんど同じである。このことは、ディラック電子の速度が2つの物質でほとんど同じであることを意味している。黄色の背景で強調したピークは、ゼーマン効果の影響を強く受ける準位であり、この準位のエネルギーの詳細な磁場依存性からディラック電子の磁気モーメントが求められる。

ディラック電子の磁気モーメント測定

図1. ディラック電子の磁気モーメント測定

カラーマップはSTM/STSで測定したポテンシャルエネルギーの分布を示しており、色が明るいほどディラック電子に対するポテンシャルエネルギーが高いことを表している。Bi2Se3(左)とSb2Te2Se(右)において、ポテンシャルエネルギー極小の場所(上段)と極大の場所(下段)で、ゼーマン効果の影響を強く受ける準位のエネルギーの磁場依存性を測定した。すると、赤四角の点で示すように全く異なる振る舞いが観測された。しかし、測定したポテンシャルエネルギーの分布を基に、外因的磁場依存性の寄与を補正したところ、青丸の点で示すように、同じ物質であれば全く同じ傾きを持つ直線上にデータ点が乗ることが分かった。この直線の傾きから、ディラック電子の磁気モーメントが求められる。低い磁場でデータが直線からずれるのは、電子の軌道が大きくなりすぎて理論モデルの適用範囲を超えてしまうためである。

3. 今後の期待

STM/STSを用いた新しい手法を用いて、トポロジカル絶縁体表面のディラック電子の持つ磁気モーメントの値を初めて正確に評価しました。実験に用いた2種類の物質(Bi2Se3とSb2Te2Se)で、電子速度はほとんど同じでありながら、磁気モーメントの値は大きく異なっていました。この結果は、ディラック電子の磁気的性質だけを選択的に変化させることができることを示しており、磁性を介したディラック電子の制御に役立ちます。

今回、磁気モーメントの物質依存性が初めて明らかになりましたが、その起源はまだはっきりと分かっておらず、基礎物理学上の問題として残っています。今後の研究によってこの問題が解かれれば、トポロジカル絶縁体の全く新しい利用法につながるかもしれません。

4. 笹川崇男准教授のコメント

東工大での液体ヘリウムの利用にあたっては、出川悦啓氏と宗片比呂夫教授に 大変お世話になりました。ご尽力に感謝いたします。

用語説明

[用語1] トポロジカル絶縁体 : 物質の内部は電流を流さない絶縁体でありながら、表面には質量のない電子によって形成される金属状態が現れる特異な物質。表面金属状態は、磁性を持たない不純物に対して安定である。また、電子の磁気モーメントの方向と電子の運動方向に強い相関があり、磁気的性質の電気的制御など、ユニークな応用が期待されている。

[用語2] ディラック電子 : 相対論的量子力学の基本方程式であるディラック方程式に従って運動する電子のこと。通常の質量を持つ電子の運動は、より簡便なシュレーディンガー方程式で近似的に記述できる。しかし、固体中の電子の質量は実効的に真空中の値から変更を受け、物質ごとにさまざまな値を持つ。特に、トポロジカル絶縁体表面の電子の場合は質量がないため、近似が成り立たずディラック方程式で記述しなければならない。固体物質では、トポロジカル絶縁体の表面状態のほかにも、グラフェン(炭素原子が六角形の格子状に並んだ、1原子の厚さの層)や有機導体(電気を比較的良く通す有機化合物)などでディラック電子の存在が確認されている。

[用語3] スピントロニクス : 現在広く利用されているエレクトロニクスでは、電子の持つ電荷の自由度を制御することで情報処理等のさまざまな機能を実現している。一方、電子の持つ他の自由度である「スピン」の制御によって機能実現を目指す技術をスピントロニクスと呼ぶ。スピンは量子力学的な概念であるが、古典力学の「自転」に相当し、電子の持つ磁気モーメントと直接関係している。

[用語4] 走査型トンネル顕微鏡法/分光法(STM/STS) : 先端を尖がらせた金属の針(探針)で物質の表面をなぞるように走査し、探針の高さをマッピングすることで、物質表面の凹凸を原子スケールで観察することができる顕微鏡。探針位置を固定し、電流-電圧特性を測定すると、その位置において、どのようなエネルギーを持った電子がどのくらい存在するかを知ることができる。

[用語5] g因子 : 粒子の磁気モーメントは、その粒子が持つ角運動量に比例するが、両者の比を表す定数がg因子である。真空中の電子のg因子は約2の決まった値を持つが、物質中の電子のg因子は、電子がおかれた環境の磁気的性質によってさまざまな値をとる。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Observation of Zeeman effect in topological surface state with distinct material dependence
著者 :
Ying-Shuang Fu, Tetsuo Hanaguri, Kyushiro Igarashi, Minoru Kawamura, Mohammad Saeed Bahramy, and Takao Sasagawa
DOI :

問い合わせ先

理化学研究所 創発物性科学研究センター
創発物性計測研究チーム

国際特別研究員(研究当時) 付英双
(中国・華中科技大学教授)
チームリーダー 花栗哲郎

強相関量子伝導研究チーム

専任研究員 川村稔

創発計算物理研究ユニット

ユニットリーダー モハマド サイード バハラミー

Email : hanaguri@riken.jp(花栗) / minoru@riken.jp(川村)
Tel : 048-467-1327(花栗) / 048-462-1111(川村)

東京工業大学 応用セラミックス研究所
准教授 笹川崇男

Email : sasagawa.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5366

取材申し込み先

理化学研究所 広報室 報道担当

Email : ex-press@riken.jp
Tel : 048-467-9272 / Fax : 048-462-4715

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

トビタテ!留学JAPAN説明会 ~理想の留学プランを作成~

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1月27日、「トビタテ!留学JAPAN」応募者のための説明会が、大岡山キャンパス西9号館3階 W932教室において、学内外の学生を対象に開催されました。この説明会は、大学院理工学研究科国際開発工学専攻、大学院総合理工学研究科環境理工学創造専攻、東工大IAESTE会※1の共催で行われました。

理想の留学計画作成について説明する大村貴康氏
理想の留学計画作成について説明する大村貴康氏

「トビタテ!留学JAPAN」は、官民協働で日本人学生の海外留学を支援するプログラムで、2020年までに日本人大学生の海外派遣を、現行の6万人から12万人に倍増することを目指しています。「理系、複合・融合系人材コース」「世界トップレベル大学等コース」「新興国コース」などがあり、希望者自身が留学プランを作成すること、留学目的に沿った「実践活動※2」の組み入れが応募要件にあることなどが特徴です。特に「理系、複合・融合系人材コース」は、220名の募集枠(他のコースは80~100名)があり、重点分野となっています。

今回は、第5期の募集に合わせ、文部科学省トビタテ!留学JAPAN事務局の大村貴康氏を講師にお招きし、プログラムの概要、応募・選考要件の説明に加え、「理想のMy留学プラン」を作成するワークショップが行われました。個人ワークシートを使い、自分の夢、もしくは、未来の社会に対する問題意識に基づき、必要とする海外での学びや社会との接点、実践経験を記入し、グループ討議を行いました。参加学生からは、「自分がなぜ留学したいのか、留学で何をしたいのかを具体的に考えるきっかけとなった」「留学に具体的なイメージが湧き、参考になることが沢山あった」「沢山の企業の方からバックアップのある、ワクワクするプログラムと感じた」などの感想が寄せられました。

※1
IAESTEは正式名称を「The International Association for the Exchange of Students for Technical Experience」といい、理工農薬学系の学生を対象とした海外インターンシップの仲介をしている国際団体です。東工大IAESTE会は、イアエステ日本委員会の中心的メンバーとして活動しています。
※2
座学や知識の蓄積型ではなく「実社会との接点」から多様な学びを得ることができる学修活動

お問い合わせ先

留学生センター/環境理工学創造専攻 佐藤由利子

Tel : 03-5734-3524


世界初40GHz帯/60GHz帯協調による次世代高速ワイヤレスアクセスネットワーク構築に成功

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国立大学法人東京工業大学(学長:三島良直/以下、東工大)、ソニー株式会社(代表執行役社長:平井一夫/以下、ソニー)、日本無線株式会社(代表取締役社長:土田隆平/以下、日本無線)、株式会社KDDI研究所(代表取締役所長:中島 康之/以下、KDDI研究所)は、大容量コンテンツ配信のための40GHz帯[用語1]/60GHz帯[用語2]協調による次世代高速ワイヤレスアクセスネットワークの共同研究開発を行い、ネットワーク構築試験に成功しました。これにより、将来のワイヤレスネットワークにおいてミリ波帯[用語3]による高速通信サービスを取り入れる一形態を示すことができました。今後増加が見込まれる移動体通信のトラヒックの一部を、周波数ひっ迫度の低い、ミリ波帯に迂回させることにより、混雑を回避できることが期待されます。2016 年3月2日(水)~3月4日(金)に東京工業大学大岡山キャンパスで開催される移動通信ワークショップ(電子情報通信学会通信ソサイエティの4研究会合同開催)に合わせ、本成果の公開実証実験が行われます。

共同研究開発したシステムの全体像

図1. 共同研究開発したシステムの全体像

なお、本成果は、総務省の電波資源拡大のための研究開発「ミリ波帯ワイヤレスアクセスネットワーク構築のための周波数高度利用技術の研究開発」の一環によるものです。

研究の背景

モバイルトラヒックの急増により、無線周波数資源が不足しており、より高い周波数帯の利活用が望まれています。特に各国で研究が進められている第5世代移動通信システム(以下、5G)が目指す高速通信性能を実現するために、ヘテロジニアスネットワーク※1の一部としてミリ波帯を用いる提案がなされています。ただし、ミリ波帯は、高速なデータ転送が提供可能である一方、電波の減衰が大きく遠くまで電波が届きにくいため、屋内や屋外の小ゾーン形成に用いられ、移動帯通信におけるワイヤレスネットワークとしての利用は難しいとされてきました。特に屋外の利用では、降雨による影響をどのように回避するかが課題の一つになっています。また、高速なデータ転送を実現するためには、無線区間の周波数利用効率の向上(多値変調方式)が必要となると共に、モバイル端末側のデータ処理速度が、現状たかだか数百Mbpsと無線区間の速度(数Gbps)よりも遅いため、この問題をどうやって解決するかが課題となります。

技術的詳細

上記の課題を解決するため、東工大、ソニー、日本無線、KDDI研究所が協力して研究開発を行い、端末側・ネットワーク側が協調し、ギガバイトクラスの大容量コンテンツを高速に配信可能な、40GHz/60GHzを組み合わせた新しいミリ波帯ワイヤレスアクセスネットワークを構築しました。その技術的ポイントは以下の4点になります。

(1)60GHz帯通信において、無線ファイル転送システムとして世界最高のユーザデータ伝送速度 6.1 Gbps を実現(ソニー、東工大)

東工大とソニーは2012年に、60GHz 無線 LSI の共同開発を行い、6.3 Gbps の物理層速度をCMOS LSIとして達成しました※2。今回、東工大において利得 6 dBi のスラブ導波路アンテナ(安藤・広川研究室)、ダイレクトコンバーション方式の65 nm CMOS 60GHz RF LSI と 2.3 G Sample/s 7-bit analog-to-digital converter(ADC)等のアナログ回路(松澤・岡田研究室)、及びソニーにおいて上記アナログ回路とrate-14/15 及び 11/15 の新規Rate-compatible LDPC符号[用語4]を用いた物理層と無線制御(MAC)層を含む 40 nm CMOS Baseband LSIを搭載した無線モジュールを開発し、帯域幅2.16GHzにおいて最大物理層速度6.57Gbpsという、60GHz 帯として高い帯域利用効率を装置として実現いたしました。なお、この無線モジュールは、現在規格化中のIEEE802.15.3e[用語5] の1stドラフトをベースに設計されています。また、端末技術では大容量キャッシュメモリへの高速データアクセスを可能にしたファイル転送システムを開発し、無線モジュールと端末を含めた無線システム全体で6.1 Gbpsという(1Gバイトのファイルを約1.3秒で送れる)世界最高のユーザデータ伝送速度の無線ファイル転送に成功しました。本技術により、モバイル端末の処理速度を上回る高速で、かつ一瞬で大容量ファイルを受け取る事ができます。

60GHz帯無線モジュール(左)とスマートフォンへの6.1 Gbps無線ファイル転送実験の様子(右)

図2. 60GHz帯無線モジュール(左)とスマートフォンへの6.1 Gbps無線ファイル転送実験の様子(右)

(2)60GHz帯ワイヤレス Gigabit Access Transponder Equipment(GATE) システムの実現(日本無線、ソニー、KDDI研究所、東工大)

60GHz帯の高速性、空間分離性といった特性を最大限に活かすために、例えば駅の改札ゲートのように、隣接して複数の装置が設置されていても、無線区間で混信することなく、それぞれ独立した装置として動作するようなシステム(以下GATEシステム)を実現しました。ここでは、東工大(安藤・広川研究室)で開発された、空間分離を可能にする高利得スロットアレイアンテナ(構築試験では1000素子程度)により、アンテナの前方10m以上に渡り、電波が拡散しない筒状のサービスエリアを実現しました。また、このエリアをユーザが短時間で通過するシナリオを想定し、通信可能になるまでのリンクセットアップ時間を2ms以下まで低減可能な無線通信制御システムを、(1)において開発したRF/BB LSI上にソニーが実装しました。これら技術を日本無線がGATEシステムとして統合しました。また、Content Centric Networking(CCN)[用語6]という次世代のネットワークアーキテクチャ技術を用いて、KDDI研究所が開発※3した、ヘテロジニアスネットワークにおける大ゾーン long-term evolution (LTE)とミリ波小ゾーン(60GHz帯)とを協調動作させる方式を本システムに採用することにより、GATEシステムを通過時にユーザが意識することなくミリ波帯で高速ファイル転送を利用することができます。

60GHz帯ワイヤレス GATE システム

図3. 60GHz帯ワイヤレス GATE システム

(3)40GHz帯通信において、Directional Division Duplex(DDD)無線通信方式[用語7]により、2倍の周波数効率を実現(日本無線、東工大)

小型でポータブルなアクセスポイントである60GHz帯ワイヤレス GATE システムを迅速にかつ自在に配置しサービスエリアを構築するには、これをネットワークに収容するための、やはり設置の自由度が高いワイヤレスリンクが有利です。組み合わせの一例として通信速度1Gbpsで伝送距離1km以上の40GHz帯無線伝送システムと、60GHz帯GATEシステムを協調動作させる構成も実フィールドで実証しました。40GHz帯の無線通信方式は同一周波数・同一偏波で同時双方向通信を実現することにより、従来のFrequency Division Duplex(FDD)方式やTime Division Duplex(TDD)方式と比較して原理的に2倍の周波数利用効率を実現しています。本方式の実現のため「高アイソレーション送受信アンテナ並列配置技術」と「自局送信波回り込みキャンセル技術」を世界で初めて調和的に動作させています。

40GHz帯DDD方式 無線通信装置
40GHz帯DDD方式 無線通信装置

図4. 40GHz帯DDD方式 無線通信装置

(4)ミリ波ワイヤレスアクセスネットワークのための経路制御技術(KDDI研究所、東工大)

ミリ波帯の通信路は降雨による減衰が大きく40GHz帯システムは主に1km程度の近距離で使用しますが、ゲリラ豪雨に代表される局地的な豪雨では回線断が発生します。これを防ぐため「降雨予測に基づいた経路制御技術」を開発し、あらかじめトラヒックの一部をう回させることにより、ネットワークとしての通信容量低下を抑える運用を行い、継続的な通信サービスを実現します。

用語説明

[用語1] 40GHz帯 : ITU WRC-2000(World Radio communication Conference)において 「固定業務における高密度に配置して使用する無線通信システムに利用可能である」という議決がなされた帯域に該当するものであり、国内周波数分配の脚注 J260 にも同様の記載のあるものです。

[用語2] 60GHz帯 : 60GHzを中心に世界中で免許不要で利用できる帯域として割り当てられている周波数帯です。日本国内では57~66GHzの周波数帯域が使用可能となっています。

[用語3] ミリ波帯 : 一般的に、波長がmmオーダとなる30GHz帯以上の周波数帯です。

[用語4] Rate-compatible LDPC符号 : 複数の符号を1つ分の符号の回路で復号可能(rate compatible)なlow-density parity-check(LDPC)誤り訂正符号です。

[用語5] IEEE802.15.3e : 最大 100 Gbps までの物理層データ伝送速度とリンクセットアップ時間2 ms をサポートする次世代60GHz 無線通信規格です。

[用語6] Content Centric Networking(CCN) : 現在 Internet Research Task Force(IRTF)で議論がなされている、Internet Protocol(IP)に変わる新しいプロトコルです。現在のIPが端末間を接続することを目的としているのに対して、「コンテンツ」の配信を目的としてネットワークを構築し直すという考え方に基づいています。

[用語7] Directional Division Duplex(DDD)無線通信方式 : 3GPP等でも近年注目され始めた技術で、「Full Duplex」とも呼ばれています。

補足説明

※1
セル半径や方式の異なるシステムを同一エリアに混用するネットワーク技術でHetNetとも呼ばれています。小セルにミリ波を適用する提案として、例えば以下があります。
Millimeter-Wave Evolution for 5G Cellular Networks outer
※2
ニュースリリース: 世界最高 のデータ伝送速度6.3 Gb/sを実現する低消費電力・広帯域ミリ波無線用LSIを共同開発~モバイル機器搭載を想定した低消費電力動作を実現~
Sony Japan outer / 東京工業大学 outer
※3
プレスリリース: 60GHz帯通信とLTEを協調動作させる通信方式の開発~5G時代の新しい通信プロトコル~
株式会社KDDI研究所 outer

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

ソニー株式会社 広報・CSR部

Tel : 03-6748-2200

日本無線株式会社 経営企画部 広報担当

Tel : 03-6832-0455

株式会社KDDI研究所 営業・広報部

Email : inquiry@kddilabs.jp
Tel : 049-278-7464

3月2日 9:30 図4の画像が不足していたため、追加しました。

本学英語研究部が英語ディベート世界大会WUDCで準決勝進出

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2015年12月28日から2016年1月3日の7日間にわたり、ギリシャで英国議会式英語即興ディベートの世界大会WUDC(World Universities Debating Championships)が開催されました。東工大公認サークルT.I.Tech ESSからは2組が出場し、海宝慎太郎さん(工学部国際開発工学科3年)と林政洋さん(工学部機械科学科3年)のチームが、EFL部門において本学史上初となる予選突破を果たし、準決勝まで進出しました。

準決勝にて壇上でスピーチを行う海宝
準決勝にて壇上でスピーチを行う林

準決勝にて壇上でスピーチを行う海宝(左)、林(右)(写真提供:綾部功)

英国議会式英語即興ディベートとは

正式名称はパーラメンタリーディベート(Parliamentary Debate)で、英国議会の形式を模したディベートです。2人のディベーターで構成されるチームが予め肯定側と反対側に分けられ、その場で発表された議題に対する7分の立論スピーチを、規定時間内(15~25分)に準備したうえで演説を行い、第三者であるジャッジ(審判)を説得する競技です。

WUDCは、この競技の世界大会に位置づけられ、毎年世界各地から約400チーム、ジャッジとディベーター合わせて約1000人がこの大会に参加しています。

前列に座る8名がジャッジ、準決勝では50名ほどの聴衆の前でスピーチ(写真提供:氏家大祐)
前列に座る8名がジャッジ、準決勝では50名ほどの聴衆の前でスピーチ(写真提供:氏家大祐)

予選ラウンドでのスピーチの様子
氏家(写真右端)はジャッジとして参加

予選ラウンドでのスピーチの様子(左)、氏家(写真右端)はジャッジとして参加(右)(写真提供:WUDC2016)

T.I.Tech ESS 2013年度代表 米澤祐介さん(国際工学工学科4年)からのコメント

今年度ギリシャで開かれた英国議会式英語即興ディベートの世界大会において、T.I.Tech ESSから出場した3年生ペアが素晴らしい成績を残してくれました。英語圏の大学から多くの選手が出場するこの大会において、日本人の私たちが勝つことは容易ではありません。彼らのこれまでの努力が報われたことを、1年生の時からの成長を見続けてきた先輩として非常に喜ばしく、また誇りに思います。T.I.Tech ESSが今後ともより一層活躍の場を広げていくことを願い、結びの言葉とさせていただきます。

オープニングセレモニーでの記念の1枚、金川・米澤ペア(左)と海宝・林ペア(右)(写真提供:氏家大祐)
オープニングセレモニーでの記念の1枚、金川・米澤ペア(左)と海宝・林ペア(右)(写真提供:氏家大祐)

T.I.Tech ESSについて

T.I.Tech ESSは、主に英国議会式英語即興ディベートの練習・大会出場を活動内容としている、大学公認のサークルです。定期練習は週2回で、水曜・土曜の13:30~17:30に行われています。部員数は現在、男子16人、女子5人の計21人名です。

2015年度の主な成績

  • 北東アジアオープン2015 準決勝進出
  • マレーシアオープン2015 EFL決勝進出
  • 凌霜杯 2015 優勝

お問い合わせ先

T.I.Tech ESS

Email : titechdebate2016@gmail.com

第4回ELSI国際シンポジウム 一般向け講演会「宇宙に生命を探して」開催

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1月12日、東工大くらまえホールにて、第4回ELSI国際シンポジウム一般向け講演会「宇宙に生命を探して - Does water define a planet's habitability? -」を開催いたしました。

シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

東京工業大学地球生命研究所(ELSI)では、年1回国際シンポジウムを開催しており、国内外から地球と生命の起源と進化に関わる研究者たちが大勢集まります。一般向け講演会は昨年度から始まったもので、ELSIの研究やこの分野の最新の話題について分かりやすくお伝えするために行っています。

今回の講演会では募集定員150名を超える申込みがあり、会場は満席となりました。東工大地球惑星科学科の臼井寛裕助教と、ワシントン大学/NASAアストロバイオロジー研究所のヴィクトリア・ミードウズ教授をお招きし、同時通訳を利用して講演を行いました。

臼井寛裕助教

臼井寛裕助教

臼井助教は「火星の水の歴史」について、最新の火星研究によって得られたデータを用いながら話しました。

まず初めに、観客にいくつかの天体の図を見せて、その中から火星を選んでもらいました。実際は、全ての図が別々の年代の火星を表したもので、火星は環境の変動が激しく、どろどろのマグマのかたまりであったり氷河で覆われていたりと、過去にはさまざまな姿をしていたと語りました。

火星の気候変動の歴史を読み解くには、岩石の調査が有効です。火星の探査が進んだことで、火星の岩石に残された水の跡や、そこから川の流れの強弱なども分かります。実際に過去には火星に海が存在し、出来ては消えを繰り返していたことも分かりました。

臼井助教の講演

臼井助教の講演

臼井助教は主に火星の隕石の研究をしています。隕石に含まれるガスの組成が、実際の探査機で測った火星大気の組成と一致することから、その隕石が火星から来たことが分かります。また、火星の隕石を調べることで、当時の火星の環境を読み解くことができます。

最近の研究で、春夏には液体の塩水がクレーターに染みだしてきて、秋冬になるとまた地下に消えていくという現象が発見されました。この季節性の水が流れた跡が火星のあちこちで発見されています。この発見により、火星の地下にはいまでも液体の水が流れているのではと考えられるようになりました。火星はこれから有人探査の時代を迎えます。その探査により、生命が過去に存在していたのか、あるいは今でも生命が存在しているのか、地球外生命の研究が大きく進むかもしれません。

また、日本では2022年に始まる火星の衛星フォボスのサンプルリターン計画※1が進んでおり、臼井助教もこの計画に参加予定です。火星衛星の起源、火星の形成、火星の水の起源などを明らかにすることを目指していると目標を語りました。

ヴィクトリア・ミードウズ教授

ヴィクトリア・ミードウズ教授

続いて、ヴィクトリア・ミードウズ教授が、太陽系外惑星の生命探査について話しました。

NASAのケプラー望遠鏡は、ここ数年で1000以上もの系外惑星を発見しました。

発見された系外惑星の多くは、地球とは全く違った環境で、太陽系の天体とは違う動きをしていました。地球や太陽系天体とは違う系外惑星の観測をすることで、生命が生まれそれを育むための温度、水、大気の条件が分かれば、地球は宇宙の中で特別な存在で地球にしか生命はいないのか、あるいは地球のような天体は宇宙にはたくさんあるのかといった、地球の特殊性と普遍性を知ることができるかもしれないと話しました。

ミードウズ教授の講演

ミードウズ教授の講演

NASAが計画しているトランジット系外惑星探索衛星(TESS)では、今まで以上に広い範囲で系外惑星を探し、それらの質量、サイズ、密度などをより正確に知ることが出来る予定です。また、JWSTミッション※2では、赤外線を用いて系外惑星の大気の化学組成を調べます。

ミードウズ教授は、どういった天体が生命を育むのに最も適した環境なのか、また、生命が存在する場合はどのようなシグナルがあり、どうやってそれをキャッチするかを探りたいと語りました。

一般向け講演会のテーマは、国際シンポジウムの主題に合わせて決めており、今回は宇宙における生命の可能性やその探査についてをテーマとしました。シンポジウムの主題は毎年変えていて、来年はまた別のトピックを取り上げます。一般向け講演会でも最新の研究成果や話題を提供する予定ですので、ご期待ください。

※1
火星衛星フォボスのサンプルリターン計画 : JAXA(宇宙航空開発機構)が計画している、2022年に火星の衛星「フォボス」に向けて探査機を打ち上げるミッションで、打ち上げには新型ロケット「H3」が利用される予定。火星の進化や衛星の起源を探るため、石や砂を採取し、打ち上げの約3年後に地球に持ち帰る計画である。
※2
JWSTミッション : アメリカのNASAによるミッションで、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)は、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として、2018年打ち上げを目標に開発が進められている。

お問い合わせ先

地球生命研究所 広報室

Email : pr-mail@elsi.jp
Tel : 03-5734-3163

東京工業大学国際学生会TISA 引継ぎ式2016 開催報告

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2月12日、大岡山キャンパス百年記念館にて、東京工業大学国際学生会TISAの引継ぎ式が開催されました。

旧幹部メンバーと新幹部メンバー(中央がブラウンさん)
旧幹部メンバーと新幹部メンバー(中央がブラウンさん)

三島良直学長(中央右)と水本哲弥副学長(教育運営担当)(中央左)

三島良直学長(中央右)と
水本哲弥副学長(教育運営担当)(中央左)

この式で、今年度の活動に貢献した幹部たちを送別し、新チームが発足しました。この式には、留学生や日本人学生はもちろん、東工大の職員や教員など、TISAの活動に関わっている多くの人々が参加しました。

初めに、東工大 三島学長が開会の言葉として、東工大の国際化におけるTISAの重要性に触れ、TISAの活動に賛辞を述べました。

旧幹部メンバーからカギを受け取るブラウンさん

旧幹部メンバーからカギを受け取るブラウンさん

つづいて、旧TISA幹部メンバーと新TISA幹部メンバーの紹介が行われ、昨年に引き続き今年もTISA代表に選ばれたケビン・ブラウンさんが、今年度の活動報告と、TISAの今後の展望を説明し、参加者と共有しました。その後ブラウンさんは、TISAのシンボルマークがついたカギを受け取り、旧メンバーから新メンバーに幹部が引継がれました。

式では料理が振る舞われ、東工大生有志ののジャズグループによる演奏や、タイ留学生による民族楽器での演奏も披露されました。

タイ留学生による民族楽器での演奏

タイ留学生による民族楽器での演奏

東工大生有志ののジャズグループによる演奏

東工大生有志ののジャズグループによる演奏

TISA(Tokyo Tech International Student Association)は、東工大留学生のサポートや、学内での国際交流の促進のために活動を行っている学生団体です。

集合写真
集合写真

お問い合わせ先

東京工業大学国際学生会TISA

Email : contact@mytisa.net

「ゴム・プラスチックの安全、安心」(CERI寄附講座)後期分開催報告

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2015年10月31日から2016年2月6日までの土曜日8回にわたり、公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心 ―身の回りから先端科学まで―(後期)」が開催されました。会場は東工大蔵前会館ロイアルブルーホールで、学内外の13名の著名な講師による、合計16の講義が行われました。

石曽根隆教授(東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)
石曽根隆教授(東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)

野島修一教授(東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)

野島修一教授
(東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)

近年モノやシステムの安全・安心が社会の重要なテーマであり、様々な製品とそのもととなる材料においても、安全・安心が求められる時代です。

本講座は、広く社会に浸透し私たちの身の回りにある、化学品を含むプラスチックやゴムと、その関連製品の安全・安心を取上げ、それらに関する情報と、やさしい科学を紹介し、正しい知識を広く一般の方に持ってもらうことを目的としています。さらに、最先端の安全性評価技術、劣化と寿命予測技術、耐性向上技術、高性能・高強度化技術・材料に関する科学を紹介しました。学生を含む専門家が、将来の安心・安全な材料の設計の基礎を学べることを目的として、各講義が組まれました。

宮浦英樹 試験第三課長(CERI日田事業所)

宮浦英樹 試験第三課長(CERI日田事業所)

学外からも一般企業の方、自営業の方など多数ご参加いただき、学内の全く異なる学科、専攻の学生を含め76名の受講登録者があり、各講義平均約50名が受講するという大変盛況な結果となりました。

また、それぞれの講義後の質疑応答時間には、多くの方から質問が寄せられ、講師の先生方からは丁寧な回答をいただきました。

最終の講義の後には修了式が行われ、16講義中13講議以上受講した9名の方(うち5名は16講議総て受講)に対し、本講座のコーディネーターを務める高田十志和教授(大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)より修了証が授与されました。また、一般財団法人化学物質評価研究機構(CERI)の大武専務理事より、挨拶と来年度の公開講座の継続実施の説明がありました。そしてその後の懇談会は、多くの外部受講者と学生受講者による、諸先生方との有意義な意見交換の場となりました。

石川謙准教授(東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)
石川謙准教授(東京工業大学大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)

なお、この講座はCERIの全面的な支援の下、本学の大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻とCERIが共催で実施しています。

来年度前期の講座は6月4日に開始し、7月30日までの7回全14講義を予定しています。今年度も非常に役だったとのご意見が多かった講座で、参加費も無料ですので、ぜひご参加ください。募集を開始する際は、東工大webサイト新着イベント情報でお知らせします。

お問い合わせ先

CERI寄附講座(公開講座) 事務局

Email : kokaikoza@polymer.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2898

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