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数原子からなる白金クラスター触媒の大量合成に成功

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数原子からなる白金クラスター触媒の大量合成に成功
―従来よりも1,000倍以上の効率で―

要点

  • 環状の白金錯体を利用して白金原子数5から12の原子数のクラスター担持触媒をミリグラムオーダーで合成することに成功(フラスコスケールの有機合成反応に初めて適用)
  • この白金クラスターは再利用可能な触媒として活用できる可能性がある
  • 少し大きいナノ粒子と比べ、数原子のクラスターは興味深い挙動を示す

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の今岡享稔准教授、山元公寿教授らの研究グループは、原子数が明確な白金クラスター[用語1]をカーボンに担持した触媒をミリグラムオーダーで合成することに成功した。これまで構成原子数が明確な単分散クラスターの合成は、気相合成と質量分別を組み合わせるのが唯一の方法だった。本研究では原子数が明確な白金多核錯体を前駆体として用いる化学的手法で、従来法と同等の製造精度で1,000倍以上の大量合成を実現している。この触媒はスチレンの水素化反応に対して高い活性を有しており、触媒として再利用することも可能であることが確かめられた。これは原子レベルで単分散した金属クラスターを数ミリグラム程度のフラスコスケールの触媒反応に応用した初めての例になる。本成果は、2017年9月25日付の英科学雑誌Nature Publishing Groupの「Nature Communications」オンライン版に掲載された。

研究の背景

サブナノメートルサイズの金属クラスター(金属サブナノ粒子)はナノ粒子とは大きく異なる性質を持っていることが知られており、特にその触媒機能については活性と選択性が特異的で、注目されている。例えば白金サブナノ粒子は、プロパンの脱水素化反応がバルクの白金表面に比べて40~100倍の活性となったり、燃料電池の酸素還元反応が10倍以上の質量活性になるなどが知られている。しかし、金属クラスターの構成原子数が1つ変化するだけでその特性が大きく変化するため、クラスター触媒の特性を十分に引き出すためには、1原子のずれも許されない高い精度と単分散性が必要とされる。

クラスター触媒の多くはカーボンや酸化物などの担体上に担持された状態で、不均一系触媒として用いられるが、原子レベルの精度でこれらを得る方法はこれまで気相合成法[用語2]しかなく、合成量はわずかだった。

今回の研究は、従来の気相合成とは全く異なる化学的なアプローチで、スケールアップの限界という根本的な問題解決に取り組んだものである。その結果、白金5~12原子からなる各種クラスターを選択的にミリグラム(mg)スケールで合成することに成功した。

研究成果

今回、原子数が明確な白金クラスターを合成するための原料(前駆体)として白金多核錯体[用語3]に注目した。白金多核錯体はこれまで無数の構造が報告されているが、同一の基本構造を持ちながら、核数が1つずつ異なるバリエーションをすべて構築できるものは存在しなかった。一方、同族のニッケル(Ni)やパラジウム(Pd)では、チオラートと呼ばれる硫黄系の架橋配位子を含む環状錯体がすでに存在しており、その核数は5から12程度まで様々なものが報告されている。白金(Pt)でも同様の構造ができると考え、合成と精製条件を検討したところ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いることで5核から12核までのすべての純粋な環状白金チオラート錯体を単離精製することに成功した(図1)。

白金クラスター合成の(原料として用いた白金多核錯体の構造(左上)とその分離のHPLCチャート(左下)、単離した錯体の質量スペクトル(MALDI-TOF-MS)(左)
図1.
白金クラスター合成の(原料として用いた白金多核錯体の構造(左上)とその分離のHPLCチャート(左下)、単離した錯体の質量スペクトル(MALDI-TOF-MS)(左)

得られた各種白金錯体を原料として、その核数を完全に維持した状態で担体(カーボン)上に各種白金クラスター(Pt5~Pt12)を生成する方法を突き止めた。得られたクラスターの解析は主に原子分解能の走査型透過電子顕微鏡 (STEM)[用語4]を用いることで行い、各クラスターの構成原子数を直接観察し、大部分で原子数が設計どおり保持されていることが確認できた(図2)。その挙動は大変興味深く、粒径の比較的大きな(~2nm)ナノ粒子とは違い、非常に流動的なものであった。

8原子の白金からなるクラスターPt<sub>8</sub>の合成模式図と得られたクラスター担持カーボンの暗視野STEM像(上段)。同様の方法で核数の異なる各種白金錯体から得られたクラスター(Pt<sub>5</sub>~Pt<sub>12</sub>)それぞれの原子像(STEM)。原子配置は絶えず変化しており、決まった形に固定されていない(下段)。
図2.
8原子の白金からなるクラスターPt8の合成模式図と得られたクラスター担持カーボンの暗視野STEM像(上段)。同様の方法で核数の異なる各種白金錯体から得られたクラスター(Pt5~Pt12)それぞれの原子像(STEM)。原子配置は絶えず変化しており、決まった形に固定されていない(下段)。

各種の白金クラスター(Pt5~Pt12)を用いて、フラスコスケールでの有機合成反応のモデル実験を行なったところ、スチレンの水素化反応で明確な活性が認められた。なかでも10個の白金原子からなるPt10は他のものよりも高い活性を示した(図3)。金属クラスター触媒は一般に耐久性が低く、実用に足らないと考えられがちであるが、Pt10は反応後も多くが担体上に残留しており、再利用の可能性が高まった。

各種白金クラスターを触媒として用いた際のスチレンの水素化反応における触媒回転数の時間経過。
図3.
各種白金クラスターを触媒として用いた際のスチレンの水素化反応における触媒回転数の時間経過。

今後の展開

本研究で開発した金属クラスターの単原子精度での合成法は、従来の気相合成法に対して、桁違いに大きなスケールで行うことができ、原理的にはグラム(g)スケール以上で行うことも可能となる。触媒のみならず、磁気記録やエレクトロニクスデバイスなど、金属クラスターで期待されている応用展開を進める上で極めて重要な成果といえる。

今回の成果は白金(Pt)に特化したものであるが、この手法は白金のみならず様々な金属に適用することが可能であり、金属クラスター科学の発展の起爆剤になると期待される。

用語説明

[用語1] クラスター : ここでは原子や分子数個から十数個の集合体として表現している。金属クラスターは原子の集合体として、数千個の原子からなるナノ粒子を指す用語としても用いられるが、数個の原子からなるクラスターとは構造や性質が本質的には異なる。サイズの小さなクラスターはその原子数によって安定性などの性質が異なることが知られている。特に安定なクラスターとなる原子数を「魔法数」と呼び、表面が有機物などで保護された魔法数クラスターは、比較的大量に合成できる。しかし、表面保護されていないクラスターや魔法数から外れるクラスターは、単分散を要求される場合、気相法が唯一の合成法である。

[用語2] 気相合成法 : 薄膜を形成する手法。超高真空チャンバー中で気化した金属ガスの凝集と、それを加速して得られるクラスターイオンビームの四重極フライトチューブなどを用いた質量分別によって行われる。近年、その合成スループット向上が試みられているが、1原子の分解能を得るにはビームを大きく絞り込む必要があり、依然としてナノグラム(ng)からマイクログラム(µg)が事実上の合成可能な量の上限になっている。

[用語3] 白金多核錯体 : 金属錯体は金属イオンと配位子 (電子が豊富な無機イオンや有機分子など様々なものがある) が複合化した分子のこと。今回、配位子としてチオラートと呼ばれる負電荷を帯びた硫黄原子を含む有機分子を用いた。ひとつの錯体分子に複数の金属イオン(今回は白金)を含むものを多核錯体と呼ぶ。

[用語4] 走査型透過電子顕微鏡(STEM) : 極小領域に絞った電子ビームを試料に照射し、掃引しながら透過してくる電子線の強度をマッピングすることで、試料内部の原子像分布・形態・組成像・結晶構造などを画像化することができる顕微鏡。今回は原子1つを識別する能力を持った、球面収差補正された電子線を用いた装置で観察を行なった。

論文情報

掲載誌 :
Nature Communications (Nature Publishing Group)
論文タイトル :
Platinum clusters with precise numbers of atoms for preparative-scale catalysis
著者 :
Takane Imaoka, Yuki Akanuma, Naoki Haruta, Shogo Tsuchiya, Kentaro Ishihara, Takeshi Okayasu, Wang-Jae Chun, Masaki Takahashi, Kimihisa Yamamoto
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

今岡享稔 准教授

E-mail : timaoka@res.titech.ac.jp
Tel : 045-925-5271

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

山元公寿 教授

E-mail : yamamoto@res.titech.ac.jp
Tel : 045-925-5260

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


Molecular Frontiers Symposium 2017 「Science for Tomorrow」のご案内―大隅良典栄誉教授を含む世界の科学者が科学の明日を語る―

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人類の未来に巨大な貢献をした世界トップの科学者たちと、一緒に実験して議論して科学の発展がもたらす未来を考える。この2日間の経験は、これから歩く道の原点になるでしょう…

本シンポジウムはすべて英語で実施されます。
本学学生メンターとアシスタントも高校生のサポートにつきます。

開催概要

日時
2017年10月21日(土)、22日(日)
開催場所
対象
科学に強い関心のある次世代を担う高校生
定員
約120名
お申込み方法

入力フォームouterにお名前、高校名、メールアドレス(PCアドレス推奨)、2日目参加プログラム希望順位を入力後、募集要項をご確認のうえ、参加申込書を簡易書留にて以下の宛先にご提出ださい。

宛先

〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1
S6-6 国立大学法人東京工業大学 Molecular Frontiers Symposium 2017 事務局

募集期間
2017年6月5日(月) - 6月30日(金)(郵送必着)

プログラム内容

1日目
2017年10月21日(土)

14:00 - 18:00講演(13:00 受付開始、13:30 開会挨拶)
講演者:講演順未定

  • 大隅良典 栄誉教授(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)
  • Dr. Ada Yonath(2009年ノーベル化学賞受賞)
  • Dr. Tim Hunt(2001年ノーベル生理学・医学賞受賞)
  • Dr. Bengt Nordén(スウェーデン王立科学アカデミー会員)
  • Dr. Joseph L. Kirschvink (本学地球生命研究所 主任研究者、カリフォルニア工科大学卓越教授)
2日目
2017年10月22日(日)
  • 午前 実験教室(9:00 -)またはグループワーク(10:15 -)
  • 午後 高校生代表者による英語での発表

Molecular Frontiers Symposium 2017 ~Science For Tomorrow~ ポスター表

Molecular Frontiers Symposium 2017 ~Science For Tomorrow~ ポスター裏

お問い合わせ先

東京工業大学Molecular Frontiers Symposium 2017事務局
国際部国際連携課総務グループ

E-mail : mfs.tokyotech@jim.titech.ac.jp

大岡山キャンパス内に新学生寮「緑が丘ハウス」がオープン

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9月19日、留学生と日本人学生の混住型の学生寮「緑が丘ハウス」(地上4階建て定員63名)が大岡山キャンパス緑が丘地区内にオープンしました。

「緑が丘ハウス」外観

「緑が丘ハウス」外観

寮の中で異文化コミュニケーションを日常的に行うことで、日本人学生には国際感覚を育むことを、そして留学生には日々の生活で日本文化を知って日本人学生と交流することが期待されます。

9月中旬の学生の入寮に先立ち、9月5日、「緑が丘ハウス」のエントランスにて開寮式典が行われました。

式典には、本学及び本学の同窓会組織(蔵前工業会)関係者ら約30人が参列しました。

三島良直学長からは「本学卒業生などから寄せられた多額の寄附により建設された新学生寮の完成により、留学生及び日本人学生のための良好な住環境が整備され、より多くの留学生が世界各地から集い、本学が進める大学改革が今後ますます発展していくでしょう」と、新学生寮への期待が込められた式辞がありました。

次に、来賓を代表して蔵前工業会の石田義雄理事長から「創立130周年を契機に多数の卒業生や有志の方々からいただいたご寄付が基となった東工大基金をもって、このように学生寮が設置されたことは大変すばらしいことです。東工大の今後のますますの発展に期待しています」と、祝辞が述べられました。

式辞を述べる三島学長
式辞を述べる三島学長

祝辞を述べる石田蔵前工業会理事長
祝辞を述べる石田蔵前工業会理事長

式典の後、内覧会が開催され、1階の共有スペースにおいて、環境・社会理工学院 建築学系の安田幸一教授(意匠担当)及び竹内徹教授(構造設計担当)により建物の特徴について説明がありました。

建物中央に位置した2層吹き抜けの共有スペースは、階を超えた交流ができる場として、日々の団欒に加えセミナーなど様々な交流イベントを行うことができます。各階には畳コーナーを設け、日本の生活様式を体験できるスペースを設けています。

個室の外に共有スペースを広く確保し、畳コーナーを設置
個室の外に共有スペースを広く確保し、畳コーナーを設置

寮生は各個室に入居し、キッチン・トイレ・シャワールームは共用
寮生は各個室に入居し、キッチン・トイレ・シャワールームは共用

エントランスのある1階には車いす利用者が入居できるようにスロープを設けました。また、大学敷地内という立地条件を生かし、構内道路と建物をブリッジで接続し、直接アプローチできるようにしました。

東工大は、2016年4月に新しい教育システムを開始しました。科学技術分野のしっかりとした基礎能力・専門能力を持ち、世界に雄飛する気概と人間力を備え、周辺の科学技術を俯瞰しつつ異分野・異文化の人々と協調してグローバルな課題の解決とイノベーションの創出に貢献できる優れたグローバル人材を育成するのが、本学の使命です。こうした人材を育成するためにも、教育システムだけでなく、留学生と日本人学生が相互に学びあえるような環境を整えました。

緑が丘ハウスの設備、料金、入居に関する詳細情報は、「学生寮・住まい」のページをご覧ください。

詳しくは、「学生寮・住まい」のページをご覧ください。

お問い合わせ先

学務部学生支援課 生活支援グループ(学生寮担当)

E-mail : gak.sei@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7648

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

グラフェンの厚さの違いと電子の動きの関係を世界で初めて観察

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本研究成果のポイント

  • 電子・光電材料として期待されるグラフェン内の電子移動を高時間・空間分解能(フェムト秒とナノメートル)で初めて観測
  • これにより、電子の動きとナノ構造の関係を明らかに
  • 素子開発に役立つ欠陥情報の提供など、グラフェンの新規特性評価手法の開拓

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK) 物質構造科学研究所の福本恵紀特任助教は、東京工業大学 理学院 化学系の腰原伸也教授、フランス国立科学研究センター(CNRS)、ピエール アンド マリー キュリー大学のMohamed Boutchich准教授らと共同で、グラフェン内の超高速な電子の動きが場所ごとに異なることを世界で初めて観測した。

理想的なグラフェンは炭素原子1層の厚さをもつ二次元物質であり、高速デバイスなどへの応用が期待されている。しかし実際に作成されるグラフェンの構造はナノスケールで不均一なため、その構造の違いが電子の運動に影響を与えると予測されている。グラフェンの実用化のためには、デバイスの動作を阻害する構造、また高性能化に利用できる構造を明確にする必要がある。

本研究では、一般的に使われている方法で作成されたグラフェンの結晶構造の違いに由来した電子輸送特性の観察に成功した。具体的には、ラマン顕微鏡[用語1]を用いて局所的な結晶構造から電子状態を計算し、同じ試料の同じ場所を独自に開発したフェムト秒時間分解光電子顕微鏡法(TR-PEEM)[用語2]で観察することで、構造と電子輸送特性を直接関連付ける結果を得た。

この研究成果は、オランダの科学誌「Carbon(カーボン)」に8月21日オンライン速報版で公開された。

背景

ハチの巣状に配列した炭素原子のシートであるグラフェンは、人類が初めて目にした原子1層の厚さしかない完全な二次元物質であり、材料としての性能も優れている。グラフェンは非常に高い熱伝導度を持ち、機械的に強靭であり、化学的にも安定な物質である。また、特に高い電気伝導度を持つなど電気特性に優れている。グラフェンはエネルギーバンド構造が特異であり、グラフェン内では電子がケイ素内での約100倍の早さで移動できることから、高速トランジスタなど高速動作する記録媒体への応用が期待されている。

低コストで大面積のグラフェンが作成できるため最も一般的に使われている化学気相成長(CVD)法[用語3]では、グラフェンが局所的に2層になったり、1層目と2層目が異なる角度で重なったり、構造が不均一になることが知られている(図1(a))。グラフェンの不均一な構造がエネルギーバンド構造に影響し、電子の輸送特性に影響することは理論的に予想されている。しかし、高い時間・空間分解能で電子の動きを観察する手段が限られているため、ナノスケールの局所的な構造欠陥と電子の超高速輸送特性の関連性は明白にされていなかった。

研究グループは、この研究に先立って100フェムト秒(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)の時間スケールとナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の空間スケールで電子の動きが観察できる特殊な装置 TR-PEEMを開発しており、これをCVD法で作られたグラフェンに適用しようと考えた。

研究内容と成果

ラマン分光法では、スペクトル形状から、グラフェンが1層なのか、2層なのかを判別し、また、1層目と2層目の間の回転角度を推測することができる。図2(b)は、CVD法により作成されたグラフェンをラマン顕微鏡で観察した構造マップである。大部分を占める茶色の領域は1層の領域で、A、B、Cでマークした領域は2層グラフェンであり、色の違いが層間の回転角度を表す。これに従い、エネルギーバンド構造を計算し、それらを反映した光電子放出強度によりPEEM像(図2(a))が得られた。2層領域からの光電子放出強度は小さく、暗いグレイスケールで表現されている。TR-PEEM法により、これらの領域を区別して、光吸収により生成した電子が「伝導電子として存在できる時間(寿命)」を観測し、「寿命」が1層領域と2層領域とで異なることを世界で初めて確認した。これは構造と電子輸送特性を直接関連付ける結果であり、グラフェンの電子状態の制御、つまり電子の動きの制御を進展させる成果である。

なお、この研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 CREST 「光技術が先導する臨界的非平衡物質開拓」、日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)(No.15K17677)、及び、JSTのACCEL フィージビリティスタディ「ナノスケール・フェムト秒電子ダイナミクス直接観察装置開発と光電子材料開拓手法の革新」の助成により行われた。

本研究の意義、今後への期待

これまでの半導体材料、および素子の開発は「欠陥特性をいかに制御できるかの研究」と言い換えることができる。低コストで大口径の半導体基板を作成すれば欠陥が多くなり品質低下をまねき、逆に高品質で作成すればコストの問題が発生する。また、欠陥を積極的に利用する半導体デバイスもある。グラフェンは優れた性能をもつ材料でメモリや光検出器、レーザー媒体などへの応用が期待されているが、依然として作成単価が高額であり、幅広い普及には至っていない。つまり「欠陥の制御」ができていないと言える。

本研究では、グラフェンの不均一な構造の特性を特定し、電子デバイスの性能を決定する電子輸送特性を直接評価することに成功した。構造と電子輸送特性の直接対比が可能であることを証明した本研究成果は、今後のグラフェン素子作成の重要なツールとなりうる。

本研究で使用したTR-PEEMは、図1(a)のように空間的に不均一な試料における電子が面内方向に伝搬する過程の可視化が可能であり、局所的な電子移動速度を見積もることができる。TR-PEEMを電子・光電デバイス性能評価の技術として確立することが今後の展望のひとつである。

参考図

(a)グラフェンの模式図。(b)、(c)時間分解光電子顕微鏡(TR-PEEM)による測定結果。

図1.
(a)グラフェンの模式図。本研究で測定したCVD法で作成したグラフェンは、1原子層の炭素シート(オレンジ領域)に2層領域(赤と青)が点在する。赤と青の違いは、1層目と2層目の面内回転角度が異なることを示す。
(b)、(c)時間分解光電子顕微鏡(TR-PEEM)による測定結果。光吸収により生成した電子が伝導電子として存在できる時間(寿命)が局所的に異なる。1層領域より2層領域の方が寿命が長い。

(a) PEEMと(b)ラマン顕微鏡によるグラフェン表面観察像

図2.
(a)PEEMと(b)ラマン顕微鏡によるグラフェン表面観察像。(b)において、大部分を占める茶色の領域はグラフェン1層領域。A、B、Cでマークしたカラースケールの異なる領域は2層領域であり、色の違いは1層目と2層目の回転角度に依存したラマン強度を表す。2層領域は、コントラストは弱いがPEEM像でも確認できる。
この研究では、緑四角で囲んだ1層領域とA、B、Cでマークした2層領域の寿命をTR-PEEM法で観測し比較した。

TR-PEEM装置の概略図

図3.TR-PEEM装置の概略図

用語説明

[用語1] ラマン顕微鏡 : ラマン分光法は、試料に照射した光の散乱強度から分子構造を同定する手法である。顕微鏡を組み合わせ、ミクロンサイズ以下に集光した照射光で試料表面を走査することで、分子構造がマッピングできる。

[用語2] フェムト秒時間分解光電子顕微鏡(Femtosecond time-resolved photoemission electron microscopy:TR-PEEM) : 光電子顕微鏡(PEEM)の励起源にフェムト秒パルスレーザーを利用する手法。パルスレーザーは、グラフェン内の伝導電子励起用のパルス(励起光)と伝導電子を光電子放出させPEEMで検出するためのパルス(検出光)の2つを時間変化させながらグラフェンに照射することで、伝導電子の密度の時間変化をフェムト秒スケールで見積もることができる。また、PEEMは50 nmの空間分解能があり、局所的な時間変化が観測できる。図3はTR-PEEMの概略図である。

[用語3] 化学気相成長法(Chemical Vapor deposition:CVD) : 薄膜を作成する手法のひとつ。石英などで作成した反応管内に原料となる物質(ここでは炭素)をガス状態で供給し、固体表面に堆積させる。
グラフェン作成に用いると大面積の膜が作成でき、製造コストも比較的安価だが、構造欠陥などが生成され均一性はそれほど良くない。また、反応して堆積するための金属触媒が必要である。

論文情報

掲載誌 :
Carbon 8月号(オンライン版8月21日)
論文タイトル :
Ultrafast electron dynamics in twisted graphene by femtosecond photoemission electron microscopy(フェムト秒光電子顕微鏡によるねじれた層状グラフェンの超高速電子ダイナミクス観察)
著者 :
Keiki Fukumoto, Mohamed Boutchich, Hakim Arezki, Ken Sakurai, Daniela Di Felice, Yannick J. Dappe, Ken Onda, Shin-ya Koshihara
DOI :

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に発足した理学院について紹介します。

理学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
物質構造科学研究所 特任助教 福本恵紀

E-mail : keiki@post.kek.jp

Tel : 029-879-6185 / Fax : 029-864-2801

東京工業大学 理学院 化学系
教授 腰原伸也(科学技術創成研究院 兼務)

E-mail : skoshi@cms.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2449 / Fax : 03-5734-2449

報道担当

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
広報室長 引野肇

E-mail : press@kek.jp
Tel : 029-879-6047 / Fax : 029-879-6049

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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新しいシート状物質「ホウ化水素シート(ボロファン)」の誕生 ~優れた水素吸蔵性能を有する新材料~

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研究成果のポイント

1.
電子材料や水素吸蔵材料として利用できる優れた特性を持つ物質として理論的にその存在が予想されていた二次元(シート状)物質「ホウ化水素シート(ボロファン)」を生成することに成功しました。
2.
二ホウ化マグネシウムと呼ばれる物質を原料として用い、これに含まれるマグネシウムの正イオンを水素の正イオンと交換することにより、ホウ素と水素の組成比が1:1のホウ化水素シートが室温・大気圧下という温和な条件で生成することを見出しました。
3.
ホウ化水素シートはプロトンを保持しており200 ℃以上で水素を放出するため、予測されていた電子材料や水素吸蔵材料以外にも、固体燃料や固体酸触媒としての応用が期待できます。

国立大学法人 筑波大学 数理物質系 近藤剛弘准教授、国立大学法人 東北大学 材料科学高等研究所 藤田武志准教授、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 Nguyen Thanh Cuong ICYS-Namiki研究員、同 冨中悟史主任研究員、および国立大学法人 東京工業大学 細野秀雄教授らの共同研究グループは、二ホウ化マグネシウムと呼ばれる物質を原料に用いた、これまでにない新しいシート状物質(ホウ化水素シート)の生成に成功しました。ホウ化水素シートはボロファンという通称名で既に理論的にその存在が予想されており、新しい水素吸蔵材料や電子材料としての優れた特性が期待されていました。本研究は、この物質の生成を初めて実現したものです。

本研究では、二ホウ化マグネシウムに含まれるマグネシウムの正イオンを水素(H)の正イオン(プロトン)と交換することにより、これまでに無い、水素とホウ素のみで構成される新しい二次元物質が、室温・大気圧下という温和な条件で生成することを見出しました。この物質は負に帯電したホウ素(B)の二次元シート骨格とプロトンとにより構成され、H:B=1:1の組成比であることがわかり、「ホウ化水素シート」と名付けました。

ホウ化水素シートはプロトンを保持しており、200 ℃ から1,200 ℃の幅広い温度範囲で水素分子を放出するため、理論予測されていた電子材料や水素吸蔵材料以外にも、固体燃料や固体酸触媒としての応用が期待できます。今後、既存材料との組み合わせにより資源・エネルギー・環境に関する様々な問題を解決する新しい材料としての利用が期待されるほか、他の二ホウ化金属や得られたホウ化水素シートをスタート物質として用いることにより、別の新しい二次元物質群の生成も期待されます。

本研究の成果は、2017年9月19日付「Journal of the American Chemical Society」でオンライン先行公開されました。

研究の背景

炭素原子一層からなるグラフェンに代表されるような、原子一層から数層の非常に薄い厚さで構成される二次元物質と呼ばれる物質群は、通常の三次元物質に比べて表面積が大きく、機械的柔軟性があり、特異な電子状態を持っている場合が多く、新しい電子材料や触媒材料の候補として期待が高まっています。また、種類の異なる二次元物質を組み合わせると、さらなる新しい性質が発現することが見いだされており[1]、二次元物質は様々な用途に応用できる大きな可能性を持った新しい物質であり、世界中で活発に研究が行われてきました。そんな中、ホウ素と水素のみで構成される二次元物質(ボロファン)について理論的な研究が行われ、グラフェンを凌駕する優れた電子材料特性や水素吸蔵特性を有するという予想が、2011年と2016年に報告されました[2,3]。ホウ素を含む二次元物質としては、2015年に、ホウ素のみで構成される二次元物質(ボロフェン)が、単結晶の銀の表面上への真空蒸着で生成できることが報告されてはいましたが[4,5]、ボロファンの方は理論予測のみにとどまっていました。

本研究グループは、ボロファンを作成するための母材として二ホウ化マグネシウム(MgB2)という材料に着目しました。MgB2は2001年に超伝導であることが見出されて以降[6]、超伝導材料としての研究が盛んに行われています。ホウ素は物質内に於いて屈強なsp2混成軌道と呼ばれる共有結合をした平面構造を構築しています。このホウ素のハニカム構造骨格が負の電荷を帯び、マグネシウムの正のイオンがホウ素骨格間に存在している物質がMgB2です。我々はこのMgB2のマグネシウムの正イオンを水素の正イオン(プロトン)と交換し、層状の3次元構造をバラバラなシート構造にすることで、これまでに誰も実現したことがなかったホウ化水素シートの生成に成功しました。

研究内容と成果

1. ホウ化水素シートの生成

本研究で行ったホウ化水素シートの生成手順を図1Aに模式的に示します。大気圧の窒素雰囲気中で、MgB2とイオン交換樹脂を室温のメタノールまたはアセトニトリル中で混ぜたのち、沈殿物を取り除いて乾燥させると、平均収率42.3%で黄色い粉末状のホウ化水素シートが得られることがわかりました。この粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、しわのあるシート状の構造であることがわかります(図1B)。スタート物質に含まれるマグネシウム(Mg)はイオン交換の過程でイオン交換樹脂に回収されているため、このシート状物質中にMgは存在していません。このことは図1Cに示したX線光電子分光(XPS)[用語1]の測定結果からわかります。スタート物質であるMgB2(図1C上)とイオン交換後に得られたシート状物質(図1C下)のXPS測定結果を比較すると、イオン交換後にはMgが存在していないため、Mgに由来する光電子ピークが消失しています。また、188 eV付近にあるホウ素(B)の光電子ピークは、Bが負に帯電していることを示すもので、イオン交換後もこのピークが支配的です。すなわち、イオン交換後の粉末試料では正のMgイオンが存在していないにもかかわらず、Bが負に帯電したままになっています。これは、正のMgイオンが、XPSでは観測できないプロトンとイオン交換していることを示唆しています。なお、スタート物質に含まれる193.2 eVの光電子ピークは、MgB2表面に存在している酸化物(不純物)に由来しており、試料調製時に沈殿物となり分離される成分に由来するピークです。さらに、イオン交換後の試料に存在する水素の量を調べるために、真空中で試料を加熱し、この際に放出するガスを分析した結果(昇温脱離測定、TDS)、図1D上に示すように、200 ℃から1,200 ℃までの幅広い範囲で水素分子が多量に放出されることがわかりました。また、別々に作成した複数の試料に対して、放出される水素分子の総量と、加熱前の試料の重さから試料の組成比をそれぞれ算出したところ、どの試料も、比較的再現性良く、H:Bがおよそ1:1であることがわかりました(図1D下)。以上の結果から、MgB2 + 2H+ → Mg2+ + 2HB という反応式で示されるイオン交換反応により、H:Bが1:1の組成比であるホウ化水素シートが形成することが明らかとなりました。

興味深いことに、1923年~1924年および1959年に発表された研究成果に、本研究と類似の物質が生成されていることを示す記述があります[7,8]。水素とホウ素で構成されるガスが特定の条件下で、水素とホウ素の組成比がおよそ1:1の黄色い固体物質になることが報告されていますが、水素の放出温度が200 ℃よりも低く、また後述する水素の結合状態が本研究とは異なるため、これらはホウ化水素シートとは別の物質であると考えられます。

ホウ化水素(HB)シートに関する(A)生成方法の模式図、(B)走査型電子顕微鏡像、(C)X線光電子分光スペクトル、(D)昇温脱離測定結果と算出したB/H比

図1.
ホウ化水素(HB)シートに関する(A)生成方法の模式図、(B)走査型電子顕微鏡像、(C)X線光電子分光スペクトル、(D)昇温脱離測定結果と算出したB/H比

2. ホウ化水素シートの構造

ホウ化水素シートの構造をより詳細に調べるために、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しました(図2A)。シート断面のプロファイル(図2B)からシートの厚さが高々数原子層程度であることがわかりました。また、TEM観察中に電子エネルギー損失分光(EELS)という測定を行った結果(図2C)、シートを構成しているBに由来するピークが190-200 eV付近に2つに分かれて鋭く現れており、炭素(C)や窒素(N)や酸素(O)に由来するピークは現れていないことから、このシートが確かにBで構成されていることがわかりました。Bの2つのピークはπ*とσ*と呼ばれるピークであり、これらの存在は、ホウ化水素シート中のBが、sp2混成軌道と呼ばれる平面構造を構成する共有結合性の軌道で結合していることを意味します。これは図1Aに示したMgB2中のBのハニカム構造の平面状の骨格構造が、イオン交換後のホウ化水素シートにおいても保たれて存在していることを示しています。

また、ホウ化水素シートに対して電子線回折を行うと、規則構造に起因するような回折スポットは観測されず(図2B)、またX線回折では幅の広いピークだけが観測されました(図3B)。これらの結果はホウ化水素シートの構造に長距離秩序が無いことを示唆しています。しかしながら、ホウ素と水素のように軽い原子で構成される物質の場合、電子線回折を測定する際の電子線の照射で試料の構造が壊れて、本来存在するはずの長距離秩序構造が観測できていない可能性があるほか、グラフェンシートのような柔軟性のある二次元結晶の場合にはX線回折でピークが現れない事例が知られていることなどから、これらの結果だけでは、長距離秩序が無いと結論づけることはできません。そこで、1ナノメートルほどの電子線スポットにおいて0.1ピコアンペア程度の低強度の電子ビームを用い、微小領域の電子線回折の観察を試みました。この結果、わずかではありますが、局所的な結晶構造の回折に由来する信号が観察されました(図3A右上)。これは試料全体で取得した電子線回折像(図3A右下)では見られない信号であり、本研究で得られたホウ化水素シートは本質的に、局所的には短距離秩序を持つが、長距離秩序は持たない構造であることがわかりました。

ホウ化水素(HB)シートの(A)走査型電子顕微鏡像、透過型電子顕微鏡像、および走査型透過電子顕微鏡像、(B)透過電子顕微鏡像とラインプロファイル、(C)電子エネルギー損失分光スペクトル

図2.
ホウ化水素(HB)シートの(A)走査型電子顕微鏡像、透過型電子顕微鏡像、および走査型透過電子顕微鏡像、(B)透過電子顕微鏡像とラインプロファイル、(C)電子エネルギー損失分光スペクトル

ホウ化水素(HB)シートの(A)走査型透過電子顕微鏡像、電子線回折像、(B)X線回折、(C)X線2体分布関数、(D)局所構造モデル、(E)フーリエ赤外吸収分光スペクトル、(F)紫外・可視吸収スペクトル

図3.
ホウ化水素(HB)シートの(A)走査型透過電子顕微鏡像、電子線回折像、(B)X線回折、(C)X線2体分布関数、(D)局所構造モデル、(E)フーリエ赤外吸収分光スペクトル、(F)紫外・可視吸収スペクトル

3. ホウ化水素シートの局所構造

次に、ホウ化水素シートはどのような局所構造で構成された短距離秩序を有しているのかを明らかにするために、X線回折結果(図3B)をフーリエ変換して得られるX線二体分布関数(XPDF)の解析を行いました。実験的に得られたXPDF(図3C)と、モデル局所構造でシミュレートしたXPDF(図3D)を比較すると、両者はよく一致しており、ホウ化水素シートの局所構造が図3Dのような構造であることが示されました。なお、理論予測で報告されている他の構造[3]や、様々な種類のホウ素と水素のガス(ボラン)やサイズの小さい既存の水素化ホウ素分子構造でも比較を行いましたが、いずれも実験結果を再現できず、図3Dの構造のみが、良い一致を示しました。図3Dの構造はスタート物質のMgB2に含まれるハニカム構造のホウ素の骨格が残っており、イオン交換の観点で対応が取れており、また図2CのEELSが示しているBの平面構造の存在と対応しています。また、この構造に存在するB-H-B結合部分の伸縮振動が、フーリエ赤外吸収分光(FTIR)で1,619 cm-1に観測されており、密度汎関数法(DFT)[用語2]により計算したこの構造におけるB-H-Bの振動吸収ピーク(図4C)1,613 cm-1と良い一致を示しています。さらに紫外・可視吸収スペクトルで見られた2.9 eVの光吸収やXPSで得られた結合エネルギーも、この構造に対するDFT計算の値と一致します。図3Dのモデル構造から予想される電子線回折スポットが図3Aの右上で観測された回折スポット位置と一致することも分かりました。以上の結果から、本研究で得られたホウ化水素シートは局所構造として図3Dに示すような構造を有していることがわかりました。

長距離秩序が無く、短距離秩序のみがある理由は、イオン交換反応が起こる際のイオン交換サイトのランダム性で説明できます。図3Dでは、Hの位置は規則正しく特定のBとBの間を橋掛けるように位置して結合していますが、実際にイオン交換が起こる際はMgB2の端や表面から一斉に反応が進行していると考えられるため、特定の方向のBとBの間にだけHが結合するのではなく、様々なB-B間に全体の電荷バランスが保たれるように結合します。いったんB-H-B結合が形成されると、そこの部分のB-B間距離が変化するので、Hの結合位置が不規則であれば試料には長距離秩序が無い状態となります。このため、本研究で得られたホウ化水素シートはBの骨格構造が保たれており、局所構造を有しながらも全体としては長距離秩序がない、特異な構造をしていると考えられます。

密度汎関数法で計算した図3Dで示すホウ化水素シートモデル構造の(A)バンド図、(B)光吸収スペクトル、(C)赤外吸収スペクトル

図4.
密度汎関数法で計算した図3Dで示すホウ化水素シートモデル構造の(A)バンド図、(B)光吸収スペクトル、(C)赤外吸収スペクトル

今後の展開

本研究で生成したホウ化水素シートはプロトンを保持しており、200 ℃から1,200 ℃の幅広い温度範囲で水素分子を放出するため、理論予測されていた電子材料や水素吸蔵材料としての応用以外にも、固体燃料や固体酸触媒として応用できる可能性があります。今後、既存材料との組み合わせにより資源・エネルギー・環境に関する様々な問題を解決する新しい材料として有望であるほか、他の二ホウ化金属や得られたホウ化水素シートをスタート物質として用いて別のイオン交換を行うことにより、別の新しい二次元物質群の生成も期待されます。

用語説明

[用語1] X線光電子分光(XPS) : 試料表面にX線を照射した際に放出される光電子の運動エネルギーを測定することで、試料の構成元素とその電子状態を分析する分光計測法。

[用語2] 密度汎関数法(DFT) : 電子密度から分子のエネルギーなどの物性を計算する理論的手法。現在、凝集系物理学や計算物理、計算化学の分野で実際に用いられる手法の中で、もっとも汎用性の高い手法の一つとなっている。

参考文献

[1] Geim, A. K.; Grigorieva, I. V. Nature 2013, 499, 419.

[2] Abtew, T. A.; Shih, B.; Dev, P.; Crespi, V. H.; Zhang, P. Phys. Rev. B 2011, 83, 094108.

[3] Jiao, Y.; Ma, F.; Bell, J.; Bilic, A.; Du, A. Angew. Chem. 2016, 128, 10448.

[4] Mannix, A. J.; Zhou, X.-F.; Kiraly, B.; Wood, J. D.; Alducin, D.; Myers, B. D.; Liu, X.; Fisher, B. L.; Santiago, U.; Guest, J. R.; Yacaman, M. J.; Ponce, A.; Oganov, A. R.; Hersam, M. C.; Guisinger, N. P. Science 2015, 350, 1513.

[5] Feng, B.; Zhang, J.; Zhong, Q.; Li, W.; Li, S.; Li, H.; Cheng, P.; Meng, S.; Chen, L.; Wu, K. Nat. Chem. 2016, 8, 563.

[6] Nagamatsu, J.; Nakagawa, N.; Muranaka, T.; Zenitani, Y.; Akimitsu, J. Nature 2001, 410, 63.

[7] Stock, A. Hydrides of boron and silicon; Cornell University Press; H. Milford, Oxford University Press: New York; London, 1933.

[8] Shapiro, I.; Williams, R. E. J. Am. Chem. Soc. 1959, 81, 4787.

論文情報

掲載誌 :
Journal of the American Chemical Society
論文タイトル :
Formation and characterization of hydrogen boride sheets derived from MgB2 by cation exchange
(カチオン交換によりMgB2から得られるホウ化水素シートの生成と特性解析)
著者 :
Hiroaki Nishino, Takeshi Fujita, Nguyen Thanh Cuong, Satoshi Tominaka, Masahiro Miyauchi, Soshi Iimura, Akihiko Hirata, Naoto Umezawa, Susumu Okada, Eiji Nishibori, Asahi Fujino, Tomohiro Fujimori, Shin-ichi Ito, Junji Nakamura, Hideo Hosono, Takahiro Kondo
DOI :

お問い合わせ

筑波大学 数理物質系
准教授 近藤剛弘(こんどう たかひろ)

〒305-8573 茨城県つくば市天王台1-1-1

E-mail : takahiro@ims.tsukuba.ac.jp

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

コール・クライネス 東京都合唱コンクールで金賞、3年ぶり35回目の全国大会出場

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東工大混声合唱団コール・クライネス(以下、コール・クライネス)が、東京都合唱連盟・朝日新聞社主催の「第72回都合唱コンクール」の大学職場一般部門 大学ユース合唱の部において、12大学中1位となる金賞と、東京都合唱連盟理事長賞を受賞しました。

表彰式で賞状を掲げる久原さん(左)とトロフィーを掲げる練習責任者の伊藤涼平さん(右)

表彰式で賞状を掲げる久原さん(左)とトロフィーを掲げる練習責任者の伊藤涼平さん(右)

これにより、コール・クライネスは2017年11月25日(土)に東京、池袋の東京芸術劇場で開催される「第70回全日本合唱コンクール全国大会」に出場することが決定しました。全国大会への出場は、3年ぶり35回目の快挙です。

委員長 久原直輝さん(工学部 無機材料工学科 学士課程3年)のコメント

約140名の団員が心を一つに努力してきた結果、このような成績を収めることができ、大変嬉しく思っております。コール・クライネスを支えてくださっている、東工大関係者の皆さまと先輩方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

なお、2017年12月27日(水)にすみだトリフォニーホール大ホールにて第52回演奏会を行います。今年は作曲家の信長貴富氏の作品を演奏いたします。日本語で親しみやすい曲が多く、合唱と関わりがない方々にもお楽しみいただけるプログラムになっています。都大会一位金賞の歌声を是非お聴きください。

コール・クライネスとは

東工大の公認サークル「コール・クライネス」は、1963年に創立された歴史ある大学混声合唱団です。男声は東工大、女声は東工大をはじめ、フェリス女学院大学、清泉女子大学、日本女子大学などから、総勢140名が参加する日本有数の大合唱団です。初めてコンクールに出場した1978年を皮切りに、35回の全国大会出場と、20回の全国大会金賞受賞を果たしています。

お問い合わせ先

東京工業大学混声合唱団コール・クライネス

E-mail : concert@chorkleines.com

硫黄ナノクラスターの“精密”質量分析法

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硫黄ナノクラスターの“精密”質量分析法
―分子カプセルの利用で、環状硫黄の安定化と選択的合成を達成―

要点

  • 分子カプセルの包み込みによる硫黄ナノクラスターの新しい質量分析法を開発
  • カプセル空間内で硫黄ナノクラスターの顕著な安定化と選択的合成に成功

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の松野 匠大学院生(修士課程2年)、山科雅裕博士研究員と吉沢道人准教授らは、ナノサイズの硫黄クラスターを分子カプセルに包み込むことで構造が安定に維持され、汎用の質量分析装置を使ってその質量数を正確に決定することに初めて成功した。また、分子カプセルの内部空間で、高分解性の硫黄ナノクラスターの安定化と光照射による選択的なクラスター合成にも成功した。本研究成果は、種々の無機ナノクラスター(材料や触媒など)の「精密分析法」と「選択的合成法」の新提案であり、幅広い応用研究が期待される。

有機および無機化合物の構造決定において、「質量分析」は重要な役割を果たしている。とりわけ無機クラスターは、他の分析法では十分な構造情報が得られないため、質量分析が最重要の手段となっている。自然界に豊富に存在する硫黄(S)は、種々の大きさの塊(クラスター)を形成する。しかしながら、それらの無機クラスターは、これまでの質量分析条件では容易に分解するため、構造決定が困難であった。本研究では、中性の硫黄ナノクラスターの質量数を決定する新手法の開発に挑戦した。同グループが開発したイオン性の分子カプセルは、水中で2分子の環状S8およびS6クラスターを定量的に内包した。内包された硫黄ナノクラスターは顕著に安定化され、それらの質量数を汎用の質量分析装置(ESI-TOF MS)で精密に決定することに成功した。さらに、光照射により、2分子のS6クラスターから1分子のS12クラスターへの変換反応が、カプセル内で高選択的に進行することを見出した。分子カプセルに秘められた新しい機能を開拓した。

これらの研究成果は、同研究所の山元公寿教授グループ(無機化学)との共同研究によるもので、Springer NatureのNature Communications誌のオンライン版に、平成29年9月29日10時(英国時間)付けで掲載されました。

研究の背景とねらい

質量分析[用語1]は、有機・無機化合物や生体高分子(タンパク質など)の構造決定における重要な手段である。その中でも、複数の原子の集合体である無機クラスターは、紫外可視吸収分光計(UV-vis)や核磁気共鳴装置(NMR)などの汎用の分析法では十分な構造情報が得られないため、質量分析装置による質量数の決定は必要不可欠である。しかしながら、無機クラスター、とりわけ、電荷を持たない中性の無機クラスターは、質量分析で必須なイオン化の過程で分解するため、その正確な質量数や純度を決定することが困難であった(図1a左)。無機クラスターの代表例である硫黄(S)は、様々な大きさの環状ナノクラスターを形成し(その同素体[用語2]は30種類以上)、特異な物理的および化学的性質を有する(図1b)[文献1]。しかしながら、最も安定な環状S8クラスターであっても、これまでの質量分析条件では分解するため、本来の質量数を決定することは出来なかった。また、多くの硫黄クラスターは不安定で室温でも容易に分解するため、それらの合成や精製には熟練の技術が必要であった。

(a)無機クラスターの質量分析における問題点(左)と本研究の戦略(右)。(b)硫黄ナノクラスターと(c)分子カプセル1の構造と空間充填モデル。
図1.
(a)無機クラスターの質量分析における問題点(左)と本研究の戦略(右)。(b)硫黄ナノクラスターと(c)分子カプセル1の構造と空間充填モデル。

今回、イオン性の分子カプセルに中性の硫黄ナノクラスターを丸ごと包み込み、外部環境から隔離した安定化状態で汎用の質量分析を行うことで、狙いとするクラスターの質量数を厳密に決定することに成功した(図1a右)。また、カプセル内で、選択的な硫黄ナノクラスターの合成が出来ること明らかにした。これまでに報告した分子カプセルの合成有機分子や生体関連分子[文献4]に対する機能に加えて、本研究で、無機ナノクラスターに対する新しい機能を開拓した。

研究内容

硫黄ナノクラスターの内包と質量分析

分子カプセルとして、同研究グループが6年前に開発した複数のアントラセン環[用語3]を含む球状ナノ構造体1[文献2,3]を用いた(図1c)。硫黄ナノクラスターのカプセル化は、室温・大気下で、簡単な方法でできる。過剰量の環状S8クラスターの黄色固体をカプセル1の水溶液に加え、室温で30分程度撹拌すると、水に溶けないS8クラスターは疎水効果[用語4]によって、自発的かつ定量的に分子カプセルに内包された(図2a)。内包体の構造はNMRおよびX線結晶構造解析で決定した。結晶構造解析から、2つのS8クラスターが積み重なるようにカプセル内に取り込まれ、しかも、カプセルの8つのアントラセン環によって外界から隔離されていることが明らかになった。

(a)分子カプセル1による2分子の環状S8クラスターの内包とそのX線結晶構造。(b)S8クラスター単独の質量分析(MALDI-TOF MS)スペクトルと(c)内包体の質量分析(ESI-TOF MS)スペクトル。
図2.
(a)分子カプセル1による2分子の環状S8クラスターの内包とそのX線結晶構造。(b)S8クラスター単独の質量分析(MALDI-TOF MS)スペクトルと(c)内包体の質量分析(ESI-TOF MS)スペクトル。

環状S8クラスターはその同素体の中で最も安定であるが、これまでの方法で汎用の質量分析装置(MALDI-TOF MSおよびESI-TOF MSなど)を利用すると、分解物のS3+やS4+イオンなどに由来するピークのみが観測された(図2b)。一方、カプセル化された同クラスターでは分解は起こらず、元の構造を維持した状態で、目的の質量数に由来するピークが明確に観測された(図2c)。すなわち、硫黄ナノクラスターの精密な質量分析に初めて成功した。

高分解性の硫黄ナノクラスターの安定化

環状S6クラスターは通常、その環ひずみにより容易に分解する。実際に、S6クラスターの溶液を室温で放置すると1時間以内に分解し、S8クラスターや硫黄オリゴマーが生成した。一方、S8クラスターと同様の操作でカプセル1内に取り込まれた2分子のS6クラスターは(図3a、中央)、同条件下で700倍以上も安定に存在した。また、カプセル化により通常の質量分析条件でも分解が抑制され、S6クラスターの質量数を厳密に決定できた。

(a)分子カプセル1による環状S6クラスターの内包と光照射による環状S12クラスターの合成。(b)S12クラスター内包体の計算による最適化構造。
図3.
(a)分子カプセル1による環状S6クラスターの内包と光照射による環状S12クラスターの合成。(b)S12クラスター内包体の計算による最適化構造。

カプセル内での硫黄ナノクラスターの合成

分子カプセル1内で、2分子から1分子の硫黄ナノクラスターへの合成に挑戦した。S6クラスターを2分子内包したカプセル1の水溶液に、極低温下で可視光を照射すると、分子内S-S結合がラジカル的に開裂し、分子間で再結合することで、環状S12クラスターが選択的に生成した(図3a、右)。生成物の構造は、NMR、ラマン分光、質量分析によって決定した。内包体の計算構造から、球形状のS12クラスターはカプセル1の球状空間に適合していることが分かった(図3b)。すなわち、分子カプセル内での硫黄ナノクラスターの合成に初成功した。

今後の研究展開

本研究では分子カプセルを利用し、硫黄ナノクラスターを内包することで安定化し、質量分析装置でその質量数を精密に決定する方法を開発した。ここで用いた分子カプセルは、合成と取り扱いが容易であり、汎用の質量分析装置を用いて、微量分析が可能である。今後、この方法による既存の無機ナノクラスターの精密質量分析と共に、新規の機能性ナノクラスターを創製するための質量分析法としての利用が期待できる。

用語説明

[用語1] 質量分析 : 高真空下で分子やクラスターなどをイオン化することで、その質量数を決定する構造分析手法。代表的なイオン化法に、田中耕一博士(2002年ノーベル化学賞受賞)が開発したレーザー照射を利用するMALDI法や、溶液をスプレー噴霧するESI法などがある。

[用語2] 同素体 : 同一元素から構成される分子で、結合形式や原子配列が異なる。同素体同士は互いに物性が異なる。炭素(黒鉛とダイヤモンド)など。

[用語3] アントラセン : 3つのベンゼン環を連結した形のパネル状有機分子。

[用語4] 疎水効果 : 油と同様の性質をもつ化合物またはその部位は、水中で互いに集まる(引き合う)現象を示す。

[文献1] R. Steudel, B. Eckert, Top. Curr. Chem. 230, 1–79 (2003).

[文献2] N. Kishi, Z. Li, K. Yoza, M. Akita, M. Yoshizawa, J. Am. Chem. Soc., 133, 11438–11441 (2011).

[文献3] M. Yamashina, Y. Sei, M. Akita, M. Yoshizawa, Nature Commun., 5, 4662 (2014).

[文献4] M. Yamashina, M. Akita, T. Hasegawa, S. Hayashi, M. Yoshizawa, Science Adv., 3, e1701126 (2017).

論文情報

掲載誌 :
Nature CommunicationsNature姉妹誌)
論文タイトル :
Exact Mass Analysis of Sulfur Clusters upon Encapsulation by a Polyaromatic Capsular Matrix
(分子カプセルの内包による硫黄ナノクラスターの精密質量分析法)
著者 :
Sho Matsuno, Masahiro Yamashina, Yoshihisa Sei, Munetaka Akita, Akiyoshi Kuzume, Kimihisa Yamamoto, Michito Yoshizawa*
(松野匠、山科雅裕、清悦久、穐田宗隆、葛目陽義、山元公寿、吉沢道人*
DOI :

研究内容に関するお問い合わせ

東京工業大学 科学技術創成研究院
化学生命科学研究所
准教授 吉沢道人

E-mail : yoshizawa.m.ac@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5284

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

酸化チタンの新機能を発見 ―薄膜形状で超伝導を実現―

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要点

  • 地球上のありふれた元素を活用した高機能材料の創製に寄与
  • 2つの異なる組成の酸化チタンを薄膜形状に合成し、組成・構造を決定
  • 実験的に未解明だったバイポーラロン超伝導の発現の可能性

概要

東京工業大学 物質理工学院の吉松公平助教と大友明教授は、物質・材料研究機構と共同で、光触媒材料として知られる二酸化チタンの類縁化合物である七酸化四チタン(Ti4O7)とガンマ型の五酸化三チタン(γ-Ti3O5)で超伝導が発現することを発見しました。

研究グループは、パルスレーザ堆積法[用語1]と呼ばれる手法を用いて、高温・強還元の環境下で酸化チタンの薄膜合成を行いました。大型放射光施設SPring-8での高輝度放射光X線回折実験で、合成した薄膜の組成・結晶構造をTi4O7とγ-Ti3O5と決定しました。また、電気抵抗率の温度依存性から極低温で電気抵抗がゼロになる超伝導現象が発現することを見出しました。これらの超伝導は、過去に理論的に予測されていながら、実験的には実証されていないバイポーラロン超伝導[用語2,3]である可能性が考えられます。

今回発見した超伝導体の最高転移温度は、液体ヘリウム温度[用語4]を超える7ケルビンであり、安価で安定な酸化物超伝導体として応用が期待されます。今回の研究成果は、英国の科学誌ネイチャー(Nature)の姉妹紙のオンラインジャーナル「サイエンティフィック リポーツ(Scientific Reports)」に10月2日に公開されました。

研究成果

酸化チタンは、光触媒材料として知られる二酸化チタン(TiO2)を代表として、チタンと酸素の構成比率に応じて、複雑な組成・結晶構造を取る材料系です。研究グループは、酸化チタンの多様性に着目し、薄膜形状での組成・結晶構造の制御を試みました。その際、パルスレーザ堆積法という手法を用い、高温・強還元の環境下で酸化チタンの薄膜を合成し、TiO2とは異なる酸化チタンを得ました。大型放射光施設SPring-8での高輝度放射光X線回折実験により、得られた酸化チタンが七酸化四チタン(Ti4O7)とガンマ型の五酸化三チタン(γ-Ti3O5)の組成・結晶構造を持つことを明らかにしました(図1)。また、これらの薄膜の電気抵抗を測定し、極低温で電気抵抗がゼロとなることを見出しました(図2)。磁化測定からは完全反磁性[用語5]も得られており、超伝導が発現していることを明らかにしました。特にγ-Ti3O5においては、液体ヘリウム温度(4.2ケルビン)を超える7ケルビン以下で超伝導が観測されており、安定で安価な酸化物超伝導材料としての応用が期待されます。また、電気を通さない絶縁体のTiO2と組み合わせることでジョセフソン素子形成が可能となり、シリコンを超える高速スイッチング素子材料への適用も期待されます。

今回作製した酸化チタンの結晶構造。左が七酸化四チタン(Ti4O7)で右がガンマ型五酸化三チタン(γ-Ti3O5)。Ti4O7はせん断面と呼ばれる周期構造を持ち、TiO6八面体鎖を形成している。
図1.
今回作製した酸化チタンの結晶構造。左が七酸化四チタン(Ti4O7)で右がガンマ型五酸化三チタン(γ-Ti3O5)。Ti4O7はせん断面と呼ばれる周期構造を持ち、TiO6八面体鎖を形成している。
今回発見した酸化チタンの超伝導。左が七酸化四チタン(Ti4O7)で右がガンマ型五酸化三チタン(γ-Ti3O5)。γ-Ti3O5では、磁場なしの状態で液体ヘリウム温度を超える7ケルビンから超伝導状態が発現している。
図2.
今回発見した酸化チタンの超伝導。左が七酸化四チタン(Ti4O7)で右がガンマ型五酸化三チタン(γ-Ti3O5)。γ-Ti3O5では、磁場なしの状態で液体ヘリウム温度を超える7ケルビンから超伝導状態が発現している。

研究の経緯

超伝導体は、核磁気共鳴画像法(MRI)により医療分野で活躍し、送電ケーブルやリニアモーターカーなどへの応用が期待される重要な技術です。超伝導材料としてMgB2鉄ヒ素系超伝導体[用語6]銅酸化物系超伝導体[用語7]がよく知られています。大気環境下での安定性の観点から、酸化物系材料が望ましいと考えられていますが、銅酸化物超伝導体にはランタンやイットリウム等のレアメタルが必須で、コストがかかります。そのため、安価な酸化物材料での超伝導体開発が望まれていました。

地球上に豊富にある元素を活用して高機能材料を創製することは今日の材料科学における大きな課題です。この観点から文部科学省の支援を受けて、東京工業大学 元素戦略研究センター(研究代表者:細野秀雄 教授)が平成24年に設立されました。研究グループは、この拠点で環境に対して無害で安定な遷移金属酸化物を用い、超伝導体をはじめとする新機能性材料に関する研究に着手しました。本研究では、光触媒などで実用化されている二酸化チタンと同様に、酸素とチタンのみからなる安価な原料を用いて超伝導体開発を行いました。酸素はクラーク数で1番目、チタンは10番目と共にありふれた元素で酸化チタンは構成されています。単純な構成元素ながら様々な組成と構造を持つ酸化チタンの多様性を生かし、今回、Ti4O7とγ-Ti3O5薄膜の合成と超伝導の発見へとつながりました。

これまでバルク(塊)形状の試料を用いてこれらの酸化チタンの物理的性質が調べられてきました。チタンを他の元素で置換したり、高い圧力を加えたりすることで、電気を流す金属になることは知られていたものの、超伝導が観測された例はありませんでした。Ti4O7については過去の理論的研究で超伝導の発現が予言されていました。これは、バイポーラロン超伝導と呼ばれる機構に基づくものであり、その機構の正しさを実験的に証明するには、まず超伝導が実際に発現することを確かめる必要がありました。Ti4O7の結晶構造は、実際にバイポーラロンが安定に存在しうる形状をしています。せん断面で切断されたTiO6八面体が直線上に伸びた鎖のような形状をしており、この鎖の中には2つの電子が存在すると考えられています(図1)。また、これら電子2つ(バイ)が結晶格子と相互作用(ポーラロン)することで、バイポーラロンを形成すると考えられています。興味深いことに、Ti4O7に見られるTiO6八面体鎖が存在しないγ-Ti3O5においても超伝導が観測されています。一方で、Ti4O7とγ-Ti3O5の両試料が室温から超伝導転移温度に至るまでの電気抵抗変化はとても似通っており(図3)、両試料の超伝導の発現機構に何らかの共通点が存在する可能性が示唆されます。

超伝導の発現機構に関係なく、今回特殊な結晶構造を基板で支持した薄膜形状で形成したことや、酸素量の微妙な制御により理論的に予測されていた電子状態を実現したことが鍵となり、超伝導の発見へとつながりました。

酸化チタンの抵抗率の温度依存性。赤が七酸化四チタン(Ti4O7)で青がガンマ型五酸化三チタン(γ-Ti3O5)。両者が非常によく似た電気抵抗率を持つことがわかる。
図3.
酸化チタンの抵抗率の温度依存性。赤が七酸化四チタン(Ti4O7)で青がガンマ型五酸化三チタン(γ-Ti3O5)。両者が非常によく似た電気抵抗率を持つことがわかる。

今後の展開

研究グループは今回、安価な酸化チタンを用いた超伝導体を発見しました。今後は、薄膜構造や組成を変調させることで、より転移温度が高い物質の創製を目指した研究を進める予定です。また、バイポーラロン超伝導の発現機構を実験的に証明することで、新たな超伝導物質群の開発指針につながることが期待されます。

Ti4O7の理論的な超伝導の発現の予言は、例えば「強い電子-格子相互作用を示す擬二次元系における超伝導と電荷密度波に対する多ポーラロンの理論」(K. Nasu "Many-polaron theory for superconductivity and charge-density waves in a strongly coupled electron-phonon system with quasi-two-dimensionality: An interpolation between the adiabatic limit and the inverse-adiabatic limit" Physical Review B 35, 1748 (1987))などで提案されていた。

本成果は、以下の事業・研究開発課題によって得られました。

  • 文部科学省 元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>電子材料領域
  • 日本学術振興会 科学研究費補助金 若手研究(A)
  • 日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B)

用語説明

[用語1] パルスレーザ堆積法 : 高密度の紫外レーザを用いて原料をプラズマ化し、基板へと原料を堆積する薄膜合成手法の一つ。酸化物材料の薄膜合成に多く用いられています。

[用語2] バイポーラロン超伝導 : 2つのポーラロン[用語3]が格子振動を介してペアを組み、それらが超伝導電流を担うクーパー対のような役割を果たして発現する超伝導の機構を指します。

[用語3] ポーラロン : 結晶格子との相互作用を受けた電子。

[用語4] 液体ヘリウム温度 : 原子番号2のヘリウム(He)の大気圧下での沸点である4.2ケルビンを指します。これ以上の温度は液体ヘリウムを寒剤に用いることで達成されるため、超伝導転移温度の目安の一つとなっています。

[用語5] 完全反磁性 : 超伝導体が持つ特徴の一つ。超伝導状態では物質の内部に磁場が全く侵入しなくなる現象であり、マイスナー効果とも呼ばれます。対象物質が超伝導体であれば、ゼロの電気抵抗と完全反磁性の両方が観測されます。

[用語6] 鉄ヒ素系超伝導体 : 鉄を主成分として含む化合物の中で超伝導転移を示す化合物の総称。いずれも超伝導の発現に鍵となるFeAs層を有します。

[用語7] 銅酸化物系超伝導体 : 1986年に発見された銅(Cu)と酸素(O)を含む超伝導体の総称。結晶構造の中にCuO2面を有するという特徴があります。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Superconductivity in Ti4O7 and γ-Ti3O5 films
著者 :
K. Yoshimatsu, O. Sakata, and A. Ohtomo
DOI :

物質理工学院

物質理工学院 ―理学系と工学系、2つの分野を包括―
2016年4月に発足した物質理工学院について紹介します。

物質理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系
助教 吉松公平

E-mail : k-yoshi@apc.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2146

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系
東京工業大学元素戦略研究センター
教授 大友明

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Tel : 03-5734-2145

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手足を動かす筋肉のつくり方はどうやって進化したのか?

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手足を動かす筋肉のつくり方はどうやって進化したのか?
―サメの鰭から四肢筋の発生様式の進化を解明―

要点

  • 軟骨魚類トラザメの対鰭筋が遊離筋の特徴をもつ細胞からつくられることを解明
  • 軟骨魚類の対鰭筋は遊離筋によらない方法でつくられるという従来の説を覆す
  • 対鰭・四肢の筋肉が遊離筋によってつくられるという発生様式は、従来説より古い起源をもつ可能性を提示

概要

東京工業大学大学 生命理工学院 生命理工学系の田中幹子准教授と岡本恵里大学院生らは、理化学研究所の倉谷滋主任研究員と日下部りえ研究員、工樂樹洋(くらく・しげひろ)ユニットリーダー、東京大学の兵藤晋教授、スペイン CRG[用語1]のジェームス・シャープ(James Sharpe)教授らと共同で、軟骨魚類の対鰭(ついき)[用語2]の筋肉の発生様式が、従来の定説と異なり、遊離筋の特徴をもつ筋芽細胞[用語3]からつくられることを明らかにした。

田中准教授らは四肢筋の発生様式の進化過程を検証するため、軟骨魚類トラザメ属(Scyliorhinus)の胚の対鰭の原基[用語4]を解析した。

四肢は原始的な魚類の胸鰭と腹鰭(対鰭)から進化したものである。サメやエイを含むグループである軟骨魚類は、顎口類(がっこうるい)[用語5]の原始的な状態を知るのに適したモデルとされている。四肢の筋肉は遊離筋とよばれる細胞によってつくられることが知られている。一方、軟骨魚類の対鰭の筋肉は、遊離筋によらない方法でつくられるとされ、四肢の筋肉の原始的な発生様式であると考えられてきた。

今回の研究成果は、顎口類の原始的な状態を反映するとされる軟骨魚類において、その対鰭の筋肉の発生様式が、私たちの四肢の筋肉と類似することを示した。これにより、四肢の筋肉をつくる発生様式が、これまで考えられていたよりも古い起源をもつ可能性を示した。

研究成果は10月2日に国際科学誌「Nature Ecology & Evolution」で公開された。

研究の背景

私たちの手足はそれぞれ原始的な魚類の胸鰭と腹鰭から進化したものである(図1)。サメやエイを含むグループである軟骨魚類は、私たちヒトを含む顎口類の原始的な状態を知るのに適したモデルとして使われている。

私たちの手足の筋肉(四肢筋)は、遊離筋と呼ばれる移動能力を持つ筋芽細胞からつくられる。遊離筋は皮筋節とよばれる骨格筋のもととなる構造から分離し、四肢の原基の中へ移動することで四肢に筋肉をつくる(図2左)。また、遊離筋は「Lbx1」という遺伝子を発現するという特徴をもつ(図2左)。

一方、軟骨魚類の対鰭の筋肉(対鰭筋)はこれまでの研究から、皮筋節が鰭の中にまで伸長することによってつくられるとされており(図2右)、トラザメにおいては胚の筋芽細胞における Lbxタンパクの存在も認められていなかった。これらのことから、対鰭・四肢の筋肉の原始的な発生様式は遊離筋ではなく、皮筋節の伸長によると考えられてきた。

顎口類における対鰭と四肢の模式図。

図1. 顎口類における対鰭と四肢の模式図。

四肢を持つ動物の前肢と後肢は、それぞれ魚類の胸鰭と腹鰭から進化した。軟骨魚類は、顎口類の原始的な状態を知るのに適したモデルとされている。

これまで考えられてきた軟骨魚類における対鰭筋の発生様式。

図2. これまで考えられてきた軟骨魚類における対鰭筋の発生様式。

四肢筋は、遊離筋と呼ばれる遊走能を持つ細胞からつくられる。遊離筋は皮筋節から分離し、四肢の原基の中へ移動する(左)。また、遊離筋はLbx1という遺伝子を発現する特徴をもつ(左)。一方、軟骨魚類の対鰭筋は、皮筋節が鰭の中にまで伸長することによってつくられるとされており(右)、このシステムが四肢の筋肉の原始的な発生様式であると考えられてきた。

研究成果

軟骨魚類トラザメ属(Scyliorhinus)の胚を題材に、対鰭筋の発生様式を再検証した。その結果、トラザメ胚の対鰭の原基でLbx1遺伝子を発現する細胞群が観察された(図3上)。この特徴は、全頭類[用語6]のゾウギンザメ胚でも確認されたことから、軟骨魚類で共通した特徴であると考えられる。

また、トラザメ胚の対鰭の原基で、皮筋節由来の細胞や筋芽細胞であることを示す遺伝子の発現も観察され、軟骨魚類の対鰭筋が、四肢動物と同じく、Lbx1を発現する皮筋節由来の筋芽細胞によって作られることが示された。

さらに、対鰭筋の発生過程を詳しく調べると、対鰭筋を作る筋芽細胞が、皮筋節の腹側の端から分離すること、またこれらの筋芽細胞が、皮筋節から分離後、対鰭原基の中で集まる様子が観察された(図3下)。

これらの結果から、軟骨魚類の対鰭筋の発生様式が、従来の定説と異なり、遊離筋の特徴をもつ筋芽細胞からつくられることが明らかになった。このことは、顎口類の原始的な状態を反映するとされる軟骨魚類において、その対鰭筋の発生様式が、私たちの四肢筋と類似することを示している。今回の研究成果は、遊離筋から対鰭や四肢の筋肉がつくられるという発生様式が、顎口類で共通のメカニズムであり、これまで考えられていたよりも古い起源をもつ可能性を示した。

トラザメ胚の対鰭における<i>Lbx1</i>の発現解析(上)および対鰭筋発生様式の模式図(下)

図3. トラザメ胚の対鰭におけるLbx1の発現解析(上)および対鰭筋発生様式の模式図(下)

トラザメ胚の対鰭の原基でLbx1遺伝子を発現する細胞群が観察された(上)。また、対鰭筋を作る筋芽細胞(赤破線)が、皮筋節の腹側の端から分離し、対鰭原基の中で集まる様子が観察された(下)。

今後の展開

田中准教授らの研究により、遊離筋による四肢の筋肉の発生様式が従来考えられていたよりも、古い起源をもつ可能性が明らかになった。遊離筋は脊椎動物の進化の過程で、四肢筋だけでなく、舌筋や横隔膜など、新しい筋肉をもたらした特殊な細胞群である。

軟骨魚類を題材としたこの研究成果は、これらの遊離筋由来の筋肉の進化を理解する上でも重要な発見となった。軟骨魚類のような、技術的な制限が多い生物を使った研究は、ゲノム解析技術の発展により可能になってきている。今後も、サメのように系統的に重要な動物を題材に進化の謎に迫っていく。

用語説明

[用語1] CRG : (Center for Genomic Regulation)2000年に創設されたスペイン・バルセロナにある国際的な生命科学の研究所

[用語2] 対鰭 : 左右が対になった鰭。胸鰭と腹鰭を指す。

[用語3] 筋芽細胞 : 筋肉のもととなる細胞。

[用語4] 原基 : 将来ある器官になることに予定されてはいるが、まだ形態的・機能的には未分化の状態にある部分。

[用語5] 顎口類 : 脊椎動物(背骨を持つ生物群)は顎を持たない無顎類と顎を持つ顎口類に分類される。軟骨魚類を含め、対鰭や四肢をもつ現生の生物は顎口類に含まれる。

[用語6] 全頭類 : 軟骨魚類の現生種は板鰓類(サメ類やエイ類)と全頭類(ゾウギンザメ類)に大きくわけられる。

論文情報

掲載誌 :
Nature Ecology & Evolution
論文タイトル :
Migratory appendicular muscles precursor cells in the common ancestor to all vertebrates
著者 :
Eri Okamoto, Rie Kusakabe, Shigehiro Kuraku, Susumu Hyodo, Alexandre Robert-Moreno, Koh Onimaru, James Sharpe, Shigeru Kuratani and Mikiko Tanaka
DOI :

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

東京工業大学大学 生命理工学院 生命理工学系

准教授 田中幹子

E-mail : mitanaka@bio.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5722

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

講演会「大変革期の科学技術イノベーション政策に向けて」開催報告

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9月21日、大岡山キャンパス本館3階第2会議室にて、国立研究開発法人科学技術振興機構(Japan Science and Technology Agency、以下JST)研究開発戦略センターのセンター長代理である倉持隆雄氏による講演会「大変革期の科学技術イノベーション政策に向けて 鳥の目、虫の目、つながる目」を開催しました。

当日は、学長、理事・副学長等の執行部をはじめ本学の研究企画立案に携わる教職員66名が参加しました。

参加者に向かって講演する倉持氏

参加者に向かって講演する倉持氏

はじめに、倉持氏はJST研究開発戦略センターが作成している「研究開発の俯瞰報告書(2017年)」を基に「システム・情報科学技術分野」、「ナノテクノロジー・材料分野」、「エネルギー分野」、「環境分野」、「ライフサイエンス・臨床医学分野」の5分野について、研究分野の俯瞰図、世界的なトレンド、日本の挑戦課題等について紹介しました。

続いて、科学技術イノベーション政策に向けた提案(事例)と題し、我が国の限られた財政資源で最大限の成果を産み出していくための研究費制度全体を視野に入れた改革について、具体的な分析を交えて説明を行いました。

最後に、JST研究開発戦略センターで取り組んでいる新たな活動のひとつとして「持続可能な開発目標(SDGs)」における科学技術イノベーションの役割と期待について語りました。

講演会の最後には質疑応答が行われ、活発な質問に倉持氏が丁寧に回答し、日本の科学技術を取り巻く状況についてさらに理解を深めました。

満席の会場の様子
満席の会場の様子

講演後参加者からの多くの質問
講演後参加者からの多くの質問

お問い合わせ先

企画・評価課総合企画グループ

E-mail : kik.sog@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2011

10月の学内イベント情報

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10月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

「Japan-Italy Bilateral Symposium on Artificial Photosynthesis Using Metal Complexes」開催

「Japan-Italy Bilateral Symposium on Artificial Photosynthesis Using Metal Complexes」開催

新学術領域研究「革新的光物質変換」主催の日本-イタリア2国間会議「Japan-Italy Bilateral Symposium on Artificial Photosynthesis Using Metal Complexes」を東京工業大学で開催いたします。

日時
2017年10月2日(月)10:00 - 17:40
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

健康・衛生週間特別講演会「メタボリックシンドロームは万病の元」

健康・衛生週間特別講演会「メタボリックシンドロームは万病の元」

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態です。手遅れになるまで症状がほとんどでないメタボリックシンドロームの怖さと、その予防法をお話しします。

日時
2017年10月4日(水)17:30 - 18:30
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
不要

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2017年後期)

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2017年後期)

本講座では前半の講義として、私たちの身の回りにある化学品を含むゴムやプラスチックとその製品の安全・安心に関する情報とやさしい科学を、一般の方にもわかりやすく紹介します。更に後半の講義では、少し高度な内容として、最先端の安全性評価技術、劣化と寿命予測技術、耐性向上技術、高性能・高強度化技術・材料に関する科学を紹介し、将来の安心・安全な材料・製品設計の基礎を学べるようにします。

日時

※各日 10:45 - 12:15(全て水曜)

1.
2017年9月27日、10月4日、10月11日、10月18日、10月25日、11月1日、11月8日、11月15日
2.
2017年11月29日、12月6日、12月13日、12月20日、2018年1月10日、1月17日、1月24日、1月31日
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
必要

工大祭2017

工大祭2017

工大祭は、大岡山キャンパスが1年で最も熱気に包まれる2日間のお祭りです。例年、在学生や受験生、そして近隣住民の方々など、約50,000人の来場者を迎えています。講義室では様々な展示や発表が行われ、キャンパスにはたくさんの模擬店が並びます。野外ステージではバンドコンサートやお笑いライブなど、様々なイベントが行われ、大いに盛り上がります。最先端の研究や技術を体験できる、恒例の研究室公開も行います。

日時
2017年10月7日(土)、8日(日) 10:00 - 18:00
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
不要

科学教室「進化論と利他行動 2017~あなたは困っている人を助ける?~」

科学教室「進化論と利他行動 2017~あなたは困っている人を助ける?~」

自己を犠牲にして、他個体の利益となるような行動を「利他行動」と呼びます。歴史的に古典的なダーウィン流の進化論でこの利他行動の進化を説明することは困難でした。そこで昨年度に続き、その利他行動の進化をどのように説明すればよいのか、現代の進化生物学がその発展と共にどのように考えてきたのかを考察することを目的として、高校生以上を対象にした科学教室を開催します。今年度は、昨年度よりもシミュレータをパワーアップさせ、参加者の皆さまには利他行動の進化をよりダイナミックに体験してもらおうと考えておりますので、ふるってご参加下さい。

日時
2017年10月7日(土) 13:00 - 16:00
会場
参加費
無料
対象
高校生以上
申込
必要

科学教室「海の生物の行動観察」

科学教室「海の生物の行動観察」

海には夜行性の生物が多くいます。夜行性の生物たちは夜、どのような動きをしているのでしょう。ウミホタルは?ヤドカリは?二枚貝は?今回はそんな生物達の行動を観察しましょう。

日時
2017年10月8日(日) 13:00 - 15:00
会場
参加費
無料
対象
小学校4年生以上の親子(保護者の同意を得て下さい)
申込
必要

先導原子力研究所 施設公開(10月7日、8日)/原子力オープンスクール(10月8日)

先導原子力研究所 施設公開(10月7日、8日)/原子力オープンスクール(10月8日)

先導原子力研究所では、平素実施しております研究の他に、福島第一原子力発電所の廃止のための科学技術的な研究や、周辺環境の除染など福島の復興に向けた研究を進めるとともに、これからの日本を支える学生の教育を行っています。今年も工大祭の企画として学生が中心となり、施設公開ツアー、原子力オープンスクール、模型展示などを企画しております。皆様お誘いあわせの上、ご参加くださいますようご案内申し上げます。

日時・会場
  • 原子力オープンスクール(10月8日のみ)

    13:10 - 14:00 放射線についての授業(予約不要)

    14:10 - 17:00 体験実習(要予約)

  • 施設公開、展示(10月7日、8日)

    10:00 - 18:00 「原子力に関する展示」(予約不要)

    11:00 - 12:00、14:00 - 15:00 研究室ツアー(予約不要)

※ ツアーは1日2回開催(北1号館 1階会議室に開始15分前集合予定)

参加費
無料
対象
一般

第60回 My Study Abroad 留学報告会

第60回 My Study Abroad 留学報告会

本学のプログラムにより留学した学生の報告会を開催します。経験者の話を聞き、質問できるチャンスです。事前登録不要、出入り自由ですので、興味のある方は直接会場にお越しください。なお、ランチ持込OK、昼食時のイベントですので、飲食が可能です。

日時
2017年10月13日(金) 12:20 -
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

講演会「進化する生命」開催

講演会「進化する生命」開催

科学技術は、人類の想像力は、生命をいかに進化させるのか。研究、開発、制作の最前線に立つ講師を迎え、「生命」の未来に迫ります。

日時

9月30日(土)17:00 - 19:00、10月14日(土)10:00 - 12:00 14:00 - 16:00、11月18日(土)15:00 - 17:00 18:00 - 20:00

会場
参加費
  • 一般

    1講演2,000円、全5回一括8,000円

  • 社会人教育院および社会人アカデミー講座受講生・修了生

    1講演1,500円、全5回一括6,000円

  • 小・中・高・専門学校・大学・大学院等学生(当日、要学生証)

    1講演500円、全5回一括2,000円

  • 蔵前工業会会員・ゴールドカード家族会員、本学学生(附属高校含む)、本学教職員

    無料

対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

東工大・一橋大共同開催「デザイン思考1-dayワークショップ」

東工大・一橋大共同開催「デザイン思考1-dayワークショップ」

米国Stanford大学d.schoolで行われている「デザイン思考」を構成する、5 stepsを体験し、「デザイン思考」のコンセプト理解を目指します。従来の知識の積み重ねではなく、先入観に縛られないアイデア出し、プロトタイプによる顧客に潜在するニーズの発掘を通して、イノベーションを生み出すコンセプトを体験できる5時間の集中ワークショップです。昨年に引き続き、一橋大学の協力のもと、同大学国立・東キャンパスでの開催で、東京工業大学生と一橋大学生でワークショップを行います(使用言語は日本語です)。10月28、29日で開催予定の「d.school comes to Tokyo Tech」に参加予定の方で、英語に少々自信のない方は、事前に本ワークショップに参加し、「デザイン思考」の概要を掴んでおくことを推奨します。

日時
2017年10月14日(土) 11:00 - 16:00
会場
参加費
無料
対象
学部生・大学院生(東工大、一橋大以外も応募可)
申込
必要

d.school comes to Tokyo Tech - 2-days BOOTCAMP "Design Challenge" 2017

d.school comes to Tokyo Tech - 2-days BOOTCAMP Design Challenge 2017

「デザイン思考」は、研究者・ビジネスパーソンに関わらず、現在も、そしてこれからもずっとイノベーションを起こすことを求められる人にとって、今や常識ともいうべき考え方です。そのベースとなる概念、「Creative Confidence」を、「デザイン思考」の本場である米国Stanford Univ./d.schoolの現役講師から、直接、指導を受けられる日本で唯一の機会です。この2日間のBOOTCAMPを通して、「デザイン思考」の本質を、体感・実践してください。今回も、東工大グローバルリーダー教育院(AGL)山田道場のOPEN道場の一環として、AGL所属生、本学一般学生は勿論、他大学学生も応募可能です。定員制(40名、学生のみ)ですので、定員以上の応募がある場合は、選抜となります。参加希望の方は、下記概要を参照の上、できるだけ早くお申し込みください。

日時
2017年10月28日(土)・29日(日) 9:00 - 18:00
会場
参加費
無料。ただし、ランチ・スナック・飲み物等として\3,000をお支払いただきます。
対象
学生であればどなたでも応募いただけます。申込多数の場合は、東工大AGL所属生を優先、及び選抜をすることがあります。
申込
必要

東工大 グローバル水素エネルギー研究ユニット 第3回公開シンポジウム

東工大 グローバル水素エネルギー研究ユニット 第3回公開シンポジウム

将来の水素利用体系に関する総合的かつ技術的な検討を推進する「東工大グローバル水素エネルギー研究ユニット(GHEU)」は、国内外の水素利用技術の現状と将来展望を共有するための公開シンポジウムを開催致します。

日時
2017年10月16日(月)
シンポジウム:13:30 - 17:50
意見交換会:18:00 - 20:00
会場
東工大蔵前会館outer
シンポジウム:くらまえホール(1F)
意見交換会:ロイアルブルーホール(1F)
参加費
無料(意見交換会は3,000円(当日払い))
対象
一般
申込
必要

2017年度 博士後期課程 全学説明会

2017年度 博士後期課程 全学説明会

博士後期課程に少しでも興味のある学生や保護者の方々を対象とした全学説明会を開催します。この説明会は、博士後期課程に関する様々な情報を提供し、理解を深めていただくことを目的とします。現在博士後期課程に在学中の学生や、博士号取得後に企業で活躍している社会人の“生の声”を聞くことができる貴重な機会です。ぜひご参加ください。

日時
2017年10月16日(月)16:45 - 18:15、10月31日(火)16:45 - 18:15
会場

大岡山キャンパス 西講義棟1(西5号館)3階 レクチャーシアター

すずかけ台キャンパス H1・2棟(大学会館) 3階 多目的ホール

※ 各回とも同内容で、大岡山とすずかけ台の両キャンパスを中継し、遠隔実施します。

(10/16はすずかけ台、10/31は大岡山がメイン会場)

参加費
無料
対象
学生(修士/学士)とその保護者、学外一般からの参加も歓迎いたします
申込
不要

教育革新シンポジウム CITL INSTITUTE 2017

教育革新シンポジウム CITL INSTITUTE 2017

2015年から数えて第3回目の開催となる本シンポジウムは、「21世紀の大学像と学生の学び」をテーマとして開催します。

日時
2017年10月17日(火)14:00 - 17:45 (受付開始 13:30 -)
会場
参加費
無料 情報交換会は3,000円
対象
本学教職員・学生・他大学教職員など
申込
必要

第37回 蔵前科学技術セミナー

第37回 蔵前科学技術セミナー

東京工業大学の同窓会である一般社団法人蔵前工業会は、時宜に適した技術テーマを取り上げて「蔵前科学技術セミナー」を主催してきました。今年は、東京工業大学との共催により、「人とロボットの近未来~人と共生するロボット~」を特集テーマとする講演会を開催致します。人工知能やICTが活躍する近未来の社会では人と共生するロボットがどのような仕組みや原理で成り立っているかについて開発に携わっている専門家から分かり易く解説していただきます。

日時
2017年10月21日(土)講演会 13:00 - 17:30 (受付開始12:30)、交流会 17:50 - 19:20
会場
参加費
講演会は参加費無料。交流会参加費は 一般3,000円、学生・生徒は無料。
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

第1回Tokyo Tech Research Festival

第1回Tokyo Tech Research Festival

東京工業大学は世界のトップユニバーシティを目指し改革を進めています。この改革の一環として、本学の研究の目標である「真理の探求」、「持続的発展のための課題解決」および「次世代産業の芽の創出」を加速するために、本年4月に研究・産学連携本部を発足させました。

そしてこの度、研究活動の「組織化」と「見える化」への取り組みの一つとして、Tokyo Tech Research Festivalを開催することとしました。このリサーチフェスティバルの目玉は、新進気鋭の若手研究者達の最先端の研究成果です。これらは、学内の厳しい競争と経験豊かな研究者による切磋琢磨の中で育てられたもので、初めて公開される挑戦的かつ最新の成果も多く含まれています。また、研究ユニットやイノベーション研究推進体など、将来の組織的産学官連携や異分野融合のための活動や、本学の産学連携メニューやこれを支えるURA組織(本学のリサーチアドミニストレーター組織)についても紹介いたします。開催時間中は、研究者と自由に対話ができます。

産学連携に関心のある産業界、起業家の皆様を中心にイノベーションに関心のある方々のご来場、皆様からの問いかけを、研究者一同お待ちしております。

日時
2017年10月25日(水)13:30 - 16:30
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
必要

東京工業大学AESセンター第10回シンポジウム

東京工業大学AESセンター第10回シンポジウム

国が打ち出したSociety5.0「超スマート社会」の実現に向けて、AIやIoTといった統合稼働技術が注目されています。

東京工業大学 科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究センター(AESセンター)は産官学連携のオープンイノベーション拠点として、いち早くこうした研究を進めてまいりました。10回目となる今回は「AI/IoTによる超スマート社会とエネルギーネットワーク」というテーマで、超スマート社会における分散型エネルギーシステムの構築の意義について、幅広い分野のご登壇者と議論します。

日時
2017年10月26日(木) 13:00 - 17:30(12:30 開場)
会場
参加費
無料
対象
一般
申込
必要

第1回実践的原子力安全教育道場アジア大会inふくしま 研修生募集

第1回実践的原子力安全教育道場アジア大会inふくしま 研修生募集

日本と海外の大学から選抜した学生が、茨城・福島に集まり、原子力に関する講義と施設等の見学やグループ討論を行います。学生同士の国際交流もできる良い機会ですので、ぜひふるってご応募ください。

日時
2017年10月29日(日) - 11月3日(金) 5泊6日
会場
茨城県(日立市)、福島県(いわき市他)
参加費
無料
対象
海外の学生5名程度、国内の学生(大学連合連携大学)5名程度を選抜します。
申込
必要

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

次期学長候補者を決定

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国立大学法人東京工業大学は、学長選考会議における選考の結果、本学 科学技術創成研究院の益一哉教授(同研究院長)を次期学長候補者に決定しました。

益一哉教授

候補者の略歴と、学長選考会議による選考理由は、以下をご覧ください。

なお、次期学長の任期は、2018年4月1日(日)から2022年3月31日(木)までの4年間となります。

お問い合わせ先

総務部 総務課 総務秘書グループ

E-mail : som.sohi@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2032、03-5734-2036

東京工業大学の研究と産学連携の「今」を紹介 第1回Tokyo Tech Research Festivalの開催について

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東京工業大学は世界のトップユニバーシティを目指し改革を進めています。この改革の一環として、本学の研究の目標である「真理の探求」、「持続的発展のための課題解決」および「次世代産業の芽の創出」を加速するために、本年4月に研究・産学連携本部を発足させました。

そしてこの度、研究活動の「組織化」と「見える化」への取り組みの一つとして、Tokyo Tech Research Festivalを開催することとしました。このリサーチフェスティバルの目玉は、新進気鋭の若手研究者達の最先端の研究成果です。これらは、学内の厳しい競争と経験豊かな研究者による切磋琢磨の中で育てられたもので、初めて公開される挑戦的かつ最新の成果も多く含まれています。

また、研究ユニットやイノベーション研究推進体など、将来の組織的産学官連携や異分野融合のための活動や、本学の産学連携メニューやこれを支えるURA組織(本学のリサーチアドミニストレーター組織)についても紹介いたします。

このリサーチフェスティバルを、本学の産学連携の「今」を知る発表会として定着させてまいります。

当日は、本イベントの参加研究者が、自らの研究についてパネルを用いてお話をいたします。

開催時間中は、研究者と自由に対話ができます。

産学連携に関心のある産業界、起業家の皆様を中心にイノベーションに関心のある方々のご来場、皆様からの問いかけを、研究者一同お待ちしております。

競争と切磋琢磨:学内の選抜・育成制度=「東工大の星」支援【STAR】outer「研究の種発掘」支援outer「東工大挑戦的研究賞」outer「研究支援(A)大型研究プロジェクト形成支援」、「研究支援(B)若手異分野融合研究支援」outer手島精一記念研究賞outer<研究論文賞、博士論文賞、留学生研究賞、発明賞、著述賞、若手研究賞(藤野・中村賞)>など。
日程
2017年10月25日(水)
場所
参加申込
参加申込フォームouterからお申込みください。
※申込締切は2017年10月18日(水)を予定しております。

第1回Tokyo Tech Research Festival チラシ

問い合わせ先

研究・産学連携本部
(研究推進部 研究企画課 研究企画第1グループ)

Email : kenkik.kik1@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7688

平成29年度9月東京工業大学学位記授与式を挙行

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9月20日、東工大蔵前会館にて学位記授与式が執り行われました。学部卒業生35名と修士課程154名、専門職学位課程9名、博士後期課程84名の大学院修了生に学位が授与されました。ご来賓、卒業生・修了生のご家族、ご友人など多くの方々が参列され、卒業生・修了生の門出を祝いました。

平成29年度9月東京工業大学学部・大学院学位記授与式

学長式辞(三島良直学長)
学長式辞(三島良直学長)

式典は、卒業生・修了生の努力と成果、それを支えたご家族を賞する三島学長の祝辞で始まりました。計282名の晴れの日に際して、よりよい未来を創造するために、本学で培った知識と能力を活かしながら、深奥を究めて新しい挑戦にたゆまぬ努力を続けてほしいとメッセージを送りました。また、卒業生・修了生の半数以上を占める留学生に対して苦労を労い、勇気を称えました。

部局長式辞(翠川三郎大学院総合理工学研究科長)
部局長式辞(翠川三郎大学院総合理工学研究科長)

続いて、翠川三郎大学院総合理工学研究科長が、部局長を代表してお祝いの言葉を述べました。柔軟なマインドと多面的なビジョンで持続可能なよりよい社会の実現に貢献してほしいとエールを送りました。

さらに、多くの来賓の方々を代表し、本学同窓会「一般社団法人蔵前工業会」の鈴木登夫業務執行理事(昭和44年 工学部 電気電子工学科卒)より、祝辞をいただきました。

来賓挨拶に続き、卒業生・修了生への学位記授与とリーディング大学院プログラムの修了生への修了証書授与が行われ、卒業生・修了生を代表して、大学院生命理工学研究科 博士後期課程修了生の持田啓佑さんが謝辞を述べました。学内教職員のご指導と助言に対しての感謝と、世界の平和や明るい未来の発展のために貢献していくことを誓いました。

蔵前工業会理事による祝辞(鈴木登夫業務執行理事)
蔵前工業会理事による祝辞(鈴木登夫業務執行理事)

大学院修了生持田啓佑さんによる謝辞
大学院修了生持田啓佑さんによる謝辞

卒業生、修了生のみなさんのご健康と益々のご活躍を心よりお祈りいたします。

東工大代表団がASPIREフォーラム 2017に出席

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本学が加盟しているASPIREリーグ※1が毎年7月に開催している「ASPIRE フォーラム」が7月9日~15日に南洋理工大学(NTU、シンガポール)で行われ、加盟大学から副学長およびシニアスタッフ、シンポジウム講演者、ワークショップの参加学生ら総勢62名が参加しました。

本学からは、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)を団長とした8名の代表団が7月13日~14日に行われたシンポジウムと副学長会議に出席しました。関口秀俊副学長(国際連携担当)、ASPIRE事務局から三原久和生命理工学院長、ASPIREリーグ運営チームより環境・社会理工学院の西條美紀教授、シンポジウム講演者として、学術国際情報センターの青木尊之教授、生命理工学院の上野隆史教授が同行しました。

参加した教職員と学生

参加した教職員と学生

ASPIREフォーラムは、テーマに沿った研究成果を各大学の研究者が発表する「シンポジウム」や学生向けの「ワークショップ」、加盟大学の副学長やシニアスタッフが各大学のリーグ内での活動について報告する「副学長会議」で構成されています。今年のテーマは「Sustainable and Livable Cities(持続可能で住みよい都市)」でした。

副学長会議

本学のASPIREリーグの活動について説明をする丸山理事・副学長
本学のASPIREリーグの活動について説明をする丸山理事・副学長

各大学の副学長およびシニアスタッフが出席した副学長会議では、リーグ内の学生交流や研究交流活動の報告と今後の活動に関する提案がなされ、活発な意見交換が行われました。

シンポジウム

7月13日に開催されたシンポジウムでは、加盟大学の研究者がフォーラムテーマに沿った研究活動について発表を行いました。

スーパーコンピュータTSUBAMEを活用した研究の紹介

講演を行う青木教授
講演を行う青木教授

本学からは、青木教授が、「Green Super Computer TSUBAME and Large-scale Applications on Computational Fluid Dynamics(グリーンスーパーコンピュータTSUBAMEと大規模数値流体シュミレーション)」というテーマのもと、学術国際情報センターが運用しているスーパーコンピュータTSUBAMEの特長とTSUBAMEを活用し、開発した計算手法によるシミュレーション事例を紹介しました。本年8月に運用を開始した「TSUBAME3.0」は、2017年6月期の世界のスパコン省エネ性能ランキングGreen500 Listにおいて1位を獲得しました。電力比性能とハイパフォーマンスを兼ね備えた同システムは、理工学の様々な最先端研究のシミュレーションを可能としています。青木教授は津波の建物に与える衝撃、都心部の気流、水と空気が激しく入り混じる流れ、複雑な形状の固体粒子を多数含んだ流れなどのTSUBAMEを使った大規模シミュレーションの事例を紹介しました。

ASPIREリーグの共同研究の紹介

東工大が創設した研究グラント(助成金)をもとに2011年から東工大の研究代表者とASPIREリーグ加盟大学の研究者との間で実施している、共同研究についても報告がありました。今年のシンポジウムでは、上野教授が持続可能なバイオ材料の創成を志向したタンパク質ケージの新しい精密機能化法の確立を目指している共同研究について報告をしました。上野教授の共同研究グループには、香港科技大学からグアン・ジュ教授、韓国科学技術院(KAIST)からヨン・スンナム准教授、清華大学からディエナン・ルー准教授、NTUからシャーリン・リム准教授およびケリン・シア助教が参加しています。

学生ワークショップ

NTU アー副学長(後列左端)と参加学生

NTU アー副学長(後列左端)と参加学生

学生ワークショップには、ASPIREリーグおよびIDEAリーグ※2から30名の学生が参加し、本学からも修士、博士課程の学生5名が参加しました。学生たちは、約1週間にわたって、NTUおよび他機関の講師による講演を受講し、シンガポールにある、ソーラーエネルギーソリューションをリードする企業RECのソーラー生産設備、下水をリサイクルするための浄化施設「NEWater」、Royce-Rolls社のシンガポール工場を訪問しました。

最終日には、学生たちが各大学の副学長の前でワークショップ期間中にグループワークで作成したプレゼンテーションを発表する場が設けられました。大学混成5チームに分かれてのプレゼンテーションでは、発表賞がチームおよび個人に授与されました。本学大学院総合理工学研究科 物理電子システム創造専攻 博士課程2年の大橋匠さんが参加したチームは、「グリーンエネルギー」をテーマに、熱帯のシンガポールにおける人々の生活の質を向上させるため、環境やライフスタイルに応じた再生可能エネルギーや、効率的にエネルギーを制御できるスマートグリッド、明るさや眩しさを制御するスマートウインドウを導入したライフスタイルを提案し、最優秀グループ発表賞を受賞しました。

大橋さんは、「非常に良い雰囲気の中、学びや楽しみも多い、素晴らしい1週間を過ごすことができた。また多様なバックグラウンドを持つ学生との繋がりや、世界を舞台に働く自信を持ち帰ることができた」と話し、友人たちと健闘を称えあいました。

フォーラム開催中、リーグ加盟大学の副学長およびシニアスタッフも、下水をリサイクルするための浄化施設「NEWater」や持続可能で住みやすい都市の実現を目指し、調査研究・人材育成・情報発信を行う「Centre for Liveable Cities」を訪問しました。

2018年のASPIRE Forumは7月上旬にNTUで開催される予定です。

フォーラムに参加した東工大教職員と学生(前列右端が大橋さん)

フォーラムに参加した東工大教職員と学生(前列右端が大橋さん)

※1 ASPIREリーグ

本学が発案し、2009年に設立された科学技術の発展と人材の開発を通してアジアにおけるイノベーションのハブを形成することを目的とした、アジア地域における理工系トップ大学のコンソーシアムです。加盟大学は、清華大学(中国)、香港科技大学(中国)、NTU(シンガポール)、KAIST(韓国)と東京工業大学の5大学。東工大は、設立当初より事務局を務めています。

※2 IDEAリーグ

デルフト工科大学(オランダ)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、アーヘン工科大学(ドイツ)、シャルマーズ工科大学(スウェーデン)、ミラノ工科大学(イタリア)のヨーロッパ理工系大学5大学で構成されたコンソーシアム。両リーグでは、2011年より各サマープログラムに学生の相互派遣を行っています。


東工大リベラルアーツ研究教育院主催 シンポジウム「緊急開催:来たる衆院選とその後の日本をうらなう」

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9月半ばに安倍首相が衆議院の解散をほのめかして以来、希望の党の結成や民進党の事実上の解体など日本の政界は激変しました。10月に予定されている次の衆議院選挙は日本の行方を大きく左右するものとなるでしょう。そこで急遽、「来たる衆院選とその後の日本をうらなう」というシンポジウムを企画いたしました。選挙の開票速報番組でのコメントの鋭さで定評のある池上彰特命教授をコーディネーターに立て、現下の問題に対して深いアカデミズムの知見に立脚した論評ができるパネリストが一堂に会します。テレビでは見られない突っ込んだ議論が展開されるでしょう。ぜひ足をお運びください。

入場には整理券が必要です。整理券は当日13:00より西9号館2階ディジタル多目的ホール入口にて配布いたします。

日時
2017年10月19日(木) 15:00 - 17:00
場所
東京工業大学 大岡山キャンパス 西9号館2Fディジタル多目的ホール
(ホールが満席になった場合は、他の教室で中継映像をご覧いただくこともあります)
参加費
入場無料、整理券制(先着順250名)

リベラルアーツ研究教育院主催「来たる衆院選とその後の日本をうらなう」 ポスター

リベラルアーツ研究教育院

リベラルアーツ研究教育院 ―理工系の知識を社会へつなぐ―
2016年4月に新たに発足したリベラルアーツ研究教育院について紹介します。

リベラルアーツ研究教育院(ILA)outer

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

お問い合わせ先

リベラルアーツ研究教育院文系教養事務

E-mail : ilasym@ila.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-7689(平日10:30 - 17:00)

サマープログラム2017を開催

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6月~9月の約3ヵ月間、本学協定校を含む理工系トップ校との連携による国際化の推進を目的として、サマープログラム(Tokyo Tech Summer Program 2017)を開催しました。

快晴の開講式当日

快晴の開講式当日

2回目の開催となったサマープログラムでは、10週間の研究中心プログラム(6、7月スタート)、および4週間の授業中心プログラムという2つのプログラムを提供し、学士課程3年生から博士課程の学生まで、28大学から41名が参加しました。

研究中心プログラム

6月5日~8月9日と7月3日~9月8日の10週間にかけて、参加学生29名が受入れ指導教員のもと、本学での研究活動に従事しました。研究室での研究活動のかたわら、必修科目「Japan Studies」、企業見学、日本語初心者は「サバイバル・ジャパニーズ(Survival Japanese)」という授業で日本語の基礎を学び、また課外活動ではさまざまな日本文化を体験しました。

受入教員リストおよび参加学生のリサーチトピックPDF

受入研究室からのメッセージ

道信研究室

  • 参加学生:ウィスコンシン大学マディソン校 学士課程 タン・アロン・チェルさん
  • 受入担当教員:物質理工学院 材料系 道信剛志准教授 

右から道信准教授、タンさん、メンターのワン博士
右から道信准教授、タンさん、メンターのワン博士

道信准教授より

今回、タン君を受け入れるにあたり最も注意した点は、10週間で完了できるテーマを設定することでした。ある程度うまくいっている研究の中から実験項目を選び、条件最適化など時間がかかる内容が含まれないように配慮しました。ちょうど有機半導体高分子のテーマが軌道に乗ってきていたので、ワン博士の指導のもと高分子合成からトランジスタ測定まで一通り経験してもらうことにしました。タン君は学部の3年生でしたが、積極的で飲み込みが早いため、一度教えた実験操作はすぐにマスターしていました。結果的に、高分子の化学構造を少し変えると半導体特性が大きく変わることを実証することができました。

東京工業大学にはいろいろなプログラムがあり、多くの留学生が在籍しています。タン君のように滞在期間が短い場合もありますが、事前にメールで打ち合わせてうまくテーマ設定すれば、研究成果を残すことができます。タン君のアメリカの大学での研究テーマは無機半導体らしいのですが、有機半導体に触れた経験が将来役立ってくれればいいなと思っています。

野村研究室

  • 参加学生:ミュンヘン工科大学 修士課程 リーレット・キリアン・アドレアノさん
  • 受入担当教員:理学院 地球惑星科学系 野村英子准教授

右から野村准教授、リーレットさん
右から野村准教授、リーレットさん

野村准教授より

私たちの研究室では、宇宙における分子進化、特に惑星形成領域で生成された有機分子と太陽系内物質との関連や、天体からの分子線の観測を通じた惑星形成過程の検証などをテーマに研究を行っています。今回、短期留学生として受け入れたキリアン君は大変好奇心が旺盛で、素粒子物理学専攻であるにも関わらず、宇宙物理学にも強い関心をもっていました。サマー・プログラムでは、惑星形成の母胎である原始惑星系円盤内において、生体分子にもつながる有機分子が生成される過程をモデル計算しました。キリアン君は学力も高く、プログラミングを駆使して異分野ならではの新たな視点で研究の推進に貢献してくれました。キリアン君の受入れは、関連分野の研究を行う院生に、ゼミなどを通じて良い影響を与えたと思います。また語学も堪能で、日本人学生と日本語でコミュニケーションを取っており、研究室に所属する留学生にもよい刺激になったと思います。

授業中心プログラム

7月3日~7月28日の4週間にわたり、12名の学生が参加しました。

授業中心プログラムは、キャンパスアジア(日中韓先進科学技術大学教育高度化プログラム)と合同のプログラムになります。

詳しくは、TKT CAMPUS Asiaウェブサイトouterをご覧ください。

体験企画

本プログラムでは今年度、以下の体験企画を提供し、参加学生は日本文化や日本人学生との交流を楽しみました。

  • 日本文化体験(茶道・浴衣着付け体験/琴・三味線体験/書道体験)
  • 東工大国際学生交流会SAGEによる東京オリエンテーリング

日本文化体験

茶道・浴衣着付け体験

茶道・浴衣着付け体験

茶道・浴衣着付け体験

琴・三味線体験

琴・三味線体験

琴・三味線体験

書道体験

書道体験

書道体験

東工大国際学生交流会SAGEによる東京オリエンテーリング

学生交流(本学学生団体SAGE主催 東京オリエンテーリング)

学生交流(本学学生団体SAGE主催 東京オリエンテーリング)

学生交流(本学学生団体SAGE主催 東京オリエンテーリング)

学生交流(本学学生団体SAGE主催 東京オリエンテーリング)

ホームビジット

留学生の日本文化体験、および東工大生との学生交流を目的としたホームビジットを企画しました。東工大生12名とそのご家族のご協力で、29名の留学生が日本の家庭を体験しました。

ウィンタープログラムで試行し、これまでに39名の留学生が家庭訪問を行い、双方向に特別な経験ができたとの報告を受けています。

ホームビジット受け入れ家庭、東工大生からのメッセージ

野村尭平さん(1類 学士課程1年)

ハーバード大学のタン・レイモンドさんと一緒に
ハーバード大学のタン・レイモンドさんと一緒に

アイントホーフェン工科大学(オランダ)のジェ・スティーブンさん、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のエボラ・アレッテさんと一緒に
アイントホーフェン工科大学(オランダ)のジェ・スティーブンさん、
カリフォルニア大学サンタバーバラ校のエボラ・アレッテさんと一緒に

野村尭平さんより

ホームビジットというプログラムを初めて知ったのは、東工大で春に行われた留学フェアに参加した時でした。本プログラムに応募した主な理由としては、将来海外へ留学したいという思いがあったので英語を使ういい機会であると思ったのと、留学先として行きたいような大学から数多くの学生が東工大のサマープログラムに参加しているのを知って、実際にさまざまな話を直接聞きたいと思ったからです。

ホームビジティング当日は東京を少し案内してから家に向かい、みんなでお好み焼きを作り、とても喜んでもらえました。その後も学校でばったり会うことも多く、一緒にランチを食べたり、僕のクラブに何回か体験に来てくれたりと仲良くなることができました。また、研究室ではどんなことをやっているのかを聞けたのもとても面白かったです。

このような交流が学校内でできるのは、留学生にとっても東工大生にとってもお互い貴重な経験だと思うので、少しでも興味がある人はぜひ応募してみてください。

プログラム最終日には、研究中心プログラム参加学生29名が10分間の研究成果発表を行い、活発な質疑応答が交わされました。またその後の自由討論では、プログラムに対する意見交換や東工大での経験について、参加学生から率直な感想が述べられました。

研究中心プログラム参加学生による発表
研究中心プログラム参加学生による発表

留学生からのお礼の寄せ書き
留学生からのお礼の寄せ書き

閉校式

閉校式

本プログラムは、「スーパーグローバル大学創成支援事業(Top University Global Project)」による取組みとして開始しました。

「スーパーグローバル創成支援事業」は、2015年に文部科学省が開始したプログラムで、日本の高等教育の国際競争力の向上を目的に、海外の卓越した大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める、世界レベルの教育研究を行うトップ大学や国際化を牽引するグローバル大学に対し、制度改革と組み合わせて重点支援を行うことを目的としています。

サマープログラム参加学生

サマープログラム参加学生

お問い合わせ先

留学生交流課

E-mail : summer.program@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2984(2017年10月25日以降は03-5734-3785)

大岡山キャンパス構内の自転車走行ルールを変更

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東京工業大学大岡山キャンパス内で自転車事故が多発している現況を受け、2017年11月1日(水)より、東京工業大学大岡山キャンパス内正門付近のエリアにおいて、教職員・学生、一般利用者ともに、自転車を降りて通行していただくこととなりました。

構内を自転車で通行する際には、人・物との衝突事故を回避するため、以下の自転車走行禁止エリアにおいては自転車を降りて通行していただくよう、ご協力をお願いします。

自転車走行禁止エリア:従来の走行禁止箇所(赤色斜線部分)に正門ロータリー・事務局4号館・オートバイ駐車場前付近(同黄色斜線部分)を追加

大岡山正門回り 自転車走行禁止エリア

お問い合わせ先

キャンパスマネジメント本部総合安全管理部門

E-mail : sog.anz.kan@jim.titech.ac.jp

東京工業大学 グローバルリーダー教育院(AGL)「d.school comes to Tokyo Tech」の実施について

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「デザイン思考」は、研究者・ビジネスパーソンに関わらず、現在も、そしてこれからもずっとイノベーションを起こすことを求められる人にとって、今や常識ともいうべき考え方です。そのベースとなる概念、「Creative Confidence」を、「デザイン思考」の本場である米国Stanford Univ./d.schoolの現役講師から、直接、指導を受けられる日本で唯一の機会です。この2日間のBOOTCAMPを通して、「デザイン思考」の本質を、体感・実践してください。

今回も、東工大グローバルリーダー教育院(AGL)山田道場のOPEN道場の一環として、AGL所属生、本学一般学生は勿論、他大学学生も応募可能です。定員制(40名、学生のみ)ですので、定員以上の応募がある場合は、選抜となります。参加希望の方は、下記概要を参照の上、できるだけ早くお申し込みください。

日時
2017年10月28日(土)・29日(日) 9:00 - 18:00
場所
テーマ
TBD
ファシリテーター
Thomas Both, Scott Witthoft, and David Janka, the d.school, Stanford Univ.
参加資格
学生であればどなたでも応募いただけます。申込多数の場合は、AGL所属生を優先、及び選抜をすることがあります。選抜の場合は、添付申込書の質問の「Level of your English capability」と「Please advise why we have to choose you as attendants for the workshop.」への回答を考慮する場合があります。2日間全日参加、遅刻・早退は認めません。
定員
40名程度
使用言語
英語
参加費
無料。ただし、ランチ・スナック・飲み物等として\3,000をお支払いただきます。
申込締切
9月29日(金)
協力
Draper Nexus Ventures
株式会社みらい創造機構
お申し込み
参加希望者は、添付フォームexcelに記入の上、AGL・山田教授まで、メールで送信してください。参加申込は9月29日(金)迄です。
【添付:申込フォームの送付先】
AGL・山田教授
E-mail : yamada.k.be@m.titech.ac.jp
参考:
ファシリテーター

Thomas Both: d.school講師

カリキュラム・教育担当。スタンフォード・デザイン・マスターズ出身で人間中心デザインの専門家。

Scott Witthoft: d.school講師

創造性を最大化する「場」の作り方を解説した「make space」の共著者。ワシントン大学土木工学出身。

David Janka: d.school講師

メデイカル・スクール出身。デザイン思考の考え方を医療教育、医療提供、医療機器設計分野の革新に役立てようとしている。

d.school comes to Tokyo Tech 2017 - 2-days BOOTCAMP "Design Challenge" チラシ

お問い合わせ先

グローバルリーダー教育院事務室

E-mail : agl.jim@agl.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3116

東工大テクノガールズがトークショー「リケジョの素顔」を開催

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7月15日、横浜で開催されたグローバル女性科学技術(GWST)会議に東工大テクノガールズが参加し、学生企画として「リケジョの素顔」をテーマとしたトークショーを行いました。

トークショーの様子

トークショーの様子

東工大テクノガールズのブース
東工大テクノガールズのブース

東工大テクノガールズとは、東工大の女子学生の集まりで、蔵前工業会内のくれない工業会(東京工業大学の女性卒業生と女性在学生の会)に所属しています。

本トークショーは、東工大テクノガールズのメンバーが、学生の間で囁かれる噂の真相を探るべく、テーマを3つにしぼり、自分たちで講師を探して企画したもので、テーマ毎に3名ずつ理系の企業や大学で活躍する研究者が登壇しました。

来場者は、第1部「理系女性は有利?不利?」では19名、第2部「理系女性の出産・子育て事情」では28名、第3部「就職とキャリア」では28名と、のべ75名に上ぼり、中学生から社会人まで幅広い方々が参加しました。理系の最前線で活躍されている女性研究者・技術者の方々の貴重なお話をうかがうことができました。

グローバル女性科学技術(GWST: Global Women in Science & Technology)会議は、特定非営利活動法人日本女性技術者科学者ネットワークが主催のAPNN (Asia Pacific Nation Network) 会議の翌日に開催され、開催国における最も主要なテーマについて、開催国が独自の視点に立って企画し、各国代表とともに取り組むイベントです(議長は、本学生命理工学院の近藤科江教授)。今回は、主催国日本のテーマの1つとして、次世代を担うリケジョを増やす取り組みについても、取り上げられました。

配布したパンフレットとチラシ
配布したパンフレットとチラシ

好評のテクノガールズ缶バッチ
好評のテクノガールズ缶バッチ

代表 小島摩利子さんのコメント(生命理工学部 生命工学科 4年)

「将来について日頃感じている疑問や不安を解消する」をコンセプトに、学内外でご活躍の、世代も分野も職種も異なる9名の理系女性を講師にお招きしました。理系らしい冷静な分析とコミュニケーション力を活かし、柔軟に自分らしく研究を続けることの大切さや、子育てをサポートする制度を自分に合わせてうまく活用する心得、そして、博士課程で養った論理的思考力や海外の多様性を認める文化との遭遇が仕事に活かされることなど、ご自身の経験を踏まえた貴重なメッセージをいただきました。参加者の中には、メモを取ったり講師に直接質問する方もあり、企画者の私たちも含め、理系女性としての将来を考える印象深いひとときとなりました。今回得られたものを、是非、何らかの形にして、より多くの方と共有できればと思います。

副代表 山口智佳さんのコメント(工学部 社会工学科 4年)

今まではテクノガールズとして東工大学生向けのイベントを主に行っていましたが、今回初めて学内という枠を飛び越えた対外的なイベントを行いました。来場者の方々は高校生から大学院生まで幅広く、また学生の親世代の方にもご来場いただき、学内で培った経験をより広く伝えていくことの重要性を改めて感じることとなりました。

併せて今までの活動をまとめた冊子も発行し、より発信を継続していきたいと思います。

お問い合わせ先

東工大テクノガールズ

E-mail : titech.technogirls@gmail.com

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