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平成28年度リーディング大学院修了セレモニー開催報告

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3月27日、大岡山キャンパスにおいて、グローバルリーダー教育院、環境エネルギー協創教育院、情報生命博士教育院、グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院の共催で、リーディング大学院修了セレモニーが行われました。

リーディング大学院

東京工業大学では、産学官にわたる社会の要請に応えながら、国際社会を牽引できる卓越した能力を養成する大学院教育課程を実施する組織として、文部科学省博士課程教育リーディングプログラムに採択された4つの教育院を設置しています。理工系総合大学としての強みを生かしつつ、オールラウンドリーダーを養成するグローバルリーダー教育院、複合領域リーダーを養成する環境エネルギー協創教育院、情報生命博士教育院、オンリーワンリーダーを養成するグローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院において、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・官・学の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて修士・博士一貫型で質の保証された学位プログラムを構築・展開しています。

修了セレモニー

お祝いのメッセージを贈る三島学長
お祝いのメッセージを贈る三島学長

本年度は、同日に開催された大学院学位記授与式において、在籍するコース・専攻で修得した高い専門性に加え、産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導く俯瞰力や独創力などを身につけた博士として、24名が各教育院の課程を修了したことが付記された学位記を授与されました。

リーディング大学院修了セレモニーは、その修了生24名を対象として大学院学位記授与式終了後に引き続き行われました。三島良直学長と丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)からお祝いの言葉が述べられた後、各教育院長から修了生の紹介と祝辞があり、最後に各教育院の修了生代表が挨拶しました。

修了生たちは、これまでプログラムを支えてきた各教育院の教員、メンター、事務担当者など多数の参加者に見守られる中、巣立ちの時を迎えました。卓越した専門性に加え、広範な知識と豊かな教養、国際性やリーダーシップ等を備えた博士人材として、今後はそれぞれの道で大きく羽ばたいていきます。世界の未来を牽引するリーダー候補となった皆さんの今後のご活躍を期待しています。

集合写真
集合写真

お問い合わせ先

リーディング大学院支援室

Email : lead.sui@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3117


東京工業大学、秋田大学、秋田県医師会が三者間連携協定を締結

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東京工業大学、秋田大学、秋田県医師会の三者は、それぞれの持つ教育・研究・医療に関する技術や経験を生かし、医理工分野における連携を強化することで、長寿健康社会の実現に資する取り組みを推進するために連携協定を締結することとし、3月29日に調印式および共同記者会見を実施しました。

記念撮影
記念撮影

本協定は、三者が医理工分野において幅広く協力関係を築きながら連携を深めつつ、日本が直面する超高齢化社会への対応と国民の長寿・健康に関する取り組みを推進することにより、長寿健康社会の実現に資することを目的としたものです。

具体的な連携内容としては、「高齢者診断・医療の提供」「高齢者支援システム」「長寿・健康増進」のそれぞれに関する研究開発について、高齢化率が全国で最も高い秋田県におけるニーズと東京工業大学の持つ技術シーズをマッチングし、共同研究や大学院教育、教員相互交流、地域医療分野での実証などを予定しています。これらの連携を通じて、長寿・健康研究教育拠点形成を目指し、先端的な研究開発が高齢者医療等の向上に資するものと期待するとともに、取り組みによる医療・介護機器や医薬品の開発等により、健康産業の創生や秋田県の高齢化の課題にも寄与するものとしています。

調印式および共同記者会見では、三者による協定書への署名が行われ、秋田大学の山本文雄学長から「この三者間連携により、高齢化の著しい秋田県内の医療はもとより、将来的に我が国が抱える高齢化社会への対応に大きく貢献したい」との挨拶がありました。また、本学の三島良直学長から「高齢化の進む地域の状況を把握し、大学が持つ様々な技術シーズを生かして貢献できるよう、秋田大学・秋田県医師会と連携していきたい」と述べ、秋田県医師会の小玉弘之会長から「少子高齢化の先行県である秋田で、秋田大学・東京工業大学とともに先端的な取り組みを実施できることを大変嬉しく思う」と話しました。

  • 三島良直学長
    三島良直学長
  • 山本文雄秋田大学学長
    山本文雄秋田大学学長
  • 記者会見の様子
    記者会見の様子
  • 小玉弘之秋田県医師会会長
    小玉弘之秋田県医師会会長

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email:media@jim.titech.ac.jp

Tel:03-5734-2975

4月の学内イベント情報

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4月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

桜花観賞2017

桜花観賞2017

本年も桜花の季節を迎えました。この機会に、近隣の皆様にも本学大岡山キャンパスの桜を愛でていただきたく、下記の日時にキャンパスを開放いたします。

日時
2017年3月29日(水)~4月2日(日)10:00 - 18:00
会場
大岡山キャンパス
参加費
無料
対象
一般
申込
不要

ノーベル賞の受賞メダル一般公開

ノーベル賞の受賞メダル一般公開

大隅良典栄誉教授が2016年ノーベル生理学・医学賞の授賞式で授与されたメダルのレプリカを、大岡山キャンパスで4月4日まで一般公開しています。

日時
2017年2月6日(月)~2017年4月4日(火)
平日(月~金) 10:30~16:00
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
不要

企画展「LATVIA. ARCHITECTURE AT CONVERGENCE ―ラトビア、融合の建築―」

企画展「LATVIA. ARCHITECTURE AT CONVERGENCE ―ラトビア、融合の建築―」

本展覧会では、ラトビア、とりわけリガの建築を形作り、そのユニークな特徴をつくり出した複合的背景の一端をご紹介します。

日時
2017年4月7日(金)~4月27日(木) 10:30 - 16:30
※土日開館、4月8日(土) は19:30 まで延長
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

シンポジウム

企画展「LATVIA. ARCHITECTURE AT CONVERGENCE ―ラトビア、融合の建築―」に関連したシンポジウムを開催します。

日時
2017年4月8日(土) 15:00 ‒ 18:00(14:30 開場)
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要(先着120名)

香港科技大学(HKUST)学長講演会開催

香港科技大学(HKUST)学長講演会開催

香港科技大学は、1991年の創立以来急成長を遂げている、香港の公立大学です。トニー・チャン学長からは“HKUST, Rising Asia and Global Impact”と題し、国際社会における重要性が高まるアジアの高等教育・科学技術の最新動向について、同大学の海外戦略や、学生向けに展開している国際プログラムの紹介を交えてご講演いただきます。

日時
2017年4月13日(木) 11:00 - 12:15(講演1時間・質疑応答15分)
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

工学による障がい者支援に関する東工大・スイスジョイントワークショップ開催

工学による障がい者支援に関する東工大・スイスジョイントワークショップ開催

医用工学分野において、東京工業大学はスイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)と、かねてより国際産学連携プロジェクトを推進しております。今回は、在日スイス大使館の協力のもと、ETH Zurich、赤十字国際委員会(ICRC)にも参加頂き、真の共生社会の実現に向けて障がい者支援を中心にして、議論を行います。

日時
2017年4月18日(火)
13:30 - 17:10(ワークショップ)、17:15 - 18:45(ネットワーキング)
会場
参加費
ワークショップ:無料、ネットワーキング:3,000円
対象
一般
申込
必要

社会人アカデミー主催 2017年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミー主催 2017年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミーでは、毎年ご好評をいただいている理工系一般プログラムを本年度も開講予定です。

日時
「環境科学」(コースレベル:初・中級)4月22日(土)~6月24日(土)
「環境工学①リサイクル」(コースレベル:中級)4月21日(金)~6月16日(金)
「環境工学②エネルギー」(コースレベル:中級)6月23日(金)~8月18日(金)
「食の安全と安心」(コースレベル:基礎)4月18日(火)~8月1日(火)
会場
参加費
「環境科学」(コースレベル:初・中級)30,856円
「環境工学①リサイクル」(コースレベル:中級)15,428円
「環境工学②エネルギー」(コースレベル:中級)15,428円
「食の安全と安心」(コースレベル:基礎)30,856円
対象
一般
申込
必要

ベンチャー未来塾2017

ベンチャー未来塾2017

東京工業大学社会人アカデミーでは、本講座をはじめとして、産業のグローバル化に対応できる企業人材を育成する「グローバル産業リーダー育成プログラム」(GINDLE-Global INDustrial LEader)を設置しています。

新たなビジネスチャンス獲得の場として、高い評価をいただいてまいりました。国の政策・立案に関わる府省庁関係者や新興上場企業執行役員が集い、毎回、講義とディスカッションを行います。

日時
4月25日(火)、5月12日(金)、5月16日(火)、5月23日(火)、6月6日(火)、6月13日(火)、6月20日(火)、6月27日(火)
会場
東京21cクラブ(〒100-6510 東京都千代田区丸の内 1-5-1 新丸の内ビルディング 10F)
参加費
198,000円(税込)
※情報交換に参加される方は、軽食代として別途、各回当日2,000円を申し受けます。
対象
新興上場企業(新経済連盟企業など)の執行役員・事業所長クラス
申込
必要

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

英文ニュースレター Bulletin No. 45 配信

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Tokyo Institute of Technology Bulletinは、3ヵ月に一度本学が配信している英文ニュースレターです。 東京工業大学の研究成果やニュース記事、学生の活動などを国内外へ広くメールで配信をしております。

この度、Tokyo Institute of Technology Bulletin No. 45 が発行されました。

メールでの配信をご希望の方は申込フォームからご登録ください。

Tokyo Institute of Technology Bulletinは英語で配信を行っていますがコンテンツは全て日英両方でご覧頂けます。

Tokyo Institute of Technology  Bulletin | Research and education at Japan's foremost university dedicated to science and technology

Topics

Topics

Early cancer intervention with gut bacteria Takuji Yamada

Feature

―Nobel Prize Special―

Recent Research

from School of Engineering

News

Through Students' Eyes

Tokyo Institute of Technology Bulletin No.45

高校生・大学院受験生向け広報誌「TechTech」31号発行

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東京工業大学広報誌「Tech Tech(テクテク)」31号を発行しました。

Tech Techは、学士課程・大学院課程受験生向けに、東工大の最新の研究や、学生生活、研究室の様子、卒業生の活躍など本学のさまざまな面を豊富な画像とわかりやすい文章でご紹介する広報誌です。

最新号では、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典本学栄誉教授から受験生へのメッセージ、本学教員5名による座談会「研究者という生き方」などをご紹介しています。

TechTech No.31

TechTech No.31

CONTENTS

  • 人生を賭けられる何かを見つけよう

    大隅良典東京工業大学栄誉教授

  • 研究者という生き方

    陣内修 理学院 准教授

    バッハ・マーティン 物質理工学院 教授

    山口雄輝 生命理工学院 教授

    波多野睦子 工学院 教授

    調麻佐志 リベラルアーツ研究教育院 教授

  • 教育改革を支える研究改革

    三島良直学長

  • 博士たちのキャリアデザイン論

    川口卓志(株式会社レゾニック・ジャパン代表取締役、株式会社ラプソドス代表取締役)

  • 学生企画

    LET'S 東工大入学体験

学内の配布場所や、郵送での請求方法については、以下のページをご確認ください。

バックナンバーはこちら

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

電話:03-5734-2976

E-mail:publication@jim.titech.ac.jp

炎症反応を制御する新たな分子MKRN2を発見 ―過剰な炎症反応を防ぐ仕組みの一端を解明―

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要旨

理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センター 炎症制御研究チームのシン・チャンヨン国際プログラム・アソシエイト(東京工業大学 生命理工学院 博士課程、所属は共に研究当時)と田中貴志チームリーダー、東京工業大学 生命理工学院の十川久美子准教授、徳永万喜洋教授らの共同研究チームは、炎症反応を制御する新たな分子「MKRN2」を発見しました。

ウイルスや細菌に感染したとき、私たちの体は炎症反応という一連の免疫反応を起こし、侵入した病原体と戦います。ところが、この炎症反応が何らかの原因で暴走する状態が続くと、アレルギー性疾患や、自己免疫疾患[用語1]を発症します。このことから、生体は免疫系を効率的に活性化するだけでなく、逆に抑制するシステムも備えており、炎症反応が過剰にならないよう巧妙に調節していると考えられています。田中貴志チームリーダーらはこれまで、免疫細胞内で核内タンパク質「PDLIM2[用語2]」が、炎症反応に必須の核内転写因子「NF-κB[用語3]」にユビキチン[用語4]という小さなタンパク質を付加(ユビチキン化)して、NF-κBの分解を誘導することで炎症反応を抑制する分子メカニズムを研究してきました。PDLIM2は自らが持つLIMドメイン[用語5]という特有の構造を介して、細胞内のさまざまなタンパク質と相互作用することにより機能を発揮することが知られていました。しかし、PDLIM2がNF-κBをユビキチン化して分解する反応の詳細なメカニズムは不明でした。

今回、共同研究チームは酵母ツーハイブリッド法[用語6]という手法を用いて、PDLIM2と結合するタンパク質を網羅的に探索し、炎症反応を抑制する新たなタンパク質分子の同定を試みました。その結果、MKRN2というタンパク質が、NF-κBのユビキチン化および分解を誘導することにより炎症反応を収束させる新たな分子であることを発見しました。実際、MKRN2はPDLIM2と結合し共同して、より効率的にNF-κBの働きを抑制するということが明らかになりました。また、MKRN2を欠損させた免疫細胞では、NF-κBの分解が妨げられ、コントロールの細胞と比べて、炎症反応が2~3倍増加することが分かりました。

今回解明したMKRN2による炎症反応の抑制機構は、炎症性疾患や自己免疫疾患の治療を目的とした人為的な免疫制御法の開発に役立つことが期待できます。

本研究成果は、英国のオンライン科学雑誌『Scientific Reports』(4月5日付け:日本時間4月5日)に掲載されました。

背景

ウイルスや細菌に感染したとき、私たちの体は炎症反応という一連の反応を起こすことで、これらの病原体と戦います。病原体を見つけ出す働きをする代表的な免疫細胞である樹状細胞[用語7]は、細胞膜上のToll(トール)様受容体(TLR)[用語8]というセンサーを使って病原体を認識します。そしてTLRから細胞内へシグナルが伝わり、最終的に炎症反応を誘導する際に鍵となる転写因子「NF-κB」を活性化します。活性化したNF-κBは、炎症反応に必要な多くの遺伝子が順序よく働くように指令を出すという、炎症反応の開始と進行に必要不可欠な役割を果たしています。ところが、このNF-κBが何らかの原因で過剰に活性化して免疫細胞が暴走する状態が続くと、アレルギー疾患や炎症性疾患、自己免疫疾患を発症することが報告されています。このため、正常な免疫応答を保ち炎症性疾患の発症を防ぐには、NF-κBの活性をオンにするだけでなく、それを適切な時点でオフにするシステムが重要です。

2007年に田中貴志チームリーダーらは、炎症反応の抑制を研究する中で見いだした「PDLIM2(PDZ and LIM domain protein 2)」という核内タンパク質が、NF-κBの分解を誘導することにより炎症反応を抑制することを明らかにしました[注1]。NF-κBは活性化すると細胞質から核へと移行し、炎症反応に必要な多くの遺伝子の転写を誘導しますが、PDLIM2は核内に移行したNF-κBにユビキチンという小さなタンパク質を付加(ユビキチン化)します。ユビキチン化はタンパク質分解酵素の目印となることから、ユビキチン化されたNF-κBは、プロテアソーム[用語9]というタンパク分解酵素複合体により分解され炎症反応が抑制されます。このように標的タンパク質を選別して結合することでユビキチン化する役割を担う分子を「ユビキチンリガーゼ」といいます。PDLIM2は、NF-κBに対するユビキチンリガーゼとしては世界で最初に報告されました。

しかし、PDLIM2がNF-κBをユビキチン化して分解する反応の詳細なメカニズムは不明でした。そこで共同研究チームは、酵母ツーハイブリッド法という手法を用いて、PDLIM2と結合するタンパク質分子を網羅的に探索することで炎症反応を抑制する新たなタンパク質を同定し、ユビキチン化のメカニズムを解明することを試みました。

注1)
2007年4月30日 理研プレスリリース「炎症反応を制御する新たなメカニズムを解明」PDF

研究手法と成果

酵母ツーハイブリッド法とは、2つのタンパク質が結合するかどうかを、酵母の細胞内で検出するシステムです。共同研究チームはこの手法を用いて、PDLIM2と結合するタンパク質を同定することを試みました。その結果、「MKRN2」というタンパク質が、PDLIM2と結合していることが分かりました。MKRN2は「RINGフィンガードメイン」という構造を持っています。一般的に、RINGフィンガードメインを持ったタンパク質はユビキチンリガーゼとして働くことが知られています。そこで、MKRN2のNF-κBに対する作用を調べたところ、MKRN2はPDLIM2と同様に、NF-κBと結合し、NF-κBをユビキチン化して分解に導くことでNF-κBの働きを抑制しました。このことから、MKRN2もNF-κBに対するユビキチンリガーゼであることが明らかになりました。

次に、NF-κBをユビキチン化・分解する反応において、MKRN2とPDLIM2という2つのユビキチンリガーゼがどのように働くのかを調べました。実験の結果、MKRN2を欠損させた細胞においては、PDLIM2がNF-κBをユビキチン化・分解する反応が著しく低下することから、PDLIM2が正常に働くためにはMKRN2の存在が必要であることが分かりました。さらに、MKRN2とPDLIM2の両者が存在するときには、それぞれ単独の場合と比べて、より効率的にNF-κBをユビキチン化・分解することも明らかになりました。

また、MKRN2を欠損させた樹状細胞をリポ多糖[用語10]で刺激したときの炎症性サイトカイン[用語11]の産生量を測定しました。その結果、コントロールの細胞と比べて2~3倍に増加しており、同時にNF-κBの分解も妨げられていました。

以上の結果から、MKRN2は、PDLIM2と共同でNF-κBをユビキチン化・分解して免疫反応を適切な時点で収束させることで、生体に過度な炎症反応が起こらないように制御していることが明らかになりました。

MKRN2およびPDLIM2による炎症反応制御機構

図1. MKRN2およびPDLIM2による炎症反応制御機構

樹状細胞において、NF-κBは活性化すると細胞質から核へ移行し、炎症反応に関連する一連の遺伝子の転写を促進することにより炎症反応を誘導する。MKRN2は、PDLIM2と共同して、核内に移行したNF-κBにユビキチンを付加(ユビキチン化)する。その結果、NF-κBはプロテアソームで分解されることで不活性化され、炎症反応は収束に向かう。

今後の期待

MKRN2とPDLIM2は、互いに協調し合って炎症反応を抑制していると考えられます。これらのタンパク質による炎症反応の抑制機構は、炎症性疾患や自己免疫疾患の治療を目的とした人為的な免疫制御法の開発に役立つと期待できます。

用語説明

[用語1] 自己免疫疾患 : 何らかの免疫異常によって自分の体や組織を異物のように認識し、自己抗体や自己に反応するリンパ球を作り、自分の体を攻撃する疾患。代表的なものに関節リウマチなどあるが、根本的な治療法は見つかっていない。

[用語2] PDLIM2 : PDZドメインとLIMドメインという2つの特殊な構造を持つタンパク質で、田中チームリーダーらが発見した。標的タンパク質となる転写因子をユビキチン化し分解を誘導することで、シグナル伝達を抑制させるように働く。

[用語3] NF-κB : 特定のDNA配列に結合して遺伝子の発現を制御するタンパク質を転写因子という。転写因子のNF-κBにはp65を含む5種類のサブユニットが知られており、これらが二量体を形成したものが転写因子として機能する。Toll様受容体が認識する菌体成分などの刺激で活性化され、炎症性サイトカインなどの発現を亢進させることで、炎症反応の誘導に中心的役割を果たす。

[用語4] ユビキチン : ユビキチンは76個のアミノ酸からなる小さなタンパク質で、標的となるタンパク質に多数のユビキチン分子が鎖状に結合すると、標的タンパク質はプロテアソームという巨大なタンパク質分解酵素複合体に認識され分解される。

[用語5] ドメイン : タンパク質分子中で複数の領域に分けることができる場合がある。これをドメインと呼び、特定の機能や構造で他と区別できる。

[用語6] 酵母ツーハイブリッド法 : 酵母の細胞内で目的のタンパク質を発現させて、タンパク質間の結合を検出する手法。試験管内で2つのタンパク質のみ存在する状態で相互作用を検討する実験系と比べて、酵母という真核細胞を用いることで、より生体内に近い条件での検討ができる。

[用語7] 樹状細胞 : 樹状突起を持つ白血球で、病原体を認識して取り込み、Tリンパ球に異物の情報を伝える。Tリンパ球は、病原体を攻撃したり、他の免疫細胞を刺激して抗体の生産を活性化する免疫細胞。

[用語8] Toll(トール)様受容体(TLR) : 病原体由来のさまざまな成分の認識に関与する膜タンパク質群の総称。ヒトでは10種類、マウスでは12種類が報告されており、それぞれのTLRが病原体特異的な成分(膜分子や核酸)を認識する。TLRはToll-like receptorの略。

[用語9] プロテアソーム : 細胞質や核内に分布しているタンパク質を分解する巨大な酵素複合体。ポリユビキチン鎖により標識されたタンパク質を選択的に分解する。

[用語10] リポ多糖 : グラム陰性桿菌の細胞壁を構成する糖脂質の1つ。樹状細胞の細胞膜表面にあるToll様受容体の1つTLR4を刺激することにより、転写因子NF-κBを活性する。

[用語11] 炎症性サイトカイン : サイトカインとは、細胞同士の情報伝達にかかわるさまざまな生理活性を持つタンパク質の総称。炎症性サイトカインとは、体内への病原体の侵入を受けて産生されるサイトカインで、生体防御に関与する多種類の細胞に働き、炎症反応を引き起こす。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
MKRN2 is a novel ubiquitin E3 ligase for the p65 subunit of NF-κB and negatively regulates inflammatory responses
著者 :
Chanyoung Shin, Yuma Ito, Shota Ichikawa, Makio Tokunaga, Kumiko Sakata-Sogawa, Takashi Tanaka
DOI :

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

理化学研究所 統合生命医科学研究センター
炎症制御研究チーム 国際プログラム・アソシエイト
東京工業大学生命理工学院博士課程(研究当時)
シン・チャンヨン
チームリーダー 田中貴志

E-mail : takashi.tanaka@riken.jp
Tel : 045-503-9283 / Fax : 045-503-7064

東京工業大学 生命理工学院
准教授 十川久美子
教授 徳永万喜洋

E-mail : mtoku@bio.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5711 / Fax : 045-924-5831

取材申し込み先

理化学研究所 広報室 報道担当

E-mail : ex-press@riken.jp
Tel : 048-467-9272 / Fax : 048-462-4715

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

第2回「末松賞」授賞式を実施

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2月14日、第2回末松賞の授賞式が行われました。

末松賞は、末松安晴栄誉教授の「若い研究者たちが様々な分野で未開拓の科学・技術システムの発展を予知して研究し、隠れた未来の姿を引き寄せて定着させる活動が澎湃としてわき出て欲しい」との思いから、本学に対し多額の寄附をいただいたことにより創設され、今回で2回目の授賞式となりました。

(前列左から)相川清隆准教授、末松安晴栄誉教授、岩谷駿助教、吉田啓亮助教<br />(後列左から)日置滋副学長(基金担当)、三島良直学長、安藤真理事・副学長(研究担当)
(前列左から)相川清隆准教授、末松安晴栄誉教授、岩谷駿助教、吉田啓亮助教
(後列左から)日置滋副学長(基金担当)、三島良直学長、安藤真理事・副学長(研究担当)

末松栄誉教授は、光通信工学の分野において、光ファイバーの伝送損失が最小となる波長の光を発し、かつ、高速に変調しても波長が安定した動的単一モードレーザーを実現しました。現在のインターネット社会を支える大容量長距離光ファイバー通信技術の確立に大きく寄与するなどの優れた業績を挙げ、本領域の発展に多大な貢献をしました。その功績が評価され2015年度の文化勲章を受章しています。

相川准教授(左)、岩谷助教(中)、吉田助教(右)
相川准教授(左)、岩谷助教(中)、吉田助教(右)

第2回目となる本年度は、科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の吉田啓亮助教、生命理工学院 生命理工学系の岩谷駿助教、理学院 物理学系の相川清隆准教授の3名が選考されました。

授賞式には末松栄誉教授も出席し、三島良直学長からの挨拶の後、賞状の授与が行われました。次いで末松先生からも挨拶があり、その後、受賞者3名が受賞に対しての感謝と今後の意気込みを述べました。

受賞式に続き、記念撮影、懇談会が行われ、懇談会では、昨年度の第2回受賞者である理学院 物理学系の井上遼太郎助教も参加しました。

吉田助教、岩谷助教、相川准教授からは、現在行っている研究についての説明が、井上助教からは、受賞から1年が経過した現在の状況についての説明があり、それに対して末松栄誉教授と三島学長から自分たちの若手時代のことを交えた話がなされ、大変盛り上がった懇談会となりました。

懇談会の様子
懇談会の様子

東工大基金

このイベントは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

東京工業大学基金室

Email:bokin@jim.titech.ac.jp

Tel:03-5734-2415

BS ジャパン「田村淳のBUSINESS BASIC特別編 with 未来EYES」に情報理工学院の篠田浩一教授が出演

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情報理工学院 情報工学系の篠田浩一教授が、BSジャパン「田村淳のBUSINESS BASIC特別編 with 未来EYES」に出演します。

「田村淳のBUSINESS BASIC」は今ホットなビジネスの話題について、毎回様々なゲストと共に深く切り込んでいく番組です。今回は「AIが人間を支配する? ―未来の暮らしとビジネスモデル―」というタイトルで、AIの進む先や人間生活との共存について、熱い議論が行われました。

また放送に先立ち3月30日(木)に、本学レクチャーシアターにて公開収録が実施されました。収録の模様はニコニコ生放送でも配信され、レクチャーシアターにお越しいただいた約130人に加え、生放送の来場者数は約1万人にのぼりました。

篠田教授
篠田浩一教授

篠田教授からのコメント

人工知能(AI)が社会に深く浸透していく中で、職業の概念も大きく変わろうとしています。現在のAIができること・できないことは何か?

AIが今後の働き方をどのように変えていくか、そのために、今、大学で何を学んだらいいのか、など、幅広い話題について、各界の識者の方々やご来場の皆さんと楽しく議論しました。

  • 番組名
    BSジャパン「田村淳のBUSINESS BASIC」
  • タイトル
    「2045年 AIが人間を支配する?未来の暮らしとビジネスモデル」
  • 放送予定日
    2017年4月22日(土)21:00 - 22:00

公開収録の様子

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公開収録の様子

情報理工学院

情報理工学院 ―情報化社会の未来を創造する―
2016年4月に新たに発足した情報理工学院について紹介します。

情報理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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平成29年度 東京工業大学入学式 挙行

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4月4日、大岡山キャンパスにて平成29年度入学式が執り行われました。今年度の入学者数は、学士課程1,136名、大学院課程1,850名(修士課程1,613名(専門職学位課程を含む)博士後期課程237名)の計2,986名です。

平成29年度 東京工業大学入学式

学士課程入学式は10時30分から、大学院課程入学式は14時から、アカデミックガウンを身にまとった学長、来賓の方々、役員、各学院長、リベラルアーツ研究教育院長、科学技術創成研究院長、附属図書館長の入場で始まりました。末永隆一氏の指揮のもと本学管弦楽団が行進曲を演奏する中、厳かな入場となりました。開式のアナウンス後、本学混声合唱団コールクライネスとともに列席者一同で大学歌を斉唱しました。

学長式辞(三島良直学長)
学長式辞(三島良直学長)

東工大は、世界で活躍できる人材育成と世界をリードする研究を推進するために、昨年度から様々な改革を進めています。今後の教育、研究のグローバル化を見据え、学長の式辞は、英語で行われました。

三島学長は学士課程新入生に向けて、「皆さんは学士課程の後半で専門分野と指導教員を決めて研究をベースとする教育を受けることになり、その後皆さんの多くが大学院へ進学して引き続きより高度な研究に臨むことになると思います。そのステージに至るまでに、如何に自分の基礎能力を磨けるかがとても重要なのです。是非明日から本学の新しい学士課程教育に積極的に臨んでいただき、将来本学を卒業・修了して社会に出るときには、どのような仕事について、どのように平和で豊かな人間社会の構築に貢献するのかという自覚を育てていって欲しいと思います。もうひとつ本学で学ぶ上で重要な心構えについて述べておきたいと思います。大学在学中の学びは学業だけでなく、これから社会に出るまでの自分の人格を形成する時でもあります。そのためには先生、友人などできるだけ多くの人と接することで常に自分を見つめ、自分の人生への経験知を高めることが必要です。また様々なことに挑戦し、失敗や成功の体験を重ねることもこのために有効です。課外活動に参加することではチームで活動する大切さ、目標をクリアした時の達成感に加えてリーダーシップとは何かを学ぶことでしょう。海外に身を置くことも大変に刺激的であり、今までに気づかなかった自分を発見する良い機会です。私自身、本学で学士課程と大学院修士課程を終えた1975年に米国カリフォルニア大学バークレー校に留学して博士号であるPh.Dを取得した長い学生生活を過ごしましたが、大変に厳しい教育環境と、それまでの自分が過ごした環境との大きな違いを乗り越えて目的を果たした時の達成感が今の自分を支えています。長期留学には抵抗がある場合は、まずはサマースクールなどを利用して数週間あるいは数ヵ月を海外のトップレベルの大学に身を置いてみてはどうでしょうか。このような機会は本学に沢山用意されていますので是非利用してほしいと思います。在学中にどれだけの挑戦をするかが、皆さんがどれだけ素晴らしい、そして人に尊敬される人間になるかにかかっています」と話しました。

大学院課程新入生へは、「今日から修士課程、専門職学位課程で大学院生活をスタートされる皆さんの多くは、2年後に就職することを念頭に置いておられると思います。その中でまず考えていただきたいのは、これからの2年間で自分にどのような能力を身に付けて、将来どのような分野でどのような仕事をしたいのかというビジョンを作りながら進んで欲しいということです。すなわち、これから2年間にわたって取り組む研究は修士を修了するために必要な義務ではなく、皆さんが修了後に様々な分野で活躍して社会貢献を果たすために必要な基礎力を付けるために必要なものなのです。そのような気概をしっかり持ち、またそれを話せる人材を社会は求めています。本学大学院生としての自覚と、自分の将来を見据えて積極的に様々な能力を身につける熱意を持って、より高い目標に挑戦し続ける2年間であって欲しいと思います。今日から博士後期課程に進む皆さんには、何より従事する研究分野において世界をリードする研究を手掛けていただきたいと思います。本学における教育の最高峰に臨む自覚と熱意を、しっかりと胸に抱いて挑戦し続けてほしいと思います。学位取得後には、国内外の大学や研究機関での世界最先端の科学技術研究に取り組み、新たな知の創出により人間社会に貢献する道、あるいは産業界に身を置いて我が国の産業の国際競争力を高めて社会貢献を果たす技術者となる道、あるいは会社を立ち上げる起業家になって新たな産業を興して社会に貢献する道、そしてその他にもいろいろな活躍の道を皆さんは選択できるのです。そのいずれの場合においても、博士号を持つ人材がリーダーシップを発揮し社会に貢献するためには、科学技術分野の専門性だけではなく周囲の人たちから尊敬される人間性を持つことが重要です」と語りました。

その後来賓の方々を代表して、本学同窓会「一般社団法人蔵前工業会」理事長・東日本旅客鉄道株式会社監査役の石田義雄氏、マツダ株式会社 代表取締役会長の金井誠太氏より祝辞をいただきました。続いて来賓紹介、本学役員・部局長紹介が行われ、その後、新入生総代よりこれから始まる東工大生活での抱負が力強く宣誓されました。

新入生総代答辞(学士課程)

新入生総代答辞(学士課程)

新入生総代答辞(大学院課程)

新入生総代答辞(大学院課程)

学士課程入学式に続いて、同会場で入学記念コンサートが開催されました。これは毎年、新入生の門出を祝う意味をこめて、プロのピアニストにお願いして演奏していただく催しです。今年のピアニストは今田篤さんです。今田さんは、東京藝術大学音楽学部器楽科を経て、同大学院修士課程を修了し、修了時に大学院アカンサス音楽賞及び藝大クラヴィーア賞を受賞されています。

入学記念コンサート
入学記念コンサート

大岡山キャンパスは、咲き始めた桜とともに新入生やそのご家族の晴れやかな笑顔で溢れました。

新入生のみなさま、入学おめでとうございます。

大岡山キャンパス

新入生

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
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TAIST学生との交流~日本・タイ高度人材育成ネットワークを強化~

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本学では、2007年よりタイ国立科学技術開発庁及びタイのトップクラス大学と連携し、TAIST- TokyoTech(以下、TAIST)という修士課程プログラム(自動車工学、組込情報システム、環境工学の3分野)をタイで実施しています。

2016年10月30日~11月19日の間(計21日間)、TAISTの学生が修士研究における本学の副指導教員の研究室に滞在し、本学学生との共同研究を通じて、日・タイ高度人材育成ネットワークを強化する学生交流プログラム「TAIST-Tokyo Tech Student Exchange Program in Japan 2016-SAKURA Exchange Program in Science」を計画し、TAIST修士2年生10名(タイ人8名、パキスタン人1名、スリランカ人1名)を招へいしました。この活動は、国立研究開発法人 科学技術振興機構の平成28年度日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)の支援を受けて実施しました。

プログラム中、TAIST学生は各研究室に配属され、それぞれの研究室で研究活動を行いました。各研究室は歓迎会を行ったりして、学生を暖かく迎え入れました。TAIST学生の一人は、「良い研究計画を立て、受入指導教員やチームのメンバーとディスカッションができ、その結果、滞在中に計画通り研究を進めることができた」との感想を述べました。また、各プログラムに分かれて関連分野(自動車工学は、機械力学・運動分野、制御・計測分野、エネルギー分野。組込情報システムは、高機能情報システム分野、通信情報システム分野、ヒューマンインターフェース分野。環境工学は、無機材料分野、水圏環境、開発資源分野)の研究室訪問を行い、副指導教員や各研究室の学生から研究内容について紹介され、TAIST学生は積極的に質問を行い、自分の受入研究室やそれ以外の研究室の研究内容について、理解を深めることができました。また、日本の進んだ研究や学生たちが熱心に研究に取り組む姿に感銘を受けていました。その他の活動として、キャンパスツアーでは、スーパーコンピューターTSUBAME、環境エネルギーイノベーション(EEI)棟、図書館を見学しました。特にスーパーコンピューターTSUBAMEに対する学生の関心が高く、活発に質問がなされました。

工学院 花村克悟教授の研究室訪問の様子
工学院 花村克悟教授の研究室訪問の様子

副指導教員の研究室で、研究を行うTAIST学生
副指導教員の研究室で、研究を行うTAIST学生

昨年度タイに派遣された本学学生と日本科学未来館を訪問
昨年度タイに派遣された本学学生と日本科学未来館を訪問

休日には、昨年TAIST学生交流プログラムで本学からTAISTに派遣された学生と一緒に、日本科学未来館や科学技術館を訪問し、革新的な技術について体験することができました。本学学生も、英語で積極的にTAIST学生と交流し、親交を深めました。

また企業訪問として、富士フィルム株式会社小田原サイトの記録メディアの生産工場を見学し、富士フィルムの歴史や、先進・独自の技術、環境への配慮について学びました。

帰国前日となる11月18日には、合同研究成果発表会として、ポスターセッションを行いました。受入教員や受入研究室の学生約30名が来場し、発表者と活発に議論を交わしました。その後、TAIST運営副委員長の奥村学教授により、修了証の授与が行われ、受入教員よりTAIST学生の努力を評価するコメントがありました。

このプログラムを通し、学生たちは、本学での研究生活を実体験することができ、新しい科学技術の知識やスキルを習得しながら、研究を進めることができました。また、日本を訪れたこと、日本人と接したことにより、日本の文化や歴史、日本人の日常生活や考え方を理解し、日本に対する興味を更に深めることができました。TAIST学生全員が「将来また日本を訪れたい」との感想を持って、帰国しました。また、本学学生にとっても、TAIST学生と交流し、グローバルなネットワークを構築する良い機会となりました。

合同研究成果発表会終了後の修了証授与
合同研究成果発表会終了後の修了証授与

TAIST:Thailand Advanced Institute of Science and Technologyの頭文字。タイ政府からの要望により、理工系分野での高度な「ものつくり人材」の育成と研究開発のハブを目指して設立。タイにおいて、急速な工業化から派生する諸問題の解決や持続可能な発展に資する研究開発、人材育成を目的としています。

お問い合わせ先

国際部国際事業課 TAIST事務室

Email : taist@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2237

藻類オイル抽出残渣から化学品原料の合成に成功 ―藻類バイオマスを徹底的に活用する技術を確立―

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要点

  • 石油の代替資源になりうる藻類バイオマスのさらなる有効利用
  • 均一系スズ触媒による有用化学品原料への選択的な化学変換プロセスを開発
  • オイル抽出残渣から、さらに化学品原料を合成することに成功

概要

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の山口渉助教と科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の今村壮輔准教授らは、藻類からオイルを抽出した残渣に含まれる糖質成分から化学品原料(レブリン酸メチル[用語1]及び乳酸メチル[用語2])を合成する新たな化学変換プロセスを開発した。

トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)あるいは臭化スズ(IV)という2種類の均一系スズ触媒[用語3]を用いると、一段階かつ高収率の化学変換により、藻類のオイル抽出残渣からレブリン酸メチル及び乳酸メチルを合成できることを見出して実現した。この成果により、石油資源の代替になる藻類の利用価値が飛躍的に向上することになる。

石油資源の枯渇が懸念される現在、藻類の細胞内からバイオオイルを抽出してジェット燃料やバイオディーゼルへ応用する試みが注目されている。一方、藻類からバイオオイルを抽出した残渣には、デンプンを主とした糖質成分が含まれているにもかかわらず、これまで、その有効な利活用法が存在しなかった。

本研究成果は4月12日に英国科学誌ネイチャーの姉妹誌「サイエンティフィック・レポート(Scientific Reports)」オンライン版に掲載された。

研究成果

藻類の細胞内に蓄積するバイオオイルを燃料源として利用する試みが近年、注目されている。藻類からオイルを抽出した残渣には、デンプンを主成分とした多様な糖質成分が含まれている。今回は藻類バイオマス[用語4]の有効利用法の確立に向けて、藻類由来の糖質成分から有用化学品原料(レブリン酸メチル及び乳酸メチル)を選択的に合成することを目的とした。

有用化学品原料のうちレブリン酸メチルは燃料添加剤に利用されているほか、さまざまな化合物に展開することで医薬品、化粧品、プラスチックなどの化学品の合成に使われる。乳酸メチルはバイオプラスチックの一つであるポリ乳酸(PLA)の原料として利用されている。

2種類の均一系スズ触媒を使い分けることにより、目的とする化合物を一段階かつ高収率で取り出すことができる新たな化学変換プロセスを開発することに成功した。

本研究の概要

図1. 本研究の概要

背景

近年、石油資源の代替エネルギー源として「藻類バイオマス」が注目を浴びている。藻類の中には光合成の副産物として細胞内にオイルを蓄積する種類が存在する。藻類は単位時間・単位面積当たりのオイル生産性がトウモロコシの約800倍、パームの約23倍に及び、炭水化物の生産性がほかのバイオマス資源と比較して、極めて高い。

また、耕地として適さない土地および水域を利用して培養できるため、食糧生産と競合しない。こうした利点から、藻類が生産するバイオオイルを石油の代替として利用するための研究が盛んに行われている。

研究の経緯

藻類の細胞内からオイルを抽出して燃料への利用が行われている。一方、藻類からバイオオイルを抽出した残渣を利活用するための有効な技術は確立されていなかった。藻類の細胞内にはオイルだけではなく、デンプンなどの糖質成分も多く含まれている。したがって、残渣に含まれている糖質成分を有用化合物へと変換することができれば、石油の代替資源としての藻類の利用価値を飛躍的に向上させることができると考えた。

今後の展開

今回は均一系触媒による高選択的な化学変換を達成した。しかし、今後、本技術を実用化する上で、不均一系触媒への展開は必要不可欠である。また、藻類内で生産される糖質の生合成(生体内での有機物の合成)に関する詳しい分子機構を明らかにし、それらの情報を基にして、バイオマス生産性を向上させた藻類株の育種を試みる。これらの研究開発により、藻類バイオマスを炭素資源とした、有用化学品生産の実用化に向けて大きく前進することが期待される。

用語説明

[用語1] レブリン酸メチル : 工業的には燃料添加剤として利用されている。 出発物質として種々の有用化合物へと展開することで医薬品、化粧品、プラスチックなど様々な化学品の合成にも用いられている。

[用語2] 乳酸メチル : バイオプラスチック(バイオマスを原料とするプラスチック)の一つであるポリ乳酸(PLA)の原料として利用されている。PLAは植物由来のプラスチックであり、石油由来のABS樹脂の代替として利用が推進されている。

[用語3] 触媒 : ある特定の化学反応の反応速度を進める物質のこと。固体、気体、液体のいずれの形態でもよく、作用中、自身は変化し続けるが、消費・再生を繰り返し、反応の前後で正味の増減はない。均一系触媒とは相(液相、固相、気相)が同じ場合で、不均一系触媒は相が異なる場合である。生成物との分離回収や耐久性の観点から、工業的には不均一系触媒の使用が多い。

[用語4] バイオマス : 生物由来の炭素資源を指す言葉である。生物により固定された二酸化炭素は生物体内に貯蔵され、再利用される。これがバイオマスとして再度エネルギー源として利用されるとき、化石資源と同様に二酸化炭素が放出されることとなる。しかし、放出された二酸化炭素はどこかでまた生物体内に取り込まれるため、二酸化炭素の収支はゼロである(カーボンニュートラル)。二酸化炭素-バイオマス-エネルギー生産-二酸化炭素という循環の規模が大きくなれば、社会は循環型社会へと近づくことができる。

研究サポート

この研究は、JST・CREST「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」の支援を受けて実施した。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Development of New Carbon Resources: Production of Important Chemicals from Algal Residue
著者 :
Sho Yamaguchi, Yuuki Kawada, Hidetaka Yuge, Kan Tanaka, Sousuke Imamura
DOI :

物質理工学院

物質理工学院 ―理学系と工学系、2つの分野を包括―
2016年4月に発足した物質理工学院について紹介します。

物質理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系
助教 山口渉

E-mail : yamaguchi.s.ag@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5417 / Fax : 045-924-5441

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所
准教授 今村壮輔

E-mail : simamura@res.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5859

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

TSUBAME e-Science Journal Vol.15 を発行

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学術国際情報センターが、TSUBAME e-Science Journal Vol.15を発行しました。

TSUBAME e-Science は、東工大のスーパーコンピュータTSUBAMEを利用した研究成果を発表する広報紙です。

Vol.15には、TSUBAMEグランドチャレンジ大規模計算制度で採択されたouter挑戦的な大規模計算の研究課題を含む、3つの事例が掲載されています。

  • TTX:反応性乱流の直接数値計算
  • GPUを用いた高性能並列AMRのためのハイレベルフレームワーク
  • クラウド的GPU利用を簡単にするツール:DS-CUDA

TSUBAME e-Science Journal Vol.15

TSUBAME e-Science Journal Vol.15

お問い合わせ先

学術国際情報センター TSUBAME ESJ 編集室

Email:tsubame_j@sim.gsic.titech.ac.jp

Tel:03-5734-2085

平成28年度 東京工業大学附属科学技術高等学校 卒業式挙行

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3月10日、田町キャンパスにて東京工業大学附属科学技術高等学校(以下、附属高校)の卒業式が執り行われ、184名の生徒が晴れの卒業の日を迎えました。

平成28年度 東京工業大学附属科学技術高等学校 卒業式挙行

附属高校の宮本文人校長は式辞で、「本校で学んだ卒業生の皆さんが、科学技術に関連して、問題を解決する能力や、コミュニケーションする能力を生かして、自分自身の未来を切り拓くとともに、日本及び世界の発展に貢献することを期待します」と話しました。

附属高校の生徒は、海外や国内において、部活動を含めて、いろいろな催しに積極的に参加し、数多く表彰されました。高校生を対象にプログラミング能力を競うアジア太平洋情報オリンピックでは銀賞を受賞し、世界30の国・地域から62チームが参加した数学コンテストであるシンガポール国立大学附属高等学校主催の国際数学チャレンジでは、Commendation Awardを受賞しました。

附属高校では、在学中に東京工業大学の研究室を訪問し学ぶ機会も設けられるなど、東京工業大学と密に連携した教育を行なっています。

ご卒業本当におめでとうございます。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

平成28年度「東工大の星」支援STAR 採択者決定

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平成28年度「東工大の星」支援(英語名称:Support for Tokyotech Advanced Researchers 【STAR】)の採択者2名が決定しました。

受賞者の集合写真(左から)三島良直学長、前田和彦准教授、瀧ノ上正浩准教授、安藤真理事・副学長(研究戦略室長)
受賞者の集合写真(左から)三島良直学長、前田和彦准教授、瀧ノ上正浩准教授、安藤真理事・副学長(研究戦略室長)

「東工大の星」支援【STAR】とは、東工大基金を活用し、将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者や、基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者に対し、大型研究費の支援を行うものです。次世代を担う、本学の輝く「星」を支援します。

また、今年度より、本支援開始以来初めての試みとして2名の「星」による研究発表会を、百年記念館フェライト記念会議室にて行ないました。研究発表は、三島良直学長、安藤真研究戦略室長、大竹尚登副学長をはじめ、リサーチ・アドミニストレーター(URA)や産学連携コーディネーター、さらに日頃より本学の産学連携活動にご理解とご協力をいただいている産学連携会員の皆様にご覧いただきました。研究発表後の交流会では、名刺交換や歓談が行なわれ、盛況のうちに終了しました。

「東工大の星」支援【STAR】の概要

目的

東工大基金を活用し、本学における優秀な若手研究者への大型支援を実施することにより、本学の中期目標である基礎的・基盤的領域の多様で独創的な研究成果に基づいた新しい価値の創造を促進し、もって、学長の方針に基づく本学の研究力強化に資することを目的とする。

支援対象者

公募によらず、様々な業績を勘案し、学長及び研究戦略室長の協議により選考する。

観点

  • 将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者
  • 基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者

役職等

若手研究者は准教授以下(原則40歳以下)とする

第4回目の今回は、2名の「星」が学長及び研究戦略室長の協議により選考されました。

所属部局
担当系
職名
氏名
准教授
准教授

研究発表をする瀧ノ上准教授
研究発表をする瀧ノ上准教授

交流会での歓談の様子
交流会での歓談の様子

東工大基金

この事業は東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

研究推進部研究企画課 研究企画第1グループ

Email : kensan@jim.titech.ac.jp

産学連携シンポジウムをタイで開催

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3月6日、東工大はタイ国立科学技術開発庁(NSTDA)との共催でタイランドサイエンスパーク内のNSTDAにおいて、産学連携シンポジウムを開催しました。

会場風景
会場風景

TAIST-Tokyo Tech

東工大は、日本だけでなく海外でも人材育成に取り組み、国際貢献に寄与しています。TAIST-Tokyo Techは、東工大が独自にタイの関連機関と連携して運営している大学院であり、これまでも親密であった日本とタイとの関係を活かして、これからのアジアでのネットワークをより広く深く築いていくための先駆け的な取り組みとして2007年に設立されました。これまでに200名以上の修了生を輩出しており、アジア圏での理工学系分野での高度人材の育成と研究開発のハブを目指しています。

産学連携シンポジウム

今回のシンポジウムは、近年のタイの経済発展を受けて、2,000社以上の日本企業がタイに進出している状況や、NSTDAを始めとするタイ側パートナー大学の要請もあり、東工大のタイでの産学連携を発展させる糸口とするべく、開催されました。

丸山理事・副学長による開会の挨拶
丸山理事・副学長による開会の挨拶

ナロン長官(NSTDA)
ナロン長官(NSTDA)

当日は東工大から丸山理事・副学長(教育・国際担当)他7名が、東工大の研究概要や分野ごとの研究紹介を行いました。また、タイ側の連携機関であるNSTDAやパートナー大学の研究者からも、各分野の研究発表がありました。シンポジウムは、丸山理事・副学長(教育・国際担当)が開会挨拶から始まり、東工大の研究や産学連携の実例を紹介した後、各分野に分かれて発表を行い、最後にNSTDAのナロン長官より閉会挨拶がありました。タイの研究機関や企業から100名近い参加者があり、研究発表に熱心に耳を傾けていました。

シンポジウムに出席した方からいただいた東工大に対する質問や要望を受け、今後さらに具体的にタイでの共同研究等の可能性を検討していきます。

関係者によるシンポジウム終了後の記念写真
関係者によるシンポジウム終了後の記念写真

お問い合わせ先

研究・産学連携本部

Email : sangaku@sangaku.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2445


Tokyo Tech-AYSEAS 2016実施報告

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2016年8月22日~9月1日、Tokyo Tech-AYSEAS (東工大・アジア理工系学生派遣交流プログラム) 2016 参加学生10名がタイを訪問しました。

ホスト大学・キングモンクット工科大学ラカバン校にて

ホスト大学・キングモンクット工科大学ラカバン校にて

Tokyo Tech-AYSEASは、東工大生が東南アジアの国に赴き、タイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム等現地・近隣諸国の大学生とともに、施設見学、ディスカッションを行い、インターカルチュラルコミュニケーションを通して、急速な発展段階にあるASEAN各国のダイナミズムを体感する実践型海外派遣プログラムです。

1. プログラム概要

AYSEAS 2016では、タイの国立大学・キングモンクット工科大学ラカバン校がホスト大学となり、本プログラムのアレンジに尽力してくださいました。今年度は、海外協定校からの参加学生20名とともに、現地の日系・タイ企業、政府機関、国連教育科学文化機関(ユネスコ)バンコク事務所等を見学し、タイ産業の最新技術、ASEAN諸国と日本との関係について学びました。

毎日の見学後に行われるグループディスカッションでは、訪問先で得た知識を基に、自動車社会の発展に伴う交通渋滞、技術移転の企業成長に与える影響等、タイの抱える問題やその改善策について意見を交わし、それを基に最終日にプレゼンテーションを行いました。

  • 企業訪問時の様子

    企業訪問時の様子

  • グループディスカッションの様子

    グループディスカッションの様子

参加学生の各国文化を紹介する文化交流会やアユタヤなどの世界遺産見学等も実施し、東南アジアの国々の歴史・文化を知る良い機会となりました。

本プログラムにおいて、学生達は成長著しいタイ産業の現場を肌で感じるだけでなく、国籍・文化・宗教等の違いを超えて協働する難しさや、相互理解の大切さを学び、将来世界で活躍する人材となる上で重要な素養を養うことができました。毎日寝食を共にし、同じ目標に向かって真剣に語り合った仲間との強い絆もまた、かけがえのない財産となりました。

  • 最終プレゼンテーション

    最終プレゼンテーション

  • ワット・プラ・ケオ(王宮寺院)にて

    ワット・プラ・ケオ(王宮寺院)にて

11月9日には、本学において帰国報告会を実施し、現地でのプレゼンテーションを更に深め、本プログラムの成果を発表しました。その後、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)より参加者全員に修了証が授与されました。

帰国報告会の様子
帰国報告会の様子

帰国報告会の様子

2. スケジュール

6月 - 7月
事前学習(英語による講義、現地語・現地文化学習、新日鐵住金君津製鉄所見学、訪問先事前調査及びプレゼンテーション)
夏季休暇中
参加学生による自主勉強会
8月22日(月)
タイへ出発
8月23日(火)
ホスト大学・キングモンクット工科大学ラカバン校にて開会式、キャンパスツアー
三菱エレベーターアジア社訪問
8月24日(水)
NSTDA(タイ国立科学技術開発庁)、アジア・パシフィック日産自動車会社訪問
8月25日(木)
Summit Auto Body Industry(サミット車体工業株式会社)、曙ブレーキタイランド訪問
8月26日(金)
ユネスコバンコク事務所訪問
海外協定校学生向け留学説明会
8月27日(土)
王宮、ワットプラケオ、ワットポー、ワットアルン等見学
8月28日(日)
アユタヤ等見学
8月29日(月)
Betagro Foods International(ベタグロ・フーズ・インターナショナル)訪問
8月30日(火)
文化交流会
8月31日(水)
最終プレゼンテーション、閉会式
9月1日(木)
日本へ帰国
11月9日(水)
帰国報告会、懇親会

3. AYSEAS 2016参加大学

  • タイ
    : キングモンクット工科大学ラカバン校(ホスト大学)、キングモンクット工科大学トンブリ校
  • インドネシア
    : ガジャマダ大学
  • フィリピン
    : デラサール大学
  • ベトナム
    : ホーチミン市工科大学
  • シンガポール
    : 南洋理工大学

4. 参加学生の体験談

工学部 機械科学科3年 飯田侑美

プレゼンテーションのグループメンバーと
プレゼンテーションのグループメンバーと

このプログラムは留学を考える人全てにお勧めしたいですが、その中でも特に海外に旅行や短期の留学で行ったことがあり次のステップを探している人、海外で新たな挑戦をしたい人にはもってこいのプログラムだと思います。なぜなら私がそうだったからです。私は春の超短期派遣でオーストラリアに行ったことがありますが、次に挑戦するプログラムを探しているときに出会ったのがAYSEASでした。

AYSEASの一番の特徴であり長所は、海外からの学生達がプログラムのメンバーであることだと思います。彼らはチームメイトでありルームメイトであり、ともすれば一緒に行った日本人学生よりも多くの時間を共にする近しい存在でした。また留学では、訪問する日本人に現地の学生たちがその国について教えることが多いと思いますが、このプログラムでは出身国に関わらず全員がメンバーとして共に学び成長していくのも特徴だと思います。もちろんタイの学生は積極的にタイの文化や生活に必要なことを教えてくれましたが、企業などを訪問した際は同じ立場として共に学び、また複数の国の学生が集まっているので、お互いの国の学生がお互いの国について教え合うということがたくさん行われました。

また学びに対して学生が受け身にならず、積極的に発信できるのもAYSEASの良いところだと思います。AYSEASでは企業を訪問し説明を聞いた後に質疑応答により理解を深める、特定のテーマについて議論を行う、議論で得られた事を元にプレゼンを行うなど、情報を受けとった後に自分の考えを発信する機会が本当に多く設けられていました。もちろん海外の学生が共にいるため英語で行います。日本語で行うのも難しいことを英語でやるため最初は言う前に頭の中で何度も繰り返すなど苦労しましたが、AYSEASのプログラムでは英語を「目的」ではなく「手段」として活用していくことが意識されていると強く感じました。

最後に、このプログラムに参加してたくさんの素晴らしい方たちと出会えて本当に良かったと思います。AYSEASに参加した日本の学生たちはその英語力やコミュニケーション力の高さから、自分が学ぶべき点を見出すことができ、AYSEASの先生方にはこれからの人生で大切になっていくことをたくさん教えていただき、また特にAYSEASに参加した海外学生たちからは本当にたくさんのことを学び、大切な時間と経験をもらいました。タイでの最後のプレゼン発表が終わりタイで過ごす最後の夜、参加した学生みんなでカラオケに行き様々な国の歌を歌ったこと、ホテルに戻ってからもみんなで別れを惜しみながら共に歌い、Vitamin Cの“Graduation”をみんなで歌っているときに歌の歌詞をAYSEASのプログラムから卒業する自分たちに重ね、みんなと離れ難く感じたことを鮮明に覚えています。

“We will still be friends forever”と歌の歌詞にあるように、AYSEASで出会った全ての人とのつながりをこれからもずっと大切にしていきたいです。

工学部 金属工学科3年 一居太朗

僕はAYSEASで得られるメリットは主に2つあると感じています。1つは発展途上国の現状を知ることができること、もう1つは海外の学生と深く交流できることです。今回のAYSEASのプログラムで我々はタイのバンコクを訪れ、様々な会社や機関を訪れました。それだけでなく、夜にはマーケットやレストラン、さらに最終日の夜には現地のカラオケにも行きました。

印象に残っている訪問として、自動車パーツを作る現地企業があります。その会社は事業で使われる技術を100%日本から輸入しているため、自力で技術革新を行うことが困難で、ホテルやゴルフコースなど他の事業に手を出さざるを得ない状況におかれています。このような企業はタイでは多く存在しており、経済成長に影響を与えているのではないかと感じました。最終プレゼンのトピックは「技術移転と双方の経済成長をいかにして両立するか」であったため、この事実を踏まえていくつかの解決策を議論しました。

また現地の日本企業を訪問しましたが、そこで責任者として働く日本人は仕事に満足しているように見え、また待遇も充実しているとのことでした。今回の訪問を通して、アジアで日本人技術者として働く、ということが今後のキャリアの選択肢として増えました。ただ一方で、現地の経済成長に従って現地従業員の人件費も高くなってきているという現状も心にとどめておかなければなりません。

夜の自由時間にはマーケットにも行きました。思っていたよりも清潔だったことと、とても活気があったことが印象的でした。現地人は日本人よりもとても積極的で、なぜか元気づけられてしまいました。ただ何を買っても安いせいで爆買いしてしまうのでそこは注意が必要です。

このプログラムの2つ目の大きな特徴は、他の留学プログラムに比べ海外学生と交流する機会がとても多いことです。これは将来のキャリアのために重要であると僕は考えます。現地では海外学生のモチベーションに驚かされてばかりでした。さらに特筆するべき点は、どんなときでも会話を全て英語でしなければならないことです。部屋でパーティーをしている時も、飲んでいる時も全て英語です。もっと言えば僕の場合ルームメイトがタイ人だったので寝る瞬間まで英語でした。これのおかげで英語力は勝手に上がります。海外の学生とは今でも連絡を取っていますし、何人かは日本に来るようなので日本を案内してあげようと考えています。

終わりに、今回全てのプログラムの引率をしてくださった花村先生、また学生リーダーとして尽力してくれた紺野くんに、深く感謝の意を表します。

  • マーケットにて

    マーケットにて

  • 右から2番目が一居さん

    右から2番目が一居さん

理学部化学科 3年 大田哲郎

カラオケにて(一番左が大田さん)
カラオケにて(一番左が大田さん)

今回のAYSEASのプログラムが自身初の海外でした。このプログラムを志望した理由は2つあります。1つは英語です。たった10日間で英語力がグーンと伸びることは期待していませんでしたがそれでも自分の英語の実力を知るうえでいい機会にしたいと考えていました。2つめは留学生との交流です。グローバルな時代で社会人になったとき戦う相手は外国の人だと思っていたので今のうちから交流をしておきたいと思ったからです。

ここからはプログラムの話です。

英語のことに関して、まずは事前学習です。当時、留学のみだと思っていたのでこの存在に驚きました。授業は英語で、最近のトピックについての講義があります。この時から英語に触れる機会が増えました。事前学習以外にもお昼休みにICSで留学生と一緒にディスカッションをしたり、プログラムのメンバーと英語でディスカッションをしました。この時点でかなりの英語に触れることができました。しばらく英語に触れた後本番である留学に旅立ちました。多少の英語力は培っていきましたが、現地ではかなり苦労しました。留学生は何の躊躇もなく英語をペラペラとしゃべっている一方で、自分は聞くことに全力を注いでいました。ただそれではやっていけないのです。ルームメイトも留学生でとにかく英語で話さなければならない状況でした。初めはお風呂に入っていいかを聞くことから始まりどんなに拙い英語でも伝わればいいと気持ちを切り替えていくことができたのが大きなことだったと思いました。とにかく英語漬けの日々でした。後半は留学生のご飯を食べているグループに1人でも混ざることができて自信もつきました。最初は、自分の英語力を計る機会くらいに思っていましたが、事前学習を含め、間違いなく英語力が向上したと思います。ここでいう英語力は、文法や単語量もありますが、何よりも自信がついたことです。

2つめの理由の留学生との交流についてです。AYSEASに参加した留学生はもちろんホスト大学の学生からも刺激をもらいました。留学生は結構なんにでも興味を持っていたように感じました。企業訪問での質問が多く、普通の会話でも日本ではどうなのかを聞かれたりしました。一番感じたことがとにかく勤勉だということです。海外の人はとにかく貪欲です。あとは友達がたくさんできました。いい人ばかりです。

自分がAYSEASで感じたこと得られたことはほかにもたくさんあります。かなり大変なプログラムであるとは思いますが、多くのことを得られるのは間違いありません。そしてそれは一生ものになると確信しています。

学生の学年は参加当時のものになります。

お問い合わせ先

国際部 国際事業課 国際事業グループ

Email : ayseas@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3828

安藤真理事・副学長が平成28年度日本放送協会放送文化賞を受賞

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本学安藤真理事・副学長(研究担当)(専門分野:電磁界理論、アンテナ工学、無線通信)が、日本放送協会(NHK)の第68回(2016年度)日本放送協会放送文化賞を受賞しました。

放送文化賞は1949年度に設けられ、放送事業の発展に寄与し、放送文化の向上に貢献があった方々に毎年贈られるものです。今年度は、安藤理事・副学長(研究担当)、タレントのタモリ氏等6名の方が受賞し、贈呈式はNHKホールにて3月17日に行われました。

賞状等の記念品を授与される安藤理事・副学長(研究担当)
賞状等の記念品を授与される安藤理事・副学長(研究担当)

安藤真理事・副学長(研究担当)受賞コメント

受賞挨拶
受賞挨拶

この度は歴史ある放送文化賞をいただき、推薦いただいた方々、選考していただいた方々に感謝いたします。私は電波・アンテナの研究をしておりますが、放送文化という観点から、一番関わりの深い衛星放送を中心に書かせていただきます。

私は、1979年に大学院を修了しました。その前年に実験衛星である「ゆり」が打ち上げられています。3年後に大学に戻った時、放送文 化基金の研究助成を受けて進められていた、本学の私の恩師である後藤尚久先生の発明による 「平面型導波管スロットアンテナ」に関する研究に参加しました。ちょうどその2年後に「ゆり2号」という形となって衛星放送が始まったわけです。世界に先駆けての放送開始でした。 衛星放送は、たった100ワットで3万6千km離れた離島を含む日本全体を照らすものです。受信する側から見ますと、100倍以上の感度を持つ極めて高感度のアンテナで電波を受けるシステムです。また、むやみに隣国へ電波(干渉)を撒き散らすことは許されませんので、アンテナを設計する者にとって、これほどチャレンジングなテーマはありませんでした。それ以来、私は平面型アンテナの研究を続けております。先日スイングバイに成功し、金星に向かって旅をしている探査機「あかつき」や、火星に向かっている「はやぶさ2」に搭載されている、90 cm大の円形で1 kgに満たないような軽量のハニカムアンテナも、同じ形式のラジアルラインスロットアンテナであり、広川二郎准教授や学生と共に本研究室で設計し、NTスペース社とともに共同研究して開発したものです。搭載前の特性確認までを学内で行いました。これらの探査機が間もなく星々に到着し、このアンテナから遠い地球へ情報が送られてくる時が来るのを、我々はわくわくしながら待っております。

衛星放送に関して、私はNHK放送技術研究所の方々といろいろな場面で一緒に仕事をさせていただいています。実は、「ゆり2号a」という衛星を用いた世界で初めての放送衛星サービスが始まる1年前、最初の放送衛星では送信機が故障しました。私は、世界に先駈けて失敗したことは、成功と同様に、あるいはそれ以上に価値があることと考えています。未踏の技術の開発に主導的に携わったNHK放送技術研究所の方々のチャレンジングな姿勢と勇気に改めて敬意を表したいと思います。「直接衛星放送」そして「緊急警報放送」、「ハイビジョン」。NHKが先導して手掛けたこの3つの技術は歴史上偉大な電気・電子の業績ということで国際的にも評価され、「IEEEマイルストーン」の認定を受けております。

東京工業大学と放送との縁を幾つか述べさせていただきます。家庭用のテレビアンテナ「八木アンテナ」で知られる八木秀次先生は、東北大学に在籍していた時代にアンテナを発明され、後に本学の学長を務められました。高柳健次郎先生は本学卒業後、静岡大学で世界初の「電子的テレビ受信機」を発明されています。「温度無依存水晶振動子」は、通信、放送に不可欠な技術ですが、本学の古賀逸策先生が発明されました。これらはいずれも前述した「IEEEマイルストーン」に認定されています。このように本学の先輩たちが様々な放送技術の研究で活躍していらっしゃいます。高柳先生、古賀先生におかれては、この度私がいただいた同じ放送文化賞を受賞されていることを知り、改めて今回の受賞を非常に光栄なことだと受け止めております。

東京工業大学は、昨年4月から教育・研究の大改革を行っております。理工系総合大学ではありますが、リベラルアーツ研究教育院の教員が中心となり、全ての学生が、在学期間を通して、倫理、哲学、文学、芸術などの分野をより身近に学ぶような、カリキュラムを開始しています。近年、さまざまな課題の解決に向けて科学技術の重要性が増しており、その影響も人間や環境にまで及ぶ現在において、人間性あふれる科学技術者の育成を目指して舵を定めたところであります。今回このような時に、テレビ・ラジオでお見かけする多彩な分野の方々と共に放送文化賞をいただくということで、私自身あらためて技術と文化の連携を認識し、非常に感慨深いものがあります。

最後に研究に携わった研究室の先輩、同僚、学生諸君はもちろん、日頃から研究をご支援いただいている学内外の皆様に、改めて感謝を申し上げます。

IEEEマイルストーン:電気・電子分野の世界最大の学会であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)が、開発から25年以上経過し、社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を認定する制度。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

東工大デジタル創作サークルtraP(トラップ)が、中高生のためのプログラミング教室を開催

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2月19日、中高生のためのプログラミング教室が大岡山キャンパスにて開催されました。

東工大デジタル創作サークルtraP(トラップ)が、中高生のためのプログラミング教室を開催

これは東工大のデジタル創作サークルであるtraP(以下、トラップ)が主催するもので、プログラミング未経験の中高生に対し、グループワーク形式で簡単なプログラミングを教える教室です。今回の参加者は中学生、高校生ら合わせて39名で、プロセッシングと呼ばれるプログラム言語を用いて参加者全員が簡単なゲームを製作しました。最後には作ったゲームで遊ぶ時間や工夫した点を発表する時間もあり、教室は盛況のうちに幕を閉じました。

参加者と同じ目線に立って、対話形式でプログラミングを教えている様子
参加者と同じ目線に立って
対話形式でプログラミングを教えている様子

参加者4名、教師となる東工大生2名程度のグループに分かれ、まず最初に、東工大生が代表を務め、女子生徒に将来技術者を目指すきっかけを提供する活動を主に行う国際学生サークルのRobogals Tokyo(ロボギャルズ トーキョー)の主導で、アイスブレイクとして2つほどゲームを行いました。参加者の緊張がほぐれ、お互いに打ち解けてきたところで、いよいよ参加者は東工大生の解説を聞きながら、実際にソースコードを書いていきます。参加者の目は真剣そのもの、その手助けをする東工大生もまた真剣な様子で取り組みつつ、終始和やかに進行しました。

ゲームの骨組みが完成した後は、参加者からの「こんな風にしたい」「こういう機能を追加したい」などといった要望を聞き、それを実現するために東工大生と一緒にプログラムの書き方を考えるといった一幕もありました。そのようにして完成したゲームをグループ内で試遊した際には、参加者同士でも「この機能はどうやって作ったのか」などといった交流もあり、プログラミングに興味を持っている様子がうかがえました。

東京工業大学デジタル創作サークルトラップとは

ゲーム作りをはじめとした、デジタルコンテンツのチーム制作や技術共有を目的に2015年4月に設立した非公認サークルです。技術の提供のためにこのようなイベントの主催・協力を行っています。

お問い合わせ先

東京工業大学デジタル創作同好会traP
Robogals Tokyo、株式会社サポーターズ

Email : trap.titech@gmail.com

フィンランド教育文化省事務次官が東工大を訪問

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1月24日、フィンランド教育文化省のアニタ・レヒコイネン事務次官を団長とした、同国政府、教育、研究機関の代表者7名による視察団が本学を訪問し、三島良直学長、安藤真理事・副学長(研究担当)、飯島淳一工学院教授と懇談を行いました。

三島学長(左)とレヒコイネン事務次官
三島学長(左)とレヒコイネン事務次官

同視察団の東工大訪問は、本学の教育、研究政策等のヒアリングと、両国の高等教育機関の資金調達や社会や産業との研究連携について意見交換を行うことを目的としています。

懇談は、三島学長が本学の教育改革や研究体制、産学連携への取り組みを中心とした概要説明を行い、それに対してレヒコイネン事務次官や視察団メンバーが質問をするスタイルで進められました。視察団メンバーからは、本学の教育研究改革の柱として昨年4月に創設した「学院」や「科学技術創成研究院(IIR)」の研究に関する質問等がありました。

意見交換を行うレヒコイネン事務次官(左から3人目)らと三島学長(右から1人目)と安藤理事・副学長(右から2人目)
意見交換を行うレヒコイネン事務次官(左から3人目)らと三島学長(右から1人目)と安藤理事・副学長(右から2人目)

レヒコイネン事務次官は、2009年に行われた大学法による高等教育機関の改革以降、フィンランド教育文化省は「科学技術分野における次世代フィンランドの実現」を目指してきたが、近年のフィンランドの社会構造や経済状況の変化などにより、同省の政策も見直しの時期にある、と説明しました。また、フィンランドの大学が直面している課題(調達資金の縮小や多様化、大学の実績や成果が重視される社会において大学が果たす役割に関する議論が活発化している状況など)に東工大がどのような取り組みをしているか学びたいと話しました。

続いて、三島学長が本学の産学連携の状況、および取り組みについて説明を行いました。視察団メンバーは、本学が組織的に産業や社会との連携を強化し、確かな研究収入獲得に取り組んでいることに高い関心を示し、フィンランドの状況紹介等も交えながら、活発な議論を行いました。

三島学長らとの懇談の前に、視察団一行は、リベラルアーツ研究教育院の中島秀人教授の研究室を訪問し、同教授の研究分野である科学技術史について意見交換を行いました。

平成28年度手島精一記念研究賞授与式

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2月28日に東工大蔵前会館のくらまえホールにおいて、手島精一記念研究賞の授与式が行われました。授与式には、本学学内関係者ほか、蔵前工業会理事長、蔵前工業会事務局長、元手島工業教育資金団役員が臨席しました。

手島精一記念研究賞は、理工系大学における研究を奨励するために設けたものであり、特に優れた研究業績をあげた本学関係者に対して、賞状並びに副賞の授与を行っています。この賞は、東京工業大学の前身である東京工業学校及び東京高等工業学校の校長であった手島精一先生の功績を記念するため創設された財団法人手島工業教育資金団の事業の一つとして行われてまいりました。2009年4月に同財団の解散に伴い、本学に事業が継承され今日に至っています。

これまで、研究論文賞、博士論文賞、留学生研究賞、発明賞、若手研究賞(藤野・中村賞)の5つの賞を設け、特に優れた研究業績をあげた本学関係者に対して、賞状並びに副賞の授与を行っておりましたが、本年度より新たに著述賞の募集を開始し、本年度は26件・計53名の受賞者に対し、学長から賞状と副賞が授与されました。

授与式に引き続いて、ロイアルブルーホールにおいて、受賞者を囲んで祝賀会が行われ、出席者全員和やかな雰囲気のうちに閉会しました。

授与式の様子
授与式の様子

平成28年度受賞者

今年度の受賞者は、以下のとおりです。(敬称略)

研究論文賞(2件)

  • 安部聡(生命理工学院 生命理工学系 助教)
  • 井尻宏志(東京工業大学 博士研究員)
  • 根岸走(東京工業大学 大学院生)
  • 山中宏之(京都工芸繊維大学 大学院生)
  • 佐々木克人(京都工芸繊維大学 大学院生)
  • 平田邦生(理化学研究所 専任技師)
  • 森肇(京都工芸繊維大学 教授)
  • 上野隆史(生命理工学院 生命理工学系 教授)

"Design of Enzyme-Encapsulated Protein Containers by In Vivo Crystal Engineering"

  • 植木紀子(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 研究員)
  • 井手隆広(理化学研究所 多細胞システム形成研究センター(CDB) 研究員)
  • 持地翔太(東京大学大学院 理学系研究科 元大学院生)
  • 小林勇気(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教)
  • 得津隆太郎(基礎生物学研究所 助教)
  • 大西紀和(岡山大学 資源植物科学研究所 助教)
  • 山口勝司(基礎生物学研究所 技術職員)
  • 重信秀治(基礎生物学研究所 特任准教授)
  • 田中寛(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授)
  • 皆川純(基礎生物学研究所 教授)
  • 久堀徹(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授)
  • 廣野雅文(法政大学 生命科学部 教授)
  • 若林憲一(科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 准教授)

"Eyespot-dependent determination of the phototactic sign in Chlamydomonas reinhardtii"

博士論文賞(14名)

数学関係部門

  • 山木大輔(理学院 数学系 教務支援員)

"An approximation of holomorphic 1-forms on Riemann surfaces by holomorphic 1-cochains"

物理学関係部門

  • 竹森那由多(理化学研究所 基礎科学特別研究員)

"Strong electron correlation effects in a quasiperiodic lattice"

  • 永井遼(千葉大学 グローバルプロミネント研究基幹 特任助教)

"Search for direct production of charginos and neutralinos in final states with three leptons and missing transverse momentum in proton-proton collision at sqrt(s)= 8TeV with the ATLAS detector"

地球科学関係部門

  • 須田好(海洋研究開発機構 日本学術振興会特別研究員)

"Origins of Hydrocarbons in On-land Serpentinization Fields and Insights into Hadean Hydrothermal Systems:Systematic Study using Stable Isotopes"

材料工学関係部門

  • 佐藤光(GEヘルスケアジャパン株式会社 技術本部 EEDP)

"Heteroepitaxial Growth and Electron Transport Properties of 122-type Iron-Pnictide Superconductors"

  • 寺本武司(神戸大学 大学院工学研究科 助教)

「立方晶-斜方晶マルテンサイト変態を有するTiNiPd合金の自己調整組織とその形成過程に関する研究」

応用化学関係部門

  • 金子岳史(東ソー株式会社 アドバンストマテリアル研究所)

「三核ルテニウムボリレン錯体を用いた三核錯体上での含ホウ素複素三員環の構築および架橋オキソボリル配位子を有する新規なヒドリドクラスターの合成」

  • 長岡正宏(京都大学 大学院工学研究科 材料化学専攻 特定研究員)

「ルテニウムとコバルトを含む三核異種金属ポリヒドリド錯体を用いた触媒反応の開発」

機械工学関係部門

  • 邱惟(デンマーク工科大学 H.C. Ørsted Postdoc Fellow)

"Efficient Modulation of Friction in Ultrasonic Motors Using Functional Fluids"

  • 和佐泰明(早稲田大学 理工学術院 日本学術振興会特別研究員)

"Game-theoretic Learning and Cooperative Control in Sensor and Power Networks for Welfare Maximization"

電気・電子工学関係部門

  • Azril Haniz Bin Abdul Aziz (環境・社会理工学院 融合理工学系 特任講師)

"Fingerprint-based Localization of Unknown Radio Emitters in Outdoor Urban Environments"

建設関係部門

  • 佐藤公亮(東北大学 大学院工学研究科 都市・建築学専攻 助教)

「正方形中空断面部材の局部座屈決定要因の解明と構造性能の評価」

  • 堀越一輝(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 助教)

"An experimental study of seepage-induced transport of fines in embankments"

生産・製造技術関係部門

  • 草野正大(物質・材料研究機構 ポスドク研究員)

「薬液環境で用いるFRP製機器のRBIに資する非破壊検査の適用に関する研究」

留学生研究賞(4名)

  • Chen Zhijie (Beijing University of Technology)

"Low Power Noise Shaping Techniques in a Successive Approximation Register Analog-to-Digital Converter"

  • Tokgoz Korkut Kaan (大学院理工学研究科 電子物理工学専攻)

"A 56Gb/s W-Band CMOS Wireless Transceiver"

  • Yu Lilan (株式会社テックイデア)

"Study of High Speed Open-Loop Pipeline Analog-to-Digital Converters Using Linearization Techniques"

  • 李渝(大学院理工学研究科 化学専攻)

"Novel chemical reaction on the single molecular junction"

発明賞(2件)

  • 加藤之貴(科学技術創成研究院 先導原子力研究所 教授)
  • 劉醇一(千葉大学 大学院工学研究科 准教授)
  • 高橋塁(三菱重工業株式会社 主任)
  • 平尾直也(出光興産株式会社)

「ケミカルヒートポンプ」

  • 湯浅英哉(生命理工学院 生命理工学系 教授)
  • 小倉俊一郎(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
  • 高橋究(SBIファーマ株式会社)
  • 井上克司(SBIファーマ株式会社)
  • 田中徹(SBIファーマ株式会社)

「赤外域光による光線力学的治療又は診断剤」

若手研究賞(藤野・中村賞)(2件)

  • 石井秀明(情報理工学院 情報工学系 准教授)

「電力制御システムに対するサイバー攻撃の検知およびロバストな制御手法の構築」

  • 口丸高弘(生命理工学院 生命理工学系 助教)

「近赤外生物発光イメージング手法の開発とがん研究への応用」

著述賞(2件)

  • 伊藤亜紗(リベラルアーツ研究教育院 准教授)

「目の見えない人は世界をどう見ているのか」(光文社)

  • 植松友彦(工学院 情報通信系 教授)
  • 松本隆太郎(工学院 情報通信系 准教授)

「基本を学ぶ通信工学」(オーム社)

記念写真
記念写真

お問い合わせ先

研究推進部研究企画課 手島記念担当

Email : tokodai.tejima@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2016

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