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学生による国際交流プログラム「7th ASCENT」開催報告

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2016年8月、東工大生自身の手で身近な国際交流活動を積極的に進めている東京工業大学 国際交流学生会SAGE(以下、SAGE)が、第7回アジア理工系学生連携促進プログラム「7th ASCENT」を開催しました。アジア圏6ヵ国から学生20名が参加し、東工大生と交流しました。

ASCENT参加者の集合写真

ASCENT参加者の集合写真

ASCENTの概要

アジア理工系学生連携促進プログラムASCENTは、Asian Students Collaboration Encouragement Program in Technologyの略称で、SAGEが主体となって企画・運営を行う10日間の国際交流プログラムです。アジア圏の理工系学生間の持続的ネットワーク構築と参加者の学術的および人間的成長を目的としています。

ASCENTでは毎年異なるテーマを設定しており、参加者はそのテーマに関連した研究やビジネスを行っている企業、研究所、学内研究室の見学や基調講演を通して、日本の技術や研究について学びます。これを基に、近年アジア各国が抱える問題についての解決策や適応案をグループで話し合い、最終報告会で成果報告を行います。各グループでは熱心に議論が行われ、一つの結論を共に創りあげる経験を通して、強固な学生間ネットワークが生まれます。また、学術的な活動を軸に据えながらも、文化交流会・日本文化研修などを通して異文化交流や学生間の交流を促進し、学習だけではない総合的な体験の場となることを目指しています。

7th ASCENTの開催

今回の7th ASCENTは8月19日~29日に開催されました。6th ASCENT以前は毎年3月に開催していましたが、ASEAN諸国のセメスター制度の変更に伴い、時期を8月に変更して開催しました。

今年は「アジアを支えるロボット技術 Robotics & Asian Society」をテーマに掲げ、様々なプログラムを実施しました。中国、韓国、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムの6ヵ国から合計20名が参加しました。参加者はそれぞれグループに分かれた後、講演・見学・ディスカッションなどを経て、テーマに関する提案を最終報告会にて行いました。

スケジュール

8月19日
到着日、歓迎会
8月20日
開会式、基調講演(産業技術総合研究所)
8月21日
事前学習報告会、文化交流会
8月22日
研究室見学(大岡山キャンパス 中島研究室、鈴森・遠藤研究室)※台風のため中止
8月23日
研究室見学(大岡山キャンパス 山北研究室、武田研究室)
8月24日
企業見学(株式会社大林組 技術研究所)
8月25日
企業見学(株式会社ハイボット)
8月26日
留学説明会、中間報告会
8月27日
最終報告会、閉会式
8月28日
日本文化研修、送別会
8月29日
出国日

参加国・参加大学

  • 日本:東京工業大学
  • 中国:清華大学
  • 韓国:韓国科学技術院(KAIST)
  • インドネシア:バンドン工科大学、ガジャ・マダ大学、インドネシア大学
  • タイ:チュラロンコーン大学
  • フィリピン:デラサール大学
  • ベトナム:ハノイ工科大学

プログラム内容

  • 基調講演

毎回ASCENTでは基調講演を行い、その年のテーマへの導入を行っています。基調講演を聞くことで、参加者がテーマに関する理解を深め、今後の議論が活性化することを目的としています。今回は産業技術総合研究所の方に講師をお願いしました。講演では、日本やアジア諸国が抱える社会問題という大きなものから、日々の生活の中に潜むニーズという小さなものに至るまで、ロボット技術を用いてこれらの問題を解決しようとする試みについてのお話しがありました。

産業技術総合研究所からの講師による基調講演

産業技術総合研究所からの講師による基調講演

  • 企業見学・研究室見学

企業見学と研究室見学では、テーマに関連した企業や研究室を訪問し、ロボット技術に関する知識、技術を用いて問題を解決する具体例を習得します。企業見学では大林組技術研究所とハイボットを、研究室見学では大岡山キャンパスにて山北研究室、武田研究室を見学し、最先端のロボット技術に関して学びました。企業では建築現場や災害現場、プラントなどで活躍するロボットの動く姿を実際に見せてもらいました。研究室ではロボットの機構や制御の研究についての説明を受けました。

ロボット技術の先進国である日本の技術に対して参加者は大いに関心を持ったようで、時間の許す限り質問をしたり、見学から刺激を受けてロボットのコンセプトを描く人もいました。ある参加者は今回見学した研究室に研究生として留学に来ることが決定しています。この見学はASCENTのテーマを深めるだけではなく、海外の学生に東工大をアピールするという側面もあります。

  • ハイボットでヘビ型ロボットを見学

    ハイボットでヘビ型ロボットを見学

  • 山北研究室で説明を受ける参加者

    山北研究室で説明を受ける参加者

  • ディスカッション・中間報告会・最終報告会

各グループはディスカッションで日本を含めたアジア諸国が抱える問題について抽出した後、見学や講演をヒントにして解決策を練り上げます。同じテーマであっても、認識している問題が個人・グループごとに異なっており、ディスカッションの内容はどのグループも興味深いものでした。これは出身国や専門分野等、様々なバックグラウンドを持った人がASCENTに参加しているからであると言えます。

中間報告会で他の参加者やスタッフからフィードバックをもらってから、最終報告会を行いました。最終報告会では10日間のプログラムで学んだことを活かしてそれぞれのグループが発表を行いました。発表では見学の際に学んだロボット技術を応用して、問題を解決するためのロボットを各グループが提案しました。どのグループもオリジナリティ溢れるロボットを提案し、他の参加者やスタッフが発表に聞き入っている姿が印象的でした。

  • 他の学生の意見に真剣に聞き入る参加者

    他の学生の意見に真剣に聞き入る参加者

  • 最終報告会で各自考えたロボットを発表する参加者

    最終報告会で各自考えたロボットを発表する参加者

  • 事前学習報告会・文化交流会・日本文化研修

各国の参加者が自国についての紹介を行う企画や日本の文化を知ってもらうための企画もあります。事前学習報告会では、各国の参加者が来日前に今回のテーマや自国に関して調査してきた事項を他国の参加者に向けて発表し、アジアの現状について把握します。文化交流会では参加国伝統のアクセサリーを一緒に作ったり民族衣装を着たりするなど、参加者は普段体験しない他の国の文化に触れることができました。プログラムの終わりには日本文化研修として日本の有名観光地へ出かけます。今回は鎌倉へ出向き、大仏見学や神社を訪問するなど、参加者同士の友好が更に深まっただけでなく、日本の文化を知る良い機会になりました。

  • 文化交流会で自国のアクセサリーの作り方を説明する参加者

    文化交流会で自国のアクセサリーの作り方を説明する参加者

  • 鎌倉の大仏見学

    鎌倉の大仏見学

プロジェクトリーダー総括

参加者と握手を交わすプロジェクトリーダーの李さん
参加者と握手を交わすプロジェクトリーダーの李さん

李 恒さん(工学部 電気電子工学科 3年)

ASCENTは、東工大生が東南アジアにて学習を行う短期海外派遣プログラムJAYSES(Tokyo Tech-AYSEASの前身プログラム)に参加した学生が「日本で勉強できる同じようなプログラムがあればいいな」という現地の学生の声を聞き、SAGEを設立してプログラムの企画を行ったという経緯があります。私自身、Tokyo Tech-AYSEAS 2015に学生リーダーとして参加し、「参加者視点」という立場・経験を踏まえて本プログラムの企画を進めてきました。

第7回となる今回は、新たな海外参加大学として中国(清華大学)・韓国(韓国科学技術院(KAIST))・ベトナム(ハノイ工科大学)を迎え、名実ともにアジア理工系学生対象のプログラムとしてのスタート地点に立ちました。しかし、ホスト大学である東工大における知名度および学生への影響力は未だに成長過程であり、国内外での本プログラムの更なる発展に期待しています。 個人的な所感としては、1年半もの歳月をかけて大学生活および私生活と並行して運営準備を行ってきたため、楽しさよりも戸惑いや葛藤の方が遥かに大きかったというのが正直なところですが、プログラム最終日に参加者たちの笑顔を見て、自分の歩んできた道に間違いは無かったと確信しました。

8th ASCENTについて

次回のASCENTは2017年夏に開催予定です。アジア諸国が抱える問題や社会現象などの時事に基づいてテーマを選定し、講演や見学先を順次決定していきます。8th ASCENTの応募は来年3月頃に海外の大学で、4月頃に東工大で開始します。

ASCENTは東工大生はもちろん、アジアの大学に属する学士・修士・博士後期課程の学生であれば、誰でも応募することが出来ます。プログラムの詳細や応募方法などはSAGEのウェブサイトや各種SNS、メールマガジンを通じて発信される予定です。

今後もSAGEは、海外学生とのネットワークがプログラム終了後も継続し、東工大生の国際的な活動を促進していけるようなASCENTを開催していきます。

お問い合わせ先

東京工業大学 国際交流学生会SAGE

Email : sage.tokyo.tech@gmail.com


東京工業大学社会人アカデミー 開催講座 「コーヒーの科学」

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おいしい「コーヒー」はどのようにできあがるのか。社会人アカデミーでは、「コーヒーの科学」について理論から実践まで全5日間の集中講座を開催いたします。

世界で消費される「コーヒー」をめぐって、生産から焙煎・抽出の方法、さらには文化や健康などさまざまな観点から、初めての方にもわかりやすく解説します。全5回のコースのうち、2回にわたって焙煎と抽出の実習をいたします。

講師には、コーヒーの工学的研究を続け「コーヒー学」を確立され普及に努められている、イグ・ノーベル賞受賞者の金沢大学の廣瀬幸雄先生、コーヒーとつながる科学をテーマに、地域デザイン、大学と地域の連携などを研究されている、文部科学省の後藤裕先生、コーヒーの歴史と文化をテーマに、文献収集・研究・執筆活動をされている、季刊雑誌「珈琲と文化」編集長の星田宏司先生ほか、多彩な講師をお招きいたします。

開催概要

期間
2017年1月21日~2月25日
祝日を除く毎土曜日(全5回)
時間
  • 1月21日、2月18日、2月25日
    10:30 - 16:10(最終日のみ10:30 - 14:30)
  • 1月28日、2月4日
    10:30 - 16:40(実習あり)
会場
募集人員
30名(最少開催人数10名)
受講料
30,856円(税込み)
申込方法
社会人アカデミーウェブサイトouterより申込用紙をダウンロードし、必要事項を記入後、以下の「お問合せ」に記載のメールアドレスまで、メール添付にてお送りください。受信後、振込先情報等詳細をご連絡いたします。
受講料納付確認後、受講認定証を交付いたします。
※当メールアドレスからの受信ができるよう、受信設定をお願いいたします。
申込締切
2017年1月16日(月) ※締切日必着

コーヒーの科学 チラシ

お問い合わせ先

東京工業大学社会人アカデミー事務室

E-mail : jim@academy.titech.ac.jp
Tel : 03-3454-8722/8867 FAX : 03-3454-8762

東京工業大学地球生命研究所 第5回国際シンポジウムおよび一般講演会「私たちはまだ 私たちの“はじまり”を知らない~生命の起源に迫る宇宙生物学の可能性~」を開催

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東京工業大学地球生命研究所(ELSI)は、第5回国際シンポジウムを開催し、また併せて、一般の方向けに宇宙の生命の起源をテーマにした講演会「私たちはまだ 私たちの“はじまり”を知らない~生命の起源に迫る宇宙生物学の可能性~」を開催します。

国際シンポジウムでは、当研究所研究員並びに海外からの招待講演者が登壇し、最新の研究動向を紹介します。一般講演会では、近年発展の著しい宇宙生物学の分野で活躍する2人の研究者が、地球外生命が存在する可能性、そしてその生命の起源について、紐解きます。

第5回国際シンポジウム(The 5th ELSI International Symposium)(英語のみ)

タイトル
Expanding Views on the Emergence of the Biosphere
日程
2017年1月10日(火)~13日(金)
会場
東工大藏前会館くらまえホールouter(東急大井町線・目黒線 大岡山駅から徒歩1分)
※1月10日の会場はELSI

プログラム

一般講演会(日英同時通訳)

タイトル
「私たちはまだ 私たちの“はじまり”を知らない~生命の起源に迫る宇宙生物学の可能性~」
日時
2017年1月11日(水)19:00~20:30(18:30開場・受付開始)
会場
東工大藏前会館くらまえホールouter(東急大井町線・目黒線 大岡山駅から徒歩1分)
参加対象
一般(要参加登録)
参加費
無料
参加登録
申込用サイト(Peatix)outerからご登録願います(先着150名)
講演者
藤島皓介(東京工業大学地球生命研究所、NASAエイムズ研究センター)
Lynn Rothschild(NASAエイムズ研究センター)
(注)
当日の講演の模様はストリーミング配信される予定です。予めご承知おき下さい。

私たちはまだ 私たちの“はじまり”を知らない~生命の起源に迫る宇宙生物学の可能性~ フライヤー

お問い合わせ先

東京工業大学地球生命研究所 広報室

E-mail : pr@elsi.jp
Tel : 03-5734-3163  FAX : 03-5734-3416

プレート境界からの「水漏れ」が深部低周波地震を抑制?

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要点

  • 沈み込みプレート境界で起きるゆっくり地震の発生には高い流体圧が必要だが、それを上昇させるメカニズムは未解明だった。
  • 深部低周波地震が発生していない領域ではプレート境界から上部(上盤側)へ水が漏れていたことが明らかになった。
  • プレート境界からの「水漏れ」と深部低周波地震発生との関係は水が地震発生に深く関与していることを示唆。

概要

東京工業大学 理学院の中島淳一教授、東北大学 理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センターの長谷川昭客員研究者/名誉教授は、西南日本において高精度の地震波形解析を行い、フィリピン海プレート境界での深部低周波地震の発生はプレート境界からの「水漏れ」と関係していることを明らかにしました。プレート境界で発生する巨大地震やゆっくり地震の発生に水が深く関与していることを示しており、プレート境界でのすべり過程を理解するための重要な成果です。この研究成果は、12月19日の英国科学誌Nature Communications(オンライン版)に掲載されました。

背景

1990年代初めまでは、沈み込みプレート境界は、普段は固着しており地震としてすべるか、または普段からずるずると安定的にすべっている領域にわけられると考えられていました。しかし2000年代に入ると、普通の地震よりも少しだけゆっくりとすべる低周波地震[用語1]が世界の沈み込み帯で相次いで報告されました。プレート境界巨大地震震源域の深部で発生する低周波地震は深部低周波地震と呼ばれ、大きな振幅の地震波の通過や地球潮汐などの小さな応力変化[用語2]にも敏感に応答して誘発されることもわかっています。これは深部低周波地震の発生域のプレート境界は「強度が弱い断層」であることを示唆しています。プレート境界を弱くする原因としては高い流体圧が考えられますが、プレート境界の流体圧を上昇させるメカニズムはよくわかっていません。

研究の経緯

西南日本では、フィリピン海プレートが沈み込み、1944年の東南海地震や1946年の南海地震のようなプレート境界巨大地震が過去に何度も発生し、大きな被害がもたらされてきました。これら巨大地震の震源域深部の深さ30 km付近では、東海地方から豊後水道にかけて深部低周波地震が帯状に発生しています(図1)。深部低周波地震の発生により巨大地震震源域の断層破壊が促進される可能性が指摘されていることから、深部低周波地震の発生場の理解はプレート境界でのすべり過程を解明するために極めて重要です。

西南日本の深部低周波地震の分布(赤点)と1944年の東南海地震、1946年の南海地震の震源域(緑領域)。

図1. 西南日本の深部低周波地震の分布(赤点)と1944年の東南海地震、1946年の南海地震の震源域(緑領域)。

そこで本研究では、世界で最も稠密な地震観測網が構築されている西南日本を対象に、深部低周波地震の発生域と非発生域で地下構造を高精度に推定し、プレート境界での水の挙動を観測から明らかにすることを目指しました。

研究成果

関東から九州までの1,000 kmにわたる帯状の領域において、地震波不均質構造の空間変化を明らかにしました。その結果、深部低周波地震が発生している領域ではプレート境界の上部の岩石が平均的な地震波速度を示す一方で、深部低周波地震が発生していない、関東、伊勢湾、紀伊水道、九州ではプレート境界の上部の岩石の地震波速度が平均よりも4%以上遅く、P波速度とS波速度の比(Vp/Vs比[用語3])は1.80以上か1.70以下の値を示すことが明らかになりました(図2)。

図1の青枠で囲まれた領域(長さ1,000 km)におけるP波速度(上)、Vp/Vs比(下)分布。
図2.
図1の青枠で囲まれた領域(長さ1,000 km)におけるP波速度(上)、Vp/Vs比(下)分布。フィリピン海プレート境界から1 - 4 km浅部の値を示す。深部低周波地震の非発生域ではP波速度が遅く、Vp/Vs比が1.80以上か1.70以下となっている。

関東、伊勢湾、紀伊水道、九州で観測された地震波速度の値は、上部の岩石が水による変成作用を受けていること、つまりプレート境界から水が漏れていることを示唆しています。水漏れにより流体圧が低くなるとプレート境界の強度が大きくなるため、そこでは深部低周波地震が発生しないと考えられます。プレート境界から漏れた水は上部の地震の原因にもなります(図3)。水漏れが起こらない場合、流体圧が上昇しプレート境界は「弱い断層」になります。すなわち、深部低周波地震の発生に必要な条件が整います。本研究で提案した新しいモデルでは、プレート境界の流体圧は上部の変成度合いと逆の相関を示すことが期待されます。

深部低周波地震の発生域(a)と非発生域(b)における水の挙動の模式図。

図3. 深部低周波地震の発生域(a)と非発生域(b)における水の挙動の模式図。

今後の展開

巨大地震発生域のプレート境界での流体圧を測ることは現状では困難です。しかし、本研究の成果はプレート境界の上部の構造変化を丹念に調査すれば、プレート境界での流体圧の空間変化を知ることができる可能性を示しています。プレート境界の破壊強度の空間変化や沈み込み帯の水循環の理解が進むと期待されます。

用語説明

[用語1] 低周波地震 : 普通の地震(振動周波数は~10 Hz)に比べて振動周波数が低い地震(1~4 Hz程度)。世界の多くの沈み込みプレート境界やアメリカのサンアンドレアス断層、ニュージーランドのアルパイン断層などで見つかっています。低周波地震のうち比較的深い場所(深さ30 km程度)で発生するものを深部低周波地震と呼びます。

[用語2] 応力変化 : 深部低周波地震が発生する地下30 kmのプレート境界には約1万気圧の圧力がかかっていますが、地震波の通過や地球潮汐(固体地球の変形)などにより0.1~1気圧程度の応力の揺らぎが生じます。このような小さな応力の揺らぎによっても深部低周波地震が誘発されることがあります。

[用語3] Vp/Vs比 : P波速度(Vp)とS波速度(Vs)の比。地殻や上部マントルの岩石では1.73~1.78程度の値を示すことが知られています。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Tremor activity inhibited by well-drained conditions above a megathrust
著者 :
Junichi Nakajima and Akira Hasegawa
DOI :

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に新たに発足した理学院について紹介します。

理学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 理学院 地球惑星科学系
教授 中島淳一

E-mail : nakajima@geo.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2547 / Fax : 03-5734-3537

東北大学 理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター
長谷川昭

E-mail : akira.hasegawa.d8@tohoku.ac.jp
Tel : 022-225-1950

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東北大学 大学院理学研究科
特任助教 高橋亮

E-mail : sci-pr@mail.sci.tohoku.ac.jp
Tel : 022-795-5572 / 022-795-6708
Fax : 022-795-5831

東工大グローバル水素エネルギー研究ユニット 第2回公開シンポジウム 開催報告

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将来の水素利用体系に関する総合的かつ技術的な検討を推進することを目的に発足した「東工大グローバル水素エネルギー研究ユニット」(以下、GHEU)は、10月5日、国内外の水素利用技術の現状と将来展望を共有するため、公開シンポジウムを開催しました。東工大蔵前会館の会場に用意した席がほぼ埋まる約261名の参加者が集まり、水素エネルギーに対する関心の高さがうかがえました。

  • 会場の様子

    会場の様子

  • 積極的に質問をする参加者

    積極的に質問をする参加者

開会の挨拶をする三島学長
開会の挨拶をする三島学長

開会挨拶で壇上に登った三島良直学長は、4月に10個の研究ユニットを立ち上げたことを紹介し、そのうちの一つがノーベル賞を受賞した大隅良典栄誉教授がユニットリーダーを務めていることに触れ、今回の受賞で大きな期待が東工大の研究ユニット全体に寄せられていると強調しました。また、岡崎健特命教授が率いるグローバル水素エネルギー研究ユニットもますます発展して欲しいとエールを送りました。

GHEUの活動と今後の戦略について説明する岡崎特命教授
GHEUの活動と今後の戦略について説明する岡崎特命教授

続いて、GHEUのユニットリーダーである科学技術創成研究院の岡崎健特命教授が、この研究ユニットの活動と今後の戦略について説明しました。研究活動の方針は、水素サプライチェーン構築に向けて産官学のメンバーが連携し、(1)正しい情報収集・整理・分析、(2)ボトルネックと研究課題の抽出、(3)社会実装に向けた方策の検討により、未利用エネルギーからの水素エネルギー利用体系の構築に向けた活動を共同で推進することであると話しました。また、今後の展開として、この研究ユニットに含まれる「グローバル水素エネルギーコンソーシアム」の充実をはじめ、プロジェクトの推進と次期プロジェクトの検討、国内の研究機関や産業界との連携、水素社会実現の本質的意義を伝える社会発信や社会貢献、世界的な研究ハブのイニシアチブをとるための国際展開を掲げました。

その後、東工大における水素研究の最新動向について、工学院の店橋護教授と環境・社会理工学院の梶川裕矢准教授がそれぞれ発表しました。

梶川准教授は「トータルシステム調査研究の取り組み」と題して、水素エネルギーが社会に実装されるためには何が必要かを説明し、科学技術の社会実装は要素技術だけでは決まらず、社会的なレジームで決まると指摘しました。さらに、社会の動向や社会にとっての水素エネルギーの価値を分析し、社会に発信しながら、同時に要素技術の開発を推進することが重要だと主張しました。また、この調査研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素利用等先導研究開発事業」の支援を受けていることを報告しました。

続いて、店橋教授は「水素燃料の本質的理解とその応用」というタイトルで、水素発電用のガスタービンの技術を実現するためにはどのような課題があるかを解説しました。水素だけを燃やす水素専燃の場合には、燃料と酸化剤の混合ガスを燃焼室に流入させる予混合燃焼と、燃料と酸化剤を別経路で燃焼室に流入させる非予混合燃焼が考えられると説明し、水素発電用のガスタービンには、きちんと燃える予混合の専燃技術が最終的に求められ、この研究開発が必要となるだろうとの見通しを示しました。また、予混合の水素専燃ガスタービンを実現するために乗り越えなくてはならない課題についても具体的に提示しました。

東工大の水素研究の最新動向について発表する梶川准教授
東工大の水素研究の最新動向について発表する店橋教授

東工大の水素研究の最新動向について発表する梶川准教授と店橋教授

今回のシンポジウムでは2名のゲストを招き、招待講演も実施しました。

招待講演1「水素社会の実現に向けた取組の加速~ロードマップの改訂について~」

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部
新エネルギーシステム課長 水素・燃料電池戦略室長 山澄克氏

2016年3月に改訂された「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の内容についての解説と、フェーズ1の定置用燃料電池や燃料電池自動車及び水素ステーション、フェーズ2の水素発電と大規模な水素供給システム、フェーズ3の再生可能エネルギー由来水素についての講演がありました。

講演をする山澄氏
講演をする山澄氏

講演をする山澄氏

招待講演2「ドイツにおける水素エネルギーと燃料電池技術」

ドイツ 水素・燃料電池技術研究機構
マネージング ディレクター バンホッフ博士

ドイツにおけるさまざまな水素エネルギーや燃料電池の技術や利用を紹介してもらいながら、国の取り組みなどの現状と今後の展望に関する講演がありました。

講演をするバンホッフ博士
講演をするバンホッフ博士

講演をするバンホッフ博士

最後に、この研究ユニットに参加する企業・組織のメンバーを交えたパネルディスカッションが開かれました。

パネリスト

  • 笹津浩司氏 電源開発株式会社 技術開発部長
    石炭のガス化とクリーン利用について提言しました。

  • 斎藤健一郎氏 JXリサーチ株式会社 エネルギー技術調査部長
    水素の製造・輸送・貯蔵・利用について、将来に繋ぐ論点を提示しました。

  • 中島良氏 株式会社東芝 次世代エネルギー事業開発プロジェクトチーム サブプロジェクトマネージャー
    再生可能エネルギー由来の水素を利活用する東芝の取り組みについて報告しました。

  • 大平英二氏 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 新エネルギー部主任研究員
    水素エネルギー利用の展開について多様な視点を提供しました。

  • 橋本道雄氏 東京工業大学 環境・社会理工学院 特任教授、GHEUメンバー
    水素発電による水素の大規模な利活用について説明し、水素エネルギーを推進する意義を訴えました。

上記のパネリストの他、冒頭に講演した店橋教授と梶川准教授も加わり、進行役はGHEUのユニットリーダーである岡崎特命教授が務めました。

閉会にあたって、岡崎特命教授は、学理に根ざした研究を基本に、水素社会の実現に向けた活動を活発化させたいと述べ、産官学の連携については、コンソーシアムの機能を強化してさらに密な活動を進めていくため、参加したい企業や組織があれば、いつでも声をかけて欲しいと呼びかけました。また、今後は、海外の大学との協力関係の強化も目指したいとの抱負を語りました。

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
グローバル水素エネルギー研究ユニット

E-mail : gheu@ssr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3335

スピン自由度を用いた次世代半導体デバイス実現へ大きな進展

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スピン自由度を用いた次世代半導体デバイス実現へ大きな進展
―強磁性半導体において大きなスピン分裂をもつ電子のエネルギー状態を初めて観測―

発表のポイント

  • 鉄(Fe)を半導体(InAs)へ数%添加したことによってIII-V族半導体で初めてのN型強磁性半導体[用語1](In,Fe)Asを作製し、電子キャリア[用語2]が存在する伝導帯とよばれるエネルギー帯に大きな自発的スピン分裂があることを見出しました(図1)。
  • このようなN型半導体における強磁性と自発的にスピン分裂した伝導帯構造の出現は、従来の理論では予測できないため、半導体や磁性の物性物理学と半導体スピントロニクス[用語3]に新しい知見を与える重要な成果となります。
  • 強磁性半導体が大きくスピン分裂した電子状態を持つことを明らかにしたことにより、スピン自由度を利用した様々な半導体デバイスの設計と作製が可能になり、本成果は今後のスピンデバイス応用に向けて大きな前進をもたらすものと期待されます。
III-V族半導体InAsに磁性不純物として鉄(Fe)を添加したN型強磁性半導体(In,Fe)As(図の下部)において、Fe原子の局在スピンと電子キャリアとの相互作用によって強磁性秩序が現れるとともに、キャリア電子が存在する伝導帯の上向きスピン電子と下向きスピン電子の伝導帯エネルギーに大きなスピン分裂が観測された(図の上部)。
図1.
III-V族半導体InAsに磁性不純物として鉄(Fe)を添加したN型強磁性半導体(In,Fe)As(図の下部)において、Fe原子の局在スピンと電子キャリアとの相互作用によって強磁性秩序が現れるとともに、キャリア電子が存在する伝導帯の上向きスピン電子と下向きスピン電子の伝導帯エネルギーに大きなスピン分裂が観測された(図の上部)。

発表概要

東京大学 大学院工学系研究科のレ・デゥック・アイン助教、東京工業大学 工学院のファム・ナム・ハイ准教授、東京大学 大学院工学系研究科の田中雅明教授は、高速電子デバイスに使われるIII-V族化合物半導体(InAs)に鉄(Fe)原子を添加した混晶半導体(In,Fe)Asを作製し、(In,Fe)AsがN型(電流を担うものが電子である物質)で強磁性を示す(磁石になる)と同時にその伝導帯(電子キャリアが存在するエネルギー帯)に大きな自発的スピン分裂が生ずる(電子がもつスピンが上向きか下向きかによって大きくエネルギーが異なる)ことを見出しました。このような半導体において現れる強磁性、N型かつ大きくスピン分裂した伝導帯構造の観測は初めてであり、固体物理学に新しい知見を与えると共に、スピン自由度を利用した半導体デバイスへの応用に道を開くものと期待されます。

発表内容

研究の背景

強磁性半導体(Ferromagnetic Semiconductor: FMS)は非磁性半導体の一部の原子を磁性原子で置換することにより強磁性(磁石としての性質)が現れる材料です。既存の半導体技術との親和性が高いため、従来の半導体デバイスに「スピン」自由度を加えることにより、不揮発性、低消費電力、再構成可能性、量子情報などの新機能をもたらす可能性があり、世界的に注目されています。半導体結晶中に添加された磁性原子とキャリア(電子または正孔)との相互作用によって強磁性が誘起されるとともに、半導体中の上向きスピンをもつ電子と下向きスピンをもつ電子のエネルギー帯が大きく分裂することが期待されます。

しかし、実際にはこれまで電子のエネルギー帯のスピン分裂が実測された強磁性半導体は非常に稀で、II-VI族である(Cd,Mn)Teにおいて極低温(4 K = マイナス269.15 ℃)で価電子帯の自発的分裂(~10 meV)がわずかに見られたのみです。その理由の1つとして、多くの場合、磁性原子として使われるマンガン(Mn)が局在スピンとキャリア(正孔)を同時に供給するため、キャリアが不純物帯に存在し伝導帯や価電子帯はほぼ変化しないためと考えられています。また、これまでは半導体エレクトロニクスと整合性の良いIII-V族やIV族半導体では、P型(電子が抜けた穴=正孔が電流を担う)強磁性半導体しか作製できず、半導体デバイスに不可欠なN型の強磁性半導体は存在しませんでした。

研究内容

本研究グループは、添加する磁性原子としてMnの代わりに鉄(Fe)を選びました。Feの特徴は、III-V族半導体中で中性になる(ドナーにもアクセプターにもならない)ので、局在スピンとキャリアの起源を分離できること、よってP型のみならずN型も作製可能になることです。III-V族半導体であるインジウムヒ素(InAs)にFeを添加すると、電子濃度が1018 cm-3以上で強磁性が現れ、III-V族で初めてのN型強磁性半導体になります。さらに今回、トンネル分光法[用語4]というエネルギー分解能が高い手法を用いて(In,Fe)Asの伝導帯構造を詳細に調べた結果、大きな自発スピン分裂(30~50 meV)が強磁性温度領域で観測されました。強磁性半導体において、このような伝導帯の自発スピン分裂が確認されたのは初めてです。

社会的意義・今後の予定など

InAsのような、高速電子デバイスやエレクトロニクスで使われる重要なIII-V族半導体において、N型で強磁性が明瞭に現れること、かつ、大きくスピン分裂した伝導帯をもつことは、従来の理論では予測できないため、半導体や磁性の物性物理学と半導体スピントロニクスに新しい知見を与える[用語5]重要な成果です。また、強磁性半導体が大きくスピン分裂したエネルギー帯構造を持つことは、スピン自由度を利用した半導体デバイスの設計と作製を可能にするものであり、本成果は今後のスピンデバイス応用に向けて大きな前進をもたらすものと期待されます。

用語説明

[用語1] 強磁性半導体 : 半導体と強磁性体(磁石)の両方の性質を併せ持つ物質であり、スピントロニクス材料として用いられる。現在は、主に半導体(II-VI族、III-V族)の結晶成長中に磁性不純物(Mn、Fe、Coなど)を添加した材料が主流である。典型的な強磁性半導体ではキャリア誘起強磁性(すなわちキャリア密度が少ない場合には常磁性、多い場合には強磁性)を示し、キャリアを制御することによって磁性を制御できるという優れた特長をもつ。この特長を生かし、電気的あるいは光学的手段で磁性を制御できるという機能をもつ。既存の半導体材料や技術との整合性が良いので、将来のスピントロニクスデバイスに使われる材料として期待されている。

[用語2] キャリア : 固体中で電荷の流れ(電流)を担うもの。電荷の流れ(電流)に寄与する電子、正孔(ホール)、伝導イオンなどの総称。電子が抜けた穴が正孔で、正の電荷をもつ粒子のようにふるまう。電流を担うものが電子である物質をN型、正孔である物質をP型という。半導体では同じ物質でN型とP型ができ、キャリア濃度を制御することによってダイオード、トランジスタ、LED、レーザなどさまざまなデバイスができる。半導体デバイスを作製するためにはN型とP型の両方を必要とする。

[用語3] スピントロニクス : 電子は「電荷」とともに自転の角運動量に相当する「スピン」を持っている。電子はスピンをもつことにより、小さな磁気モーメントをもち、そのスピンによる磁気モーメントが多数揃った状態が物質の強磁性状態(磁石)である。スピントロニクス(Spintronics)とは、「電荷」と「スピン」の両方を活用して、新しい機能をもつ物質や材料の設計、デバイス、エレクトロニクス、情報処理技術などに応用しようとする新しい研究分野である。

[用語4] トンネル分光法 : 2つの材料が絶縁薄膜を挟んだ構造において、絶縁薄膜が十分に薄ければ一方の電極から反対側の電極に電子キャリアがトンネルでき、トンネル電流が流れる。この時トンネル電流の微分が両電極の状態密度の積に比例するため、このような構造においてバイアス電圧を変えながらトンネル電流を精密に測定し、そのデータを解析することにより、電極材料の電子状態を測定することができる。この手法をトンネル分光法という。本研究では、N型 (In,Fe)AsとP型InAsの接合構造においてトンネル分光法を用いて(In,Fe)Asの伝導帯の電子状態を明らかにした。

[用語5] スピントロニクス研究の発展の経緯と将来性 : 電子の「電荷」の蓄積や流れを制御することによって、トランジスタや集積回路をはじめとするさまざまなデバイスが生み出され、20世紀後半以降、エレクトロニクスや情報・通信技術の大発展をもたらした。一方、電子の「スピン」は磁性の源であり、磁石は古くから使われてきたが、磁性と電子の伝導がかかわる巨大磁気抵抗効果やトンネル磁気抵抗効果など新しい物理現象の発見を契機に応用技術も発展し、20世紀末頃から「スピントロニクス」といわれる新しい分野が形成され、現在では世界的に大きな研究の潮流となっている。その初期過程で巨大磁気抵抗効果の発見が2007年ノーベル物理学賞の対象になり、ハードディスクのヘッド(磁場センサ)に使われ記録容量の大容量化に大きく貢献した。また、トンネル磁気抵抗効果は高感度の磁場センサとともに次世代不揮発性メモリの基本原理として盛んに研究が行われている。
「スピントロニクス」では、将来の大容量ストーレージや不揮発性メモリへの応用のみならず、従来のエレクトロニクスや情報処理技術では実現できなかった優れた機能(不揮発性、低消費電力動作)や性能(高速演算・高密度集積・再構成可能)を持つマテリアル・デバイス・システムの研究が行われている。スピントロニクスは基礎から応用まで幅広く、両者が密接に関連しながら発展してきており、対象とする物質も金属、半導体、酸化物、有機物やそれらのヘテロ構造・ナノ構造など、多様で横断的な広がりを見せている。また、電子スピンのみならず、核スピン、磁性原子のスピン、磁壁、光のスピン(円偏光)など、スピンに関わる様々な現象とその応用の研究や、スピン(電子スピン、核スピン)、電荷、フォトンの量子状態を用いた量子計測や量子情報技術に関する研究も急速に進展している。おりしも、過去40年以上に渡ってエレクトロニクスや情報処理を支えてきたシリコン集積回路の微細化による高性能化(ムーアの法則)の限界が近づくにつれて、新しい原理や機能を導入した次世代デバイスの研究開発が世界的に関心を集めており、スピントロニクスは最も有望な将来技術の1つとして期待されている。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications
論文タイトル :
Observation of spontaneous spin-splitting in the band structure of an n-type zinc-blende ferromagnetic semiconductor
著者 :
Le Duc Anh, Pham Nam Hai, and Masaaki Tanaka
DOI :

工学院

工学院 ―新たな産業と文明を拓く学問―
2016年4月に新たに発足した工学院について紹介します。

工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京大学 大学院工学系研究科
教授 田中雅明

E-mail : masaaki@ee.t.u-tokyo.ac.jp
Tel : 03-5841-6728

東京大学 大学院工学系研究科
助教 レ・デゥック・アイン

E-mail : anh@cryst.t.u-tokyo.ac.jp
Tel : 03-5841-6729

東京工業大学 工学院 電気電子系
准教授 ファム・ナム・ハイ

E-mail : pham.n.ab@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3934

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

2016年度前期の附属図書館企画展示

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東工大附属図書館では、所蔵資料の利用促進のため、1年を通じて企画展示を行っています。テーマは2~3ヵ月毎に変更します。原則として図書館サポーターの学生が本を選び、ポスターや配布用のリストとコメントを書いたポップの作成を行っています。2016年度前期に実施した展示を紹介します。

※図書館サポーターとは...

カウンター対応の補助、書架の整理、資料の整備、広報活動、展示等の企画など図書館内でさまざまな仕事を補助してくれている学生たちです。

「2016春 新入生にすすめる本」展示(大岡山キャンパス)

「2016春 新入生にすすめる本」展示(大岡山キャンパス)

「思わず魅せられる本」展示(すずかけ台キャンパス)

「思わず魅せられる本」展示(すずかけ台キャンパス)

図書館サポーター推薦:2016春 新入生にすすめる本

展示期間:4月1日~5月31日

「2016春 新入生にすすめる本」ポスター
「2016春 新入生にすすめる本」ポスター

新入生におすすめの本を展示しました。図書館サポーターが4月に入学した学生向けに選定しました。展示本には、その本を選んだサポーターが作成したポップを添え、サポーターによる推薦文は、配布用の図書リストに掲載しました。

大学での学修にすぐに役立ちそうな本、在学中に経験してみたいことが書いてある本、卒業・修了後の目標に向けての準備としてためになる本など、学生にとって気になる本がたくさん展示されました。そのためか、展示場所に足を止め、展示本、ポップに書かれたコメント、図書リストに目を通す人の姿が多く見られました。

展示された本は、新入生・在学生を問わず、すぐにほとんどが借りられるなど大変好評でした。

図書館サポーター推薦:思わず魅せられる本

展示期間:7月19日~9月20日

「思わず魅せられる本」ポスター
「思わず魅せられる本」ポスター

“見た目”でおすすめする本や雑誌を展示しました。写真集をはじめとして、大きな写真や図等が上質な紙に印刷されている資料が多く展示されました。利用者が持ち帰るには躊躇するような、高さが30 cmを超える本や重さが2 kgを超える本もありましたが、多くの本が何度も借りられていました。また、展示資料のページをめくってはじっくり眺めている人の姿が、幾度となく見受けられました。

関連リンク

お問い合わせ先

研究推進部情報図書館課利用支援グループ

Tel : 03-5734-2097

日加シンポジウム「Advancing Innovation: Japan-Canada, Ontario Dialogue for Strategic Collaboration」開催報告

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11月30日に、在日カナダ大使館、オンタリオ州貿易省およびオンタリオ州企業代表団約50名が来訪し、東工大蔵前会館ロイアルブルーホールにてシンポジウム「Advancing Innovation: Japan-Canada, Ontario Dialogue for Strategic Collaboration (イノベーションの推進:戦略的連携のための日加、オンタリオ政府の対話)」を開催しました。シンポジウムに先立ち、在日カナダ大使館マーシャル・パジェ公使が三島良直学長を表敬訪問しました。

パジェ公使による学長表敬訪問
パジェ公使による学長表敬訪問

本シンポジウムは、本学とオンタリオ州政府との国際共同研究及び産学連携をさらに推進することを目的に開催されたもので、三島学長、パジェ公使、キャメロン・シンクレア オンタリオ州国際貿易省次官補の3人の挨拶から始まりました。続いて、東工大を代表して、理学院 物理学系の西森秀稔教授、リベラルアーツ研究教育院の猪原健弘教授が講演した後、産学連携推進本部の大井満彦国際部門長が東工大の国際産学連携の取り組みを紹介しました。

理学院物理学系 西森秀稔教授
理学院物理学系 西森秀稔教授

リベラルアーツ研究教育院 猪原健弘教授
リベラルアーツ研究教育院 猪原健弘教授

ウォータールー大学 サンドラ・バンクス副学長 ウォータールー大学 サンドラ・バンクス副学長

短い休憩をはさんだ後、後半はオンタリオ州の代表者による講演がありました。最初に、東工大が学術交流協定を結んでいるウォータールー大学のサンドラ・バンクス副学長が、同大学が全学的に取り組んでいるアントレプレナーシップ(起業家精神)育成のための先進的な取り組みを紹介しました。続いて、オンタリオ州に拠点を置く2企業の代表により、カナダにおける企業革新の取り組み、そしてイノベーションによる新しいビジネスモデルを構築し展開するスタートアップ企業支援の取り組みが紹介されました。

今回のシンポジウムをきっかけとして、今後さらに東工大およびオンタリオ州の大学や企業との交流が活発化し、イノベーションに繋がる国際連携に発展することが期待されます。

お問い合わせ先

研究戦略推進センター

E-mail : ru.staff@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3790


室温で強磁性・強誘電性が共存した物質を実現―低消費電力・超高密度磁気メモリー開発に道―

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概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の北條元・元助教(現九州大学 総合理工学研究院 准教授)、東正樹教授、名古屋工業大学の壬生攻教授らの研究グループは、セラミックス結晶中に磁石の性質(強磁性[用語1])と電気を蓄える性質(強誘電性[用語2])が室温において共存することを確認した。室温での両性質の共存は、鉄酸ビスマスを用いた次世代磁気メモリー実現のための鍵として注目されていながらも、磁性不純物の影響により、これまで本質的であると実験で確認されたことはなかった。

同研究グループは、コバルト酸鉄酸ビスマスを薄膜形態で安定化させ、その磁気特性および誘電特性を詳しく調べた。その結果、温度に応じて磁石としての性質が変化し、低温では消失していた磁石の特性が室温では現れることを明らかにした。電気を蓄える性質も備えている。強磁性と強誘電性の相関が確認されたことから、新しい原理に基づく、低消費電力かつ高速アクセス、大容量の次世代磁気メモリー開発につながると期待される。

同研究グループには東工大の川邊諒・元大学院生、清水啓佑大学院生、山本孟大学院生、インドのボーズ基礎科学研究センターが参画した。

研究成果はドイツの材料系科学誌「Advanced Materials(アドバンストマテリアルズ)」のオンライン版で12月21日に公開された。

研究の背景

スマートフォンの普及やビッグデータなどによる情報処理量の爆発的な増大に伴う、情報機器の消費電力が問題になる中で、低消費電力・高記録密度・不揮発性の次世代メモリーデバイスへの要求が高まっている。こうした観点から注目されるのが、磁性と強誘電性を併せ持つマルチフェロイック物質[用語3]である。磁性と強誘電性の相関が十分に強く、電場によって磁化方向を反転することができれば、不揮発性・高安定性という現在の磁気メモリーの特徴を生かしつつ、低消費電力・高記録密度かつ簡易な素子構造を有した次世代磁気メモリーを実現できると期待される。

研究成果

これまでに菱面体晶ペロブスカイト[用語4]の鉄酸ビスマスには反強磁性[用語5](厳密には反強磁性秩序に加えて、サイクロイド変調[用語6]が重畳している)と強誘電性が存在することが知られていた(図1左)。

鉄酸ビスマス(左)とコバルト酸鉄酸ビスマス(右)の磁気構造の模式図
図1.
鉄酸ビスマス(左)とコバルト酸鉄酸ビスマス(右)の磁気構造の模式図。鉄酸ビスマスは反強磁性体であるため、スピンの磁化は打ち消し合い自発磁化は現れない。一方、コバルト酸鉄酸ビスマスはスピンが傾斜しているため、磁化は打ち消し合わずに自発磁化が現れる。

今回、北條准教授、東教授ら研究グループは、鉄を一部コバルトで置換したコバルト酸鉄酸ビスマスを、強誘電性の評価が可能な薄膜形態で安定化させることに成功した。誘電特性評価の結果、薄膜試料が室温で強誘電体であることを確認した(図2左)。

室温における鉄酸ビスマスとコバルト酸鉄酸ビスマス(xはコバルトの置換量)の電気分極の外部電場依存性(左)および磁化の外部磁場依存性
図2.
室温における鉄酸ビスマスとコバルト酸鉄酸ビスマス(xはコバルトの置換量)の電気分極の外部電場依存性(左)および磁化の外部磁場依存性。

さらに、薄膜の成長する方向を工夫することにより、温度に応じて磁石の性質が変化し、室温で弱強磁性[用語7]が現れることを明らかにした(図2右)。この磁性がスピン配列の変化による本質的な強磁性であることはメスバウアー分光分析[用語8]による磁気構造解析により裏付けられた(図1右)。また、この強磁性相は、温度およびコバルト置換量の増加とともに安定化されることも明らかとなった。

今後の展開

今回の成果は新しい磁気メモリー実現のための鍵といわれてきた、室温における強磁性と強誘電生の共存を、コバルト酸鉄酸ビスマス薄膜について実験的に証明したものである。また、強誘電電気分極と自発磁化の間には互いに直交するという関係があるため、電気分極の反転によって磁気情報を書き込む新しい磁気メモリー材料や、電荷と磁化の両方を情報として用いる大容量多値メモリーとしての応用への道筋も拓ける。これにより、鉄酸ビスマスをベースとしたマルチフェロイック物質の開発に拍車がかかるものと期待される。

付記

本研究の一部は、神奈川科学技術アカデミー・戦略的研究シーズ育成事業「革新的巨大負熱膨張物質の創成」(代表・東正樹東京工業大学教授)、文部科学省・科学研究費補助金・新学術領域研究「ナノ構造情報のフロンティア開拓—材料科学の新展開」(代表・田中功京都大学教授)、基盤研究A「ビスマス・鉛ペロブスカイトのs-d軌道間電荷分布変化解明と巨大負熱膨張への展開」(代表・東正樹東京工業大学教授)、旭硝子財団若手継続グラント「Bi系マルチフェロイック薄膜の磁気構造制御と電場による磁化反転の実現」(代表・北條元九州大学准教授)、新世代研究所研究助成「次世代メモリ実現のためのBi系マルチフェロイック材料の開発」(代表・北條元九州大学准教授)、文部科学省・ナノテクノロジープラットフォームの援助を受けて行った。

用語説明

[用語1] 強磁性 : 電子は自転に例えられるスピンと呼ばれる内部自由度をもち、2つ状態(例えば上向きと下向き)をとる。隣り合う電子のスピンが同じ方向を向いて整列した状態を強磁性状態と呼ぶ。

[用語2] 強誘電性 : 電界(電圧を、その電圧が印加されている試料の厚みで割ったもの)を印加されていない状態でも電気分極(物質中で陽イオンと陰イオンの重心がずれていることから生じる、電荷の偏り)を持ち、かつ外部電界の向きに応じて電気分極の向きを可逆的に反転できる性質のことを強誘電性と呼ぶ。

[用語3] マルチフェロイック物質 : 一般に、複数の強的秩序を有する物質のことを指す。狭義では、強磁性と強誘電性の2つの強的秩序を有する物質を指す。

[用語4] 菱面体晶ペロブスカイト : ペロブスカイトは一般式ABO3で表される元素組成を持つ、金属酸化物の代表的な結晶構造。結晶構造中の原子の繰り返し周期である単位格子が、立方体ではなく、頂点方向に伸びたものを菱面体晶と呼ぶ。

[用語5] 反強磁性 : 隣り合う電子のスピンが互いに逆方向を向いて整列した状態を反強磁性状態と呼ぶ。スピンによる磁化は打ち消しあうため、全体として磁化を持たない。

[用語6] サイクロイド変調 : ある方向にスピンが少しずつ回転していくようなスピンの配列。そのスピンベクトルの先端をつなぐとサイクロイド曲線になる。

[用語7] 弱強磁性 : 反強磁性体において、スピンが完全には反並行にならず、わずかに傾いた状態を指す。磁化は完全には打ち消されないため、自発磁化が現れる。

[用語8] メスバウアー分光分析 : 原子核が反跳せずにγ線を共鳴吸収する現象を利用して、物質中のメスバウアー核(ここでは57Fe)の電子状態や磁気的性質を調べる手法のこと。

論文情報

掲載誌 :
Advanced Materials
論文タイトル :
Ferromagnetism at room temperature induced by spin structure change in BiFe1-xCoxO3 thin films
著者 :
Hajime Hojo, Ryo Kawabe, Keisuke Shimizu, Hajime Yamamoto, Ko Mibu, Kartik Samanta, Tanusri Saha-Dasgupta, and Masaki Azuma
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所
教授 東正樹

E-mail : mazuma@msl.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5315 / 080-4402-5315
Fax : 045-924-5318

名古屋工業大学 工学研究科
教授 壬生攻

E-mail : k_mibu@nitech.ac.jp
Tel : 052-735-7904

九州大学 総合理工学研究科
准教授 北條元

E-mail : hojo.hajime.100@m.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-583-7526 / Fax : 092-583-8853

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

名古屋工業大学 企画広報課広報室

E-mail : pr@adm.nitech.ac.jp
Tel : 052-735-5647 / Fax : 052-735-5009

九州大学広報室

E-mail : koho@jimu.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-2130 / Fax : 092-802-2139

高校生バイオコン・教材で遊ぼう2016 開催報告

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10月22日、本学すずかけ台キャンパス大学会館(すずかけホール)において、「第9回高校生バイオコン・教材で遊ぼう2016」が開催されました。

生命理工学院が主催し、同院所属の学生を中心とした学生サークル、東工大バイオ・クリエイティブ・スタッフ(以下、BCS)が運営を担当する「高校生バイオコン」は、高校生たちが独自のアイデアで小中学生向けのバイオ系教材を開発し、その出来栄えを競うコンテストです。また、「教材で遊ぼう」では、小学生をはじめとする来場者が実際に開発教材で遊びながら体験学習をする時間を設け、お気に入りの教材に投票し、その結果も順位決定に反映されます。

今回は8校15チームが参加し、約5ヵ月かけて開発した教材について発表しました。高校生の趣向を凝らした教材やプレゼンテーションに、来場者は驚き、笑い、会場全体が活気と熱気に満ちていました。

イベントの立て看板

イベントの立て看板

会場配置図を片手にミーティング

会場配置図を片手にミーティング

プレゼンテーション

10時から、高校生たちのプレゼンテーションによる熱い戦いが始まりました。

今年度の参加チームは以下のとおりです。

学校名
チーム名
テーマ
私立麻布大学附属高等学校(神奈川県)
なぎ部長とゆかいな仲間たち
色素の冒険~色素増感太陽電池~
愛媛県立西条高等学校
POM
不思議な生物“ミドリムシ”
神奈川県立厚木高等学校
モスラボ
蚊を引き寄せよう?~誘引物質で蚊を捕まえる~
神奈川県立厚木高等学校
Structural Color
色の名は。
神奈川県立相模原中等教育学校
Evolution
進化ゲーム
神奈川県立相模原中等教育学校
Vocal Cord
視覚で捉える声変わり
私立清真学園高等学校(茨城県)
チーム Echos
耳ってなあに?
私立清真学園高等学校(茨城県)
チーム くろろ
クロロフィルの吸収する光の波長と蛍光
私立清真学園高等学校(茨城県)
チーム フレグラ
カタチでにおいがわかる?
私立桐蔭学園高等学校(神奈川県)
ECOシステム
生態系の理解による自然の保護
私立桐蔭学園高等学校(神奈川県)
TBC
Forever Figure
東京都立新宿高等学校
クマムシマスターズ
クマムシGo~めざせクマムシマスター~
東京都立新宿高等学校
それいけ!ももちゃんず
FLY!
栃木県立大田原女子高等学校
いーちゃん
誰の消化管が腸~なが胃?
栃木県立大田原女子高等学校
O-girls
目指せバードマスター!
高校生によるプレゼンテーション

高校生によるプレゼンテーション

自身のチーム以外のプレゼンテーションにも積極的に質問する参加者

自身のチーム以外のプレゼンテーションにも積極的に質問する参加者

プレゼンテーション後の質疑応答では、ほかのチームの高校生からあがったたくさんの質問に、発表チームの高校生たちが堂々と答えていました。

「教材で遊ぼう」

教材お試しタイムに教材に挑戦する子ども

教材お試しタイムに教材に挑戦する子ども

自身のブースで教材を説明する高校生

自身のブースで教材を説明する高校生

プレゼンテーションに続く「教材で遊ぼう」では、小学生をはじめ多くの来場者が実際に教材を試しました。動物の腸の長さを実感できる展示やゲームなどが用意された展示ブースは、子供たちの楽しそうな笑顔で溢れていました。どの作品にも工夫が凝らされ、高校生たちは来場者に丁寧に解説していました。

教材について来場者にも丁寧に説明

教材について来場者にも丁寧に説明

ブースに展示された教材

ブースに展示された教材

ブースに展示された教材
ブースに展示された教材
ブースに展示された教材

審査・表彰

高校生の発想を楽しみながら審査する審査員
高校生の発想を楽しみながら審査する審査員

学外から招待した審査員や来場者による投票などで参加チームの順位が決定します。

今年度は以下の結果となりました。入賞チームの皆さん、おめでとうございました。

受賞を惜しくも逃したチームも素晴らしい作品で、審査員からエールが送られました。

優勝
神奈川県立相模原中等教育学校
Vocal Cord
準優勝
栃木県立大田原女子高等学校
いーちゃん
3位
東京都立新宿高等学校
クマムシマスターズ
横浜市教育委員会賞
私立清真学園高等学校(茨城県)
チーム Echos
審査員特別賞
神奈川県立相模原中等教育学校
Evolution
審査員特別賞
私立桐蔭学園高等学校(神奈川県)
ECOシステム

優勝から3位までと横浜市教育委員会賞を受賞した4チームは、2017年1月21日(土)に開催予定の「東工大バイオものコン2017」に出場し、本学2、3年生と競い合います。

東工大バイオ・クリエイティブ・スタッフ(BCS)

BCSは、今回の「高校生バイオコン」のほか、「東工大バイオコン」「東工大ものつくりコンテスト」への協力、さらには小中学生を対象とした実験教室の開催も行うなど、2009年に創設されて以降、バイオの面白さを子供たちに伝えるための活動しています。

本イベントでは、BCSメンバーは運営だけでなく、参加チームの高校に出向いてアドバイスをするなどのサポートも行うなどして、高校生との交流を深めてきました。高校生にとってだけでなく、BCSのメンバーにとってもよい経験となりました。

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

生命理工学院 バイオ創造設計室

E-mail : biocreat@bio.titech.ac.jp

大隅良典栄誉教授のノーベル賞受賞を記念して附属図書館で展示を開催

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10月5日から11月2日にかけて、東京工業大学附属図書館では、大隅良典栄誉教授の2016年ノーベル生理学・医学賞受賞決定を記念して、所蔵資料の巡回展示を行いました。

展示風景(大岡山本館)

展示風景(大岡山本館)

大岡山本館では10月5日から10月18日まで、すずかけ台分館では10月20日から11月2日にかけて、図書館が所蔵している大隅栄誉教授の著作や関連資料、各紙一面を飾った受賞発表翌日の新聞記事を展示しました。大岡山本館での展示では、一部日程が工大祭と重なったこともあり、工大祭企画の一つである図書館ツアーの参加者にも本展示を見学していただくことができました。

展示風景(すずかけ台分館)

展示風景(すずかけ台分館)

展示した資料のタイトルは以下のリストをご覧ください。

大隅良典栄誉教授 祝 ノーベル生理学・医学賞受賞記念記念展示資料リスト

展示期間

大岡山本館:2016年10月5日~10月18日

すずかけ台分館:2016年10月20日~11月2日

当館所蔵資料

No.
書名
著者
出版社
出版年
請求記号
配架場所
1
オートファジー分子機構とその多様性の解明
大隅良典
東京工業大学
2012
2011/1/
科研費
大岡山 本館B1F-集密:
科研費報告書
2
酵母のすべて:系統、細胞から分子まで
大隅良典、
下田親編
シュプリンガー・
ジャパン
2007
465.8/O
すずかけ台 分館3F-
一般図書
3
細胞の分子生物学プロブレム・ブック. 改訂版
John Wilson、
Tim Hunt著;
田口マミ子
(ほか)訳
ニュートンプレス
1997
463/W
大岡山 本館B1F-
一般図書
463/W
すずかけ台 分館3F-
一般図書
4
細胞の分子生物学プロブレム・ブック
John Wilson、
Tim Hunt著;
大隅良典
(ほか) 監訳
教育社
1991
463/W
すずかけ台 分館3F-
一般図書
5
分子生物学イラストレイテッド(改訂第3版)
田村隆明、
山本雅編
羊土社
2009
464.1/Ta
すずかけ台 分館3F-
一般図書
6
メンブレントラフィックの奔流:分子から細胞、そして個体へ
※蛋白質核酸酵素;2008年12月号増刊 Vol.53,No.16(通巻748号)
大野博司、
吉森保編
共立出版
2008
463/O
大岡山 本館B1F-
一般図書
463/O
すずかけ台 分館3F-
一般図書
7
生化学辞典(第4版)
大島泰郎
(ほか)編
東京化学同人
2007
464.03/Se
大岡山 本館B1F-
参考図書
464.03/Se
すずかけ台 分館3F-
参考図書
8
生化学(第2版)
鈴木紘一編;
石浦章一
(ほか)著
東京化学同人
2007
464/Se
大岡山 本館B1F-
一般図書
9
タンパク質科学:構造・物性・機能
後藤祐児、
桑島邦博、
谷澤克行編
化学同人
2005
464.2/G
すずかけ台 分館3F-
一般図書
10
細胞の動的機能
日本生化学会編
東京化学同人
1998
464/N
すずかけ台 分館3F-
「東工大先生の本」文庫

Key Publications

著者(出版年)

論題

雑誌名、巻、頁数

Takeshige, K., Baba, M., Tsuboi, S., Noda, T. and Ohsumi, Y. (1992).

Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction.

Journal of Cell Biology, 119, 301-311

Tsukada, M. and Ohsumi, Y. (1993).

Isolation and characterization of autophagy-defective mutants of Saccharomyces cervisiae.

FEBS Letters, 333, 169-174

Mizushima, N., Noda, T., Yoshimori, T., Tanaka, Y., Ishii, T., George, M.D., Klionsky, D.J., Ohsumi, M. and Ohsumi, Y. (1998).

A protein conjugation system essential for autophagy.

Nature, 395, 395-398

Ichimura, Y., Kirisako T., Takao, T., Satomi, Y., Shimonishi, Y., Ishihara, N., Mizushima, N., Tanida, I., Kominami, E., Ohsumi, M.,Noda, T. and Ohsumi, Y. (2000).

A ubiquitin-like system mediates protein lipidation.

Nature, 408, 488-492

東京工業大学附属図書館

Tokyo Institute of Technology Library

ノーベル生理学・医学賞2016 特設ページヘ

大隅良典栄誉教授が「オートファジーの仕組みの解明」により、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。受賞決定後の動き、研究概要をまとめた特設ページをオープンしました。

ノーベル生理学・医学賞2016 特設ページヘ

お問い合わせ先

研究推進部情報図書館課利用支援グループ
すずかけ台図書館グループ

Tel : 03-5734-2097、045-924-5152

Tokyo Tech ストックホルム通信(ノーベルウィーク随行レポート)12月6日~8日

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12月10日はアルフレッド・ノーベルの命日であり、ノーベル平和賞を除く各賞の授賞式がスウェーデンで行われます。12月6日から12日は「ノーベルウィーク」と呼ばれ、ストックホルムを中心に各地でノーベル賞を祝う様々なイベントが行われます。大隅良典栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞決定を受け、ノーベルウィークに合わせて学長をはじめ、本学教職員が現地に同行しました。

12月6日 大隅良典栄誉教授がストックホルムに到着

2016年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した大隅栄誉教授は、授賞式等のイベントに参加するため、本日、ストックホルムに到着しました。

宿泊するグランドホテルの前には朝8時頃から多くの報道陣が集まり始めました。

到着予定時刻を過ぎてもなかなか到着せず、現地に同行している本学職員も不安に感じる中、10時を過ぎたところでようやく大隅栄誉教授を乗せた車が到着しました。報道陣に囲まれながら、「これから頑張ります」とのコメントを残し、萬里子夫人とともにホテルへ入っていきました。

宿泊予定のホテルの前にて、大隅栄誉教授の到着を待つ報道陣
宿泊予定のホテルの前にて、大隅栄誉教授の到着を待つ報道陣

ホテルに到着した大隅栄誉教授夫妻
ホテルに到着した大隅栄誉教授夫妻

午後、大隅栄誉教授はノーベル賞授賞式や晩餐会で着る正装(燕尾服)を借りるため、ストックホルム市内の仕立屋ハンス・アルデに向かいました。店主は、創業者3代目となるラース・アルデさん。3年連続で日本人がノーベル賞を受賞することをとても喜んでいました。

仕立て屋ハンス・アルデ
仕立て屋ハンス・アルデ

店主のラース・アルデさん
店主のラース・アルデさん

同日夜、大隅栄誉教授のゲストとして授賞式や晩餐会に招待されている三島学長がストックホルムに到着しました。ゲストは、グランドホテル内に設置されたノーベルデスクでプログラムやチケットなどのゲスト用キットを受け取ります。

ゲスト用キット

ゲスト用キット

ゲスト用キット

12月7日 ノーベルウィークの主要イベント 大隅栄誉教授によるノーベル・レクチャー

ノーベルウィークの2日目となりました。今日は、ノーベル賞受賞者が自らの研究成果などを講演するノーベル・レクチャーが行われます。大隅栄誉教授は受賞が決まった今年の10月からずっと、このノーベル・レクチャーのために発表内容の推敲を重ねていたそうです。

会場となるカロリンスカ研究所のアーラ・メディカホールは、周辺に伝統的な建物が並んでいる中で近代的で斬新なデザインの建物として、その存在感を発揮しています。会場入り口には、講演前から長蛇の列ができており、関心の高さを物語っていました。講演の時間が近づくと、広い講堂の中はすぐに満席となり、会場の熱気に包まれながら、大隅栄誉教授の講演が始まりました。

会場のカロリンスカ研究所 アーラ・メディカホール(中央奥)
会場のカロリンスカ研究所 アーラ・メディカホール(中央奥)

会場外には長蛇の列が
会場外には長蛇の列が

会場の様子
会場の様子

レクチャーは、大隅栄誉教授の生い立ちから始まり、受賞理由となった「オートファジーの仕組みの解明」について丁寧に説明したあと、現在のオートファジー研究の世界的な広がりへと続いていきました。

約1時間の講演が終わると、満席の聴衆のスタンディングオーベーションのうちにノーベル・レクチャーが幕を下ろしました。

自身の研究内容について語る大隅栄誉教授
自身の研究内容について語る大隅栄誉教授

受賞者の業績をまとめたチラシ(手前水色が大隅栄誉教授の紹介)
受賞者の業績をまとめたチラシ
(手前水色が大隅栄誉教授の紹介)

ノーベル・レクチャーが無事終わり、笑顔の大隅栄誉教授
ノーベル・レクチャーが無事終わり、笑顔の大隅栄誉教授

リーフレットに描かれた受賞者の似顔絵(前列一番左が大隅栄誉教授)
リーフレットに描かれた受賞者の似顔絵(前列一番左が大隅栄誉教授)

詳細は、東工大ニュース「大隅良典栄誉教授によるノーベル・レクチャーが盛況のうちに終了」をご覧ください。本記事は、大隅研究室のメイ・アレクサンダー・イアン特任助教が寄稿したものです。

ノーベル・レクチャーの後は、ノーベル財団によるレセプションが行われました。大隅栄誉教授は講演を終えて安堵した様子で、多くの関係者の方々と談笑したり、笑顔で写真撮影に応じたりしていました。

JSPSストックホルム研究連絡センターの津本センター長と談笑
JSPSストックホルム研究連絡センターの津本センター長と談笑

(左から)三島学長、メイ特任助教、益科学技術創成研究院長
(左から)三島学長、メイ特任助教、益科学技術創成研究院長

レセプションでの様子(ノーベル財団アタッシェのレイニウスご夫妻を囲んで、大隅栄誉教授、三島学長、大隅研究室の原秘書)
レセプションでの様子(ノーベル財団アタッシェのレイニウスご夫妻を囲んで、大隅栄誉教授、三島学長、大隅研究室の原秘書)

民族衣装を着た方々に囲まれながら記念撮影
民族衣装を着た方々に囲まれながら記念撮影

12月8日 大隅栄誉教授がノーベル博物館の椅子にサイン

午前中、大隅栄誉教授はノーベル博物館に向かいました。毎年恒例となっているノーベル博物館のカフェの椅子にサインをするためです。

ノーベル博物館
ノーベル博物館

大隅栄誉教授の展示パネル
大隅栄誉教授の展示パネル

大隅栄誉教授は、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞された北里大学の大村智特別栄誉教授と同じ椅子に日本語と英語でサインしました。ノーベル博物館のカフェで、どなたでも座ることができます。

大隅栄誉教授のサイン(一番下)
大隅栄誉教授のサイン(一番下)

歴代のノーベル賞受賞者のサインが書かれた椅子が勢ぞろい
歴代のノーベル賞受賞者の
サインが書かれた椅子が勢ぞろい

また、大隅栄誉教授は、ノーベル博物館への記念品として、自身が大隅研究室関係者一同から贈られた品2点を寄贈しました。ミニチュア人形は、大隅栄誉教授のガードナー国際賞受賞と古希をお祝いして2015年6月に開かれた祝賀会でプレゼントされたもので、オートファジーを起こしている酵母の細胞を大隅栄誉教授が初めて顕微鏡で観察した瞬間を表現したものです。2点目は、大隅栄誉教授が発見したオートファジーに重要なタンパク質の分子模型で、これは2012年11月に開催された京都賞受賞祝賀会にて贈られた品です。

ノーベル博物館へ寄贈した記念品

ノーベル博物館へ寄贈した記念品

ノーベル博物館へ寄贈した記念品

ノーベル博物館のショップには、大隅栄誉教授が発見したオートファジー関連タンパク質の立体構造(構造を決定したのは共同研究者です)を再現した銀製のネックレスが約3万円で販売されていました。大隅栄誉教授をはじめとする東工大関係者は、ノーベル賞メダルチョコをお土産として購入しました。

大隅栄誉教授の研究成果を基に作成された銀製ネックレス
大隅栄誉教授の研究成果を基に作成された銀製ネックレス

お土産として有名なノーベル賞メダルチョコ
お土産として有名なノーベル賞メダルチョコ

ノーベル・レクチャーを終えての心境をスピーチ
ノーベル・レクチャーを終えての心境をスピーチ

お昼からは、在スウェーデン日本国大使館が主催する祝賀レセプションに出席しました。大隅栄誉教授は萬里子夫人とメインステージ反対側のテラスから登場し、まるで結婚式の新郎新婦入場のようでした。その後、大隅栄誉教授はノーベル・レクチャーを終えての心境などをスピーチし、会場は大いに盛り上がりました。

荘厳な雰囲気のレセプション会場
荘厳な雰囲気のレセプション会場

挨拶を終えた大隅栄誉教授は、山崎純駐スウェーデン日本国特命全権大使に、オートファジーのデザインをラベリングした日本酒を手渡しました。

その後は、国内外からの招待客が大隅栄誉教授へ祝福の言葉を述べられたり、記念撮影したり、が続きました。大隅栄誉教授の前には長蛇の列ができ、やはり結婚式を彷彿とさせました。

この日本酒のラベルデザインについては、東工大ニュース「大隅良典栄誉教授が安倍総理大臣を表敬訪問」にて紹介しています。

祝賀レセプションを終えた大隅栄誉教授は、萬里子夫人とともに日本人記者向けの会見に臨みました。会見の中で、大隅栄誉教授は、「ノーベル・レクチャーでオートファジーについて話したが、研究フィールドが広いので、限られた時間の中に収めることは大変だった」、「素晴らしい研究仲間がいることはとても幸せなこと」、「『レッスンズ・フロム・イースト』をキャッチフレーズにしていて、まだ酵母から多くのことを学んでいる」、「ボスを抜くような若手研究者が増えないとサイエンスは進まない」などと述べました。また、萬里子夫人は、「ノーベル・レクチャーが終わってホッとしている」、「(残りのノーベルウィークを)エンジョイしたい」などと話しました。

記者会見の様子

記者会見の様子

記者会見の様子

同日夜には、ストックホルム市内のコンサートホールで行われるノーベル賞コンサートに参加しました。指揮者のダイナミックな指揮やバイオリンの素晴らしい音色に聴衆は魅了され、大隅栄誉教授も「楽しく過ごせました」と満足そうでした。

イルミネーションが施されたコンサートホール外観
イルミネーションが施されたコンサートホール外観

オーケストラの演奏にノーベル賞受賞者も聴き入る
オーケストラの演奏にノーベル賞受賞者も聴き入る

ノーベル生理学・医学賞2016 特設ページヘ

大隅良典栄誉教授が「オートファジーの仕組みの解明」により、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。受賞決定後の動き、研究概要をまとめた特設ページをオープンしました。

ノーベル生理学・医学賞2016 特設ページヘ

お問い合わせ先

広報センター

Email : nobel@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

教育研究資金の不正な使用に係る調査結果について

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本学では、大学院理工学研究科(現・工学院)准教授による教育研究資金の不正使用について調査を進めておりましたが、このたび、その調査結果がまとまりましたので公表いたします。

本学としては、当該准教授に対し不正使用額の返還を求め、懲戒処分の検討を進めていくとともに、今後、このような事態を生じさせることがないよう「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成26年2月18日改正・文部科学大臣決定)を遵守し、再発防止策及び本事案の教職員等への周知・徹底などにより、教育研究資金の適正な使用に努めてまいります。

学長コメント

本学では、平成27年3月に「教育研究資金不正防止計画」を策定し、不正を起こさせない風土を実現するため、各種取組を進めているところです。

このような中、本学准教授による教育研究資金の不正使用が行われていたことについて、国民の皆様、関係機関に対し深くお詫び申し上げます。

本事案は、本学准教授が杜撰に管理したタクシー利用に係る領収書により不当な立替払い請求を行っていたもので、本学の研究者・研究活動に対する信頼を著しく損ねる行為であり、慚愧に堪えないものであります。

今後、このような不正な使用が行われないよう再発防止に努めてまいります。

平成28年12月28日

国立大学法人 東京工業大学
学長 三島良直

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター
電話: 03-5734-2975 / FAX: 03-5734-3661
Email: pr@jim.titech.ac.jp

1月の学内イベント情報

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1月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

一般向け講演会「私たちはまだ私たちの“はじまり”を知らない~生命の起源に迫る宇宙生物学の可能性~」

一般向け講演会「私たちはまだ私たちの“はじまり”を知らない~生命の起源に迫る宇宙生物学の可能性~」

第5回ELSI(地球生命研究所)国際シンポジウムにて一般向け講演会を開催いたします。(日英同時通訳)

日時
1月11日(水) 19:00 -
会場
参加費
無料
対象
一般 (先着150名)
申込
必要

CERI寄附講座「ゴム・プラスチックの安全、安心 -身の回りから先端科学まで-」(2016年 後期)

CERI寄附講座「ゴム・プラスチックの安全、安心 -身の回りから先端科学まで-」(2016年 後期)

私たちの身の回りにある化学品を含むゴムやプラスチックとその製品の安全・安心に関する情報とやさしい科学を、一般の方にもわかりやすく紹介します。将来の安心・安全な材料・製品設計の基礎を学べるようにします。

日時
スケジュール1: 9月28日、10月5日・12日・19日・26日、11月2日・9日・16日
スケジュール2: 11月30日、12月7日・14日・21日、2017年1月11日・18日・25日、2月1日
各日水曜日 10:45 - 12:15
会場
参加費
無料
対象
一般 (先着25名)
申込
必要

リベラルアーツ研究教育院講演会「日本 3.0」(佐々木紀彦氏)

リベラルアーツ研究教育院講演会「日本 3.0」(佐々木紀彦氏)

リベラルアーツ研究教育院は、東洋経済新報社の若手敏腕編集長から、新興ネットメディアNewsPicksの編集長に転身した佐々木紀彦氏の講演会を開催します。

日時
1月16日(月) 18:00 -
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

社会人アカデミー主催 講座「コーヒーの科学」

社会人アカデミー主催 講座「コーヒーの科学」

世界で消費される「コーヒー」をめぐって、生産から焙煎・抽出の方法、さらには文化や健康などさまざまな観点から、初めての方にもわかりやすく解説します。

日時
1月21日(土):10:30 - 16:10、1月28日(土)、2月4日(土):10:30 - 16:40、2月18日(土):10:30 - 16:10、2月25日(土):10:30 - 14:30
会場
1月21日、2月18日、2月25日:田町キャンパス キャンパスイノベーションセンターCIC410教室
1月28日、2月4日:STOCK2階(東京都港区高輪2-16-4)
参加費
30,856円(税込み)
対象
一般(30名:最小開催人数10名)
申込
必要

第2回 ELSI/Kavli IPMU 合同一般講演会「起源への問い」

第2回 ELSI/Kavli IPMU 合同一般講演会「起源への問い」

本講演会では宇宙・地球・生命の起源について、今どこまで解き明かされているかその最先端のサイエンスをわかりやすくお話しするとともに、起源を問うとはどういうことなのかという根源的な話題について、サイエンティストと哲学者が対話します。

日時
1月22日(日) 13:00 - 16:30(開場12:30)
会場
東京大学 伊藤謝恩ホール
参加費
無料
対象
高校生以上
申込
必要

JST-ERATO彌田超集積材料プロジェクト成果報告会

JST-ERATO彌田超集積材料プロジェクト成果報告会

プロジェクトの成果を報告するとともに、君塚信夫氏(九州大学教授)およびZhongze Gu氏(Southeast University教授)による特別講演を行います。

日時
1月25日(水) 12:30 - 17:00
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要
内容
プロジェクト報告、招待講演

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

無重力で骨関連遺伝子以外でも発現が急上昇する遺伝子を発見―国際宇宙ステーション「きぼう」でメダカを8日間連続撮影―

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要点

  • 世界で初めて、生きたメダカの8日間蛍光顕微鏡連続撮影に成功
  • 骨を形成する骨芽細胞と吸収する破骨細胞で特異的に蛍光シグナルが急上昇
  • 無重力応答に関与する5つの遺伝子を発見
  • 人では寝たきりの初期に骨量が減少するため老人性骨粗鬆症の原因解明にもつながる可能性がある

概要

東京工業大学 生命理工学院の工藤明教授らは、国際宇宙ステーションにある「きぼう」日本実験棟で骨芽細胞と破骨細胞が蛍光で光る遺伝子を組み込んだメダカを、8日間連続で顕微鏡を用いて観察し、両細胞の蛍光シグナルが無重力下で急速に活性化されていることを明らかにした。また、無重力に応答する遺伝子を調べた結果、骨関連遺伝子の他に5つの遺伝子、c-fos、jun-B-like、pai-1、ddit4、tsc22d3が発現上昇することを見出した。

今回の成果は、世界で初めて宇宙で8日間顕微鏡連続撮影ができたことによるもので、宇宙空間を利用した無重力での骨量減少を解明する新たな手掛かりが得られたことになる。動物モデルが無い老人性骨粗鬆(そしょう)症の原因解明に繋がることが期待できる。

この成果は、英国の科学誌ネイチャー(Nature)の姉妹紙のオンラインジャーナル「サイエンティフィック リポーツ(Scientific Reports)」で12月22日午前10時(英国時間)に公開された。

研究成果

骨量減少の原因解明は、地上での老人性骨粗鬆症の予防や、長期の有人宇宙探査における重要な課題だ。その解明には、培養細胞のみならず生物個体としての機能を調べるべく観察・解析が重要で、この研究領域は世界的にも注目されている。

老人性骨粗鬆症では、寝たきりになった直後から急激に骨量が減少することが知られている。また宇宙飛行士の骨量は無重力にさらされた直後から1ヵ月以内に急激に減少することがわかってきており、無重力に対する生物体内の初期応答の解明が急がれている。

工藤教授の研究グループのメンバーである茶谷昌宏助教(現・昭和大学)らは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等との共同研究で、osterix[用語1]-DsRed/TRAP[用語2]-GFPなど、計4種類の骨関連遺伝子で改変したメダカを対象に国際宇宙ステーションの「きぼう」・日本実験棟で飼育を行った。今回は、容器のジェルの中に孵化直後のメダカを飼育し、8日間連続撮影を行った。このメダカは、改変した骨関連遺伝子のプロモーターが働くと蛍光発光する。実験データを解析した結果、骨を形成する細胞である骨芽細胞と骨を壊す細胞である破骨細胞で特異的に発現する蛍光のシグナルが、無重力にさらされた1日後から大きく上昇し、8日間その発現上昇が維持された。また、無重力にさらされた2日後の遺伝子発現を調べたところ、骨関連遺伝子の他に5つの遺伝子、c-fos、jun-B-like、pai-1、ddit4、tsc22d3の大幅な発現上昇を明らかにした。

個体レベルで解析できる生物(メダカ)を用い、無重力への生物個体の初期応答の一端を示した世界で初めての成果である。

咽頭歯骨部における骨芽細胞と破骨細胞の蛍光シグナル増加

図1. 咽頭歯骨部における骨芽細胞と破骨細胞の蛍光シグナル増加

A. 腹側から見た頭部における咽頭歯骨部(破線枠)の模式図 B-C. 地上群(B)と宇宙群(C)の咽頭歯骨部位におけるosterix-DsRed(骨芽細胞マーカー)の発現 D. 観察1日目から8日目までの地上群と宇宙群の蛍光強度比較 E-F. 地上群(E)と宇宙群(F)の咽頭歯骨部位におけるTRAP-GFP(破骨細胞マーカー)の発現 G. 観察4日目と6日目の地上群と宇宙群の蛍光強度比較 up:上顎咽頭歯部、lp:下顎咽頭歯部、c:擬鎖骨
Chatani et al, Sci. Rep. 6:39545, 2016より一部変更して掲載

軌道上実験

2014年2月に無重力への骨代謝の初期応答を調べる実験を「きぼう」で行った。これは4種類の遺伝子改変メダカを用い、生きたままのメダカを8日間連続で蛍光顕微鏡観察する実験である。無重力下での骨芽細胞、破骨細胞の動態をリアルタイムで観察した。研究グループは、地上で下図2のようにしてジェルの中に生きた状態で孵化直後の遺伝子改変メダカを飼育した。そして、国際宇宙ステーションに輸送されたメダカの画像を、宇宙空間で下図3のようにして取得。「きぼう」日本実験棟内では若田光一JAXA宇宙飛行士によって、メダカが入った容器が蛍光顕微鏡内に設置され、その後の観察は日本の筑波宇宙センターの遠隔操作で行った。

宇宙短期の観察方法
図2. 宇宙短期の観察方法
宇宙で観察した咽頭歯部(腹側)
図3. 宇宙で観察した咽頭歯部(腹側)
微小重力環境下の生体イメージング方法の概要

図4. 微小重力環境下の生体イメージング方法の概要

このライブイメージング成功には以下の3条件が必要で、一つでも欠けると実験系は成り立たない、無重力下における骨リモデリング(骨が削られ、それを埋めるように骨が形成される)の観察実験系である。

この実験系で判明したことは、(ア)孵化直後は卵黄嚢が大きく残っており、餌がなくてもジェルの中で1週間以上の飼育が可能である。(イ)打上げの際に5 Gの加重がかかるためジェルの中の魚は全て腹側を下へ向ける。(ウ)腹側からのみ咽頭歯骨[用語3]の観察が可能で、メダカにおいて破骨細胞と骨芽細胞は、孵化直後という発生初期段階から骨リモデリングを開始している。

実験に供したメダカ

骨量減少の原因解明のための研究には、ヒトやマウスなどの哺乳類と異なり、体が透明で生きたまま体外から骨の様子を観察しやすく、また細胞の動態を蛍光で観察できる遺伝子改変メダカが有効である。工藤教授の研究室では、骨芽細胞と破骨細胞の様子を同時に生きたまま観察できる遺伝子改変メダカを確立し、今回の実験に用いた。

2012年に行われた長期飼育実験で、無重力下においてメダカの骨量が減少することがすでに明らかになっている (Chatani et al, Sci. Rep. 5:14172, 2015)。

国際宇宙ステーションから取得したメダカ観察容器全体像

図5. 国際宇宙ステーションから取得したメダカ観察容器全体像

5倍対物レンズで撮影した273枚の画像を平面に敷き詰めて表したメダカ観察容器の全体像。観察の度に全体像を作成し、20倍対物レンズをメダカが位置する正確な座標に合わせて撮影した。

今後の展開

新たに見つかった無重力の応答に関与すると思われる5つの遺伝子について、その分子機構の解明を行い、老人性骨粗鬆症への関与を明らかにする。

用語説明

[用語1] osterix : 骨芽細胞の分化制御を代表する転写因子。

[用語2] TRAP : 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼのことで、破骨細胞マーカーの一つとして用いられる。

[用語3] 咽頭歯骨 : メダカののどの奥に500本以上ある咽頭歯を支える骨。歯の再生に伴ってこの骨が再生され、古い骨の上に破骨細胞が存在し、骨吸収を行っている。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Acute transcriptional up-regulation specific to osteoblasts/osteoclasts in medaka fish immediately after exposure to microgravity
著者 :
Masahiro Chatani1,+, Hiroya Morimoto1, Kazuhiro Takeyama1, Akiko Mantoku1, Naoki Tanigawa2, Koji Kubota2, Hiromi Suzuki3, Satoko Uchida3, Fumiaki Tanigaki4, Masaki Shirakawa4, Oleg Gusev5,++, Vladimir Sychev6, Yoshiro Takano7, Takehiko Itoh1, and Akira Kudo1
所属 :
1 Graduate School of Bioscience and Biotechnology, Tokyo Institute of Technology, Yokohama 226-8501, Japan
2 Chiyoda Corporation, Yokohama 220-8765, Japan
3 Department of Science and Applications, Japan Space Forum, Tokyo 101-0062, Japan
4 Japan Aerospace Exploration Agency, Tsukuba 305-8505, Japan
5 Institute of Fundamental Medicine and Biology, Kazan Federal University, Kazan 420008, Russia
6 SSC RF-Institute of Biomedical Problems RAS, Moscow, Russia
7 Section of Biostructural Science, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo 113-8549, Japan
+ Current address: Department of Pharmacology, School of Dentistry, Showa University, Tokyo 142-8555, Japan
++ Current address: RIKEN Innovation Center, RIKEN, Yokohama 230-0045, Japan
DOI :

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

(研究全般に関するお問い合わせ)

東京工業大学 生命理工学院 教授
教授 工藤明

E-mail : akudo@bio.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5718 / Fax : 045-924-5718

(「きぼう」を使った水棲生物実験に関するお問い合わせ)

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 広報部

Tel : 050-3362-4374 / Fax : 03-3258-5051

取材申し込み先

東京工業大学 広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


STSフォーラム2016「学長ランチミーティング」を開催

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10月3日、STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)2016「学長ランチミーティング」が京都国際会館で開催されました。

ミーティングの様子
ミーティングの様子

本ミーティングは、STSフォーラムのプログラムのひとつで、世界各国の高等教育機関の代表者が、科学技術と教育に関するトピックスについて意見交換を行い、各機関が持つ課題の理解を深めることを目的としています。

2016年度は本学が主催し、三島良直学長がトロント大学のメリック・S・ガートラー学長とともに議長を、佐藤勲副学長が司会を務めました。

共同議長を務めたガートラー学長(左)と三島学長
共同議長を務めたガートラー学長(左)と三島学長

司会を務めた佐藤副学長
司会を務めた佐藤副学長

まずは、STSフォーラムの創設者であり理事長でもある尾身幸次氏(元衆議院議員)の挨拶で始まりました。尾身氏は、同フォーラムは、世界の教育、ビジネス、政策等、各界のリーダー間の国際的なネットワーク作りを推進することを目的として開催されており、高等教育機関の代表者が一堂に会する本ミーティングで築かれたネットワークが、各機関、ひいては世界の発展につながることを期待していると話しました。

続いて、出席した世界の高等教育機関50名の代表者が、事前に選択したトピックスについて活発な議論を交わしました。

今年のミーティングで議論されたトピックスは以下の3つです。

  • 理工系の知識や技術の重要性が高まる社会における、リベラルアーツおよび人文科学の役割について
  • 技術革新を生み出すために、大学、研究所、産業間の知識や研究成果、人材の国内、地域、国際的な流動性をどのように推進すべきか
  • 学生の海外への流動性を推進していくうえでの課題と方策について

各国の大学代表者たちは、短い時間ながら、熱心に議論を交わし、高等教育機関としての役割や課題について確認するとともに、お互いの経験や問題意識を共有しました。

ミーティング後半には各グループから議論の内容について報告が行われ、ガートラー学長および三島学長が総括として、それぞれ感想を述べました。

ガートラー学長は、リベラルアーツや人文科学の教育が理工系分野を含む他の専門分野において、その教育や研究活動の向上のために重要であること、また、(専門分野の枠を超えた)学際的な教育や研究活動も必要であることについて、参加者全員が共通理解を持つことができたと述べました。また、3つのトピックスを議論する上で、国際的なつながり(global connections)が重要な論点となっており、国内だけでなく、国や地域を超えた大学間、産学間の連携が、学生の流動性を高め、海外教育機関との共同研究、学術交流の推進につながると結びました。

三島学長は、今回議論したトピックスが日本政府の第5期科学技術基本計画やEU-日本科学政策フォーラム等でも重要課題として取り上げられていることに触れ、広い視野や柔軟性、創造性を備え、専門技術を技術革新へ活用することができる研究者育成のために、リベラルアーツや社会科学教育の良いカリキュラム作りが必要だと述べました。また、学生や若手研究者の流動性を推進し、彼らの経験を豊かにするために、研究予算の提供が必要であると強調しました。

最後に、両議長が共に出席者に感謝の意を伝え、今後も同様のミーティングを継続的に開催、参加していきたいと話し、本ミーティングは閉幕しました。

STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)
科学技術と社会に関する問題を人類に共通なものとして議論を行う国際フォーラムで、2004年から毎年秋に京都で開催されている。2016年は、100近くの国、地域、国際機関から1,200名を超える科学技術、政策、ビジネス、メディア各界の世界的なリーダーが参加した。

トウェンテ大学長が東工大を訪問

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(左から)佐藤副学長、三島学長、ブリンクスマ学長、トーネン学部長、ストロークスシニア・アドバイザー、青木国際連携課長
(左から)佐藤副学長、三島学長、ブリンクスマ学長、トーネン学部長、ストロークスシニア・アドバイザー、青木国際連携課長

10月4日、オランダのトウェンテ大学のエド・ブリンクスマ学長、テオ・トーネン行動・経営・社会科学部長が東工大を訪問し、三島良直学長、佐藤勲副学長(国際企画担当)と懇談を行いました。懇談には、在日オランダ大使館のロブ・ストロークスシニア・アドバイザー、本学国際連携課の青木彰課長も同席しました。

ブリンクスマ学長、トーネン学部長は、前日に京都で開催された科学技術の国際会議としては最大規模の「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」の学長ランチミーティング(議長:三島学長、司会:佐藤副学長)にも出席しました。

三島学長(奥側右)の説明を聞くブリンクスマ学長(手前左)
三島学長(奥側右)の説明を聞くブリンクスマ学長(手前左)

三島学長は歓迎の挨拶に続いて、今年4月にスタートした教育改革後の新教育システムの特色について説明を行いました。6学院19系・1専門職学位課程に統合・再編された新システムでは、学生は学士課程から博士後期課程のカリキュラムを学年ではなく達成度に応じて履修できること、また、従来は学士課程の履修科目だった教養教育を博士後期課程まで拡大したことを説明しました。専門分野に加えて、人文科学、社会科学、外国語等の広範な教養教育を通して、幅広い視点や柔軟性、創造性を養い、自らの研究に活かしてもらうことを目的としていると話しました。ブリンクスマ学長からは、教養教育のカリキュラムや博士後期課程でのプログラムについて質問がありました。

続いて、ブリンクスマ学長がトウェンテ大学の概要説明を行い、同大学が1961年に設立され、現在、本学と同規模の学生(約9,600名)が在籍していること、1980年代から起業推進コンセプトを導入して、学生や研究者の起業を強力に奨励しており、ブッキング・ドット・コムを含む約900社を起業していることについて話しました。さらに、教養教育や社会科学のカリキュラムについても触れ、同大学では、専門が異なる学生たちが共同でプロジェクトを進めるプロジェクトベースの教育を行っていると話しました。また、ナノテクノロジー研究所(MESA+)を含む6つの研究所について説明しました。

懇談の前に一行は、同大学と研究交流を行っている理学院の藤澤利正教授の研究室を訪問し、半導体ナノ構造での量子状態に関する研究や共同研究について意見交換を行いました。

今回の来訪により、両学の教育や研究への取り組みへの理解が深まり、将来的な連携につながることが期待されます。

藤澤教授(左から1人目)との懇談の様子
藤澤教授(左から1人目)との懇談の様子

混ぜるだけで迅速に水溶液中のたんぱく質凝縮に成功―新たな高濃度たんぱく質材料で医薬品開発に期待―

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ポイント

  • 産業や医薬品に重要なたんぱく質を水溶液から濃縮するには、時間と費用がかかる上、たんぱく質が変性してしまう問題があった。
  • 2種類の界面活性剤を加えることで水溶液中のたんぱく質が構造と機能を保ったまま集合する現象を発見し、たんぱく質を多く含む液状物質(凝縮体)の開発に成功した。
  • 触媒や抗体機能を持つたんぱく質の凝縮体を簡便な操作で得られ、ゲル状態にもできるので、触媒材料や医薬品の開発など、幅広い応用展開が期待される。

概要

JST戦略的創造研究推進事業において、東京工業大学 科学技術創成研究院の野島達也特任助教と彌田智一教授らの研究グループは、、界面活性剤[用語1]を加えると、水溶液中のたんぱく質が構造と機能を保ったまま集合する現象(分子集合現象[用語2])を発見し、この新たな現象を利用して、たんぱく質を多く含む液状物質である「たんぱく質凝縮体」の開発に成功しました。

生体高分子であるたんぱく質は、化学反応を触媒する酵素や特定の分子を認識する抗体などさまざまな機能を持つ重要な物質です。産業や医薬に利用するには、高濃度で、かつ変性していないたんぱく質が必要です。しかし、水溶液中に分散しているたんぱく質の濃縮には時間と費用がかかる上、濃縮過程でたんぱく質が変性や凝集してしまい、触媒や抗体機能が失われる問題があります。

本研究グループは、2種類のイオン性界面活性剤を一定の比率で組み合わせてたんぱく質水溶液に加えるという簡便な操作で、たんぱく質が構造と機能を保ったまま集合するという新たな現象とともに、高いたんぱく質含有量の液状物質(たんぱく質凝縮体)が生じることを見いだしました。本技術は構造や機能が異なるさまざまなたんぱく質に利用できます。扱いやすいゲル状態にもできるので、新しいたんぱく質材料として、たんぱく質試薬や医薬品の開発など幅広い応用が期待されます。

本研究成果は、ドイツ化学誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で近日中に掲載されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)

  • 研究プロジェクト:
    彌田超集積材料プロジェクト
  • 研究総括:
    彌田智一(東京工業大学 科学技術創成研究院 教授)
  • 研究期間:
    2010年10月~2016年3月

上記研究課題では、異種材料をナノ・マイクロスケールで「上手に混ぜる」ことにより、構成材料の単なる足し合わせでは得られない、要素間の相互作用が顕在化した「超集積材料」の創成を目指しています。

研究の背景と経緯

生体高分子であるたんぱく質は、化学反応を触媒する酵素や特定の分子を認識する抗体などさまざまな機能を持つ重要な物質です。酵素たんぱく質試薬やたんぱく質製剤の製造などにはたんぱく質の濃縮技術が必要とされています。従来のたんぱく質を濃縮する方法は時間と費用がかかる上、条件によっては濃縮過程でたんぱく質の変性や凝集が起こります。そのため、短時間で簡便にたんぱく質を高濃度化する技術が必要とされていました。

研究の内容

水溶性たんぱく質が水中に分散した状態から自然に高濃度化することはありません。本研究では、たんぱく質の新たな分子集合現象を発見し、これを応用してたんぱく質の高濃度化技術を開発しました。本研究グループは、疎水部にアルキル鎖、親水部にポリエチレングリコール鎖を持つ、陰イオン性および陽イオン性の2種類の界面活性剤を一定の比率で組み合わせました。これをたんぱく質水溶液に加えると、最大で311ミリグラム/ミリリットル(平均213ミリグラム/ミリリットル)のたんぱく質を含む液状物質が瞬時に水から分離することを見いだしました(図1)。水中に分散するたんぱく質の凝縮により形成された物質という意味を込めて、この物質を「たんぱく質凝縮体」と名付けました。また2種類の界面活性剤の比率をたんぱく質の種類によって適切に調整することで、構造や機能の異なるさまざまなたんぱく質の凝縮体を、その構造と機能を保ったまま形成できることを確認しています(図2)。抗体医薬品の開発には100ミリグラム/ミリリットル以上のたんぱく質濃度が必要とされており、本技術で得られた凝縮体のたんぱく質含有量は実用性が高いといえます。また、凝縮体に塩を加えれば、容易に水溶液状態に戻すことができます。

たんぱく質凝縮体の形成方法

図1. たんぱく質凝縮体の形成方法

陽イオン性および陰イオン性界面活性剤を一定の比率で組み合わせ、たんぱく質水溶液に加えると、水相と分離した液状物質としてたんぱく質凝縮体が瞬時に形成される。

凝縮体の形成を確認できたたんぱく質

図2. 凝縮体の形成を確認できたたんぱく質

下層の赤丸で囲んだ液体が得られたたんぱく質凝縮体。陽イオン性および陰イオン性界面活性剤の加える量の比率を変えることで、構造と機能が異なるさまざまなたんぱく質の凝縮体を形成できる。

通常、界面活性剤はたんぱく質と疎水性相互作用[用語3]することで、たんぱく質の水に溶ける性質と分散する性質とを高めます。一方、たんぱく質凝縮体の形成では、たんぱく質と界面活性剤は静電相互作用[用語4]により複合化していることを、形成条件の分析や構成成分の定量分析により明らかにしました。静電相互作用の結果、たんぱく質に対して界面活性剤の親水部であるポリエチレングリコール鎖が内側に、疎水部であるアルキル鎖が外側に位置した複合体が形成され、その複合体がアルキル鎖同士の疎水性相互作用により多数集合して凝縮体を形成していると考えられます(図3)。たんぱく質凝縮体は水と分離した液状物質ですが、70重量パーセントの水を含んでいるので、内部のたんぱく質は水溶液中と同様に水に囲まれています。そのため、凝縮体を形成したたんぱく質が水溶液中と変わらない構造と機能を保つことも確認できました。界面活性剤の親水部に含まれるポリエチレングリコール鎖が水分を保持していると推測されます。

たんぱく質凝縮体の構造モデル

図3. たんぱく質凝縮体の構造モデル

たんぱく質(赤)表面の荷電残基に界面活性剤のイオン部が結合して複合化している。アルキル鎖(黒)同士の疎水相互作用によって、多数のたんぱく質-界面活性剤複合体が集合し、凝縮体が形成される。たんぱく質の周囲にあるポリエチレングリコール(青)が水を保持するため、たんぱく質は水溶液中と変わらない構造を保つ。

また、たんぱく質凝縮体を形成する過程でゲル化剤[用語5]を加えると、凝縮体をゲル化できます。ゲル化した凝縮体は酵素触媒材料として、酵素反応を進行させることが確認されました。反応後は凝縮体ゲルを回収して、繰り返し利用することができます(図4)。

ゲル化剤としてアクリルアミドを導入して作成したたんぱく質凝縮体ゲル

図4. ゲル化剤としてアクリルアミドを導入して作成したたんぱく質凝縮体ゲル

凝縮体ゲルを薬さじで酵素反応基質を含む水溶液に加えると、酵素反応が進行する。凝縮体ゲルは反応後に回収して、繰り返し利用できる。

全てのたんぱく質凝縮体はX線小角散乱測定[用語6]で強い散乱ピークを示しました(図5)。これは、凝縮体内部のたんぱく質はランダムではなく、一定の間隔で並んでいることを意味します。たんぱく質同士の間隔は界面活性剤のアルキル鎖とポリエチレングリコール鎖の長さに応じてナノメートル単位で調節できるため、たんぱく質含有量の調節が可能となります。

X線小角散乱測定による構造解析

図5. X線小角散乱測定による構造解析

アルキル鎖とポリエチレングリコール鎖の長さの異なる3種類の界面活性剤を用いて作成したたんぱく質凝縮体のX線小角散乱測定結果。全てのたんぱく質凝縮体は水溶液にはない散乱ピークを示すため、凝縮体内部のたんぱく質はランダムではなく、一定間隔で規則正しく配列していることが分かった。ピークの位置から隣り合うたんぱく質間の間隔を求めると、界面活性剤の構造に応じてナノメートル単位で間隔を調節できることが示された。

多種類のたんぱく質の混合物であるヒト血清ガンマアルブミン[用語7]に、同じように2種類の界面活性剤を加えたところ、特定の荷電状態のたんぱく質のみが凝縮体を形成しました(図6)。この結果は、今回開発したたんぱく質凝縮体の形成技術は、複数のたんぱく質が混じった水溶液から特定のたんぱく質だけを簡便に分離する技術としても応用できることを示しています。

本技術を利用した荷電状態に応じたたんぱく質の分離

図6. 本技術を利用した荷電状態に応じたたんぱく質の分離

ポリクローナル免疫グロブリンGを主要成分とするたんぱく質混合物であるヒト血清ガンマグロブリンでもたんぱく質凝縮体が形成される。等電点電気泳動分析[用語8]により、正電荷を多く持つ塩基性たんぱく質だけが凝縮体を形成することが明らかとなった。たんぱく質を荷電状態に応じて分離する技術としての応用可能性が示された。

今後の展開

従来、水溶液中のたんぱく質を濃縮するには時間と費用がかかっていました。今回開発した手法は簡便で実用性の高いたんぱく質の高濃度化技術として、また新しいたんぱく質材料の作成技術として、たんぱく質を変性させない安定な保存方法や医薬品開発への応用が期待されます。またゲル化した状態のたんぱく質凝縮体は触媒反応後、簡単に取り出して再利用できることから、生体触媒の用途拡大につながる可能性があります。

また、今回発見した水溶液中のたんぱく質が界面活性剤により集合する現象は、新たな分子集合現象として分子科学や材料科学の発展に寄与することが期待されます。

用語説明

[用語1] 界面活性剤 : 水となじみやすい親水性の構造と油となじみやすい疎水性の構造を持つ分子の総称。水と油など混ざりにくい物質を混合する働きを持つ。

[用語2] 分子集合現象 : 水などの溶媒中に分散していた分子が、溶液条件の変化により集合する現象。

[用語3] 疎水性相互作用 : 水などの溶媒中で疎水性分子が引き合い集合しようとする作用。界面活性剤の疎水部は水中において疎水性相互作用で集合する。

[用語4] 静電相互作用 : 正電荷と負電荷の間で働く引力のこと。たんぱく質凝縮体の形成では、たんぱく質表面の荷電アミノ酸残基(グルタミン酸(負電荷)、アスパラギン酸(負電荷)、リシン(正電荷)、アルギニン(正電荷))に対して、それらと反対電荷の界面活性剤が静電相互作用で結合している。

[用語5] ゲル化剤 : 液状物質を固体化(ゲル化)させる物質のこと。本研究ではアクリルアミドモノマーゲル化剤として、それの重合によりポリアクリルアミドをたんぱく質凝縮体内部で形成させることでゲル化している。

[用語6] X線小角散乱測定 : 対象となる物質にX線を照射したとき、物質の構造に応じてX線はさまざまな角度で散乱される。その時、小さい散乱角度の散乱X線を測定することで、数ナノメートルから数十ナノメートルサイズの構造を解析する手法。

[用語7] ヒト血清ガンマアルブミン : さまざまなたんぱく質を含む血清(凝固した血液の上澄みの液体)より得られた、主にIgG抗体(ポリクローナル免疫グロブリンG)を含む成分のこと。さまざまな抗原に対応するため、含まれるIgG抗体の種類は100万以上に及ぶ。

[用語8] 等電点電気泳動分析 : たんぱく質の等電点(正電荷と負電荷の総量が釣り合うpHのこと)を分析する手法。等電点が7以上の塩基性たんぱく質は中性の水溶液中で正電荷を持ち、等電点が7以下の酸性たんぱく質は中性の水溶液中で負電荷を持つ。

論文情報

掲載誌 :
Angewandte Chemie International Edition
論文タイトル :
Water-rich Fluid Material Containing Orderly Condensed Proteins
(秩序立って凝縮したたんぱく質を含む内部に水を豊富に持つ液状物質)
著者 :
Tatsuya Nojima, Tomokazu Iyoda
DOI :

お問い合わせ先

(研究に関すること)

ERATO 彌田超集積材料プロジェクト 研究総括
東京工業大学 科学技術創成研究院
教授 彌田智一

E-mail : iyoda.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5277

ERATO 彌田超集積材料プロジェクト 研究員
東京工業大学 科学技術創成研究院
特任助教 野島達也

E-mail : nojima.t.aa@m.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5277

(JSTの事業に関すること)

科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部
古川雅士

E-mail : eratowww@jst.go.jp
Tel : 03-3512-3528 / Fax : 03-3222-2068

取材申し込み先

科学技術振興機構 広報課

E-mail : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404 / Fax : 03-5214-8432

東京工業大学 広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

シンガポール高等教育機関代表団が東工大を訪問

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(左から)ユー副学長補(NTU)、関口副学長、チョン副学長(SUTD)、三島学長、ファン執行ディレクター(A*STAR)、タン副学長(NTU)
(左から)ユー副学長補(NTU)、関口副学長、チョン副学長(SUTD)、三島学長、ファン執行ディレクター(A*STAR)、タン副学長(NTU)

9月26日、シンガポール科学技術庁(以下、A*STAR※1)大学院アカデミーのアルフレッド・ファン執行ディレクター、シンガポール国立大学(以下、NUS) のタン・エンチャイ副学長、南洋理工大学(以下、NTU)のユー・チー・ユン副学長補、シンガポール工科デザイン大学(以下、SUTD)のチョン・トゥ・チョン副学長らが本学を訪問し、三島良直学長、関口秀俊副学長(国際連携担当)らと懇談しました。

三島学長による歓迎の挨拶のあと、A*STARのファン執行ディレクターが、シンガポール政府の経済・教育政策、シンガポールの科学技術研究の中心的組織であるA*STARの概要、今回の来日の目的について説明しました。ファン執行ディレクターは、今回の来日はシンガポールへの留学や研究の機会について日本の大学に紹介することを目的としていると話し、A*STAR大学院アカデミーがNUS、NTU およびSUTDと連携して運営している3つの奨学金プログラムについて紹介しました。

ファン執行ディレクターは東工大とシンガポールの大学との学生交流、研究交流の推進が期待されると話し、東工大生の参加を歓迎すると述べました。

続いて、NUS、NTU、SUTDの代表者が各大学の概要と近況を紹介しました。NUSとNTUは共に本学の学術交流協定校として、学生や研究者交流、共同研究などの連携活動を活発に行っています。NTUと本学は、今年9月に研究交流促進のための覚書を締結し、11月には第2回合同ワークショップを開催するなど、研究交流を拡大しています。2010年にシンガポールの4校目の国立大学として設立されたSUTDは、本学と2015年に覚書を締結し、学生、研究者交流を推進しています。

三島学長は、代表団の発表に対して、シンガポール政府および各大学の起業や産学連携の推進、国際化に向けた積極的な取り組みを高く評価しました。続いて行われた東工大の概要説明で、三島学長は、4月の教育改革後の教育システムや、本学の研究所・研究ユニット・研究センターを統括する新組織「科学技術創成研究院」を中心に強化された本学の研究体制、産学連携の状況について説明しました。また、外国人留学生(学部生)向けに、今年4月に新設された英語による学士課程教育プログラム、融合理工学系国際人材育成プログラム(GSEP(ジーセップ):Global Scientists and Engineers Program)を紹介しました。

懇談の最後に、三島学長と代表団メンバーは連携強化のために引き続き協力をしていくことを確認しました。

懇談後、一行は水本哲弥副学長(教育運営担当)(工学院 教授)の案内で、水本・庄司研究室を訪問し、実験施設等を見学しました。その後、HUB-ICS※2で開催された「シンガポール留学説明会」で、前述した奨学金プログラムや各大学の概要、特色について紹介しました。説明会には十数名の学生が参加し、各大学の説明に熱心に耳を傾けていました。

※1
A*STAR:Agency for Science, Technology and Researchの略で、シンガポールの科学技術研究の中心的組織として2002年に設立されました。バイオメディカル研究評議会、合同評議会事務所、科学工学研究評議会、A*STAR大学院アカデミーの4つの組織で構成されています。
※2
HUB-ICS:HUB-インターナショナル・コミュニケーションズ・スペースの略で、大岡山キャンパス西9号館1階にある、言語やコミュニケーション、国際化に興味がある学生と教職員が利用できる空間。
ラボツアー

ラボツアー

留学説明会

留学説明会

科学技術創成研究院・帝国データバンク共催シンポジウム開催報告

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11月24日、本学の科学技術創成研究院と株式会社帝国データバンクが共催するシンポジウムが「ビッグデータが社会を大きく変革する:ビッグデータ数理科学研究ユニットの挑戦」と題して開催されました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

東工大は、科学技術創成研究院ビッグデータ数理科学研究ユニットに、「帝国データバンク先端データ解析共同研究講座」を設置し、企業活動・地域経済・産業構造を分析し、持続可能な社会に貢献する研究を推進しています。高安美佐子准教授が率いるビッグデータ数理科学研究ユニットは、各種ビッグデータを融合的に利用し、先端的データ解析・多層時空間モデリング・大規模シミュレーションによって、諸問題を科学的に解決することを目的として研究を進めています。

また、科学技術創成研究院内に、世界トップクラスの研究者の異分野交流を促進し、革新的科学技術の創出等を担う「世界の研究ハブ」を目指す組織として、Tokyo Tech World Research Hub Initiative(WRHI)を構築しています。海外から世界トップレベルの研究者を招聘し、本学研究者と共同して研究を行い、分野を超えた交流を実施するものです。

本シンポジウムもWRHIが招聘した世界トップレベルのデータサイエンスを専門とする科学者による基調講演、および産学官において第一線で活躍しているメンバーによるパネルディスカッションを通して、ビッグデータがこれからどのように日本や世界の産業を変えていくのかを浮き彫りにしていくことを目的として開催しました。

講演会には200名を超える事前申込があり、また雪の降りしきる中、当日の参加者も多数来場しました。大学関係者のみならず、企業からも多くの参加者がありました。

今回は各分野を代表する4人の研究者が講演を行いました。

  • TDB企業データを用いたネオGDPの計算+日本の未来を見る

    高安美佐子氏

    高安美佐子氏

    高安美佐子氏
    東京工業大学 科学技術創成研究院
    ビッグデータ数理科学研究ユニット 准教授

  • ビッグデータの弱点:頻度の低い巨大事象に注意せよ

    ディディエ・ソネット氏

    ディディエ・ソネット氏

    ディディエ・ソネット氏
    東京工業大学 科学技術創成研究院
    ビッグデータ数理科学研究ユニット 特任教授
    /スイス連邦工科大学チューリッヒ校 教授

  • ネットワーク科学:ビッグデータを理解するための基盤

    シュロモ・ハブリン氏

    シュロモ・ハブリン氏

    シュロモ・ハブリン氏
    東京工業大学 科学技術創成研究院
    ビッグデータ数理科学研究ユニット 特任教授
    /バル・イラン大学(イスラエル) 教授

  • ノーベル賞をめざす人工知能:科学発見の新たな原動力

    北野宏明氏

    北野宏明氏

    北野宏明氏
    株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役 社長

講演後に行われたパネルディスカッションでは、「大きく変革する社会:ビッグデータは社会をどのように変えていくのか?」について、産学官のパネリストからそれぞれの立場での意見があり、会場からも沢山の質問が飛び出し、大いに盛り上がりました。

今後も科学技術創成研究院の最先端研究を紹介するシンポジウムを開催予定です。どうぞご期待ください。

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