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細く、しなやかな人工筋肉の大学発ベンチャーを設立

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細く、しなやかな人工筋肉の大学発ベンチャーを設立
―福祉介護パワースーツ、人型ロボット用キーデバイスとして開発、販売へ―

東京工業大学と岡山大学の両大学発ベンチャー企業s-muscle(エスマスル)が4月1日に誕生し、空気圧で動作する細径人工筋肉の販売を開始します。

今回販売を開始した細径人工筋肉は、外径が2~5mmと従来の人工筋肉に比べてはるかに細くしなやかなため(従来市販されているものは外径が10~40mm程度)、これを筋繊維として編み込むことで、軽く、柔らかく着心地のよい介護福祉用サポートスーツやコルセットの実現が期待できます。また、人間と同じようななめらかな動きを行う人型ロボットや超軽量ロボットなど、新しいロボット、福祉機器のブレイクスルーとなり得ます。

7月より人工筋肉のユーザーメーカーや研究機関にサンプル出荷を開始し、用途開拓と実用化を進め、来年度を目標にネット販売を通じた一般の小口ユーザーへの販売も始める計画です。

開発の背景

2011年より、鈴森康一教授(岡山大学(当時)、2014年度より東京工業大学)、脇元修一准教授(岡山大学)、ならびに池田製紐所が協力してマッキベン型人工筋肉[用語1]の研究開発を開始し、細く、しなやかな人工筋肉の開発に成功しました。

その後、東京工業大学と岡山大学が共同で細径人工筋肉の基礎特性と応用に関する研究を進めていましたが、アパレル、福祉介護用具、ロボットを扱う多くの企業や研究者から、この人工筋肉を使いたいとの要望を受け、4月1日に、東京工業大学と岡山大学発ベンチャーとしてs-muscleを設立し、細径人工筋肉の設計、製造、販売、用途開拓を開始しました。

細径人工筋肉の概要

人工筋肉の研究開発にはいくつかの方式がありますが、s-muscleが開発したのはマッキベン型と呼ばれるものです。従来にない、細く、しなやかで、軽く、力の強い人工筋肉で、この特徴を利用すれば、人と接する柔らかな機械や新しいロボット機構など、様々な用途が期待できます。

販売する細径人工筋肉の例

外径は2~5mm、収縮率[用語2]は20~25%、最大収縮力[用語3]は1cm2あたり約30kgfです。
複数の人工筋を束ね、様々な形状の筋肉が構成できます。

販売する細径人工筋肉の例

サポートスーツへの応用

布状に織ることで、柔らかく、軽く、着心地の良いパワースーツやサポータへの応用を目指します。

サポートスーツへの応用

ロボットへの応用

超軽量/長尺ロボット、人間型筋骨格ロボット、ソフトロボットなど、新しいロボットへの応用が可能です。

ロボットへの応用

今後の展開

サポートスーツ、福祉介護用具、ロボットへの細径人工筋肉の応用を検討するメーカーや研究機関に対して、7月より機能検証用人工筋肉のサンプル出荷を開始します。外径2mm、2.5mm、4.8mmの3タイプを用意し、人工筋肉単体、アセンブル品、駆動装置等、要望に応じた形で販売をします。s-muscleでは、顧客企業、東京工業大学、岡山大学で共同して、細径人工筋肉の設計、開発、用途開拓を進めます。営業、製造など業務の一部は池田製紐所とコガネイに委託します。2017年春には安価な普及用人工筋肉の提供を予定しており、顧客メーカーや研究機関と協力して、細径人工筋肉を用いたサポートスーツ、福祉介護用具、ロボット等の普及に努めます。また、一般の小口ユーザーにもネット販売を開始し、この人工筋肉の普及を図る予定です。

s-muscleの会社概要

社名 :
株式会社s-muscle(エスマスル)
設立日 :
平成28年4月1日
所在地 :
岡山県倉敷市児島唐琴2丁目4番24号
事業内容 :
人工筋肉の設計、製造、販売、用途開拓、技術コンサルティング
資本金 :
81万円
役員 :
代表取締役 鈴森康一(東京工業大学 工学院 教授)
取締役 脇元修一(岡山大学 大学院自然科学研究科 准教授)、清板祝士、河野一俊
監査役 清板雅史
主要株主 :
鈴森康一、脇元修一、株式会社池田製紐所、株式会社コガネイ

用語説明

[用語1] マッキベン型人工筋肉 : ゴムチューブの外周にメッシュを編んだ構造で、ゴムチューブ内部に空気を送ることで軸方向に収縮する。原理は1960年頃に米国で開発され、現在、複数のメーカーが製造している。マッキベン型のほかに、高分子材料を使ったものや静電気力を使ったものなど、種々の人工筋肉が研究されているが、その中でマッキベン型人工筋は唯一実用レベルの力や収縮力が得られている。

[用語2] 収縮率 : 人工筋の収縮した長さを、人工筋肉の元の長さで割った値。例えば、長さ100mmの人工筋肉が収縮して75mmになる場合、収縮量は25mmなので、収縮率は25%となる.一般的には収縮率が大きいほどよい性能といえる。

[用語3] 最大収縮力 : マッキベン型人工筋肉の収縮力は、人工筋肉の伸び量によって変わり、最も伸びた状態で最大の力となる。このときの収縮力を最大収縮力という。最大収縮力は人工筋肉の断面積によって変わり、1cm2あたり約30kgfの力がでる。例えば外径2.5mmの人工筋肉の断面積は約0.5cm2なので、発生する最大収縮力は約15kgfとなる(kgfとは日常でkgと呼ばれる単位と同じ)。

工学院

工学院 ―新たな産業と文明を拓く学問―
2016年4月に新たに発足した工学院について紹介します。

工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

岡山大学 広報・情報戦略室

Email : www-adm@adm.okayama-u.ac.jp
Tel : 086-251-7292 / Fax : 086-251-7294

株式会社 s-muscle

Email : contact@s-muscle.com
Tel : 086-477-5566 / Fax : 086-477-4156


第9回サステナブル エンジニアリング テクノロジー「エネルギーと製鉄」開催報告

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東京工業大学国際大学院「サステナブル エンジニアリング プログラム(Sustainable Engineering Program)」の一環として、大学院理工学研究科(工学系)が主催する第9回サステナブルエンジニアリングテクノロジー(Sustainable Engineering Technology)が開講されました。

セミナー会場での集合写真
セミナー会場での集合写真

この授業は、持続可能な開発に関する幅広い知識を持った国際的エンジニアを養成することを目的としており、企業や研究機関の方々による講義と、工場見学を含む1泊2日のサテライトセミナーから構成されています。

例年、エネルギーと環境に関するテーマが設定され、2015年度は「エネルギーと製鉄(Energy and Steel Production)」をテーマに、12専攻から計61名の本学学生(内ティーチング アシスタント(以下、TA)9名)が参加しました。

計3日間の事前講義では、電力中央研究所(CRIEPI)から4名の方が非常勤講師として主にエネルギーに関する講義を、JFEスチール株式会社から2名の方が非常勤講師として主に最新の製鉄技術に関する講義を行いました。その後、9グループに分かれ、課題を設定した上でグループワークに臨み、それらの集大成として2月25日から26日にかけてサテライトセミナーが実施されました。

サテライトセミナーでは、1日目にJFEスチール株式会社東日本製鉄所の千葉地区を訪れました。通常の見学では滅多に見ることのできない、高炉からの出銑や転炉への溶銑投入という大迫力の工程を見学することが出来、製鉄所の巨大なスケールと共に強く印象に刻まれた見学となりました。

JFEスチール株式会社での集合写真
JFEスチール株式会社での集合写真

続いて、夕食後には、17か国からの参加者が自らの出身国を紹介する時間が設けられました。それぞれが趣向を凝らし1つとして同じ紹介がない中で、世界の文化の多様性を感じたひとときでした。その後、夜も深まっていましたが、グループワークの総仕上げをする時間がとられ、チームによっては真夜中近くまで、翌日の発表に向けた準備をしていました。

夕食後の自己紹介
夕食後の自己紹介

プレぜンテーションの準備をする学生達
プレぜンテーションの準備をする学生達

グループワーク
グループワーク

2日目には、9つのグループがグループワークの発表会を行いました。鉄鋼メーカーに環境に配慮した技術を提案するという対話形式を始め、報道番組のように鉄鋼メーカーの技術者や研究機関の研究者にそれぞれインタビューをするという形式や、はたまた会場を巻き込んだシンポジウム風の形式等、通常のプレゼンテーションの枠にはとどまらない発表が数多く見られ、各グループは15分の持ち時間をフルに活用していました。続く10分間の質疑応答でも、会場から鋭い質問が寄せられ、活発な議論が行われました。

JFEスチール株式会社の社員、本学教員、TAの投票により、上位3グループと活発な質問を行った3名が表彰され、サテライトセミナーは幕を閉じました。

参加した学生のコメント

大学院理工学研究科 材料工学専攻 修士2年(当時)
杉山 智美さん

講義からサテライトセミナーでの発表まで、全編を通じて英語で行われ、意欲的な留学生たちから活発に質問が飛び交う様子はさながら海外の大学のようであり、少数派の日本人学生としては非常に刺激を受けました。グループワークは大変なことも多かったのですが、得たものが大きい講義でした。お世話になった電力中央研究所およびJFEスチール株式会社の講師の方々、特に、2日間のサテライトセミナーでお世話になったJFEスチール株式会社の稲積先生、佐藤先生、山口様、イマニュエル様に感謝申し上げます。

お問い合わせ先

環境・社会理工学院 土木・環境工学系 竹村次朗

Email : jtakemura@cv.titech.ac.jp

単分子レベルで金属―分子界面の完全解明に世界で初めて成功

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要点

  • 単分子レベルで金属と分子の界面の状態を決定する手法を世界で初めて開発
  • 分子素子の実現に一歩近づき、既存の有機デバイスの性能向上にも威力

概要

東京工業大学理学院の小本祐貴博士後期課程2年、藤井慎太郎特任准教授、木口学教授らは、単分子接合[用語1]における金属と分子界面の原子構造・電子状態を決定する手法を開発した。単分子接合に与える電圧を変えながら流れる電流(I-V特性)[用語2]を計測することで得られる、界面に関する複数の状態の情報を基に、それぞれの状態の界面構造、電子構造を決定した。その結果、同じ単分子でありながら、界面の構造に応じて伝導度が最大2桁も異なることを明らかにした。

研究成果は5月25日発行のNature Publishing Group「Scientific Reports」に掲載された。

背景

単分子に素子機能を賦与する単分子素子は、究極の微小サイズの電子素子[用語3]を実現できるので、次世代の電子デバイスとして注目を集めている。これまで様々な分子を用いて、単分子素子の基本要素となる単分子接合が作製され、その伝導度が決定されてきた。最近では、トランジスタ、ダイオード、スイッチ特性などの機能性単分子接合に関する研究も多数報告されている。しかしながら、実験の再現性が低いため、単分子素子実用化のめどは立っていない。実用化にむけた最大の課題は、単分子接合が「ブラックボックス」で、特に物性に決定的な役目を担う金属と分子の接合界面の状態がきちんと解明できていないことにある。

研究成果

金属―分子界面の状態の解明にむけ、小本らは単分子接合を流れる電流の電極間電圧依存性(I-V特性)に注目し、計測技術および高度情報処理を融合させた独自の計測・解析手法を開発することで、単分子接合のI-V計測そして接合界面状態の決定に成功した。

単分子接合およびベンゼンジチオール(BDT)単分子接合の電流―電圧特性の例

図1. 単分子接合およびベンゼンジチオール(BDT)[用語4]単分子接合の電流―電圧特性の例

図2には1000個のベンゼンジチオール(BDT)分子接合について計測したI-V特性を示す。図2(a)では3つ、図2(b)では1つ、計4つの状態が分離して観測された。得られたI-V特性から、金属と分子の波動関数の重なり(Γ)とエネルギー差(ε0)、架橋分子数(n)を求めたところ、4状態のうち中間の2状態は架橋分子数1と2の状態に対応し、単分子接合としては3状態に分類出来ることが分かった。図2(c, d)には波動関数の重なりΓとエネルギー差ε0の分布を示すが、3状態は主に界面における金属と分子の波動関数の重なりが異なっている。

単分子接合およびベンゼンジチオール(BDT)単分子接合の電流―電圧特性の例

図2. (a,b)BDT単分子接合の電流―電圧特性の分布 (c,d)波動関数の重なりおよびエネルギー差の分布

並行してモデルクラスタを用いた理論計算により、単分子接合の電気伝導度、波動関数の重なり(Γ)、エネルギー差(ε0)の3つの物性量を求めた。実験結果と比較することで、図2で観測されたHの状態はBDT分子における硫黄原子が2つの金原子の間(bridge)に、Mの状態は硫黄原子が3つの金原子の間(hollow)に、Lの状態は硫黄原子がAu原子の直上(on-top)に吸着していることがそれぞれ明らかとなった。BDT単分子接合の伝導度はH状態が0.4M(メガは100万)、M状態が8M、L状態が40Mオームである。界面構造のわずかな差が伝導度を最大二桁も大きく変化させることが明らかとなった。

BDT単分子接合の構造モデル。図2のH, M, Lはそれぞれbridge, hollow, on-topに対応する。

図3. BDT単分子接合の構造モデル。図2のH, M, Lはそれぞれbridge, hollow, on-topに対応する。

今後の展開

本研究によりこれまでブラックボックスであった単分子接合における界面構造、そして電子状態を明らかにすることが可能になり、界面構造に応じて単分子接合の伝導性が大きく変化することも明らかとなった。今後、適切な金属―分子接続部位を開発することで伝導度揺らぎの少ない単分子接合を作製し、揺らぎを低減することで単分子素子実用化が近づくことになる。また、金属と有機物の界面における電子輸送は、単分子接合に限らず、有機トランジスタ、有機ELなど有機エレクトロニクス全般の重要なテーマである。本研究で得られた分子スケールでの局所界面構造と電子輸送特性の関係は、これらデバイス開発にも貴重な指針を与えることが期待される。

用語説明

[用語1] 単分子接合 : 金属電極間に単分子を架橋させた構造体を意味する。単分子接合に機能を賦与することで分子デバイスとなる。単分子接合では、分子が2カ所で金属電極と接続しているため、界面において電荷移動、軌道混成がおこり、分子は孤立分子や結晶とは異なった振る舞いをするようになる。

[用語2] I-V特性 : 導体を流れる電流(I)と導体両端の電位差(V)の関係を意味する。単分子接合のI-V特性は、伝導度に加え、界面における金属と分子の波動関数の重なり、そのエネルギー差について、従来の単なる伝導度計測とはけた違いに多くの情報を与える事が理論提案されている。

[用語3] 電子素子 : 電子回路を構成するダイオードやトランジスタなどの部品を意味する。

[用語4] ベンゼンジチオール(BDT) : ベンゼン環のパラ位の2つ水素原子がチオール(-SH)基で置換された分子である。ベンゼンジチオールのチオール基が金電極と結合することで、分子接合を形成する。チオール基と金電極が強く結合することから、分子接合を形成するモデル分子として知られている。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Resolving metal-molecule interfaces at single-molecule junctions
著者 :
Yuki Komoto1, ShintaroFujii1, Hisao Nakamura2, Tomofumi Tada3, Tomoaki Nishino1 and Manabu Kiguchi1
所属 :
1Department of Chemistry, School of Science, Tokyo Institute of Technology, 2-12-1 W4-10 Ookayama, Meguro-ku, Tokyo 152-8511, Japan,
2Nanosystem Research Institute (NRI) 'RICS', National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), Central 2, Umezono 1-1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-8568, Japan,
3Materials Research Center for Element Strategy, Tokyo Institute of Technology, 4259-S2-13 Nagatsuta-cho, Midori-ku, Yokohama 226-8503, Japan
DOI :

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に新たに発足した理学院について紹介します。

理学院

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東京工業大学 理学院化学系
特任准教授 藤井慎太郎

Email : fujii.s.af@m.titech.ac.jp

教授 木口学

Email : kiguti@chem.titech.ac.jp
Tel / Fax : 03-5734-2071

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東工大の研究成果を応用し、大型有機ELパネルの効率的な量産に貢献

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東工大の研究成果を応用し、大型有機ELパネルの効率的な量産に貢献
―AGC旭硝子、C12A7エレクトライドのスパッタリングターゲット材を量産開始―

東京工業大学と旭硝子株式会社(以下、AGC旭硝子)は、本学 科学技術創成研究院の細野秀雄教授の研究グループが開発した「C12A7エレクトライド(C12A7:e-)」を用いて均一な非晶質薄膜を共同開発しました。AGC旭硝子は、これを量産するために必要なスパッタリングターゲット材の工業化と商業生産を開始しました。

C12A7エレクトライドのスパッタリングターゲット材
図1. C12A7エレクトライドのスパッタリングターゲット材

C12A7はアルミナセメントの構成成分の一つで、内径0.4nm[用語1]程度の籠状の骨格が面を共有して繋がった構造をしており、この籠には酸素イオンが含まれています。細野教授の研究グループはこの籠中の酸素イオンをすべて電子で交換し、金属のように電気をよく流し、電子を外部に極めて与えやすい性質を持ちながら化学的にも熱的にも安定で容易に取り扱うことができる、「C12A7エレクトライド」を開発しました。また、アモルファス非晶質C12A7エレクトライドも作製できることを示し、特徴的な性質も保持されていることを見出しました。

C12A7(12CaO・7Al2O3)結晶
図2. C12A7(12CaO・7Al2O3)結晶

現在、有機ELディスプレイの電子注入材料には、フッ化リチウム(LiF)や、アルカリ金属をドーピングされた有機材料が用いられていますが、これらは不安定な物質あるいは状態で使われています。そこで細野教授の研究グループとAGC旭硝子の研究グループは、より安定した「非晶質C12A7エレクトライド薄膜」を開発しました。AGC旭硝子の研究グループが開発したターゲット材を用いた、室温のスパッタリング工程[用語2]から得る事のできる、非晶質C12A7エレクトライド薄膜は、可視域で透明で、容易に電子を放出し、しかも化学的に安定しているというユニークな特徴をもっています。これに細野教授の研究グループが開発した透明非晶質酸化半導体(TAOS[用語3])を用いたn-チャンネルのTFT素子を組み合わせる事で、デバイス構造として有利な逆構造型でも、駆動電圧の低い電子輸送層を、安定して高い歩留りで製造する事ができるようになります。TAOS-TFTは大型の有機ELパネルの駆動に適していますが、その性能を生かす逆構造の実現に必要な電子注入層と輸送層として、うまく機能する物質がありませんでした。今回の成果により、酸化物TFTで駆動する有機ELパネルの製造が大幅に改善できることが期待できます。

従来品との比較
図3. 従来品との比較

なお、本成果は、以下の事業・研究開発課題の一環として得られました。

国立研究開発法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 ACCEL 

  • 研究開発課題名
    :「エレクトライドの物質科学と応用展開」
  • 研究代表者
    :東京工業大学 細野秀雄
  • プログラムマネージャー
    :横山壽治
  • 共同研究機関
    :旭硝子(株)
  • 研究開発期間
    :2013年10月~2018年3月

用語説明

[用語1] nm : ナノメートル、1/1000ミクロン。

[用語2] スパッタリング工程 : 真空チャンバー内に薄膜としてつけたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(普通はアルゴンを用いる)や窒素(普通は空気由来)を衝突させる。するとターゲット表面の原子がはじき飛ばされ、基板に到達して製膜することが出来る。 原理も単純であり「スパッタ装置」として各種あることから、様々な技術分野で広く使われている。 最近では、高品質の薄膜が要求される半導体、液晶、プラズマディスプレイ、光ディスク用の薄膜を製造する手法として用いられている。

[用語3] TAOS : Transparent Amorphous Oxide Semiconductor. In-Ga-Zn-Oから成るIGZOはその一つ。

お問い合わせ先

広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

高大連携授業、タイと日本の高校生による「2進法ワークショップ」を開催

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4月21日、東京工業大学附属図書館2階の学習スペースにて、東工大の支援のもと、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)※1プログラムの海外交流事業の一環として「2進法(バイナリ)ワークショップ」が開催されました。本ワークショップは、高大接続教育※2の授業を能動的学習(アクティブ・ラーニング)方式で行うだけでなく、さらにそれを英語で行うという先進的な試みで、タイ国プリンセス・チュラポーン・サイエンス・カレッジ・チェンライ校から10名、および東京学芸大学附属高校から11名、合計21名の高校生が参加して行われました。

松井知己教授の挨拶
松井知己教授の挨拶

附属図書館2階の学習スペース
附属図書館2階の学習スペース

本学工学院経営工学系の松井知己教授と4名の学生アシスタントが案内役となり、参加した高校生は冒険に見立てた5つの2進法の課題に取り組みました。最初の冒険(課題)で与えられた任務は、「三途の川を渡れ」。ボートの代わりに手渡された「0」と「1」のカードを使って、川を渡るというものです。送信者は、この2種類のカードを使って受信者に正確に暗号を送ることで、無事川を渡りました。

2進法の冒険地図
2進法の冒険地図

次の「踊る人形の秘密」と題される課題では、参加者に「1」「2」「4」「8」「16」の5枚のカードが渡されました。4名1組となり、カードを組み合わせて1から20までの数を作り、順番に数え上げていきます。無事20までたどり着くと、今度は1まで折り返します。数が増えていく時は順調に進んでいても、カウントダウンではつまずく参加者が続出しました。基本を覚えたところで、今度は指を使って挑戦しました(フィンガーバイナリ)。なかなかうまくいかず、あちこちで声が上がる中、目にもとまらぬ早さで31(片手で数えられる最大の数)まで一気に数え上げる女子生徒が登場し、会場は大いに盛り上がりました。

続く3番目の冒険の「魔法使いの家」で与えられた課題は、5枚のカードで相手の誕生日を当てるというものでした。すでに2つの冒険をクリアしてきた参加者は、ここまで来ると課題の基本原理はすべて同じであることを理解しました。しかし、冒険の難易度はどんどん上がり、「オーク(空想上の生物、悪魔)の巣窟」と呼ばれる4番目の冒険では、課題の原理がわかっているにもかかわらず、与えられた10秒で解けた参加者はひとりもいませんでした。そこで出た「全滅だね」との教員のコメントに、参加者が大爆笑する一幕もありました。最後の冒険「指輪の謎」では、九連環と呼ばれる知恵の輪を使って「グレイコード」と呼ばれる別のコードが紹介されました。

バイナリカードで数字を表現する様子
バイナリカードで数字を表現する様子

九連環と呼ばれる知恵の輪を使った謎解き
九連環と呼ばれる知恵の輪を使った謎解き

冒険終了後、参加者たちはキャンパスの桜を楽しみながら次の目的地、東工大レクチャーシアターに移動し、大きなスクリーンを使った臨場感あふれる細谷暁夫特命教授のブラックホールについての講演を楽しんだ後、大岡山キャンパスの学生食堂で昼食を取りワークショップのすべての日程を終えました。手も体も声も頭脳も思い切り使ってバイナリの世界を奥深く探検しただけなく、参加者全員が異文化交流を楽しんだ大成功のワークショップとなりました。

2進法の課題に取り組む参加者たち
2進法の課題に取り組む参加者たち

※1 スーパーサイエンスハイスクール(SSH)
文部科学省が指定する科学技術や理数系教育を重点的に行う高等学校・中高一貫教育校
※2 高大接続教育:
高校と大学の接点を増やし、双方の学生の学習意欲向上を図る取り組み

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2016年4月に新たに発足した工学院について紹介します。

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「東工大留学フェア2016」開催報告

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毎年恒例の東工大留学フェアが4月20日に大岡山キャンパスで開催されました。留学フェアは、東工大の多種多彩な国際交流プログラムや留学経験者の生の声を紹介し、学生に留学のイメージをふくらませてもらうためのもので、外国政府を含む多くの学外団体や、学内団体、そして留学経験者が一斉に集まる一大イベントとなっています。今年は約400名の学生が参加しました。

留学体験談発表
留学体験談発表

くらまえホールでの全体説明では、関口秀俊副学長(国際連携担当)の挨拶に始まり、留学生交流課による各種留学プログラムの説明、リベラルアーツ研究教育院外国語セクションの薩摩竜郎准教授による外国語学習についてのアドバイス、そして米国に学位留学の経験がある工学院機械系の坂本啓准教授が留学体験談を発表しました。

個別相談では、ブリティッシュカウンシルや日欧産業協力センターなどの学外団体、外国語学習相談室、留学経験者、プログラム担当者等の様々なブースが設けられました。とりわけ「短期語学留学」のブースには多くの学生が訪れ、留学の第一歩として語学留学を検討している学生が多いことが感じられました。その他、国別ブースでは各国での留学生活について留学経験者から直接話を聞くことができ、中長期的な留学を検討している学生にとって有意義な機会になったようです。

プログラムごとに相談ブースを設置
プログラムごとに相談ブースを設置

スウェーデン留学個別相談ブース
スウェーデン留学個別相談ブース

ドイツ留学個別相談ブース
ドイツ留学個別相談ブース

グローバル理工人育成コース留学報告会
グローバル理工人育成コース留学報告会

終了時間を過ぎてもブースの人だかりは収まらず、学生達の留学への関心の高さがうかがえました。今後も多くの学生が世界に目を向けてくれることを期待しています。

留学に関する質問や相談は、随時留学情報館(南6号館4階)で受け付けています。

お問い合わせ先

国際部 留学生交流課 派遣担当

Email : hakenryugaku@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7645

リベラルアーツ研究教育院 シンポジウム「まず殻を破ることから――リベラルアーツの最先端へ」

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本年4月、東京工業大学は全学的な教育改革を行いました。その柱のひとつが、リベラルアーツ研究教育院の創設です。学部1、2年生に文系の科目をいくつか選択させるといった旧来の教養教育とは根本的に異なり、学士課程から大学院の修士課程、博士後期課程にいたるまでの全学生を対象に有機的なリベラルアーツ教育を提供します。

なかでも、講堂での講義とアクティブラーニング形式の少人数授業を組み合わせた学士課程1年目の必修科目「東工大立志プロジェクト」や、3年目にこれまでの大学での学びをふり返って執筆する「教養卒論」は、他大学には見られないユニークな科目です。さらに学生が大学院に進学した後は、ティーチング・アシスタントとして自分の得た知見を後輩の学士課程学生の学修のサポートへと還流させるサイクルをカリキュラムに組み込みました。このような本学の意欲的な取り組みは、すでに多くの大学関係者の注目を集めるところとなっております。

そこで、リベラルアーツ研究教育院の目指す新しい教育を、広く学内外の方々と共有する機会として、「まず殻を破ることから――リベラルアーツの最先端へ」と題したシンポジウムを企画しました。新しいカリキュラムを説明するだけではなく、一方通行の講義とは違った教育のスタイル、学生の積極的な授業参加を促す工夫などのトピックをめぐってパネリストが語り合い、フロアとの意見交換をしたいと思います。幅広い視野と豊かな人間性を備えた科学者の育成に取り組む当研究教育院の試みに、ぜひご注目ください。

開催概要

日時
2016年6月15日(水)17:15~19:00
場所
ディジタル多目的ホール(東京工業大学大岡山キャンパス西9号館2階)
対象
本学教職員、学生、一般
参加費
無料
お申込
不要

シンポジウムプログラム

  • 1
    開会の挨拶(三島良直学長)
  • 2
    リベラルアーツ研究教育院長挨拶(上田紀行教授)
  • 3

    シンポジウム「まず殻を破ることから――リベラルアーツの最先端へ」

    パネリスト:
    中島岳志教授(政治学)
    中野民夫教授(コミュニケーション論)
    伊藤亜沙准教授(芸術)
    三ツ堀広一郎准教授(フランス文学) ※括弧内は各専門分野
    シンポジウム司会:
    谷岡健彦教授
    総合司会:
    林直亨教授

リベラルアーツ研究教育院 シンポジウム「まず殻を破ることから――リベラルアーツの最先端へ」 ポスター

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に新たに発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

リベラルアーツ研究教育院(ILA)outer

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院事務室

E-mail : 205office@ila.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2107

東工大生ら主催 路上生活者調査「東京ストリートカウント」 ―五輪契機に優しい都市に―

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ARCH(アーチ。Advocacy and Research Centre for Homelessnessの略称)は1月13日~15日の3日間、夜間の路上生活者人口調査「東京ストリートカウント」を東京都内、渋谷・新宿・豊島の3区で実施しました。ARCHは、東京工業大学環境・社会理工学院で都市政策やコミュニティデザインを研究する土肥研究室のメンバーや卒業生、NPOメンバーからなる、ホームレス問題の研究・アドボカシー(政策提言)を行うグループです。調査期間中は、真冬の深夜にも関わらず3日間でのべ111名のボランティアの協力を得て、終電後の各区内を徒歩や車などで周り、路上生活者の人数を調査しました。

終電後の駅に集まった各日40名程のボランティアの皆さん
終電後の駅に集まった各日40名程のボランティアの皆さん

ストリートカウントとは

3~4人一班となり、地図や調査シートを持ちながら2時間程度担当エリアを隈なく歩いて調査
3~4人一班となり、地図や調査シートを持ちながら2時間程度担当エリアを隈なく歩いて調査

主催者の1人、本学環境・社会理工学院博士後期課程の北畠拓也さんは、過去にオーストラリアや英国にてホームレス政策の調査を行った際に、現地での「street count(ストリートカウント)」調査に参加した経験があり、それらを参考にしながら今回東京ではじめて市民参加型のストリートカウント調査を実施しました。

路上生活者人口に関する調査は行政も実施しており、東京都は年に2回「路上生活者概数調査」として都内における路上生活者数を把握するために道路・公園・河川敷・駅舎等を調査しています。しかし東京都による調査の時間帯は昼間であるため、河川などに定住している路上生活者の数を把握することはできても、夜間の、特に終電以降に路上に出てくる人々については十分把握できていない、という指摘がなされていました。そのため、東京都による概数調査を補完し、より実態に即した政策や支援活動を行うための一助となるよう、夜間の路上生活者人口を調べました。

その結果、「東京ストリートカウント」で対象とした3区では671名が夜間に路上生活をしていることが確認され、同時期に東京都が昼間に実施した調査結果(3区:239名)の約2.8倍にものぼることがわかりました。

「東京ストリートカウント公開報告会」を開催

4月10日に実施した公開報告会の様子
4月10日に実施した公開報告会の様子

4月10日、ARCHは「東京ストリートカウント公開報告会」を開催しました。報告会では、調査結果と分析・推計を発表するとともに、東京の現状や2020年東京オリンピック・パラリンピックへの影響を踏まえ、ストリートカウントから見えてくることについて述べ、参加者と意見交換を行いました。約90名の参加があり、その模様はTV、新聞、ラジオ等メディアでも取り上げられました。

公開報告会での参加者との質疑応答や意見交換の様子

公開報告会での参加者との質疑応答や意見交換の様子

公開報告会での参加者との質疑応答や意見交換の様子

なぜ五輪✕ホームレス問題なのか

東京は2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市です。過去、諸外国の開催都市では、五輪に際する路上生活者の公共空間からの追い立てや、旅行客のために不安定な居住状態にある人が低額の宿泊施設にいられなくなるなどの影響が報告されており、東京でも同様の懸念がなされています。一方で、五輪という市民の注目が集まる機会を好機と捉え、ホームレス・セクター全体で後の社会まで続く仕組みや体制などを遺した都市もありました。

日本では主に福祉分野の社会問題として扱われることが多いホームレス問題ですが、実際には就労や住宅、保健医療、或いは公共空間管理、地域住民など様々な分野や立場の人々が関わる都市の問題です。ARCHはそうした視点から、東京が2020年オリンピック・パラリンピックを契機として多様な人々が見守ったり支え合ったりする優しい都市になることを目指して調査研究・政策提言を行っています。

「東京ストリートカウント」の意義と今後の展開

今回実施した「東京ストリートカウント」はそうした目標への第1歩でもあります。実態調査としての側面に加え、多くの市民ボランティアの協力を得るという特徴がある調査であるため、市民にホームレス問題について考えてもらう契機としての意義があります。

実際に今回の調査に参加したボランティアの中には、はじめて路上生活の状況を目の当たりにしたという方も多く、「真冬の寒空の下にこれほど多くの人が路上にいて驚いた」「終電後はいつもと別の街のように感じた」という声が聞かれました。自分たちが住む街にこれだけ多くの人が路上で生活する状況にあるということを知り、心配したり考える人が増えていくことで、多様な人々が見守ったり支え合ったりする「優しい都市」に近付くことを期待しています。

「東京ストリートカウント」は今後も継続的に、対象地域を拡大していきながら行っていきます。興味のある方は、ARCHのウェブサイトをご覧ください。

環境・社会理工学院

環境・社会理工学院 ―地域から国土に至る環境を構築―
2016年4月に新たに発足した環境・社会理工学院について紹介します。

環境・社会理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

北畠拓也 環境・社会理工学院博士後期課程/ARCH

E-mail : arch.cd.office@gmail.com


TBSテレビ「未来の起源」に小畠・三重研究室の水口佳紀大学院生が出演

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本学、生命理工学院小畠・三重研究室の博士後期課程2年 水口佳紀さんが、TBS「未来の起源」に出演します。「再生医療・組織工学に用いる温度応答性タンパク質ゲル」の研究について紹介されます。

小畠英理教授
小畠英理教授

水口佳紀さん
水口佳紀さん

水口佳紀さん コメント

テレビで若手研究者が取り上げられるという機会はあまりないため、今回私たちの研究に着目していただき大変うれしく思っております。今回開発した材料は未来を変える可能性のある魅力的な性質をもった材料ではありますが、まだ基礎研究段階であり、こういった研究成果は社会に出してこそ価値があるものですので、いち早く臨床応用といった次のステップに進めることができるよう、今後の研究に取り組んでいきたいです。

  • 番組名
    「未来の起源」
  • 放送日
    TBS: 6月5日(日) 22:54~23:00
    (再放送)BS-TBS: 6月12日(日) 20:54~21:00

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニット キックオフシンポジウム開催報告

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科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニットは、4月16日、すずかけ台キャンパスにて設立記念(キックオフ)シンポジウムを開催し、学内外より80名の参加がありました。

田口英樹教授による開会の挨拶
田口英樹教授による開会の挨拶

シンポジウムは、ユニットリーダーである大隅良典栄誉教授が本研究ユニットの概要説明を行うことから始まりました。本研究ユニットは、生命の基本単位である細胞について学内外の先進的な研究者を結集し、細胞レベルの生命現象の解明において国際的に先端的な研究を進めるとともに、細胞を利用した創薬、医療などに貢献できるよう基礎研究の成果を社会還元することも目指します。

次に、三島良直学長から、平成28年度にスタートした東京工業大学の組織改革の概要や研究ユニットへの期待が話されました。

大隅良典栄誉教授
大隅良典栄誉教授

三島良直学長
三島良直学長

引き続き、細胞制御工学研究ユニットの教員が、それぞれの持ち時間30分間で各研究室の研究概要や今後の抱負について講演しました。各教員の研究テーマは以下の通りです。

  • 大隅良典栄誉教授:オートファジーの生理機能
  • 田口英樹教授:細胞内蛋白質の一生、新生鎖の生物学
  • 岩崎博史教授:染色体ダイナミズムの時空間制御の分子メカニズム
  • 駒田雅之教授:増殖因子受容体の分解による細胞増殖・がん化の分子機構
  • 木村 宏教授:生細胞・生体内のエピジェネティクス動態制御
  • 加納ふみ准教授:細胞編集技術と次世代イメージング画像解析技術を用いた細胞機能制御機構の研究

各講演の後の質疑応答の時間には、来場者から多数の質問が出て、本研究ユニットの研究に対する興味の高さが感じられました。

本シンポジウムは研究ユニットの見学会も兼ねていましたので、研究講演の後、細胞制御工学研究ユニットが入っているS2棟(フロンティア研究棟)の研究室に移動して、施設見学を行いました。

施設見学会の後には、すずかけ台キャンパスのカフェ・モトテカにて懇親会が催され、益一哉科学技術創成研究院長、三原久和生命理工学院長の挨拶ののち、参加者間で熱い議論が交わされました。

6月の学内イベント情報

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6月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

Startup Weekend Tokyo Tech vol.4 【6/3~5開催、プレイベント5/19・5/25】

Startup Weekend Tokyo Tech vol.4 【6/3~5開催、プレイベント5/19・5/25】

本学・チーム志向越境型アントレプレナー育成(CBEC)プログラムが協賛(主催はStartup Weekend)し、Startup Weekend Tokyo Tech vol.4という起業体験イベントを大岡山キャンパスで開催します。

日時
6月3日(金) 18:00~21:00(受付17:30~)
6月4日(土)・5日(日) 9:00~21:00
会場
参加費
学生チケット(7食付) 5,000円
一般チケット(7食付) 9,000円
最終日見学(立食パーティー付) 3,500円
対象
一般
申込
必要 (締切6/1)

CERI寄附講座「ゴム・プラスチックの安全、安心 ―身の回りから先端科学まで―」(2016年 前期)

CERI寄附講座「ゴム・プラスチックの安全、安心 ―身の回りから先端科学まで―」(2016年 前期)

私たちの身の回りにある化学品を含むゴムやプラスチックとその製品の安全・安心に関する情報とやさしい科学を、一般の方にもわかりやすく紹介します(前半の講義)。

日時
6月4日・18日、7月2日・9日・16日・23日・30日
(各日土曜日) 13:00~14:30、14:40~16:10
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
必要 (先着75名)

ベンチャー未来塾 2016

ベンチャー未来塾 2016

ベンチャー企業の幹部の方を対象に、国の政策の仕組みおよび最近の政策内容について理解を深め、実際の政策を立案している府省庁の方と交流していただく場として、「ベンチャー未来塾」を開講いたします。

日時
6月7・14・21日 (計7日間 うち4日はすでに終了)
会場
東京21cクラブ(東京駅前・新丸の内ビルディング内)
参加費
198,000円 (税込)
対象
新興上場企業(新経済連盟企業など)の執行役員・事業所長クラス (定員20名)
申込
必要 (締切4/18)

すずかけ台留学相談会2016

すずかけ台留学相談会2016

海外留学を考えているみなさんのための「留学相談会2016」を開催いたします。 各種留学プログラムの紹介、語学力向上に関するアドバイス等、個別に相談に応じます。

日時
6月15日(水) 13:30~16:30
会場
参加費
無料
対象
学生
申込
不要

リベラルアーツ研究教育院 創設シンポジウム 「まず殻を破ることから――リベラルアーツの最先端へ」

リベラルアーツ研究教育院 創設シンポジウム 「まず殻を破ることから――リベラルアーツの最先端へ」

リベラルアーツ研究教育院の創設シンポジウムを開催します。

日時
6月15日(水) 17:15~ (開場17:00)
会場
参加費
無料
対象
学生・教職員・一般
申込
不要

TdX講演会#03「チームとニコニコ学会βづくり」

TdX講演会#03「チームとニコニコ学会βづくり」

ニコニコ学会βの実行委員長である江渡浩一郎さんと、運営委員長であるくとのさん、運営に大きく関わられてきた湯村翼さんをゲストにお迎えして、「ニコニコ学会βのつくりかた」についてご講演いただきます。

日時
6月17日(金) 18:30~20:00
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
必要 (先着60名)

社会人教育院(社会人アカデミー) 2016年度「理工系一般プログラム」

社会人教育院(社会人アカデミー) 2016年度「理工系一般プログラム」

東京工業大学社会人教育院(2016年度から社会人アカデミーに改称)では、昨年度ご好評をいただいた理工系一般プログラムを本年度も開講しております。

日時

環境科学

4月23日(土)~6月18日(土) 14:00~18:15

環境工学(1)リサイクルコース

4月22日(金)~6月17日(金) 18:30~20:30

環境工学(2)エネルギーコース

6月24日(金)~8月19日(金) 18:30~20:30

食の安全と安心

4月19日(火)~8月2日(火) 18:30~20:30

会場
参加費
有料
対象
一般
申込
必要
内容
「環境科学」、「環境工学リサイクルコース」、「環境工学エネルギーコース」、「食の安全と安心」

一部締め切りを過ぎていますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

地球の内核は7億歳?地球冷却の歴史の一端が明らかに―地球中心核条件下での鉄の電気伝導度測定に成功―

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要点

  • 地球中心核に相当する高温高圧下における鉄の電気伝導度測定に成功した
  • 地球中心核の電気・熱伝導度はこれまでの予想よりも3倍程度高い
  • 内核の冷却速度を計算した結果、内核の年齢は約7億歳であり、地球の誕生時期46億年前よりもはるかに若い

概要

東京工業大学の太田健二講師、廣瀬敬教授と、愛媛大学の桑山靖弘助教、大阪大学の清水克哉教授ならびに高輝度光科学研究センターの大石泰生副主席研究員の共同研究チームは、大型放射光施設SPring-8[用語1]を利用して、地球中心核[用語2]の主成分である鉄の電気伝導度を最高157万気圧、4,500ケルビン(絶対温度、K)という超高温超高圧条件で測定し、地球中心核の電気・熱伝導度が従来の予想よりも3倍程度高いことを明らかにしました。

地球の中心部は固体金属内核とその外側の液体金属外核の2層構造になっている非常に高温高圧の領域です。地球内部の熱が地表へと移動することで地球内部の温度は徐々に低下し、それに伴い内核はその大きさを増しています。また、外核が対流することで、地球には約42億年前から磁場が存在していると考えられています。では、内核が何年前に誕生したのか、内核の存在が地球の磁場に影響を与えるのかどうかを知るためには鉄の伝導度[用語3]を実験によって明らかにすることが必要です。しかし、外核の最上部ですら135万気圧、4,000 K以上の超高温高圧状態であるため、こうした極限条件において物質の伝導度を計測することは技術的に困難でした。

共同研究チームは、鉄試料を高温高圧状態で保持できるレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置[用語4]を用いて、SPring-8において、地球中心核条件に相当する高温高圧下で鉄の電気伝導度を測定することに成功しました。その結果、核の熱伝導度はこれまでの予想よりも3倍程度高い約90 W/m/K(ワット毎メートルケルビン)程度であり、核の熱・電気伝導は非常に活発であることが明らかになりました。核の伝導度から推定される内核の誕生年代は約7億年前となり、40億年以上前から存在することが確認されている地球磁場の生成・維持機構に関する新たな知見を与える結果です。本研究成果は国際科学雑誌『Nature』に6月1日に掲載されました。

背景

地球の中心は、圧力360万気圧、温度5,000 K超の極限的な環境にあり、地球中心から地表面までの距離約6,400 kmにおいて巨大な熱の流れを生み出しています。この大きな熱勾配は地球外核とマントルの対流を引き起こし、地球磁気圏の生成やプレート運動などの地球のダイナミズムの原動力となっています。また、約46億年前の地球が出来た当初は高温のために存在しなかった固体金属内核も地球内部の温度が下がることによって、ある時期に誕生し、現在も成長を続けています。そのような地球内部の熱・構造進化は地球の冷却の歴史にほかなりません。地球の内部を構成する物質の熱伝導度(熱の伝わりやすさ)を知ることで、地球がどのくらいの速度で冷えているのかが推定できます。従って、核の冷却史を調べるためには核の主成分である鉄の伝導度の情報が必要です。古くは1940年代から核の伝導度の推定は行われてきましたが、その推定値には大きなばらつきがありました。2012年頃に理論計算[用語5]によって地球中心核の電気・熱伝導度の見積もりがなされ、核の伝導度がこれまでの予想よりもはるかに高いことが示唆されていましたが、実際の核の温度圧力条件における実験による検証はなされていませんでした。この検証のためには実際の核の温度圧力条件における鉄の伝導度の直接測定が必要です。金属の場合、電気と熱は共に自由電子によって運ばれるために、鉄の電気伝導度を測定することで熱伝導率を算出することも可能です。しかし、核に相当する圧力を実験室で再現しようとする場合、試料の大きさは直径30ミクロン以下と非常に小さくなってしまうため、極小試料の電気伝導度を測定することは非常に困難でした。

研究手法と成果

研究グループはまず、高温高圧発生装置であるダイヤモンドアンビルセルの内部に、微細な電気抵抗測定用回路を作成するための技術開発を行いました。収束イオンビーム(FIB)加工装置[用語6]を用いることで、高圧装置内部に非常に細かな電気配線加工が可能になりました。その結果、200万気圧を超える高圧力、4,500 Kの高温条件での鉄の電気伝導度測定実験が可能となりました。

SPring-8の高圧構造物性ビームライン BL10XUに設置されたレーザー加熱システムを使用し、約157万気圧、4,500 Kまでの条件での実験から純鉄の電気伝導度を決定しました。また、BL10XUのX線マイクロビームを使用したX線回折像から鉄試料の結晶構造と実験圧力条件を決定しています。

この実験によって決定された純鉄の電気伝導度から見積もった核の電気・熱伝導度は約90 W/m/K程度であり、最近の理論計算[用語5]によって報告されている高い核の伝導度を支持する結果です。本研究で得られた核の熱伝導率を用いて、核の冷却速度の計算を行った結果、予想される内核形成開始年代はおよそ7億年となっています。古地磁気測定から、約42億年前から地球には磁場が存在し、約13億年前に磁場強度が増大したと報告されていますが、この磁場強度の増大は内核の誕生に起因するものではないことを本研究結果は示唆しています。また、内核が存在しなかった30億年以上の期間にどのようなメカニズムで地球の磁場が維持されてきたのか再考する必要があるでしょう。

今後の期待

地球中心核には鉄の他に水素やケイ素などの軽元素が含まれていると考えられており、これらの軽元素が鉄の伝導度を大きく変える可能性があります。今回用いた高温高圧下での純鉄の電気伝導度測定手法はその他の核候補合金に対しても適用可能です。核の伝導特性が明らかになることで、地球磁場の成因である地球ダイナモのメカニズムや、地球形成初期の地球内部の温度状態も明らかになっていくものと期待できます。

用語説明

[用語1] 大型放射光施設SPring-8 : 兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、その運転管理は高輝度光科学研究センターが行っています。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことです。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われています。

[用語2] 地球中心核 : 地球の中心から半径3500 kmの領域で、固体金属からなる内核と液体金属からなる外核で構成されています。地球中心核の外側をマントル、地殻が取り囲んでいます(下図を参照)。主成分である鉄の他に少量のニッケルと軽元素(水素、炭素、酸素、珪素、硫黄)が含まれていると考えられていますが、詳細な化学組成は不明です。液体外核の対流によって地球磁場が生じていると考えられています。

地球中心核

[用語3] 鉄の伝導度 : 金属では、電気と熱は共に金属中の自由電子によって運ばれます。そのため、金属の電気伝導度(σ)と熱伝導度(κ)、絶対温度(T)の間にはヴィーデマン-フランツ則(κ = L0σT、L0は定数)とよばれる関係があります。

[用語4] ダイヤモンドアンビルセル装置 : ダイヤモンドを用いた小型の高圧装置(図A)。ダイヤモンドは圧力を発生させる尖頭状の部品(アンビル)として用いられています(図B)。ガスケットと呼ばれる金属の板に小さな穴をあけ、その穴に試料と圧力媒体を入れて2つのダイヤモンドアンビルで挟み込むことで高圧を発生させます。ダイヤモンドの先端のサイズを小さくすることで、地球中心部に相当する圧力(約360万気圧)の発生が可能です。

ダイヤモンドアンビルセル装置

[用語5] 論文情報 : Pozzo et al., Thermal and electrical conductivity of iron at Earth's core conditions. Nature 485, 355-8 (2012)、及び、de Koker et al., Electrical resistivity and thermal conductivity of liquid Fe alloys at high P and T, and heat flux in Earth's core. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109, 4070-4073 (2012).

[用語6] 収束イオンビーム(FIB)加工装置 : ガリウムイオンを電界で加速したビームを数ナノメートルまで細く絞り、微細加工、蒸着、観察などを行う装置。

論文情報

掲載誌 :
Nature(出版元:Nature Publishing Group)
論文タイトル :
Experimental determination of the electrical resistivity of iron at Earth's core conditions
著者 :
Kenji Ohta1*, Yasuhiro Kuwayama2, Kei Hirose3,4, Katsuya Shimizu5, and Yasuo Ohishi6
所属 :
1 東京工業大学 理学院 地球惑星科学系、2愛媛大学 地球深部ダイナミクス研究センター、3東京工業大学 地球生命研究所、4海洋研究開発機構 海洋地球生命史研究分野、5大阪大学 大学院基礎工学研究科附属極限科学センター、6高輝度光科学研究センター
*Corresponding author
DOI :

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に新たに発足した理学院について紹介します。

理学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

理学院 地球惑星科学系
講師 太田健二

Email : k-ohta@geo.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2590

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

6月2日15:15 用語2の説明を修正しました。

松本浩之名誉教授が平成28年春の叙勲を受章

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平成28年春の叙勲において、松本浩之名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。長年にわたる、教育と研究への多大な貢献が評価されたものです。

松本浩之名誉教授
松本浩之名誉教授

経歴

  • 1966年3月
    東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了
  • 1966年4月
    東京工業大学理工学部助手
  • 1969年7月
    東京工業大学工学部助教授
  • 1982年4月
    東京工業大学工学部教授
  • 1995年11月
    東京工業大学工学部長
  • 1996年10月
    東京工業大学大学院理工学研究科長
  • 1997年11月
    東京工業高等専門学校長
  • 1998年4月
    東京工業大学名誉教授
  • 2006年3月
    定年により東京工業高等専門学校退職

コメント

1966年3月に東京工業大学博士課程修了後、同年4月から東京工業大学に採用され、1995年11月から工学部長、1996年10月から大学院理工学研究科長をつとめ、1997年11月に東京工業大学から東京工業高等専門学校に配置換になりました。東京高専での教育後援会(保護者の組織)、地域との技術懇談会及び学生のインターンシップに関する地域工業団地理事会との連携、高等専門学校協会の立場での高専の共通入試・ロボットコンテスト・プログラムコンテスト・総合体育大会などを通して他高専との連携、国費留学生受け入れ制度について国立大学との連携など、大変貴重な経験をさせていただきました。

2004年4月に国立学校の法人化に伴い、独立行政法人国立高等専門学校機構に組み込まれることになり、2006年3月に定年退職いたしました。

在任中には、多くの方々から温かいご指導や心のこもった叱咤激励を頂き深く感謝しています。 ありがとうございました。

お問い合わせ先

広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

松井将器さん、日体大長距離記録会10,000m走で28分台の好記録をマーク

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4月23日に行われた日体大長距離競技会10,000mの部に、今年の箱根駅伝で快走した松井将器さん(工学院機械系修士課程1年)が参加し、29分の壁を破る28分51秒71の好記録を樹立しました。

松井将器さん(写真中央)
松井将器さん(写真中央)

日体大長距離記録会は日本体育大学が主催、開催する伝統の陸上競技の記録会で、エントリー時の選手個人の自己記録、あるいは目標とする記録をもとに組み分けが行われます。

本記録会10,000mの部には計293人のエントリーがあり、松井さんは、外国人選手やホンダ、富士通、トヨタの実業団選手、各大学のトップクラスの選手などの一線級が集まる最終8組でチャレンジすることが出来ました。

松井さんは、序盤からのハイペースの展開にも落ち着いて後方にて待機し、中盤から徐々に中位に進出していきました。ラスト1,000mでは、圧倒的なスパートで大幅に順位を上げ、最終8組に参加した50名中、全体12位、日本人6位(全参加者中でも同位)でフィニッシュしました。

シーズン始めの好記録となり、今季は飛躍が期待できます。今後ともぜひご声援をお願いします。

東工大基金

陸上競技部の活動は東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

陸上競技部顧問 杉野暢彦

Email : sugino@ip.titech.ac.jp

東工大のMOOC第2弾、デイビッド・スチュワート特任教授の「日本近代建築史」配信開始

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5月10日、東工大のMOOC※1第2弾「Modern Japanese Architecture:From Meiji Restoration to Today(ARCH101x)」が開講しました。

スチュワート先生と学生TAによる撮影風景
スチュワート先生と学生TAによる撮影風景

東工大は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が共同設置した大規模オンライン講座「MOOC(s)」のコンソーシアム「edX」※2に昨年度から参加し、第1弾として、昨年9月に地球生命研究所(ELSI)の廣瀬敬教授による講義「Introduction to Deep Earth Science Part1」を配信開始しました。その第2弾として今回開講したのは、1976年から本学で教鞭をとるデイビッド・スチュワート特任教授が、現代建築に息づく日本の建築の歴史や思想を全6週間にわたって学生と共に語る、大変ユニークな講義です。

明治以降の日本の建築デザインの変遷をさぐる6週間
明治以降の日本の建築デザインの変遷をさぐる6週間

百年記念館を解説するスチュワート先生
百年記念館を解説するスチュワート先生

本講義では、1500枚以上の豊富な写真資料を用いて、幕末・明治からモダニズム・ポストモダニズムまでの約150年にわたる日本の建築デザインの歴史を振り返り、日本近代建築の特徴とその思想を描き出します。特に、本学建築学科で長年教鞭をとっていた建築家、篠原一男氏が手がけた住宅作品を詳しく取り上げる第5週、そして本学建築学科の現役教員でもある著名な建築家や建築構造エンジニアがキャンパス内の建築物を紹介し、学生と対話形式で東工大建築の系譜を読み解く第6週は、本講義のクライマックスとして必見です。

本MOOCは紹介ページouterが公開されており、受講登録も受付中です。

※1
MOOC (Massive Open Online Course(s)) : インターネット上において無料提供され、誰もが受講することができる大規模な講義です。通常の講義のように学習期間が設定されており、学習者は科目提供者や同じ科目を登録している学習者とコミュニケーションを取ることができるなど、双方向の学びが提供されています。
※2
edX : マサチューセッツ工科大学とハーバード大学を中心に、世界のトップ大学によって構成される非営利のオンライン教育のためのコンソーシアムです。edXでは、最先端の学習を世界中の誰もがどこからでも学ぶことができる環境をインターネット上で提供するだけでなく、最先端の教育学、教授法に基づいた学習環境の提供を実現しています。

英文ニュースレター Bulletin No. 42 配信

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Tokyo Institute of Technology Bulletinは3か月に一度本学が配信している英文ニュースレターです。 東京工業大学の研究成果やニュース記事、学生の活動などを国内外へ広くメールで配信をしております。

この度、Tokyo Institute of Technology Bulletin No. 42 が発行されました。

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Tokyo Institute of Technology  Bulletin | Research and education at Japan's foremost university dedicated to science and technology

Shinae Kondoh - A determined quest toward new horizons in cancer treatment

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Shinae Kondoh - A determined quest toward new horizons in cancer treatment

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Tokyo Institute of Technology Bulletin No.42

カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステムを開発―次世代画像センシングに向けオリンパスと共同開発―

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要点

  • カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステムを開発―次世代画像センシングに向けオリンパスと共同開発―
  • 撮像データをリアルタイムで処理する画像処理システムの開発
  • カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なプロトタイプシステムの開発

概要

国立大学法人東京工業大学工学院 システム制御系の奥富正敏教授らと、オリンパス株式会社技術開発部門は、カラー画像と近赤外線画像を1つの撮像素子で同時に撮影可能なイメージングシステムのプロトタイプを開発した。

近年、カラー画像と近赤外線画像を利用したコンピュータビジョンおよび画像処理技術応用の発展が著しく、これらの画像を同時に取得したいという要望が高まっている。本システムでは、可視光(カラー情報)と近赤外光を同時に撮像可能な撮像素子および撮像データをリアルタイムで処理する画像処理システムを開発することで、1つの撮像素子によるカラー画像と近赤外画像のリアルタイム同時撮影を実現した。

本システムは、次世代の画像センシング技術として、リモートセンシング、セキュリティ、ロボティクス、農業、医療等の幅広い分野への発展が期待される。

プロトタイプシステムは、6月8日(水)からパシフィコ横浜で開催される「第22回画像センシングシンポジウム(SSII2016)」および6月27日(月)から米国ラスベガスで開催される「29th IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR2016)」でデモンストレーション展示される。

背景技術

現在広く普及する汎用カラーデジタルカメラやスマートフォンのカメラでは、単板撮像素子とカラーフィルターアレイ(CFA)を用いた撮影技術が広く採用されている。CFAは、R、G、B、それぞれのカラーフィルターをアレイ状に配置したものであり、現在多くのカラーデジタルカメラでは、図1に示すベイヤーCFA[用語1]が採用されている。CFAは撮像素子上に装着され、撮像素子の各画素ではRGBのうちの1つの画素値のみが記録されるため、CFAを通して得られるデータはモザイクデータとなる。フルカラー画像は、撮像素子により得られるモザイクデータに対し、デモザイキング処理[用語2]と呼ばれる補間処理や、色補正等の画像処理を行うことにより生成される。これにより、現在の汎用カラーデジタルカメラやスマートフォンのカメラでは、1つの撮像素子による安価で簡便なカラー画像撮影を実現している。

単板撮像素子とベイヤーCFAを利用したカラー画像撮影

図1. 単板撮像素子とベイヤーCFAを利用したカラー画像撮影

カラー画像と近赤外線画像の同時撮影への拡張

近年、カラー画像だけでなく、近赤外線画像を利用したコンピュータビジョンおよび画像処理技術応用の発展が著しく、可視光と近赤外光の画像を同時に取得したいという要望が高まっている。例えば、近赤外線カメラでは、近赤外光を照射することで夜間撮影が可能であることから、車載カメラや監視カメラ等において、カラー画像と近赤外線画像を同時利用した環境認識や防犯対策が期待されている。しかし、現在のカメラは、カラー画像または近赤外線画像のどちらか一方のみを撮影するものが一般的であり、カラー画像と近赤外線画像を同時撮影するには、複数台のカメラ等の大掛かりなシステムが必要となる。一方で、システムの小型化を目指し、上述する単板撮像素子とCFAを利用した撮影技術を拡張することで、カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影する方式に関する研究が近年行われている。この方式では、CFA中に、近赤外線フィルターを加えることにより、カラー画像と近赤外線画像の同時撮影を実現する。図2はその一例を示しており、Nと記載された画素が、近赤外線フィルターに対応する。この方式は、従来のカラーデジタルカメラやスマートフォンのカメラと原理的にサイズやコストがほぼ同じなため、実用化へ向けた期待が大きい。ただし、近赤外線フィルターを有するCFAや各種画像処理アルゴリズムの新規設計が必要となり、これら全体を考慮した高画質なイメージングシステムの開発が課題になっていた。

単板撮像素子によるカラー画像と近赤外線画像の同時撮影

図2. 単板撮像素子によるカラー画像と近赤外線画像の同時撮影

開発システム

本研究開発では、上述する単板撮像素子とCFAを利用した方式により、高画質なカラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステムのプロトタイプを開発した。図3に開発したプロトタイプシステムの概要を示す。このシステムは、新規開発した近赤外線フィルターを有するCFAを備える撮像素子および撮像データをリアルタイムで処理する画像処理システムにより構成される。画像処理システムでは、デモザイキング処理、色補正処理等の各種画像処理をリアルタイムで行い、撮影したカラー画像と近赤外線画像を、同時にリアルタイムでディスプレイ出力可能である。

開発したプロトタイプシステムの概要

図3. 開発したプロトタイプシステムの概要

単板撮像素子を用いたカラー画像と近赤外線画像の同時撮影では、CFAの配置と画像処理アルゴリズムの設計が、高画質な画像を得るための鍵となる。そこで、本研究開発では、高画質な画像生成の実現のため、図3中に示す新しいCFAの配置およびデモザイキング処理[文献情報2]を同時に提案することで、高精度なイメージングシステムを実現した。

開発システムは、次世代の画像センシング技術として、リモートセンシング、セキュリティ、ロボティクス、農業、医療等の幅広い分野への発展が期待される。

今後の展開

現在のシステムはプロトタイプのため、今後は実用化に向けたシステム設計やカメラモジュールの開発を行い、応用展開を図る。

謝辞

本研究開発の一部は総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)(受付番号141203024)の委託を受けたものである。

用語説明

[用語1] ベイヤーCFA : Rフィルターを25%、Gフィルターを50%、Bフィルターを25%の画素密度でアレイ状に配置したもの

[用語2] デモザイキング処理 : カラーフィルターアレイを通して撮像素子に記録されるモザイク状のデータを補間し、フルの画像を生成する処理

文献情報

1.
“単板撮像素子を用いたリアルタイムRGB-NIRイメージングシステム” 吉崎和徳, 福西宗憲, 小宮康宏, 紋野雄介, 寺中駿人, 田中正行, 奥富正敏 第22回画像センシングシンポジウム(SSII2016), June, 2016(発表予定)
2.
“高性能RGB-NIRイメージングに向けたCFAとデモザイキング処理の提案” 寺中駿人, 紋野雄介, 田中正行, 奥富正敏, 吉崎和徳, 福西宗憲, 小宮康宏 第22回画像センシングシンポジウム(SSII2016), June, 2016(発表予定)
3.
“A Real-Time RGB-NIR Imaging System Using a Single Image Sensor” Kazunori Yoshizaki, Munenori Fukunishi, Yasuhiro Komiya, Yusuke Monno, Masayuki Tanaka, Masatoshi Okutomi and Steven Lansel IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR2016)(デモンストレーション), June, 2016(発表予定)

工学院

工学院 ―新たな産業と文明を拓く学問―
2016年4月に新たに発足した工学院について紹介します。

工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

東京工業大学 工学院 システム制御系
教授 奥富正敏

Email : mxo@ctrl.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3472 / Fax : 03-5734-3483

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

第12回東京オリエンテーリング開催報告

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東京工業大学 国際交流学生会SAGEが、4月24日に第12回東京オリエンテーリングを開催しました。

本イベントは、新入留学生に東京の生活や交通に慣れてもらうこと、日本人学生に国際交流の機会を持ってもらうことを目的として、毎年春と秋の2回開催しています。参加者は東京を観光しながら東京メトロの様々な駅近辺に設定されたミッションをクリアしていき、解いたミッションの得点の合計点を他のグループと競い合います。ミッションの解答はツイッターを通して行われるということも本イベントの特徴です。

当日の朝、東工大に集合した参加者は、まずルール説明を受け、国籍を混合したグループに分かれて1日の移動行程を話し合いました。その後東工大を出発し、東京各所に設定されたミッションを解き進めていきました。

SAGEが用意したミッションは、「虎ノ門ヒルズのマスコットと写真を撮ってくる」や「浅草の仲見世通りで人形焼きを食べよう」などバリエーションに富みます。ミッションの解答に添付された各グループの写真はどれも楽しそうで、東工大の運営本部にいるSAGEのスタッフにもその雰囲気が伝わってきました。

参加者が東工大に戻ってから交流会が開かれ、1日の感想などを話しながら他の参加者やスタッフと交流を深めました。またレクリエーションとして行われたビンゴ企画では数字とミッションの番号を対応させ、読み上げられた番号のミッションを解いたグループにその時のエピソードを語ってもらうなど、全員で盛り上がりました。

写真コンテスト作品
写真コンテスト作品

オリエンテーリングの様子
オリエンテーリングの様子

帰還後の様子
帰還後の様子

SAGEのスタッフは「今回は学内の会場を変更しましたが、設備を有意義に使えたと思います。今後も積極的に新しい要素を取り込み、参加者により楽しんでもらえるようなイベントを企画していきたいと思います」と語ってくれました。

お問い合わせ先

東京工業大学 国際交流学生会(SAGE)

Email : sage.tokyo.tech@gmail.com

科学教室「棘皮動物の不思議な世界」開催報告

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春休み期間中の3月29日に、大学院生命理工学研究科基礎生物学教室は、中学生以上を対象に大岡山キャンパスで、科学教室「棘皮(きょくひ)動物の不思議な世界」を開催しました。東工大基金を活用した日本再生プロジェクト「ものづくり人材の裾野拡大支援」事業の後援を受けて行われました。

ウニの解剖
ウニの解剖

棘皮動物とはウニ、ヒトデ、ナマコの仲間で、人間などの脊椎動物に比較的近縁ですが、5角形をした不思議な動物です。科学教室当日は、参加者に実際にウニ、ヒトデ、ナマコに触れてもらうことによって棘皮動物のデザインを学んでもらいました。

主な観察と実験の内容は以下の通りです。

  • イトマキヒトデの起き直り行動の観察
    ...ヒトデを逆さまにひっくり返し、起き直り行動が決まったパターンでおこるかどうか観察しました。
  • 生きたニセクロナマコの管足、触手の観察
    ...管足も触手も棘皮動物に独特の水管系という器官系の器官です。
  • ムラサキウニの解剖とアリストテレスのランタン(ウニの咀嚼器)の観察
    ...ウニやアリストテレスのランタンが5放射相称をなすことを確かめました。
  • 生きたムラサキウニの殻を実体顕微鏡で観察し、表面にある叉棘(さきょく)を使った実験と観察
    ...叉棘も一部の棘皮動物に見られる棘皮動物に独特の器官です。

参加者は棘皮動物や、その器官の独特なデザインを見て楽しみながら学んでいたようです。

今後も小学生や中学生、高校生の期待に沿えるようなイベントの開催を予定しています。決まり次第、科学教室のウェブサイトにてお知らせしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。そして次の機会もふるってご参加下さい。

東工大基金

このイベントは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

生命理工学院 基礎生物

Email : 27uni@kisoseibutsu.bio.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2656

ロンドン芸術大学セントラルセントマーチンズ校長が東工大を訪問

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4月18日、英国のロンドン芸術大学セントラルセントマーチンズ校(CSM)のジェレミー・ティル校長、アン・スミス-デザイン系長、マーク・ダンヒル-アート系長が本学を訪問し、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長と懇談をしました。懇談には、環境・社会理工学院の野原佳代子教授、チーム志向越境型アントレプレナー育成プログラムの照井亮非常勤講師、加藤隆行国際部長、青木彰国際連携課長も同席しました。

(左から)丸山理事・副学長、野原教授、三島学長、スミスデザイン系長、ティル校長、ダンヒルアート系長、照井講師、加藤国際部長、青木国際連携課長
(左から)丸山理事・副学長、野原教授、三島学長、スミスデザイン系長、ティル校長、
ダンヒルアート系長、照井講師、加藤国際部長、青木国際連携課長

まず、三島学長が東工大の概要と本年4月に本学が導入した教育システムやスーパーグローバル大学創成支援事業について説明を行い、続いて、ティル校長がCSMの歴史と概要、今回の来訪の目的について話しました。

CSM は1854年に英国ロンドンに設立された芸術大学で、ロンドン芸術大学の6つのカレッジの1つです。全学生の55%が留学生で占められ、約100か国から学生が集まる国際色豊かな芸術大学で、著名なアーティストを多数輩出しており、世界的にも高い評価を得ています。

また、ケンブリッジ大学やユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの科学者と共同で生地や原料の開発を行うなど、科学や工学などの異分野とアートの連携(コラボレーション)にも取り組んでいます。内向的になりがちなアーティストが理工系分野の科学者と連携をすることで、新しい発想を得ることができるとして、本分野での連携を強化したいとティル校長は話しました。これに対し、本学の研究者にとっても異分野との交流や研究の多様性が非常に重要であると三島学長も賛同しました。

懇談の様子

懇談の様子

懇談の様子

懇談の後、視察団一行は関係分野の教員たちとさらなる情報交換をし、今後の協力の可能性について議論しました。また、異分野協業のワークショップ開催にあたって最適な施設として整備されている「デザイン工房」(大岡山キャンパス石川台5号館)も見学しました。

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