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2017年度 3学院夏期短期学生交流プログラム 活動報告

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今夏、3学院夏期短期学生交流プログラム(Summer Exchange Research Program:SERP)による留学生が来日し、約3ヵ月間、日本で研究を行っています。

工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院は、欧米やアジア・オセアニアの世界有数の理工系大学と協定を締結し、これらの大学から留学生を受け入れ、同時に東工大からも協定校に派遣しています。学生交流を中心とした協定校とのネットワークを構築・確立することで、3学院はさらなる国際化を推進し、国際的な舞台で活躍できる人材の育成を目指しています。

来日した留学生たちは、それぞれ自身の専門分野の研究室に所属して受入教員の指導のもとで短期研究プロジェクトを行うと共に、日本語の基礎を学ぶ「サバイバル・ジャパニーズ」の授業を履修しています。また、日本を代表する先端企業の見学や日本文化に関わる活動など、日本の技術や文化への理解を深めるためのイベントにも参加します。

また、交換留学プログラムの特徴を生かし、受入留学生と、東工大からの派遣学生による交流イベントも企画・運営されています。留学生が来日後まもなく参加するオリエンテーションの一つとして、今夏、協定校に派遣予定の東工大生が中心となり、6月5日と6月12日に大岡山キャンパスツアーを実施しました。

6月5日 大岡山キャンパスツアー

6月5日 大岡山キャンパスツアー

6月5日 大岡山キャンパスツアー

6月12日大岡山キャンパスツアー

一同は、学生支援課や教務課で、体育館とトレーニングセンターの利用方法を教わったり、生協で「サバイバル・ジャパニーズ」で使用する教科書の購入などをしました。本館前のウッドデッキでは、桜が咲いていないことを留学生たちは残念そうにしていましたが、「来年の春にまた桜を見に来たい」「派遣期間中に銀杏を見るのがとても楽しみだ」と話していました。図書館の見学では、留学生たちは皆、チーズケーキ型の珍しい構造に興味を示し、特に建築専攻の学生は設計者にも関心を持っていました。また、図書館内部の電動書架(ボタンを押すと棚が自動で動く書架)に驚いた様子でした。最後に、第一食堂で昼食を取り、留学生は慣れない箸の使い方に苦戦しながらも、「日本の食事はおいしい」と感想を述べ、キャンパスツアーを通じて留学生と東工大からの派遣学生は交流を深めることができました。

キャンパスツアーリーダー(SERP派遣学生)のコメント

松田錬磨さん(工学院 システム制御系 修士課程2年)

留学生にキャンパス内を紹介して巡るイベントに参加したのは初めてで、うまく紹介できるか不安でしたが、楽しくコミュニケーションをしながらキャンパスを回ることができました。特に、図書館の電動書架や外観、第一食堂の食事に満足してもらえたのが嬉しかったです。このキャンパスツアーを通じて、留学生は東工大の施設への理解を深め、初対面であったにも関わらず留学生同士も打ち解けることが出来ました。このような機会は、我々日本人学生にとってもさまざまな国の留学生と交流する貴重な機会なので、今後も積極的に参加していきたいです。

歓迎会での集合写真

歓迎会での集合写真

また7月3日には、留学生・東工大の派遣学生の出会いや交流の場になるよう、大岡山キャンパス本館工系第1会議室にて歓迎会が開催されました。工系国際連携室長の中川茂樹教授(工学院 電気電子系)による歓迎の言葉で始まり、その後は、留学生と派遣学生の自己紹介や交流会、最後にアジア・オセアニア重点大学交流プログラム(Asia-Oceania Strategic Universities Exchange Program:AOSU)受入作業部会委員の早川朋久准教授(工学院 システム制御系)による閉会の辞で、和やかに終了しました。7月に来日したばかりの新しいメンバーやAOSUに参加中の国立台湾科技大学の留学生も加わり、さらに交流の輪が広がりました。

歓迎会に参加したSERP留学生

歓迎会に参加したSERP留学生

歓迎会に参加したAOSU台湾科技大学からの留学生

歓迎会に参加したAOSU台湾科技大学からの留学生

お問い合わせ先

工系国際連携室

E-mail : ko.intl@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3969


遺伝子撹拌装置をタイミング良く染色体から取り外す仕組み

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遺伝子撹拌装置をタイミング良く染色体から取り外す仕組み
―減数分裂期に相同染色体間の遺伝情報交換を促す高次染色体構造の解体を指揮するシグナリングネットワークを特定―

私たちヒトを含む多くの真核生物では、父親と母親から受け継いだ2セットの遺伝情報を持っています。この遺伝情報を次世代に伝えるには配偶子と呼ばれる特殊な細胞(ヒトの場合は精子と卵)を形成し、ちょうど半分の遺伝情報をその中に分配する必要があります。また、その際父親と母親の遺伝情報はお互いの遺伝情報を交換することで激しく撹拌され、そのことにより生物の多様性は劇的に増大します。この目的を果たすために減数分裂期の染色体は、『遺伝子攪拌装置』とでも呼ぶべき非常に複雑な高次構造を形成するのですが、ひとたび遺伝子の攪拌が終了するとこの構造体を直ちに解消しなければ、次に起こるべき染色体分配に支障をきたしてしまいます。減数分裂の進行において、タイミングよくこの染色体高次構造を解消し、次のステップに進める仕組みは謎に包まれていました。

今回、基礎生物学研究所、東京工業大学、サセックス大学、ニューヨーク州立大学のメンバーからなる共同研究グループは、真核生物の単純なモデルである出芽酵母を用いた研究により、細胞分裂の進行を制御する分子群が、減数分裂期の高次染色体構造の解体を直接指揮するスイッチ役として働くことを明らかにしました。本研究成果は、2017年7月10日に欧州分子生物学機構が発行する専門誌EMBO Journal(電子版)に掲載されました。

研究の背景

有性生殖を行うヒトなどの真核生物は、遺伝情報を次の世代に伝える為に、配偶子と呼ばれる特殊な細胞(精子や卵など)を形成します。その過程で、配偶子に対し親細胞の染色体数の半分だけを正確に分配することが必要で、その為に用いられるのが減数分裂と呼ばれる特殊な細胞周期です。減数分裂では1回のDNA複製に続いて2回の連続した細胞分裂、それぞれ減数第一分裂、第二分裂が起こります(図1)。特に減数第一分裂においては、相同染色体が分配される点が非常に特徴的であり、これは姉妹染色分体が分配される体細胞分裂とは大きく異なります。また、減数第一分裂に先立ち、相同染色体同士はその全長に渡って密着し、シナプトネマ複合体と呼ばれる複雑な染色体高次構造を形成します(図2)。その間相同染色体間では遺伝情報が活発に交換され、このプロセスは生命の多様性を生み出す原動力となって来ました。基礎生物学研究所/サセックス大の坪内英生を中心とする研究グループは、真核生物の単純なモデルである出芽酵母を用いて、遺伝情報交換の場として機能するシナプトネマ複合体の形成と解離のメカニズムの解明に取り組んできました。今回、坪内らは、シナプトネマ複合体の解離と細胞周期を結びつけるシグナリングネットワークを特定し、その制御機構の解析を行いました。

体細胞分裂と減数分裂の違い。減数分裂の大きな特徴はその第一分裂にある。減数第一分裂前期においては相同染色体同士がお互いを認識して接着し、その遺伝情報を交換する。また、減数第一分裂では相同染色体が分配されるが、これは姉妹染色分体が分配される体細胞分裂や減数第二分裂とは大きく異なる。
図1.
体細胞分裂と減数分裂の違い。減数分裂の大きな特徴はその第一分裂にある。減数第一分裂前期においては相同染色体同士がお互いを認識して接着し、その遺伝情報を交換する。また、減数第一分裂では相同染色体が分配されるが、これは姉妹染色分体が分配される体細胞分裂や減数第二分裂とは大きく異なる。
減数第一分裂前期における染色体高次構造。減数第一分裂前期において相同染色体が密着し遺伝情報の交換をするために、染色体は特徴的な高次構造を形成する。この構造体をシナプトネマ複合体という。この構造体においては相同染色体同士がその全長に渡って一定の間隔をおいて密着するので、電車の線路のような構造体が電子顕微鏡による観察で認められる。
図2.
減数第一分裂前期における染色体高次構造。減数第一分裂前期において相同染色体が密着し遺伝情報の交換をするために、染色体は特徴的な高次構造を形成する。この構造体をシナプトネマ複合体という。この構造体においては相同染色体同士がその全長に渡って一定の間隔をおいて密着するので、電車の線路のような構造体が電子顕微鏡による観察で認められる。

研究の成果

シナプトネマ複合体は減数第一分裂前期の開始と共に形成され始め、前期の中盤でその形成が完了し相同染色体はその全長に渡って密着します(図2)。同時に、密着した相同染色体間で相同組換えが活発に誘導され遺伝情報が交換されます。これは減数分裂期特有の現象で、体細胞分裂期の相同組換えが姉妹染色分体間で起こるのとは対照的です。相同組換え反応が継続する間、細胞は減数第一分裂前期内に留まり、シナプトネマ複合体構造は維持されます。ところが、ひとたび相同組換え反応が完了すると細胞周期は減数第一分裂前期を脱して中期に進行し、シナプトネマ複合体は染色体上から素早く解離します。研究グループは細胞周期の進行とシナプトネマ複合体の解離がどのようにコーディネートされているのかを探索する過程で、真核生物の細胞周期を制御するタンパクキナーゼがシナプトネマ複合体の解離調節の鍵となっていることを見出しました(図3)。それらは、細胞周期の原動力と呼ばれるサイクリン依存性キナーゼ(CDK1)、DNA複製開始のタイミング制御に重要なことが知られているDbf4依存性Cdc7キナーゼ(DDK)、及び主にM期で機能することが知られるポロキナーゼです。

特に今回、研究グループはDDKの活性を調節するDbf4のリン酸化がシナプトネマ複合体の解離調節の鍵となることを見出しました。この過程で重要になってくるのが減数第一分裂前期内で活発に起こっている相同組換え反応です。減数第一分裂前期中では、相同組換え反応を監視しているメカニズムがあり、相同組換え反応の終了が近づくとポロキナーゼの発現が誘導されると共にCDK1の活性が上昇します。この際、発現したポロキナーゼはDbf4と直接相互作用してそのリン酸化を促します。同時に活性が上昇したCDK1もDbf4のリン酸化に寄与し、このDbf4リン酸化がシナプトネマ複合体構成タンパク質の分解を引き起こすことで、染色体からのシナプトネマ複合体の解離を誘導するスイッチになっていることが明らかになりました。また、減数第一分裂前期中では相同染色体間の遺伝情報の交換を促進するために、体細胞分裂期型の組換え経路が抑制されているのですが、細胞が減数第一分裂前期から出ると、体細胞分裂期型組換えが直ちに再活性化することを見出しました。今回の研究により、染色体構造が減数分裂期型から体細胞分裂期型に戻る際に、その変換を司る主要な情報伝達系を明らかにしたと考えています。

減数分裂期の染色体高次構造の解離を指揮するシグナリングネットワーク。減数第一分裂前期から中期にかけて、染色体高次構造は急速に染色体から解離するが、その過程には細胞周期の制御に関わる3つのタンパクキナーゼが関与している。その制御において中心になるのが Dbf4依存性Cdc7キナーゼの調節因子Dbf4のリン酸化である。
図3.
減数分裂期の染色体高次構造の解離を指揮するシグナリングネットワーク。減数第一分裂前期から中期にかけて、染色体高次構造は急速に染色体から解離するが、その過程には細胞周期の制御に関わる3つのタンパクキナーゼが関与している。その制御において中心になるのが Dbf4依存性Cdc7キナーゼの調節因子Dbf4のリン酸化である。

今後の展望

減数分裂のメカニズムは体細胞分裂のメカニズムの上に構築されていると考えられますが、両者に非常に大きな違いがあるのもまた事実です。特に減数第一分裂期においては染色体分配様式が異なるだけでなく遺伝情報の撹拌という、体細胞分裂期とは全く異なる機能が付加されるのです。こういった機能の付加は、可逆的であるという特徴があり、細胞は極めて迅速に減数分裂期型から体細胞分裂期型へと染色体構造を変換する能力を備えています。このような染色体のダイナミックな動態はヒトを含む高等真核生物でも保存されていることから、同様のシグナリングネットワークが減数分裂から体細胞分裂への染色体構造変換に関与しているのか、今後興味が持たれるところです。

研究グループ

  • 基礎生物学研究所/英国・サセックス大学:坪内英生
  • 基礎生物学研究所:坪内知美
  • 東京工業大学/英国・サセックス大学:Bilge Argunhan, Negar Afshar
  • 東京工業大学:村山泰斗(7月1日より国立遺伝学研究所 所属)、岩﨑博史
  • 英国・サセックス大学:Wing‐Kit Leung, Yaroslav Terentyev
  • 米国・ニューヨーク州立大学:Vijayalakshmi V Subramanian, Andreas Hochwagen

研究サポート

本研究は、文部科学省科学研究費助成事業、英国Biotechnology and Biological Sciences Research Council、Medical Research Councilなどの支援のもとで行われました。

論文情報

掲載誌
The EMBO Journal
論文タイトル
Fundamental cell cycle kinases collaborate to ensure timely destruction of the synaptonemal complex during meiosis
著者
Bilge Argunhan, Wing‐Kit Leung, Negar Afshar, Yaroslav Terentyev, Vijayalakshmi V Subramanian, Yasuto Murayama, Andreas Hochwagen, Hiroshi Iwasaki, Tomomi Tsubouchi, Hideo Tsubouchi
DOI :

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

本研究に関するお問い合わせ先

基礎生物学研究所 幹細胞生物学教室
坪内英生

E-mail : htsubo@nibb.ac.jp

Tel : 0564-55-7695

東京工業大学 科学技術創成研究院
細胞制御工学研究センター
岩崎博史 教授

E-mail : hiwasaki@bio.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2588

取材申し込み先

基礎生物学研究所 広報室

E-mail : press@nibb.ac.jp

Tel : 0564-55-7628 / Fax : 0564-55-7597

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

第23回スーパーコンピューティングコンテスト ―高校生・高専生の熱き知的な戦い「夏の電脳甲子園」(東京工業大学・大阪大学共同開催)

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昨年度開催風景
昨年度開催風景

スーパーコンピューティングコンテスト(以下、スーパーコン)は、スパコン上で行う高校生・高専生対象のプログラミングコンテストです。

予選を通過した高校生・高専生の20チームがスパコンを使い、難しい出題に対し、試行錯誤しながら4日間をかけプログラムを作成し、その性能を競います。

1995年より毎年夏に行われ、「夏の電脳甲子園」という名で、プログラミングが大好きな若者を惹きつけてきました。このコンテストから毎年、様々なドラマが生まれています。

  • 予選を通過した強豪20チームが東工大と阪大に集結、本選 (8月21日~25日)に挑む
  • 大阪大学のスーパーコンピュータSX-ACEを使用
  • 成果発表会・表彰式を8月25日に東工大・阪大で同時開催

最終日の成果発表会・表彰式では、その奮闘の様子を紹介いたします。成果発表会・表彰式にお越しいただき、若者たちの熱い戦いをご覧ください。

第23回スーパーコンピューティングコンテスト 本選

日時
2017年8月21日(月) - 25日(金)
場所

東京工業大学 大岡山キャンパス 学術国際情報センター
大阪大学 サイバーメディアセンターouter

本選会場に入室できるのは参加者及び大会関係者のみとなります。

成果発表会・表彰式

日時
2017年8月25日(金)10:00 - 12:00
場所
東京工業大学 蔵前会館1階 ロイアルブルーホールouter
大阪大学 サイバーメディアセンタ 豊中教育研究棟 7階(豊中キャンパス)

お問い合わせ先

スーパーコン17実施委員会
(東京工業大学学術国際情報センター、大阪大学サイバーメディアセンター)

E-mail : sc17query@gsic.titech.ac.jp

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

「JCHM第5回シンポジウム及び総会―日本人腸内環境の全容解明と産業応用プラットフォーム―」を実施

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6月28日、大岡山キャンパス緑が丘6号館の緑が丘ホールにて、JCHM第5回シンポジウム及び総会が「日本人腸内環境の全容解明と産業応用プラットフォーム」をテーマに開催されました。

JCHMとは

JCHMは、日本ヒト共生菌叢研究協会(Japanese Consortium for Human Microbiome)の略称です。

ヒトの腸内には 1,000種100兆個体の微生物が共生していると言われ、 それらの腸内細菌の乱れは多くの疾病に関わっていることが知られています。 欧米では腸内細菌解析の重要性が早くから認識されており、 大型予算が割り当てられて多くの研究者が携わっていることから、 日本においても日本人腸内環境の全容解明は急務と言えます。 そこで、東京工業大学は日本人腸内環境の全容解明をテーマに掲げ、 日本人腸内微生物データーベース構築による「日本人固有の腸内環境及び腸内代謝系の発見」と 「疾病マーカーの発見」を目指したプロジェクト活動を推進しています。

JCHMは、当研究に関心を持つ関係機関・団体・企業との連携によるコンソーシアムです。本学生命理工学院 生命理工学系outerの山田拓司准教授が代表を務めています。

第5回JCHMシンポジウム

5回目となる今回も、腸内環境を中心とする研究とその応用、最新の成果と今後の展望について、学内外の先生による講演がありました。学内外含め110名の研究者、協賛企業や本学学生が参加しました。

シンポジウムに先立ち、午前中には菌叢解析パイプラインの実践をテーマに、ワークショップを開催しました。今回は初級者が解析の第一歩を踏み出す機会を作りたいと考え、参加者には自身のPCを持参のうえ、臨んでもらいました。ワークショップには本学学生やパートナー企業に勤務している方、研究機関に所属する方などさまざまな参加者が揃いました。

菌叢解析パイプラインとは、菌叢(きんそう。細菌の集団)を解析する手段のこと。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

また、シンポジウムの冒頭では、JCHM代表の山田准教授がJCHM総会の昨年度の活動報告を行った後、JCHMパートナーへの謝辞を述べ、さらに今後の抱負や今後の展開について説明を行いました。

引き続き、以下の講演を開催しました。

  • 「腸内環境研究における情報解析の技術基盤」
    東京工業大学 准教授 山田拓司

  • 「腸内脂質代謝の理解に向けた基盤技術開発の現状と今後の展望」
    理化学研究所 副チームリーダー 池田和貴

  • 「腸内細菌と免疫細胞による腸管上皮細胞の糖鎖修飾制御機構」
    千葉大学 独立准教授・東京大学 特任准教授 後藤義幸

  • 「腸内細菌叢の構成異常と疾患 -腸内細菌を標的とした創薬の可能性-」
    慶応義塾大学 准教授 金倫基

昨年度の活動報告後、講演するJCHMの山田拓司代表
昨年度の活動報告後、講演するJCHMの山田拓司代表

理化学研究所 池田和貴氏
理化学研究所 池田和貴氏

千葉大学、東京大学 後藤義幸氏
千葉大学、東京大学 後藤義幸氏

慶応義塾大学 金倫基氏
慶応義塾大学 金倫基氏

シンポジウム終了後は、講演者を囲んで懇親会が行われました。参加者同士、熱心な意見交換が行われ、活気ある雰囲気の中、閉幕しました。

リピーターの多いシンポジウムであり、今回も参加者からは大変充実した内容で有意義であったとの感想を数多くいただきました。

JCHMは今後も定期的にシンポジウムを開催し、パートナー同士の連携を深め情報共有と研究推進の場を提供していきます。

懇親会後の集合写真

懇親会後の集合写真

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に新たに発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

東工大基金

このプロジェクトは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

生命理工学院 山田研究室 JCHM事務局

Email : info@jchm.jp
Tel : 03-5734-3629

本学学生が制作したラジオCMが「JFN学生ラジオCMコンテスト2017」で優秀賞を受賞

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7月20日、全国FM放送協議会主催の「JFN学生ラジオCMコンテスト2017」の授賞式が開催され、工学部化学工学科の安智潤さん(学士課程2年)が制作したラジオCMが優秀賞を受賞しました。

2012年から毎年開催されている「JFN学生ラジオCMコンテスト」は、全国の大学生や専門学校生などを対象に、自身が所属する学校のPRを目的としたラジオCMコピーを募るコンテストです。今回は、漫画家の弘兼憲史氏、コピーライターの谷山雅計氏、クリエイティブディレクターの箭内道彦氏を特別審査員に迎えた最終選考が行われ、安さんの作品が優秀賞を受賞しました。

ラジオCMは20秒もしくは40秒で制作され、入選した作品は実際にラジオで放送されます。安さんの作品は20秒という短い時間を生かした、シンプルな言葉選びと遊び心のある構成になっています。CMはJFN38局にて2週間放送され、ラジオやパソコン・スマートフォンのアプリ「radiko」でもお聴きになれます。

  • 授賞式の様子

    授賞式の様子

  • 優秀賞を受賞した安智潤さん

    優秀賞を受賞した安智潤さん

安智潤さんのコメント

この度、優秀賞をいただき光栄です。ラジオ局の方々の助けもあり納得のいく作品にすることができました。

制作した作品はラジオで実際に放送されますので、是非CMをお聴きください。

  • 放送予定日
    2017年7月31日(月) - 8月13日(日)
  • 放送時間
    月曜 - 木曜 23:32、金曜 22:29、土曜 22:53、日曜 23:52

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

オランダのデルフト工科大学 優秀学生選抜団が東工大 3学院を訪問

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本館前での集合写真
本館前での集合写真

7月13日、本学と2009年から授業料不徴収協定を結び、派遣交換プログラムでも人気の留学先であるオランダのデルフト工科大学の優秀学生選抜団20名が本学を訪問し、岩附信行工学院長、和田雄二物質理工学院長を始めとする工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院の3学院の教員と討論会を行いました。

一行は、デルフト工科大学のトップ5%にあたる優秀学生によって構成され、科学分野に精通する知識や経験を得る目的で日本の学術機関や先端企業を訪問し、その一つとして、本学の3学院との懇談を希望しました。

当日のプログラムは、物質理工学院材料系の森川淳子教授のアレンジおよび進行により行われました。

司会進行の森川教授
司会進行の森川教授

まず、本学の岩附工学院長、和田物質理工学院長から歓迎の辞および本学の各学院についての紹介がありました。

本学および工学院の紹介をする岩附工学院長

本学および工学院の紹介をする岩附工学院長

物質理工学院の紹介をする和田物質理工学院長

物質理工学院の紹介をする和田物質理工学院長

続いて、「本学の特色あるプログラムの紹介」として、最初に工学院電気電子系の中川茂樹教授(工系国際連携室長)が本学および3学院の学生交流プログラムを紹介しました。

次いで、工学院電気電子系の波多野睦子教授(ACEEESプログラムコーディネーター)が環境エネルギー協創教育院(ACEEES)を、工学院経営工学系のパク ジュフン助教(CBEC運営会議委員)がチーム志向越境型アントレプレナー育成プログラム(CBEC)を、工学院電気電子系の梶川浩太郎教授(教育研究評議会構成員)が国際大学院プログラム(IGP)を、それぞれ紹介しました。

デルフト工科大学訪問団の自己紹介の後、テーマごとに分かれて討論会が行われました。

討論会は、各テーマ(下表)で5名程のデルフト工科大学生が1~2名の東工大教員にインタビューするグループディスカッションの形式で行われ、提示された意見に対してさらに双方が意見交換を重ねました。お互いの文化的・歴史的な価値観なども交えて非常に熱心な討論が各グループで行われ、60分の予定時間を超過するほどの盛り上がりでした。参加した教員からは、訪問学生の優秀さと熱心さに対する驚嘆の声が上がっていました。

グループ
テーマ
グループ1
学際的システム思考について
日本の工業大学および理工系企業は、専門分野において、学際的システム思考能力をどの程度重視しているか。
グループ2
社内ベンチャーについて
日本社会において、社内新規事業と比較し、社内ベンチャーは起業家としての品行を養うことができる良い機会でありうるか。
グループ3
個人としてのリーダーシップについて
日本の企業や教育機関において、自己啓発の結果として理想とするものは何か。
グループ4
ビッグ・データ分析について
工業大学からのビッグ・データ分野における技術供給は、理工系企業からの需要を満たしているか。<

討論会終了後は、図書館を見学し、解散となりました。

図書館見学にて
図書館見学にて

一行は来訪前には、WALK-MATE LAB 株式会社(東工大発ベンチャー)を、翌日からは本学地球生命研究所、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(つくば市)や駐日オランダ王国大使館(芝公園)、楽天クリムゾンハウス(二子玉川)などを訪問し、帰国の途につきました。

本館前での集合写真
本館前での集合写真

当日対応にあたった本学教員および学生一覧

  • 工学院長 岩附信行教授
  • 物質理工学院長 和田雄二教授
  • 工系国際連携室長 中川茂樹教授(工学院電気電子系)
  • ACEEESプログラムコーディネーター 波多野睦子教授(工学院電気電子系)
  • 教育研究評議会構成員 梶川浩太郎教授(工学院電気電子系)
  • ダニエル・ベラール特任准教授(工学院情報通信系)
  • CBEC運営会議委員 パク・ジュフン助教(工学院経営工学系)
  • 森川淳子教授(物質理工学院材料系)
  • 内藤誠人(環境・社会理工学院建築学系 技術支援員)
  • 新井秀和(理工学研究科 機械物理工学専攻 修士2年)

スマート創薬手法で4個のヒット化合物を発見 ―顧みられない熱帯病(NTDs)制圧に期待―

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研究成果のポイント

  • 創薬研究向けデータベース「iNTRODB」で、シャーガス病やリーシュマニア症などの原因となるトリパノソーマ科寄生原虫の創薬標的(スペルミジン合成酵素[用語1])を発見
  • スーパーコンピュータ「TSUBAME」で、スペルミジン合成酵素の機能を阻害する化合物候補約480万化合物から176化合物を選択、アッセイ試験[用語2]を行い、阻害活性を持つヒット化合物を4個見つけた
  • IT創薬と生化学実験が連携する「スマート創薬」により、従来の創薬手法の20倍以上のヒット率でヒット化合物を獲得した

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 スマート創薬研究ユニットの関嶋政和ユニットリーダー/准教授、同大学 情報理工学院 情報工学系の秋山泰教授、長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科の北潔教授を中心とする研究グループは、顧みられない熱帯病[用語3](NTDs)の創薬研究で利用する統合型データベース「iNTRODB」を用いて、シャーガス病やリーシュマニア症、アフリカ睡眠病等の原因となるトリパノソーマ科寄生原虫の創薬標的としてスペルミジン合成酵素を決定。東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME」を用いて、この酵素の機能を阻害するヒット化合物を4個発見した。

本研究開発では、IT創薬と生化学実験が連携するスマート創薬で、従来の創薬手法であるHigh Throughput Screening(HTS)に比べ、20倍以上高いヒット率でヒット化合物を見つけることに成功した。今後、今回見出したヒット化合物について、細胞中に存在するトリパノソーマ科寄生原虫に対する殺原虫活性を確認していくほか、顧みられない熱帯病を始め、他の疾病に対してもこのスマート創薬の手法の適用を進め、創薬コストの削減を目指していく。

iNTRODBにより創薬標的を発見し、スマート創薬により高いヒット率でヒット化合物の獲得に成功した本研究成果は、2017年7月27日号の国際科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

NTDs創薬研究向け統合型データベース「iNTRODB」は、第11回産学官連携功労者表彰において厚生労働大臣賞を受賞している。

研究成果

創薬には、十数年にわたる長い期間と3,000億円以上とも言われる膨大な費用が必要であり、近年はこの研究開発費が増加傾向にある。これまで新規化合物獲得のための期間と費用を削減し、有望な薬候補化合物を効率的に探索するためにさまざまな手法、アプローチが開発されてきた。

顧みられない熱帯病(NTDs)は、主に開発途上国の熱帯地域、貧困層を中心に蔓延しているウイルス、細菌、寄生虫等による感染症を中心とする疾病のことで、WHOで制圧せねばならないとしている20の疾患群で、世界で累計10億人以上が感染していると言われている。

研究グループは、秋山泰教授、北潔教授(当時東京大学)らとアステラス製薬熱帯感染症研究チームが連携して2012年に開発したNTDs創薬研究向け統合データベース「iNTRODB」を活用して、トリパノソーマ科寄生原虫の全遺伝子情報(約2万7,000 件)、蛋白質構造情報(約7,000件)、関連化合物情報(約100万件)を元に、シャーガス病、リーシュマニア症、アフリカ睡眠病等の原因であるトリパノソーマ科寄生原虫の創薬標的となる「スペルミジン合成酵素」を決定した(図1)。

iNTRODBを用いた創薬標的決定の流れ

図1. iNTRODBを用いた創薬標的決定の流れ

研究グループは、決定された創薬標的に対して、東京工業大学のスーパーコンピュータTSUBAMEを用いたドッキングシミュレーション(図2)と分子動力学シミュレーション、in vitro試験を組み合わせたスマート創薬により、スペルミジン合成酵素に対する阻害活性を持つ4個のヒット化合物を発見した。一般の創薬手法で用いられる「High Throughput Screening (HTS) [用語4]」ではヒット率が0.1%以下[参考文献]にとどまるのに比べて、本手法では2.27%と、20倍以上のヒット率を実現している。また、研究グループはドッキングシミュレーションで行ったスペルミジン合成酵素の標的(ターゲット)部位にヒット化合物が結合していることをX線結晶構造解析で確認した(図3)。

ドッキングシミュレーション

図2. ドッキングシミュレーション

X線結晶構造解析で明らかにした(左)スペルミジン合成酵素とヒット化合物の全体構造及び(右)ヒット化合物が結合する部位の拡大

図3. X線結晶構造解析で明らかにした(左)スペルミジン合成酵素とヒット化合物の全体構造及び(右)ヒット化合物が結合する部位の拡大

今後の展開

東京工業大学と長崎大学は今後、今回見つかったヒット化合物について、細胞中に存在するトリパノソーマ科寄生原虫に対する殺原虫活性を確認していくほか、他の疾病に対してもこのスマート創薬の手法の適用を進め、創薬コストの削減を目指していく。

用語説明

[用語1] スペルミジン合成酵素 : 寄生原虫の生存に必要なポリアミンであるスペルミジンを合成する酵素。

[用語2] アッセイ試験 : 生体分子や細胞などを用いて、影響を調べる試験。バイオアッセイ。今回は、スペルミジン合成酵素への化合物の阻害活性を、一定濃度、または濃度を変化させて調べた。

[用語3] 顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases:NTDs : 主に開発途上国の熱帯地域、貧困層を中心に蔓延している、ウイルスや細菌、寄生虫による感染症を中心とする疾病のことで、WHOで制圧を目指している20の疾患群を指し、世界で累計10億人以上が感染していると言われている。未だ必要な医療を受けることができず、必要な医薬品を入手できないために、人々の生命を脅かす健康問題に留まらず、経済活動の足かせ・貧困の原因になっている。

住血吸虫症、デング熱、狂犬病、トラコーマ、ブルーリ潰瘍、トレポネーマ感染症、ハンセン病、シャーガス病、睡眠病、リーシュマニア症、嚢尾虫症、ギニア虫感染症、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、リンパ系フィラリア症、オンコセルカ症、土壌伝播寄生虫症、マイセトーマ(菌種)、疥癬およびその他の外部寄生虫、毒蛇咬傷

[用語4] High Throughput Screening (HTS) : ウェルと呼ばれる小さな穴(試験管に相当する)に化合物と酵素などを入れて、ロボットにより実験を自動化することで多くの測定を迅速に行うことが可能なスクリーニング方法。

[参考文献] : Varma H, Lo DC, Stockwell BR. High-Throughput and High-Content Screening for Huntington’s Disease Therapeutics. In: Lo DC, Hughes RE, editors. Neurobiology of Huntington's Disease: Applications to Drug Discovery. Boca Raton (FL): CRC Press/Taylor & Francis; 2011. Chapter 5. Available from NCBI Bookshelfouter

論文情報

掲載誌
Scientific Reports
論文タイトル
In silico, in vitro, X-ray crystallography, and integrated strategies for discovering spermidine synthase inhibitors for Chagas disease
著者
Ryunosuke Yoshino, Nobuaki Yasuo, Yohsuke Hagiwara, Takashi Ishida, Daniel Ken Inaoka, Yasushi Amano, Yukihiro Tateishi, Kazuki Ohno, Ichiji Namatame, Tatsuya Niimi, Masaya Orita, Kiyoshi Kita, Yutaka Akiyama, and Masakazu Sekijima
DOI :

情報理工学院

情報理工学院 ―情報化社会の未来を創造する―
2016年4月に発足した情報理工学院について紹介します。

情報理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
スマート創薬研究ユニット
ユニットリーダー/准教授
関嶋政和

E-mail : sekijima@c.titech.ac.jp

Tel : 045-924-5104

長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科
研究科長/教授
北潔

E-mail : kitak@nagasaki-u.ac.jp

Tel : 095-819-7575

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

長崎大学 広報戦略本部

E-mail : kouhou@ml.nagasaki-u.ac.jp

Tel : 095-819-2007 / Fax : 095-819-2156

8月の学内イベント情報

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8月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

社会人アカデミー主催 2017年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミー主催 2017年度「理工系一般プログラム」

社会人アカデミーでは、毎年ご好評をいただいている理工系一般プログラムを本年度も開講しています。

日時
「環境科学」(コースレベル:初・中級)4月22日(土)~6月24日(土)※終了
「環境工学(1)リサイクル」(コースレベル:中級)4月21日(金)~6月16日(金)※終了
「環境工学(2)エネルギー」(コースレベル:中級)6月23日(金)~8月18日(金)
「食の安全と安心」(コースレベル:基礎)4月18日(火)~8月1日(火)
場所
参加費
「環境科学」(コースレベル:初・中級)30,856円
「環境工学(1)リサイクル」(コースレベル:中級)15,428円
「環境工学(2)エネルギー」(コースレベル:中級)15,428円
「食の安全と安心」(コースレベル:基礎)30,856円
対象
一般
申込
必要

ひらめきときめきサイエンス2017「目で見てわかる昔の日本語と今の日本語 : タイムマシンに 乗らずに行ける昔の世界」

ひらめきときめきサイエンス2017「目で見てわかる昔の日本語と今の日本語 : タイムマシンに 乗らずに行ける昔の世界」

ことばは時代につれて変化していきます。今の私たちの知っていることばの意味は今の意味で、昔のことばの意味とまったく同じではありません。昔の文章から、ことばの使い方を図に描くことで、目で見てわかる昔のことばの世界についてお話しします。

日時
8月2日(水) 10:00 - 17:15(受付9:50 - 10:00)
場所
参加費
無料
対象
中学生
申込
必要

夏のワークショップ2017「声に出してシェイクスピア-悲劇編その1『マクベス』-」(全5回)

夏のワークショップ2017「声に出してシェイクスピア-悲劇編その1『マクベス』-」(全5回)

気鋭の若手シェイクスピア研究者、小泉勇人准教授の解説を聞きつつ、俳優の下総源太朗さんとともに四大悲劇のひとつ『マクベス』の台詞を読んでみます。下総源太朗さんは、昨年の新国立劇場での『ヘンリー四世』にも出演され、シェイクスピア没後400年シンポジウム「歴史劇の現場から」にも講師として登壇いただきました。全体のコーディネートは、英国現代劇を専門とし、演劇評論家でもある谷岡健彦教授が行います。シェイクスピアの面白さは声に出してこそ実感できるものです。

日時
7月6日(木)、20日(木)、8月3日(木)、24日(木)、31日(木)(全5回)
各回とも18:00 - 20:00。1回のみの受講も可能。
場所
参加費
1回1,000円、全回通し4,000円(本学学生および教職員は無料)
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2017年前期)

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2017年前期)

本講座では前期の講義として、私たちの身の回りにある化学品を含むゴムやプラスチックとその製品の安全・安心に関する情報とやさしい科学を、 一般の方にもわかりやすく紹介します。更に後期の講義では、少し高度な内容として、最先端の安全性評価技術、劣化と寿命予測技術、耐性向上技術、高性能・高強度化技術 ・材料に関する科学を紹介し、将来の安心・安全な材料・製品設計の基礎を学べるようにします。

日時
6月3日(土)、6月17日(土)、6月24日(土)、7月15日(土)、7月22日(土)、7月29日(土)、8月5日(土)、各日13:20 - 14:50、15:05 - 16:35
場所
参加費
無料(「追加資料代」として1,000円(全14講議分)が掛かります。初回受講時に申し受けます。)
対象
一般
申込
必要

高校生・受験生のためのオープンキャンパス2017(大岡山キャンパス)

高校生・受験生のためのオープンキャンパス2017(大岡山キャンパス)

東工大での学びや学生生活について体験し、深く知ってもらうためのオープンキャンパスを開催します。

日時
8月10日(木)10:00 - 17:00
場所
参加費
無料
対象
一般
申込
一部の企画に参加するためには事前申込みが必要です。

国立科学博物館「2017夏休みサイエンススクエア」

国立科学博物館「2017夏休みサイエンススクエア」

生命理工学院山田研究室は8月11日~13日の3日間、国立科学博物館主催「2017夏休みサイエンススクエア」に出展します。山田研究室の出展テーマは「腸内細菌ってなんだ?」です。今回2回目の出展となりますが、今回も生命理工学院の学部生たちが開発した腸内細菌ボードゲームを使ってそうした目に見えない細菌達の活動や仕組みを子ども達に楽しく学んでもらいます。

日時
8月11日(金)~13日(日)10:00 - 17:00
場所
国立科学博物館
参加費
入館料として高校生以下・65歳以上無料/一般・大学生620円(団体310円 ※20名以上)
対象
一般
申込
必要

シンポジウム「現代の社会と宗教 1995~2017」リベラルアーツ研究教育院主催

シンポジウム「現代の社会と宗教 1995~2017」リベラルアーツ研究教育院主催

混迷する現代社会にあって、宗教とは何か?阪神淡路大震災、オウム真理教から、ドナルド・トランプ、皇室典範特例法まで。20数年間のニュースを振り返り、文化人類学、宗教学、政治思想史、ジャーナリズムの視点から、社会の諸問題と宗教についてディスカッションを深めます。

日時
8月16日(水) 14:00 - 17:00
場所
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

「マナビゲート2017」with Robogals Tokyo

「マナビゲート2017」with Robogals Tokyo

東京国際フォーラムにて開催される学び体験フェア「マナビゲート2017」に、東京工業大学がブース出展します。学び体験フェアマナビゲートは、子ども目線でアレンジした大学の知的財産を、子どもたちに「見て・聞いて・触れて」体験してもらう夏休みイベントです。

日時
8月19日(土)~8月20日(日) 10:00 - 17:00
場所
東京国際フォーラム 地下1階ロビーギャラリー
参加費
無料
対象
小学生・中学生
申込
不要

第23回スーパーコンピューティングコンテスト 成果発表会・表彰式

第23回スーパーコンピューティングコンテスト 成果発表会・表彰式

スーパーコンピューティングコンテスト(以下、スーパーコン)は、スパコン上で行う高校生・高専生対象のプログラミングコンテストです。予選を通過した高校生・高専生の20チームがスパコンを使い、難しい出題に対し、試行錯誤しながら4日間をかけプログラムを作成し、その性能を競います。最終日の成果発表会・表彰式では、その奮闘の様子を紹介いたします。成果発表会・表彰式にお越しいただき、若者たちの熱い戦いをご覧ください。

日時
8月25日(金)10:00 - 12:00
場所
参加費
無料
対象
一般
申込
不要

地球と遊ぼう2017 ―石の不思議を調べて地球を知ろう―

地球と遊ぼう2017 ―石の不思議を調べて地球を知ろう―

「地球とあそぼう2017」では、大きく分けて3つの実習を行います。

1.
きれいな鉱物をタガネで宝石のような形にけずって、その形や色を観察しよう
2.
南アメリカ・ボリビア産化石を砂利の中から探し出そう
3.
重液という薬品を使って重い石と軽い石に分ける実験を行おう
日時
8月26日(土) 9:45~、13:45~のいずれか(2回開催)
場所
参加費
無料
対象
小学5、6年生
申込
必要

科学教室「なぜ植物には葉っぱがあるの?」

科学教室「なぜ植物には葉っぱがあるの?」

なぜ植物は葉を持っているのでしょう?植物にとって葉の役割とは何でしょうか?

今回のイベントでは植物の葉に注目して、葉を構成している組織・細胞を顕微鏡で観察すると共に、これらの組織や細胞がどのような構造を持って、植物が生きる為にどのような働きをしているか考えてみましょう。そして、この働きを観察する方法を一緒に考え、研究してみましょう。

日時
8月27日(日) 10:00 - 12:00
場所
参加費
無料
対象
小学校高学年以上
申込
必要

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


「東工大ホームカミングデイ2017」開催報告

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今年で6回目となる「東工大ホームカミングデイ2017」が、本学と本学同窓会組織である一般社団法人蔵前工業会との共催で5月20日に開催されました。当日は、暑い一日となりましたが、約1,500名の方々が来場し、また、イベントの最後に行われた全体交流会には500名を超える参加がありました。

正門の立看板
正門の立看板

総合受付の様子
総合受付の様子

一昨年(第4回)から、ホームカミングデイの本来の目的である同窓生の親睦や交流といった内容に加え、未来の東工大生となり得る小学生や中学生を対象とした理科実験教室や、高校生向けの魔法教室などの催しを企画しています。また、公認サークルの有志による演武や実演、OB・OG戦等もあり、より多くの参加者で賑わうようになりました。土曜日に開催することも功を奏し、ホームカミングデイが卒業生に浸透してきました。ホームカミングデイ2017でもこのコンセプトを継承しています。

百年記念館1階では、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典栄誉教授のノーベル賞メダルレプリカとその研究内容の展示や、ノーベル賞授賞式の様子を伝えるビデオ放映を行い、開場前から見学希望者の列が出来ていました。同じフロアでは、昨年度から始まった東工大の教育改革と研究改革、新しい組織についての紹介パネルの展示も行われました。

ノーベル賞メダルレプリカの展示の様子
ノーベル賞メダルレプリカの展示の様子

ノーベル賞メダルレプリカの展示の様子

学科等同窓会では、くれない工業会(蔵前女性の会)、白星会、楽水会、陽久会、社工会、化工会、桜花会、核友会、金属同窓会、無機材会(旧窯業同窓会)、燕理会、優材会、東工大理化会、VALDES会(価値システム専攻同窓会)、イノベーション科学系・技術経営専門職学位課程同窓会(BMOT)、情報科学科同窓会、冬夏会(建築系同窓会)による総会、講演会、お茶会が開催されました。また、JAYSES/AYSEAS同窓会総会、サッカー部の交流試合、燕弓会総会と燕弓射会、競技スキー部OBOG会幹事会、ラグビー部OB会幹事会、サイクリング部OBOG会、自転車・サイクリング相談会が行われました。

同窓会の模様
同窓会の模様

同窓会の模様

博物館、図書館、スーパーコンピュータのTSUBAME2.5、ものつくり教育研究支援センターでは施設見学が行われ、多くの来場者で賑わいました。

また、今年の理科実験教室は、東工大デジタル創作同好会(traPトラップ)と学生団体Robogals Tokyo(ロボギャルズ トーキョー)によるレゴロボットの操縦体験を通じた簡単なプログラミングや、東工大Science Techno(サイテク)のサイエンスラボにて、化石のレプリカづくりなどが行われました。さらに、ものつくり教育研究支援センターでは、東工大OBが組織する蔵前理科教室ふしぎ不思議(くらりか)による工作・実験教室が開催され、「ギシギシプロペラをまわしてみよう」や「ペットボトル顕微鏡」などの工作実習が行われました。これらの理科実験教室では、小学生らがその動きや話を不思議そうに見聞きしながら、楽しそうに工作していました。

サイエンスラボ
サイエンスラボ

くらりか
くらりか

ロス・ガラチェロス
ロス・ガラチェロス

高大連携担当および国際フロンティア理工学教育プログラムが中心となり、高校生を対象とした魔法教室が開催されました。「光は粒子か波か、はたまた量子か」、「宇宙へ行ったメダカ:無重力で起きる骨の変化」と題した実演を含めた興味深い講演に参加者は聞き入っていました。また、VALDES会(価値システム専攻同窓会)によるパネル展示、イノベーション科学系・技術経営専門職学位課程同窓会(BMOT)による講演会、リベラルアーツ研究教育院による講演会も開催されました。

ジャグてっく
ジャグてっく

本学学生サークルのアカペラサークルあじわい、シュヴァルベンコールOB、東工大ロス・ガラチェロスによるコンサートが行われたほか、ジャグてっくによるストリートパフォーマンス、東工大マジックサークルによるマジシャンズチョイス12.5、心身統一合氣道部による演武会などの実演企画も多数行われました。

三島良直学長主催の昼食会は、東工大蔵前会館ロイアルブルーホールにて行われました。学科等同窓会代表、蔵前工業会役員、公認サークルOB会代表を招いて、学長から参加者に対して感謝の意を伝え、短い時間ではありましたが、実りのある意見交換が行われました。

昼食会の模様
昼食会の模様

昼食会の模様

各イベント終了後には、同窓生らが一同に東工大蔵前会館に集まり、全体交流会が開催されました。昨年から国際色豊かに、司会を留学生にお願いしています。今年は、タイからの女子留学生ニチャさん(ニックネーム)が司会を務め、華のある進行となりました。今回は、三島学長と蔵前工業会の石田義雄理事長の挨拶、および伊賀前学長の乾杯の発声の音声と映像を、メイン会場のくらまえホールからロイアルブルーホールへつなぎ、2会場同時開催を試みました。約2時間の充実した交流会が瞬く間に過ぎ、岡田清理事・副学長(企画・人事・広報担当)の挨拶で盛況のうちに閉会となりました。

三島学長の挨拶
三島学長の挨拶

伊賀前学長の挨拶
伊賀前学長の挨拶

司会のニチャさん
司会のニチャさん

全体交流会の模様
全体交流会の模様

来年は2018年5月26日(土)に開催を予定しています。皆さまのご来場をお待ちしています。

お問い合わせ先

東工大ホームカミングデイ事務局

E-mail : hcd@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2414

サイエンスカフェ「腸内細菌ってなんだ?」―2017年7月 開催報告

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7月1日、東京工業大学博物館は生命理工学院 山田拓司研究室との共催で、サイエンスカフェ「腸内細菌ってなんだ?」—2017年7月を開催しました。

会場の様子

会場の様子

サイエンスカフェとは、科学技術の分野で従来から行われている講演会やシンポジウムとは異なり、科学の専門家と一般の人々が、比較的小規模な場所で科学について気軽に語り合う場をつくろうという試みです。一般市民と研究者を繁ぎ、科学の社会的な理解を深める新しいコミュニケーションの手法として、世界で注目されている活動です。

ヒトの腸内には、1,000種100兆個体の細菌が共生していると言われています。近年、腸内細菌の解析技術が飛躍的に向上し、これらの細菌を網羅的に調査する事が可能になり、様々な発見が相次いでいます。そうした目に見えない細菌達の活動や仕組みを子どもたちに分かりやすく学んでもらおうと、サイエンスカフェは生命理工学院の学生たちが開発した腸内細菌ボードゲーム「バクテロイゴ」を使っておこなわれました。

参加者の様子

参加者の様子

今回は大岡山キャンパス緑が丘ホールにて、小学生から一般の方々まで約40名が参加しました。最初に学生が腸内細菌の仕組みについてオリジナルの歌と共に説明をした後、実際にボードゲームで腸内細菌の仕組みを遊びながら学んでもらいました。子どもたちはアシスタントの学生のアドバイスをもとに遊び方をマスターし、すぐに夢中で対戦をしていました。土曜日の開催だったため、家族同伴で来場される方も多く会場は一段とにぎやかでした。

ボードゲーム「バクテロイゴ」で対戦する参加者

ボードゲーム「バクテロイゴ」で対戦する参加者

  • 山田准教授と対戦する参加者

    山田准教授と対戦する参加者

  • 山田准教授と優勝した参加者で記念撮影

    山田准教授と優勝した参加者で記念撮影

「自分がクラスのゲーム係なので参考になった」「おもしろかった」「もっと細菌の説明が聞きたかった」等、参加者やその保護者からは貴重なご意見をいただきました。

サイエンスカフェは4年目を迎え、たくさんの申込をいただいたなか、今回抽選で落選し参加できなかった方が多くいましたが、「腸内細菌ってなんだ?」は今後も定期的に開催し、地域の方々に身近にサイエンスを楽しんでいただく機会を提供し続けたいと思います。

山田准教授(後列左から4人目)と東工大生

山田准教授(後列左から4人目)と東工大生

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

東工大基金

このイベントは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

生命理工学院 山田研究室 JCHM事務局

Email : info@jchm.jp
Tel : 03-5734-3629

3種の金属を1ナノメートルの粒子に合金化 ―炭化水素の酸化反応は市販触媒の24倍―

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要点

  • 粒径1ナノメートル(nm)程度の極微小なナノ粒子に3種類の金属を精密に合金化する手法を開発
  • 銅と貴金属群の合金界面が炭化水素の酸化反応で高い触媒活性を示すことを発見

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の山元公寿教授と山梨大学大学院医工農学総合研究部の高橋正樹助教らの研究グループは、銅と白金、金の3種類の金属を精密に制御した合金ナノ粒子の開発に成功した。

また、この粒子が空気中の酸素を利用した炭化水素での酸化反応[用語1]において市販の白金担持カーボン触媒の24倍もの触媒活性を示すことを発見した。この触媒反応では、合金ナノ粒子表面の銅と他の貴金属の界面の存在により、飛躍的に触媒活性が向上することがわかった。

本研究で得られた知見は、新たな高機能触媒の設計指針となる可能性があり、触媒反応を用いた不活性な炭化水素から付加価値の高い物質への変換技術の発展に貢献することが期待される。

この研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業「ERATO山元アトムハイブリッドプロジェクト(山元公寿研究総括)」で実施した。

本成果は、2017年7月26日付(米国東海岸時間)の米国オンライン科学雑誌「Science Advances」に掲載された。

研究の背景

極性官能基を持たない炭化水素化合物の酸化反応には、有害な有機溶媒中で金属の過酸化物を多く使用する手法が用いられてきた。近年、このような溶媒を使用せず、空気中の酸素を用いたクリーンな触媒的酸化反応の研究が盛んに行われている。

なかでも、貴金属のナノ粒子が多孔質のカーボン材料や金属酸化物へ固定された担持触媒の研究は広く行われており、有望な触媒系として期待されている。このような不均一系触媒の反応性を決める上で重要な要素は、金属ナノ粒子の形状やサイズ(粒子径)、金属組成であり、新たな高機能触媒の開発に向けた制御手法が求められている。特に粒子径が2 nm以下の粒子では、触媒の粒子径を小さくしていくと、比表面積が大きくなるだけでなく金属表面の電子状態も大きく変化し、それに伴って反応性が大きく変わることが分かっている。しかし、これまで2 nm以下の金属ナノ粒子の粒子径、組成の両方を制御できる合成法はなかった。今回の研究は、これまで触媒機能が明らかにされてこなかった粒子径が1 nmの合金触媒の合成とその反応性の解明を目的として行い、空気中の酸素を用いた炭化水素の酸化反応の触媒活性を明らかにするとともに、銅と他の貴金属の界面での特異的な触媒活性の向上効果を発見した。

研究成果

山元教授らは、樹状型の規則構造を持つ高分子であるデンドリマーを利用して、複数の金属からなる、1 nm程度の微小な合金ナノ粒子の合成法を開発した。このデンドリマーを用いたナノ粒子合成法[用語2]では、様々な金属の組み合わせで、一般的なナノ粒子の水熱合成などと比較してより粒径の小さく、個々の粒子の合金組成が均一な合金ナノ粒子を合成できる(図)。今回、空気中の酸素分子を酸化剤として用いた際の、常圧下での炭化水素の酸化反応における触媒活性を評価した。その結果、銅原子と他の貴金属からなる合金ナノ粒子が、有機化合物の酸化反応に用いられる市販の白金担持カーボン触媒と比較すると24倍もの活性を有することを見いだした。

また、この触媒は、少量(触媒量)の有機ヒドロペルオキシドを加えることで、常温常圧下で炭化水素のアルデヒドやケトンへの酸化反応を進行させることが分かった。さらに、異なる金属組成による活性の変化や、生成物と中間体であるケトンと有機ヒドロペルオキシドの組成比等を調べることで、金属ナノ粒子の合金化による触媒反応の促進過程を観察することができた。

デンドリマーを用いたナノ粒子合成法

デンドリマーを用いたナノ粒子合成法

今後の展望

本研究で開発した合金ナノ粒子の合成法は、これまで困難であった1 nm前後の合金ナノ粒子の金属組成を適切に制御して合成することができる。

また、この手法はデンドリマー分子に配位させることができる他の金属種へと応用可能で一般性が高い。そのため、今まで触媒機能が不明であった微小なサイズの合金ナノ粒子の反応性を解明する手法としても有用である。銅と他の貴金属界面での触媒活性の向上効果についても炭化水素の酸化反応だけでなく、様々な有機化合物の酸化的変換反応における触媒活性を検討してみる必要があり、より多彩な反応への応用が期待される。

用語説明

[用語1] 炭化水素での酸化反応 : 通常、極性官能基や不飽和結合を持たない炭化水素は非常に安定なC-H結合を有しているため、反応させることは困難である。しかし、反応しやすい構造への分子変換反応を経由しないため、シンプルなプロセスで有用な化合物を合成できる利点があり、有機合成や固体触媒の研究分野で盛んに研究されている。

[用語2] デンドリマーを用いたナノ粒子合成法 : デンドリマーはコア(core)と呼ばれる中心分子と、デンドロン(dendron)と呼ばれる側鎖部分から構成される特殊な樹木型の幾何構造を有する高分子である。一般に高分子はある程度の分子量分布を持つが、高世代のデンドリマーは、分子量数万に達するもののほとんど単一分子量であるという際立った特徴を持つ。金属粒子を得るために金属イオンと複合体を形成できる、ポリアミドアミン構造を持つPAMAMデンドリマーなどは、試薬会社から市販もされているが、本研究は、さらに精密に金属数を規定して複合体形成が可能な、独自設計されたフェニルアゾメチンデンドリマーを用いている。この原子数が明確なデンドリマー-白金イオン複合体を化学的に還元処理すると、原子数が明確な白金粒子が得られている。今回、この配位サイトを持ったデンドリマーを鋳型として、3種類の金属(白金、金、銅)を精密に混合したナノ粒子触媒を合成した。

論文情報

掲載誌 :
Science Advances
論文タイトル :
Finely controlled multimetallic nanocluster catalysts for solvent-free aerobic oxidation of hydrocarbons
著者 :
Masaki Takahashi, Hiromu Koizumi, Wang-Jae Chun, Makoto Kori, Takane Imaoka, Kimihisa Yamamoto
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

山元公寿 教授

E-mail : yamamoto@res.titech.ac.jp
Tel : 045-925-5260

JST事業に関するお問い合わせ先

科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部

古川雅士

E-mail : eratowww@jst.go.jp
Tel : 03-3512-3528

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

科学技術振興機構 広報課

E-mail : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404 / Fax : 03-5214-8432

東京工業大学・秋田大学・秋田県医師会の三者間連携協定キックオフフォーラムを開催

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会場の様子
会場の様子

7月25日、東京工業大学、秋田大学、秋田県医師会の三者は、3月29日に締結した連携に関する協定のキックフォーラムを秋田大学で開催しました。 連携協定はそれぞれの持つ教育・研究・医療に関する技術や経験を生かし、医理工分野における連携を強化することで、我が国が直面する超高齢化社会への対応と国民の長寿・健康に資する取り組みを推進するために締結されたものです。

  • 東京工業大学の三島良直学長
    東京工業大学の三島良直学長
  • 秋田大学の山本文雄学長
    秋田大学の山本文雄学長

「長寿・健康研究教育拠点形成を目指して」と題して開かれた本フォーラムでは、始めに各機関代表および来賓から挨拶がありました。まず、東京工業大学の三島良直学長から「理工系の技術を網羅し、最先端の研究を行っている東京工業大学の強みを活かし、地域課題に取り組む二者と緊密に連携することで社会への波及を目指したい」との意気込みが語られました。秋田大学の山本文雄学長は、「今後、連携の具体的な動きを多方面で進めていく予定としており、今回のフォーラムを契機として、自治体・企業等の方々とも協力していきたい」と話しました。続いて、秋田県医師会の小玉弘之会長は、「高齢化の先進県である秋田県の現状を逆手に取り、全国的な先行例となるような秋田モデルの構築を図りたい」と述べました。来賓挨拶では、秋田県の堀井啓一副知事から「健康寿命日本一を目指す秋田県において、本協定は大きな意味を持つ取り組みと考えており、県としても全面的に協力・応援していきたい」とのお話がありました。

  • 秋田県医師会の小玉弘之会長
    秋田県医師会の小玉弘之会長
  • 来賓の堀井啓一秋田県副知事
    来賓の堀井啓一秋田県副知事

続いて、東京工業大学および秋田大学の教員から「先端共同研究による医用工学のイノベーション」「非接触型振動センサーによる心拍・呼吸遠隔管理システム」「微生物を活用した健康・長寿食品の研究開発について」など、実際の連携プロジェクトに関する説明が行われました。参加した自治体・企業関係者らは、新たな健康・医療・福祉関連技術の開発・実証・実用化に向けた情報に関心を寄せていました。

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細野秀雄教授の研究が、高校の化学の教科書に掲載

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科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の細野秀雄教授・元素戦略研究センター長の研究成果が、東京書籍株式会社が出版する高校の化学の教科書2冊に掲載されました。

細野教授はこれまで、液晶ディスプレイや有機ELテレビに使用されているIGZO半導体の創出を始め、常識を覆す鉄系超伝導物質の発見や、電子化物を用いた低温・低圧でのアンモニア合成方法などの研究を行ってきました。

教科書では、これらの研究の原点でもある、ありふれた元素から構成されるセメントの構成物質12CaO・7Al2O3(C12A7)のユニークな結晶構造と、開発された電子伝導性、触媒機能などを紹介し、物質には秘められた大きな可能性をあることを解説しています。これらの教科書は、来年の4月から全国の高校で使用される予定です。

細野秀雄教授のコメント

細野秀雄教授

今回1ページのコラム欄に個人的に最も愛着のあるC12A7を舞台とした機能開拓の話が載ることになり、大変に感激しています。この研究は元素戦略の象徴とも見做されているものです。鉄系超伝導体は既に大学学部用の世界標準的な教科書に載っておりますが、まさか高校の教科書でこの研究を取り上げて頂けるとは想像外でした。

今年になってIGZO-TFTで駆動する大型有機ELテレビが一気に上市され、いろいろなところで見られるようになりつつあります。新しい学術分野の創出とその社会実装を目指してもうひと頑張りしたいと思います。

4月から使用される予定の2冊の教科書

4月から使用される予定の2冊の教科書

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物質理工学院 ―理学系と工学系、2つの分野を包括―
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東京工業大学が、スパコンと化学合成技術を融合した世界初となる中分子IT創薬研究拠点を、キング スカイフロントに設立

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東京工業大学が、スパコンと化学合成技術を融合した世界初となる中分子IT創薬研究拠点を、キング スカイフロントに設立
―東京工業大学・川崎市の提案事業が、文部科学省「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に採択―

要点

  • 国立大学法人東京工業大学(以下、東工大)と川崎市が共同提案した事業プログラム「IT創薬[用語1]技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子[用語2]創薬フローの事業化」が、文部科学省「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に採択されました(全国で10件採択。補助額は年1億5,500万円)。
  • 本プログラムでは、スパコンや機械学習を駆使したIT創薬技術と、人工ペプチド・人工核酸などの独自の化学合成技術を融合して、中分子創薬の開発効率の大幅な改善を目指します。
  • 東工大の学内に異分野の教員が集結する研究体制を構築するほか、川崎市の殿町国際戦略拠点「キング スカイフロント」(以下、キングスカイフロント[用語3])内に整備予定の東工大拠点について、さらに中分子に関する研究機能を強化した「中分子IT創薬研究拠点(MIDL)[用語4]」として今年度内に設立予定です。中分子創薬分野にIT創薬の手法を導入する試みは独自性が高く、専門施設としては世界初となる見込みです。

東工大 中分子IT創薬研究拠点(MIDL)の入居施設

東工大 中分子IT創薬研究拠点(MIDL)の入居施設

概要

東工大と川崎市は共同で、中分子IT創薬に関する事業化プロジェクトを含む、イノベーション・エコシステム形成に向けた研究開発プログラムを実施する。「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」と題する事業プログラムは、このたび文部科学省による「平成29年度地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」支援対象に選定された(2017年7月31日(月)文部科学省プレスリリース)。支援期間は、2022年3月までの5年間の予定。

研究の内容

東工大の情報理工学および生命理工学の学問的蓄積とスパコン技術を活かして、IT創薬技術、人工ペプチド・人工核酸合成技術等のコア技術の融合による革新的な中分子創薬事業フローを構築する。

研究の体制

同プログラムは、東工大のキャンパス内で実施されるだけでなく、川崎市の殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」内に、中分子IT創薬研究拠点(MIDL)を設立し、川崎市内企業等[用語5]が参加する大型の産学官連携事業として展開する。設立予定場所は、大和ハウス工業株式会社が開発・設計・施工する殿町3丁目A地区内のIIA棟1階。

研究の拠点

東工大では、かねてよりキングスカイフロントへの研究拠点の新設を計画しており、当事業の支援採択を受けて、さらに研究機能を強化した中分子IT創薬研究拠点(MIDL)として施設を設置する。中分子創薬分野にIT創薬の手法を導入する試みは独自性が高く、専門施設としては世界初となる見込み。

川崎市内の企業等との産学官連携により、基礎・基盤研究と創薬事業を橋渡しするイノベーション・エコシステムを形成することで、中分子創薬の開発効率の大幅な向上を目指す。

用語説明

[用語1] IT創薬 : 創薬の過程において、薬剤標的分子の決定支援から、実際の候補化合物の選択、体内安定性、膜透過性、毒性などに至るさまざまな側面で、情報技術(IT)を駆使した手法のこと。知識処理、機械学習、分子シミュレーションなどを主に用いる。

[用語2] 中分子 : ペプチドや核酸など、分子量が500~30,000程度の分子を指す。従来の創薬の主流は、分子量が500以下となる低分子を合成することであり、いわば「低分子創薬」だった。これに対して近年、抗体などの高分子を使った創薬(たとえば、がんに対するオプジーボなど)が新たに登場したが、人工的な合成ができず高度に管理された条件下で動物細胞を使って作成されるために、きわめて高額であるなどの欠点があった。中分子は化学合成が可能でありながら、高分子に似た様々な利点を有しており、創薬の新たな中心になると期待されている。

[用語3] キングスカイフロント : 川崎市川崎区殿町に位置する国際戦略拠点「キングスカイフロント」は、世界的な成長が見込まれる健康・医療・福祉・環境分野において、最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーション拠点。現在50社を超える企業・研究機関が集積し、運営を開始している。

[用語4] 中分子IT創薬研究拠点(MIDL:Middle Molecule IT-based Drug Discovery Laboratory) : 新たな創薬技術として注目される中分子創薬に、スパコンを用いた分子シミュレーションや機械学習などの最新の情報技術を活用する東工大の研究拠点。中分子創薬の分野にIT創薬の手法を導入する研究グループとしては世界初。

[用語5] 川崎市内企業等 : 川崎市域のIT系・化学系・創薬系の企業との連携を強めていく。本事業における現時点での協力企業等は以下のとおり。(公財)川崎市産業振興財団、川崎信用金庫、株式会社横浜銀行、株式会社浜銀総合研究所、株式会社みらい創造機構、株式会社ファストトラックイニシアティブ、MVP株式会社、ペプチドリーム株式会社、株式会社レベルファイブ、株式会社情報数理バイオ、株式会社カタリスト、モジュラス株式会社

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情報理工学院 ―情報化社会の未来を創造する―
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本事業プログラムの内容、中分子IT創薬研究拠点に関すること

東京工業大学 情報理工学院 情報工学系
教授 秋山泰

E-mail : staff@bi.c.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3645 / Fax : 03-5734-3646

キングスカイフロントに関すること

川崎市 臨海部国際戦略本部 国際戦略推進部 東

E-mail : 59kokuse@city.kawasaki.jp

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取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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世界最高水準の科学・技術×アスリートの育成」東工大と日体大が連携協定を締結

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東京工業大学(以下、東工大)と日本体育大学(以下、日体大)は、7月21日、日体大世田谷キャンパスにおいて、連携協定の締結式を行いました。

今回の連携協定は、世界最高の理工系総合大学の実現を目指している東工大と世界トップレベルのアスリートを有する日体大の強みを生かし、互いの教育資源、人的資源の活用を図るのが大きな狙いです。東京2020年オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて「世界最高水準の科学技術×アスリートの育成」のコラボレーションによる“強い日本をつくる”ことの実現に向けて連携が期待されています。

東工大からは、三島良直学長、安藤真理事・副学長(研究担当)、梶原将生命理工学院教授、中島求工学院教授が、日体大からは、具志堅幸司学長、今村裕常務理事、松井幸嗣副学長(企画・管理・運営担当)、山本博アスレティックデパートメント長が出席しました。

具志堅学長からは「今回の連携協定は、東工大と日体大双方にメリットのある協定で、お互いの強みをさらに推し進めるものでなくてはなりません。共通の目標は“強い日本をつくる”ということです。日体大のアスリートがさらに躍進するために、東工大が培ってきた世界最高峰の科学・技術を融合することで、これまで成し遂げられなかった競技力の向上、研究の推進、新しい視点に立ったアスリートのサポートができるのではないかと期待と夢が広がっています。」との挨拶がありました。

続いて、三島学長は「日体大と連携協定を結び、スポーツ科学の分野に東工大がどういった貢献ができるか挑戦できるのは大変ありがたいことです。東工大は、これまでもスポーツ科学の分野で運動生理学やバイオメカニズムの研究を推進しており、精一杯取り組んでいきます。」と決意を述べました。

また、山本アスレティックデパートメント長からは、「このミッションを成功させるために3つの柱、(1)用具・装具の開発を通じて記録の向上を生み出すこと。(2)ウェアラブルな生理学的指標測定器を開発し、今までにない戦術・コンディション管理を生み出すこと。(3)AI(人工知能)を用いたアスリートのビックデータの分析により最高のパフォーマンスを発揮できるコンディション管理方法を見い出すこと、があります。東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張るアスリートのすべてを支援し、世界でスポーツを愛するすべての人たちの夢の実現に向けて進んでいきます。」と協定の趣旨について説明がありました。

今後、東工大と日体大は、“強い日本をつくる”ことの実現に向けて連携していきます。

  • 三島学長

    三島学長

  • 日本体育大学 具志堅学長

    日本体育大学 具志堅学長

  • 日本体育大学 山本アスレティックデバートメント長

    日本体育大学 山本アスレティックデバートメント長

  • 協定書に署名した三島学長(左)と日体大の具志堅学長(右)

    協定書に署名した三島学長(左)と日体大の具志堅学長(右)

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学勢調査2016の提言書、学長へ

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昨年秋に実施された学勢調査2016の調査結果と、それに基づく提言書が、学長に届けられました。

学勢調査とは、本学の全学生を対象として2年に1回行われるアンケート調査で、今回は6回目の調査です。「生活基盤」「学習状況」「キャンパスライフ」などについての現状を把握し、意見を分析して、大学への提言を行うことを目的としています。学勢調査2016は、有志の学生スタッフが、学生支援センター自律支援部門の教職員の支援を受けつつ昨年の春から設問の検討を始め、2016年10月18日から11月17日の間、Web上で実施されました。今回のアンケートに回答してくれた学生は、1794名でした。その後、11名の学生スタッフによってデータの集計と解析、キャンパスミーティング(関係部署でのヒアリング)が行われ、スタッフ間での熱心な討論を経て、提言書としてまとめられました。

学生スタッフ代表から三島学長へ提言書奉呈

学生スタッフ代表から三島学長へ提言書奉呈

6月28日、学生スタッフを代表した6名が学長室を訪れ、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)に提言書を手渡しました。学生代表による今回の調査の概要と重要な提言の説明につづき、学生スタッフが担当した提言の説明を行いました。三島学長から、「ご意見いただいた教育改革の問題点などを早期に解消し、東工大をよりよい大学へと進化させていきます。」という、心強い言葉を頂きました。

本提言書は、教育研究に係る重要事項を審議する教育研究評議会の構成員、各学院、系、コースやキャンパスミーティングを行った部署にメールにてお知らせするとともに、図書館やWeb上で公開されていますので、皆様もぜひご覧下さい。

三島学長、丸山理事・副学長と学生スタッフで記念撮影

三島学長、丸山理事・副学長と学生スタッフで記念撮影

お問い合わせ先

学生支援センター自律支援部門

E-mail : siengp@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7629(内線:7629)

懲戒処分の公表について

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このたび、本学職員に対して以下のとおり懲戒処分を行いましたので公表します。

1.
被処分者 工学院 准教授 山本貴富喜(やまもと たかとき)
2.
処分年月日 平成29年8月7日
3.
処分の内容 停職4月
4.

事案の概要
被処分者は、教育研究資金の不正使用に該当する行為を行ったものであり、国立大学法人東京工業大学職員就業規則第43条第1項第3号、第6号、第8号、同条第2項第3号の規定に基づき、停職4月の懲戒処分としたものです。
不正使用の詳細につきましては、平成28年12月28日付で下記に公表しましたとおりです。

教育研究資金の不正な使用に係る調査結果について

学長コメント

本学では、平成27年3月に「教育研究資金不正防止計画」を策定し、不正を起こさせない風土を実現するため、各種取組を進めてまいりました。

このような中、准教授による教育研究資金の不正使用が行われていたことについて、国民の皆様、関係機関に対し深くお詫び申し上げます。

本事案は、本学の研究者・研究活動に対する信頼を著しく損ねる行為であり、慚愧に堪えないものであります。 准教授に対しては厳正なる処分を行い、不正に使用された教育研究資金については全額(約155万円)を返還させました。

今後、このような不正な使用が行われないよう再発防止に努めてまいります。

国立大学法人 東京工業大学
学長 三島良直

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Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661
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タイ副首相が東工大を訪問

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プラジン副首相(左)と三島学長

プラジン副首相(左)と三島学長

4月28日、タイ王国のプラジン・チャントーン副首相を団長とした、バンサーン・ブンナーク駐日タイ王国特命全権大使、同国政府関係者の総勢13名からなる視察団が本学を公式訪問しました。懇談には、三島良直学長、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)、関口秀俊副学長(国際連携担当)、工学院の花村克悟教授、杉野暢彦准教授らが出席しました。

今回のタイ王国視察団の本学訪問の目的は、東工大のタイ王国における教育・研究活動について意見交換を行い、今後の連携強化を目指すものです。

東工大とタイ王国は30年以上にわたり深い連携関係を築いています。1980年代の日本学術振興会(JSPS)の拠点大学方式学術交流による共同研究にはじまり、1985年にはチュラロンコン大学と学術交流協定を締結しました。2002年には、タイ大学への遠隔講義配信を開始するとともに、バンコク郊外に本学初の海外拠点であるタイオフィスを設置しました。

続く2007年には、タイ国立科学技術開発庁(NSTDA:National Science and Technology Development Agency)およびタイの大学グループとともに、連携大学院「TAIST-Tokyo Tech(以下、TAIST※1)」を設立しました。TAISTでは、自動車工学・組込情報システム・環境工学の3つのプログラムを開講しています。同大学の創立10周年を迎える今年、NSTDAからの要請に基づき、既存プログラムの副専門的なコースとして、鉄道技術を学ぶカリキュラムを設置しました。

プラジン副首相は、タイ王国は情報技術など科学技術を重視した新たな経済モデルへの移行を目指しており、今後も東工大との連携を推進したいと話しました。また、同国の高速鉄道網整備計画に言及し、鉄道関連技術や情報通信技術(ICT)の教育においても、東工大の協力を望んでいると述べました。これに対し、丸山理事・副学長は、これまでの東工大とタイ王国との連携はNSTDAやタイの大学との教育を中心としたものであったが、今後は現地企業との産学連携を拡げながら、研究分野でも協力を強化したいと応えました。

その後、視察団は、学術国際情報センター(GSIC)の松岡聡教授の案内のもと、スーパ―コンピューター「TSUBAME」のマシンルームを見学しました。「TSUBAME2.0/2.5」は2010年11月に我が国最速のスパコンとして稼働して以来、国内外で幅広く使われており、タイの研究者にも利用されています。本年8月には、人工知能(AI)やビッグデータ分野での需要増大に対応した「TSUBAME3.0」が本格稼働する予定です※2

日タイ修好130周年にあたる今年、タイ王国視察団を本学に迎え、TAISTなどの取組みや最新の研究について紹介する機会を得たことは、本学にとって、たいへん光栄なことでした。

※1
TAIST(タイスト):Thailand Advanced Institute of Science and Technologyの頭文字。タイ政府からの要望により、理工系分野での高度な「ものつくり人材」の育成と研究開発のハブを目指して設立。タイにおいて、急速な工業化から派生する諸問題の解決や持続可能な発展に資する研究開発、人材育成を目的としています。
※2
「TSUBAME3.0 」は2017年8月1日より稼働を開始しております。
バンサーン駐日タイ王国特命全権大使(前列左から3人目)、プラジン副首相(前列左から4人目)(後列右から)杉野准教授、花村教授、関口副学長、丸山理事・副学長

バンサーン駐日タイ王国特命全権大使(前列左から3人目)、プラジン副首相(前列左から4人目)
(後列右から)杉野准教授、花村教授、関口副学長、丸山理事・副学長

  • 懇談中のプラジン副首相

    懇談中のプラジン副首相

  • マシンルームを見学する一行

    マシンルームを見学する一行

次期学長候補者について

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学長選考会議は、国立大学法人東京工業大学学長候補者の選考及び学長解任の申出に関する規則(平成16年9月3日学長選考会議決定)第8条の規定に基づき、次期学長候補者選考の公示を行い、7月3日から7月21日までの間、学長候補者の推薦を受け付けました。その結果、2名の学長候補者の推薦がありました。

これを踏まえて学長選考会議において審議を行った結果、同規則第3条に定める「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、国立大学法人東京工業大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者」、同規則第6条の2により公表した「国立大学法人東京工業大学に求められる学長像について」に該当すると認められましたので、下記2名を学長候補者とすることとしました。

学長候補者について

学長候補者の氏名等の公開資料は以下のとおりです(受理順)。

氏名
所属・職名等
東京工業大学 環境・社会理工学院教授、同学院長、大学院理工学研究科工学系長、工学部長
東京工業大学 科学技術創成研究院教授、同研究院長

所信・略歴等は候補者の氏名をクリックしてご覧ください。

参考

お問い合わせ先

総務部 総務課 総務秘書グループ

Email : som.sohi@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2032、03-5734-2036

免疫細胞を活性化する情報伝達分子の働きを解明

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免疫細胞を活性化する情報伝達分子の働きを解明
―生きた細胞中の1分子の動きと相互作用を見る新手法を開発―

要点

  • 免疫T細胞を活性化するタンパク質分子の動きを解明
  • 生きた細胞中で分子1個の動きを観察し計測できる画像解析方法を開発
  • ノーベル賞で注目集める分子イメージング分野での利用を期待

概要

東京工業大学 生命理工学院の伊藤由馬特任助教、十川久美子准教授、徳永万喜洋教授の研究チームは、新しい分子動態解析方法を開発。免疫T細胞の活性化を開始させる分子メカニズムを定量的に明らかにしました。

免疫システムの司令塔として働くリンパ球T細胞が休止状態から働くようになる際には、細胞表面で抗原を受容したという情報を伝える分子が集まることにより細胞活性化が始まることが知られています。

このような生命の働きが、分子のどのような動きや変化、分子間相互作用によって実現されているのかは、いまだに謎が多い。これらを明らかにする生命動態の分野が、ライフサイエンスにおける世界的な大きな潮流となっています。ここでは、光学顕微鏡で分子1個1個を直接観る1分子イメージング法が、重要な方法となっています。これまで、1分子イメージング法で、分子の動きの時間的な変化や、分子間相互作用を定量的に計測する良い手法がありませんでした。

今回、研究チームは、分子1個1個の軌跡を追跡し、分子の動きばかりでなく、他の分子との相互作用も、時間的・空間的な変化を解析できる新しい方法を考案し、定量計測を実現しました。

この方法を使って、免疫T細胞の情報伝達分子が2段階で活性化されること、分子集合体の周囲で活性化が調整されていることを明らかにしました。

今回考案された方法は、基本的な手法として、今後広く用いられ、多くの生命機能の分子メカニズム解明に大きな成果をもたらすことが期待されます。

本研究成果は、英国のオンライン科学雑誌『Scientific Reports』(8月1日付け:日本時間8月1日)に掲載されました。

研究の背景と経緯

近年、生きている細胞内での分子を直接観察する分子イメージング技術の進歩により、生命の仕組みを分子のダイナミックな動きや分子間の相互作用として明らかにする、分子動態[用語1]の分野がライフサイエンスにおける世界的な大きな潮流となっています。2008年のノーベル化学賞「緑色蛍光タンパク質 GFPの発見と開発(下村脩博士他)」、2014年のノーベル化学賞「超解像顕微鏡の開発」の受賞に端的に示されています。

さらにこの分野は、ゲノム解析以降の種々の配列情報研究の長足の進歩を相補するものとして、一層重要性を増しています。データ科学やシステムズバイオロジー[用語2]の進歩により、分子の動きや相互作用を定量的に計測し、数値情報として解明することが求められています。

免疫細胞は、体を外敵から防御する免疫系として中心的な役割を担っています。病原菌・ウィルスや花粉などの異物が体内に侵入したことを察知すると、樹状細胞などの抗原提示細胞がそれらを取込み、抗原として細胞表面に提示します。リンパ球の一種であるT細胞は、提示された抗原を認識すると、一連の細胞内シグナル伝達系が働くことで細胞が活性化し、免疫系を活性化する司令塔としての役割を果たします。

研究チームは以前に、蛍光[用語3]を使って分子1個1個を光学顕微鏡で直接観察できる1分子イメージング顕微鏡の方法として、対物レンズ型全反射照明(TIRF)法[用語4]薄層斜光照明(HILO照明)法[用語5]を開発しています。

また、これらの顕微鏡法を使って、抗原を認識するT細胞受容体が核となって種々のシグナル伝達分子が数十~数百分子集合して「マイクロクラスター[用語6]」と呼ばれる集合体を形成することが、T細胞活性化の開始点であることを明らかにしています。T細胞活性化の仕組みの解明は、免疫制御に関するバイオ医薬品などの新しい展開に伴い、臨床応用においても一層の重要性を増しています。

研究の内容と成果

T細胞が、提示された抗原を認識するのは、T細胞膜表面のT細胞受容体(TCR)分子とCD3分子とからなるT細胞受容体複合体(TCR/CD3)が抗体と結合することから始まります。抗体とTCR/CD3複合体とが結合すると、CD3がリン酸化[用語7]されて活性化された状態になります。この活性化反応は、細胞膜にあるリン酸化酵素[用語7]であるCD45分子により制御されています。CD45は、活性化するばかりでなく、活性化を抑制する働きも持っており、精巧な免疫システムに重要な役割を果たしています。研究グループは、T細胞活性化の開始の仕組みを明らかにするために、CD3とCD45に注目しました。

研究グループが独自に開発した1分子イメージング顕微鏡を用いて、CD3分子、CD45分子、マイクロクラスターを生きた細胞の中で同時に1個1個鮮明に観察しました(図1、2)。平面上の人工の細胞膜[用語8]の上で細胞を活性化しているので、細胞内での本来の動きが観察されます。

T細胞活性化のシグナル伝達分子動態を可視化するための観察方法

図1. T細胞活性化のシグナル伝達分子動態を可視化するための観察方法

本研究では、抗原提示細胞の代替として人工の細胞膜(脂質二重膜)を用いた。脂質二重膜に結合させた細胞刺激用の抗CD3ε抗体(CD3εはCD3を構成するサブユニットの一つ)により、T細胞の細胞膜にあるT細胞受容体複合体(TCR/CD3)が数十~数百分子集まりマイクロクラスターを形成し、T細胞を活性化させる。この活性化反応は、膜タンパク質であるリン酸化酵素CD45分子により制御されている。脂質二重膜を用いることにより、シグナル伝達活性化における分子の動きを、細胞本来のまま観察できる。マイクロクラスターは、緑色蛍光タンパク質GFPをつなげたCD3ζ(CD3ζはCD3を構成する別のサブユニット)により可視化した。CD45およびCD3は、橙色蛍光標識した抗CD45抗体(青色で図示)と赤色蛍光標識した抗CD3ε抗体により、個々の1分子を可視化。全反射照明法を用いており、鮮明な画像が得られる。

3色同時1分子イメージング蛍光顕微鏡画像

図2. 3色同時1分子イメージング蛍光顕微鏡画像

個々の点はそれぞれ、青色:CD45 1分子、赤色:CD3 1分子、緑色:T細胞受容体マイクロクラスター1個。バーは5 μm(ミクロン)。動画として録画されたものの、ある時刻での画像。なお、CD45は橙色の蛍光で標識されているが、画像は識別のために青色で表示している。

得られた動画中の分子1個1個の位置を正確に求め、時間とともに動いてゆく様子を、軌跡として追跡します(図3)。従来の解析方法では、1つの軌跡の全ての点を一度に使うので、1つの軌跡から1個のデータしかとれず、また、途中で動き方が変化するために正確な数値が求められませんでした。

1分子軌跡追跡の例

図3. 1分子軌跡追跡の例

マイクロクラスターの画像(白黒、白がマイクロクラスター)の上に、CD45(青)とCD3(赤)1分子の軌跡を重ねてある。軌跡の各点は、動画フレーム間隔(33.33 ms)の時間ごとでの分子位置を示す。矢印は、軌跡がマイクロクラスター内に入っている部分を示す。バーは1 μm。

今回新しく開発した方法(移動部分軌跡解析、moving subtrajectory analysis)では、軌跡の一部(部分軌跡、subtrajectory、図4の例では11点)のみを使って動きに関する数値(拡散係数[用語9]など)を求め、さらに、部分軌跡を1点ずつずらしながら解析を繰り返します。これにより正確にかつ多くのデータが得られます。

今回開発した移動部分軌跡解析(moving subtrajectory analysis)法の模式図

図4. 今回開発した移動部分軌跡解析(moving subtrajectory analysis)法の模式図

軌跡の一部(部分軌跡、この例では11点)のみを使って動きを解析する。さらに、部分軌跡を1点ずつずらしてゆきながら解析を繰り返す。こうすることで、時間的な変化が追えるとともに、場所(この例ではマイクロクラスター内・境界・外)による違いも数値として明らかにできる。

この新しい解析方法により、分子の動きが、時間や場所によりどのように変化してゆくかを、数値情報として追うことが初めて可能となりました。そればかりでなく、分子が他の分子と結合する速さと解離する速さとを1分子の動きのみから求めることが初めて実現しました。

この解析を用いて、次のことがわかりました。

1.
マイクロクラスターは、分子が柔らかく結合し合ってできて、ナノレベルで分子密度に濃淡があり、マイクロクラスター内を分子が動くことができる。
2.
抗原を受容する複合体構成分子CD3も、シグナル制御分子CD45も、マイクロスターの内・境界・外のどこででも、結合してゆっくり動く状態と、結合せずに速く動く状態とがある。マイクロクラスターの外にも、ナノレベルの小さなクラスターがあることを示唆している。
3.
CD3もCD45も、速い結合解離を繰り返す一時的な結合状態と、安定な結合状態の2つの状態がある。マイクロクラスター内では、両分子とも、結合が促進され安定化されている。
4.
CD45のみは、マイクロクラスターの境界領域でも結合が促進されており、シグナル制御分子としての特徴を反映している。

このような分子動態と相互作用の詳細を定量的に明らかにしたことは、生命の仕組みの分子メカニズムを解明する上で、画期的な成果と言えます。

今後の展開

今回考案された方法は、分子動態と相互作用を定量的に解明する基本的な手法として、今後広く用いられると考えられます。

また、細胞表面での反応に限らず、生きた状態の細胞内部での仕組みにも用いることができます。免疫細胞に限らず、例えば、核内で遺伝子が発現する時にどのようなことが起こっているのかなど、種々の生命機能に適用できます。この手法で、生命現象の分子メカニズム解明に大きな成果をもたらすことが期待されます。

用語説明

[用語1] 分子動態 : 分子の動きや分子間の相互作用を、可視化したり定量的に計測して明らかにすること。

[用語2] システムズバイオロジー : 生命の仕組みをシステムとして統合的に理解することを目的とした研究分野。計算機によるシミュレーションにより生命現象を明らかにする研究が進められている。多種多数の生体分子の、空間的な配置、時間的な変化、多種分子間の反応や結合等に関して、生きた細胞や生体の中での数値情報を得ることが重要となっている。

[用語3] 蛍光 : 照明した光とは色(波長)の異なる光を出す現象のこと、もしくは出された光。蛍光を発する色素(蛍光色素)を用いて、観察対象を標識して見る顕微鏡法が蛍光顕微鏡法である。色の違いを利用して、標識した観察対象から出た蛍光のみを選び観察することができるので、背景光をカットして微弱にし、見たいもののみを鮮明に見ることができる。※名前が誤解をしばしば招くが、生物の蛍が光るのは生物発光によるもので蛍光現象とは異なる。

[用語4] 全反射照明(TIRF)法 : 試料と基板ガラスの境界面で照明光を境界面に平行に近い角度で入射すると、全反射が起こる。全反射の際には、試料側にごく薄く表面から深さ50~200 nm(ナノメートル)程度の近傍のみに光(エバネッセント光)が沁み出る。このエバネッセント光を蛍光の照明として用いる手法。対物レンズの縁にレーザー光を入射して全反射を起こし照明に用いる方法が、対物レンズ型全反射照明法で、余分な装置が不要なため普及している。全反射照明法を用いると、余分なところを照らさない局所的な照明であることと、照明光強度が入射光の約4倍強くなるため、鮮明な画像が得られる。

[用語5] 薄層斜光照明(HILO照明)法 : 対物レンズに照明光を入射するのに、全反射照明よりも少しだけ対物レンズ中心軸寄りにレーザー光を入射すると、試料の内部を薄く照明することができる手法。細胞内を鮮明に分子イメージングすることができる。対物レンズ型全反射照明法と同じ顕微鏡で行うことができ、局所的な照明であることと、照明光強度が入射光の2~3倍余り強くなるために、鮮明な画像が得られる。

[用語6] マイクロクラスター : T細胞が活性化する際に、T細胞膜に形成されるT細胞受容体複合体(TCR/CD3)の数十~数百分子の集合体。シグナル伝達分子も結合する。T細胞受容体分子複合体が、抗原提示細胞により提示された抗原と結合すると、マイクロクラスターが形成される。これにより、T細胞受容体シグナルが伝達され、T細胞が活性化される。マイクロクラスターは、大きさを増しながら、細胞接着面の中心部分へと移動集積し免疫シナプスと呼ばれる構造を形成する。

[用語7] リン酸化、リン酸化酵素 : リン酸基を付加するのがリン酸化反応であり、この反応を生体中で触媒するのがリン酸化酵素でありキナーゼとも呼ばれる。シグナル伝達においては、タンパク質アミノ酸残基の水酸基がリン酸基で置換されリン酸化されることが、シグナルとして用いられている。

[用語8] 人工の細胞膜 : 人工的に作成した脂質二重膜をカバーガラス表面上に一層のみ敷き、脂質二重膜中に必要なタンパク質等の分子を埋め込んで、細胞膜の代替としたもの。脂質二重膜は、膜中や膜上の分子が自由に動くことができるので、膜分子の動きを細胞本来のまま観察することができる。一層の脂質二重膜を均質にガラス表面上に形成するためには、通常特殊な装置と熟練とが必要とされるが、本研究では、研究グループが以前に開発した簡便な方法を用いて、人工細胞膜法研究の難点を克服している。

[用語9] 拡散係数 : 分子が拡散により広がってゆく速さを数値化したもの。数値が大きいほど、速く拡散することを意味する。分子はランダムな熱運動(ブラウン運動)をしながら拡散してゆくが、分子の移動距離を二乗した平均値は、拡散係数と時間とに比例する。アインシュタインは、単純な拡散の場合には、拡散係数は分子の直径に反比例することを示した。なお、拡散係数はマクロな現象で定義され、物質が拡散する際の濃度の時間変化の大きさを表す係数(拡散方程式の係数)としての意味がある。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Multi-color single-molecule tracking and subtrajectory analysis for quantification of spatiotemporal dynamics and kinetics upon T cell activation
著者 :
Yuma Ito, Kumiko Sakata-Sogawa, Makio Tokunaga
DOI :

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