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東京工業大学 大学改革 ―日本の東工大から、世界のTokyo Techへ―

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東京工業大学は、三島学長の強いリーダーシップの下、2030年までに「世界トップ10に入るリサーチユニバーシティ」になることを目指して、4月から3つの改革を開始しました。

東工大の3つの改革
東工大の3つの改革

学生の学びを深めて世界で活躍する力を育てる「教育改革」

1.日本初の「学院」

日本の大学では初となる、学部と大学院が一体となって教育を行う「学院」を設置しました。学院で教育する学士課程の教育プログラム(系)と大学院課程の教育プログラム(コース)のカリキュラム・分野をできるだけ大くくりにしています。

また、学士課程と大学院課程の教育プログラムを連続的に設計しています。これにより、学生は学士課程入学時から大学院の出口を見通すことができ、自らの興味・関心に基づく多様な選択・挑戦が可能になりました。

2.リベラルアーツ研究教育院の誕生

これまで学部4年生までだった教養教育のカリキュラムが博士後期課程まで延長され、「大きな志を育む」教養教育がスタートしました。学士課程入学直後の東工大立志プロジェクトを皮切りに、小グループでのディスカッション、プロジェクト発表などを通じて、仲間と刺激を与え合いながら、高い問題意識のもとに、優れたコミュニケーション能力を持って世界へと発信し、実現していく力をこれまで以上に養っていきます。また、人文科学、社会科学、外国語、ウェルネス等の広範な分野に触れることで、多様性に満ちた現代社会の中での学生自身の立ち位置を明確化し、学士課程、修士課程及び博士後期課程の専門教育と教養教育とをダイナミックに組み合わせて、将来社会を牽引する、創造性溢れた魅力ある人材の育成を目指します。

3.学生が主体的に学べる国際通用性のあるカリキュラム

国際的に通用性のあるカリキュラムを学生が自主的に学修するように促すため、シラバスの充実と日本語と英語による公開、科目をナンバリングしてレベルと順序を明示、留学・インターンシップ等を経験しやすいように科目履修が柔軟にできるクォーター制の導入、アクティブラーニングや英語による授業、副専門学修、教養科目、キャリア科目の充実などを実施しました。

4.教育革新センター(CITL)

教育革新センターは2015年4月に設立され、東京工業大学の教育手法の革新、継続的な教育支援及び教育の質向上に資する活動により教育改革を推進しています。授業設計や評価基準策定を含めた教育のPDCA確立、教職員への各種教育研修などに取り組んでいます。また、オンライン教育開発室(OEDO)では、MOOC※1やSPOC※2コンテンツの開発などを学生と共に行っています。

  • ※1 MOOC:Massive Open Online Courseの略称。大規模公開オンライン講座
  • ※2 SPOC:Small Private Online Courseの略称。対象者や提供先などが限られている外部非公開でのオンライン講義

教育改革前後の教育体制
教育改革前後の教育体制

教育改革の詳細については、以下の東工大全学サイトをご覧ください。

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院

世界トップクラスの教育システムで学ぶ
2016年4月に新たに発足した学院、系及びリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

進化する組織でイノベーションを創出する「研究改革」

1.科学技術創成研究院の発足

柔軟な運営体制で革新的科学技術と新規領域・融合領域を創出するため、4研究所、2研究センター、10研究ユニットを有する科学技術創成研究院が発足しました。

現行の研究に関わる組織を再編成して新たなミッションを担う研究所、研究センターとともに、最先端の研究を小規模のチームで機動的に推進し、大隅良典栄誉教授ら卓越したリーダーが"尖った"研究を大きく育てるために、研究ユニットが設置されました。

複雑化する社会の要請、異分野にまたがる研究課題の増大に対応するため、より柔軟な研究体制の構築が求められています。研究者の配置や連携体制構築をより機動的に行い、異なる専門の研究者もチームを組んで研究できる仕組みを導入しています。

2.「世界の研究ハブ」を目指す

科学技術創成研究院は、地球生命研究所(ELSI)を始めとする研究拠点組織のノウハウを活用しつつ、WRHIを核として海外の卓越した研究機関や企業とも積極的に連携し、第一線で活躍する研究者の集う「世界のハブ」を目指して研究を展開し、成果を発信していきます。

科学技術創成研究院と学院等との関係
科学技術創成研究院と学院等との関係

研究改革の詳細については、以下の東工大全学サイトおよび科学技術創成研究院サイトをご覧ください。

大学改革を進める強力な体制を築く「ガバナンス改革」

1.学長のリーダーシップが最大限に活かせる体制へ

学長のリーダーシップを最大限に活かすために、人事・財務・インフラの各方面での体制を刷新しました。学長指名による学院長等の決定、全学の人事委員会の承認による教員選考などにより、戦略的な人材の集中的投入が可能となります。

また、学長裁量とする経費・スペースの拡大により、機動的な資源投入を行います。学長の下に、大学全体が一丸となって対応するための体制に組織を進化させ、大学改革を推進していきます。

2.企画戦略本部を中心としたPDCAサイクル

学内の企画立案組織の改革に合わせて、ガバナンスを担う「企画戦略本部」を2016年4月に設置しました。教育・研究・人事・財務等を機動的・戦略的・一元的に統括するものとして、学長の機動的な意思決定を補佐して大学運営を行うための「学長室」の中に置いています。また、学内外の教育研究等にかかる情報の収集・分析を行う「情報活用IR室」を設置しました。情報提供のほか大学運営にかかる計画策定や意思決定などを支援し、企画戦略本部を中心としたPDCAの中で戦略的な大学運営の実現に寄与します。

戦略的な大学運営の実現
戦略的な大学運営の実現

その他、組織等の移行については、以下の東工大全学サイトをご覧ください。

※ページ内の「2015年度以前の組織等について(PDF)」をご参照ください。

2016年東工大が変わります 東京工業大学大学改革パンフレット
2016年東工大が変わります 東京工業大学大学改革パンフレットPDF

7月11日16:20 関連リンクの削除と一部文言修正を行いました。

「東工大ホームカミングデイ2016」開催報告

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総合受付の様子
総合受付の様子

今年で5回目となる「東工大ホームカミングデイ」が、5月21日に大岡山キャンパスにて開催されました。

昨年までは大岡山とすずかけ台の両キャンパスで開催していましたが、今年からは全学行事として大岡山キャンパスに集約して開催しています。

ホームカミングデイは、卒業生同士、卒業生と大学、卒業生と現役学生の交流を促進させることに加え、本学関係者の家族や地域の皆さまにも東工大の取り組みをより多く知っていただくための催しです。当日は、各同窓会の総会・講演会、全学合同パネル展示、見学ツアー、サークル・学生団体のイベント等に、多くの方々に参加していただき、活気溢れる催しとなりました。

スーパーコンピューター「TSUBAME」の見学ツアーでは、映像を交えた分かり易い説明で優れた性能を紹介しました。ツアーを20名限定で5回実施し、ツアー以外の自由見学者を合わせると約300名の方にご来場いただきました。附属図書館の見学ツアーでは20分間隔でツアーを行い、325名の方に館内をご覧いただきました。

全学合同パネル展示
全学合同パネル展示

百年記念館では、 本学の教育研究改革により、4月から新しくスタートした6学院(理学院工学院物質理工学院情報理工学院生命理工学院環境・社会理工学院)、リベラルアーツ研究教育院科学技術創成研究院等を紹介する全学合同パネル展示が行われ、多数来場していただきました。また、有志による研究室公開が実施され、この展示会場を起点に約1時間半の見学ツアーを組み、計6回のツアーを実施しました。

ロス・ガラチェロスによる演奏
ロス・ガラチェロスによる演奏

学生サークルによる企画も盛りだくさんで、日頃の活動の成果を披露してイベントを盛り上げてくれました。

参加した学生サークル・団体は、東工大Science Techno、ロス・ガラチェロス、茶道部、ジャグてっく、国際開発サークル、合気道部、ハンググライダー部、サッカー部、工大祭実行委員会、東工大アカペラサークルあじわい、マジックサークルです。この他に、学生サークル等のOB・OG総会も数多く開催されました。

また、東工大ボランティアグループが熊本物産展と熊本地震募金活動を行い、その収益と義援金を震災復興のために寄付しました。

東工大Science Technoによる工作ブース
東工大Science Technoによる工作ブース

ものつくり教育研究支援センターでは、東工大OBが組織する蔵前理科教室ふしぎ不思議(くらりか)による工作・実験教室が開催され、ガラス玉の顕微鏡とコイルモーターを作る工作実習が行われました。また、本館中庭講義室を会場とした東工大Science Technoのサイエンスランドでは、化学、気象、数学、渦、LED、信号を体験できるブースと、エコーマイク、フラットカー、ホバークラフトを作る工作ブースが設けられました。どちらのブースも一日中熱気にあふれ、多くの小・中学生と保護者が夢中で取り組んでいました。

高校生向け講義「魔法教室2016」
高校生向け講義「魔法教室2016」

大岡山西5号館のレクチャーシアターでは、午前は「東工大大学院を目指す方に:OB・OGが語る東工大大学院の魅力」と題して、博士後期課程を修了して社会で活躍する若手4名による講演があり、それぞれの経験を基に、博士後期課程で培った学力と能力が仕事にどのように活かされているかなど、博士後期課程を目指す学生に大変参考になる話がありました。午後は高校生向け講義「魔法教室2016」が行われ、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)のオープニング・スピーチのあと、細谷曉夫特命教授による「GPSに欠かせない相対論」の講義が行われ、次いで、戸倉和特命教授による「お化粧は好きですか?」の講義が行われました。身近なものを題材とした迫力ある映像や実演に基づく解説に、参加した高校生達は大いに刺激され、科学への関心や大学への進学意欲が高まったようです。

本学の同窓会組織である白星会、楽水会、陽久会、社工会、化工会、桜花会、核友会、金属同窓会、窯業同窓会、優材会、燕理会、東工大理化会、VALDES会、くれない工業会が開催した総会・講演会等には、多くの同窓生及び関係者が参加しました。また、東工大蔵前会館において、各同窓会代表者をお招きし、学長主催の昼食会を開催しました。学長を始め大学執行部の役員と各同窓会代表者の情報交換が行われ、大学と同窓会の連携を深めました。

学長主催の昼食会に参加された各同窓会代表及び関係者
学長主催の昼食会に参加された各同窓会代表及び関係者

挨拶する三島良直学長
挨拶する三島良直学長

同じく東工大蔵前会館にて、夕方からは三島良直学長、蔵前工業会の石田義雄理事長の挨拶に続き、伊賀健一前学長による乾杯で全体交流会がスタートしました。会場には学科・分野別のテーブルが用意され、懐かしい顔ぶれによる旧交を温める場面に加え、現役学生とOB・OGによる世代を超えた交流も会場の至るところで見られました。サークルや学生交流プログラムのテーブルも用意され、OB・OGと現役学生の交流が行われました。

また、男声合唱団シュヴァルベンコールOBによる合唱が交流会に華を添えました。

伊賀健一前学長による乾杯
伊賀健一前学長による乾杯

シュヴァルベンコールOBによる合唱
シュヴァルベンコールOBによる合唱

東工大と蔵前工業会の共催による「ホームカミングデイ2016」は、岡田清理事・副学長(企画・人事・広報担当)による全体交流会の閉会の挨拶とともに締めくくられ、卒業生と大学の絆を強める象徴的なイベントが終了しました。

次回は、2017年5月20日(土)に開催を予定しています。

皆様のご来場をお待ちしています。

お問い合わせ先

東工大ホームカミングデイ事務局

Email : hcd@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2414

G.ワグネル関係資料が日本化学会「化学遺産」に認定

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東京大学教授を務め、のちに東京工業大学の前身となる東京職工学校の教師となったゴットフリード・ワグネル博士が明治初期に開発し、日本の陶磁器を美しく進化させた釉下彩陶器「旭焼7点」(東京工業大学博物館所蔵)が、3月26日に「日本化学会認定化学遺産第38号」の認定を受けました。

旭焼 釉下彩雀図皿 径:33センチメートル
旭焼 釉下彩雀図皿 径:33センチメートル

旭焼 釉下彩山水画皿 径:41.3センチメートル
旭焼 釉下彩山水画皿 径:41.3センチメートル

旭焼 釉下彩鴛鴦図皿 径:38センチメートル
旭焼 釉下彩鴛鴦図皿 径:38センチメートル

吾妻焼 釉下彩鉢 径:15.7センチメートル
吾妻焼 釉下彩鉢 径:15.7センチメートル

旭焼 釉下彩獅子舞形置物 縦×横:7.4×11.2センチメートル
旭焼 釉下彩獅子舞形置物 縦×横:7.4×11.2センチメートル

左/旭焼 釉下彩葡萄栗鼠図タイル 縦×横:76.0×15.1センチメートル 右/旭焼タイル下絵 葡萄に栗鼠図 縦×横:71.3×15.0センチメートル
左/旭焼 釉下彩葡萄栗鼠図タイル 縦×横:76.0×15.1センチメートル
右/旭焼タイル下絵 葡萄に栗鼠図 縦×横:71.3×15.0センチメートル

化学遺産とは

公益社団法人日本化学会化学遺産委員会が2010年から行っている化学遺産認定は、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の中でも特に貴重なものを認定することにより、文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上および化学工業の発展に資することを目的とするものです。

選定に当たっては、認定候補を日本化学会会員以外からも広く公募し、応募のあった候補を含めて化学遺産委員会が認定候補の具体的な内容、現況、所在、歴史的な意義などを実地調査した上で、学識経験者で構成された「化学遺産認定小委員会」に諮問し、最終的に理事会の承認を得て決定されます。

「認定証」には次のように書かれています。

化学遺産認定証化学遺産認定証

日本化学会認定化学遺産第038号

日本化学会化学遺産 認定証

A Chemical Heritage Authorized by The Chemical Society of Japan

東京工業大学殿

日本の近代的陶磁器産業の発展に貢献したG.ワグネル関係資料

貴下ご所有の「旭焼7点」を日本の化学および化学技術にとって歴史的に貴重な資料として日本化学会化学遺産に認定します。

平成28年3月26日

公益財団法人 日本化学会

会長 榊原定征

ワグネル博士と東工大

ゴッドフリード・ワグネル博士ゴッドフリード・ワグネル博士

ワグネル博士(1831~1892年、ドイツ)は、ドイツのゲッチンゲン大学に入学し、ガウス教授のもとで1852年に数学で博士号を得たのち、パリで化学や数ヵ国語を学び、スイスで数学教師を勤めました。1868年に来日し、1870年に佐賀藩の委嘱により肥前有田で製陶の新技術を指導しましたが、廃藩置県により1871年に東京大学の前身校の教師となり、またオーストリアの万国博覧会の御用掛となって出品物の選択・製作の指導や日本の職人にヨーロッパの新技術を学ばせました。

そして日本の文部省(当時)に対して、今後の日本の発展のために、近代的な科学・技術・モラルを身につけた多数の学生を育てる専門学校を設けるように強く進言しました。後に東工大の前身校の校長となる手嶋精一氏の尽力もあり、その結果、1881年5月に東京職工学校(現・東京工業大学)が設置され、機械工芸科と化学工芸科の2科が誕生しました。

1881年にワグネル博士は、イギリスに帰国する外国人教師アトキンソン氏の後任として東京大学理学部教授となり、製造化学を担当することになりましたが、1884年6月に退職し、同年11月に東京職工学校の教師となりました。日本で最初の「窯業学」を開講し、さらに1886年には東京職工学校に「陶器瑠璃工科」を設置し、ワグネル博士自身がその主任官となって日本で初めて陶磁器やガラスの専門教育や研究を進めました。陶器玻璃工科は、後に窯業科、窯業学科…と名称を変え、著名な研究者や、河井寛次郎(1914年卒 文化勲章辞退、人間国宝辞退)、濱田庄司(1916年卒 文化勲章、人間国宝)、島岡達三(1941年卒 人間国宝)等の陶芸作家を多く輩出しました。

ワグネル博士が、教え子で助手の植田豊橘氏と共に、今回、化学遺産に認定された「旭焼」(最初は吾妻焼)製作の実験研究を開始したのは、1883年東京大学理学部教授時代の実験室においてでした。ワグネル博士は白い素地(きじ)の上に多色の美しい日本画を描き、その上に釉薬をかけて焼き上げようとしましたが、釉薬にひびが入りました。試験体の成分をやや珪酸質にしたところ釉薬にひびが入らないことには成功しましたが、次は素地が割れてしまいました。そこで、炭酸カルシウムを入れたところ割れが止まりました。狩野派の絵師達が描いた日本画の濃淡の手加減を可能にするには、低火度釉下彩が適切とも考えました。使われた素地の例としては、蛙目(がいろめ)粘土20%、寺山土70%、胡粉10%があり、焼いた温度は1,100~1,140℃、最初は経験で、後にはゼーゲル温度計を使いました。ゼーゲル氏はワグネル博士の友人で、この温度計は彼から得たとされています。

東京工業学校のワグネル博士と門下生ら(1890年9月)
東京工業学校のワグネル博士と門下生ら(1890年9月)

 

小さなサンプル実験はともかく、茶わんくらいの大きさのものの実験となると大学内では出来ず、1884年に外部の工場の空家を借りて、ろくろと窯を備えた小工場を自費で設営して実験し、成功しました。1886年11月に、「吾妻焼」の施設・設備をすべて東京職工学校に移し、「旭焼」と改称しました。

1890年には澁澤栄一氏、浅野総一郎氏らの出資により旭焼組合が出来、「東京深川区東元町旭焼製造場」が設立され、大量の旭焼が生産されましたが1896年に閉鎖されました。

これより前の1892年11月8日、ワグネル博士は東京の自宅で亡くなり、青山霊園で永遠の眠りにつきました。墓所の世話は、今日も公益社団法人日本セラミックス協会の人々が中心となって行っています。

化学遺産に認定された旭焼7点を始めとする東工大の陶器は、大岡山キャンパス百年記念館博物館に展示していますので、ぜひご覧ください。

ガウス教授:ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス(1777~1855年)はドイツの数学者、天文学者、物理学者。数学の各分野、さらには電磁気など物理学にも彼の名が付いた法則、手法等が数多く存在する。

お問い合わせ先

東京工業大学博物館・百年記念館

Email : centjim@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3340

NHK「特報首都圏『初めて選挙と向き合って』」に西田亮介准教授が出演

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リベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授が、NHK「特報首都圏」に出演します。
先日の参議院議員選挙に臨む高校生たちに密着した番組で、西田准教授はゲストとして登場予定です。

西田准教授の専門分野は「情報社会学」。民主主義の普及啓発課程とその歴史や、情報と政治、情報と社会などにおける諸課題の研究を行っています。番組では、選挙権年齢が18歳に引き下げられ、初めての選挙に向き合っていく高校生たちの、等身大の姿を追います。

西田亮介准教授
西田亮介准教授

  • 番組名
    NHK「特報首都圏」
  • 放送予定日
    2016年7月15日(金) 19:30~20:00
    (再放送)2016年7月16日(土) 10:55~11:25

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に新たに発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

リベラルアーツ研究教育院(ILA)outer

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

オートファジー始動装置の構築メカニズムを解明

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要点

  • ひも状タンパク質Atg13がオートファジー始動タンパク質同士をつなぎ留め、巨大なオートファジー始動装置を構築することを発見
  • 巨大なオートファジー始動装置がオートファジーの初期過程に働くことを解明
  • オートファジーの特異的制御剤開発に向けた基盤的知見が確立

概要

東京工業大学の大隅良典栄誉教授、山本林特任助教(現・東京大学大学院医学系研究科講師)、微生物化学研究会の野田展生主席研究員、藤岡優子研究員らの研究グループは、栄養飢餓などでオートファジーが誘導されると、ひも状で構造を持たないタンパク質Atg13が中心的な役割を担い、5つのタンパク質因子からなる複合体を形成し、さらにタンパク質同士をつなぎ留めることで、オートファジー始動に必須なオートファジー始動に関わる巨大な構造を形成する仕組みを明らかにした。この巨大オートファジー始動装置が形成されることでオートファジーの始動に必須な高いリン酸化[用語1]能と、オートファジーに使われる膜の種となるAtg9小胞を呼び込む機能が獲得されることを明らかにした。以上の結果から、栄養飢餓によって引き起こされるオートファジー始動のメカニズムが分子レベルで明らかとなり、オートファジー特異的制御剤開発のための基盤的知見を得ることに成功した。

研究成果は、米国の生命科学誌「ディベロップメンタル・セル(Developmental Cell)」のオンライン版で7月11日(米国東部標準時)に公開された。

背景

生物が生きるためには、細胞内において必要な成分を合成するだけでなく、不要なもの、有害なものを分解することも非常に重要である。オートファジーは酵母からヒトにいたる真核生物において広く保存された細胞内分解システムの一つであり、オートファゴソーム[用語2]と呼ばれる膜構造の新生を通して、栄養源のリサイクルや細胞内で過剰なもの、有害なものを分解することで、生体の健康維持に寄与している。オートファジーの異常は神経変性疾患や癌などの重篤な疾患を引き起こすことが示唆されていることから、オートファジーの活性を人為的に制御できれば、これら重篤な疾病に対する治療や予防への応用が期待される。

出芽酵母においては、Atg1複合体(Atg1、Atg13、Atg17、Atg29、Atg31の5つのタンパク質からなる複合体)がオートファジーの始動を担っていると考えられている(図1)。オートファジーは栄養飢餓になると強く誘導されるが、その第一段階として5つの因子が互いに結合して5者複合体となることがこれまでの研究で明らかになっていた。しかしながらオートファジーが始動するためには5者複合体の形成だけでは不十分であり、それが多数集まって巨大なオートファジー始動装置を形成することが必要であることが示唆されていたが、そのメカニズムは不明であった。

オートファジー始動装置の形成モデル

図1. オートファジー始動装置の形成モデル

オートファジーが誘導されていない条件では、Atg1、Atg13、そしてAtg17-29-31はそれぞればらばらの状態で存在しているが、オートファジーが誘導されると5者複合体を形成し、それがさらに多数集まることで巨大なオートファジー始動装置を形成する。

研究成果

東京工業大学の大隅良典栄誉教授、山本林特任助教、微生物化学研究会の野田展生主席研究員、藤岡優子研究員らの研究グループは、Atg1複合体の構成因子のうち、Atg13に着目しその構造と機能を詳細に解析した。その結果、Atg13はその大部分の領域が特定の立体構造を持たない、揺れ動くひものような形状を取ること、そしてひも状の構造の中に2ヶ所、Atg17に結合する領域が存在することを明らかにした。続いてAtg13とAtg17の間の相互作用様式をX線結晶構造解析法[用語3]で詳細に調べた結果、Atg13は1つ目の結合領域を用いて1つのAtg17と、2つ目の結合領域を用いて別のAtg17と結合することが明らかとなった。すなわちAtg13は2つのAtg17をひも状の構造でつなぎ留めるように結合することがわかった。続いてAtg1複合体の大きさを詳細に調べたところ、Atg13によるAtg17同士のつなぎ留めの活性に依存してAtg1複合体同士がつなぎ留められ、巨大複合体を形成することが明らかとなった(図2)。この巨大複合体の形成を失なったAtg13変異体を導入すると、酵母内でのオートファジー始動装置の形成も失われた。以上の結果から、Atg13によってAtg1複合体同士がつなぎ留められて形成された巨大複合体は、細胞内のオートファジー始動装置として必須であることが明らかとなった。

Atg13を介した巨大複合体の形成機構

図2. Atg13を介した巨大複合体の形成機構

Atg13(赤線)はひも状構造を用いてAtg1(青)およびAtg17(緑)をつなぐとともに、Atg17同士をつなぐことで、巨大複合体の形成を促進する。

タンパク質Atg13の形状、及び動きを高速原子間力顕微鏡にて観察

続いてオートファジー始動装置が担う機能を出芽酵母[用語4]を用いて解析した結果、Atg1が持つリン酸化活性がオートファジー始動装置に組み込まれることで顕著に上昇することが明らかとなった。オートファゴソームを新生するためには膜が必要であるが、膜タンパク質Atg9を含む膜小胞(Atg9小胞)がオートファゴソームの最初の膜材料であると考えられている。オートファジー始動装置は、Atg9小胞を効率的にリクルートし、さらにリクルートしたAtg9をリン酸化することが明らかとなった。すなわちオートファジー始動装置はAtg9小胞をリクルートすることで最初の膜構造の形成を促進するとともに、その高いリン酸化活性によって、オートファジーに関わる因子(群)をリン酸化することで、オートファゴソーム形成過程を進めていることが強く示唆された(図3)。

オートファゴソーム形成の始動モデル

図3. オートファゴソーム形成の始動モデル

オートファジー始動装置はAtg9小胞をリクルートすることで、オートファゴソームの初期膜(初期隔離膜)の形成を促す。また高いリン酸化活性によりAtg9や他のオートファジー関連(Atg)因子をリン酸化し、オートファゴソーム形成を進行させる。

今後の展開

本成果は、オートファジーがどのように始動し、オートファゴソームの形成へと導かれるのかという、オートファジー分野における長年の謎に対する答えの一部を明確に提示したものであり、さらなる全容解明に向けた基盤的知見になると考えられる。オートファジー始動機構を完全に理解することで、オートファジーを特異的に制御する薬剤の合理的開発が可能になると期待される。

用語説明

[用語1] リン酸化 : タンパク質が翻訳後に受ける修飾のうちの一種で、リン酸基が特定の部位に付加される。リン酸化酵素および脱リン酸化酵素の働きで可逆的に生じる修飾反応で、タンパク質の機能や構造を調節する役割がある。

[用語2] オートファゴソーム : オートファジーが誘導された時のみ形成される一過性の細胞内小器官で、二重の生体膜からなる。細胞質成分を取り囲みながら形成され、形成後は速やかにリソソーム/液胞と融合し、内膜とその内容物はリソソーム酵素の働きで分解される。

[用語3] X線結晶構造解析法 : 結晶はX線を回折する性質があるが、この性質を利用して結晶の構成物の原子がどのように立体的に配列しているのかを決定する手法。タンパク質は結晶になる性質があるため、タンパク質の立体構造を明らかにするために広く利用されている。

[用語4] 出芽酵母 : パンやビール、ワインの製造に用いられる酵母。真核生物であるため基本的な生命現象はヒトを含む高等生物と共通点が多く、遺伝学的解析が簡便に行えることから、モデル生物として汎用されている。オートファジーに関与する遺伝子群はほとんどが出芽酵母を用いて同定された。

論文情報

掲載誌 :
Developmental Cell
論文タイトル :
The intrinsically disordered protein Atg13 mediates supramolecular assembly of autophagy initiation complexes.
著者 :
Hayashi Yamamoto, Yuko Fujioka, Sho W. Suzuki, Daisuke Noshiro, Hironori Suzuki, Chika Kondo-Kakuta, Yayoi Kimura, Hisashi Hirano, Toshio Ando, Nobuo N. Noda & Yoshinori Ohsumi
DOI :

研究グループ

東京工業大学、微生物化学研究会、金沢大学、横浜市立大学

研究サポート

本成果は、主に科学研究費補助金および科学技術振興機構(JST)・戦略的創造研究推進事業(CREST)の支援を受けて実施した。

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

研究成果に関するお問い合わせ

東京工業大学 科学技術創成研究院
細胞制御工学研究ユニット
栄誉教授 大隅良典

Email : yohsumi@iri.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5113 / Fax : 045-925-5121

公益財団法人微生物化学研究会 微生物化学研究所
主席研究員 野田展生

Email : nn@bikaken.or.jp
Tel : 03-5734-3629

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

腸内細菌叢(腸内フローラ)のメタゲノム解析による発がん研究の加速に期待

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腸内細菌叢(腸内フローラ)のメタゲノム解析による発がん研究の加速に期待
―糞便試料の新たな保存法を確立、効率的な収集・保存を実現―

本研究成果のポイント

  • 腸内細菌叢(腸内フローラ)のメタゲノム解析に欠かせない研究試料である糞便の収集方法について、標準方法とされる冷凍保存よりも簡便な収集方法を確立
    既存溶液を活用した室温保存について、冷凍保存と同レベルの解析結果が得られることを実証した。
  • 大腸内視鏡検査により腸内細菌叢は変動しないことを確認
    大腸内視鏡検査とその前処置(腸管洗浄剤内服による洗浄)に伴う腸内細菌叢への影響を検討し、大腸内視鏡検査の前後で腸内細菌叢の組成の変動はみられないことが明らかになった。

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)と国立大学法人東京工業大学(学長:三島良直、東京都目黒区)は、腸内細菌叢(腸内フローラ)のメタゲノム解析[用語1]に欠かせない研究試料である糞便の簡便な保存方法を開発し、また大腸内視鏡検査により腸内細菌叢が変動しないことを明らかにしました。

本研究成果により、現在、標準的な収集方法とされる凍結保存・輸送が困難な地域住民のメタゲノム解析や、腸内細菌叢の大規模コホート研究の実施が可能となり、腸内細菌叢に関する研究が世界的に加速し、発がんメカニズムや各種疾患との関連の解明につながることが期待されます。

本研究成果は、国立がん研究センター 研究所 がんゲノミクス研究分野の谷内田真一ユニット長と同センター 中央病院 内視鏡科、東京工業大学 生命理工学院の山田拓司准教授の研究グループが、国立がん研究センター研究開発費「生体細菌叢のメタゲノム解析を用いた先駆的アプローチによる腫瘍発生メカニズムに関する基盤研究」の支援を受けて行ったもので、国際消化器病関連誌「GUT」オンライン版に掲載されました。

研究背景

腸内細菌叢は、培養を行わず細菌がもつDNAを次世代シーケンサーで解析する技術(メタゲノム解析)の発展により、近年、肥満や糖尿病、炎症性腸疾患、アレルギーなど様々な疾患との関連が報告されています。がんにおいても、発がん要因の特定やバイマーカーとして診断への応用が期待されています。

一方で、糞便は1gあたり1,000億個の細菌が高密度に存在しており、常温保存では15分以内に雑菌が繁殖し、メタゲノム解析は困難となります。そのため、排便直後にドライアイスや超低温冷蔵庫で冷凍保存するのが標準的ですが、より簡便な収集と保存方法が強く求められていました。

また腸内細菌叢は、約1,000種類100兆個の共生細菌で構成され(ヒトの体細胞数は37兆個)、その組成は各個人で異なり「もう一つの臓器」とも呼ばれていますが、以前より大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による腸内細菌叢への影響が懸念されていました。

研究成果の概要

日本人健常者8名を研究対象とし、国立がん研究センター中央病院内視鏡科で便を収集、糞便からDNAを抽出し、16SrRNA解析[用語2]で腸内細菌の菌叢組成(どのような細菌がどれくらいの割合でいるか)の解析を、次世代シーケンサーを用いて行いました。同センター研究所でシーケンス解析を、東京工業大学でシーケンス・データの情報解析を行いました。

大腸内視鏡検査前後および凍結保存検体と常温保存検体の間における腸内細菌叢の相関関係

図1. 大腸内視鏡検査前後および凍結保存検体と常温保存検体の間における腸内細菌叢の相関関係

既存溶液を活用した室温保存について、冷凍保存と同レベルの解析結果が得られることを実証。標準方法とされる冷凍保存よりも簡便な収集方法を確立

本研究では凍結保存に代わる保存法として、グアニジン・チオシアン酸塩溶液[用語3]入り採便容器を用いて便を室温保存する方法で検討を行いました。その結果、大腸内視鏡検査の前日(自宅採取)の凍結保存便と室温保存便の相関係数は高く(0.89)、保存法による差異は少ないことが示されました。同様に当日の朝、腸管洗浄剤内服後の初回便の室温保存においても高い相関係数を示し、室温保存でも凍結保存法と遜色のない腸内細菌叢のメタゲノム解析(16SrRNA解析)が可能であることを実証しました。(図1)

また、大腸内視鏡検査前日(青色)、当日の朝(赤色)、腸管洗浄剤内服後の初回便(黄色)について、それぞれ室温保存と凍結保存で、細菌(属レベル)ごとの存在割合を比較したところ有意な差は見られませんでした。(図2:保存法の検証)

大腸内視鏡検査により腸内細菌叢は変動しないことを確認

大腸内視鏡検査の実施前後で腸内細菌叢の菌叢組成を経時的に比較・検討することで、その影響を検討しました。検査日朝の凍結保存便、腸管洗浄剤内服後初回の凍結保存便、検査後60日目の凍結保存便は、検査前日の凍結保存便(標準便)と比較して高い相関係数(各々0.91、0.86、0.91)を示しました。その一方で、大腸内視鏡検査中の吸引便汁(凍結保存)は相関が低く(白色を示している)、メタゲノム解析の菌叢組成の結果、小腸液の混入が示唆され、研究試料としての活用には適さないことが明らかとなりました。(図1)

検査前日と当日の朝(青色)、検査前日と腸管洗浄剤内服後初回の便(赤色)、検査前日と検査後60日目の凍結保存便(黄色)の細菌ごと(属レベル)の存在割合を比較しましたが、有意な差は見られませんでした。(図2:採取時期の検証)

また、検査前日と検査後60日目の凍結保存便について、個々の被験者における各細菌(属レベル)の存在割合を調べても、大腸内視鏡検査の腸管洗浄による影響を受けないことが明らかとなりました。(図3)

大腸内視鏡検査前後および凍結保存検体と常温保存検体の間における個々の腸内細菌相対存在量の変動

図2. 大腸内視鏡検査前後および凍結保存検体と常温保存検体の間における個々の腸内細菌相対存在量の変動

細菌を属ごとに保存法(中央グラフ)や採取時期の違い(右グラフ)による差異をLog変換した値を比較した結果、左右に多少のずれはみられますが、概して0を中心にしており、保存法や採取時期の違いによる差異は細菌の属ごとの解析でも少ないことが分かりました。

中央グラフ:保存法の検証
保存法の検証を行ったもので、大腸内視鏡検査実施の前日の室温保存便(D0_R)と凍結保存便(D0_F)の比較(青色)、当日朝の室温保存便(D1-1_R)と凍結保存便(D1-1_F)の比較(赤色)、腸管洗浄剤内服後の初回の室温保存便(D1-2_R)と凍結保存便(D1-2_F)の比較(黄色)を行いました。
右グラフ:採取時期の検証
大腸内視鏡検査当日朝の凍結便(D1-1_F)と検査前日の凍結保存便(D0_F:組成解析の基準となる標準便)の比較(青色)、腸管洗浄剤内服後の初回の凍結保存便(D1-2_F)と検査前日の凍結保存便(D0_F)の比較(赤色)、検査後60日目の凍結保存便(D60_F)と検査前日の凍結保存便(D0_F)の比較(黄色)を行いました。
大腸内視鏡検査後60日における腸内細菌相対存在量の変動

図3. 大腸内視鏡検査後60日における腸内細菌相対存在量の変動

検査前日の凍結保存便(D0_F:x軸)と検査後60日目の凍結保存便(D60_F:y軸)について、採取可能であった5名の日本人健常者(被験者A、C、D、EとF)で、色分けされた各細菌(属レベル)がどれくらいの割合で存在していたかを散布図に示しました。その結果、腸内細菌叢の菌叢組成は個々人で異なりますが、各人では検査の前後で極めて高い相関を示し、大腸内視鏡検査の腸管洗浄による影響を受けないことが明らかとなりました。

今後の展望

腸内細菌叢の研究は、欧州では2008年からMetaHIT(Metagenomics of the Human Intestinal Tract)、米国でも2008年からHMP(Human Microbiome Project)の巨額の予算を投じた国家プロジェクトが始まっています。国内では、本研究の研究グループが2013年に日本人腸内環境の全容解明とその産業応用プラットフォーム(JCHM:Japanese Consortium for Human Microbiome) outerを設立し、日本人腸内微生物データーベース構築による「日本人固有の腸内環境及および腸内代謝系の発見」と「疾病マーカーの発見」を目指したプロジェクト活動の推進に取り組んでいます。

また、国立がん研究センター中央病院および研究所と東京工業大学は、共同で大腸内視鏡検査を受ける患者さんを対象に大規模なメタゲノム解析を実施中であり、発がんメカニズムの解明が期待されます。

用語説明

[用語1] メタゲノム解析 : 環境(腸内など)中には、多種多様な微生物(細菌など)が存在している。どのような微生物が存在するのかを調べるには、従来は微生物を分離し、培養して増殖させることが必要であった。しかし、腸管内の微生物のほとんどは人為的な培養が難しく、研究は困難であった。培養という過程を経ずに、環境中の微生物が持つ核酸(DNAなど)を抽出し、これらの構造(塩基配列)を調べれば、個々の核酸がどの微生物由来か(系統組成解析)、もしくはどの微生物由来かは分からないものの環境中の微生物の集合体がもつ遺伝子群(機能組成解析)が分かる。このような手法をメタゲノム解析と呼ぶ。次世代シーケンサーの普及とともに、近年、指数関数的に研究が進んでいる。

[用語2] 16SrRNA解析 : メタゲノム解析の手法の一つで、16Sr(リボソーム)RNA遺伝子の配列データを用いて、菌叢組成の解析を行う。メタゲノム ショットガン・シーケンス(全ゲノム シーケンス)と比較して安価で、菌叢組成の概略が解析可能であることから、多くの研究において利用されている。16SrRNA遺伝子は全ての細菌種が有している。また、各細菌によりその遺伝子配列が少しずつ異なるので、細菌の系統分類を行う指標となっている。

[用語3] グアニジン・チオシアン酸塩 : 蛋白質の変性剤として知られる化学化合物で、DNAやRNAの抽出の際に広く使用されている。さらに、微生物の増殖を抑えることでも知られ、この有効性を応用した市販の採便キット(株式会社テクノスルガ・ラボ/所在地:静岡県静岡市)を研究に使用した。

論文情報

掲載誌 :
Gut
論文タイトル :
High stability of faecal microbiome composition in guanidine thiocyanate solution at room temperature and robustness during colonoscopy
著者 :
Yuichiro Nishimoto,Sayaka Mizutani,Takeshi Nakajima,Fumie Hosoda, Hikaru Watanabe, Yutaka Saito,Tatsuhiro Shibata,Shinichi Yachida*,Takuji Yamada**責任著者)
DOI :

研究費

国立がん研究センター 研究開発費(25-A-4と28-A-4)
生体細菌叢のメタゲノム解析を用いた先駆的アプローチによる腫瘍発生メカニズムに関する基盤研究(25-A-4)

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生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

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問い合わせ先

研究成果に関するお問い合わせ

国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野
ユニット長 谷内田真一

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Tel : 03-3542-2511

東京工業大学 生命理工学院
准教授 山田拓司

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Tel : 03-5734-3629

その他全般に関するお問い合わせ

国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室

Email : ncc-admin@ncc.go.jp
Tel : 03-3542-2511(代表) / Fax : 03-3542-2545

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

7月14日14:15 関連リンクに誤りがありましたので、修正しました。

スーパーコンピュータ「京」がGraph500で世界第1位を獲得―ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析で最高の評価―

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概要

九州大学と東京工業大学、理化学研究所、スペインのバルセロナ・スーパーコンピューティング・センター、富士通株式会社による国際共同研究グループは、2016年6月に公開された最新のビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500において、スーパーコンピュータ「京(けい)」[用語1]による解析結果で、2015年11月に続き3期連続(通算4期)で第1位を獲得しました。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、今回のランキング結果は、「京」がビッグデータ解析に関する高い能力を有することを実証するものです。

本研究の一部は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「ポストペタスケール高性能計算に資するシステムソフトウェア技術の創出」(研究総括:佐藤三久 理研計算科学研究機構)における研究課題「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤」(研究代表者:藤澤克樹 九州大学、拠点代表者:鈴村豊太郎 バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター)および「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」(研究総括:喜連川優 国立情報学研究所)における研究課題「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」(研究代表者:松岡聡 東京工業大学)の一環として行われました。

スーパーコンピュータ「京」

2016年6月20日に公開されたGraph500上位10位

順位
システム名称
設置場所
ベンダー
国名
1
理研 計算科学研究機構
富士通
82.944
40
38.621
2
神威太湖之光
無錫国立スーパーコンピューティングセンター
NRCPC
40,768
40
23,756
3
Sequoia
ローレンス・リバモア研究所
IBM
98,304
41
23,751
4
Mira
アルゴンヌ研究所
IBM
49,152
40
14,982
5
JUQUEEN
ユーリッヒ研究所
IBM
16,384
38
5,848
6
Fermi
CINECA
IBM
8.192
37
2,567
7
天河2号
国防科学技術大学
NUDT
8,192
36
2,061
8
Turing
GENCI
IBM
4,096
36
1.427
8
Blue Joule
ダーズベリー研究所
IBM
4.096
36
1.427
8
DIRAC
エジンバラ大学
IBM
4.096
36
1.427
8
Zumbrota
EDF社
IBM
4.096
36
1.427
8
Avoca
ビクトリア州生命科学計算イニシアティブ
IBM
4.096
36
1.427

1. Graph500とは

近年活発に行われるようになってきた実社会における複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされています。例えば、インターネット上のソーシャルサービスなどでは、「誰が誰とつながっているか」といった関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われます。また、サイバーセキュリティや金融取引の安全性担保のような社会的課題に加えて、脳神経科学における神経機能の解析やタンパク質の相互作用分析などの科学分野においてもグラフ解析は用いられ、応用範囲が大きく広がっています。こうしたグラフ解析の性能を競うのが、2010年から開始されたスパコンランキング「Graph500」です。

規則的な行列演算である連立一次方程式を解く計算速度(LINPACK[用語2])でスーパーコンピュータを評価するTOP500[用語3]においては、「京」は2011年(6月、11月)に第1位、その後、2016年6月20日に公表された最新のランキングでも第5位につけています。一方、Graph500ではグラフの幅優先探索(1秒間にグラフのたどった枝の数(Traversed Edges Per Second;TEPS[用語4]))という複雑な計算を行う速度で評価されており、計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められます。

今回Graph500の測定に使われたのは、「京」が持つ88,128台のノード[用語5]の内の82,944台で、約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝から成るプロブレムスケール[用語6]の大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功しました。ベンチマークのスコアは38,621GTEPS(ギガテップス)です。Graph500第1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したものであり、幅広い分野のアプリケーションに対応できる「京」の汎用性の高さを示すものです。また、それと同時に、高いハードウェアの性能を最大限に活用できる研究チームの高度なソフトウェア技術を示すものと言えます。「京」は、国際共同研究グループによる「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤プロジェクト」および「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」の2つの研究プロジェクトによってアルゴリズムおよびプログラムの開発が行われ、2014年6月に17,977GTEPSの性能を達成し第1位、また「京」のシステム全体を効率良く利用可能にするアルゴリズムの改良が行われ2倍近く性能を向上させ、2015年7月に38,621GTEPSを達成し第1位でした。そして今回のランキングでもこの記録は神威太湖之光等の新しいシステムに比べても大幅に高いスコアであり、世界第1位を3期連続で獲得しました。

2. 今後の展望

大規模グラフ解析においては、アルゴリズムおよびプログラムの開発・実装によって今回のように性能が飛躍的に向上する可能性を示しており、研究グループでは今後も更なる性能向上を目指していきます。また、上記で述べた実社会の課題解決および科学分野の基盤技術へ貢献すべく、スーパーコンピュータ上でさまざまな大規模グラフ解析アルゴリズムおよびプログラムを研究開発していきます。

用語説明

[用語1] スーパーコンピュータ「京(けい)」 : 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

[用語2] LINPACK : 米国のテネシー大学のJ. Dongarra博士によって開発された規則的な行列計算による連立一次方程式の解法プログラムで、TOP500リストを作成するために用いるベンチマーク・プログラム。ハードウェアのピーク性能に近い性能を出しやすく、その計算は単純だが、応用範囲が広い。

[用語3] TOP500 : TOP500は、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクト。1993年に発足し、スーパーコンピュータのリストを年2回発表している。

[用語4] TEPS(Traversed Edges Per Second) : Graph500ベンチマークの実行速度をあらわすスコア。Graph500ベンチマークでは与えられたグラフの頂点とそれをつなぐ枝を処理する。Graph500におけるコンピュータの速度は1秒間あたりに調べ上げた枝の数として定義されている。G(ギガ)は109(=十億)倍を表す接頭辞。

[用語5] ノード : スーパーコンピュータにおけるオペレーティングシステム(OS)が動作できる最小の計算資源の単位。「京」の場合は、ひとつのCPU(中央演算装置)、ひとつのICC(インターコネクトコントローラ)、および16GBのメモリから構成される。

[用語6] プロブレムスケール : Graph500ベンチマークが計算する問題の規模をあらわす数値。グラフの頂点数に関連した数値であり、プロブレムスケール40の場合は2の40乗(約1兆)の数の頂点から構成されるグラフを処理することを意味する。

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九州大学広報室

Email : koho@jimu.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-2130 / Fax : 092-802-2139

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

理化学研究所 広報室 報道担当

Email : ex-press@riken.jp
Tel : 048-467-9272 / Fax : 048-462-4715

富士通株式会社 富士通コンタクトライン(総合窓口)

Tel : 0120-933-200

科学技術振興機構 広報課

Email : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404 / Fax : 03-5214-8432

最先端を究める研究ユニット リーフレット公開

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科学技術創成研究院 組織図
科学技術創成研究院 組織図

本学では、2016年4月1日に研究体制が刷新され、科学技術創成研究院(IIR)が誕生しました。

このIIRのもとに最先端研究を小規模のチームで機動的に推進する「研究ユニット」が10個設置されました。研究ユニットは、卓越したリーダーが"尖った"研究を大きく育てるための仕組みです。

各研究ユニットのねらい、特色、具体的な研究目標、それを達成する道筋などをわかりやすく紹介するリーフレットの日本語版、英語版が完成しましたのでお知らせいたします。

  • 細胞制御工学研究ユニット

    (リーダー:大隅良典栄誉教授)

    細胞制御工学研究ユニット

  • グローバル水素エネルギー研究ユニット

    (リーダー:岡崎健特命教授)

    グローバル水素エネルギー研究ユニット

  • ビッグデータ数理科学研究ユニット

    (リーダー:高安美佐子准教授)

    ビッグデータ数理科学研究ユニット

  • スマート創薬研究ユニット

    (リーダー:関嶋政和准教授)

    スマート創薬研究ユニット

  • ハイブリッドマテリアル研究ユニット

    (リーダー:山元公寿教授)

    ハイブリッドマテリアル研究ユニット

  • バイオインタフェース研究ユニット

    (リーダー:小池康晴教授)

    バイオインタフェース研究ユニット

  • 超集積材料研究ユニット

    (リーダー:彌田智一教授)

    超集積材料研究ユニット

  • 革新固体触媒研究ユニット

    (リーダー:原亨和教授)

    革新固体触媒研究ユニット

  • 原子燃料サイクル研究ユニット

    (リーダー:竹下健二教授)

    原子燃料サイクル研究ユニット

  • クリーン環境研究ユニット

    (リーダー:藤井正明教授)

    クリーン環境研究ユニット

  • 研究ユニットリーフレット一括ダウンロード

    研究ユニットリーフレット一括ダウンロード

お問い合わせ先

研究戦略推進センター

Email : ru.staff@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3794


東京工業大学COIサイトビジット2016 開催報告

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東京工業大学では、「『以心電心』ハピネス共創社会構築拠点」が、文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による「革新的イノベーション創出プログラム(センター・オブ・イノベーション、以下COI STREAM)」のCOI拠点に採択されています。

6月6日に大岡山キャンパスの石川台7号館にて、ビジョナリーチーム(ビジョン2:豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ))によるサイトビジット(現地調査)が行われました。

COI STREAMでは、現在潜在している将来社会のニーズから導き出される社会のあるべき姿、暮らしのあり方(ビジョン)を設定し、拠点設計や拠点構成に係る検討等を行う「ビジョナリーチーム」を、ビジョンごとに設置しています。ビジョナリーチームは各拠点に対して、活動成果や研究開発の進捗状況の把握、拠点構想に対する意見聴取等を行うことを目的に、サイトビジットを実施しています。

当日は、科学技術振興機構COIビジョナリーチーム・ビジョン2の横田昭ビジョナリーリーダー、文部科学省科学技術・学術政策局の坂本修一課長をはじめ、多くの方が来訪しました。

JST、MEXT等からご来訪の方々
JST、MEXT等からご来訪の方々

一方、東工大側は、三島良直学長、安藤真理事・副学長(研究担当)をはじめ、『以心電心』ハピネス共創社会構築拠点の秋葉重幸プロジェクトリーダー、小田俊理研究リーダー(科学技術創成研究院 教授)、参加企業関係者、関係教員等が対応しました。

三島学長の開会挨拶に続き、秋葉プロジェクトリーダーと小田研究リーダーが、過去3年間のフェーズ1の活動実績の報告と今後3年間のフェーズ2に向けた方針説明を行いました。

三島学長の開会挨拶
三島学長の開会挨拶

その後、フェーズ2で本格化する社会実装に向けて、4つのサービス(情報想起、多言語意訳、存在感通信、およびつながり共創空間サービス)とそのプラットフォーム技術について、実装を担当する参加企業グループとこれに対応する本学教員グループが、それぞれの研究開発状況について報告しました。

研究開発状況の説明
研究開発状況の説明

午後からは「つながる以心電心ラボ」で研究成果のデモを行いました。

情報想起サービスのデモでは、東工大すずかけ台キャンパスにいる話し手の映像が実物さながらにスクリーンに投影され、質問に対応した回答がメール分析結果から提示され、会話が進展していく様子が示されました。

情報想起サービス(左)と存在感通信サービス(右)のデモの様子

情報想起サービス(左)と存在感通信サービス(右)のデモの様子

情報想起サービス(左)と存在感通信サービス(右)のデモの様子

存在感通信サービスのデモでは、遠隔地の話し手がリアルな映像として表現される方法と、隣に座っているアバターロボットが話し手になりかわり身振り手振りを含めて会話する2つの方法が紹介されました。

共感度の可視化(左)と充電レスセンサ(右)のデモ

共感度の可視化(左)と充電レスセンサ(右)のデモ

共感度の可視化(左)と充電レスセンサ(右)のデモ

続いて、つながり共創空間サービスに関する4つのテーマに関するデモです。最初にコミュニケーションにおける共感度を可視化する方法、2つ目は天井からの無線給電を受け充電レスで多軸超小型センサを動作させるデモ、3つ目はバーチャルリアリティを利用した感性の計測、そして4つ目は脳計測を目指したダイヤモンド量子センサの生体磁気計測への応用に関して行いました。いずれも人の感性を科学的に分析したり、それを支える技術として重要なものです。

感性の計測(左)とセンサデバイス脳磁計(右)のデモ

感性の計測(左)とセンサデバイス脳磁計(右)のデモ

感性の計測(左)とセンサデバイス脳磁計(右)のデモ

その後、これからのプロジェクト遂行上の留意点について報告をしました。社会実装に向けた課題の抽出と対応、サイエンスカフェによるCOI STREAM活動の一般の人々への理解、個人情報保護法と本プロジェクトの関係について述べ、そして今後も継続してプラットフォーム構築を推進することを表明しました。

今回のサイトビジットに対する科学技術振興機構、および文部科学省の幹部から講評をいただき、最後に、閉会の挨拶として安藤理事・副学長(研究担当)が東工大におけるCOI STREAMの位置付けと本日のお礼を述べ、サイトビジットは無事終了しました。

横田ビジョナリーリーダーの講評(左)と、安藤副学長の閉会の挨拶(右)

横田ビジョナリーリーダーの講評(左)と、安藤副学長の閉会の挨拶(右)

横田ビジョナリーリーダーの講評(左)と、安藤副学長の閉会の挨拶(右)

6時間にわたる長丁場となりましたが、今回いただいた講評を参考に、フェーズ2となる社会実装を推進していきます。

お問い合わせ先

『以心電心』ハピネス共創研究推進機構

Email : coi.info@coi.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3562

三島学長が英国ヨーク大学で大学間協定に署名

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6月9日、三島良直学長と佐藤勲副学長(国際企画担当)らが、英国ヨーク大学を訪問し、学生交流を主軸とする大学間協定締結の署名式に出席しました。

ヨーク大学のランバーツ学長とレイトン国際ディレクターをはじめとする関係者に温かく迎えられた一行は、署名式後、ウルフソン大気化学研究所やヨーク・プラズマ研究所などを視察しました。

ランバーツ学長(左)と三島学長
ランバーツ学長(左)と三島学長

(左から)佐藤副学長、ランバーツ学長、三島学長(左から)佐藤副学長、ランバーツ学長、三島学長

本学とヨーク大学は、長年にわたり化学、物理学、生体分子工学分野での 研究交流を行ってきており、2011年にはヨーク大学の化学科と本学の旧資源化学研究所(現・科学技術創成研究院化学生命科学研究所)との間で交流協定が締結されていました。今回の全学協定の締結を機に、両大学の学生の活発な交流が期待されます。

ヨーク大学について

1963年、学生数230名で設立されたヨーク大学は、世界をリードする大学のひとつとして急成長しました。現在は16,000人の学生が在籍しており、そのうち26%は留学生が占めます。また、女性研究者を積極的に支援している大学に贈られるアテナ・スワン賞をこれまでに13件受賞しています。

ヘスリントン・ホール
ヘスリントン・ホール

東工大を含むECM共同研究開発チームが平成28年度環境賞優秀賞を受賞

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東京工業大学を含むECM(エネルギー・CO2ミニマム)共同研究開発チームが平成28年度環境賞優秀賞を共同受賞しました。

株式会社竹中工務店、鹿島建設株式会社、日鉄住金高炉セメント株式会社、株式会社デイ・シイ、太平洋セメント株式会社、日鉄住金セメント株式会社、竹本油脂株式会社、国立大学法人東京工業大学

「環境賞」は、環境保全や環境の質の向上への貢献が認められる成果、または貢献が期待される成果をあげた個人、法人、団体・グループ等を対象に、1974年に創設された環境分野で最も歴史のある賞です。環境省の後援を受けて、国立研究開発法人国立環境研究所と日刊工業新聞社が主催し、広く環境意識の啓発を図ることを目的としています。

受賞名「ECMセメント・コンクリートシステムの開発」

「ECMセメント」は、鉄鋼製造の副産物である高炉スラグ微粉末を60~70%混合し、従来のセメントに比べて製造時のエネルギー消費量と二酸化炭素(CO2)排出量を60%以上削減しました。品質、耐久性、施工性などの課題を克服し、建築物の要求性能に応じたコンクリート構造物にする技術も確立しました。開発成果は2019年から段階的に公開し、25年に一般公開して汎用技術として普及させる計画です。高炉スラグの有効利用による資源循環効果もあり、サステナブル社会(持続可能な社会)の実現につながります。今回の受賞では、上記研究成果により、特に低炭素型の混合セメントの可能性を広げた点が評価されました。

環境賞優秀賞受賞の坂井悦郎教授環境賞優秀賞受賞の坂井悦郎教授

坂井教授のコメント

本受賞にかかる研究開発に関わった本学物質理工学院材料系の坂井悦郎教授は以下のようにコメントしています。

この研究は、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の助成のもと、2008年から先導研究 (通算期間:2年8ヵ月)および実用化開発(通算期間:2年7ヵ月)として実施したものです。基礎研究の大学および材料製造のセメント会社と使用者である建設会社が連合し、材料開発から実用化研究までを一貫してグループとして実施したことが特徴です。日本でも例のない研究体制です。材料、施工、構造と統合的な検討を行うために個別の検討会と総合検討会を組織し、綿密な情報交換を行って研究を進めたことが早期の実用化に結びついたと思います。高炉スラグの反応の研究は、私以前に近藤連一先生と大門正機先生と私どもの研究室で引き継がれて来た研究です。今回の成果のように実用化に結びついたことは非常に喜ばしいことです。また、研究の連続性が大切だとあらためて思っています。

物質理工学院

物質理工学院 ―理学系と工学系、2つの分野を包括―
2016年4月に新たに発足した物質理工学院について紹介します。

物質理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

物質理工学院材料系 坂井悦郎

E-mail : esakai@ceram.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3368

すずかけ台キャンパス外周道路 開通

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2015年2月から実施していた、すずかけ台の基幹・環境整備(外周道路)工事が完了し、6月1日より開通しました。1年4ヵ月にわたる造成工事により、キャンパスの構内道路と共同溝をループ化しました。

テープカットを行う三島学長(左から2番目)ら
テープカットを行う三島学長(左から2番目)ら

これまで、すずかけ台キャンパスでは歩行者優先に力を入れてきました。敷地内は山林で分断され、教育研究における連携・災害時の動線確保・構内交通計画の歩車分離に支障をきたしていましたが、今回の外周道路の整備により、災害時の緊急車両の二方向化や、ライフラインの安全性が向上し、さらなる「安全・安心」なキャンパス環境が実現しました。

開通に先立ち、5月31日に、すずかけ台キャンパスにて外周道路開通式典が開催されました。式典では三島学長の祝辞に続き、三島学長、芝田理事・副学長(総務・財務担当)・事務局長、すずかけ台地区部局長等懇談会の小山二三夫主査(科学技術創成研究院 教授)及び、 すずかけ台環境整備ワーキンググループ(WG)の宮本文人代表(環境・社会理工学院 教授)によるテープカットと視察が行われました。また、その他の参加者は実際に道路を歩き、その整備状況について見学しました。

今回の整備では、学生や教職員の健康増進にも配慮した快適な環境を作るために、すずかけ台キャンパス環境整備WGで審議し、道路周辺や駐車場ロータリーに、セイヨウボダイジュ、カツラ及びシバザクラなどを植樹し、ウッドデッキのベンチや加藤山散策路への新たなアクセスを設けました。

キャンパスを利用する皆様にとって、季節ごとに様々な景色が楽しめる、散歩や憩いの場ともなりそうです。

緑に囲まれた外周道路
緑に囲まれた外周道路

歩行者に配慮した道路周辺
歩行者に配慮した道路周辺

お問い合わせ先

施設運営部施設総合企画課

Email : skikaku.somu@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3404

シンポジウム「ビジネス価値創出のための 成熟度フレームワーク:IT-CMF」(2016年9月)

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IVIから教育担当ディレクターのMichael Hanley氏をお迎えし、シンポジウムを開催することになりました。

IT-CMFは、インテルによって開発された、企業におけるIT利活用の度合いを、35の重要活用力について、5段階の成熟度で評価するというもので、現在、アイルランド国立メヌース大学にあるIVI(Innovation Value Institute)で、教育および研究が行われています。

IT-CMFにより各企業は、IT利活用に関する組織の強みと弱みを知ることができ、検討すべき活用力がどこにあるのかを知り、また成熟度を向上する指針を得ることができます。

万障お繰り合わせの上ご参集ください。

概要

日時
2016年9月21日(水) 13:30~17:00(受付開始 13:00)
場所
「ウインクあいち」(愛知県産業労働センター)outer
〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38
Tel : 052-571-6131(受付 9:00~20:00)
参加費
無料
使用言語
英語(Michael Hanley氏による講演および質疑)・日本語
定員
100名(満席となり次第受付を締め切ります)
お申込受付期間
2016年7月11日(月)~9月16日(金)
お申込み
  • 氏名、所属をご記入の上、下記までご連絡ください。
  • 参加のご案内(参加票)をメールにてお送りします。
  • 参加票は、 当日受付にてご提示ください。
お問合せ
E-mail : ivi@academy.titech.ac.jp
(東京工業大学 社会人アカデミー事務室)

スケジュール

13:30
開会
13:35~14:45
Michael Hanley氏による講演および質疑
14:45~15:15
「IPA iCDコンセプトとIT-CMF連携について」(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)IT人材育成本部 林口英治)
15:15?15:30
休憩
15:30?16:00
「わが国でのIT-CMF普及活動」(IVI日本支部設立準備委員会事務局長 近野章二)
16:00~16:30
ケース1:「IT-CMFによるアセスメントの実際」(東京工業大学 飯島淳一)
16:30~17:00
ケース2:「医療機関におけるIT-CMFによるアセスメント結果の考察」(京都民医連中央病院 下川忠弘)
17:00
閉会

「ビジネス価値創出のための成熟度フレームワーク:IT-CMF」 ポスター

お問い合わせ先

東京工業大学 社会人アカデミー事務室

E-mail : ivi@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8722

組織の再生における線維芽細胞増殖因子(Fgf)シグナルの働きを解明―ほ乳類の手足の再生に手がかり―

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要点

  • 私たちほ乳類は手足などの器官を再生することはできないが、一部の両生類や魚類は、四肢やヒレを失っても元通りに再生できる。
  • このような大がかりな器官そのものの再生を可能にしている維芽細胞増殖因子(Fgf)シグナル[用語1]の働きを解明した。
  • まず傷ついた上皮で活性化される上皮Fgfが、未分化細胞(再生芽[用語2])を切断面に誘導し、さらに再生芽で活性化される別のFgfが細胞増殖を促すという2段階の働きで再生が進むことを突き止めた。

概要

東京工業大学生命理工学院の柴田恵里大学院生と川上厚志准教授らの研究グループは、小型熱帯魚のゼブラフィッシュのヒレをモデルとした再生メカニズムの研究から、組織再生におけるFgfの働きには、再生芽を誘導する上皮Fgfと、細胞増殖を活性化する再生芽Fgfの2つがあり、これらが協調することで、組織再生が進むことを解明した。

組織再生にFgfシグナルが必要なことは知られていたが、どのような役割を果たしているのか不明であった。本研究は、20以上あるFgfのうち、再生初期に上皮に発現するFgf20aが間充織細胞[用語3]を再生芽へと誘導し、次に、再生芽が形成されると、Fgf3などの再生芽Fgfが細胞増殖を活性化することを解明した。
この成果は、ほ乳類の手足再生を実現するための重要な手がかりとなることが期待される。

研究成果は、英国の生命科学誌「ディベロップメント(Development)」のオンライン版に2016年7月5日に公開された。

背景

私たちほ乳類は事故などで失った手足などの器官を再生することはできないが、一部の両生類や魚類は、四肢やヒレを失っても元通りに再生することが200年以上も前から知られてきた。しかし、ごく最近まで、組織が再生するメカニズムについての研究は進んでいなかった。近年、分子生物学的な解析が飛躍的に発展し、組織再生にかかわる分子やシグナルが明らかにされてきた。Fgfシグナルも再生に必要なシグナルであることが示されていたが、Fgfシグナルがどのような役割を果たすことで再生が進むのか不明であった。

研究成果

脊椎動物のFgf遺伝子は20以上存在する。本研究では、再生中に発現するFgfを探索し、再生初期にはFgf20aのみが上皮で発現し、再生芽形成後では、Fgf3とFgf10aが再生芽で発現することを明らかにした。

次に、37℃でヒートショックを与えるとFgfシグナルを受容できなくなるように遺伝子操作されたトランスジェニック[用語4]のゼブラフィッシュから、ヒレの細胞を取り出して正常な魚へ移植して、再生中の組織でのFgfシグナルの働きを調べた。その結果、再生初期のシグナルは間充織細胞を再生芽細胞へと変化させるのに必要であり、また、再生芽形成後のシグナルは再生芽細胞の増殖に必要なことがわかった。

これらのことから、Fgf20aが再生芽誘導を、Fgf3またはFgf10aが細胞増殖をそれぞれ指令していると考えられた。そこで実際に、Fgf20aとFgf3について、これらの作用を、それぞれのFgfを強制的に発現させるトランスジェニックのゼブラフィッシュを用いて調べた結果、予想したとおり、Fgf20aは再生芽誘導を、Fgf3は細胞増殖を促進することが示された。

これらの結果から、組織再生におけるFgfシグナルの役割は1つではなく、傷ついた上皮で活性化される初期のFgf20aが、直下の間充織細胞を再生芽細胞へと変化させ、再生芽は次の指令センターとして、Fgf3を発現して細胞の増殖を調節していることが明らかとなった(図)。

再生におけるFgfシグナルの2段階の働き

図. 再生におけるFgfシグナルの2段階の働き

今後の展開

本研究の結果、傷ついた上皮でのFgf20aの活性化が、再生芽を誘導するカギであることが明らかになった。上皮から始まり細胞増殖に至るFgfの2段階の作用が、魚類などで組織再生を可能にしている重要なメカニズムの1つと考えられる。

Fgf20もFgf3もすべての脊椎動物種に存在している。どのようにして傷ついた上皮がFgf20a活性化を起こすのか?細胞増殖から、形態や機能の再生へと至る仕組みは?これらを解明していくことで、ヒトをはじめとするほ乳類での手足再生も現実的となることが期待される。

用語説明

[用語1] 線維芽細胞増殖因子(Fgf)シグナル : Fgfは成長因子の一種。細胞表面の受容体に結合し、細胞内のシグナル伝達を通じて、広範囲な細胞や組織の増殖や分化過程、血管新生、創傷治癒、胚発生などに関係する。

[用語2] 再生芽 : 動物の組織再生で、初期に切断面に作られる未分化の細胞からなる突起。

[用語3] 間充織細胞 : 発生過程または成体で組織間の間隙を埋める細胞。細胞タイプや分化状態は明瞭でない細胞を総称していう。

[用語4] トランスジェニック : 遺伝子組換え動物、遺伝子改変動物。外部から特定の遺伝子を人為的に導入した動物。

論文情報

掲載誌 :
Development
論文タイトル :
Fgf signalling controls diverse aspects of fin regeneration
著者 :
Eri Shibata, Yuki Yokota, Natsumi Horita, Akira Kudo, Gembu Abe, Koichi, Kawakami, Atsushi Kawakami
DOI :

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

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問い合わせ先

研究成果に関するお問い合わせ

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系
准教授 川上厚志

Email : atkawaka@bio.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5717 / Fax : 045-924-5718

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

役員会トピックス:修学支援基金の設置

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役員会は、東工大における最高意思決定機関です。東工大では毎月2回役員会を開催し、大学の組織、教育、研究などについて、審議し決定しています。

7月1日の会議で承認された、意欲的で新しい取り組みについて、紹介します。

修学支援基金の設置

2016年4月から導入された、国立大学法人が実施する修学支援事業に充てられる個人寄附に係る税額控除制度を契機として、東京工業大学基金に、修学支援基金を設けます。経済的理由により修学が困難となった学生の教育機会の確保のため、支援体制の強化を図ります。

「チーム志向越境型アントレプレナー育成(CBEC)特別専門学修プログラム」の開設

全学の大学院生を対象とした、チーム志向越境型アントレプレナー育成(CBEC)特別専門学修プログラムを開設します。専門の違い、文化の違い、ジェンダーの違いなどの境界を乗り越え、多様な価値観を許容し、互いに協力しながらチームとして活動することにより、イノベーションを起こすことのできる人材の育成を目的とします。

本プログラムの実施により、学生の能動的学修及び教員等による的確な修学指導を推進して、さらなる教育の質の向上を図ります。

その他の主な審議事項等

  • TAIST-Tokyo Tech憲章の改正について

  • 平成28年度9月東京工業大学学位記授与式及び平成28年度9月東京工業大学大学院入学式について

TAISTは、Thailand Advanced Institute of Science and Technologyの頭文字で、タイ政府からの要望により、理工系分野での高度な「ものつくり人材」の育成と研究開発のハブを目指して、2007年に設立されました

「古本募金」を新設―不要になった古本・DVDによる寄附―

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東京工業大学では、通常の寄附に比べて手軽に始めていただける古本募金を始めました。

古本募金とは、皆様から読み終えた本・DVD等をご提供いただき、その査定金額を東京工業大学基金に寄附する取り組みです。

寄附金は、各種奨学金の充実、学生の海外派遣及び留学生の受入支援、若手研究者の支援、理科教育の振興支援等に役立てられます。

寄附の方法は(1)宅配便による寄附、(2)学内の回収ボックスの利用、の2種類です。

上記(2)として、試行的に大岡山キャンパス生協第一食堂前に「古本募金回収ボックス」を設置しましたので、ぜひご活用下さい。

古本募金回収ボックス
古本募金回収ボックス

大岡山キャンパス生協第一食堂
大岡山キャンパス生協第一食堂

「古本募金回収ボックス」は、今後すずかけ台キャンパスなどにも設置場所を増やしていく予定です。

その他詳細は、古本募金のページをご覧ください。

皆様からのご支援を心よりお待ちしています。

お問い合わせ先

東京工業大学基金室

Email : bokin@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2415

NHK BS1「経済フロントライン」に情報理工学院の小池英樹教授が出演

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本学、情報理工学院の小池英樹教授が、NHK BS1で放送される「経済フロントライン」に出演します。

「もうすぐオリンピック!」をテーマとした番組内で、小池教授らが開発した「BallCam」が紹介されます。
アメリカンフットボール用の楕円球にカメラを搭載し、ボール視点の映像を撮影できる「BallCam」。選手のトレーニングやスポーツ観戦のエンターテイメント性向上にも寄与する技術として注目されています。

BallCam

BallCam断面

BallCam

小池英樹教授のコメント

小池英樹教授
小池英樹教授

“ボール視点でスポーツを見たい”と言うのは簡単ですが、実現には様々な技術的課題があります。

私たちの研究室ではカメラ内蔵ボールを試作し、高度画像処理技術を用いてボール視点映像合成に取り組んでいます。

目標は2019年ラグビーワールドカップと2020年東京オリンピックです!

  • 番組名
    NHK BS1 「経済フロントライン」
  • タイトル
    もうすぐオリンピック!
  • 放送予定日
    7月23日(土)22:00~22:50

情報理工学院

情報理工学院 ―情報化社会の未来を創造する―
2016年4月に新たに発足した情報理工学院について紹介します。

情報理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

深海底のレアアース資源の生成条件を新たなデータ科学的手法により解明

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発表のポイント

  • 太平洋・インド洋の深海堆積物の化学組成データを統計的に解析し、レアアース泥の生成が堆積速度に支配されていることを明らかにしました。
  • 脳科学・情報科学分野で発展した独立成分分析を応用して大量のデータからレアアース濃集に関与する成分を抽出し、その時空間分布を可視化しました。
  • 将来の開発が期待される海底鉱物資源の成因解明により、広大な海洋で資源ポテンシャルの高い有望域を絞り込むための、理論的な探査指針を提供できるようになります。

発表概要

東京大学大学院工学系研究科の加藤泰浩(かとう やすひろ)教授、安川和孝(やすかわ かずたか)助教、中村謙太郎(なかむら けんたろう)准教授、千葉工業大学次世代海洋資源研究センターの藤永公一郎(ふじなが こういちろう)上席研究員と海洋研究開発機構地球内部物質循環研究分野の岩森光(いわもり ひかる)分野長(兼 東京工業大学 理学院 地球惑星科学系 特定教授)らの研究グループは、太平洋・インド洋から採取された膨大な数の深海堆積物(図1)の化学組成データを解析し、海底鉱物資源「レアアース泥[用語1]」の生成に関わっている複数の成分を統計的に分離・抽出しました。これらの成分の特徴を詳しく調べた結果、レアアース[用語2]の濃集を引き起こすためには、堆積速度[用語3]が非常に遅く、極めてゆっくりと物質が降り積もる環境が必要であることが明らかとなりました。将来の開発が期待されているレアアース泥は、現在こうした条件を満たす海域で海底面付近に分布していると考えられ、これは今後の資源探査における重要な探査指針となります。また、本研究では、レアアース濃集成分の時空間変動を世界で初めて可視化することにも成功しました。その結果、海底鉱物資源の生成が、数千万年という長い時間の中で、大陸の移動や地球の気候・環境変動と密接に関連してきたことが示されました。

深海堆積物を構成するさまざまな起源成分の概念図

図1. 深海堆積物を構成するさまざまな起源成分の概念図

発表内容

2011年、東京大学大学院工学系研究科の加藤泰浩教授らは、ハイテク産業に欠かせないレアアースを高濃度で含む深海堆積物(泥)が太平洋の深海底に広く分布することを発見し、それらを「レアアース泥」と名付けました。この発見以降、陸上鉱床と同等以上の総レアアース濃度(400 ppm以上)をもつ深海堆積物は一括してレアアース泥と呼ばれるようになりましたが、こうした深海堆積物の化学組成[用語4]には、レアアースの濃度を含めて非常に大きなバリエーションがあることが分かっていました。しかしながら、それが何に由来しているのか、また究極的に何がレアアースの濃集を支配しているのかについては、謎のままでした。

今回、本研究グループは、太平洋及びインド洋の広範囲をカバーする101の地点(図2)から採取された3,968の深海堆積物試料の化学組成データに対し、独立成分分析[用語5]と呼ばれる多変量解析手法を適用しました(図3)。独立成分分析は元々、脳科学分野に端を発する比較的新しい信号解析手法です。その応用範囲は脳波解析のほか、干渉電波の分離や画像処理など非常に多岐に渡っており、近年では地球科学分野でもその有用性が実証されつつあります。本研究では、さまざまな起源成分の混合によって作られている堆積物(図1)の化学組成データから、生物源炭酸カルシウム成分、生物源シリカ(ケイ酸塩)成分、火山起源成分、熱水起源成分、海水起源成分、生物源リン酸カルシウム成分などを統計的に分離・抽出しました(図4)。これらのうち、レアアース泥の生成と深く関連しているのは、熱水起源、海水起源、生物源リン酸カルシウムの3成分であることが分かりました。これは、それぞれの成分を個別に扱った複数の先行研究とも整合的な結果です。本成果により、これまでレアアース濃度のみを基準として定義されていたレアアース泥が、実は統計的に異なる3つの成分に分離されるということが初めて明らかになりました。

本研究で用いた試料の採取地点

図2. 本研究で用いた試料の採取地点

太平洋82地点、インド洋19地点の合計101地点から採取された3,968試料の化学組成データを統計解析に用いた。

深海堆積物の化学組成データに対する独立成分分析の概念図

図3. 深海堆積物の化学組成データに対する独立成分分析の概念図

試料の化学組成データ(x)に内在する「非正規性」という統計学的性質を利用して、観測可能なxから、独立な起源成分(s)と未知の混合作用(A)の両方を同時に推定できる。

独立成分分析の結果

図4. 独立成分分析の結果

レアアースを含む11種類の元素群から成るデータを解析した結果、太平洋・インド洋の深海堆積物は、生物源炭酸カルシウム成分、生物源シリカ(ケイ酸塩)成分、火山起源成分、熱水起源成分、海水起源成分、生物源リン酸カルシウム成分を含む7つの成分で説明できることが分かった(残る1成分は重要でないノイズ的成分と考えられる)。なお、セリウムはレアアースの一種であるが、地球化学的な挙動が他のレアアース元素と異なる。そのため、本研究の解析ではセリウムを別個に扱っており、図中の「レアアース」はセリウムを除いたレアアースの総和を表す。

これらのレアアース濃集に関わる成分の化学的な特徴は、(1)濃集したレアアースの究極的な供給源は海水であること、(2)レアアースを保持する物質が海水と長期間に渡り接触することでレアアースを多量に取り込み、レアアース泥ができたこと、を示唆します。簡単な計算による見積りの結果から、総レアアース濃度が1,000 ppmを超える比較的高品位なレアアース泥の生成に必要な条件の1つは、100万年あたり0.5 m程度しか物質が降り積もらないような、極めて堆積速度の遅い環境であると分かりました。すなわち、堆積速度がレアアース泥の生成を左右する重要な鍵であるといえます。このように、資源生成に必要な条件を明らかにすることは、広大な海洋において詳細な探査の対象とすべき有望エリアを選定する上で、極めて重要であるといえます。

本研究ではさらに、統計解析の結果と生物化石に基づく試料の年代値及びプレートテクトニクスを組み合わせ、過去6,500万年間におけるレアアース濃集成分の時空間変動(図5)を、世界で初めて可視化することにも成功しました。その結果、北太平洋では過去数千万年に渡り海水起源成分の寄与が比較的強いエリアが見られ、それらは海底鉱物資源の1つであるマンガンノジュール[用語6]が密に分布する海域と重なることが示されました。このことは、レアアース泥とマンガンノジュールという全く異なる海底鉱物資源の間に、共通の起源物質や海底面付近で生じる化学反応など、密接な相互関連が存在する可能性を示唆しています。また、南太平洋の一部海域では、2,000~2,500万年前頃からレアアースの濃集が見られなくなります(図6)。これは、南太平洋へ陸源のダストを供給するオーストラリア大陸の北上と気候の乾燥化などにより、同海域へのダスト供給量が増えて堆積速度が増大し、堆積物へのレアアース濃集が抑制されたことを反映していると考えられます。

過去6,500万年間における独立成分の時空間分布

図5. 過去6,500万年間における独立成分の時空間分布

数値が大きいほど、その独立成分の影響が強いことを意味する。ラベルを黄色で示した3つの成分(IC1, IC4, IC7)が、レアアースの濃集に関与する成分。熱水起源成分は海底熱水活動が活発な中央海嶺近傍で強く現れる。生物源リン酸カルシウム成分は2011年に報告された海底面付近におけるレアアース泥の分布とよく一致しており、この成分の影響が強いエリアは過去6,500万年間を通じてあまり変化していないといえる。海水起源成分は南太平洋の2,500~6,500万年前の泥で特に強く現れ、その後急速に減退する。これは、プレートテクトニクスや気候の変化と関連する(図6参照)。また、この成分は北太平洋でも比較的強く現れ、そのエリアはマンガンノジュールの多い海域と重なる。これは、レアアース泥とマンガンノジュールの間に何らかの成因的関連が存在する可能性を示唆している。

サイト596で観測される大陸移動とレアアース泥生成の関連

図6. サイト596で観測される大陸移動とレアアース泥生成の関連

オーストラリア大陸が北上し、乾燥気候帯に入った2,000万年前頃から、中央南太平洋のサイト596地点ではレアアース泥が生成しなくなった。これは、偏西風により南太平洋へ運ばれる大陸起源のダストが増え、堆積速度が速くなってレアアースの濃集が妨げられたためと考えられる。

以上のように、本成果は、地球科学とデータ科学の融合的アプローチにより、プレートテクトニクスや気候変動といった地球システムのダイナミクスと海底鉱物資源の生成・分布が、数千万年という遠大な時間スケールの中で密接に関連してきたことを明らかにした画期的な研究成果です。また、脳科学や情報科学分野で用いられる独立成分分析を化学組成データの解析に応用し、自然界に潜む情報を抽出して工学的・科学的に活用した本研究成果は、データ科学に基づく高効率な資源探査の新しい方向性を世界に先駆けて提示し、資源工学分野に新たな展開をもたらしうる、極めて重要な成果であるといえます。

本研究では、過去の深海掘削計画(Deep Sea Drilling Project, DSDP; 1968~83年、米国主導で実施)及び国際深海掘削計画(Ocean Drilling Program, ODP; 1985~2003年、日本も参加した国際プロジェクトとして実施)により掘削された堆積物コア試料及び東京大学海洋研究所が1968~84年に太平洋でピストンコアを用いて採取した堆積物コア試料を用いました。化学分析は全て東京大学で行いました。統計解析に用いた化学組成データは、既に2011年、2014年、2015年にそれぞれ加藤教授らのグループにより論文として公表されているものです(太平洋の268試料のみ、本論文で新規に公表しました)。なお、本研究で用いた試料には、「超高濃度レアアース泥」は含まれていません。

用語説明

[用語1] レアアース泥 : 2011年に東京大学の加藤泰浩教授らにより発見された、新しいタイプの海底鉱物資源。さまざまなハイテク製品に欠かせないレアアースを高濃度(総レアアース濃度400 ppm以上)で含む深海堆積物の総称。レアアース泥は、(1)現在陸上で操業しているイオン吸着型鉱床を超える総レアアース濃度(600~2,000 ppm)を示し、特に産業上重要な重レアアースに富むこと、(2)太平洋の広範囲に分布するため膨大な資源量が見込まれること、(3)遠洋性の深海堆積物として層状に分布するため資源探査が容易であること、(4)開発時の環境汚染源として問題となるトリウム(Th)やウラン(U)などの放射性元素濃度が非常に低いこと、(5)常温の希酸で容易にレアアースを抽出できることなど、鉱物資源として有利な特長を複数有しており、新たなレアアース資源として有望視されている。2013年には日本の排他的経済水域内で世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」が発見されたほか、2014年にはインド洋においてもレアアース泥の存在が報告され(いずれも加藤教授らの研究グループによる)、そのグローバルな分布の把握が資源工学的に重要なテーマとなりつつある。

[用語2] レアアース : 希土類元素(REE:rare-earth element)。原子番号57番のランタンから71番のルテチウムまでのランタノイド元素15元素の総称で、21番のスカンジウム(Sc)、39番のイットリウム(Y)を加えて17元素とすることもある(ただし、原子番号61番のプロメチウムは自然界には存在しない)。レアアースは独特な光学的特性や磁気的特性を持つことから、ハイブリッドカーのモーターに使われるNd-Fe-B磁石やLEDの蛍光体などの最先端グリーン・テクノロジー(省エネ・エコ技術)に不可欠な元素である。新興国の急速な経済発展を背景として、今後も需要は増加の一途を辿ると予想されている。

[用語3] 堆積速度 : 海底に物質が降り積もる速さ。単位時間(本論文の場合、百万年(million years, Myr)を単位としている)あたり何メートル積もったかで表す。単位は m/Myr。堆積速度は海域によって大きく異なり、大陸に近く陸源の物質が河川などにより流れ込む海域や、海洋表層の生物生産性が高くプランクトンが多い海域では速く、数十m/Myr程度になる。一方、大陸から遠く海洋表層の栄養塩も少ない海域では遅く、数m/Myrから1 m/Myr以下となることもある。堆積速度が速ければ速いほど、降り積もった物質が急速に堆積層の深くまで埋没していくため、海水からレアアースを取り込む成分が短期間で海水から遮断されてしまい、レアアース泥にならない。

[用語4] 深海堆積物の化学組成 : 深海堆積物は、さまざまな起源成分の混合物であり、各成分はそれぞれ特徴的な化学組成を持つ。例えば、海底の熱水活動に由来する成分は鉄やマンガンに富み、海洋に生息するプランクトンはカルシウムやケイ素に富む殻を持つ。沈積する各成分の量比や海底で起こる物理的・化学的プロセスを反映して、海底の泥の中に含まれる各元素の濃度は大きく変化する。2011年にレアアース泥を発見した研究では、レアアースの他にも多数の元素濃度を測定しており、海域によって鉄に富むものやカルシウムに富むもの、ケイ素に富むもの、リンを多く含むものなど、非常に大きなバリエーションがあることが分かっていた。

[用語5] 独立成分分析 : 脳科学分野や情報科学分野で1990年代以降広く用いられるようになった、信号解析手法の1つ。データ構造に内在する「非正規性」を利用して、観測された信号のみから元の起源信号とそれらの混合プロセスを同時に推定することができる。独立成分分析の応用範囲は極めて広く、画像の圧縮や雑音除去、脳波や脳磁図の信号分離、通信時の干渉電波の分離、金融時系列データの解析など、分野を超えて多岐に渡っている。本論文の共著者である国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球内部物質循環研究分野の岩森光分野長は、地球内部のマントルに由来する玄武岩の同位体比データに世界で初めてこの手法を適用し、独立成分分析が地球化学データの解析にも極めて有用であることを示した。

[用語6] マンガンノジュール : マンガン団塊とも呼ばれる。太平洋・インド洋・大西洋などの水深4,000 mを超える深海底に広く分布するマンガン酸化物鉱床で、直径数~十数cmの球状や楕円体状を呈する。分布密度は海域間で差異が大きく、全く存在しない海域からまばらに存在する海域、海底面をほぼ埋め尽くすほどの高密度で存在する密集域までさまざまである。銅、ニッケル、コバルトなどの有用金属元素を高い濃度で含有し、レアメタル資源として1960~70年代から注目されている。特に、ハワイ南東沖の深海底には多数のマンガンノジュールが広範囲に存在し、資源ポテンシャルが高い有望海域として知られている。この海域では、日本を含む多くの国々が、国際海底機構の下でマンガンノジュールの探査鉱区を取得している。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports (7月22日版)
論文タイトル :
Tracking the spatiotemporal variations of statistically independent components involving enrichment of rare-earth elements in deep-sea sediments
著者 :
安川和孝1,2*、中村謙太郎1、藤永公一郎2,1、岩森光3,4、加藤泰浩5,1,2,6*
1東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻、2千葉工業大学次世代海洋資源研究センター、3海洋研究開発機構地球内部物質循環研究分野、4東京工業大学理学院地球惑星科学系、5東京大学大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター、6海洋研究開発機構海底資源研究開発センター
DOI :

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問い合わせ先

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東京工業大学社会人アカデミー主催/蔵前工業会共催 講演会「深海と宇宙」

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東京工業大学社会人アカデミーは、本学の同窓会組織である蔵前工業会と共催で、9月6日(火)より5回にわたり、研究、開発、制作の最前線に立つ5名の講師による「深海と宇宙」と題した講演会を開催いたします。

皆様のご参加を心よりお持ちしております。

今回から約300名収容の大規模会場へと会場を移し、小学生をはじめ、広く一般の方も対象とします。

概要

日時
2016年9月6日、20日、10月11日、18日、25日(いずれも火曜日)
各回19:00~21:00(開場:講演開始20分前予定)
場所
参加対象
どなたでもご参加いただけます(事前申込要)
参加人数
定員287名(各回)
参加料金
  • 一般
    2,500円(1回あたり)/10,000円(全5回一括※1

  • 本学社会人教育院および社会人アカデミー講座受講生・修了生※2 ※3 ※4
    2,000円(1回あたり)/8,000円(全5回一括)

  • 小・中・高・専門学校・大学・大学院等学生(専門学校・大学・大学院等学生は当日、要学生証提示
    900円(1回あたり)/4,000円(全5回一括)

  • 蔵前工業会会員・ゴールドカード家族会員、本学学生(付属校・学部・大学院生)、本学教職員※3
    無料(席数には限りがあります)

※1
全5回一括参加のお申込みには限りがあります。定員に達した場合は、「1回参加料金」でのご参加となります。
※2
「グローバル産業リーダー育成プログラム」「理工系一般プログラム」「キャリアアップ MOT プログラム」「製造中核人材育成講座」を受講・修了された方が対象です。
※3
当方より各所へ在籍確認を行います(5営業日前後を要します)。
※4
2016年4月、東京工業大学社会人教育院は、同社会人アカデミーに改称しました。

講演詳細

「深海」と「宇宙」のスペシャリストが、壮大なテーマのもとつないでゆくプレゼンテーションです。(以下講演順:敬称略)

第1回

講演タイトル
謎の深海生物にさぐる宇宙生命および地球外文明の可能性
講演概要
NHK、フジテレビ等各メディアで話題の「科学界のインディー・ジョンズ」こと、長沼毅が登壇。「人類初の宇宙飛行の日」に生まれ、かつて宇宙飛行士を目指した彼は、深海生物から宇宙生命の謎をいかに解き明かすのか?
開催日時
2016年9月6日(火) 19:00~21:00
講演者
長沼毅 広島大学 大学院生物圏科学研究科(生物生産学部) 教授

第2回

講演タイトル
オーロラの宇宙
講演概要
子どもから大人まで、わかりやすい語り口で人気の若手オーロラ研究者、片岡龍峰がオーロラの秘密を語る。
開催日時
2016年9月20日(火) 19:00~21:00
講演者
片岡龍峰 国立極地研究所 研究教育系・宙空圏研究グループ 准教授

第3回

講演タイトル
超小型衛星・宇宙機による新しい宇宙活動
講演概要
東京工業大学で超小型衛星「TSUBAME」の開発に携わってきた松永三郎が、「新しい宇宙活動」を論じる。
開催日時
2016年10月11日(火) 19:00~21:00
講演者
松永三郎 東京工業大学工学院 機械系 教授

第4回

講演タイトル
「深海の宇宙」とはなんだったのか 作品を通じて伝えたかった事
講演概要
来るNHK連続テレビドラマヒロインに抜擢された有村架純を主人公に据えたテレビドラマ「海に降る」(2015年、WOWOW)を監督した山本剛義を迎え、制作秘話と、作り手としての想いを聴く。国内で初めて深海での潜行と撮影に成功したという山本が本作で伝えたかったこと、そして作品でもキーワードとなる「深海の宇宙」とは何かが明らかにされる。
開催日時
2016年10月18日(火) 19:00~21:00
講演者
山本剛義 株式会社 ドリマックステレビジョン

第5回

講演タイトル
地上最高の星作りを目指して~MEGASTAR開発ストーリー~
講演概要
スーパーリアルプラネタリウム「MEGASTAR-II」がギネスワールドレコーズに認定され、これまで多数のアーティストとのコラボレーションを重ねてきたプラネタリウムクリエーター、大平貴之が登壇。「地上最高の星作りを目指して~MEGASTAR開発ストーリー~」と題し、開発の最前線を語る。
開催日時
2016年10月25日(火) 19:00~21:00
講演者
大平貴之 プラネタリウムクリエーター、大平技研代表取締役

東京工業大学社会人アカデミー・蔵前工業会共催講演会 「深海と宇宙」 パンフレット

お問い合わせ先

東京工業大学 社会人アカデミー事務室

E-mail : jim@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8722、8867

厦門大学視察団が東工大を訪問

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厦門大学視察団が東工大を訪問

5月23日、中国の厦門大学の張彦校務委員会主任を団長とした視察団が東工大を訪問し、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)等と懇談しました。

懇談の様子

懇談の様子

懇談ではまず、三島学長が東工大の概要と今年4月に開始した教育改革やスーパーグローバル大学創成支援事業について説明を行い、続いて、張主任が厦門大学の概要、及び今回の来訪の目的について話しました。

厦門大学は1921年に中国福建省に設立された大学で、自然科学と人文科学分野で高い評価を得ています。現在、中国及び福建省ではトップクラスの理工系大学の設立に力を入れており、日本の大学における研究成果の産業化への取り組みについて学ぶことが今回の来訪目的の1つとなっています。

日本と同様、中国においても、高等教育機関の国際化政策に伴い、英語での講義が増加傾向にあり、留学生の割合を増やす目的には適っているが、留学生が中国の言語や文化に触れる機会が少ないことについて議論となっている、と張主任は述べました。それに対し、三島学長及び丸山理事・副学長は、本学においても英語での講義数を増やす取り組みを行っているが、留学生には日本語や日本文化についてのプログラムも用意しており、学位取得後、日本の会社でインターンシップを行う際や日本の会社に就職する場合には、日本語や日本文化の理解が重要となることを学生に対し事前に説明している、と話しました。

その後、視察団一行は産学連携推進本部の大井満彦国際部門長と本学の産学連携推進活動について意見を交わしました。

東工大は、文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援(タイプA:トップ型)」に採択されました。本事業は、日本の高等教育の国際競争力の向上を目的に、世界レベルの教育研究を行う日本のトップ大学の国際化への取り組みに重点支援を行うものです。

三島学長(左)と張主任(右)
三島学長(左)と張主任(右)

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