工学院 電気電子系の赤木泰文特任教授が、2018年IEEE メダル イン パワー エンジニアリング(IEEE Medal in Power Engineering)の受賞者に決定しました。
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IEEE(アイ・トリプル・イー: The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)は米国に本部を持つ電気電子分野の国際的な学会で、43万人の会員を有する世界最大の技術系の学会です。IEEEは現在16の分野でメダルを授与しており、IEEEメダルの受賞はIEEEにおいて最高の栄誉とされ、受賞者には金メダル等が授与されます。
本学関係者のIEEEメダル受賞は、末松安晴栄誉教授・元学長が2003年にIEEE ジェームス H. ミューリガン ジュニア エデュケーション メダル(IEEE James H. Mulligan, Jr. Education Medal)を受賞しています。今回の赤木泰文特任教授のIEEEメダルの受賞は末松栄誉教授に続く快挙です。
この成果は、2017年12月4日のNature Structural and Molecular Biology電子版に掲載された。
研究成果
今回、DNA鎖を蛍光標識し、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence resonance energy transfer: FRET)[用語4]の原理を利用することで、DNA鎖交換反応の反応中間体形成と最終産物生成をそれぞれリアルタイムで観察する2種類の分析方法(アッセイ系)を構築した。このアッセイ系を用いることで、極めて複雑な反応のため正確なアプローチが困難であったRad51によるDNA鎖交換反応を解析した。その結果、次の3つのステップを経て、この交換反応が進行することを発見した。
Image may be NSFW. Clik here to view. 図1.構築したマイクロホンアレイ(マイクを16個搭載、ケーブル1本で接続可能)
Image may be NSFW. Clik here to view. 図2.マイクロホンアレイを搭載したドローン
このシステムは、大きく3点の技術要素からなる。1点目は、“ロボットの耳”を作ることを目指した「ロボット聴覚[用語3]」研究の成果としてオープンソース化されているソフトウェアHARK(HRI-JP Audition for Robots with Kyoto University)を応用したマイクロホンアレイ技術である。これにより、ドローンの騒音下でも音源の検出が可能になった。2点目は、三次元音源位置推定、および地図表示技術の開発で、これにより目に見えない音源を操作者にもわかりやすく可視化できるインタフェースを構築できるようになった。3点目は、ドローンへの設置を容易にするために、ケーブル1本でまとめて接続できる16個のマイクロホンからなる全天候型マイクロホンアレイを開発。これにより雨天の要救助者捜索が可能になる。
Image may be NSFW. Clik here to view. ロボット聴覚のオープンソースソフトウェア HARK マイクロホンアレイを用いた音源定位・分離技術を提供
Image may be NSFW. Clik here to view. HARKのGUIプログラミング環境
提唱後、奥乃教授と中臺特任教授らが中心となり、積極的に国内外の学会を中心にセッションを開催。オープンソースソフトウェアを公開して、講習会やハッカソンなどのイベントを行うなど啓発活動を続けた。その結果、2014年には、ロボットに関する最大の研究コミュニティであるIEEE Robotics and Automation Society (RAS)が「ロボット聴覚」を研究分野として正式にキーワード登録した。
[用語1]HARK : Honda Research Institute Japan Audition for Robots with Kyoto Universityの略。(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP)、京都大学等が開発したマイクロホンアレイを用いたロボット聴覚のオープンソースソフトウェア。Harkは、listenを意味する中世英語である。