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Channel: 更新情報 --- 東工大ニュース | 東京工業大学
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魚が淡水中のわずかな栄養素を取り込む機構を解明

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要点

  • 淡水魚はえらを介して淡水中のわずかなナトリウムイオンを栄養素として取り込む
  • ナトリウムイオン吸収はアンモニウムイオン排出と交換で行われ、今回、その交換輸送を担うタンパク質 (交換輸送体) を特定
  • 魚類の淡水適応機構の解明、ヒト腎臓のアンモニア排出機序理解の手がかりになる

概要

東京工業大学とメイヨー医科大学 (米・ミネソタ州) の研究グループは、淡水魚のえらで働くNa+/NH4+ 交換輸送体を初めて特定し、その活性を明らかにしました。淡水魚のえらは淡水中のわずかなイオンを栄養素として吸収することができます。淡水からのNa+ 吸収はNH4+ 排出と交換で行われるという説が70年前に提唱されましたが、その分子実体は特定されておらず、長い間専門家の間で議論されてきました。今回、ゼブラフィッシュのえらに発現するNa+/H+ 交換輸送体 (NHE3) をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて活性を解析し、NHE3はNa+/NH4+ 交換輸送体としても機能すること明らかにしました。この結果は、排泄物の排出 (NH4+) と交換に栄養素 (Na+) を吸収する優れた省エネシステムとしてNHE3が機能することを意味し、魚類の淡水適応機構や進化のさらなる解明も期待されます。

掲載雑誌名、論文

掲載雑誌:
American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology
表題:
Na+/H+ and Na+/NH4+-exchange activities of zebrafish NHE3b expressed in Xenopus oocytes
DOI番号:
要旨:

図 NH4+、CO2排出が淡水産硬骨魚のNa+、Cl- 吸収に変換される仕組み。

図 NH4+、CO2排出が淡水産硬骨魚のNa+、Cl- 吸収に変換される仕組み。赤字は本研究で活性が明らかになった経路で、それ以外は他の報告による。排泄物として体内で生じたCO2やNH3はえらにおいて脂質膜やガスチャネルを介して排出されると考えられるが、Na+、Cl- 取り込みの駆動力にもなる。NH4+ は体液側細胞膜(basolateral膜)のK+ channelやNa+/K+-ATPase からも取り込まれる。NHE, Na+/H+ exchanger 3; AE, anion exchanger; NKA, Na+/K+-ATPase。

お問い合わせ先
大学院生命理工学研究科 生体システム専攻 助教 加藤明
TEL 045-924-5726 FAX 045-924-5824
Email akirkato@bio.titech.ac.jp


東工大教育改革国際シンポジウム

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世界最高の理工系総合大学を目指して 世界トップレベルの教育システムとは

東工大は、創立135周年を迎える平成28年度のスタートに向けて、新しい教育システムの構築を進めています。

「教育改革国際シンポジウム」では、本学の教育改革の内容を紹介するとともに、理工系分野で世界トップレベルのマサチューセッツ工科大学(MIT)ならびにカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)から教育責任者を招き、それぞれの大学の教育理念や教育システムのベストプラクティスをご紹介いただきます。

講演に続いて、東工大、MIT、UCバークレーの3大学と産業界の方々などを交えたパネルディスカッションを行い、今後の人材育成の考え方、教育手法の変革、大学間連携、政府や産業界との関係など本シンポジウムのテーマである世界トップレベルの理工系高等教育システムのあり方について多角的な討論を行います。

日 時
3月14日(金) 13:45~(13:00開場)
場 所
大岡山キャンパス 70周年記念講堂 

※参加費無料、要事前申込み ※日英同時通訳付き

プログラム(予定)    ※プログラムは変更になる場合がございます。

13:45~13:50
開会挨拶 三島 良直 東京工業大学 学長
13:50~14:00
来賓挨拶 山中 伸一 文部科学省 事務次官
米国大学の教育システム
14:00~14:30
エリック グリムソン
マサチューセッツ工科大学 副総長 (学術振興担当)
14:30~15:00
ロナルド グロンスキー
カリフォルニア大学バークレー校 学長特別補佐 (国際連携担当)
東工大の教育改革
15:00~15:30
三島 良直 東京工業大学 学長
15:30~15:45
<休憩>
パネルディスカッション
15:45~17:30
「世界トップレベルの理工系高等教育システムのあり方」
  • 三島 良直
     東京工業大学 学長
  • エリック グリムソン
     マサチューセッツ工科大学 副総長 (学術振興担当)
  • ロナルド グロンスキー
     カリフォルニア大学バークレー校 学長特別補佐 (国際連携担当)
  • 北城 恪太郎
     日本アイ・ビー・エム株式会社 相談役
     学校法人国際基督教大学 理事長
  • ケリーナ クレーグ・ヘンダーソン
     米国国立科学財団 (NSF) 東京オフィス 事務所長
  • 庄山 悦彦
     一般社団法人蔵前工業会 理事長
     株式会社日立製作所 相談役
  • エリック グリムソン

    エリック グリムソン
    マサチューセッツ工科大学
    副総長 (学術振興担当)

  • 三島 良直

    三島 良直
    東京工業大学 学長
     

  • ロナルド グロンスキー

    ロナルド グロンスキー
    カリフォルニア大学バークレー校
    学長特別補佐 (国際連携担当)

  • 北城 恪太郎

    北城 恪太郎
    日本アイ・ビー・エム株式会社 相談役
    学校法人国際基督教大学 理事長

  • ケリーナ クレーグ・ヘンダーソン

    ケリーナ クレーグ・ヘンダーソン
    米国国立科学財団 (NSF)
    東京オフィス 事務所長

  • 庄山 悦彦

    庄山 悦彦
    一般社団法人蔵前工業会 理事長
    株式会社日立製作所 相談役

参加申し込み

参加をご希望の方は以下の必要事項を明記の上、下記宛先まで電子メールにてお申し込みください。

お申し込み締切: 3月7日(金) 17:00 (定員になり次第締め切らせていただきます)

  • お名前 (ふりがな):
  • 区分 (一般・同窓生・学内者(教員・学生・職員)):
  • 会社名・大学名 (学内者は所属もご記入ください):
  • 連絡先Eメールアドレス:

※複数名でご参加の方は全員の情報をメールに記載の上、お申し込み下さい

※車での来場はご遠慮ください

総務部企画・評価課 国際シンポジウム担当
Email: int.symposium@jim.titech.ac.jp

2014年3月14日 国際シンポジウム開催 世界トップレベルの教育システムとは

半導体中を秒速8万mで動きまわる電子を撮影

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要点

  • 半導体材料中の20nmスケールの領域に流れる電子を200フェムト秒間隔で測定
  • 電子が半導体中を秒速約8万mで動きまわる様子の動画撮影に成功
  • 半導体の新しいナノ構造の開拓や未来の新材料開発に貢献

概要

東京工業大学大学院理工学研究科の福本恵紀産学官連携研究員、恩田健流動研究員、腰原伸也教授らは、半導体中を秒速8万mで流れる電子を直接観察し、動画撮影することに成功した。新規レーザーパルス光源と光電子顕微鏡を組み合わせ、電子を20ナノメートル(nm, 1nmは10億分の1m)および200フェムト秒(fs, 1fsは1000兆分の1秒)スケールで可視化できる超高速ストロボ顕微鏡を開発して実現した。

パソコン、携帯電話や太陽電池などに幅広く利用され、必要不可欠となっている半導体材料だが、その動作性能を左右するキャリア(電子)の動きを可視化する手法はなかった。

半導体素子のナノサイズ化が進む中、それにより生じる量子サイズ効果を利用した素子開発(トランジスタ、太陽電池、LED、量子コンピュータ)が注目されている。その電気伝導特性を視覚的に評価できる装置は、 今後の半導体素子開発に大きな影響を与えると期待される。

研究成果は7日に米国の科学誌「アプライド フィジックス レターズ (Applied Physics Letters) 」オンライン速報版で公開された。

論文情報

Direct imaging of electron recombination and transport on a semiconductor surface by femtosecond time-resolved photoemission electron microscopy, Keiki Fukumoto, Yuki Yamada, Ken Onda and Shin-ya Koshihara, Appl. Phys. Lett. 104, 053117 (2014)

DOI: 10.1063/1.4864279outer

図1: 時間分解光電子顕微鏡による電子移動の動画撮影。図2: (a)、(b)、(c)は、異なる電極間の電場勾配(電圧値÷電極間隔)において、電子の移動距離を時間に対してプロット。

図1: 時間分解光電子顕微鏡による電子移動の動画撮影。(a):測定手法の概略。 (b)と(c):励起光照射後20ps及び40ps後の光電子顕微鏡像。 (d)と(e):(b)と(c)の中央付近の拡大図。 (f):(d)と(e)の縦方向の強度プロファイルにより、電子の移動が確認できる。

図2: (a)、(b)、(c)は、異なる電極間の電場勾配(電圧値÷電極間隔)において、電子の移動距離を時間に対してプロット。線形フィットによる傾きから電子の移動速度を算出している。(d)は、電子の移動速度を電場勾配に対してプロット。

お問い合わせ先

大学院理工学研究科 物質科学専攻 産学官連携研究員

福本恵紀

TEL 045-924-5891

Email fukumoto.k.ab@m.titech.ac.jp

第6回「企業に研究開発してほしい未来の夢」アイデア・コンテストにて最優秀賞、優良賞受賞

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第6回「企業に研究開発してほしい未来の夢」アイデア・コンテスト、テクノルネサンス・ジャパン(日本経済新聞社主催)にて、東工大の学生チームが3部門で最優秀賞、1部門で優良賞を受賞しました。

このコンテストは理工系学生のアイデアと企業の技術や事業を組み合わせたら、どんな画期的なことができるかを学生が考え企業側に提示するコンテストで、5つの参加企業よりそれぞれ最優秀賞、優秀賞、優良賞が選ばれます。

このうち東工大学生チームはデンソー賞にて最優秀賞、優良賞、東レ賞にて最優秀賞、村田製作所賞にて最優秀賞を受賞しました。5つの参加企業中3企業の最優秀賞に輝く素晴らしい結果です。

デンソー賞

  • 【テーマ】
    未来から「ありがとう!」と言ってもらえる「魔法の箱」は?
    ~クルマの進化で実現する夢のアイデア大募集!~

最優秀賞

受賞アイデア
次世代電気自動車のための駐車アシストシステム
受賞者
チーム名 漂流クラゲ
理工学研究科機械物理工学専攻 井上雅貴
理工学研究科機械宇宙システム専攻 井本明子

優良賞

受賞アイデア
GOOD SLEEP CAR “ぐーすか”
受賞者
チーム名 ゴールデン・スランバーズ
理工学研究科機械制御システム専攻 片岡木太郎・乾祐馬
工学部機械科学科 吉澤玄

東レ賞

  • 【テーマ】
    東レの先端材料の新しい商品企画大募集!
    ~あなたのアイデアでInventionをInnovationに!~

最優秀賞

受賞アイデア
反射制御カーテン
受賞者
チーム名 ひるまブラザーズ
理工学研究科機械物理工学専攻 吉田祐未・田村知樹・髙村瞭太・近藤翔太・七海元紀

村田製作所賞

  • 【テーマ】
    ムラタセイサク君®の技術で世界を変える!
    ~“日本発!世界一!”を狙うアイデアを大募集~

最優秀賞

受賞アイデア
介護ベッド革命 ~「一億総介護時代」を生きぬく~
受賞者
チーム名 TKG48
理工学研究科機械制御システム専攻 浜田貴弘・奥井学
工学部制御システム工学科 永野仁啓

各チームの代表者からのコメントです。

チーム
漂流クラゲ 井上雅貴さん

チーム 漂流クラゲ

「このような大きなアイデアコンテストで幸運にも最優秀賞を頂き、チームメイト、企業の方、関係者の方々に御礼申し上げます。企業と学生を結びつける貴重な機会であり、求められる技術や社会のニーズなど大きな勉強をさせて頂きました。
これから更なる研鑽を積み,世界で活躍できる人材になりたいと存じます。」

チーム ゴールデン・スランバーズ
片岡木太郎さん

チーム ゴールデン・スランバーズ

「昨年に続きこのような賞を頂けたことを大変嬉しく思います。 このコンテストは理系学生であれば応募できますので、来年は東工大から学部生の応募がもっと増えることを期待しています。」

チーム ひるまブラザーズ
吉田祐未さん

チーム ひるまブラザーズ

「大変素晴らしい賞をいただき光栄に思います。チーム5人で協力して一つの作品をつくることは普段の研究と一味違った楽しさがあり貴重な経験となりました。また、この賞は私たち自身の力ではなく、多くの方の協力があったからこそ得られたものです。感謝の気持ちを忘れずに、この経験をこれからの成長に結び付けていきたいと思います。」

チーム TKG48
浜田貴弘さん

チーム TKG48

「東工大で身に付けた実践力を活かし、このような賞をいただくことができ大変有難く思います。 指導教官でおられる塚越先生の教えに則り、夢のようでありながら実現可能な、社会の役に立つアイデアを心がけ取り組みました。 東工大生にうってつけのコンテストだと思いますので、来年度も本学の学生の活躍を期待しております。」

第6回「企業に研究開発してほしい未来の夢」アイデア・コンテストにて最優秀賞、優良賞受賞

3月の学内イベント情報

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2014年 3月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

3月の学内イベント情報

新しい規則性を持つペロブスカイト型酸化物超伝導体を発見

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要点

  • 新規ビスマス酸化物超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12を発見した。
  • A-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造における初めての超伝導物質である。
  • 高温超伝導体の探索や超伝導メカニズムの解明の新たな指針となる。

概要

山梨大学クリスタル科学研究センターの熊田伸弘教授、同センター田中 功教授、東京工業大学応用セラミックス研究所の東 正樹教授、広島大学大学院理学研究科の黒岩芳弘教授らの研究グループは、新規ビスマス酸化物超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12を発見しました。この超伝導体はバリウムとナトリウムおよびカリウムが規則的に配列するA-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造であり、高温超伝導体探索およびメカニズムの解明に新たな指針を与えるものです。

この研究成果は、ドイツの科学誌「Angewandte Chemie International Edition(応用化学誌 国際版)」のオンライン版で2月27日(日本時間)に公開されました。

ペロブスカイト型構造

一般式ABO3で表される元素組成を持つ、金属酸化物の代表的な結晶構造。本研究で発見されたA-サイトオーダーダブルペロブスカイトは二つのAサイトを持ち、A‘A‘‘3B4O12で表される。

掲載雑誌名、論文

掲載雑誌
Angewandte Chemie International Edition
表題
“Superconducting double perovskite bismuth oxide (Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12 prepared by a low-temperature hydrothermal reaction”
「低温水熱反応より合成されたビスマス酸化物ダブルペロブスカイト超伝導体 (Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12
DOI

合成された新規超伝導体の磁化率曲線

図1. 合成された新規超伝導体の磁化率曲線。27 Kでの超伝導転移が確認できる。

ペロブスカイト構造とA-サイトオーダーダブルペロブスカイト構造の模式図

図2. ペロブスカイト構造とA-サイトオーダーダブルペロブスカイト構造の模式図。ペロブスカイトは一種類のAサイトを持つが、A-サイトオーダーダブルペロブスカイト構造ではAサイトがA‘とA“サイトの二種類のサイトを持つことで、二倍の周期構造を持つ。本研究で発見された超伝導体では、A'サイトにはナトリウムとカリウム、A“サイトにはバリウムが占有している。

お問い合わせ先
応用セラミックス研究所 教授 東 正樹
Tel: 045-924-5315, Fax: 045-924-5318
Email: mazuma@msl.titech.ac.jp

※3月4日、論文情報を追加いたしました。

鉄系超伝導体の絶縁体親物質が電界により金属状態へ転移

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概要

東京工業大学元素戦略研究センターの細野秀雄教授らの研究グループは、鉄系超伝導体(用語1)物質群の中では唯一のモット絶縁体(用語2)である層状セレン化合物TlFe1.6Se2(Tl:タリウム、Fe:鉄、Se:セレン)に着目し、電気二重層トランジスタ(用語3, 4)構造を利用して、外部電界の印加によって、超伝導現象の予兆とも言える金属に近い状態まで相転移させることに成功した。

今回の結果は、鉄系層状物質で初めて観察された電界誘起相転移である。トランジスタ構造を利用したキャリア生成方法は、一般的な不純物の添加によるキャリア生成とは異なり、自由にかつ広範囲にキャリア濃度を制御できるという特徴がある。従って、元素置換によるキャリア添加が不可能な物質であっても適用が可能であることから、今後の鉄系層状物質のより高い超伝導転移温度を実現する有力な方法になるものと期待される。

この成果は、3月4日(米国時間3日)に「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America)」のオンライン速報版に掲載された。

用語説明

1.鉄系超伝導体

鉄を主成分として含む化合物の中で超伝導転移を示す層状化合物の総称で、超伝導を担う構造としてFeAsまたはFeSe層をもつ。

2.モット絶縁体

電子同士の静電反発が強いことが要因となって、絶縁体の状態(ギャップが開いた状態)になっている物質の総称。

3.トランジスタ

ゲート電極/ゲート絶縁体/半導体の3層構造に代表される電子デバイスで、ゲート電極に電圧を印加することによってゲート絶縁体の電気容量に依存した伝導変調を半導体中に誘起することができる。

4.電気二重層トランジスタ

通常のトランジスタは、ゲート絶縁体として非晶質酸化物などの無機固体化合物が利用されるのに対し、ゲート絶縁体としてイオン性の電解液を使うトランジスタ。1ナノメートル以下の厚さの非常に薄い絶縁層がゲート絶縁体として働くために、非常に大きな電気容量を得ることができる。具体的には、通常の固体無機化合物をゲート絶縁体とした場合よりも2桁高い、最大1015 cm-2に及ぶ伝導キャリアを蓄積できる。

論文名、掲載誌および著者

タイトル
Electric double-layer transistor using layered iron selenide Mott insulator TlFe1.6Se2(和訳:層状鉄セレン化物モット絶縁体を使った電気二重層トランジスタ)
掲載誌
Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America
著者
Takayoshi Katase, Hidenori Hiramatsu, Toshio Kamiya, and Hideo Hosono
DOI

本研究で作製した電気二重層トランジスタの概略図

本研究で作製した電気二重層トランジスタの概略図

お問い合わせ先

応用セラミックス研究所/元素戦略研究センター
准教授 平松秀典
Tel: 045-924-5855
Email: h-hirama@lucid.msl.titech.ac.jp

フロンティア研究機構/元素戦略研究センター
教授 細野 秀雄
Email: hosono@msl.titech.ac.jp

ETH Big Band Zurich ジャズコンサート開催報告

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2月18日(火)東京工業大学の協定校であるスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)から、音楽親善大使としてETH Big Band Zurichをお招きし、70周年記念講堂でコンサートを行いました。ETH Big Band Zurichは日本とスイスの国交樹立150周年記念のイベントに参加するため来日し、スイス大使館のサポートのもと、日本各地の施設や協定校でコンサートツアーを行っており、本学にもそのツアーの一環として訪れました。

ETH Big Band Zurich

ETH Big Band Zurich

ロス・ガラチェロス

ロス・ガラチェロス

三島学長による歓迎の挨拶の後、ETH Zurich Global Educational AffairsのAnders Hagström氏がスライドを使用し、ETH Zurichの紹介を行いました。東工大とETH Zurichは1978年から学術交流があり、様々な分野で学生・研究者交流が長年にわたり活発に行われていることや同じ理工系大学であること等の多くの類似点を持っているとの説明がありました。Anders Hagström氏は両校のさらなる交流の発展を望み、東工大の学生にETH Zurichへの留学を呼びかけました。

コンサートのオープニングで、東工大の学生ラテンジャズビッグバンドサークルのロス・ガラチェロスが歓迎の意をこめて数曲演奏すると会場は大きな盛り上がりを見せました。

会場には学生、教職員を始め、学外の方を含む400人近くの観客が集まり、会場はスイスからの音楽親善大使を歓迎するムードに包まれました。ETH Big Band Zurichもその雰囲気に応えるように、次々と素晴らしい演奏を披露し、多くの観客を魅了しました。

アンコールには、「荒城の月」のジャズアレンジにあわせETH Big Band Zurichのメンバーが日本語で歌うといったパフォーマンスもあり、コンサートは大盛況のうちに終演となりました。

コンサートの後は、ETH Big Band Zurichメンバーとの交流イベントとして昼食会が開かれました。交流イベントには、今回コンサートで共演したロス・ガラチェロスのメンバーだけでなく、ETH Zurichに留学したことのある学生やETH Zurichからの留学生や研究者等も参加し、積極的に交流を楽しみました。また、スイス大使館からはスイスチーズが提供され、参加者はTête de Moine (テット・ドゥ・モアン) チーズを薄く削る器具の珍しさに興味津々でした。ロス・ガラチェロスのメンバーは、ETH Big Band Zurichのメンバーと、演奏の話題で盛り上がるなど、交流イベントは和やかな雰囲気の中終了しました。

ETH Big Band Zurich

※ 3月7日、写真のキャプションの中で文言に誤りがありましたので、削除いたしました。


目黒区との連携・協力に関する基本協定を締結

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3月5日、東京工業大学と目黒区は連携・協力に関する基本協定を締結しました。

基本協定の調印式は、3月5日に本学学長室にて、目黒区より青木英二目黒区長、鈴木勝副区長、小笠原行伸教育長ほかをお迎えし、青木区長と三島良直学長が署名。協定文書の交換を行いました。

本学が立地する目黒区とは、これまでも理科教育をはじめとして各種の連携を行ってきましたが、今回の基本協定の締結を契機に、今後更なる連携を図ってまいります。

基本協定書への署名
本学学長と目黒区長による
基本協定書への署名

署名後の記念撮影に臨む
署名後の記念撮影に臨む
三島良直学長(左)と青木英二目黒区長(右)

NatureJapanJobsが応用セラミック研究所 岡研吾特任助教、東正樹教授らの研究を紹介

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東京工業大学応用セラミックス研究所の岡研吾特任助教、東正樹教授らによる研究がNatureJapanJobsの特集記事(研究者訪問)にて紹介されました。


岡 研吾 特任助教


東 正樹 教授

こちらの研究成果は本学英文ニュースレター「Tokyo Institute of Technology Bulletin No.33」のRECENT RESEARCHコーナーにて配信したものです。

東工大グローバル教育ウィーク

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東京工業大学は、3月10日~14日の週に、教育に関する3つの国際シンポジウムを開催する運びとなりました。各シンポジウムの詳細と申し込みにつきましては、以下のリンクよりご参照ください。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

3月10日(月)

グローバルリーダー教育院の活動を紹介するとともに、中等教育、大学・大学院、企業・社会に至る分野でリーダー人材養成に取り組んでいる方々をゲストにお招きし、世界を牽引するリーダー人材の養成の望ましい姿を明らかにすることを目的としています。

3月11日(火)

日英の工学教育の発展の端緒ともいえる長州5傑の渡英から150年になることを記念して、日英工学教育シンポジウムを開催いたします。両国の工学分野をリードする大学が一堂に会し、工学教育の現状を紹介するとともに将来に向けたパートナーシップを深めることを目的といたします。

3月14日(金)

本学の教育改革の内容を紹介するとともに、理工系分野で世界トップレベルのマサチューセッツ工科大学(MIT)ならびにカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)から教育責任者を招き、それぞれの大学の教育理念や教育システムのベストプラクティスをご紹介いただきます。

平成25年度「東工大の星」支援【STAR】採択者決定

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平成25年度「東工大の星」支援(英語名称:Support for Tokyotech Advanced Researchers 【STAR】)の採択者が6名決定いたしました。

「東工大の星」支援【STAR】とは、東工大基金を活用し、将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者や、基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者へ大型研究費の支援を行うものです。次世代を担う、本学の輝く「星」の支援を開始しました。

第1回目の今回は、本学創立130周年である平成23年度から平成25年度までの3年度分として、6名の「星」が学長及び研究戦略室長の協議により選考されました。

詳細については「東工大の星」支援【STAR】概要PDFをご覧ください。

所属部局
専攻
職名
受賞者
大学院理工学研究科(理学系)
地球惑星科学専攻
准教授
上野 雄一郎
大学院理工学研究科(工学系)
有機・高分子物質専攻
准教授
道信 剛志
電子物理工学専攻
准教授
間中 孝彰
電子物理工学専攻
准教授
岡田 健一
応用セラミックス研究所
准教授
平松 秀典
量子ナノエレクトロニクス研究センター
准教授
河野 行雄

STAR1

STAR2

STAR3

お問い合わせ先
研究推進部研究企画課研究企画グループ
Email: kensen@jim.titech.ac.jp

三島学長がMITを訪問、Reif学長と意見交換

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三島学長が2月27日~3月2日の間、米国・ボストンに出張し、MITのReif学長等と意見交換を実施しました。

MITとの間においては、部局間協定に基づく共同研究や大学の世界展開力強化事業等を通じた学生交流活動などの交流を実施してきております。今回の訪問では、三島学長より本学が進める教育改革の構想などを紹介するとともに、両大学による共同研究、学生交流活動等の更なる活性化に向けての意見交換を行いました。今後とも、情報交換、意見交換等を通じて、交流深化の可能性を探っていくことで意見が一致しました。

三島学長がMITを訪問、Reif学長と意見交換

三島学長がMITを訪問、Reif学長と意見交換

大上雅史さんが日本学術振興会 育志賞の受賞を学長に報告

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第4回(平成25年度)日本学術振興会 育志賞を受賞した大上雅史さん(大学院情報理工学研究科博士後期課程3年)が学長室を訪れ、三島学長に受賞の報告をしました。

指導教員であり、参加しているリーディング大学院「情報生命博士教育院」院長である秋山泰教授が見守る中、授与された賞状、賞牌を学長に披露し、授賞式の模様を報告しました。学長からは、栄えある賞を受けたことへの祝辞と、今後の活躍を期待する激励の言葉がありました。

同賞は今回、全国から130名の推薦があった中、18名が受賞しています。

左から秋山教授、大上雅史さん、三島学長左から秋山教授、大上雅史さん、三島学長

「第2回生命理工国際シンポジウム」開催報告

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1月29日(水)、すずかけ台キャンパス大学会館すずかけホールにおいて生命理工国際シンポジウム(2nd Biotechnology and Bioscience International Symposium)を開催しました。このシンポジウムは、大学院生命理工学研究科と博士課程教育リーディングプログラム情報生命博士教育院(ACLS)の共催として昨年度に発足し、本年度で2回目となります。参加人数は273名(学内263名、学外10名)となり、昨年度同様すずかけホールはほぼ満席となりました。

本シンポジウムは、バイオ研究に携わる、あるいはバイオ研究に興味のある本学大学院生やポスドクを主対象とし、以下の趣旨で本年度も開催されました。

  • 早い時期にトップレベルのサイエンスに触れる

  • 分野を越えたホットトピックに触れる

  • 国際的に活躍する研究者の研究スタイルを学びとる

本年度はシンポジウムタイトルを「The Nucleic Acid World -Interfaces between Biology and Chemistry」と定め、遺伝子やRNA、ゲノムといった核酸をそれぞれ独自の生物的あるいは化学的視点で研究されている、国内外の学外著名研究者を5名招聘すると共に、同分野で国際的に活躍している本学教員4名も登壇しました。

Lomvardas准教授の講演風景

Lomvardas准教授の講演風景

塩見春彦教授(慶應義塾大学)とStavros Lomvardas准教授(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)からは、全ゲノム規模でおこる遺伝子発現メカニズムに関する研究が紹介されました。ゲノム内に散在している数千、数万種類もの遺伝子を、同時に調節するメカニズムの存在は、生命理工だけでなく情報科学を専門とする参加者にも興味深かったようです。

Byeang Hyean Kim教授(韓国・浦項工科大学校(Postech))と関根光雄教授(本学大学院生命理工学研究科)からは、核酸誘導体を医療創薬に展開されている研究が、杉山弘教授(京都大学)からは巧妙に分子設計されたDNA認識分子を用いた遺伝子調節の研究が発表され、Chemistryからの核酸研究の広がりを大いに感じることができました。

また、Knut Woltjen准教授(京都大学)からは最先端のゲノム工学技術を用いて、生きた細胞内で自由自在にゲノムや遺伝子を改変する研究が紹介されました。

さらに、岩崎博史教授(本学大学院生命理工学研究科)からは「生命活動に必須のゲノム相同組換えの分子メカニズム」に関する研究、緒方博之特任准教授(本学ACLS)からは「前例のない長さのゲノムを持つGiant virus」に関する研究、そして本郷裕一准教授(本学大学院生命理工学研究科)からは、Single cell genomicsという高度なゲノム解析法を駆使して、生物共生の原理を探究されている研究について、知的にワクワクする講演がありました。

生命理工国際シンポジウムでは、普段の学会では同じ壇上に上がらないであろう国内外の一流研究者の皆様に1つのキーワードの元にお集まりいただくことで、異分野融合や学際的共同研究の種が本学で芽生えることも期待されます。

聴衆からの質疑も活発
聴衆からの質疑も活発

講演会後の集合写真
講演会後の集合写真


「TKT CAMPUS Asiaグローバル・ワークショップ」開催報告

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2月21日(金)、大岡山キャンパスデジタル多目的ホールにて「TKT CAMPUS Asiaグローバル・ワークショップ “アジアの飛躍、豊かな未来に向けて” (Quantum Leap from Asia to a Globally Sustainable Future)」が開催されました。

本ワークショップでは、TKT CAMPUS Asia Consortiumパートナー大学であるKAIST、清華大学の代表者、およびCAMPUS Asiaプログラムに参加経験のある3ヶ国の学生に加え、同じアジアから、シンガポールの南洋理工大学、香港科技大学の代表者が参加し、アジアから世界に発信する科学技術や、国際連携の将来像についての議論が行われました。

ワークショップは岸本喜久雄工学系長の挨拶に始まり、続いて来賓として文部科学省・佐藤邦明国際企画専門官による基調講演が行われました。

第1セッションでは、香港科技大学副学長Joseph Hun-wei Lee教授、南洋理工大学Nam-Joon Cho教授による特別講演があり、Lee教授からは、自らの研究を例にとった国際連携による共同研究のトレンドについて、Cho教授からは大学の世界ランキングにおいて急成長を遂げた南洋理工大の戦略について等、アジアのトップ理工系大学の最新の動向について、お話いただきました。

午後からの第2セッションでは、2012年度、2013年度にキャンパス・アジア・プログラムへ参加した清華大学、KAIST、そして東工大の学生によるプレゼンテーションが行われました。派遣先の大学での研究成果発表をする学生、訪問国での滞在経験を語る学生など、それぞれ個性ある発表が行われ、その後の質疑応答では会場から多くの質問があがりました。

午後3時からは、3大学のCAMPUS Asia Consortium関係者および参加学生によるテーマ別グループディスカッションを別室で行う一方、原正彦教授の進行でオープンディスカッションが行われ、「質の保証と問題解決型グローバル人材教育」というテーマのもと、東工大の国際化のために今必要な改革から、大学のランキング、ブランディング戦略まで、時間を延長して会場と熱い議論を交換しました。

しめくくりとなる全体討論では、グループディスカッションでの議論の成果が発表されました。東日本大震災後の日本、そして東アジアではいまどのような問題が存在するのか、それらの問題に対してYoung Scientistsとしてどのようなソリューションを提示できるのか。問題解決型の議論に基づき、4つに分かれたグループそれぞれが環境や情報、サイエンス・リテラシーなどのトピックについて報告を行いました。会場との活発な質疑応答もあり、非常に充実した全体討論となりました。

香港科技大学Prof. Joseph Hun-wei Lee

南洋理工大学Prof. Nam-Joon Cho

(左から)香港科技大学Prof. Joseph Hun-wei Lee、南洋理工大学Prof. Nam-Joon Cho

機械物理工学専攻・常川拓浩さん

材料工学専攻・高橋俊介さん

(左から)機械物理工学専攻・常川拓浩さん、材料工学専攻・高橋俊介さん

KAIST Mr. Jaemin Kim

華大学Mr. Cheng TANG

(左から)KAIST Mr. Jaemin Kim、清華大学Mr. Cheng TANG

オープンディスカッションでの原正彦教授
オープンディスカッションでの原正彦教授

交流会で祝辞を述べる三島良直学長
交流会で祝辞を述べる三島良直学長

ワークショップ参加者による記念撮影
ワークショップ参加者による記念撮影

附属科学技術高等学校 卒業式挙行

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附属科学技術高等学校 卒業式挙行1

3月11日(火)、大岡山キャンパスにて東京工業大学附属科学技術高等学校の卒業式が執り行われました。晴天のこの日、192名の生徒がめでたく卒業を迎えました。会場となった講堂の前では附属科学技術高等学校の在校生も集まり先輩方の新たな門出を祝いました。

4月からの新生活への希望に胸を膨らませた、笑顔あふれる巣立ちです。
卒業、おめでとうございます!

附属科学技術高等学校 卒業式挙行2
附属科学技術高等学校 卒業式挙行3
附属科学技術高等学校 卒業式挙行4

金融市場のゆらぎのメカニズムを物理学で解明

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要点

  • 金融市場の売買注文板情報に2重の層構造を発見
  • アインシュタインの揺動散逸関係を市場変動でも確認

概要

東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻の高安美佐子准教授と由良嘉啓大学院生は,チューリッヒ工科大学のディディエ・ソネット教授、ソニーCSL シニアリサーチャー・明治大学客員教授の高安秀樹氏と共同で、ドル円市場の高頻度売買注文板データ(用語1)を分析し、取引価格の周囲の売買注文量の増減に特徴的な2重の層構造があることを発見した。

具体的には、取引価格に近い内側の層が価格変動を駆動する揺動力となり、外側の層は変動を制動する散逸作用を持つことを明らかにした。さらに、アインシュタインが発見した揺動散逸関係(用語2)が非物質系でも成立していることを初めて実証した。

これまで売買注文板データはデータ量が膨大なため解析が難しかったが、この研究により分析の道筋ができたことになる。今後、市場のビッグデータをリアルタイムで解析し、市場の安定性を計測するような技術に応用されることが期待される。

この研究成果は3月7日発行の米物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ電子版」に掲載された。

用語説明

用語1: 売買注文板データ
ドル円市場では、100万ドルを最小単位(1本)として売買されており、市場参加者は希望する売値と買値を本数とともに市場を取りしきるコンピュータサーバーに入力する。同じ価格で売り注文と買い注文がぶつかったとき、その価格で取引が成立し、売りと買いがぶつからない注文はそれぞれの価格に積み上げられる。取引が成立する前にキャンセルされる注文もある。人間が集まって取引をしていた頃には注文ごとに板を積み上げていた慣習から、これらの売買注文を集めた情報は板データとよばれる。

用語2: 揺動散逸関係
1905年、アインシュタインは有名な相対性理論の論文の他に、水の中を漂う微粒子の不規則な動きであるブラウン運動の論文も書いている。微粒子は、水分子からの衝突によって運動エネルギーを得て揺動し、また、その運動エネルギーは水分子との衝突によって散逸される。この関係を定式化したものが、揺動散逸関係である。当時、物質が原子や分子から構成されているということは仮説の段階だったが、この論文がきっかけとなって、原子や分子が実在であることが立証された。

論文情報

掲載雑誌名
Phys. Rev. Lett. 112, 098703 (2014)
論文タイトル
Financial Brownian Particle in the Layered Order-Book Fluid and Fluctuation-Dissipation Relations
著者
Yoshihiro Yura, Hideki Takayasu, Didier Sornette, and Misako Takayasu
DOI

金融市場の売買注文板情報と粒子・分子モデルの関係

図1 金融市場の売買注文板情報と粒子・分子モデルの関係

お問い合わせ先
大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 
准教授 高安美佐子
Tel: 045-924-5640
Email: takayasu@dis.titech.ac.jp

鉄系超伝導物質で新しい型の磁気秩序相を発見

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本成果のポイント

  • 鉄系超伝導物質で、構造変化を伴う第二の磁気秩序相を発見
  • 3つの量子ビームプローブを相補利用するマルチプローブ手法で新物質開発に指針

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(以下「物構研」)の元素戦略・電子材料研究グループは、東京工業大学(以下「東工大」)応用セラミックス研究所の飯村壮史(いいむらそうし)助教、同大学フロンティア研究機構・元素戦略研究センター細野秀雄(ほそのひでお)教授、松石聡(まついしさとる)准教授と共同で、マルチプローブの手法を用いて鉄系超伝導物質であるLaFeAs(O1-xHx)の磁気的な性質および構造を調べ、水素置換濃度xが0.4を超える領域で微細な構造変化を伴う新たな磁気秩序相が現れることを発見しました。この磁気秩序相は、同物質において2012年に明らかになった第二の超伝導相と隣接しており、従来知られていた母物質(x=0)における磁気秩序相とも質的に異なることから、もう一つの母物質が見出されたことになり、新たな超伝導機構解明の有力な手がかりとなることが期待されます。

本成果は、2014年3月16日(現地時間)に英国科学誌「Nature Physics」のオンライン版で公開されました。

論文情報

掲載雑誌名
Nature Physics
(オンライン版公開日:2014年3月16日)
論文タイトル
"Bipartite magnetic parent phases in the iron oxypnictide superconductor"
(和訳:鉄酸素ニクタイト超伝導体における2つの磁性母相)
著者
M. Hiraishi, S. Iimura, K. M. Kojima, J. Yamaura, H. Hiraka, K.Ikeda, P. Miao, Y. Ishikawa, S. Torii, M. Miyazaki, I. Yamauchi, A. Koda, K. Ishii, M. Yoshida,J. Mizuki, R. Kadono,R. Kumai, T. Kamiyama, T. Otomo, Y. Murakami, S. Matsuishi and H. Hosono
DOI

LaFeAs(O1-xFx)の結晶構造の模式図

図1 LaFeAs(O1-xFx)の結晶構造の模式図。青:ランタン、赤:酸素、茶:鉄、黄:ヒ素を表す。
四角で囲んだ部分がRE-Oブロック層。

お問い合わせ先
フロンティア研究機構・元素戦略研究センター
教授 細野秀雄
Tel: 045-924-5009
Email: hosono@msl.titech.ac.jp

「東工大教育改革国際シンポジウム」開催報告

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3月14日(金)、大岡山キャンパス講堂において、東工大教育改革国際シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは平成28年度のスタートを目指している東京工業大学の教育改革の取組の一環として、世界トップレベルの理工系高等教育システムのあり方をメインテーマとし開催され、約450名が参加しました。

冒頭の三島学長による開会挨拶に続き、山中 伸一 文部科学省 事務次官より来賓挨拶をいただきました。さらに米国のマサチューセッツ工科大学のエリック グリムソン副総長 (学術振興担当)、カリフォルニア大学バークレー校のロナルド グロンスキー学長特別補佐 (国際連携担当)による、講演が行われ、両大学のこれまでの取り組みや今後の課題を交え、世界をリードする理工系高等教育機関としての役割が語られました。

続いて三島良直学長より、東工大の教育改革の概要説明が行われ、教育システムの制度設計とともに、教育改革の目的と、改革を通して東工大が目指す将来像について講演しました。

講演するグリムソン副総長
講演するグリムソン副総長

講演するグロンスキー学長特別補佐
講演するグロンスキー学長特別補佐

講演する三島学長
講演する三島学長

盛況の会場
盛況の会場

「世界トップレベルの理工系高等教育システムのあり方」をテーマとしたパネルディスカッションでは、三島学長、グリムソン副総長、グロンスキー学長特別補佐に加え、産業界などから日本アイ・ビー・エム株式会社 相談役の北城 恪太郎氏、米国国立科学財団 (NSF) 東京オフィス 事務所長のケリーナ クレーグ・ヘンダーソン氏、一般社団法人蔵前工業会 理事長庄山 悦彦氏らによる白熱した議論が繰り広げられました。
グローバル化する社会で、次世代のリーダーとなる人材育成は国を超えた学術界全体の課題であることを改めて共有したシンポジウムとなりました。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

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