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本学博物館の「本多式熱天秤」が分析機器・科学機器遺産に

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東京工業大学博物館所蔵の本多式熱天秤が、第4回分析機器・科学機器遺産認定事業において、分析機器・科学機器遺産に認定されました。

この認定制度は、日本で創出された分析技術・分析機器や科学機器および日本国民の生活・経済・教育・文化に貢献した分析技術・分析機器や科学機器を文化的遺産として後世に伝えることを目的に、社団法人日本分析機器工業会と一般社団法人科学機器教会により、2012年に創設されたものです。

遺産認定証を手にする丸山俊夫理事・副学長(左)と二瓶好正審査委員長
遺産認定証を手にする丸山俊夫理事・副学長(左)と二瓶好正審査委員長

候補となる分析技術・分析機器および科学機器の歴史を示す事物・資料は、広く一般から募集され、(1)発展史上の重要な成果を示すもの、また、(2)日本国民の生活・経済・教育・文化に貢献したもの、であることを認定基準に審査が行われます。そこに、さらなる基準として、「国際的にみて独自性を示すもの」「新たな分析機器または科学機器の創造に寄与したもの」「日本の産業・経済の発展と国際的地位向上に貢献のあったもの」という厳しい要項が加わり審査されます。

今回、遺産認定を受けた本多式熱天秤は、1915年(大正4年)に本多光太郎によって世界に先駆けて創案・命名され、仙台の成瀬器械店(後に成瀬科学器械)により製造・販売されました。太平洋戦争後、本学の資源化学研究所がこの熱天秤を購入し、舟木好右衛門・佐伯雄造研究室で使用されていました。その後、工業材料研究所の齋藤安俊教授(当時)に移管され、齋藤教授定年退職(原子炉工学研究所)に伴い、本学博物館に寄贈され、現在も本学博物館にて保管展示されています。本熱天秤は、前述の厳しい基準のいずれをも十分に満たしており、第4回目(2015年度)の認定を受けた11件の機器のなかでも、群を抜いてその歴史的価値の存在感を示していました。

JASIS2015で展示された本多式熱天秤

JASIS2015で展示された本多式熱天秤

JASIS2015で展示された本多式熱天秤

本熱天秤は、2015年9月2日から4日まで幕張メッセで開催されたアジア最大級の分析機器・科学機器専門展示会であるJASIS2015の分析機器・科学機器遺産コーナーで「未来を創る認定遺産」として展示されました。 これは2012年の国際熱測定学会を母体とした国際会議ICTAC15に引き続いての展示になります。会場の都合から、実測を行うことはできませんでしたが、多くの来訪者が足を止めて、その重厚な歴史の重みを彷彿とさせる展示に見入っていました。

お問い合わせ先

東京工業大学博物館・百年記念館

Email : centjim@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3340


東工大生がハーバード大学生と交流~第5回大倉山国際学生フォーラム

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公的研究機関等でインターンシップを行うため来日したハーバード大学生と日本人学生の交流イベント「第5回大倉山国際学生フォーラム」が6月20日に横浜市の大倉山記念館にて開催され、東工大生10人が参加しました。

集合写真

集合写真

今回のフォーラムでは「世界の中の日本を再認識すること」をテーマに、ハーバード大学テオドル・C・ベスター教授による「世界の中の和食」と題した講演に続いて、新横浜ラーメン博物館や箱根サン・テグジュペリ星の王子さまミュージアムを手掛けた空間プロデューサーである相羽高徳氏が、「感動空間を作る発想力の作り方」について講演しました。その後、ハーバード大学生と日本の学生がペアとなり、一緒に白い扇子にメッセージや絵を描き、出来上がった扇子を交換するというワークショップが行われ、ハーバード大学生との交流を深めました。その他、岸根囃子連や忍者のパフォーマンスが行われました。

横浜市港北区岸根町に祭囃子として江戸時代から受け継がれている郷土芸能「岸根囃子」を普及・継承している民俗芸能団体。
ワークショップの様子

ワークショップの様子

日米参加学生と忍者パフォーマーたち

日米参加学生と忍者パフォーマーたち

参加学生のコメント

蒲田瑞季さん(工学部化学工学科応用化学コース2年)

グローバル理工人育成コースouterからのお知らせで、このハーバード大学や他大学の学生と知り合えるイベントについて知り、とても魅力を感じ参加を希望しました。私は今までの大学生活において、人との出会い、特に新しい価値観に出会うことを大切に過ごしてきました。しかし、東工大にいる学生のほとんどは理工系の専攻で、その他の分野を勉強している学生と出会う機会はなかなかありません。ましてや、世界的にみてトップレベルのアメリカのハーバード大学の学生と知り合い、話す機会などはなおさらです。

ハーバード大学の学生は私が想像していた以上に気さくな人たちばかりで、お互いの大学生活や研究について等、短い時間の中でしたが多くの方々とお話しすることができました。そのうちの何人かの学生は、私が来年に計画している留学についての相談にものってくれて、「アメリカに来るならぜひ声をかけて。案内するよ。」などと声をかけてくれました。連絡先も交換して連絡を取り合っています。

今回のイベントではハーバード大学や他大学の学生から多くの刺激を受け、自分の英語力の強化と留学への意欲がとても高まり、また、新たな出会いやつながりを得ることができて、とても充実した会となりました。今回できたつながりを大切にしていきたいと思います。

本イベントは、ハーバード大学ライシャワー日本研究所・大倉陽子プロジェクトチーム主催、横浜市・横浜日米協会共催、アメリカ大使館後援により実施され、横浜市立大学、慶應義塾大学、東京工業大学の学生が参加しました。

イベント終了後も楽しく交流

イベント終了後も楽しく交流

お問い合わせ先

東京工業大学 国際部 留学生交流課

E-mail : ryu.jig@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7650

TOKYO MX「選挙CROSS」にリベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授が出演

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リベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授が、TOKYO MXで放送される「選挙CROSS」に出演します。「選挙CROSS」は2016年度東京知事選に際した開票特別番組で、西田准教授はゲストとしてスタジオに登場します。

西田亮介准教授
西田亮介准教授

  • 番組名
    TOKYO MX「選挙CROSS」
  • 放送予定日
    2016年7月31日(日)19:59~22:00

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に新たに発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

リベラルアーツ研究教育院(ILA)outer

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

朝日新聞「国公立大学進学のすすめ」に東京工業大学が登場

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7月27日の朝日新聞朝刊「国公立大学進学のすすめ」に東工大が掲載されました。

この特集は、国公立大学が持つ魅力や今後求められる使命、各大学が進もうとしている方向性について、7月26日、27日の2日間にわたって16の大学を紹介するものです。

4月にスタートした「教育改革outer」「研究改革」について三島良直学長が語り、大学発ベンチャー(リバーフィールド株式会社outer)や注目の施設等も紹介しています。

「日本の東工大から、世界のTokyo Techへ」というタイトルで、紙面いっぱいに東工大の魅力をお伝えしていますのでぜひご覧ください。

朝日新聞「国公立大学進学のすすめ」に東京工業大学が登場

朝日新聞社からの承諾を得て掲載しております。

お問い合わせ先

広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

三島学長がタイで開催の第2回人材育成円卓会議にて講演

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6月20日、タイの首都バンコクにあるウェスティンホテルで開催された第2回人材育成円卓会議(主催:在タイ日本大使館、国際協力機構(JICA)、協力:ネーション・マルチメディア・グループ)に三島良直学長が出席し、パネルディスカッションへの参加及び講演を行いました。3月に第1回会議が開催され(第1回の様子outer)、第2回となる今回は、日本とタイ両国の政府・公的機関関係者、大学関係者、企業関係者、マスコミ関係者等幅広い分野から、約350名の参加がありました。

本会議は、2015年11月に安倍総理大臣が公表した「産業人材育成協力イニシアティブ」を踏まえ開催されました。産業人材育成協力イニシアティブとは、日本が各国との対話を通じてニーズを把握し、対象国の持続的成長に資する産業人材育成をオールジャパン体制で支援しようとするものです。在タイ日本大使館は、日本とタイの産業人材育成について、これまでの取り組み、今後求められるニーズや解決策を関係者間で共有し、会議の議論を踏まえて日本とタイの間の産業人材育成協力の具体化を進めることを目指しています。

今回の会議では、在タイ日本国大使館の佐渡島特命全権大使による開会挨拶、タイ首相府のコブサック政務官による基調講演の後、パネルディスカッションの第1部「日タイで推進する産業人材育成」、第2部「製造業における若手タイ技術者のキャリア開発」があり、最後に三島学長による「東工大の教育改革とタイでの活動について」の講演が行われました。

三島学長は、パネルディスカッション第1部にパネリストとして参加しました。ここでは、「タイには日本企業が多く進出しており、タイ人のエンジニアが必要とされているが、質・量ともに不十分であり、政策による底上げが必要である」、「単にエンジニアの数を増やすだけではなく、よりクリエイティブで優秀なエンジニアの育成が必要だ」等の意見が出され、今後のタイの発展に必要な高度技術者の育成に関する、日タイ間の人材育成の連携の在り方や課題について、活発な議論が交わされました。

パネルディスカッションに参加している三島学長(左端)
パネルディスカッションに参加している三島学長(左端)

最後の講演では、三島学長が、2007年にタイ国立科学技術開発庁(NSTDA)及びタイの各大学と連携し設立した大学院「TAIST-Tokyo Tech」を始めとした、本学のタイでの研究・教育交流の状況を紹介しました。タイにおいて科学技術分野を担うリーダーとして活躍できる人材の育成を推進し、日本とタイ、ひいてはASEANにおける科学技術リーダーの人材ネットワークの構築を目指していることを説明しました。また、2016年4月からの本学の教育改革の趣旨として、「学生は大学にいる間に自分の将来を描き、そのために必要なことを、自分で努力してどれだけ身につけるか。教員はそれを助け、学生がどれだけ伸びるかに責任を持つのが大学の教育である」、「東工大の学生が溌剌として、世界を舞台に働くという気持ちを持って卒業するように教育したい」と述べました。

今回の教育改革で導入した新たな教育システムについても紹介し、学部・研究科の統合・再編を行い学部から大学院まで一貫したカリキュラムを学生に提供できるようになり、リベラルアーツ研究教育院を設置し幅広い人間性を持つエンジニアの育成を目指していると話しました。また、クォーター制(4学期制)の導入により海外からの留学生の入学や東工大生の海外への留学・インターンシップをしやすくしたり、アクティブラーニングの導入やオンライン学習環境の整備により世界レベルの質の高い授業を行うなどの教育環境の整備について紹介しました。2019年より大学院においてほとんどの専攻科目を英語で行うことなど、学生のサポート体制を強化しつつ推進する本学の積極的な取り組みについて語りました。

講演中の三島学長
講演中の三島学長

本会議の内容は、第1回の円卓会議の内容とともに、今後、在タイ日本大使館により「日タイ産業人材育成協力イニシアティブ」として取りまとめられる予定です。

お問い合わせ先

国際部 国際事業課 国際事業グループ

Email : kokuji.jig@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2237

海外大学院への進学という選択肢を考える―2016年度夏期海外大学院留学説明会開催報告―

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6月29日に、大岡山キャンパスで、海外大学院留学説明会(主催:東工大国際交流学生会SAGE、米国大学院学生会、後援:東工大国際室、船井情報科学振興財団、米国大使館)が開催されました。

パネルディスカッションの様子 パネルディスカッションの様子

毎年、夏に開催している本説明会では、海外の大学院に留学予定の方や海外での学位取得をした方を招き、留学のための準備、留学中および留学後の生活、そして学位留学の良い点や苦労する点などについての講演が行われ、続いて講演者が参加者の質問に答えるパネルディスカションが行われます。

説明会には開始時間前から東工大生のみならず、たくさんの来場者が会場に詰めかけました。今年の講演者は、成田海さん、中島美紀さん、坂本啓准教授の3人に加え、パネリストの源勇気助教が自己紹介を兼ねて自身の体験を語ってくれました。

成田海さん

今年3月に東工大の修士課程を修了し、9月からカリフォルニア工科大学博士課程に進学予定。専門分野は金属系生体材料です。

海外大学院を目指した理由について、率直に「夢を叶えるため」と話す成田さん。海外の大学院には世界最高峰の研究設備が揃っていて、世界中から優秀な学生たちが集まるにもかかわらず、経済的負担 が少ないことに触れました。その理由として、海外の大学院には学生がリサーチアシスタント(RA)やティーチングアシスタント(TA)として働くことによって授業料はもちろん、生活費までもが支給される仕組みがあると説明しました。

一方、このことは海外の大学院への進学が生易しいことではないことも意味していると話し、その大きな壁を乗り越えるためには、日本語でしばしば「コネ」と呼ばれる、積極的につながりを求めて得られるネットワークが大変重要な役割を果たすと強調しました。成田さんは、教員による紹介や研究室訪問など様々な方法で積極的にこのネットワークを作ったと述べ、その具体的な方法についても説明しました。調べようと思ってもなかなか調べることができない成田さんの貴重な経験談に会場全体が惹きつけられていきました。

中島美紀さん

中島さんの講演 中島さんの講演

東工大修士課程修了後、アメリカに留学し、今年カリフォルニア工科大学で博士課程学位を取得。専門は地球惑星科学で、現在はアメリカのカーネギー研究所でポスドクとして活躍しています。留学前と留学中の苦労、そしてその乗り越え方を中心に話しました。

高校時代から留学に憧れ、東工大修士課程時代に交換留学を経験し、そこで挫折を経験するも、アメリカの研究規模、博士という学位に惹かれ海外大学院進学を目指したと語りました。その後、困難を乗り越えて日本の奨学金を獲得し、そして同年に数々のアメリカのトップレベルの大学院に合格したことを振り返りました。日本の奨学金を獲得することで受験を有利に進められることについては、前出の成田さんも強調していましたが、様々な方法で自分を大学にアピールすることが合格への鍵だと話しました。

中島さんは、合格した中からNASAとの結びつきが強く、少人数が特徴のカリフォルニア工科大学を進学先として選びました。アメリカでは最高峰の研究環境に恵まれ、広範囲でスピーディーなネットワークを築くことができたと話しました。その反面、ライバルとの争いは激しく苦労することも多かったけれど、それも含めて全て自分の力になったと笑顔で語ってくれました。

坂本啓准教授

坂本准教授は、米国大学院学生会を運営する1人で、自身のアメリカのコロラド大学で博士課程学位を取得した経験について話しました。

アメリカの博士後期.課程に留学する学生のうち、主な財源を自費で賄っているのはわずか2.4%で、なんと53.6%がRAを主な財源としているというデータを示し、その分、学生間の競争も激しいが、その競争を勝ち抜き得た博士という学位は、その後の進路において多くの選択肢を与えてくれると強調しました。日本で博士号というと研究者の印象が強いかもしれないが、アメリカでは研究施設よりも、企業で働く人や自分で起業する人の方が多いと坂本准教授は話し、海外留学によって得られるものは、夢の実現への選択肢を広げてくれると力強く語りました。

3人の講演終了後、パネルディスカッションが始まる前に、源勇気助教が自分の経験談とともに自己紹介しました。東工大出身の源助教は、ケンブリッジ大学に留学し博士の学位を取得後、さらにアメリカの国立研究所でのポスドクを経験しました。具体的な経験談を中心にテンポよく話を進め、特にイギリス、アメリカ、日本の大学の仕組みや習慣の違いなどについて解説しました。

すべての講演が終了し、いよいよパネルディスカッションが始まると、会場から次々と質問が飛び出しました。留学に向けての準備や留学のタイミングについてなど、留学体験者の生の声がきけるとあって質疑応答は時間いっぱいまで続き、大いに盛り上がった説明会となりました。

お問い合わせ先

SAGE(東京工業大学国際交流学生会)

Email : sage.tokyo.tech@gmail.com

日本人学生と留学生の交流第2弾「セパタクローをしよう」開催

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6月19日、大岡山キャンパスの体育館にて、「セパタクローをしよう(Let's play sepak takraw)」が開催されました。

本イベントは、サークル活動体験を通じて日本人学生と留学生の交流を促進することを目的としたイベントの第2弾で、東京工業大学留学生会TISA(Tokyo Tech International Student Association)とセパタクローサークルの共催で開催されました。

セパタクローを楽しむ様子

セパタクロー(sepak takraw)は、東南アジア各地で9世紀ごろから行われている球技で、ボールを手ではなく足や頭で扱う点ではサッカーを連想させますが、境界にネットを置いたコートを使用することから「足のバレーボール」とも呼ばれています。

あまりメジャーな競技ではないうえに手を使ってはいけない競技ということで、苦戦してはいましたが、参加者たちは大いに交流を深めることができました。

セパタクローを楽しむ様子1

セパタクローを楽しむ様子2

セパタクローを楽しむ様子3

セパタクローを楽しむ様子4

セパタクローを楽しむ様子

参加者のコメント

神谷忠佑さん 生命理工学部 生命工学科 3年(TISA)

今回は、サークル活動を通した日本人学生と留学生の国際交流のためのイベントとして、5月に開催したテニスフェスティバルに続く第2回目のイベントでした。

前回同様、留学生とサークル活動をつなげようという目的のもとでの開催でしたが、参加者が多かったので、たくさんの日本人学生と留学生が交流することができてよかったと思います。

次は合気道部との共催です。回を重ねるごとに規模を大きくし、より広い交流へつながることを願っています。

小林拓真さん 生命理工学部 生命工学科 4年(セパタクローサークル・Sepak Tech)

セパタクローはそのプレーのダイナミックさから、見ていておもしろいスポーツですが、その見た目の難しさ故にやってみようと思う人が少ないのが現状です。

今回は留学生交流という形でセパタクローを体験してもらいました。セパタクローは初心者には難しいスポーツですが、経験者と一緒にプレーすることによってうまく出来たときの喜びは感じてもらえたと思います。これを機にセパタクローを始めてくれる人はなかなかいないとは思いますが、セパタクローというスポーツの存在を知ってもらえたこと、そしてセパタクローを通じて楽しい時間を共有できたことを嬉しく思います。

また、今回の留学生交流は自分にとって英語を話すとてもいい機会になりました。正直僕は英語が苦手ですが、今回は学術発表などの堅苦しい場ではないので、間違った英語でもどんどん話していこうと心に決めていました。

幸いにも、留学生ときちんとコミュニケーションはとれていましたし、セパタクローをプレーする上で重要なポイントなどもそれなりに伝えることができたと思います。今回の経験で英語を話す自信がついたので、これからも英語を勉強していきたいと思います。貴重な経験ありがとうございました。

アフザル・ナヴィードさん 大学院情報理工学研究科 計算工学専攻 修士1年(パキスタンからの留学生)

セパタクローサークルの方々とプレーしたりお話をしたりしてとても楽しかったです。

練習試合や試合後の懇親会に参加して、私もサークルの一員になったような気持ちになるくらい仲良くなりました。日本語の練習と、日本人学生のサークルやクラブの様子について理解を深めるための良い機会になりました。

セパタクローはたいへん独特で挑戦し甲斐のあるスポーツで、サッカーと武道を組み合わせたような感じです。イベントに参加する前は全く知りませんでしたが、新しいことを試すのは面白かったです。最初はとても難しかったのですが、しばらく練習するとうまくできるようになりました。また、東南アジア発祥のこのスポーツに興味をもつ日本人学生がかなり多いことにも驚きました。

李孝宰さん 物質理工学院 応用化学系 修士1年(韓国からの留学生)

今回、TISAとセパタクローサークル「セパテク」との連合活動でセパタクローというスポーツを経験しました。初めての体験だったためうまくできなかったのですが、セパテクの学生さんたちが優しく分かりやすく教えてくださってセパタクローを楽しむことができました。留学生としては接したことのないスポーツと日本のサークル文化を体験することができ、さらにセパテクの学生さんと留学生が触れ合う良い機会になりアクティブな国際交流ができたと思います。今後またこのような活動があったら参加したいと思います。そして国際交流がしたいという学生さんにも強くお勧めしたいです。

集合写真

本イベントの第3弾は「合気道部」との共催です。引き続き、TISAのイベント活動にご注目ください。

お問い合わせ先

東京工業大学留学生会(TISA)

Email:contact@mytisa.net

東工大ボート部 第66回東日本選手権競漕大会3位入賞

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東京工業大学 端艇部(ボート部)が、6月25日、26日に埼玉県戸田市の戸田ボートコースで開催された、一般社団法人東京都ボート協会主催 第66回東日本選手権競漕大会(2,000m)に出場し、男子舵手無しクォドルプルで3位に入賞しました。

表彰を受ける白燕メンバー(左から)矢部さん、榊さん、髙橋さん、芝さん
表彰を受ける白燕メンバー(左から)矢部さん、榊さん、髙橋さん、芝さん

競技に使われるボートには多くの種類がありますが、大きいオールを1人1本、両手で持って漕ぐスウィープタイプと、小さいオールを1人2本、片方に1本ずつ持って漕ぐスカルタイプの2種類に大きく分けられます。今回、端艇部はスカルタイプのボートを4人で漕ぐ舵手無しクォドルプル種目に出場しました。漕手の人数は4人と多めですが舵手(コックス)が乗っていないのも特徴の2,000m種目です。

白燕メンバーによる試合前のミーティング

白燕メンバーによる試合前のミーティング

試合風景

試合風景

6月26日に行われた舵手無しクォドルプルの決勝には、東工大端艇部の「白燕」は見事6分58秒31のタイムを収め、3位に入賞しました。

入賞した「白燕」のメンバーを紹介します。

  • 理学部 情報科学科の髙橋翔大さん(3年)
    コメント:今回東日本選手権にて3位に入賞を致しました。クルー4人の日々の成果が出たと言えます。今後さらに上の結果を目指します。

  • 理学部 物理学科の榊直人さん(3年)
    コメント:なんとかメダルを獲得できて良かったです。次の大会であるインカレもメダルを手にできるよう引き続きがんばります。

  • 工学部 土木・環境工学科の矢部拓海さん(2年)
    コメント:ボートというスポーツはとてもシビアなものです。週25時間の練習に対して、試合は2ヵ月に1回7分です。その中で結果を残せたことは、非常に達成感のあるものでした。

  • 理学部 地球惑星科学科の芝昌平さん(2年)
    コメント:一時期タイムがあまり伸びず、精神的に大変な時はありましたが、みんなで一つのaimを狙い続けたことにより、大会では結果を残すことができよかったと思います。

お問い合わせ先

東京工業大学端艇部

Email : titboat@green.ocn.ne.jp
Tel : 048-442-5581


8月の学内イベント情報

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8月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

東京工業大学 社会人アカデミー 2016年度「理工系一般プログラム」

東京工業大学 社会人アカデミー 2016年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミー(2016年4月、社会人教育院より改称)では、昨年度ご好評をいただいた理工系一般プログラムを本年度も開講しています。

日時
8月2日(火) 「食の安全と安心」 18:30~20:30
8月19日(金) 「環境工学(2)エネルギーコース」 8:30~20:30
会場
参加費
有料
対象
一般
申込
必要(締切終了)
内容
「環境工学エネルギーコース」、「食の安全と安心」

ひらめきときめきサイエンス「目で見てわかる昔の日本語と今の日本語:タイムマシンに乗らずに行ける昔の世界」

ひらめきときめきサイエンス「目で見てわかる昔の日本語と今の日本語:タイムマシンに乗らずに行ける昔の世界」

ことばは時代につれて変化していきます。昔の文章から、ことばの使い方を図に描いて目で見ることができます。そんな目で見てわかる昔のことばの世界についてお話しします。

日時
8月3日(水) 10:00~17:00 (受付9:50)
会場
参加費
無料
対象
中学生(定員20名)
申込
必要(締切7/20)

Global Communication Contest 2016

Global Communication Contest 2016

情報生命博士教育院の英語クラス(コミュニケーション・プレゼンテーション・ディベート・ライティング)受講生のコミュニケーション能力をアピールする機会として、英語のスピーチコンテストを開催します。

日時
8月10日(水) 15:00~17:00
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
不要
内容
発表(7分)と質疑応答に対し審査を行い、審査員による入賞者3名と聴衆者による観客賞1名を選定

ひらめきときめきサイエンス「コンピュータビジョン、ヒューマンビジョン、あなたのビジョン2016」

ひらめきときめきサイエンス「コンピュータビジョン、ヒューマンビジョン、あなたのビジョン2016」

3D立体映像をバーチャルリアリティで体験することを通じて、人が頭部を動かすことにより世界を認識する仕組みや、立体視の原理を伝えます。またこれらの原理の活用で時間や空間を超えて人がつながる仕組みを考えます。

日時
8月11日(木) 10:00~12:30 (受付9:40)
会場
参加費
無料
対象
高校生 (先着40名)
申込
必要 (締切7/31)

高校生・受験生のためのオープンキャンパス2016(大岡山キャンパス)

高校生・受験生のためのオープンキャンパス2016(大岡山キャンパス)

2016年4月、東工大の新しい教育システムがスタートしました。模擬講義や講演会、そして研究室公開を通じて、教員と学生が理工系の魅力を皆さんにわかりやすく伝えます。

日時
8月11日(木・祝) 10:00~17:00
会場
参加費
無料
対象
高校生・受験生 (保護者同伴可)
申込
一部企画に必要

中高生のための夏休みプログラミング教室

中高生のための夏休みプログラミング教室

東京工業大学CBECプログラムは、東京工業大学ゲーム制作サークルtraPと協力して、プログラミング初心者のお悩みを解決する「夏休みプログラミング教室」を開催します。

日時
8月12日(金) 10:00~17:00
会場
参加費
無料
対象
プログラミング初心者の中高生 (定員30名)
申込
必要

第22回スーパーコンピューティングコンテスト

第22回スーパーコンピューティングコンテスト

東京工業大学(学術国際情報センター)ならびに大阪大学(サイバーメディアセンター)が毎年夏に行なっておりますプログラミングコンテスト「第22回スーパーコンピューティングコンテスト」を今年も開催いたします。

日時
8月22日(月)~8月26日(金)
会場
大岡山キャンパス 学術国際情報センター
大阪大学 サイバーメディアセンター
参加費
無料
対象
高校生・高専生の2~3名のグループ
申込
必要

AEARU 6th Energy and Environmental Workshop開催

AEARU 6th Energy and Environmental Workshop開催

本学が加盟している東アジア研究型大学協会―AEARUの活動の一つとして、「AEARU 6th Energy and Environmental Workshop」を開催します。

日時
8月26日(金) 9:20~17:20
会場
参加費
無料
対象
学生・教員・職員、学内・学外を問わず、興味があればどなたでも参加可能
申込
必要
内容
「太陽電池関連技術」
「次世代太陽電池(色素増感太陽電池、ペロブスカイト太陽電池、有機薄膜太陽電池等)」

夏休み特別企画「地球と遊ぼう2016」

夏休み特別企画「地球と遊ぼう2016」

「地球と遊ぼう2016」では、小学5、6年生を対象に大きく分けて3つの実習を行います。

日時
8月30日(火) 9:45~、13:45~のいずれか(2回開催)
会場
参加費
無料
対象
小学5、6年生(先着100名)
申込
必要
内容
1.
きれいな鉱物をタガネで宝石のような形にけずってその形や色を観察しよう
2.
南アメリカ・ボリビア産の化石を砂利の中から探し出そう
3.
重液という薬品を使って重い石と軽い石に分ける実験を行おう

東京工業大学未来産業技術研究所発足記念講演会/祝賀会

東京工業大学未来産業技術研究所発足記念講演会/祝賀会

精密工学研究所、像情報工学研究所、量子ナノエレクトロニクス研究センター、建築物理研究センター、異種機能集積研究センターが統合され、未来産業技術研究所が新たに発足しました。発足記念講演会を開催致します。

日時
8月31日(水) 13:30~ (受付開始 12:30~)
会場
参加費
無料(祝賀会のみ7,000円)
対象
一般
申込
必要

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

第22回スーパーコンピューティングコンテスト 高校生・高専生の熱き知的な戦い「夏の電脳甲子園」開催

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昨年度開催風景

昨年度開催風景

スーパーコンピューティングコンテスト(以下、スーパーコン)は、スパコン上で行う高校生・高専生対象のプログラミングコンテストです。

予選を通過した高校生・高専生の20チームがスパコンを使い、難しい出題に対し、試行錯誤しながら4日間をかけプログラムを作成し、その性能を競います。

1995年より毎年夏に行われ、「夏の電脳甲子園」という名で、プログラミングが大好きな若者を惹きつけてきました。このコンテストから毎年、様々なドラマが生まれています。

  • 予選を通過した強豪20チームが東工大と阪大に集結、本選 (8月22日~26日)に挑む
  • 今年は、東工大のスーパーコンピュータTSUBAME2.5を使用
  • 成果発表会・表彰式を8月26日に東工大・阪大で同時開催

最終日の成果発表会・表彰式では、その奮闘の様子を紹介いたします。成果発表会・表彰式にお越しいただき、若者たちの熱い戦いをご覧ください。

本選

日時
2016年8月22日(月)~26日(金)
場所

成果発表会・表彰式

日時
2016年8月26日(金) 10:00~12:00
場所

スーパーコンに関する問い合わせ先

スーパーコン16実施委員会
(東京工業大学学術国際情報センター、大阪大学サイバーメディアセンター)
E-mail: sc16query@gsic.titech.ac.jp

取材に関する問い合わせ先

東京工業大学広報センター
Tel: 03-5734-2975
Fax: 03-5734-3661
E-mail: media@jim.titech.ac.jp

中性子捕捉療法のための有望なホウ素薬剤を開発―マウスのがんで、高い治療効果を確認―

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要点

  • 生理的条件下でタンパク質のシステイン残基だけでなくリジン残基に結合するホウ素クラスター結合マレイミドを開発。
  • がん集積性タンパク質である血清アルブミンやトランスフェリンにホウ素クラスターを導入。
  • 患者の血清アルブミンやトランスフェリンをホウ素キャリヤに使用可能。

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の中村浩之教授らは、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)[用語1]において、多量のホウ素分子を腫瘍内に簡便に導入する手法「ホウ素クラスター結合マレイミド(MID)」[用語2]を開発した。MIDがこれまで知られていたタンパク質のシステイン残基のSH基[用語3]だけでなく、リジン残基[用語4]にも結合することを見出して実現した。

この発見により、がん集積性タンパク質である血清アルブミン[用語5]や、鉄輸送タンパク質であり多くのがん細胞でその受容体が高発現しているトランスフェリン[用語6]に対して、多量のBNCT用ホウ素薬剤を容易に導入できるようになった。

MIDを結合させた血清アルブミンは皮下腫瘍移植マウスにおいて脾臓、肝臓、腎臓などの臓器には低濃度で集積するのに対し、腫瘍内に非常に高濃度で集積することを確かめた。BNCTによる次世代がん治療の発展に貢献すると期待される。本研究成果は、7月12日発行のJournal of Controlled Releaseオンライン版に掲載された。

研究成果

これまでのマレイミド化合物はシステイン残基のSH基に選択的に結合することが知られているが、東工大の中村教授らが開発したホウ素クラスター結合マレイミドは生理的条件下で、リジン残基にも結合することを見出した。これより、がん集積性タンパク質である血清アルブミン(フリーのシステイン残基は1つ)や、鉄輸送タンパク質であり多くのがん細胞でその受容体が高発現しているトランスフェリン(システイン残基を持たない)に対して、ホウ素クラスターを導入することに成功した。

この技術を用いれば、患者から採取した血清アルブミンやトランスフェリンに容易にMIDの導入が可能となり、血液製剤が持つ血友病などの危険性もなく治療の操作や扱いなどが簡便化し、使い勝手が良くなる。それだけでなく、単回投与が可能であり薬剤投与量も削減できるため、患者にとっても経済的ならびに身体的な負担が軽減されることが期待される。

MID-アルブミンコンジュゲート[用語7]は、一度の注射によって腫瘍内へ十分な量のホウ素を導入可能なため、30分程度の中性子照射時間において、腫瘍内ホウ素濃度が維持できる。その結果、bioavailability(バイオアベイラビリティ=生物学的利用能)が向上し、ホウ素薬剤の投与量が削減できる。さらに生体内分布をより正確に把握できるため、その優位性は非常に高く、BPA[用語8]に非感受性がん患者に対するNCT適応疾患拡大の実現が期待される。

実際に、MID-アルブミンコンジュゲートを大腸がん皮下移植マウスに投与したところ、腫瘍内に非常に高選択性・高濃度でホウ素が集積することが分かった。さらに京都大学原子炉実験所の鈴木実教授、櫻井良憲准教授との共同研究で熱中性子照射実験を行った結果、非常に高い治療効果を見出した。

研究の背景

固形がんの治療では外科手術、放射線治療、化学療法を複合することにより個々の患者に合った治療が行われている。開腹手術といった高侵襲の治療が必要な場合は、患者は長期間の入院を余儀なくされ、体力的負担、生活の質(QOL)の低下が問題となる。低侵襲な治療法の開発は社会あるいは日常生活への速やかな復帰を促進することに繋がり、2人に1人ががんを患う高齢化社会の日本において国民が健康で充実したQOLの高い生活を送り、また医療費の抑制のために大きな貢献をもたらすと期待される。

新しい低侵襲治療法の1つであるBNCTは、低エネルギーである熱・熱外中性子がホウ素との核反応により生ずる強力な粒子線を用いるものであり、がん部位へホウ素デリバリーと中性子線のダブルターゲティングが可能である。

低毒性のホウ素化合物を用いるため化学療法や放射線療法に比べ、正常組織へのダメージがきわめて低い。これまで、ホウ素薬剤ボロカプテイト(Na2B12H11SH:BSH)およびアミノ酸誘導体であるホウ素薬剤パラボロノフェニルアラニン(BPA)が、照射治療計画用PET診断には18F-BPAが用いられてきた。

これまで、熱中性子は原子炉から得ていたため、BNCT普及の障害となっていたが、2010年に世界初のBNCT用加速器が我が国で開発されてから、一般的治療法の1つとして可能性が期待され、ホウ素薬剤BPAを用いた脳腫瘍ならびに頭頚部腫瘍の第2相臨床試験が現在進められている。

研究の経緯

BNCTはがん細胞選択的に効果的濃度のホウ素薬剤を送り込むかが治療効果のカギとなる。BNCTは中性子照射台に20~30分横たわっているだけで治療できる非常に低侵襲でQOLの高い細胞選択的な放射線療法である。BNCT用の加速器は非常に小型であり、現在臨床試験が進められている加速器BNCTが実現できれば、患者や医療関係者はわざわざ原子炉に行く必要がなく、大都市の病院内でも治療が受けられるようになる。現在臨床試験中のBPAは血中滞留性が低いため、医療現場では照射中の持続投与が採用されているのが現状である。

一方、血清アルブミンに抗がん剤を結合させた薬剤開発が精力的に行われてきた。実際に抗がん剤であるパクリタキセルを結合させたナノ粒子「Abraxane」が、2005年に転移性乳がん治療薬として米国で認可され(日本は2010年に認可)、さらに難治性がんである再発胃がんや進行性非小細胞肺がん、膵臓がん治療にも用いられている(ASCO 2009)。また、血清アルブミンは脳腫瘍にも選択的に取り込まれることから、脳腫瘍の外科的手術のナビゲーション治療用に、蛍光ラベル化アルブミン薬剤が臨床試験中である(J.Clin. Pharmacol. 2011)。

今回の研究では、こういった血清アルブミンのがん集積性を利用した低毒性で血中滞留性の高いホウ素薬剤を医療現場に提供することを目的に、単回投与が可能であり薬剤投与量の軽減可能な次世代ホウ素薬剤を開発した。

MID-アルブミン製剤による高いBNCT抗腫瘍効果

図. MID-アルブミン製剤による高いBNCT抗腫瘍効果

今後の展開

血清アルブミンに抗がん剤を結合させた薬剤が、転移性乳がんや膵臓がん治療薬、あるいは脳腫瘍の外科的手術のナビゲーション治療用に用いられてきた。このことから、本研究で開発したMID-アルブミンコンジュゲートは、難治性がんの1つである脳腫瘍あるいは膵臓がんに適応可能かどうか、疾患モデルマウスを用いて検証していく。

用語説明

[用語1] ホウ素中性子捕捉療法(BNCT) : 低エネルギーである熱・熱外中性子がホウ素との核反応により生ずる強力な主にα線によりがんを殺傷する放射線治療法の1つであり、がん部位へホウ素デリバリーと中性子線のダブルターゲティングが可能である。

[用語2] ホウ素クラスター結合マレイミド(MID) : マレイミドはタンパク質のシステイン残基がもつSH基に生理的条件下で結合するが、ホウ素12個からなる2価の負電荷をもつホウ素クラスターに化学結合させた「ホウ素クラスター結合マレイミド(MID)は、通常生理的条件下では反応しないリジン残基にも結合することを今回見出した。

[用語3] タンパク質のシステイン残基のSH基 : タンパク質内に含まれるシステイン残基は、S−S結合を形成してタンパク質の三次元構造に寄与しているものとフリーのSH基を持つものがある。

[用語4] リジン残基 : 通常の生理的条件下ではプロトン化されており正電荷を帯びておるため、マレイミドとは反応しない。

[用語5] 血清アルブミン : 血清中に存在するタンパク質の一つで、分子量約66,000。血清アルブミンは血清中タンパク量の約50~65%を占める。

[用語6] トランスフェリン : 血漿に含まれるタンパク質の一つで、鉄イオンを結合しその輸送を担っている。がん細胞の多くは、このトランスフェリン受容体が過剰発現している。

[用語7] MID-アルブミンコンジュゲート : ホウ素クラスター結合マレイミド(MID)を中性条件下で血清アルブミンと化学結合させたもの。腫瘍内に非常に高濃度で集積することを今回見出した。

[用語8] BPA : パラボロノフェニルアラニンの略名。現在我が国では、BPAを用いて、加速器BNCTの脳腫瘍ならびに頭頚部腫瘍の第2相臨床試験が進められている。

論文情報

掲載誌 :
Journal of Controlled Release
論文タイトル :
Maleimide-Functionalized closo-Dodecaborate Albumin Conjugates (MID-AC): The Unique Ligation at both Cysteine and Lysine Residues Enabling to Efficient Boron Delivery to Tumor for Neutron Capture Therapy
著者 :
S. Kikuchi, D. Kanoh, S. Sato, Y. Sakurai, M. Suzuki, H. Nakamura*
DOI :

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所
教授 中村浩之

Email : hiro@res.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5244 / Fax : 045-924-5976(研究所事務室)

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東工大と大田区が提携「大田区民大学」開催報告

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5月25日から6月29日の間、毎週水曜日の夜、大岡山キャンパス本館にて、東工大と大田区地域力推進課が提携して「大田区民大学」(以下、区民大学)が開催されました。

この区民大学は、20年ほど前に開催されていた旧応用物理学科公開講座が基となっており、18年前より東工大と大田区教育委員会(現・大田区地域力推進課)の共催で行われているものです。東工大側の窓口として理学院の腰原伸也教授が学習コーディネーターをつとめています。特徴は「自然科学交流会」という区民サークルのメンバーの方々の手でテーマの企画・立案を行っている点です。本学教員の中から講師を選定の上、依頼し、そして区が配布するチラシの準備など、区と区民サークルが密接に連携しながら運営されています。また、毎回、区で事前にアンケートを行っており、聴講者層やその要望の把握に努めています。

今年は「私たちの社会や生活を支える科学技術・知的インフラ」という主題で、6名の教員による講座が行われました。

  • 浅輪貴史准教授(環境・社会理工学院)

    「ヒートアイランドと暑さの科学」

  • 小川康雄教授(理学院)

    「電磁波で見る火山と地震」

  • 加藤之貴教授(科学技術創成研究院)

    「エネルギーと東京の暮らし」

  • 竹下健二教授(科学技術創成研究院)

    「福島第一原子力発電所事故で発生した汚染土壌の浄化・減容化技術」

  • 中本泰史教授(理学院)

    「太陽系の誕生」

  • 阿部直也准教授(環境・社会理工学院)

    「国際社会の未来を照らす無形のインフラ:持続的開発目標」

退職後の新たな知的活動を楽しまれる方、仕事帰りの方が中心ですが、大学生や高校生も多く、極めて幅広い層が参加しました。そのため講師は、表現の仕方に工夫を凝らして熱気あふれる講義を行いました。

講義の様子

講義の様子

出席者が積極的に議論に参加する様子

出席者が積極的に議論に参加する様子

事前の抽選で選ばれた90名を越える出席者で、各講座とも最前列までびっしり埋まりました。出席者も参加して議論が行われたり、多くの質問が寄せられたりと、大変盛況となりました。今後も、区民の皆さんと協力しながらこの区民大学を継続したいと考えています。

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に新たに発足した理学院について紹介します。

理学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 理学院 化学系
学修コーディネーター 腰原伸也

E-mail : skoshi@cms.titech.ac.jp

「理工系学生能力発見・開発プロジェクト」2015年度活動報告

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理工系学生能力発見・開発プロジェクトは、創造性の育成、国際的リーダーの育成を目的として、選抜された学生が主体となってプロジェクトを運営しています。

最前線で活躍する研究者を招いてシンポジウムや特別講義を企画し開催運営を行ったり、国内の学会に参加して専門性を高めたりすることで、将来国際的な研究者、技術者として活躍するための素地を学士課程在学時から育てています。

2015年度は、学部1年生3名、2年生2名、3年生3名の合計8名のメンバー、および修士1年生2名のTAにより活動を展開しました。

TA:ティーチングアシスタントの略。大学などにおいて、担当教員の指示のもと、学生が授業の補助や運用支援を行うこと、あるいはそれを行っている学生のこと。

シンポジウム、特別講義の開催

原則毎週ミーティングを重ね、企画立案、講演者の選定、講演者との交渉、学内外での広報、当日の運営を学生主体で行いました。

第10回シンポジウム「水素で社会を変える!」

  • 日時:2015年11月5日 17:00~19:30
  • 場所:大岡山キャンパス 西9号館2階コラボレーションルーム

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の横本克巳氏、経済産業省・省エネルギー庁の名取幸平氏をパネリストとしてお迎えし、開催しました。

横本克巳氏

横本克巳氏

名取幸平氏

名取幸平氏

横本氏からは「水素社会構築に向けた今後の展望」をテーマに、水素エネルギーの意義と政策の検討状況、水素社会の実現に向けた取り組みと今後の展望について、名取氏からは「水素社会の実現に向けた取り組み」をテーマに、水素社会実現の意義、燃料電池自動車の普及と水素ステーションの整備・構築についてお話しいただきました。パネリストからの話題提供を受け、シンポジウム参加者とのディスカッションに移る前に途中アンケートを実施して参加者からの質問や意見を集め、ディスカッションの進行の参考にしました。参加者からパネリストに沢山の質問が向けられ、熱い議論が繰り広げられました。

横本克己氏(左)、名取幸平氏(右)

横本克己氏(左)、名取幸平氏(右)

第10回シンポジウムの様子

第10回シンポジウムの様子

本学の学生・教職員、一般の方を含めて約40名の参加があり、終了後のアンケートでは、「シンポジウムに参加したことで以前より水素社会に興味を持った」と全員が回答していました。「開発など技術的なことよりもインフラ中心の講演内容だったので、とても理解しやすく、水素社会に向けた現状がわかりました」、「水素エネルギーの活用について、これまであまり関心がなかったが、知識を得ることによって興味が高まりました」、「全く興味が無かったがシンポジウムに参加したことで考え方が変わりました。参加して良かったです」等のシンポジウムの企画内容に対するコメントに加えて、「学生が頑張っていてとても感心しました。学生時代に学業だけでなくプロジェクト運営の経験を積むことは、卒業後社会人として生きていくうえで、非常に有意義なことと思います。今後の活躍にも期待します」、「社会と大学を結ぶ役割を学生主体で進めていて素晴らしいと思います」等の声もいただきました。

司会を務めた学生のコメント

司会 小泉洸生さん(左)、蒲田瑞希さん(右)司会 小泉洸生さん(左)、蒲田瑞希さん(右)

蒲田瑞季さん(第7類 1年)

今回のシンポジウムを通して、理工系学生は科学技術の躍進ばかりでなく、理系に詳しくない一般市民の目線で、その技術をいかに社会に還元していくかを考える必要があると感じました。学業のみならず様々なことを経験し、幅広い視野を持てるようになりたいと改めて思いました。

小泉洸生さん(理学部物理学科 3年)

今回のシンポジウムを通して、水素社会がどのようなもので、現在技術的にどのような課題があり将来社会に普及させていくためにどのような社会を目標にしているのかということを聞き、理工系学生にこそ、しっかりとした教養を身につけることで、技術を開発するだけでなく技術が社会に与える影響と効果を考えられるようにならなくてはならないと感じました。

第10回特別講義「大地震による被害と対策」

  • 日時:2016年3月2日 17:00~19:00
  • 場所:大岡山キャンパス 西9号館2階コラボレーションルーム

大学院総合理工学研究科人間環境システム専攻の翠川三郎教授から、「過去の大地震での被害の実例、首都直下地震で予想される被害や対策について」をテーマとした講演がありました。講演では、2011年の東日本大震災、1995年の兵庫県南部地震、1923年の関東大地震の実例分析を通して、今後想定されるマグニチュード7クラスの地震について、その被害の規模や分布等を三次元的表現で予測の解説があり、被害想定を防災対策にどう活かすか、高耐震構造システムの開発状況等を説明しました。翠川教授の講演を受けて、特に近隣住民の方々から活発な質問が投げかけられ、防災連携について熱論が交わされました。

翠川三郎教授

翠川三郎教授

第10回特別講義の様子

第10回特別講義の様子

近隣住民の方々をはじめとした学外者の参加が多く、本学の学生・教職員も加えると参加者数は約30名でした。終了後のアンケートには、開催日が3月2日と東日本大震災が起きた3月11日に近いこともあり、「東日本大震災の日を目前に、改めて防災について考える良い機会になりました」とのコメントや、「改めて防災対策の大切さを認識しました」、「さっそく家の家具を固定します」、「備えを点検したいです。近所の人にもどのような備えが必要なのか知らせたいと思います」等、自らに関わることとして問題意識を刺激されたとの声が多く寄せられました。参加者の防災意識の向上に繋がる機会となり、大変有意義な講演となりました。「わかりやすく説明されて内容も理解できました」、「理論的な話、実データに基づく話、防災への取り組みと非常にわかりやすい構成でした」、「学生スタッフの応対が感じが良かったです」、「進行がスムーズで良かったです」と講演や運営に対してもご好評の声をいただきました。

司会を務めた学生のコメント

司会 石曽根香奈さん)司会 石曽根香奈さん

石曽根香奈さん(工学部無機材料工学科 2年)

先の東日本大震災や、首都直下地震への危機感のためか、今回の特別講義には東工大関係者のみならず多くの一般の方にご参加いただきました。このような地震への備えとして、災害のリスクを分類し、何を食い止めることで大きな被害を出さないようにできるかを検証することが大切なことだと知りました。また、大地震への対策に最先端技術を用いるのはもちろんですが、私たちも日頃から防災についての意識を持つ必要があると改めて感じました。

学会への参加

国内で開催されている学会に参加することで、研究を発表し議論する場である学会がどのように行われているかを見学し、早期から研究に対する積極的な関心を伸長するともに、これから研究者として何を身につけていくべきかを積極的に学ぶ機会を設けています。参加する学会は、学生が自らの興味関心に基づいて選んでいます。

第1類 1年・・・2015年度京都大学防災研究所研究発表講演会に参加

私は将来、地震の一般的なメカニズムを解明し、その研究成果を防災に役立てようと思っています。今回の学会で防災セッションの発表を聞くと、防災分野におけるアウトリーチ活動は理工学系の研究者よりも、社会学などの文系の研究者が熱心に取り組んでいることがわかりました。理学と減災学を融合させるのは非常に難しく、さまざまな障害があるため、それぞれの分野を越えて協力することで課題を解決していく必要があると感じました。

第4類 1年・・・日本音響学会 2016年春季研究発表会に参加

まだ1年生なので専門知識がなく発表内容が理解しづらかったが、発表の仕方はとてもいい勉強になりました。また、研究内容をとても細かい問題に絞っていることに驚きました。

第7類 1年・・・第27回日本臨床微生物学会総会・学術集会に参加

今回の学会見学を通じ、東工大でただ科学技術を学ぶだけでは不十分であると感じました。自分が創造性を持って、日常生活の中に問題点、改善点を見つける力がなければ科学技術を活かすことができません。これではせっかくの能力を社会に還元できないことになってしまいます。それ故、これからの大学生活の中で勉強はもちろん、様々なセミナー、インターンシップ、学会等に参加し、自分の視野を広げていきたいと思いました。また、学会に参加することで自分とは異なる意見を知ることができ、思考の幅が広がったように感じます。微生物という1つの分野でも、医者、微生物学者、化学者、製薬会社等の幅広い分野の人々がその発展に力を合わせることによってようやく高いレベルが保持されることが分かりました。そのため人脈を広げ、多くの人と議論することが不可欠だと思いました。これから様々な人との出会いを更に大切にしていきたいと思います。

工学部 高分子工学科 3年・・・第89回日本薬理学会年会に参加

私は今回の学会参加によって得られたことが大きく2点あります。1つは薬理学という学問について興味を持ったこと。また、それと同時にこの分野の基本的な土台となる生化学にも興味を持ったことです。実際に風邪の時に自分が飲んでいる薬がどのように身体に作用しているのかを知ることは意味のあることだと思うし、この分野を幹にして様々な分野を学んでいけば生活にも役立つのではないかと思いました。2つ目としては、ポスター発表に関係することです。自分自身、薬理学に対する専門の知識がなかったためにポスター発表の内容を見てもほとんど理解することはできなかったが、3日間を通して300枚近くのポスターを見てきたことで、ポスターのデザインに関し良い点、悪い点を整理することができたと思います。ここで得られた知識は今後自分がポスターを作成するにあたって役に立つと思います。

プロジェクトの活動について学内外で発表

メンバー代表の貴志崇之さん(工学部 制御システム工学科 3年)が、2015年11月18日に筑波大学で開催された「筑波大学つくばアクションプロジェクト公開シンポジウム2015 繋がる力・広がる絆」、2016年3月7日に東工大で開催した「第9回学生応援フォーラム」において、プロジェクトの活動内容と意義や成果について発表を行いました。

プロジェクトメンバー(翠川教授と共に)

プロジェクトメンバー(翠川教授と共に)

本プロジェクトは、2016年度も新メンバーを迎え活動を継続しています。

学生教職員の所属は2015年度当時のものです。

お問い合わせ先

学生支援センター自律支援部門

E-mail : siengp@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7629

IIR先導原子力研究所が研究交流・発表会を開催

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6月22日、本学科学技術創成研究院(IIR)先導原子力研究所は、技術部基盤技術支援センター協力のもと、2015年度の研究所資源の共同利用・共同研究の取り組みの成果と同研究所に所属する各研究室の研究活動について報告する研究交流・発表会を開催しました。当日、会場となった大岡山北3号館1階多目的ホールには、学外15名、学内35名(うち学生12名)の計50名が集まりました。

先導原子力研究所は、2016年4月の学内組織改革に伴い原子炉工学研究所から名称変更された組織です。同研究所は、第2期中期計画に沿って4つの重点研究分野およびそれらを支える基礎・基盤技術分野の研究を組織的に推進しており、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降は、除染技術の研究開発をはじめ、福島復興に向けた取り組みにも積極的に貢献しています。また、2014年度からは、研究所の資源である実験装置、ソフトウェア、データベース等を基盤とした他大学・研究機関との共同研究を支援する「共同利用・共同研究」の制度をスタートさせ、学術界・産業界・社会のニーズに広く応えるための新しい研究体制を整備しました。

矢野豊彦所長による開会挨拶および組織改革に伴う名称変更と最近の活動報告が行われた後、第1部「先導原子力研究所のミッション研究」で2件の報告が行われました。まず、「DNA二重鎖切断の認識と修復:分子メカニズムの理解から放射線治療応用へ」と題し、松本義久准教授がDNAへの放射線影響に関する最新の研究を紹介しました。続いて、相樂洋准教授が「自然災害・核テロ・核拡散脅威に堅牢な革新的原子力システム」と題して発表を行い、3S(安全・核不拡散・核セキュリティ)を含めた3.11以降の原子力システムの在り方について議論が交わされました。

休憩後、第2部では、2015年度共同利用・共同研究について、2名の学外共同研究者による招待講演がありました。1人目の群馬大学大学院理工学府環境創成部門の石飛宏和助教は、「多孔質ナノファイバーを実装した燃料電池用の電極触媒」をテーマに、原子力と並んで今後の持続可能社会を支える重要なエネルギー源として有望視されている燃料電池開発の最前線を紹介しました。2人目の日本原子力研究開発機構原子力基礎工学センターの大久保成彰副研究主幹は、「ADS※1用材料に関する研究 ~TEF-T※2照射計画及び材料照射・腐食挙動~」と題し、放射性廃棄物量低減手法として期待される加速器駆動未臨界炉に用いる材料の劣化挙動把握に関する最新の研究について発表しました。

※1
ADS:加速器駆動システム(Accelerator-driven System)。加速器で未臨界状態の核燃料体系を駆動させるシステムである。
※2
TEF-T:大強度陽子加速器研究施設(J-PARC)で建設を進めている、加速器駆動システム(ADS)による核変換技術に関する基礎的な研究を行う核変換実験施設(:Transmutation Experimental Facility)。大強度陽子ビームでの核破砕ターゲットの技術開発及び材料の研究開発等を目的とする。

招待講演の後、第3部として2015年度共同利用・共同研究課題および同研究所に所属する各研究室の研究活動に関するポスターセッションが開催されました。ポスターの発表件数は29件にのぼり、学外者も交えた活発な意見交換が行われ、小栗慶之副所長の挨拶により盛会のうちに閉会となりました。

招待講演の様子

招待講演の様子

ポスターセッションの様子

ポスターセッションの様子

お問い合わせ先

科学技術創成研究院 先導原子力研究所 企画委員会

Email : atom2016@lane.iir.titech.ac.jp

理学院が「第1回国際サマーワークショップ」を開催

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参加者と関係者の集合写真
参加者と関係者の集合写真

東京工業大学理学院主催の第1回国際サマーワークショップ(International Summer Workshop for Young Scientists)が6月6日から10日にかけて行われました。今年は物理学系が主体となり、「物理学の最前線から(Selected Topics in Frontiers of Physics)」という副題の下、海外からの留学生10名と東工大生12名の計22名、学士課程3年生から博士後期課程の学生まで幅広い年齢層が参加しました。

梶田先生による講演会
梶田先生による講演会
Welcome Partyでの交流風景
Welcome Partyでの交流風景

初日には特別講義として、2015年ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章東京大学宇宙線研究所長の講演会が行われました。ノーベル賞の受賞対象となったニュートリノ振動に関してお話があり、参加学生による活発な質疑とそれに対する応答が行われ大いに賑わいました。その後、梶田所長を交えたウェルカムパーティーが行われ、参加学生と梶田所長が直接話しをする姿が見られました。

研究発表研究発表

6月7日から10日にかけて、午前中には物理のトピックに関する東工大教員による講義があり、それに関連したデモ実験や数値シミュレーション、ディスカッション、演習などが行われました。基礎的な事項から最先端の研究トピックまでをカバーし、理論・実験、物性と素粒子・宇宙関連と物理全分野に関するバランスの良いものとなりました。

午後は実験系の研究室の見学と、理論系の研究室によるポスター発表が行われ、各研究室が分かりやすく装置や研究内容を紹介しました。また日本人・外国人双方の学生による研究発表も行われ、参加学生は積極的にコミニュケーションをとっていました。

学生同士の交流の様子
学生同士の交流の様子

学生同士の交流の様子

今回初めて開催するワークショップでしたが、参加学生にとって大変有意義な機会となったようです。

来年以降も本ワークショップは、理学院の他の系が主体となって開催される予定です。

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に新たに発足した理学院について紹介します。

理学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer


高効率スクリーニングによる新しい2価スズ酸化物系光触媒材料の発見

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概要

京都大学 工学研究科 材料工学専攻、林博之助教と田中功教授らと、東京工業大学 大場史康教授、名古屋工業大学 壬生攻教授らは、共同研究により、新しい2価スズ(以下、Sn(II))酸化物系光触媒材料を発見しました。同グループでは様々な結晶構造を持つ約3500種のSn(II)複合酸化物を対象に、量子力学に基づいた第一原理計算[用語1]を系統的に実施することで、熱力学的安定性や物性を予測し、高効率にスクリーニングしました。その結果、SnMoO4を新しい光触媒材料の候補物質として見いだしました。この物質はこれまでに合成報告がなく、結晶構造も未知でしたが、同グループではピンポイントでの物質合成と光触媒活性の実験に取り組み、この物質が計算により予測されたとおりの結晶構造を持ち、優れた光触媒特性を示すことを実証しました。本研究の成功は、このような理論計算主導での物質探索の有効性を確認したものです。今後は、光触媒分野に限らず、汎用的・効率的な材料開発技術としての重要性を大きく増すものと期待されます。本研究は、科学研究費補助金・新学術領域「ナノ構造情報のフロンティア開拓―材料科学の新展開」(領域代表者 田中功 平成25年度から29年度)および科学技術振興機構イノベーションハブ構築支援事業「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)」における成果であり、その成果はドイツの科学誌Advanced Science誌9月14日号に掲載されます。

背景

紫外光だけでなく可視光でも高い活性を示す光触媒の開発は環境・エネルギー問題に配慮した持続可能型社会の実現のために重要だとされています。すでに様々な物質が可視光応答型光触媒として報告されてきましたが、近年になり、特に高い光触媒能が報告されている化合物として、BiVO4、SnNb2O6、SnWO4など価電子として1原子あたり2つのs電子を持つBi(III)やSn(II)の複合酸化物が注目されています。しかしこれらの物質は、膨大な実験によるスクリーニングの結果見いだされたものであり、物質探索に多大なコストと時間がかかっていました。

本研究では、これまで報告例の少ないSn(II)に注目し、周期表の4A(Ti, Zr, Hf)、5A(V, Nb, Ta)、6A(Cr, Mo, W)の各元素との三元系複合酸化物を対象として第一原理計算を系統的に実施することで、熱力学的安定性や物性を予測し、高効率にスクリーニングしました。計算結果をもとにピンポイントでの的確な物質合成と光触媒活性の実験に取り組み、優れた光触媒特性を実証しました。

このように、コストが高い実験によるスクリーニングを実施することなしに、量子力学に基づいた第一原理計算を系統的に実施することで、高効率にスクリーニングを行うという研究は、材料開発研究を大きく加速するものとして世界各国で注目されています。とくに材料科学と計算科学、情報科学が密接に連携する分野はマテリアルズ・インフォマティクス[用語2]と呼ばれ、米国でのマテリアル・ゲノム・イニシアチブほか、世界各国で大型予算が組まれ、研究にしのぎが削られています。わが国でも、平成27年度から物質・材料研究機構(NIMS)に、「情報統合型物質・材料研究拠点」が形成されるなど、国を挙げて注力しています。

結果

世界最大の無機物質の結晶構造データベースICSD[用語3]には、約18万件の物質が登録されています。しかしSn(II)と周期表の4A(Ti, Zr, Hf)、5A(V, Nb, Ta)、6A(Cr, Mo, W)の各元素との三元系複合酸化物についてICSDに登録されている構造既知の物質は、Sn2TiO4やSnWO4をはじめ8種だけです。一方で、ICSDに何らかの物質が登録されている結晶構造型は約9千種あります。これらの構造を仮定すると、Sn(II)との三元系複合酸化物として3483種類の仮想的な物質を考えることができます。もちろん、この中に既知物質は8種しかなく、ほとんどの仮想物質は熱力学的に不安定なものです。今回の研究ではこれらの熱力学的安定性を、第一原理計算を用いて高効率にスクリーニングしました。図1には、今回計算した各酸化物の、SnOおよび遷移金属酸化物MOq/2に対する形成エネルギーを示しました。図内に赤丸で示したものが、計算の結果熱力学的に安定と判断された酸化物であり、それらを線で結ぶと、形成エネルギーの凸包(とつほう)が求められます。このようにスクリーニングの結果得られた化合物群には、図1に赤字で記した既知酸化物のほかに、黒字で示した未知酸化物が結晶多形も含め21種含まれていました。これらは、適切な条件のもとで合成可能と期待できる物質群です。

3483種類の仮想的な物質を対象として、第一原理計算に基づき高効率スクリーニングを実施した結果

図1. 3483種類の仮想的な物質を対象として、第一原理計算に基づき高効率スクリーニングを実施した結果

次にこれらの熱力学的に安定と判断された物質群のなかから、高い光触媒活性を有する物質を選び出しました。そのための手がかりとして、価電子帯上端と伝導帯下端のエネルギー準位と、そのエネルギー差(バンドギャップ)を利用しました。水の分解反応を想定すると、価電子帯上端と伝導帯下端とが水の還元と酸化電位を挟むような準位に存在することが望まれます。従来知られている高活性の可視光応答光触媒は、バンドギャップの第一原理計算値が2 eV以上であるので、本研究では、同様のバンドギャップの計算値を示す物質を対象に、価電子帯上端と伝導帯下端についての第一原理計算を実施しました。その結果を図2に示します。図から明らかなように、これら7種の化合物全てが、可視光応答光触媒として高活性であると予測できました。

高効率スクリーニングの結果として得られた7種の化合物についての、価電子帯上端と伝導帯下端のエネルギーと水の還元・酸化電位との比較
図2.
高効率スクリーニングの結果として得られた7種の化合物についての、価電子帯上端と伝導帯下端のエネルギーと水の還元・酸化電位との比較

これら高効率スクリーニングの結果をもとに、合成実験に取り組みました。同じ結晶構造を持つβ-SnWO4において高い光触媒活性が報告されているため、対象としてはSnMoO4を選択しました。得られた黄土色の粉末試料と、X線回折実験の結果を図3に示します。理論計算で最安定と予測されたβ-SnWO4と同じ結晶構造のSnMoO4が合成できていることが実験的に確認できました。先述のようにこの物質はICSDデータベースに収録されていない未知物質であり、合成されたのは世界で初めてです。

この粉末試料を用いて光触媒活性の評価を行った結果を図4に示します。触媒無添加での光分解反応(photolysis)に比べ、SnMoO4が従来から高い光触媒活性が報告されているβ-SnWO4と同程度以上の顕著な光触媒活性を持つことが明らかとなりました。

合成実験に成功したSnMoO4についてのX線粉末回折解析結果と結晶構造

図3. 合成実験に成功したSnMoO4についてのX線粉末回折解析結果と結晶構造

メチレンブルーの分解反応により計測した光触媒性能

図4. メチレンブルーの分解反応により計測した光触媒性能

波及効果

1.
高効率スクリーニングにより予測された、熱力学的に安定な未知酸化物の結晶構造やバンドギャップ等のデータを開示しています。今回発見した可視光応答型光触媒材料としてだけでなく、様々な用途に対応する多様な物質の選択肢を持つことが可能となり、材料開発に大きな進歩が期待されます。
2.
第一原理計算と結晶構造データベースを組み合わせ、様々な組成及び結晶構造を有する仮想的な無機化合物群を効率的に探索するという新しい方法は、光触媒材料に留まることなく様々な分野の材料開発において汎用的に利用できるものと考えられ、材料開発研究に大きな変革をもたらす可能性があります。

今後の予定

1.
今回合成に成功したSnMoO4以外の未知酸化物も対象に合成実験や様々な物性の評価を行い、Sn(II)酸化物の材料鉱脈を開拓します。
2.
マテリアルズ・インフォマティクス手法との連携により、適用範囲の拡大を目指します。

用語説明

[用語1] 第一原理計算 : 量子力学の原理のみに基づき、経験的な情報を入力として用いない計算のこと。

[用語2] マテリアルズ・インフォマティクス : 材料科学と情報科学が融合した新分野であり、最近になって世界各国がしのぎを削っている。第一原理計算データや、電子顕微鏡、放射光などの各種実験データを活用し、最先端の機械学習手法や人工知能を利用して新材料や機能、プロセスや法則を効率的に発見することを目指している。米国では、マテリアルズゲノムイニシアティブが有名。

[用語3] ICSD : FIZ Karlsruhe(独)とNIST(米)が共同開発した無機結晶構造データベース(ICSD)が世界最大のもので有償公開されている。約18万件の化合物と、約9千の結晶構造型が登録されている。

論文情報

掲載誌 :
Advanced Science
論文タイトル :
Discovery of a novel Sn(II)-based oxide β-SnMoO4 for daylight-driven photocatalysis
(新規光触媒Sn(II)酸化物β-SnMoO4の発見)
著者 :
Hiroyuki Hayashi, Shota Katayama, Takahiro Komura, Yoyo Hinuma, Tomoyasu Yokoyama, Ko Mibu, Fumiyasu Oba, and Isao Tanaka

問い合わせ先

京都大学 大学院工学研究科 材料工学専攻
教授 田中功

Email : tanaka@cms.MTL.kyoto-u.ac.jp
Tel : 075-753-5465 (携帯 090-5259-8760)
Fax : 075-753-5447

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所
教授 大場史康

Email : oba@msl.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5511

名古屋工業大学 大学院工学研究科 物理工学専攻
教授 壬生攻

Email : k_mibu@nitech.ac.jp
Tel : 052-735-7904

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

三島学長がAEARU第38回理事会に出席

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参加者による記念撮影(前列右から3番目が三島学長、2列目右から5番目が関口副学長)

4月23日に、東アジア研究型大学協会(AEARU:The Association of East Asian Research Universities)の第38回理事会が、国立清華大学(台湾)で開催され、東工大からは、三島良直学長、関口秀俊副学長(国際連携担当)が出席しました。

AEARUは、1996年に東アジアにおける研究型大学間の交流促進を目的として設立されたフォーラムで、日本・中国・韓国・香港・台湾から18の大学が加盟しています。理事会は年に2回開催され、議長校、副議長校、前議長校、および4つの理事校で構成されています。東工大は、2015年の年次総会において、2016~2017年の理事校に選ばれました。

発言する三島学長(右)発言する三島学長(右)

第38回理事会では国立清華大学(台湾)が開催校を務め、理事会メンバー校から24名が参加しました。

2016~2017年の議長校であるソウル大学のナック・イン・スン学長と、副議長校である筑波大学の永田恭介学長の挨拶を皮切りに、今年実施が予定されている活動の進捗状況について説明が行われました。三島学長は、8月26~27日に本学にて開催予定の「第6回エネルギー・環境ワークショップ」の進捗状況を説明しました。

また、2017年4月にAEARU第40回理事会を東工大で開催するという提案が認められました。

理事会の後、AEARU第38回理事会の開催と国立清華大学創立60周年を記念した植樹式が行われました。

植樹式の様子
植樹式の様子

AEARU第39回理事会、および第22回年次総会は、10月15日にソウル大学で開催されます。

岩崎博史教授が2016年日本遺伝学会木原賞を受賞

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科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニットの岩崎博史教授が2016年日本遺伝学会木原賞を受賞しました。

日本遺伝学会は、遺伝学の進歩を促しすぐれた研究業績を一般に知らせるために、学会賞(木原賞)と奨励賞という2つの賞を設けています。木原賞は、コムギの研究を中心に遺伝・進化学の分野で世界的な業績を残された木原均博士を称えて設立され、遺伝学の分野ですぐれた業績をあげた研究者に授与されます。

受賞理由

研究題目:「相同組換え※1における反応中間体※2形成機構に関する研究」

相同組換えはすべての生物にみられる普遍的な生命現象で、生物種の多様性獲得やゲノム安定維持において中心的な働きをしています。また、老化や発癌とも密接に関係しており、医学的にも重要な生理機能でもあります。相同組換えの根本的且つ中心的なステップは、リコンビナーゼというタンパク質によって相同な2分子のDNAがお互いの鎖を交換する反応(DNA鎖交換反応)です。岩崎教授は、分裂酵母をモデル系として、真核生物※3のRad51リコンビナーゼがどのようにDNA鎖交換反応を触媒するのか、長年にわたり、分子機構を解析してきました。その研究業績が高く評価され、今回の受賞につながりました。

岩崎教授のコメント

岩崎博史教授
岩崎博史教授

この度、今年度の日本遺伝学会木原賞受賞の報せを頂きました。本賞は、遺伝・進化研究で世界的な業績を残された木原博士を称えて設立され、30年以上続く歴史ある学会賞です。これまでに、多くの尊敬する先生や先達による輝かしい業績が表彰されてきました。このような方々と並んでこの度の栄誉に浴することは、大変光栄であると同時に、身の引き締まる思いでもあります。今回の受賞は、温かく見守りながら私を研究に導いてくださった先生や先輩、ともに研究を進めた学生や共同研究者など、多くの人のお陰であり、これらの方々に心から感謝いたします。ご恩に報いるためにも、さらに日々研究に精進し未解明の問題に果敢に挑戦するとともに、若い人たちをエンカレッジして分子遺伝学の面白さを伝えていきたいと思います。

※1 相同組換え

遺伝情報のシャッフリング。相同配列、すなわち、よく似た配列を持つDNA鎖間でDNA鎖の交換が起こり、遺伝情報が再編成される現象。

※2 反応中間体

化学反応の過程で、反応前物質が反応して反応の最終生成物を生成する間に生じる分子の状態。相同組換えの反応中間体としては、3本鎖DNA構造や2分子の二重鎖が互いに鎖を交換したホリディ構造が知られている。

※3 真核生物

核膜で囲まれた核を持つ細胞からなる生物をいう。ヒトなどの動物やイネなどの植物、パン酵母や今回モデル生物として用いられた分裂酵母などがこれに含まれる。核には染色体が収納されている。一方、核構造を持たず染色体が細胞質にむき出しになった細胞からなる生物は原核生物と呼ばれ、代表例として大腸菌がある。分子遺伝学は、主に大腸菌をモデル生物として用いた研究から進展してきた。相同組換えに関しては、大腸菌のリコンビナーゼであるRecAタンパク質の解析が先行し詳しく解析されてきたが、真核生物のリコンビナーゼであるRad51については未だ不明な点が多い。

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニット 岩﨑博史

Email : hiwasaki@bio.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2588

ニュースレター「AES News」No.6 2016夏号発行

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科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究(AES)センターouterは、季刊誌「AES News」No.6 2016夏号を発行しました。

本学では、2016年4月1日付けで研究体制が刷新され、新たに科学技術創成研究院(IIR)が誕生しました。このIIRのもとには6つの研究所・センターが置かれ、そのひとつが旧ソリューション研究機構AESセンターを母体とする、本AESセンターです。

AESセンターは、従来の大学研究の枠組みを越え、低炭素社会の要となる再生可能エネルギーや省エネを極限まで取り込んだ先進エネルギーシステム実現に向けて、企業や行政等が対等な立場で参加する開かれた研究拠点「イノベーションプラットフォーム」を目指しています。

本センターの活動をより多くの方々にご理解いただき、また、企業・自治体会員および本学教職員との連携を深めるため、ニュースレター「AES News」を年4回、発行しています。今回は第6号となる2016夏号を発行しましたのでご案内します。

ニュースレター「AES News」第6号 2016夏号

第6号・2016夏号

  • 副学長、AES副センター長 佐藤勲教授コラム
    「新しい仕組みのもとでのソリューション研究」
  • AES活動報告(2016年4月~6月)
  • 「地域プロジェクト推進会議」設置の経緯と狙い
  • トピックス「インドネシアのエネルギー事情」
  • 2016年度の活動スケジュール 他

ニューレターの入手方法

PDF版
冊子版
  • 大岡山キャンパス:東工大百年記念館1階 閲覧コーナー
  • すずかけ台キャンパス:すずかけ台大学会館1階 広報コーナー

お問い合わせ先

科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究(AES)センター

Email : aescenter@ssr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3429

インパクト・アセスメントに関する世界大会を日本で初めて開催

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5月11~14日にかけて、国際影響評価学会(以下、IAIA :International Association for Impact Assessment)の第36回年次大会「IAIA16大会」が名古屋市の国際会議場で行われました。世界の約80ヵ国から800名ほどが集まり、その約8割が海外からの参加でした。今回が日本で初めての開催となります。

今大会は、本学環境・社会理工学院 融合理工学系の村山武彦教授が、原科幸彦本学名誉教授(現・千葉商科大学政策情報学部長、教授)とともに共同議長の1人として企画運営に関わり、村山武彦教授と錦澤滋雄准教授の研究室が事務局となって2013年から準備を進め、開催に至りました。

開会式で挨拶する原科幸彦・共同議長
開会式で挨拶する原科幸彦・共同議長
IAIA16開会式参加者の様子
IAIA16開会式参加者の様子
国際影響評価学会第36回大会のロゴ
国際影響評価学会第36回大会のロゴ
元会長、現会長、次期会長とともにバンケットでの鏡開き
元会長、現会長、次期会長とともにバンケットでの鏡開き

IAIA16大会の概要

IAIAは、1980年に設立されたインパクト・アセスメント(IA)の分野における基幹学会です。開発協力にも関係しているため、世界銀行やアジア開発銀行の関係者も数多く関与しており、国連にも団体登録されています。今大会には、国内からは環境省や国際協力機構(JICA)をはじめ、多くの関係者が参加しました。

閉会式を終えた日本メンバー 本学村山教授(上段右から3人目)と錦澤准教授(下段右から3人目)
閉会式を終えた日本メンバー
本学村山教授(上段右から3人目)と錦澤准教授(下段右から3人目)

テーマは、"Resilience and Sustainability(レジリエンスと持続可能性)"としました。「レジリエンス(復元力、回復力)」は21世紀のグローバル社会における最も重要なキーワードの1つです。当初は生態系に関する用語でしたが、現在では環境面だけでなく社会面、人々の健康面の評価や国際開発、気候変動対策、災害対策等に至るまで、多くの分野において重要な概念になっています。2011年に地震・津波と原子力の災害を経験した日本社会にとって、レジリエンスの能力を高めることは喫緊の課題です。そしてこのことは、日本のみでなく、持続可能な社会に向かう全世界にとっても共通の課題です。日本の経験と教訓を、今大会を通じて世界中から集まる参加者と共有することを目指しました。

80ヵ国もの人が集まる国際会議は、国内では年に数件しかありません。そして、環境省と名古屋市がそれぞれ開催したサイドイベントの参加者も加えると、全体で1,000名を超える大会となりました。

IAIA16大会の成果

今大会では、以下の3つの成果が得られました。

1)議論による成果

119のセッションを設け、500題を超える発表が行われました。熊本地震の緊急特別セッションも設けました。アジア地域におけるアセスメント分野の進展は近年目覚しいものがあり、欧米やアフリカを含めた途上国の参加メンバーによる事後アンケートの回答では、最新情報の入手や人的ネットワークの構築に大変役立った、など大変高い満足度が得られています。

2)国際協力の新たな前進

世界銀行が5月12日に開催した「Asia Day Forum」の成果として、アジア太平洋地区の政府開発援助(ODA)組織の協働の合意が得られました。アジア開発銀行(ADB)、オーストラリア外務省(DFAT)、国際協力機構(JICA)、世界銀行グループ(WB)の4者が、途上国各国の環境社会配慮、国別セーフガードシステム(Country Safeguard Systems)改善のコラボレーションについて、基本原則に合意し、署名式が行われました。

3)国内におけるインパクト・アセスメントの認識の向上

本大会の協力団体である環境省以外にも、6府省及びその機関からの後援が得られました。後援の承認を得るのにかなり苦労した省庁もありますが、その過程でインパクト・アセスメントに関する認識が向上したことを実感しています。内閣府、外務省、財務省とともに、経済産業省や農林水産省などの事業官庁も後援してくれたことの意味は大きいものがあります。

また、学会は、日本学術会議の後援のほか、関連する国内16学会からの後援を得ることができました。これも、インパクト・アセスメントの更なる認識の向上に繋がることを期待しています。

お問い合わせ先

IAIA16大会実行委員会事務局長 村山武彦

E-mail : info@iaia-japan.org
Tel : 045-924-5550

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