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工系学生国際交流基金派遣実績報告会および工系留学報告会 開催報告

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2月9日、大岡山キャンパス西9号館コラボレーションルームにて、工系学生国際交流基金派遣実績報告会および工系留学報告会が開催されました。

工学院物質理工学院環境・社会理工学院の3学院は、国際性を持った工学を専門とする高度技術者を養成するため、合同で所属学生を海外の大学等に派遣しています。海外で様々な国の研究者や学生と研究を行うことで自身の専門性を深め、より広範な先端科学技術・知識を学びながら、異文化に触れることで学生自身の修学意欲のさらなる向上と国際意識の涵養を図ることをねらいとし、学生国際交流プログラムを独自に実施しています。このプログラムは、(1)海外大学との交流協定締結などを通じた学生相互派遣のための環境整備、(2)各種基金等を利用した所属学生の海外派遣支援制度、を運営しています。

工系派遣プログラム主査の竹村次朗准教授による学生国際交流基金派遣実績報告
工系派遣プログラム主査の竹村次朗准教授による
学生国際交流基金派遣実績報告

前半に行われた工系国際交流基金派遣実績報告会では、工系国際連携室の留学プログラム担当主査である竹村次朗准教授(環境・社会理工学院 土木・環境工学系)が、本プログラムの概要ならびに2016年度の実績について説明を行いました。

続いて後半に行われた工系留学報告会は、全学または前述の3学院と交流協定のある海外の大学へ2016年秋に短期留学した学生が履修対象となっている授業「国際研究研修」の一環として実施されたものです。留学経験者が、自身の留学生活について英語で発表を行いました。派遣先大学と発表者(計9名)は以下の通りです(順不同 敬称略)。

派遣先大学
発表者(所属・学年は発表当時)
メルボルン大学(オーストラリア)
早川裕子(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
中川理仁(工学院 機械系 修士課程1年)
南洋理工大学(シンガポール)
北川雄司(工学院 機械系 修士課程1年)
山下雄大(工学院 機械系 修士課程1年)
韓国科学技術院(KAIST、韓国)
秦悠人(工学院 機械系 修士課程1年)
中谷隆一(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
スイス連邦工科大学チューリッヒ校
佐山浩輝(環境・社会理工学院 建築学系 修士課程1年)
チュラロンコン大学(タイ)
小林巴奈(環境・社会理工学院 土木・環境工学系 修士課程1年)
アールト大学(フィンランド)
森本有香(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
  • 南洋理工大学への留学について報告した工学院 機械系 山下雄大さん(修士課程1年)

    南洋理工大学への留学について報告した
    工学院 機械系 山下雄大さん(修士課程1年)

  • KAISTへの留学について報告した物質理工学院 材料系 中谷隆一さん(修士課程1年)

    KAISTへの留学について報告した
    物質理工学院 材料系 中谷隆一さん(修士課程1年)

南洋理工大学へ留学した工学院 機械系の山下雄大さん(修士課程1年)は「東工大では機械系に所属し二次電池の研究を行っていましたが、研究を深めるに当たり、違う視点(特に材料系)からも電池を研究してみたいという気持ちが生まれたことから、今回の派遣プログラムに応募し、目標を設定しました。幸運にもリチウム空気電池という自分が東工大で研究している対象を中心に研究することが叶いました。自分の力不足を感じることも多々ありましたが、受入研究室のサポートもあり、概ね目標を達成できたと思います」と研究の総括を報告しました。

KAISTに留学した物質理工学院 材料系の中谷隆一さん(修士課程1年)は「これまで経験したことのないことを積極的に体験することは自らを成長させることに繋がると思います。その中で、多くの友人と繋がることもできますし、多くの先生方とも良好な関係を作ることもできます。それが次の関係にも繋がるので、恐れず、とりあえず挑戦することが大事だと思います」と留学を検討する後輩たちへのメッセージを述べて発表を締めくくりました。

工系国際連携室長 中川茂樹教授の閉会挨拶
工系国際連携室長 中川茂樹教授の閉会挨拶

工系学生国際交流プログラム5種の中で、今回の報告会での発表者が多かったC2カテゴリー(AOTULE: Asia-Oceania Top University League on Engineering)に属するアジア圏トップ大学工学系への派遣は、3学院からの経済支援を得て留学ができ、年3回募集があるため応募しやすく、また、修士課程から東工大へ入学した学生にも修士1年目から留学のチャンスがある人気のプログラムです。

本報告会で、2017年度の工系学生国際交流プログラムの夏期派遣が決まった学生たちも、発表者の英語によるプレゼンテーションを聴き、留学への気持ちや語学習得へのモチベーションをさらに高めた様子でした。また本プログラムへの応募を検討している学生も積極的に発表者へ質問し、意見交換や情報交換が活発に行われた報告会となりました。

お問い合わせ先

工系国際連携室

E-mail : ko.intl@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3969


ジェンダーサミット10 サテライトシンポジウム「ダイバーシティ推進と科学技術の未来―ジェンダード・イノベーション―」

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社会や経済の発展には科学技術の革新が不可欠です。科学は多様且つ多角的な視点や発想により発展します。当シンポジウムでは、科学技術のイノベーションを促進するにあたり、ダイバーシティ推進の重要性について話します。特に、男女の性差に着目し、性差に基づいた発明・イノベーションがいかに科学技術の発展・未来に寄与するかについて、ディスカッションします。質疑応答の時間もありますので、女性は勿論、この分野にご興味のある男性にもご参加いただけましたら幸いです。(同時通訳付)

日時
2017年5月24日(水) 14:00~17:00(13:30開場)
場所
使用言語
英語・日本語(同時通訳あり)
参加費
無料
申込み
申込みフォームouterよりお申込みください。
※先着順
※定員に達し次第受付を終了いたします

ダイバーシティ推進と科学技術の未来―ジェンダード・イノベーション― チラシ

お問い合わせ先

東京工業大学 学務部 教務課 総務グループ

E-mail : kyo.som@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3003

取材申し込み先

広報・社会連携本部 広報・社会連携部門

Email : pr@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

細野秀雄教授が英国王立協会外国人会員に選出

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科学技術研究創成院 フロンティア材料研究所の細野秀雄教授・元素戦略研究センター長が、5月5日付けで英国王立協会(The Royal Society)の外国人会員に選出されました。

細野秀雄教授
細野秀雄教授

英国王立協会は、17世紀近代科学の成立と時を同じくして1660年に設立され、アイザック・ニュートンも長らく会長を務めた世界的に最も歴史のある学術団体で、近代的学会の先駆けとみなされています。その会員(フェロー)に選ばれることは英国の科学者にとって最大の名誉の一つとされています。

外国人会員は毎年、全分野を対象に際立った業績を挙げた研究者10名以内が選出され、今年はノーベル賞受賞者2名を含め10名が選出されました。これまでの日本人会員には、故湯川秀樹博士や野依良治博士などがおり、細野教授は日本人として12人目となります。IGZO-TFTなどの酸化物半導体、鉄系高温超伝導体、電子化物など、新物質・材料の発見と創製が業績として評価されました。

入会式は7月14日にロンドンの英国王立協会で開催されます。新フェローと外国人会員の紹介は以下をご覧ください。

細野教授のコメント

15年くらい前に王立協会が主催したシンポジウムに招待された際、歴代のフェローには綺羅星のような科学者が沢山おられ、科学研究の長い伝統を実感しました。今回、外国人会員に選出されたとの連絡を頂き、大変に光栄に思います。推薦を頂いたフェローの方々と選考を頂いた委員会に感謝する次第です。

お問い合わせ先

広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

林直亨教授が日本健康開発財団研究助成優秀賞を受賞

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リベラルアーツ研究教育院の林直亨教授が、第42回日本健康開発財団研究助成優秀賞を受賞しました。

日本健康開発財団は、温泉等の自然環境を利用した健康増進の研究・調査や疾病の早期発見を目指した総合健診センターの運営など、一貫して予防医学を基本に据えた健康づくりに取り組んでいます。研究助成の対象は、温泉療法や入浴に関する研究等であり、特に優秀な研究には、最優秀賞・優秀賞を授与しています。

今回、優秀賞を受賞した林教授の研究内容は「足湯が眼底の循環機能に及ぼす影響の研究」で、一般的な入浴に比較して、足湯であれば循環系への負荷が少なく、安全であることを示唆するものです。

林教授の受賞コメント

林直亨教授
林直亨教授

本研究室は、運動に伴う循環系応答や、応答を起こす要因について検討してきました。今回、日本健康開発財団の助成を受けて、足湯に伴う眼底血流や脳血流の応答を検討しました。一般的な入浴ですと、循環系への負担に注意する必要があることが知られていました。一方、足湯では眼底血流や脳血流、血圧の変化がほとんどなく、比較的安全であることが示唆されました。今後、様々な観点から足湯の安全性が確認され、一般の方々に加えて、循環器疾患を有する方でも足湯を安全に楽しめるようになることを期待しています。

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

リベラルアーツ研究教育院(ILA)outer

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先
リベラルアーツ研究教育院事務室
Email: libarts@jim.titech.ac.jp

第6回国際シンポジウム・セミナー -原子力安全-開催報告

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2月20日から3月3日にかけて、東京工業大学 グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院が第6回国際シンポジウム・セミナーを開催しました。

東京工業大学 大岡山キャンパスにて

東京工業大学 大岡山キャンパスにて

本シンポジウム・セミナーは、グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院が文部科学省の支援を受けて、国内外の関連機関と協力して開催したものです。プログラムを受託した2011年度より毎年開催しており、東工大生のみならず、国内外の原子力分野に関心のある学生、若手社会人を招へいして教育の一環として実施しています。

テーマは「原子力安全」と「セキュリティ・保障措置」を交互に取り上げ、今回は「原子力安全」について議論が交わされました。

  • 東京工業大学 大岡山キャンパスにて

    東京工業大学 大岡山キャンパスにて

  • 広島大学原爆放射線医科学研究所にて

    広島大学原爆放射線医科学研究所にて

放射線影響研究所にて

放射線影響研究所にて

広島平和記念資料館にて

広島平和記念資料館にて

会期前半のシンポジウムでは、国内外の著名な専門家等を講師として招き、本学 大岡山キャンパスにて、一般公開の形で講演会を行いました。その後、招へい学生等は広島県に移動し、広島大学原爆放射線医科学研究所、放射線影響研究所および広島平和記念資料館において特別講義を聴講するとともに施設を視察し、原爆による人体への放射線影響について学びました。続いて、福井県敦賀市に赴き、高速増殖原型炉「もんじゅ」を視察して、高速増殖炉の仕組みと原子炉を始めとする機器・構造、保守について体験的に学びました。

会期後半のセミナーでは、第一線の講師陣による講義におおいに啓発を受けた学生たちがグローバルリーダに係る2つのテーマ(シビアアクシデント、放射性廃棄物の最終処分)に関して5グループに分かれて自主的に討論を行い、結果を発表して議論を交わしました。

高速増殖原型炉「もんじゅ」にて

高速増殖原型炉「もんじゅ」にて

招へい講師15名、招へい学生等17名、一般参加者25名等、合計89名の参加があり、マスコミ1社の取材を受け、本シンポジウム・セミナーは成功裏に終了しました。

お問い合わせ先

グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院

Email : u-atom.suishin@dojo.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3279

人工細胞の中でDNAをコンピュータとして使うことに成功―生体内で働く分子ロボットの実現に向けて―

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要点

  • 細胞膜構成要素である脂質分子で覆われた人工細胞中でDNAによるコンピューティングに成功した
  • 論理ゲートの一種であるAND演算を行い、入力のDNA分子を変換し、RNAとし、出力した
  • 出力されたRNA分子の情報を、ナノポアを用いた電流計測により電気信号として取り出せた

概要

東京農工大学工学研究院生命機能科学部門の川野竜司テニュアトラック特任准教授、東京農工大学大学院生の大原正行(当時)、東京工業大学情報理工学院情報工学系の瀧ノ上正浩准教授のグループは、DNA分子を用いて計算を行うDNAコンピューティングの計算結果である出力分子をナノポア[用語1]と呼ばれるチャネル型の膜タンパク質により、電気情報として検出することに成功しました(図1)。私たちが日常使用しているコンピュータや、それらを組み込んだ工学ロボットは、電子を情報媒体として2進数の計算情報処理を行います。一方、分子ロボット[用語2]は分子(DNA/RNA)を情報媒体として進数やより高度な演算により情報処理を行うことを目指しています。今回の研究では2進数の一つである“AND”演算[用語3]をDNAコンピューティングで行いました。DNAを入力分子としてRNAに変換・出力し、出力RNAをナノポアによる電気化学計測により検出に成功しました。これにより、従来用いられていた方法よりも短時間で出力分子を情報として取り出すことが可能となりました。また分子の情報を電気情報に変換可能なことから、分子ロボットとエレクトロニクスデバイスの融合に繋がる結果となりました。今後、高度な機能を有す分子ロボットを構築することにより、体内で病気を診断・治療できるシステムへの応用が期待されます。

本研究成果は、4月17日付けの「ACS Synthetic Biology」(電子版4月17日付just accepted in ACS)に掲載されました。

人工細胞膜中に再構成したナノポアタンパク質によりDNA演算分子を検出する。入力のDNA分子を変換しRNA分子として出力、その後ナノポアを通過するRNA分子の情報を電気的に取り出した。

図1. 人工細胞膜中に再構成したナノポアタンパク質によりDNA演算分子を検出する。入力のDNA分子を変換しRNA分子として出力、その後ナノポアを通過するRNA分子の情報を電気的に取り出した。

現状

DNAコンピューティングは、DNA配列を利用した情報処理・計算技術であり、次世代の並列計算技術を目的として研究されてきました。最近では、DNAが元々生体で使われていることに着目し、生体親和性が高い材料として、in vivoで診断・治療などの医療応用や、分子ロボットと呼ばれる分子を使って創るロボットの情報処理を行うシステムとして期待されています。これまで我々はDNAコンピューティングの出力結果を高速にかつ分子レベルで検出可能なナノポア計測に関し研究を行ってきました。

研究体制

本研究は、東京農工大学大学院工学府生命工学専攻の大学院生大原正行(当時)、東京工業大学情報理工学院情報工学系の瀧ノ上正浩准教授、東京農工大学工学研究院生命機能科学部門の川野竜司テニュアトラック特任准教授らによって実施されました。

研究成果

今回我々は、配列の異なる2種類のDNAを入力分子とし、RNA合成酵素による分子変換(DNAの情報に基づきRNAを合成する)を組み合わせ、2種類の入力DNAが入力された場合のみRNAが出力分子としてアウトプットされるという情報処理を行う「ANDゲート」を人工細胞モデルであるマイクロドロップレット中に作製しました(図1)。出力されたRNA分子が、ドロップレット表面の人工細胞膜部分に設置したナノポアを通過する際に電流を生じることから、電気情報として計測することに成功しました。本システムはMEMS(MicroElectroMechanicalSystem)技術[用語4]を利用した、マイクロデバイスに組み込むことで(図2)、ANDゲートに必要な4種類の演算を同時に行い、出力を得ることに成功しました。

DNA演算、ナノポア計測を行ったマイクロデバイス。デバイス中に人工細胞膜モデルとなるドロップレットを作製し、その中でDNA演算、ナノポア計測を同時に行うことに成功した。

図2. DNA演算、ナノポア計測を行ったマイクロデバイス。デバイス中に人工細胞膜モデルとなるドロップレットを作製し、その中でDNA演算、ナノポア計測を同時に行うことに成功した。

今後の展開

本研究によって、DNAコンピューティングの出力分子を分子レベルで検出でき、また分子の情報を電気情報として取り出すことができました。今後、分子ロボットの情報処理システム構築の重要なツールになるほか、DNAコンピューティングを利用したin vivo診断・治療の役立つ技術として発展していくと期待しています。

本研究は、文部科学省 科学研究費助成事業新学術領域「分子ロボティクス」のプロジェクトとして推進しました。

用語説明

[用語1] ナノポア : 膜タンパク質やイオンチャネルによって、細胞膜中に形成されるナノサイズ(直径1.4 nm程度)の孔。

[用語2] 分子ロボット : ロボット工学の方法論を導入して分子をシステム化し、高度な「感覚」・「知能」・「運動」を有するプログラム可能な人工分子システムである。

[用語3] AND演算 : 論理ゲートのひとつで、入力された信号が全て真「1」である時のみ、演算結果として「1」を出力する回路である。ICチップ等に搭載されており機械が計算する上で基本要素となる。

[用語4] MEMS技術 : 半導体微細加工技術。フォトリソグラフィーなどの微細加工技術により、マイクロサイズの部品を作製し、特にこれを電気による制御と組み合わせたものを指す。

論文情報

掲載誌 :
ACS Synthetic Biology
論文タイトル :
Nanopore Logic Operation with DNA to RNA Transcription in a Droplet System
著者 :
Masayuki Ohara, Masahiro Takinoue, and Ryuji Kawano
DOI :

情報理工学院

情報理工学院 ―情報化社会の未来を創造する―
2016年4月に発足した情報理工学院について紹介します。

情報理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京農工大学 大学院工学研究院
生命機能科学部門
テニュアトラック特任准教授 川野竜司

E-mail : rjkawano@cc.tuat.ac.jp
Tel / Fax : 042-388-7187

東京工業大学 情報理工学院 情報工学系
准教授 瀧ノ上正浩

E-mail : takinoue@c.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5654

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

葉緑体増殖の基礎的しくみを解明―葉緑体分裂・増殖時にDNA分配を制御する酵素の発見―

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概要

植物は光合成により二酸化炭素を固定し酸素を放出するとともに、有機物を合成し地球上のほとんど全ての生命活動を支えています。光合成はDNAの複製と分配を伴いながら分裂・増殖する葉緑体で行われます。小林優介 京都大学 博士課程学生、西村芳樹 京都大学 大学院理学研究科 助教を中心とするグループは、山口大、東工大(岩﨑博史 科学技術創成研究院 教授)、法政大、立教大、日本女子大グループと共に、葉緑体がもつ“葉緑体DNA(葉緑体核様体)”の分配(遺伝)を制御する遺伝子MOC1と、この遺伝子がコードする葉緑体型ホリデイジャンクション解離酵素を発見しました。ホリデイジャンクションとはDNA損傷の修復、複製、減数分裂の際にみられる、DNA配列がよく似た部分同士で組み換え(相同組み換え)が進む過程であらわれる構造ですが(図1)、葉緑体核様体ではこの構造がどのように切断されているかわかっていませんでした。今回の基礎的な発見から、葉緑体における相同組換え機構の解明、さらには新たな物質生産に向けた応用研究への展開も期待されます。論文は5月12日午前3時(日本時間)、Scienceに掲載されました。

DNA相同組換えとホリデイジャンクション形成過程の模式図

図1. DNA相同組換えとホリデイジャンクション形成過程の模式図。
今回はじめて葉緑体型ホリデイジャンクション解離酵素が発見された。

背景

光合成の場である葉緑体には、シアノバクテリアを起源とする独自の葉緑体DNAがあり、それが多様なタンパク質によって折りたたまれて“核様体”を構築します。葉緑体核様体は、いわば葉緑体にとっての「核」であり、細胞核の場合と同様に、その複製・分配は葉緑体の分裂に先立って行われます。核様体の複製や分裂・分配(遺伝)は光合成の維持や植物の生存上必須な要素ですが、これがどのようなしくみで制御されているのかは不明でした。

野生株(左)とmoc変異体(右)の葉緑体(黄)

図2. 野生株(左)とmoc変異体(右)の葉緑体(黄)。赤は葉緑体の自家蛍光。野生株ではひとつの葉緑体あたり5~10個に分散している葉緑体核様体が、moc変異体では一つの塊になってしまう(矢印)。

研究手法・成果

葉緑体(赤)の分裂に際し、moc変異体の葉緑体核様体(黄)が不均等に分配される様子(矢印)

図3. 葉緑体(赤)の分裂に際し、moc変異体の葉緑体核様体(黄)が不均等に分配される様子(矢印)。本来は4つ全ての葉緑体に均等に分配されるはずが、一つの葉緑体のみに分配されている。

今回の研究では、葉緑体核様体の観察や遺伝学的解析が容易な単細胞緑藻クラミドモナスを対象としました。葉緑体核様体の形が異常なmoc変異体を単離し、その原因遺伝子を突き止めることが最初の課題でした。moc変異体では、通常1つの葉緑体あたり5~10個ある葉緑体核様体が1つの大きな塊になってしまい(図2)、葉緑体分裂の際にも均等に分配されません(図3)。原因遺伝子同定の過程で、MOC1という未知の遺伝子に辿り着きました。この遺伝子は緑藻だけでなく陸上植物においても広く保存されています。MOC1 がコードするタンパク質の構造予測を元にした生化学的解析をおこなったところ、このタンパク質がホリデイジャンクションの中央に結合して、構造を正確に切断する葉緑体型ホリデイジャンクション解離酵素であることが明らかになりました(図1)。

更にDNAオリガミと原子間力顕微鏡技術を組み合わせ、ホリデイジャンクションが切断される様子の観察に挑戦しました。その結果、MOC1タンパク質がホリデイジャンクションの中央部に結合し、切断する様子をはっきりと捉えることに成功しました(図4)。

葉緑体DNAは、相同組換えによって生じたホリデイジャンクションなどによって複雑に絡み合った構造をとっていると考えられています。それを今回発見された酵素が正確に切断することによって、正常な葉緑体核様体の形や遺伝が厳密に制御されているということが分かりました。葉緑体のホリデイジャンクション解離酵素はこれまで見つかっておらず、今回が世界初の報告となりました。この発見により、葉緑体における相同組換え機構の解明にむけた重要な手がかりを得ることができました。

MOC1タンパク質がDNAオリガミ技術によってつくられたホリデイジャンクション(左)の中央部に結合し(中央)、切断する(右)過程を高速原子間力顕微鏡で捉えた

図4. MOC1タンパク質がDNAオリガミ技術によってつくられたホリデイジャンクション(左)の中央部に結合し(中央)、切断する(右)過程を高速原子間力顕微鏡で捉えた。

波及効果・今後の予定

今回の研究の結果、ホリデイジャンクション解離酵素が葉緑体において初めて同定されました。そしてMOC1遺伝子は葉緑体分裂に伴って葉緑体核様体を正確に分配(遺伝)させる上で欠かせないものであることが分かりました。今回発見したホリデイジャンクション解離酵素がどのようにしてホリデイジャンクションを正確に認識し、結合し、切断するのか、加えてどのような因子と相互作用して相同組換えを実現しているのかを調べていくことで、葉緑体における相同組換え機構の理解が進むはずです。それにより、葉緑体自身のDNA修復能力を高め、変異を引き起こすような環境に適応する能力の高い植物の創出につながるかもしれません。また葉緑体形質転換技術の向上、さらには葉緑体を利用した新たなものづくりにも貢献できるかもしれません。

研究プロジェクトについて

本研究は日本学術振興会科学研究費助成事業(課題: 16K14768, 17H05840, 特別研究員制度(DC1: 26・786))の支援を受けました。

論文情報

掲載誌 :
Science
論文タイトル :
Holliday junction resolvases mediate chloroplast nucleoid segregation
著者 :
Yusuke Kobayashi, Osami Misumi, Masaki Odahara, Kota Ishibashi, Masafumi Hirono,
Kumi Hidaka, Masayuki Endo, Hiroshi Sugiyama, Hiroshi Iwasaki, Tsuneyoshi Kuroiwa, Toshiharu Shikanai, Yoshiki Nishimura
DOI :

問い合わせ先

京都大学理学研究科植物遺伝学教室

西村芳樹 助教
Email : yoshiki@pmg.bot.kyoto-u.ac.jp
Tel : 075-753-4147

東京工業大学に所属する研究者への取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

第3回大岡山健康講座開催報告

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2月7日、東工大リベラルアーツ研究教育院は、大岡山駅上にある東急病院との共催で、本学メインキャンパスのある大岡山駅の周辺地域や東急線沿線にお住まいの方々を対象にした「第3回大岡山健康講座」を開催しました。 当日は過去最多の245名の参加があり、健康に対する関心の高さが伺えました。

第3回大岡山健康講座開催報告

東急病院の母体である東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)は、2015年3月に従業員の健康管理を行う優良企業として経済産業省と東京証券取引所より「健康経営銘柄」に選定されました。それに伴い、東急病院のある大岡山駅周辺を「健康ステーション大岡山」と称し、健康の発信拠点として、さまざまな取り組みを実施しています。東工大も、リベラルアーツ研究教育院の林直亨教授の監修のもと、健康啓発ポスターの作成や、工大祭でのウォーキングイベントの開催に取り組んでいます。 今回の本講座も、この取り組みの一環として、2部にわたって開かれました。

第1部「運動することの効果」

  • リベラルアーツ研究教育院 林直亨教授

林教授は、研究者の目線から健康について話しました。

適切な運動処方とは

リベラルアーツ研究教育院 林直亨教授

健康づくりに必要な運動所要量はジョギングなら週に35分、早歩きなら同1時間程度で、短時間・低強度でも良いので、できるだけ運動しましょう、と話がありました。そして、健康増進を果たすための運動の魅力として、「メタボリックシンドロームのリスクを激減」「ガンのリスクも軽減(特に大腸がん)」「メンタルヘルス維持に効果」などを挙げました。

また、人は動物だから動くのが当然と思うかもしれないが、狩猟採取民でさえ2~4時間のみ活動し残りは昼寝やギャンブルをしている、ライオンなどの肉食動物も普段はあまり動かないという例を出し、実態は人も動物も動くのが嫌いだ、と指摘しました。

リスクに配慮しながら運動しよう

運動のリスクが非常にわずかである一方で、「高齢者が」「暑熱環境化で」「体調の悪い時に」「無理をして(高強度の)」運動すると事故の危険性が高まることや、その他の世代においてもひざや熱中症等のリスクを排除しつつ運動するよう会場に語りかけました。

すぐには効果が出ない

運動の効果を観察しやすい指標として血圧と体重(脂肪)を挙げました。但し、40歳台では半数近くが高血圧であり、高血圧が合併症を併発する危険があること、また、データを見ても運動による血圧低下の効果が出るには時間がかかることを述べました。また、男女の体脂肪率別の写真を提示した上で、肥満させて育てる食用ブタの体脂肪率は14~18パーセントであり、人間の写真と比較するとスリムな方に該当すると話しました。内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満とを比較した場合、内臓脂肪型の方が悪さをすることも付け加えました。

やせることに関して

例えば1日10,000歩歩くとして、1日に100~200kcal、1ヵ月だと3,000~6,000 kcalを消費します。脂肪1kgは7,000~9,000 kcal以上なので運動による体重の変化を実感するには「確実に」1ヵ月以上かかります。運動でのエネルギー消費の簡易的な計算方法として「走ったときは体重×距離 kcal、歩いたらその半分」を紹介し、例えば60 kgの方が5 km走ると300 kcalを消費することとなります。一方、食べ物のエネルギーは大きく(おにぎり1個215 kcal、ラーメン1杯700~1000 kcal)、その吸収率は、食事を抜いた後(100%に近い)と暴飲暴食後(40~50%程度)とで違うが、通常は90%以上となっています。食事に比較して運動には減量に対する効果が少ない上に、体重測定の誤差も大きいことから、なかなか痩せられないと説明しました。対策として、嗜好品・お菓子を近くに置かず、お酒を飲む人は買い置きをしないよう注意し、食事の際はよく噛むことで摂取量を抑えること、食後のエネルギー消費を増やすこと、 食べた量を把握することが重要であると話しました。

運動がメンタルヘルスに与える影響

運動が、成績向上、睡眠状態の改善、うつや神経症になりにくいといったメンタルヘルスに影響を与えることがわかってきました。一つの例としてネイパービルの奇跡というものがあります。これはアメリカのネイパービル中央高校で、0時限目に運動を10分間行わせる取り組みを行ったところ、参加した生徒の成績が大幅にアップし、99年には世界トップクラスになると同時に、肥満者の割合が10%を切ったというものです(州平均で35%程度)これをきっかけに研究が進み、運動で脳機能(特に、論理的知性、言語的知性、記憶力の向上)が高まることの論拠が揃いつつあります。続けて、大学体育授業が不眠を改善することや、運動すると不安やうつになりにくいといった話をデータから導きました。

最後に特に大切なこととして「運動の効果は短期では現れません」「少しずつでも良いので、運動しましょう(階段、お茶入れなど)」「食事内容だけでなく、食事の仕方に気をつけることも重要です。ながら食いや、早食いを避けてください」「やせるための王道はありません」「 運動は身体だけでなく、脳にも効果的です。メンタルヘルスを維持するためには、最も効果的な手段です」とまとめて講演を締めくくりました。

第2部「MORITAからみた心の健康、いつになっても自分らしく」

  • 東急病院 健康管理センター 伊藤克人所長・心療内科医長

伊藤医長は、医師の視点から健康について話しました。

東急病院 健康管理センター 伊藤克人所長・心療内科医長

精神療法である「森田療法」を創始した医学者・精神科神経科医の森田正馬氏(1874~1938年)の紹介から講演が始まりました。森田氏は大学の進級試験を前に、父親からの送金が遅れ、父親に対する反感で勉強に身が入らない状態となり神経衰弱と脚気を患いました。その際、“反感はどうにもならない、目的のためには死んで構うものか”と発憤し、薬もやめて猛烈な勉強をした結果、試験での好成績を得ることが出来ました。この経験を元に「森田療法」を生み出します。

「森田療法」は海外でもMORITAと発音され、心の健康を保つために自分の長所や自分らしさを伸ばしていく療法で、これは就活、婚活、終活など日常の様々なシーンで役立つものとして認識されています。

MORITAは人間の欲望に光を当てる

欲望の2つの方向として「自分のためになる欲望」と「悩みを何とかしたい欲望」があることを示しました。自分のためになる欲望とは、よりよく生きたい、仕事で成果をあげたい、良い人間関係でいたい、よい音楽を聴きたい、より健康になりたいなどです。自分のためになる欲望が現実生活で思うように発揮できないと悩みが生まれ心配になり、そして心配な「悩みを何とかしたい欲望」へと移っていきます。「悩みを何とかしたい欲望」とはダメな自分を何とかしたい、仕事の失敗を何とかしたい、人間関係の悩みをなくしたい、不快な気分を何とかしたい、気になる症状を何とかしたいなどです。

さらにその悩みは「何とかできるもの」と「何ともできないもの」に分かれます。仕事で失敗したら失敗の原因を考えもう一度頑張ったりすることや、喉が痛かったら風邪薬を飲んだり煙草をやめるというのが「何とかできるもの」の例です。「何ともできないもの」としては、自分の気分や感情、不快な気分・腹立ちの感情、人前での緊張、自分はこうあるべきという思考、他人の心のうちなどがあります。

これまで頑張って「自分のためになる欲望」を実現してきた人は、「何ともできないもの」を何とかしようと頑張って、心の悪循環にはまりやすい傾向があります。そうした状況下においては自分らしい生き方に注意が向かなくなるのを回避するために、感じたまま、あるがままに放っておき、感情のピークが過ぎ去るのを待つ一方で、「自分のためになる欲望」の発揮へと気持ちを向けて生活することで自然に自分らしい生き方へと変わっていくことを説明しました。

「悩みを何とかしたい欲望」により、悩みの解決ばかりを心配している状況は元々ある「自分のためになる欲望」を失くしたわけではないので、むしろ「自分のためになる欲望」を発揮するにはどうしたら良いかに考えをシフトする方が今後のためになる、と自分自身で気付くことが重要であると述べました。

MORITAは今、ここから踏み出していく

MORITAには「過去は問わない」「現在が過去を作る」という考え方があり、今の自分・そのままの自分でよいと考えることが重要であるとし、仕事・就活、家庭・婚活、健康・終活の悩みを例にMORITAを使った解決法を述べました。 まとめとして、「いつになっても自分らしくいるために、自分のためになることを毎日やっていく、自分で何とかなることをやっていく、どうやったら上手くいくかを心配する一方で、何ともならないことは放っておく。分からない事や決められない事はこれからの人生に任せておく」という考え方がMORITAであるとして話を締めました。

昨年9月と10月に行われた第1回、第2回大岡山健康講座に続き、参加者にとって健康について改めて見直すことができ、大変有意義な講座になりました。

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

リベラルアーツ研究教育院(ILA)outer

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975


2016年度後期の附属図書館企画展示

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東工大附属図書館では、所蔵資料の利用促進のため、1年を通じて企画展示を行っています。テーマは2~3ヵ月毎に変更します。図書館サポーター※1の学生などが本を選び、ポスターや配布用のリストとコメントを書いたポップの作成を行っています。2016年度後期に実施した展示を紹介します。

※1図書館サポーターとは...

カウンター対応、書架の整理、資料の整備、広報活動、展示等の企画など図書館内でさまざまな仕事を補助してくれている学生たちです。

図書館サポーター推薦:触れよう!リベラルアーツ

展示期間:1月5日~2月28日

「触れよう!リベラルアーツ」ポスター
「触れよう!リベラルアーツ」ポスター

「リベラルアーツ」をテーマに、おすすめの本やDVDを展示しました。附属図書館には、理工学系の専門書だけでなく、「リベラルアーツ資料」コーナー※2にある資料など、様々な分野の資料も多数所蔵しています。多くの学生にそれらに触れてほしいと思う図書館サポーターの希望をうけて取り上げたテーマです。

日本や海外の古典的名著、名作映画のDVD、哲学に関する本など、考えさせられたり、視野が広がったりするような作品が並びました。期間中、ほとんどの資料が貸出され、大変好評でした。

展示風景(大岡山本館)

展示風景(大岡山本館)

展示風景(すずかけ台分館)

展示風景(すずかけ台分館)

※2「リベラルアーツ資料」コーナーとは...

附属図書館では、本学の学生が幅広い知識を身につけ、それに基づく思考力やコミュニケーション能力を養うことで、世界で活躍するグローバルリーダーとして羽ばたいてほしいと願い、「リベラルアーツ資料」コーナーを設置しています。

大岡山本館は地下1階、すずかけ台分館は2階にあります。

関連リンク

お問い合わせ先

研究推進部 情報図書館課 利用支援グループ・ すずかけ台図書館グループ

Tel : 03-5734-2097・045-924-5152

東京工業大学 生命理工学院「第2回LiHubフォーラム アカデミア創薬イノベーション」のご案内

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国立大学法人東京工業大学の生命理工学院は、国内で最多の研究室(75研究室)を擁し、生命科学と生命工学を広くカバーしている学術組織である利点を活かして、同分野の最先端と社会・産業とを橋渡しする協創の反応場「生命理工 オープンイノベーションハブ(LiHub)」を設立致しました。LiHubには、社会に還元できると想定した分野テーマごとに複数の研究室が集結した10の研究グループが現在存在し、今もなお企業からの要望に応じて、新しい研究グループが発足を計画している段階です。

LiHubの活動の一つである「LiHubフォーラム」は、LiHub研究グループが各々に目指している産学連携のビジョンを広く企業の皆様と共有させて頂くだけでなく、さらにそのビジョンに対する企業や社会の皆様からの率直なご意見をフィードバックして頂く協創のファーストステップと位置付けています。

第2回となる今回のLiHiubフォーラムでは、アカデミア創薬を目指す産学若手研究者で構成されるLiHub「創薬技術革新グループ」が中心となり、アカデミア創薬の第一人者である3名の研究者を講師としてお招きし、アカデミア創薬が社会に貢献する実践的なアプローチに焦点を当て、大学研究者という立場で創薬を進めてこられたご経緯やご経験をお話しいただきます。

またご講演後は、参加者の皆さんが、「創薬技術革新グループ」を含むLiHub研究グループと意見交換できるポスターパネル発表と交流会を開催し、双方向コミュニケーションの場を設けます。奮ってご参加ください。

開催概要

日時
2017年6月6日(火) 13:30 - 18:30(受付13:00 -)
会場
参加費

講演会・ポスター:無料

交流会:2,000円

定員
100名(事前申込締切日:6/2)
登録
参加申し込みフォームouterから事前登録をお願いします。
生命理工 オープンイノベーションハブ 第2回 LiHubフォーラム チラシ

関連情報

お問い合わせ先

生命理工 オープンイノベーションハブ LiHubフォーラム事務局

E-mail :lihubforum@bio.titech.ac.jp

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

東京工業大学・ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズ校 合同シンポジウム開催のご案内

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科学・技術と創造・芸術。この、一見離れた分野において、世界に知られる東京工業大学とロンドン芸術大学セントラルセントマーティンズ校。二校が手を組み、シンポジウムを実施することになりました。選んだテーマは「実験」。専門分野と文化の隔たりを超え、両者が繰り広げてきた「実験」とは何かを見つめ合い、学び合う機会です。幅広い分野から、英国・日本の研究者・実践者が集まり、それぞれの視点から語ります。

開催概要

日時
2017年5月27日(土) 13:00 -
場所
渋谷ヒカリエ ヒカリエホール ホールB
参加費
入場無料
申込み
申込みフォームouterよりお申込みください。
※先着170名様を優先受付とさせていただきます。
※その後は立ち見席となります。

モデレーター、登壇者

ヘザー・バーネット/キャロル・コレット/日比野克彦/広瀬茂男/トム・ホープ/池上彰/伊藤亜紗/小長谷明彦/ムージュノ・セリーヌ/野原佳代子/ジェレミー・ティル/豊田啓介/山縣良和(敬称略)

スケジュール

13:00

開会の辞

  • 三島良直(東京工業大学 学長)
  • ジェレミー・ティル(ロンドン芸術大学Central St. Martins校 校長)
  • 東京急行電鉄株式会社の挨拶
13:25

セッション1:デザインと産業

15:00

休憩

15:30
セッション2:アートと科学技術
16:55

キーノートセッション

モデレーター 池上彰(東京工業大学 特命教授)

17:55

閉会の辞

丸山俊夫(東京工業大学 理事・副学長)

(敬称略)

プログラムは変更になる場合があります。

東工大×ロンドン芸術大学セントラル・セントマーティンズ校合同シンポジウム 「科学・アート・デザインの実験」 ポスター

環境・社会理工学院

環境・社会理工学院 ―地域から国土に至る環境を構築―
2016年4月に発足した環境・社会理工学院について紹介します。

環境・社会理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

環境・社会理工学院 融合理工学系 野原研究室

E-mail : tokyotechxcsm@gmail.com
Tel : 03-5734-3521

工学による障がい者支援に関する東工大・スイスジョイントワークショップを開催

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4月18日に、大岡山キャンパス百年記念館3階フェライト記念会議室にて、在スイス日本国大使館(スイス大使館)後援のもと、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)および赤十字国際委員会(ICRC)の参加を得て、東工大とスイスとの国際共同ワークショップを開催しました。

ワークショップに先立ち、スイス大使館ジャン=フランソワ・パロ大使が、本学三島良直学長を表敬訪問しました。三島学長との会談では、パロ大使から、スイスは日本を重要なパートナー国と認識しており、経済のみならず科学技術でも一層関係を深めたいとの発言がありました。

スイス大使館 パロ大使による表敬訪問右から、パロ大使、三島学長、安藤理事・副学長

スイス大使館 パロ大使による表敬訪問
右から、パロ大使、三島学長、安藤理事・副学長

工学院 武田行生教授
工学院 武田行生教授

ワークショップでは、パロ大使と本学安藤真理事・副学長(研究担当)の開会あいさつに続き、工学院 機械系の武田行生教授からこれまでの活動の経緯が説明され、その後両国から発表が行われました。本学は昨年、一昨年と、EPFLとの共同ワークショップを継続して開催しており、今回はスイス側の参加機関も増え、また過去2回のワークショップの成果を踏まえて、両国の障がい者支援技術の研究と社会実装協力に向けた大きな一歩となりました。

ETH Zurichのダリオ・ヴィース氏の講演では、最新の外骨格型ロボットを装着して行う障がい者アスリートの大会であるサイバスロン(Cybathlon)が紹介され、躍動感と臨場感あふれる競技の様子が紹介されました。EPFLのハンス・ブロイレル教授からは、外骨格型ロボットの研究開発状況が語られました。ICRCのパスカル・フント氏からは世界各地、特に開発途上国におけるICRCの障がい者支援活動の紹介が行われました。

  • EPFL ハンス・ブロイレル教授

    EPFL ハンス・ブロイレル教授

  • ICRC パスカル・フント氏

    ICRC パスカル・フント氏

本学からは工学院 システム制御系の中島求教授をはじめ、科学技術創成研究院 バイオインタフェース研究ユニットの小池康晴教授、情報理工学院 情報工学系の三宅美博教授、環境・社会理工学院 融合理工学系の西條美紀教授が、障害者支援や社会実装に関する研究について講演を行いました。最後に、岩附信行工学院長から全体総括と今後の展開への期待が述べられました。

  • 科学技術創成研究院 小池康晴教授

    科学技術創成研究院 小池康晴教授

  • 環境・社会理工学院 西條美紀教授

    環境・社会理工学院 西條美紀教授

ワークショップ終了後、本学関係者、スイス側発表者に加え、ワークショップに出席いただいた学外の一般参加者がネットワーキング(情報交換会)を行い、活発な意見交換や交流が行われました。本学とスイスの最先端の技術を結集した研究成果を基にさらに研究を推進し、真の共生社会の実現に向けて前進することが期待されます。

  • 4機関から8名の研究者が発表を行ったワークショップの様子

    4機関から8名の研究者が発表を行ったワークショップの様子

  • ワークショップ後のネットワーキング(情報交換会)の様子

    ワークショップ後のネットワーキング(情報交換会)の様子

お問い合わせ先

研究・産学連携本部  大井・松尾

Email: nmatsuo@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-8734-2479

東工大学生サークルが附属図書館で作品展を開催

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昨年の11月から今年の2月にかけて、東工大附属図書館との協働で、本学学生サークルである鉄道研究部、天文研究部、写真研究部、美術部による作品展が、附属図書館大岡山本館にて行われました。各作品展の日程と概要は以下のとおりです。

「一月展」写真研究部の展示風景
「一月展」写真研究部の展示風景

「図展」美術部の設営風景
「図展」美術部の設営風景

鉄道研究部写真展

鉄道研究部写真展ポスター
鉄道研究部写真展ポスター

展示期間:2016年11月10日~2016年11月29日

列車の先頭から最後尾までが切れないような構図で撮影する編成写真や風景写真など鉄道の魅力あふれる計100点の写真を展示しました。展示期間が第3クォーターの期末試験の時期と重なり、図書館での試験勉強の合間に写真を眺める学生の姿がしばしば見られました。

天文研究部写真展

天文研究部写真展ポスター
天文研究部写真展ポスター

展示期間:2016年12月1日~2016年12月20日

野外観測で撮影した天体写真計20点が展示されました。肉眼では見ることが難しい星雲や高山で撮影した天の川などの写真に、キャンパスツアーで図書館を訪れた高校生も見入っていました。

「一月展」写真研究部作品展

「一月展」(写真研究部作品展)ポスター
「一月展」(写真研究部作品展)ポスター

展示期間:2017年1月12日~2017年1月24日

人物、風景、生き物など様々な被写体をとらえた作品計31点を展示しました。「色や構図が美しい。」「写真技術の高さを感じる。」などの感想が寄せられました。

「図展(とてん)」美術部作品展

「図展(とてん)」美術部作品展ポスター
「図展(とてん)」美術部作品展ポスター

展示期間:2017年1月26日~2017年2月9日

油彩、アクリル、ペンなどによる多彩な表現の作品計17点が展示されました。「東工大の美術部のクオリティーがこんなに高いとは知りませんでした。」「今後も学生の作品を紹介してください。」といった感想や要望が寄せられました。

附属図書館における作品展は2016年1月の初開催に続き2度目となり、参加サークルの数も倍増しました。

附属図書館は、学生の学びを支えると共に、親しみや安らぎのある場の提供を目指し、今後もさまざまな企画を実施していく予定です。

お問い合わせ先

研究推進部情報図書館課利用支援グループ

Tel : 03-5734-2097

BSジャパン「未来EYES」に地球生命研究所の藤島皓介研究員が出演

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本学 地球生命研究所(ELSI)の藤島皓介研究員が、BSジャパン「未来EYES(ミライアイズ)」に出演します。

「未来EYES」は、高度経済成長期に作り上げられた仕組みが制度疲労を起こしている日本において、独自のこだわりや屈指の努力で近未来を切り開こうと熱い情熱で探求する人と企業を追うドキュメンタリー番組です。

今回は『「アストロバイオロジー」生命の起源 人類はどこからやってきたのか?』というタイトルで、藤島研究員の研究に迫ります。

藤島皓介研究員(Credit: Nerissa Escaniar)
藤島皓介研究員
(Credit: Nerissa Escaniar)

藤島皓介研究員のコメント

私は現在、東工大ELSIとNASAエイムズ研究所を行き来しながら、アストロバイオロジーと呼ばれる「生命の起源」や「地球外生命の可能性」を俯瞰する学問分野の研究をしています。

今回はELSIで行っている生命システムに必須な核酸やアミノ酸でできたポリマーの進化研究について取材を受けました。「代謝」や「遺伝」といった地球生命にとって欠かすことのできない機能が原始地球環境中でどのように誕生し、維持されてきたのかに興味を持っています。

番組ではELSI内の国際的なネットワークや若手学生を対象とした教育的な取り組みも紹介されます。アストロバイオロジー研究の魅力が一人でも多くの方に伝われば幸いです。

  • 番組名
    未来EYES
  • タイトル
    「アストロバイオロジー」生命の起源 人類はどこからやってきたのか?
  • 放送予定日
    2017年5月21日(日) 22:30 - 23:00

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

フィリピンへの超短期派遣プログラム実施報告

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3月1日から3月10日にかけて、グローバル理工人育成コースにおける留学プログラムの1つとして、東工大フィリピンオフィスが主催でフィリピンへの超短期派遣プログラムを実施し、学士課程の1年生から4年生までの学生計7名が参加しました。

現地の学生に交ざってデラサール大学マニラ校の授業を聴講し、デラサール大学やフィリピン大学の現地学生と交流を行いました。これは今後の長期留学の具体的なイメージを掴む貴重な機会となりました。また、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所、国際稲研究所(International Rice Research Institute)、JICAプロジェクトサイト(パラニャケ下水処理場)へ訪問し、貧困格差是正・農業技術向上・インフラ整備などのフィリピンにおける諸課題を学んだことで、多くの学生がテクノロジーによって国際的な問題解決に関与していきたいという感想を抱きました。

本学では学士課程卒業生の9割が大学院へ進学することから、大学院課程修了後に新興国を含む世界でリーダーシップを発揮できる人材を育成すべく、学士課程卒業後に大学院課程において国際水準の教育研究活動を行い得る、高度な能力を身に付けさせることを目的として学士課程に設置されたコースで、「国際意識醸成プログラム」、「英語力・コミュニケーション力強化プログラム」、「科学技術を用いた国際協力実践プログラム」、「実践型海外派遣プログラム」の4つのプログラムにより構成されます。
デラサール大学マニラ校の学生と

デラサール大学マニラ校の学生と

デラサール大学科学技術複合施設にて

デラサール大学科学技術複合施設にて

スケジュール

3月1日(水)
東京国際空港(羽田)発―ニノイ・アキノ国際空港(マニラ)着
3月2日(木)
デラサール大学マニラ校訪問・見学・講義参加
3月3日(金)
デラサール大学マニラ校訪問・見学・講義参加・在学生との交流会(発表)
3月4日(土)
タガイタイ訪問
3月5日(日)
イントラムロス訪問
3月6日(月)
デラサール大学科学技術複合施設(Science and Technology Complex)訪問・見学、
国際稲研究所(International Rice Research Institute)訪問・見学
3月7日(火)
JICAフィリピン事務所訪問、アヤラ博物館訪問
3月8日(水)
JICAプロジェクトサイト(パラニャケ下水処理場)訪問、ユニカセ(社会的企業)訪問
3月9日(木)
フィリピン大学ディリマン校訪問・見学、在学生との交流会
3月10日(金)
ニノイ・アキノ国際空港(マニラ)発―東京国際空港(羽田)着

お問い合わせ先

国際部 国際事業課 国際事業グループ

Email : kokuji.jig@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7607


最高の超伝導転移温度(Tc)を持った鉄系超伝導物質の新たな特徴を発見

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要点

  • 鉄系超伝導体である砒酸水素化鉄サマリウム(SmFeAsO1-xHx)に対しSmサイトとHサイトの同位体置換に成功
  • 水素アニオンを用いることで従来法よりも5倍量以上の電子注入に成功
  • 過剰に電子を注入すると、鉄ニクタイド中で最も大きな磁気モーメントを持つ反強磁性相が現れる

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の飯村壮史助教、元素戦略研究センターの松石聡准教授、細野秀雄教授、岡西洋志大学院生(現デロイトトーマツコンサルティング)らの研究グループは、鉄系超伝導体中で最も高い超伝導転移温度(Tc)を示す砒酸水素化鉄サマリウム(SmFeAsO1-xHx)のSmサイトとHサイトへの同位体置換に成功し、新たな反強磁性相を発見した。今回発見した反強磁性相が示す磁気モーメントは鉄ニクタイド中で最も大きく、より局在化したスピンが高温超伝導の発現に重要であることが明らかとなった。さらに高いTcをもつ鉄系超伝導物質の設計指針の道が拓けてきた。

本研究は、文部科学省 元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>の一環として行われたもので、一部の実験は高エネルギー加速器研究機構とフランスのラウエ・ランジュバン研究所との共同で実施された。本成果は5月15日に「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」のオンライン速報版に掲載された。

研究の背景

2008年に本研究グループが発見した鉄系超伝導体は、1986年に報告された銅酸化物以来の革新的な高温超伝導物質[用語1]だ。その超伝導転移温度(Tc)の高温化と発現メカニズムの解明を目指し、世界中で激しい競争が繰り広げられている。常圧下での最高TcはSmFeAsO1-xAxA = H or F)が示すTc = 58 Kにまで向上しており、これは銅酸化物系を除くと最も高い値となっている。

鉄は大きな磁気モーメント[用語2]を持つため、超伝導の発現には最も不向きと考えられてきた。しかし、鉄系超伝導物質が発見されて以降は、鉄の磁気モーメントの空間的な揺らぎ[用語3]がむしろ、超伝導を引き起こす起源だと考えられている。

中性子回折法[用語4]は磁気モーメントや磁気構造を調べるための最も強力な手段の一つだ。鉄系超伝導物質の発見当初から中性子回折法を用いて様々な鉄系化合物の反強磁性構造[用語5]が特定されてきた。しかし、サマリウム(Sm)は全元素中でガドリニウムに次いで高い中性子吸収係数[用語6]を持つため、SmFeAsO1-xAxからの回折中性子数が極端に少なく、その磁性に関しては全く研究が進んでいなかった。

本研究では、吸収の大きい天然のSmを吸収の小さな同位体(154Sm)に置換することで、154SmFeAsO1-xAxの中性子回折及び反強磁性構造の決定を試みた。

さらに、本グループが開発した水素置換法を適応することで、従来から用いられていたフッ素よりも5倍以上の電子注入した物質の作製にも成功、その磁気特性も調べた。

研究成果

原料には、砒化鉄(Fe2As、FeAs)、脱水した酸化154サマリウム(154Sm2O3)、54Sm2O3をイオン交換して得た砒化154サマリウム(154SmAs)と154Sm2O3を製錬し重水素化した重水素化154サマリウム(154SmD2)を用いた。これら原料を混合して、成型後、5万気圧、1,300 ℃下で30分加熱することで砒酸重水素化鉄154サマリウム(154SmFeAsO1-xDx)を得た。図1(a)に電子を注入していない154SmFeAsOの反強磁性構造を示す。Fe上の反強磁性構造は、ストライプ型をとり、かつ、鉄の磁気モーメントは0.66(5) μB/Feとなった。これらの特長は鉄系超伝導物質に広く見られる反強磁性相とよく一致する。

一方、重水素置換を介して電子を過剰に注入した154SmFeAsO0.27D0.73では、低温で正方晶から斜方晶への構造相転移、及び常磁性から反強磁性への磁気転移が観測された。この反強磁性相は原子の周期構造からずれた格子非整合構造[用語7]を持つことが分かり、さらに鉄の磁気モーメントは10 K下において2.73(6) μB/Feと非常に大きな値を示した。この値は鉄が欠損し絶縁体化した鉄セレナイドに次いで大きく、鉄ニクタイド中では最大である。

154SmFeAsO(a)と 154SmFeAsO0.27D0.73(b)の反強磁性構造

図1. 154SmFeAsO(a)と154SmFeAsO0.27D0.73(b)の反強磁性構造

図2に154SmFeAsO1-xDxの電子注入量(x)に対する各転移温度の依存性を示す。鉄系中で最も高いTcを示す超伝導相は0.05 < x ≤ 0.45において生じる。その左右を囲むように二つの反強磁性相が発達することが本研究によって初めて明らかとなった。第一反強磁性相(0.00 ≤ x ≤ 0.05)は他の鉄系超伝導体全般に見られるストライプ型の磁気構造をとる。一方で、第二反強磁性相(0.56 ≤ x ≤ 0.81)は鉄ニクタイド中で最大の磁気モーメントと特異な格子非整合構造を持つ。これらの結果は、第二反強磁性相から生じる大きな磁気モーメントの揺らぎが高い温度での超伝導の発現に重要な役割を果たしていることを示唆している。

明らかになった154SmFeAsO1–xDxの電子相図

図2. 明らかになった154SmFeAsO1-xDxの電子相図

今後の展望

今回の結果により、大きな磁気モーメントを持つ反強磁性相の近傍で、高い温度での超伝導が発現することが明らかとなった。今後、第二反強磁性相の発現機構を詳細に解析することにより、高いTcを持つ画期的な高温超伝導物質の材料設計が可能になると考えられる。

用語説明

[用語1] 高温超伝導物質 : 一般に単体金属や合金に見られる超伝導転移温度(最高で~30 Kほど)よりも高い温度で超伝導を示す物質。1986年に発見された銅酸化物系と2008年に発見された鉄系超伝導体が主な代表例である。

[用語2] 磁気モーメント : 磁石の強さを表すベクトル量。電子の自転や原子核周りを周回する電子の軌道運動によって生じ、磁性イオンと呼ばれる鉄やコバルトの陽イオンは大きな磁気モーメントを持つ。

[用語3] 揺らぎ : ある測定量の空間的もしくは時間的な平均値からの変動。超伝導の発現には磁気モーメントが縦、横方向に揺らぐ空間的な揺らぎが寄与する。

[用語4] 中性子回折法 : 物質中の原子間隔と近い波長を持つ中性子を照射し、原子核や磁気モーメントによって反射された中性子線を解析することで結晶や磁気モーメントの周期構造を決定する手法。中性子は磁気モーメントを持つため、X線では観測できない磁気構造の解析が可能になる。

[用語5] 反強磁性構造 : 隣接する磁気モーメントが互いに反平行に整列している磁気構造。

[用語6] 中性子吸収係数 : 中性子が原子の原子核に衝突し吸収反応を起こす確率を表す量。中性子は電荷をもたないため、物質内で容易に原子核に接近し各種の相互作用を起こす。そのうち吸収反応に起因する割合が中性子吸収係数で表される。

[用語7] 格子非整合構造 : 磁気モーメントの周期が結晶中の原子の周期から非整数倍ずれた構造。磁気モーメントと原子配列の周期が一致した構造を格子整合構造と呼ぶ。

論文情報

掲載誌 :
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
論文タイトル :
Large-moment antiferromagnetic order in overdoped high–Tc superconductor 154SmFeAsO1−xDx
(和訳:過剰ドープ高温超伝導体154SmFeAsO1-xDxにおける大きなモーメントを持つ反強磁性秩序)
著者 :
Soshi Iimura, Hiroshi Okanishi, Satoru Matsuishi, Haruhiro Hiraka, Takashi Honda, Kazutaka Ikeda, Thomas C. Hansen, Toshiya Otomo, and Hideo Hosono
(飯村 壮史、岡西 洋志、松石 聡、平賀 晴弘、本田 孝志、池田 一貴、トーマス ハンセン、大友 季哉、細野 秀雄)
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所
助教 飯村壮史

E-mail : s_iimura@mces.titech.ac.jp
Tel / Fax : 045-924-5134

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東工大と東急電鉄が協力し、健康啓発ポスター第2弾を作成

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本学リベラルアーツ研究教育院の林直亨教授と、林教授の担当するウェルネス科目健康科学演習の学生たちが、東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)と協力して、健康啓発ポスターを作成しました。「健康にやせる3か条」がテーマで、4月1日から本学大岡山キャンパスの最寄り駅である東急目黒線・大井町線の大岡山駅に掲出中です。

この授業は「東工大・アクティブ学修支援制度」の援助を受けて実施されました
構内の様子

東急電鉄は、2015年3月に従業員の健康管理を行う優良企業として、経済産業省と東京証券取引所より「健康経営銘柄」に選定されたことに伴い、新たに「いい街いい電車プロジェクト」をスタートさせました。また、東急病院(東急電鉄の企業立病院)のある大岡山駅周辺を「健康ステーション大岡山」と称し、健康の発信拠点として、さまざまな取り組みを実施しています。

また、リベラルアーツ研究教育院と東急病院の共催で、地域や沿線にお住まいの方々を対象にした「大岡山健康講座」を定期的に開催しています。

今回の健康啓発ポスターも、本取り組みの一環として継続して行われています。

健康ステーション大岡山×東工大 ポスター

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

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特定の化学物質を簡便に検出できる高分子ゲルを開発 ―環境汚染物質トリハロメタンを光照射で検出―

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要点

  • 特定の物質を認識し、光照射で蛍光消光・分解する光トリガー分子を発見
  • 光トリガー分子を含んだゲルを用いて環境汚染物質を簡単に検出
  • クロロホルムと塩化メチレンを識別できる優れた選択性を持つ

概要

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の佐々木俊輔博士研究員(日本学術振興会特別研究員)、小西玄一准教授らの研究グループは、特定の組成を持つ化学物質を認識し、紫外光(UV)を照射すると蛍光が消光されて分解する、光トリガー分子を発見した。この分子は青色発光色素で、これを架橋剤(つなぎ)として用いて、光検出と光分解による形状変化でターゲットを確認できる高分子ゲルを開発した。これは、環境汚染物質であるトリハロメタン類を市販のブラックライト(UV光)を使うだけで、簡単に検出することができる。

今回用いた光トリガー分子は1,4-ビス(ジピペリジル)ナフタレンという青色発光色素である。この色素は、クロロホルムでは蛍光消光・分解してしまうが、塩化メチレンでは青色発光し、分解しない。消光と分解は連動しており、2つの現象にはシナジー効果が観察される。

本研究成果は5月9日付けの米国化学会「Macromolecules(マクロモレキュールズ)」に掲載された。

背景

高価で持ち運びのできない分析機器を必要とせず、目視できる形で有害物質や危険物質を簡便に検出する方法の開発は、環境計測や爆発物検知において重要性を増している。今日、ターゲット物質に応じて、適切なセンサー分子を搭載した様々な形態のデバイスが作られている。中でも光や色によって検知できるシステムは、迅速に大量のサンプルを分析することができ、さらに感度に優れた蛍光発光を用いることが有用とされている。しかしながら、検出対象となる物質は増え続けており、画期的な検出機器の開発が求められていた。今回対象としたトリハロメタンは、水の塩素消毒の際に水中に含まれる有機物と反応して生成するか、直接投棄によって環境中に蓄積される有害な水質汚染監視物質である。

研究の経緯

研究グループは、最近、溶液では光らず、固体になると発光する凝集誘起発光分子の新しい分子群と発光・消光メカニズム[参考論文1,2]を発見。その発光メカニズムを詳細に検討する中で、いくつかの分子が今回の高分子ゲルに応用可能な光トリガーの性質を持つことを発見した。

研究成果

光トリガーは、ターゲット物質と出会うと(1)蛍光が消光(蛍光強度が低下)し、(2)自身を分解するという2つの反応が起きる。この蛍光消光と分解は連動しており、シナジー効果が存在する。このような機能分子を高分子ゲルの架橋剤とすることで、特定の物質を加えて光照射すると、蛍光消光と分解による流動化で、形状が変わり、物質の検出を行うことができる系の設計が可能だ。(図1)

本研究の概念

図1. 本研究の概念

光トリガー分子は、1,4-ビス(ジピペリジル)ナフタレン(図1)という単独で、青色発光を示す蛍光色素である。この色素を組み込んだゲルは、炭素に塩素原子3つ結合したトリハロメタンの場合に蛍光が消光し、炭素に塩素原子2つ結合したジハロメタンの場合は、消光せず青色発光となる。(図2)に示すように、クロロホルム(CHCl3)と塩化メチレン(CH2Cl2)を選択的に検出することができる。

トリハロメタン(-CCl3; クロロホルムCHCl3)を選択的に蛍光消光する

図2. トリハロメタン(-CCl3; クロロホルムCHCl3)を選択的に蛍光消光する

この光トリガー分子を架橋剤に用いた高分子ゲルにクロロホルムを加えてUV光を照射すると、クロロホルムとトリガー分子の錯体が生成され、蛍光が消光し、その錯体を経由してトリガー分子の分解反応が起き、ゲルの架橋部位が取り除かれる。そして、高分子ゲルが1本1本の高分子に戻り、系全体が液状化する。(図3)つまり、発光とゲルの崩壊という2つの方法によりクロロホルムを検出することができる。一方、塩化メチレンでは、発光し、さらにゲルは崩壊しない。

光分解反応の様子

図3. 光分解反応の様子

今後の展開

これまでに知られている様々な蛍光色素の中に、光トリガー分子の考え方を適用できる分子が多数想定される。今後は、それらを用いて、簡便な分析が困難な物質の検出法を開発していく。

論文情報

掲載誌 :
Macromolecules 2017, 50, 3544–3556.
論文タイトル :
Smart Network Polymers with Bis(piperidyl)naphthalene Cross-Linkers: Selective Fluorescence Quenching and Photodegradation in the Presence of Trichloromethyl-Containing Chloroalkanes
著者 :
Shunsuke Sasaki, Yoshiyuki Sugita, Masatoshi Tokita, Tomoyoshi Suenobu, Osamu Ishitani, Gen-ichi Konishi
DOI :

参考論文

[参考論文1] Shunsuke Sasaki, Satoshi Suzuki, W. M. C. Sameera, Kazunobu Igawa, Keiji Morokuma, Gen-ichi Konishi, J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 8194–8206. [DOI: 10.1021/jacs.6b03749outer]
[参考論文2] S. Sasaki, K. Igawa, G. Konishi, J. Mater. Chem. C 2015, 3, 5940-5950. [DOI: 10.1039/C5TC00946Douter]

物質理工学院

物質理工学院 ―理学系と工学系、2つの分野を包括―
2016年4月に発足した物質理工学院について紹介します。

物質理工学院

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お問い合わせ先

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系
准教授 小西玄一(こにし げんいち)

E-mail : gkonishi@polymer.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2321 / Fax : 03-5734-2888

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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世界初!受精卵のエピゲノム編集に成功 細胞分化制御やDNA組換えを伴わない遺伝子治療などへの応用に期待

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近畿大学 生物理工学部(和歌山県紀の川市)遺伝子工学科 准教授の山縣一夫、北里大学 メディカルセンター(埼玉県北本市)研究部門 上級研究員の山﨑大賀、本学 科学技術創成研究院 教授の木村宏らの研究グループは、近年話題のゲノム編集[用語1]と呼ばれる技術に着目し、動物の発生に影響を与える「DNAメチル化[用語2]」を、細菌由来の酵素遺伝子を利用してマウス受精卵に“書き込む”ことに世界で初めて成功しました。本研究成果によって、効率的な生殖細胞作製や遺伝子治療に新たな道が開かれることが期待されます。

本件に関する論文が、2017年5月19日(金)午前3時(日本時間)に米国のオンライン学術誌『PLOS ONE』で公開されました。

ポイント

  • ゲノム編集と細菌由来の酵素遺伝子を利用してDNAメチル化情報を操作する「エピゲノム[用語3]編集技術」を開発
  • 「エピゲノム編集技術」によりマウス受精卵にDNAメチル化を“書き込む”ことに成功
  • 将来的に細胞分化の制御や配列を書き換えない遺伝子治療などに応用できる可能性がある

概要

私たちの身体を構成する細胞はすべて同じ遺伝情報(ゲノム)を核内に持っています。同じ遺伝情報からさまざまな種類の組織や細胞が作られるのは、それぞれの細胞にとって必要な遺伝子だけが使われ、不必要な遺伝子は使われないからです。遺伝情報(ゲノム)を設計図とすれば、部品の採用不採用を記した付箋をエピゲノムといい、設計図をもとに付箋の情報を集約して作った完成品が細胞となります。

エピゲノムは、後天的遺伝情報と呼ばれ、DNAに生じる目印のようなものです。エピゲノムの一つがDNAメチル化であり、正常な個体が発生するために重要な役割を果たすことが知られています。

本研究では、最近話題のゲノム編集技術と細菌由来の酵素遺伝子を利用して、マウス受精卵にDNAメチル化情報を書き込むことに世界で初めて成功し、受精卵にDNAメチル化を効率的に導入することが可能であることを示しました。本研究で開発された技術は、これまで不明だった染色体の機能未知領域(ぺリセントロメア)におけるDNAメチル化の果たす役割を解析する一助となる技術として期待されます。

詳細

研究グループはゲノム編集と呼ばれる技術に着目し、ゲノム編集で用いられているTALENおよびCRISPR/Cas9など任意のDNA配列に対して結合することが可能なDNA結合モジュールと、スピロプラズマと呼ばれる細菌が保有するDNAメチル化酵素SssIとの融合遺伝子を作製し、マウスのペリセントロメアに存在するDNA配列であるメジャーサテライトに対してDNAメチル化導入が可能か検討し(図1)、マウス受精卵(図2)およびマウスES細胞(図3)において効率的なメチル化導入が可能であることを示しました。このDNAメチル化の亢進はバイサルファイトシーケンスによる1塩基レベルの解像度だけでなく、DNAメチル化検出用の蛍光プローブを使った顕微鏡レベルでも検出可能なものであり、大規模にDNAメチル化が導入される様子をライブセルイメージングによって追跡することが可能でした。さらに、ペリセントロメアにDNAメチル化を導入したマウス受精卵の細胞分裂期における染色体分配異常を調べたところ、DNAメチル化導入した受精卵とDNAメチル化導入していない受精卵において大きな違いは認められず、着床前初期胚発生の細胞分裂機能にペリセントロメアのDNAメチル化は重要ではないことが示されました。

本研究におけるエピゲノム編集の概要

図1. 本研究におけるエピゲノム編集の概要

受精卵の分裂期染色体におけるペリセントロメアへのDNAメチル化導入

図2. 受精卵の分裂期染色体におけるペリセントロメアへのDNAメチル化導入

受精卵における分裂後期の染色体のスナップショット。「メチル化導入有り」の受精卵において分配方向の染色体末端近くにDNAメチル化の亢進が認められる。「メチル化導入無し」の染色体においても末端部分にメチル化DNAのシグナルが認められるが、これは元々細胞が持っているDNAメチル化状態を示している。
赤:メチル化DNA、緑:染色体、矢印:染色体分配方向、スケールバー:20μm

DNAメチル化酵素欠損マウスES細胞内でのペリセントロメアへのDNAメチル化導入

図3. DNAメチル化酵素欠損マウスES細胞内でのペリセントロメアへのDNAメチル化導入

「メチル化導入有り」の細胞では、核内のセントロメア近傍においてメチル化DNAのシグナルの亢進が認められる(矢印)。一方で、「メチル化導入無し」の細胞ではメチル化DNAのシグナルは核内でほぼ均一のシグナルとなる(核小体にシグナルが集積する)。
赤:メチル化DNA、緑:セントロメア、青:核、スケールバー:20μm

従来のエピゲノム編集で使用されてきた哺乳動物由来のDNAメチル化酵素は、協調して働く分子を必要としますが、本研究で作製された細菌由来の人工酵素はそれ単独で機能するため、他の生体作用の影響を受けずに安定したDNAメチル化導入効果が期待されます。

なお、本研究は文部科学省科学研究費補助金、新学術領域研究「動的クロマチン構造と機能」(代表:胡桃坂仁志 早稲田大学教授)の支援のもとで行いました。

研究の背景

近年、ゲノム編集技術は大きな広がりを見せています。遺伝子組換え動物を作製する際には、受精卵の中でゲノム編集する方法が一般的です。海外では、ヒト受精卵でゲノム編集を行ったという報告がなされており、新たな遺伝子治療法としての有効性に注目が集まるなかで、その倫理基準などについては多くの議論を呼んでいます。

一方、ゲノム編集技術を応用して特定遺伝子領域のDNAメチル化状態を操作する「エピゲノム編集」が、基礎研究レベルで徐々に報告されはじめています。これは、例えば遺伝情報の読み出しに必要な目印を変える技術であり、遺伝子配列そのものを改変するわけではないので、倫理的問題を解決する可能性があります。これまでは培養細胞などで実験されていましたが、本研究では受精卵を用いたエピゲノム編集について検討を行いました。

今後の展開

マウス生殖細胞のセントロメア(細胞分裂に必須な染色体配列)には、大規模なDNA脱メチル化が生じていることが報告されています。本研究成果によって、マウス受精卵にDNAメチル化を効率的に導入することが可能となるため、生殖細胞の発生・分化に関する研究に応用できるものと考えます。また、複数のがん細胞においても生殖細胞と同様にセントロメアのDNA脱メチル化が大規模に生じていることが報告されており、がんに特徴的なゲノム不安定性との相関性が指摘されています。本研究によるDNAメチル化操作によって、がん細胞におけるゲノム不安定性とDNA低メチル化状態との因果関係を研究することが可能となり、新たながん研究の解析ツールとなることが期待されます。

また、本研究で使用したDNA結合モジュールは任意のゲノム領域に設計できることから、ペリセントロメア以外のさまざまなゲノム部位に対してDNAメチル化の導入を行うことが可能となります。遺伝子破壊を伴わずに遺伝子の発現抑制を行うことが可能であることから、がん遺伝子をはじめとする疾患原因遺伝子の発現抑制など、ゲノムを書き換えない遺伝子治療への将来的な応用展開が期待されます。

用語説明

[用語1] ゲノム編集 : 特定の遺伝子部位に結合するDNA結合モジュールとDNA切断活性をもつタンパク質の働きによって部位特異的な遺伝子破壊や書き換えを可能とする技術。遺伝子破壊動物の効率的な作製などの基礎研究分野、変異遺伝子の修復などの医療分野においても応用可能であることから、近年大きな注目を集めている。

[用語2] DNAメチル化 : 設計図(ゲノム)に書かれているDNAの4種類の文字(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)のうち主にシトシンに付加される目印のことを指す。シトシンがメチル化されると遺伝子を「使わない」、メチル化が外れると遺伝子を「使う」というはたらきがある。

[用語3] エピゲノム : 後天的遺伝情報と呼ばれ、体細胞分裂後にも継承されるDNA塩基配列以外の情報の総称。主にDNAメチル化やヒストンの化学修飾などがよく知られており、これらの組み合わせが遺伝子の発現と抑制に重要な役割を果たしている。

論文情報

掲載誌 :
米国のオンライン学術誌 PLOS ONE (インパクトファクター:3.057 2015)
論文タイトル :
Targeted DNA Methylation in Pericentromeres with Genome Editing-Based Artificial DNA Methyltransferase.(ゲノム編集技術を応用したペリセントロメアへの人為的・配列特異的DNAメチル化誘導)
著者 :
Taiga Yamazaki, Yu Hatano, Tetsuya Handa, Sakiko Kato, Kensuke Hoida, Rui Yamamura, Takashi Fukuyama, Takayuki Uematsu, Noritada Kobayashi, Hiroshi Kimura, Kazuo Yamagata
DOI :

取材申し込み先

近畿大学 生物理工学部

担当 : 井村・小川・神崎・石井

E-mail : bost-pr@waka.kindai.ac.jp

Tel : 0736-77-3888

北里大学メディカルセンター・研究部門

担当 : 山﨑 大賀(上級研究員)

E-mail : tyamazak@insti.kitasato-u.ac.jp

Tel : 048-593-1212(代表)

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

6月の学内イベント情報

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6月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2017年前期)

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2017年前期)

本講座では前期の講義として、私たちの身の回りにある化学品を含むゴムやプラスチックとその製品の安全・安心に関する情報とやさしい科学を、 一般の方にもわかりやすく紹介します。更に後期の講義では、少し高度な内容として、最先端の安全性評価技術、劣化と寿命予測技術、耐性向上技術、高性能・高強度化技術 ・材料に関する科学を紹介し、将来の安心・安全な材料・製品設計の基礎を学べるようにします。

日時
6月3日(土)、6月17日(土)、6月24日(土)、7月15日(土)、7月22日(土)、7月29日(土)、8月5日(土)
各日13:20 - 14:50、15:05 - 16:35
場所
参加費
無料(「追加資料代」として1,000円(全14講議分)が掛かります。初回受講時に申し受けます。)
対象
一般
申込
必要

ベンチャー未来塾2017

ベンチャー未来塾2017

東京工業大学社会人アカデミーでは、本講座をはじめとして、産業のグローバル化に対応できる企業人材を育成する「グローバル産業リーダー育成プログラム」(GINDLE-Global INDustrial LEader)を設置しています。

新たなビジネスチャンス獲得の場として、高い評価をいただいてまいりました。国の政策・立案に関わる府省庁関係者や新興上場企業執行役員が集い、毎回、講義とディスカッションを行います。

日時
4月25日(火)、5月12日(金)、5月16日(火)、5月23日(火)、6月6日(火)、6月13日(火)、6月20日(火)、6月27日(火)
場所
東京21cクラブ(〒100-6510 東京都千代田区丸の内 1-5-1 新丸の内ビルディング 10F)
参加費
198,000円(税込)※情報交換に参加の方は、軽食代として別途、各回当日2,000円を申し受けます。
対象
新興上場企業(新経済連盟企業など)の執行役員・事業所長クラス
申込
必要

2017年度大田区民大学(第20回東工大提携講座)「生物とその多様性」

2017年度大田区民大学(第20回東工大提携講座)「生物とその多様性」

今年も、恒例の大田区と提携した区民大学が開催されます。私たちが長い年月の環境変化の中で、今日生きているのは、生命の多様さ・生命を育む場の多様さと多彩なつながり=生物多様性があればこそです。国連が2011年から2020年を「国連生物多様性の10年」と設定していますが、その折り返し点となった今年のテーマは、「生物とその多様性」です。今一度、生命科学・分子生物学や環境問題など、生物多様性とその根源をめぐる最新の研究を学んでみませんか?

日時
5月31日(水)、6月7日(水)、6月14日(水)、6月21日(水)、6月28日(水)、7月5日(水)
各日19:00 -
場所
参加費
無料
対象
原則として区内在住・在勤・在学の16歳以上の方
申込
必要

博物館・百年記念館常設企画『浅草文庫』~蔵前時代~

博物館・百年記念館常設企画『浅草文庫』~蔵前時代~

1887(明治20)年、東京職工学校校友会文藝部によって創刊された文化雑誌『浅草文庫』。その後、『蔵前文学』『工大文藝』『大岡山文学』と誌名を変更しながら続いてきました。本展示では、蔵前時代に発行された『浅草文庫』『蔵前文学』に焦点をあてます。これら雑誌を通じ、ものづくりを学ぶ学生たちの中に生きた、文化的精神を感じ取っていただけます。

日時
5月19日(金)~6月9日(金) 10:30 - 16:30
場所
参加費
無料
対象
一般
申込
不要

2017 東工大スピントロニクスイノベーション研究推進体研究会~ポストスピントロニクスへの挑戦~

2017 東工大スピントロニクスイノベーション研究推進体研究会~ポストスピントロニクスへの挑戦~

「ポストスピントロニクスへの挑戦」と題しまして、 東工大スピントロニクスイノベーション研究推進体の研究会を開催いたします。 奮ってご参加ください。

日時
6月9日(金) 13:20 - 17:30
場所
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

博物館・百年記念館休館

博物館・百年記念館休館

博物館(百年記念館)においては、2017年度において空調機改修工事を予定しております。改修工事の事前準備のため以下の期間について、全面での休館を予定しております。

休館開始日
6月12日(月)
改修工事期間
2017年9月~2018年3月末(予定)

社会人アカデミー主催 2017年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミー主催 2017年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミーでは、毎年ご好評をいただいている理工系一般プログラムを本年度も開講しています。

日時
  • 「環境科学」(コースレベル:初・中級)4月22日(土)~6月24日(土)
  • 「環境工学①リサイクル」(コースレベル:中級)4月21日(金)~6月16日(金)
  • 「環境工学②エネルギー」(コースレベル:中級)6月23日(金)~8月18日(金)
  • 「食の安全と安心」(コースレベル:基礎)4月18日(火)~8月1日(火)
場所
参加費
  • 「環境科学」(コースレベル:初・中級)30,856円
  • 「環境工学①リサイクル」(コースレベル:中級)15,428円
  • 「環境工学②エネルギー」(コースレベル:中級)15,428円
  • 「食の安全と安心」(コースレベル:基礎)30,856円
対象
一般
申込
必要

2017年度 東工大環境月間特別講演会 未来につなぐ!わたしたちの暮らしと地球環境

2017年度 東工大環境月間特別講演会 未来につなぐ!わたしたちの暮らしと地球環境

6月の「環境月間」に合わせ東工大環境月間特別講演会を開催します。日本計画行政学会主催、東工大総合安全管理部門及び大田区地球温暖化対策地域協議会共催の公開シンポジウムとして開催します。

日時
6月17日(土) 15:00 - 17:00(開場時間 14:30)
場所
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

2017年度 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 研究交流・発表会

2017年度 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 研究交流・発表会

科学技術創成研究院 先導原子力研究所は第2期中期計画に沿って、4つの重点分野とそれらを支える基礎・基盤分野の研究を所員一丸となって推進し、得られた成果を学会・誌上に発表、公開し、これらの普及に平素から努めております。これらを背景として、1.共同利用 ・共同研究の成果発表、2.本研究所の研究成果の発表・社会還元、3.研究者間交流による研究の活性化、この3つを目的とした研究交流・発表会を開催いたします。

日時
6月28日(水) 13:30 - 17:00
場所
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

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