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「角田農業体験旅行ホームステイプログラム2018」開催報告

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2月20日から23日の3泊4日、「角田農業体験旅行ホームステイプログラム」が開催されました。本プログラムは2009年に開始され、現在は学生支援センター国際交流支援部門事業として実施されています。東工大大岡山キャンパスが所在する目黒区と宮城県角田市が友好都市関係であるご縁から、角田市役所をはじめ公益社団法人角田市農業振興公社、アジアの農民と手をつなぐ会、ホームステイ受け入れ家庭など角田のみなさんの協力を得て企画・運営しています。

本学の留学生と外国人研究員が参加でき、今回は5ヵ国から留学中の16名(タイ8名、インドネシア3名、スウェーデン2名、ドイツ2名、中国1名)が参加しました。ホストファミリーと対面する歓迎会には、角田市の大友喜助市長も出席し、角田のみなさんによる神楽や歌、留学生によるダンスや歌が披露されました。最後はみんなで一つの輪になって踊り、10年間で築いてきた良好な関係が伝わる温かな会となりました。

温かな歓迎会
温かな歓迎会

大友角田市長のご挨拶
大友角田市長のご挨拶

タイ舞踊を披露する留学生
タイ舞踊を披露する留学生

神楽を披露する角田の中学生
神楽を披露する角田の中学生

滞在中のプログラム内容は大きく2つに分かれており、参加者全員で角田市および周辺市町村の施設見学やそば打ち体験等を行う日程と、それぞれのホストファミリーと過ごす日程で構成されています。2012年以降は隣接する山元町も訪問し、2011年の東日本大震災で津波の被害に遭った旧中浜小学校、いちごの産地だった被災地で現在は高設栽培を行う山元いちご農園を見学し、非常に有意義な体験となっています。ホストファミリーとは、お子さんが通う小学校への訪問や工場見学、ホストが農業を営む場合には田畑の見学等を通じて親睦を深めました。ホームステイ先で、出身国の料理をふるまった留学生もいました。

地元産の蕎麦粉を使ったそば打ち体験
地元産の蕎麦粉を使ったそば打ち体験

作って楽しく、食べておいしいそば体験
作って楽しく、食べておいしいそば体験

津波被害を受けた旧中浜小学校見学
津波被害を受けた旧中浜小学校見学

山元いちご農園見学
山元いちご農園見学

お別れ会で感想を述べる留学生
お別れ会で感想を述べる留学生

参加者の日本語レベルはさまざまで、日頃は研究室での会話も英語という学生もいますが、どの学生もホストファミリーと日本語でコミュニケーションしようと努めました。最終日の「お別れ会」ではほとんどの学生が日本語で感想を述べ、英語で述べた学生も「次に来る時は、日本語であいさつします」と話し、本プログラムは日本語学習の大きな動機付けになりました。学生からは「農村に滞在し日本語のみでコミュニケーションする体験ができたことは貴重でした」、「多くの経験ができ、忘れられない思い出になりました」、「次回も実施されるなら、全ての友人に参加を勧めます」等の声が寄せられました。また、10年間ホームステイを受け入れているホストファミリーからは「24時間×3泊4日、ご飯は何を作ろう、何かあったらどうしようと考えて大変です。でも、それ以上に素晴らしい思い出を毎年もらっています。子供たちも喜んでいます」、今年初めて受け入れたホストファミリーからは「初めてで不安でしたが、ご飯もたくさん食べてくれ、夜もぐっすり眠れたようで安心しました」との感想が聞かれました。

今後も、学生支援センター国際交流支援部門では国際交流機会を提供する体験旅行やイベントを実施し、リベラルアーツ研究教育院日本語セクションが行う日本語授業との学びの相乗効果を生み出していきます。

ホストファミリーと記念撮影

ホストファミリーと記念撮影

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お問い合わせ先

東京工業大学 学生支援センター国際交流支援部門

E-mail : ryu.kor3@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3027


三島良直学長 退任挨拶

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2018年3月31日(日)をもって、三島良直学長、岡田清理事・副学長(企画・人事・広報担当)、丸山 俊夫理事・副学長(教育・国際担当)、安藤 真理事・副学長(研究担当)が退任します。代表して、三島学長の退任にあたっての挨拶をご紹介します。

三島良直学長

2012年10月に学長に就任してから5年半が経ちました。その間本学の教育、研究、ガバナンスの改革、そして国際化に向けたさまざまな努力に全力を尽くせたと思っています。そして、このたび無事に任務を終えることが出来るのは、他大学ではまねのできない本学の教職協働体制のもとでの教職員の皆さんのご協力のおかげです。

私は類別入試の始まる1年前の1969年に本学に入学し、2年目の学部・学科の所属に際して工学部金属工学科を選択し、以後大学院修士課程修了までの6年間を過ごしました。そして博士後期課程への進学を決意しましたが、考えるところがあって修士2年時の夏ごろから米国カリフォルニア大学バークレー校への進学に挑戦しました。首尾よく材料工学専攻の博士課程への入学を果たして1975年4月から留学生活を始めました。米国の大学での授業履修・単位取得のプロセスが大変なことは聞いていたのですが、日本では授業が少ない博士課程においてもそうで、はじめの学期(当時は各10週間の3学期制)では4単位の授業を2つ履修するだけで精一杯でした。それでも1年も経つと新しい環境に慣れて留学生生活も厳しくも楽しいものへと変化していき、研究にも没頭することが出来ました。Ph.D(博士号)の取得には3年9ヵ月かかりましたが、ポスドクとして過ごした2年間を加えたこの期間の経験が私のその後の教員としての考え方に大きなインパクトを与えたことは間違いありません。例えば、学生にとって、教員の授業にかける熱意に向き合い、非常によく練られた実験科目に取り組み、そして各科目において課される宿題やレポートに対する並大抵ではない労力を費やして学期を乗り切ること、そしてこれを積み重ねていく過程こそが大学での成長に欠かせないことを実感したことが挙げられます。

本学においても学生諸君が受け身ではなく積極的な修学に挑戦し、教員の皆さんは学生目線で系統的なカリキュラムのもとで各授業科目において習熟すべき知識や技能を明確にした上で、さまざまな教育手法を考えて彼らを鍛え、彼らに単位を修得した時の達成感を感じさせることが肝心だと思います。研究室における本学の最先端の研究を通した教育や専門外の教養教育を含めて、本学で学ぶ学生の能力を入学当初から卒業・修了までにいかに伸ばして上げられるかを全学的に共通の目標として取り組んでいただければと思います。

4月からは新体制のもとで本学の大きな飛躍に向けて、構成員一丸となって邁進していかれることを期待しています。今後も皆さまからの変わらぬご支援をお願い申し上げて、退任の挨拶といたします。

学長 三島良直

ひと目で分かるTokyo Tech Research Mapが新登場 「研究」ページをリニューアル

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4月2日、東工大全学ウェブサイトの「研究」ページをリニューアルし、最新の東工大研究の概要、強み、ハイライト等を紹介しています。

研究分野の広がりと研究者の多様性がひと目で分かるマップ「Tokyo Tech Research Map(東工大リサーチマップ)」が新たなコンテンツとして加わり、研究者と研究内容をインタラクティブに検索できます。

ひと目で分かるTokyo Tech Research Mapが新登場 「研究」ページをリニューアル

研究ページメニュー

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

学院長、研究教育院長及び研究院長 就任挨拶

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益一哉学長の就任にともない、4月1日付で就任した学院長、リベラルアーツ研究教育院長、および科学技術創成研究院長からの挨拶をご紹介します。

理学院長 山田光太郎

理学院長 山田光太郎

世界の姿を知りたい・しくみをわかりたい、という生まれながらにもっている想いから、人々は科学の研究を推し進めてきました。長い歴史を経て知識はより膨大に、理解はより深遠になってきました。われわれが歩ける世界が広くなったぶん、覗くことができる未知の領域もどんどん広くなってきています。できること・やるべきことは山ほどあります。知りたい・わかりたいを原動力に、私たちと一緒に人類の知を拡げていきましょう。

工学院長 岩附信行

工学院長 岩附信行

「工学」は、人類を幸せにするための枠組である「文明」に貢献する学問であり、人の生活を豊かで快適なものとする技術を希求します。工学院は、機械系、システム制御系、電気電子系、情報通信系、経営工学系から構成されています。所属学生は基盤としての学理と、応用である「ものづくり」までを幅広く学び、最先端の研究活動や国際交流活動を体験しながら、創造性豊かな専門家として世界に雄飛します。豊かな感性と活力あふれる若者とともに未来を開拓してまいります。また、5系の教員団は幅広い研究分野をカバーしており、多様な産学連携研究を遂行するとともに、系を横断して構成する研究グループでは、地球規模の複合的・融合的大型研究プロジェクトを通じて、持続可能社会に貢献していきます。工学院の活動にご期待ください。

物質理工学院長 和田雄二

物質理工学院長 和田雄二

物質を分子サイズの小さな階層あるいは宇宙まで含む大きな階層まで、人の手で加工して使ってきた、そして加工すれば人の役に立つというのが、20世紀から始まった科学技術中心の世界感だと思います。しかし、世の中には、自然をそのまま使って良しとする世界感も同居しています。これからの物質文明は、加工したものが、加工したことを意識させずに、自然と一体化できるところへ向かってゆくのではないでしょうか。加工の有無に拘わらず、物質が自然界に干渉せず、調和してゆく物質文明が理想ではないでしょうか。物質理工学院は、次世代の物質文明を支える物質科学の学理とものづくり技術の創造をしてゆきます。データとして整理・管理された物質文明を可能とする方法論をも創り出していきます。そのため、今、わたしたちが準備しておかなければならない「こと」と「もの」への視線を物質理工学院では大切と捉えています。未来へ向かって一緒に歩きましょう。

情報理工学院長 横田治夫

情報理工学院長 横田治夫

情報理工学院が教育・研究の対象としている「情報」は、人と人のつながりを支え、科学技術の進展に寄与し、いろいろな物を知的にして社会や生活を豊かにするなど様々に役立ち、今や欠くことのできない社会基盤となっています。それを支える情報分野への期待が高まるなか、数理・計算科学系と情報工学系からなる情報理工学院は、今後ますます広がる「情報」の可能性を探求し、より安全に、より効率的に、より知的に進化させるための理論や技術を明らかにすることを目指しています。一緒に新たな発展を創出し、その先にある「未来の情報」の夢を実現しましょう。

生命理工学院長 三原久和

生命理工学院長 三原久和

生命理工学院では、理工学分野の基礎的知識や、ライフサイエンスとテクノロジーに関連する科学的知識と技術を修得し、生命理工学に関連した科学技術の発展に資する課題解決力と倫理観を養う教育を実施します。理学と工学分野の研究のみならず、医学、薬学や農学の幅広い分野での最先端研究を展開しています。生命理工学院の多様で高度な教育研究を通じて、グローバル社会のリーダーとなる理工人の養成を目指しています。

環境・社会理工学院長 中井検裕

環境・社会理工学院長 中井検裕

環境・社会理工学院では、個々の建物から、地域、国土、地球に至る持続的な環境を構築するための学術と技術を追求しています。地球環境問題への対応、巨大化する自然災害への備え、生物多様性の確保、グローバルな経済・交流とローカルな歴史・伝統・文化の両立など、現代社会を取り巻く環境に関わる課題は、いずれも1つの分野だけでは解決できず、さまざまな分野を横断する複合的な課題です。そのため、環境・社会理工学院は、建築学系、土木・環境工学系、融合理工学系に加えて、大学院課程に社会・人間科学系、イノベーション科学系ならびに技術経営専門職学位課程を設置し、ハードのみならずソフトな技術、モノづくりからコトづくりまで、そして文と理が共創する広範な学術領域をカバーする学院として、私たちの社会が直面する課題解決に取り組んでいます。志溢れる若い皆さんとともに、人類と社会の持続的な発展への貢献を目指したいと思います。

リベラルアーツ研究教育院長 上田紀行

リベラルアーツ研究教育院長 上田紀行

東工大はこれまでも、学部4年まで専門教育に並行して文系教養科目を履修する「くさび形教育」を行うなど、教養教育に重きを置く大学として知られてきました。その伝統を活かしつつ、2016年4月に格段にパワーアップした画期的なリベラルアーツ教育を開始しました。

リベラルアーツ教育のカリキュラムは博士後期課程まで延長され、至るところに設けられた少人数でのディスカッションやプロジェクトでの仲間との刺激的な交流の中で、世界を知り、自分自身の可能性を探究しながら、自ら問いを発し、感じ、考え、発言し、行動する力をこれまで以上にダイナミックに養っていきます。学士課程入学直後の「東工大立志プロジェクト」を皮切りに、充実した科目群を学修した後、同じ仲間達が再会して学士課程3年目の後期の「教養卒論」にチャレンジします。それらのクラスには修士課程の「リーダーシップ道場」から「ピアレビュー実践」「リーダーシップアドバンス」へと進んだ学生がアドバイザーとして参加し、学年を超えた交流も生まれます。

これまで教養科目は「できるだけ楽をして単位が取れる科目を選ぶ」といった扱いを受けがちでした。しかしそんな教養しか身についていない人間が世界の真のリーダーとなり、より良き社会を創造していくことができるでしょうか?東工大のリベラルアーツ教育は違います。それはひとりひとりが自分の学びのストーリーを発見しながら、自らの目標に向かって、そして新しい世界の創造に向かって歩んでいくという、「志」へ向かってのエネルギーに満ちた道程なのです。その私たちの新しい試みは既に多くの注目を内外から集め、期待感が高まっています。

東工大のリベラルアーツ教育は「華のある」教養教育を目指します。「華のある」とは、人をひきつける、活力がある、明るく楽しいといったイメージです。教室でも、カフェテリアでも、芝生の上でも、キャンパスの至るところで、地球的課題を、人間性の深みを語り合い、自分と社会の新たな可能性に気づくような場を生みだしていきましょう。自分の将来を切りひらき、大きな社会的貢献を成し遂げるために、ぜひリベラルアーツ教育の場を活かしてください。

21世紀社会を牽引する真のリーダー育成を目指して、東工大のリベラルアーツ教育のチャレンジが続きます。

科学技術創成研究院長 小山二三夫

科学技術創成研究院長 小山二三夫

科学技術創成研究院は、2016年に附置研究所、学内センターを統合して発足以来、新たな研究領域の創出、異分野融合研究の推進、人類社会の問題解決、及び産学連携強化、将来の産業基盤の育成を使命として、活動を進めてまいりました。 科学技術の知見を新たな価値の創造に展開し、将来の学術・産業を担う人材育成とともに、社会・産業の課題解決に貢献することが一層求められています。すずかけ台・大岡山両キャンパスにまたがる複数の研究所、研究センター及び研究ユニットから構成され、全体で約200名の研究者を擁し、生命科学、材料、エネルギー、電子情報、機械、防災など幅広い分野で先導的な研究を進めています。研究者の自由な発想を大切にしつつ、研究所、センター、ユニット間の有機的連携により、新たな知の創造による社会貢献を目指します。

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理事・副学長就任挨拶

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益一哉学長の就任に伴い、4月1日付で新執行部が発足しました。このたび就任した理事・副学長からの挨拶をご紹介します。

総括理事・副学長
理事・副学長(企画担当) 佐藤 勲

佐藤 勲

益学長の下、東工大は新しいステップを歩み始めます。本学の優れた教育と研究の実績を共鳴させ連携させることで社会の課題の解決に貢献する「Team東工大」の実現です。2016年度にスタートした教育・研究・ガバナンス改革によって、本学への期待は高まりつつあります。こうした仕組みやその背景にある精神を踏襲しながら、個々の成果を組織を越えて協調させることで様々な課題の解決に貢献し、社会の皆様から「頼りになる」大学として認識してもらえるよう努めていくこと、これが「Team東工大」の目指すところです。

同時に東工大は、世界の有力大学と伍していかなければなりません。科学技術はもとより学生の教育にも国境はなくなっています。社会課題もグローバル化しています。こうした時代にあって世界の有力大学に比肩するプレゼンスを示していくには、教育・研究・社会貢献のいずれにおいても、国際的に連携し、時には競争しながら、これらの成果を高めていく必要があります。私のミッションは、その実現のために、東工大の誇る伝統と実績に基づき、戦略と企画、人事と広報という本学の「土台」の部分を世界水準に近づけ、すべての教職員・学生が「Team東工大」としてのプライドを持って教育や研究、業務や学修に熱中できる雰囲気を醸成することと理解しています。課せられた使命の重みを感じつつ、誠心誠意務めてまいります。ご支援の程、よろしくお願いいたします。

理事・副学長(教育担当) 水本 哲弥

水本 哲弥

教育と研究は、大学における最も重要な活動の両輪をなします。大きなグローバル化の流れの中でこの両輪をスムーズに回転させ、質の高い教育研究を行い、国内外の有力大学と伍して東工大のプレゼンスをいっそう高めるために、教育研究の国際的な展開は必要不可欠です。また、解決困難な課題に果敢に挑戦し、新たな社会を切り拓く力をもつ人材を輩出することは、大学が社会に対して果たすべき重要な使命です。

東工大では、2016年度から本格的に始まった教育改革によって、この使命に応える人材を育成する仕組みが整いました。この環境の下で、グローバル社会で活躍し、科学技術の力で新しい活力ある社会を切り拓くことのできる人材、よりよい世界を創り出すことのできる人材の育成が始まっています。多くの学生が熱心に学んでおり、社会の期待に応えることのできる人材が育つものと確信しています。そして、このような人材を育成することが、東工大が掲げる「2030年までに世界トップ10に入るリサーチユニバーシティとなる」という目標を達成する大きな力になります。

理事・副学長(教育担当)の職を拝命し、この目標を達成するために本学の教職員の皆さんと一体となって、いっそうの教育の充実と大学の国際的な展開を推進していきたいという思いを強くしています。これまでにも増して、東工大の教育研究活動に対する皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

理事・副学長(研究担当) 渡辺 治

渡辺 治

東工大では、未来を見据えた研究改革が2016年度にはじまり、東工大らしい研究によって科学技術の発展と持続可能な社会の構築に貢献し、社会から頼りにされる大学になることを目指しています。理事・副学長(研究担当)として、この改革を着実に進めてまいります。

研究面では、東工大が強い分野を大きく進展させるのはもちろんのこと、組織を越えた連携の中から、新たな東工大ブランドとなる研究を多く生み出すことを目指します。私は、研究の原点は「ワクワク感」、すなわち、「こんなことができたらすごい」とか「これが解明できたら素晴らしい」といった夢であると考えます。したがって、研究プロジェクトにたずさわる人々すべてが、夢中になって研究を進めていけるような研究環境作りを心がけます。産学連携では、日本中・世界中の方々に、東工大の研究に関心を持っていただくことが重要です。それが社会との連携強化の基本になると思います。そのためにも、東工大の様々な研究に対し、産業界、さらには一般の方々に期待や夢を持っていただけるような研究の見せ方を皆さんと考え、実行して行きたいと思います。

こうした心構えのもと、研究改革に全力を尽くすつもりです。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

理事・副学長(財務担当)
事務局長 芝田 政之

芝田 政之

これまでの2年間同様、今後も次の2点を心がけてまいります。

1点目は、私心を持たないことです。私利私欲のために仕事をしないのは国立大学法人の役員として当然のことですが、人の好き嫌いや仕事の好き嫌いといった広い意味での私心を持たないように努めます。

2点目は、できるだけ次元を高めて問題の解決を図るということです。経営の要諦は利害の対立する中での資源配分です。そんな時、足して2で割るのではなく、次元を上げて解を探すように努めます。

政府が手厚く投資してきた国立大学には、日本の経済社会を牽引できる人材の養成と、民間企業などでは成しえない革新的な研究開発が期待されています。そのためには、これまで東工大が強みを発揮してきた分野に加え、人生の岐路に立った際に支えとなるリベラルアーツ教育や研究者の探求心に基づく地道で長期的にしか成果の出ない研究を大切にしなければなりません。私の職掌の立場からこれらの環境整備に貢献できるように努めます。

最後に事務局長としては、教職協働の実現のために、事務職員が教員の良きパートナーとなれるように人材養成に努め、教員・職員が互いに尊敬できる環境を創ってまいります。事務・技術職員が自信と誇りをもって積極的に企画立案を行い、必要な時にはコンプライアンスのための砦となるくらいの志を持てるような環境の醸成に努めてまいります。

皆様方のご指導とご鞭撻をお願いいたします。

益一哉学長が就任 新執行部発足

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4月1日、益 一哉(ます かずや)学長が就任し、新執行部が発足しました。新しい東京工業大学にご期待ください。

学長 益 一哉

学長
益 一哉

佐藤 勲

総括理事・副学長
理事・副学長(企画担当)
佐藤 勲

水本 哲弥

理事・副学長(教育担当)
水本 哲弥

渡辺 治

理事・副学長(研究担当)
渡辺 治

芝田 政之

理事・副学長(財務担当)
事務局長
芝田 政之

榎並 和雅

監事(常勤)
榎並 和雅

三矢 麻理子

監事(非常勤)
三矢 麻理子

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

清水優史名誉教授が平成29年度日本放送協会放送文化賞を受賞

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本学の清水優史名誉教授(専門分野:生体流体工学・計測工学・環境エネルギー工学)が、日本放送協会(NHK)の第69回(2017年度)日本放送協会放送文化賞を受賞しました。 放送文化賞は1949年度に設けられ、放送事業の発展に寄与し、放送文化の向上に貢献があった方々に毎年贈られるものです。今年度は、清水名誉教授、歌舞伎俳優の松本白鸚、落語家の笑福亭鶴瓶らそうそうたる顔ぶれの7名が受賞し、贈呈式はNHKホールにて3月16日に行われました。

現在NHKロボコンは、「NHK学生ロボコン」「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(ABUロボコン:ABU Asia-Pacific Robot Contest)」「高専ロボコン(アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト)」の3種類があります。清水名誉教授はロボットコンテスト創成期から、ルール策定・監修や審判、競技委員会・専門委員として関わり、「ミスター・ロボコン」とよばれています。

賞状等の記念品を授与される清水名誉教授

賞状等の記念品を授与される清水名誉教授

清水優史名誉教授受賞コメント

受賞挨拶
受賞挨拶

30年に渡り、とても楽しいNHKロボコンを手伝わせていただき、さらに本日は放送文化賞までいただき、大変ありがたく思っております。

NHKロボコンは、今から30年ほど前に、高等専門学校の学生が参加する「全国高等専門学校ロボットコンテスト」から始まりました。そしてその2年後には、東京工業大学と米国のマサチューセッツ工科大学の学生が参加する「IDCロボットコンテスト大学国際交流大会(IDC:International Designe Contest)」が始まり、さらにその2年後から日本の大学生が参加する大学ロボコンが始まりました。その後この3つのロボコンは順調に成長し大きく発展してきましたが、IDCは2006年に独立し、現在は世界の7か国の大学の人達が運営し、順調に続いています。また大学ロボコンは「ABUロボコン」に発展し、アジアの多くの国の学生が参加できるものになっています。

このロボコンというコンテストが始まった理由をちょっと話しておきます。1980年代の我が国のバブル経済の時、日本の一人勝ちに苛立った米国等が、日本人は人の真似ばかりして大量の利益を得て怪しからん、もっと世界に貢献するため、創造性を持つべきだ、と激しく非難しました。この非難を聞いたNHKの人たちは、日本人は本当に創造性に欠けており、それを伸ばす教育が必要なのだろうか?と真剣に考え、色々調べたようです。その結果から、日本人の創造性を高めるアイディアとして、ロボコンを考え付いたようです。このアイディアは立派に育ち、現在創造性を育てる教育の分野に大きな影響を及ぼしています。

今後も日本及び世界の若者のため、微力ではありますが、このロボコンを成長させ続けるため、お手伝いをさせていただきたいと、心から思っています。

有難うございました。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

AIを活用した金融市場解析の共同研究講座を開設

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株式会社三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員 三毛兼承)と国立大学法人 東京工業大学(学長 益一哉)は、今般、「MUFG AI金融市場解析共同研究講座」を開設いたしました。

三菱UFJ銀行は、外国為替をはじめとする金融市場取引業務において、AIを活用した「相場予測」や「トレーディング技術の革新」によるお客様提案の高度化に取り組んでおります。今回の共同研究を通じて、AIによる金融市場の解析のさらなる高度化を目指します。今後もFinTechによる取り組みを強化し、より一層付加価値の高い金融サービスをご提供できるよう取り組んでまいります。

AIとは、人工知能(Artificial Intelligence)の略称です。

東京工業大学は、科学技術創成研究院 高安美佐子教授をリーダーとして、ビッグデータ数理科学研究ユニットチームと同研究院 奥村学教授の研究チームが分担し、複雑に変化していく金融市場をビッグデータに基づいて役割を紐解き、時々刻々のベストなトレーディング戦略の立案とシステムの安定性に関する研究を行います。今後も国内外の企業や大学との連携強化により革新的な研究成果を生み出し、その社会実装に注力していきます。

ビッグデータ数理科学研究ユニットチーム

教員:
高安美佐子教授
研究内容:
既存の物理学が扱わなかった幅広い分野の現象を統計物理の手法を用いて解析、様々な人間活動のビッグデータを用いて経済や社会の現象を解析する経済物理学の研究に従事。
研究室サイト

奥村研究室チーム

教員:
奥村学教授
研究内容:
ことばを計算機で処理する技術(自然言語処理)に関する研究と、その技術を用いたテキスト要約、人々の意見、感情を分析する評判分析、ソーシャルメディアを対象としたテキストマイニングなどに関するシステムの開発に従事。
研究室サイト

お問い合わせ先

三菱UFJ銀行 広報部

Tel : 03-3240-2950

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


ウイルスでできた熱伝導フィルムを開発

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室温で乾かすだけ、緻密に整列集合

要点

  • 有機系高分子材料は一般に熱伝導性が低く、電気・電子機器の速やかな放熱には従来不適だった
  • 核酸の周囲にタンパク質が規則的に集合化した高分子集合体である繊維状ウイルスでフィルムを作製し、優れた熱伝導材となることを解明
  • 高い熱伝導性を持つ有機系高分子材料の簡便な作製方法の確立と、それに基づく新しい熱輸送の機構の解明に期待

概要

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の澤田敏樹助教、芹澤武教授、村田裕太大学院生(開発当時)らは、同学院 材料系の森川淳子教授、応用化学系の丸林弘典助教、野島修一教授との共同で、無毒でひも状の構造をもつウイルス(繊維状ウイルス)を集合化させて構築したフィルムが熱伝導材として機能することを発見した。

有機系高分子材料は一般に熱伝導性が低く、電気・電子機器の速やかな放熱には従来不適であった。その熱伝導性を向上させるには、向きを揃えて分子を並べる「配向処理」により共有結合を介して熱輸送する手法や、無機材料との複合化が有効とされていた。しかし近年では、生体が持つ階層的な集合化[用語1]といった固有の性質とそれによって構築される規則的な集合構造が、新素材として注目され始めている。

本研究グループは、水溶液を乾燥すると溶けていた分子が端の部分に集積する現象「コーヒーリング効果[用語2]」を利用した簡便な方法で、繊維状ウイルスを集合化させ、フィルムを構築した。この「ウイルスフィルム」は、端部において無機材料のガラスに匹敵する高い熱拡散率を示した。これにより同グループは、階層的に集合化する生体由来素材が、熱伝導材として有用であることを見いだした。ウイルスのみならず様々な天然由来素材の、デバイス材料としての研究開発につながると期待される。

このウイルスフィルムは、繊維状ウイルスの水溶液を室温で乾燥するだけで調製できる。本成果は今後、特別な操作を施すことなく温和な条件下で簡便に熱伝導材を構築する手法の確立や、共有結合を介さない新しい熱輸送の機構の解明にもつながると期待される。

本研究成果は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「熱輸送のスペクトル学的理解と機能的制御」(研究総括:花村克悟 東京工業大学 工学院 教授)における「生体高分子の階層的な集合化を利用したナノスケール熱動態の理解と機能制御」(研究者:澤田敏樹)の一環で行われた。

本研究成果は、2018年4月3日(英国時間)に国際科学雑誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。

本成果は、以下の研究支援により得られた。

科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業さきがけ

研究プロジェクト:
「熱輸送のスペクトル学的理解と機能的制御」
研究総括:
花村克悟(東京工業大学 工学院 教授)
研究期間:
平成29年度~32年度
研究課題:
「生体高分子の階層的な集合化を利用したナノスケール熱動態の理解と機能制御」
研究代表者:
澤田敏樹(東京工業大学 物質理工学院 助教)

研究の背景

近年の電気・電子機器の小型化や高集積化に伴う発熱密度の上昇により、発熱位置から放熱材やヒートパイプへ速やかに熱輸送するための材料の創製が必須となっている。

硬い材料からなる発熱部と放熱部とを密着させて効果的に放熱するには、電気絶縁体で柔らかく加工性に優れる材料が必要である。フィルムやコーティング剤として密着を図るには有機系高分子材料が有用であったが、金属やセラミックスと比較すると熱伝導性が2~3桁低い点が問題となっていた。

従来、有機系高分子の熱伝導性を向上させるために、無機材料との複合化や、向きを揃えて分子を並べる「配向処理」により、共有結合を介して配向方向への効率的な熱輸送を図る方法が取られてきた。しかし、それらの方法では、高分子の特性が損なわれるおそれや複雑な配向処理の必要性があったため、有機系高分子材料の熱輸送効率を簡便に向上させる方法や原理を確立する必要があった。

研究内容と成果

東工大の澤田助教・芹澤教授らの研究グループは、高い熱輸送効率を持つ材料の開発にあたり、生体本来の階層的な集合構造に着目した。無毒でひも状のウイルス「繊維状ウイルス」の一種であるM13ファージ[用語3]は、核酸の周囲にタンパク質が規則的に集合化した高分子集合体であり、巨大で細長い構造(直径約5 nm、長さ約1 µm、図1a)を持っている。

M13ファージは自身の細長い構造に起因して規則的に集合化し、液晶配向[用語4]することが知られている。研究グループは、M13ファージを効率良く集合化させて規則的で緻密な集合構造を形成することにより(図1b)、効率良く熱輸送が起こるのではないかと考えた。

(a)繊維状ウイルスM13ファージの模式図<br />(b)規則的に集合化したM13ファージの上面図と側面図の模式図
図1.
(a)繊維状ウイルスM13ファージの模式図
(b)規則的に集合化したM13ファージの上面図と側面図の模式図

一般に、分子を溶解した水溶液を乾燥する際、端の部分に分子が効率良く集積するコーヒーリング効果は古くから知られている。そこで研究グループは、M13ファージの水溶液を円形のスライドガラス上で乾燥させて、ウイルスから液晶性フィルムを構築し、フィルムの端の熱拡散率を測定した。その結果、特別な配向操作などを施していないにもかかわらず、毎秒0.63平方ミリメートルと、有機系高分子材料でありながら、共有結合を介さずとも無機材料であるガラスに匹敵する値を示した(図2)。無配向なウイルスフィルムと比較すると約10倍の値である。このことから、ただウイルスを素材としてフィルムを作れば良いわけではなく、M13ファージを効率良く液晶配向させながらフィルム化することが熱輸送を効率化するためには重要であるといえる。

ウイルスフィルムの熱拡散率

図2. ウイルスフィルムの熱拡散率

実際に、これまでに報告のある手法でウイルスが配向した液晶性フィルムを調製して熱拡散率を測定した結果、その値の向上はわずか数十パーセントであり、M13ファージをただ液晶配向すれば良いわけではないことが明らかとなった。

ウイルスフィルムの集合構造を小角X線散乱測定[用語5] により解析した結果、いずれのフィルムでも分子レベルの集合構造(パッキング)は同じだったが、よりマクロスケールの構造に着目すると、今回構築したフィルムの端のみが極めて高い配向度を持つことが分かった(図3)。つまり、広い範囲にわたって規則的に集合化させることが、効率的な熱輸送に重要であることが明らかになった。また、有機系高分子材料の熱伝導性向上において、生体高分子が示す階層的な集合化特性を利用することが有用であることが示された。

小角X線散乱測定による配向度の決定

図3. 小角X線散乱測定による配向度の決定


(a)フィルムそれぞれの二次元パターン
(b)二次元パターンの一次ピークを方位角スキャンした際のピークプロファイルとその半値全幅から算出した配向度(ピークがシャープであるほど配向度が高いことを示す)

今後の展開

今回、タンパク質が核酸の周りに規則的に集合化した繊維状ウイルスの階層的な集合構造の制御が、共有結合を介さない熱伝導性の向上に重要であることを初めて明らかにした。天然由来のウイルスでは、様々な分子が適切に相互作用し、集合化することで機能している。今後、生体高分子を工学的に制御・利用することにより、簡便な手法で高い熱伝導性を持つ有機系高分子材料の開発と、それに基づく新しい熱輸送の機構の解明につながると期待される。

用語説明

[用語1] 階層的な集合化 : 分子スケール(ナノメートル)からマクロスケール(ミリメートル)といった幅広いスケールにわたって規則的に集合化すること。

[用語2] コーヒーリング効果 : こぼれたコーヒーの水滴が蒸発するとき、水滴の端の部分が早く蒸発するため、コーヒー粒が水滴の端の部分に集まる現象。

[用語3] M13ファージ : 大腸菌に感染するウイルスの一種。ほ乳類には感染することはなく、無毒である。細長い構造を持ち、遺伝子操作によって望みの機能を付与することができる特徴を持つ。

[用語4] 液晶配向 : 液晶(固体と液体の両方の性質を示す状態にある物質)のように、細長い構造を持つ分子が同じ方向に揃って並ぶこと。

[用語5] 小角X線散乱測定 : X線を物質に照射して散乱された「散乱X線」の中で、散乱角が小さい(おおむね10度以下)ものを測定することにより、物質のナノスケールの構造情報を得る手法。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Filamentous Virus-based Assembly: Their Oriented Structures and Thermal Diffusivity
著者 :
Toshiki Sawada, Yuta Murata, Hironori Marubayashi, Shuichi Nojima, Junko Morikawa, Takeshi Serizawa
DOI :
<$mt:Include module="#G-07_物質理工学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系

助教 澤田敏樹

E-mail : tsawada@polymer.titech.ac.jp
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教授 芹澤武

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中村幹

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Tel : 03-5214-8404 / Fax : 03-5214-8432

金融市場トレーダーの行動法則をボルツマン方程式で解明

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要点

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 ビッグデータ数理科学研究ユニットの高安美佐子教授、高安秀樹特任教授、金澤輝代士助教、末重拓己大学院生(博士後期課程2年)は、ドル円市場の売買注文のトレーディング・ログ[用語3]をトレーダー個々のレベルで分析し、注文行動時に共通する統計法則を発見した。さらに、この発見に基づいた市場の数理モデルを構築し、ボルツマン方程式を用いて、市場の様々な特性を理論的に導出することに成功した。

具体的には、市場価格の過去の変化が個々のトレーダーの指値[用語4] の変化とどのように相関を持つかを解析し、“トレンドフォロー”と呼ばれる市場トレンドに追随する取引戦略を多くのトレーダーが採用していることを、初めて定量的に示すことができた。そこで、そのような特性を持つトレーダー集団による仮想的な市場を想定し、水中を漂う微粒子のランダムな運動を解析する手法であるボルツマン方程式で理論解析し、価格変動や売買注文の分布などの基本的な特性が全て現実の市場の特性と整合することを見出すことができた。

金融市場でのトレーディング戦略を個々のトレーダーの実データに基づき解析して特徴付けた研究は過去になく、今回の成果は、金融市場をデータ分析に基づいて科学的にモデル化する基盤ができたことになる。今後、金融市場の暴騰や暴落などの異常な動力学の理解にあたり、物理学の数理手法が応用できると期待される。

この研究成果は3月27日発行の米物理学会誌「Physical Review Letters(電子版)」に掲載された。

研究の背景

100年以上前から金融市場の価格変動は確率的にランダムに振舞うことが知られており、金融工学ではランダムウォークモデル[用語5]を用いて金融派生商品の値付けなどが盛んに行われている。このモデルは、アインシュタインが解明したことで有名な水中を漂う微粒子のブラウン運動と非常によく似ているが、なぜ物質の現象と金融市場での現象が類似した振る舞いをするのかミクロな視点から解明されていなかった。

一方、金融市場の価格変動は超短時間のスケールではランダムウォークモデルからの乖離が観測されることが、最近の高頻度市場データの解析から明らかになってきている。市場での取引価格は、純粋にランダムに決まっているわけではなく、トレーダー達がリアルタイムで価格決定のオークションを行い、その心理的な駆け引きの結果で決まる。しかし、このような価格形成のミクロな構造を科学的に分析するには、トレーダーの個々人の過去の注文履歴の詳細を直接的に解析する必要がある。しかしながら、そのようなデータは入手が困難で詳細解明はできていなかった。

金融市場のブラウン運動と物理のブラウン運動の類似性

図1. 金融市場のブラウン運動と物理のブラウン運動の類似性

今回の研究内容

本研究では、学術研究用に提供されたドル円の外国為替市場で匿名化されたトレーダー個々人の注文ログデータを解析。市場では実際に、どのような戦略が広く使われ、その結果がどのような行動法則として現れるかを調べた。特に、高頻度に注文を出すトレーダー(HFT[用語6])に着目して統計解析を行った。

まず、過去の市場価格の変動とどのような相関を持って、各HFTが指値注文を出しているかを統計解析した。その結果、HFTは過去の価格変動と正の相関を持って指値を設定する傾向があり、その統計的性質は上位のHFTに関しては同一の数式で定量化できることが分かった。これはトレーダーが過去の価格変化を元に上昇(下降)トレンドにある時は、追随して自分の指値を上げる(下げる)トレンドフォロー戦略を採用していると解釈できる。

以上の行動法則を取り入れたトレーダーの集団による市場のモデルを構築し、そのモデルの性質を、物理学の計算手法の1つであるボルツマン方程式を用いて明らかにした。

本研究では、金融市場モデルの基本的な特性をボルツマン方程式の数理解析によって理論的に求めている。この結果は“市場価格をブラウン粒子、指値注文をブラウン粒子に衝突する水分子”と対応付けることによって、ブラウン運動と金融市場が同じ方程式に帰着されることを示しており、長年の謎だった全く異なる分野の2つの現象が類似している理由をミクロレベルから明らかにしたことになる(図2)。

(a)物理のブラウン運動におけるボルツマン方程式と(b)金融市場のブラウン運動におけるボルツマン方程式の対応関係

図2. (a)物理のブラウン運動におけるボルツマン方程式と(b)金融市場のブラウン運動におけるボルツマン方程式の対応関係

今後の展開

今近年、社会科学系では様々なデータ分析が盛んに行われており、金融市場もその例外に漏れず、高精度なデータが大量に入手可能になってきている。しかし、爆発的に増大し精緻化した金融市場データに対して学術的な解析は、そこまで追いついていないのが現状だ。

本研究では、このような金融市場に対して最もミクロなレベルでの科学分析を初めて行い、個々のトレーダーレベルでの基礎的な性質を明らかにした。この研究結果を出発点に、トレーダーレベルで実証的に裏付けされた精密な市場のモデル構築が可能になる。

このような新しい市場モデルを通じて、例えば、暴騰や暴落のメカニズムを解き明かし、金融規制を行った際の市場の反応をシミュレーションして、市場を安定化させる施策を検討するなど、様々な応用研究での利用が期待される。

用語説明

[用語1] ブラウン運動 : 顕微鏡でようやく見えるくらいの微粒子は、水中ではランダムに動き続ける性質があり、発見者にちなんでブラウン運動と呼ばれる。アインシュタインは、当時はまだ仮説だった原子・分子の熱運動でこの現象が説明できることを理論的に明らかにした。ブラウン運動はマクロにはランダムウォークモデルと近似するが、ミクロでは必ずしも合致しない。

[用語2] ボルツマン方程式 : 熱運動によって動き回る分子が、微粒子に衝突して速度や位置をランダムに変化させる様子を記述する基礎方程式であり、希薄気体中のブラウン運動の特性をニュートン力学から理論的に導出することができる。

[用語3] トレーディング・ログ : 個々のトレーダーの全行動履歴を保持したデータ。ただし、個人情報保護のためにトレーダー名は匿名化されている。ログには、トレーダーがどの価格で売買の指値注文を出したか、もしくは実際に売買を行ったかがすべて記録されている。

[用語4] 指値 : 金融市場において、各トレーダーは売買を希望する通貨の価格と取引量を事前に指定し、売り・買いの両側のオークション形式で価格が決定する。その際に、事前に指定する売買の希望価格を指値という。

[用語5] ランダムウォークモデル : コインを振って上がり下がりを決める変動のモデルに代表されるように、毎回の変位がランダムであるような時間変動の数理モデル。酔っ払いの動きに例えて、酔歩モデルとも呼ばれる。

[用語6] HFT : High-frequency tradersの略であり、高頻度に指値注文を出したり、キャンセルしたりすることを繰り返すトレーダー。典型的にはアルゴリズムに従っているAIトレーダーだと思われる。HFTはミリ秒単位で市場変化を検知・応答することが出来、近年金融市場での存在感が高まってきている。

論文情報

掲載誌 :
Physical Review Letters
論文タイトル :
Derivation of the Boltzmann Equation for Financial Brownian Motion: Direct Observation of the Collective Motion of High-Frequency Traders
著者 :
Kiyoshi Kanazawa, Takumi Sueshige, Hideki Takayasu, Misako Takayasu
DOI :

研究内容に関するお問い合わせ

東京工業大学 科学技術創成研究院

ビッグデータ数理科学研究ユニット

教授 高安美佐子

E-mail : takayasu.m.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5640

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Tel : 03-5734-2975

第5回大岡山健康講座を開催

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2月21日、東工大リベラルアーツ研究教育院は、大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて、大岡山駅上にある東急病院との共催で「第5回大岡山健康講座」を開催しました。当日は150名を超える多くの方が参加しました。

第1部「加齢に伴う膝の痛み~その原因と対策、治療法について~」

  • 東急病院 大森俊行 整形外科医長

膝について講演する大森医長
膝について講演する大森医長

変形性膝関節症を中心に、膝の痛みについて話がありました。加齢に伴って起こることの多い変形性膝関節症は、体重に比べて筋力が低下すると起こりやすいことが知られています。そのため、肥満の方や、男性に比べて筋力の低くなりがちな女性は要注意です。初期では立ち上がりや歩きはじめなど動作の開始時に痛みます。中期では階段昇り降りが困難になり、末期では脚の変形が著しく、安静時にも痛みがとれなくなります。これらの事例が、普段は見ることのできない症例を交えて紹介されました。

予防には、膝を支える筋力維持が必要であることや、その手段として、浮力を利用して体重の負荷を減じることができるプール内歩行などが紹介されました。治療法についても、写真を交えて分かりやすく紹介されました。

第2部「自宅でかんたんにできる!かんたんエクササイズ!!」

  • 東急スポーツシステム株式会社 山城智幸インストラクター

グーとパーの運動を実演する山城インストラクター
グーとパーの運動を実演する山城インストラクター

山城インストラクターが実技を中心に説明しました。手のグーパーを組み合わせただけなのに難しい運動の紹介を始め、様々な筋力トレーニングが紹介されました。「眉間にしわを寄せない程度で」との掛け声に、参加者は笑いながらも真剣に運動に取り組んでいました。

第3部「健康に関する知識について考えてみよう」

  • リベラルアーツ研究教育院 林直亨教授

林教授が、予め集められた127の質問やコメントに答える形で講演しました。そのうち、40通近くのコメントが膝痛に関するものであり、60通近くのコメントが運動に関するものであることから、この2点に配慮した話がなされました。健康には、運動・休養・栄養に配慮する必要があるとの観点から、適切な運動やストレッチ、トレーニング、マッサージの具体的な方法や注意すべき点が説明されました。

最近の研究では、座る時間が長いことが死亡率や心臓疾患に関連することが明らかにされています。テレビ視聴のために1時間座位行動を続けるごとに、平均余命が22分間短くなるとの統計も紹介され、軽い運動であっても重要であることが説明されました。最後に、むだ・むら・むりをしない「だらりの法則」が健康にも適用できることが紹介され、少しでも日常生活に運動を取り入れるように呼びかけました。

膝と運動について話す林教授
膝と運動について話す林教授

会場ではストレッチを実践
会場ではストレッチを実践

※大岡山健康講座について

東急病院の母体である東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)は、2015年3月に従業員の健康管理を行う優良企業として経済産業省と東京証券取引所より「健康経営銘柄」に選定されました。それに伴い、東急病院のある大岡山駅周辺を「健康ステーション大岡山」と称し、健康の発信拠点として、さまざまな取り組みを実施しています。東工大も、リベラルアーツ研究教育院の林直亨教授の監修のもと、健康啓発ポスターの作成や、工大祭でのウォーキングイベントの開催に取り組んできました。 本講座も、この取り組みの一環として開催されています。

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お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

デジタル創作同好会traPが中高生のためのプログラミング教室を開催(2018年 冬)

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JavaScriptでゲームを制作

3月17日、中高生のためのプログラミング教室を開催しました。

東工大のデジタル創作系サークルであるtraPが定期的に主催し、プログラミング未経験の中高生に対し、グループワーク形式でプログラミングを教える教室です。JavaScript(ジャバスクリプト)というプログラミング言語を用いて、参加者全員が簡単なゲームを制作しました。今回は株式会社サポーターズの協力のもと、渋谷にあるサポーターズのオフィスをお借りして開催しました。

当日は中学生、高校生合わせて32名の参加者を迎え、参加者4名と教師となる東工大生2名程度のグループに分かれて教室が始まりました。アイスブレイクで緊張をほぐしてお互いに打ち解けたところで、実際に東工大生の説明を聞きながらプログラミングをしていきます。どのグループも和やかな雰囲気で、参加者は東工大生の助けを借りながら真剣な表情で取り組んでいました。

ゲームの骨組みが完成した後は、参加者からの「こんな風にしたい」「こういう機能を追加したい」などといった要望を聞き、それを実現するために東工大生と一緒にプログラムの書き方を考えるといった一幕もありました。教室の最後には東工大生がゲームの改造例を紹介し、参加者も興味を持っている様子がうかがえました。

デジタル創作同好会traPとは

ゲーム制作を中心に、プログラミング、DTM(音楽制作)、2Dイラスト、3Dモデル、ドット絵、競技プログラミング、CTF(コンピュータセキュリティ技術を競う競技)など幅広く取り組んでいます。デジタルコンテンツのチーム制作や技術共有を目的として、2015年4月に設立したサークルです。また、ゲーム制作者交流イベントや中高生向けのプログラミング教室を主催するなど外部との交流も積極的に行っています。

プログラミング教室の様子
プログラミング教室の様子

プログラミングに取り組む参加者
プログラミングに取り組む参加者

中高生の参加者と東工大生

中高生の参加者と東工大生

お問い合わせ先

東京工業大学 デジタル創作同好会traP

E-mail : trap.titech@gmail.com

「スロースリップ」による水の移動を解明

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関東地方の地下深くで天然の注水実験か?

要点

  • 沈み込みプレート境界で起きるスロースリップに伴う水の挙動を解明
  • スロースリップ発生時にプレート境界から水が浅部に排出される
  • 注水実験と似た現象が関東地方の地下で起きている可能性を示唆

概要

東京工業大学 理学院 地球惑星科学系の中島淳一教授と東北大学 大学院理学研究科の内田直希准教授は、茨城県南西部のフィリピン海プレート[用語1]の上部境界周辺で発生する地震の波形を解析することで、プレート境界で約1年周期の「スロースリップ(ゆっくりすべり)」[用語2]が発生し、それに伴って水が浅部に排出されていることを明らかにした。

本成果は、スロースリップによってプレート境界の水が移動することを示す初めての観測であり、プレート境界地震[用語3]の発生予測の高度化に向けた極めて重要な成果である。これまでプレート境界地震の発生予測の際にはスロースリップによる応力変化の影響だけが評価されていたが、本成果によって水の排出も考慮する必要があることが明らかになった。

研究成果は4月9日(英国時間)の英国科学誌「Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)オンライン版」に掲載された。

背景

1990年代初めまでは、沈み込むプレートの上部境界は普段は固着しており、地震としてすべるか、またはずるずると安定的にすべるかのいずれかであると考えられていた。しかし1990年代後半に入ると、プレート境界でのスロースリップが世界の沈み込み帯で相次いで報告された。

スロースリップはプレート境界の巨大地震震源域の周辺で周期的に発生することが多く、震源域への応力蓄積に重要な役割を果たすと考えられている。一方で、スロースリップの発生域は水に富む領域であることがわかってきたが、スロースリップに伴う水の挙動は未解明だった。

研究の経緯

西南日本を初めとする多くの沈み込みプレート境界では、人には感じないゆっくりとしたすべり(スロースリップ)が数ヵ月から数年周期で起こっている。スロースリップが発生すると周囲のプレート境界の応力状態が変化する。その応力変化が引き金となり、プレート境界の固着域で地震が発生する可能性が指摘されていた。実際、東北地方の沖合では2011年2月半ばからスロースリップが始まり、すべりの伝播先で約1ヵ月後に東北地方太平洋地震が発生したとの報告もある。

スロースリップ発生域のプレート境界は水の間隙圧[用語4]が極めて高い状態にあると考えられている。水は断層の破壊強度を低下させるため、スロースリップによって水の移動が起こると、周囲のプレート境界の強度が著しく低下する可能性がある。そのため、周期的に発生するスロースリップによる水の挙動を明らかにすることは、プレート境界地震の発生予測に極めて重要である。

そこで中島教授らは、茨城県南西部のフィリピン海プレートの上部境界付近の地震活動と地震波減衰[用語5]の時間変化を詳細に推定し、スロースリップによる水の挙動の解明を目指した(図1)。

ピンク色の線はフィリピン海プレートの上部境界(数字はプレートの深さ:km)。右図は測線A-Bに沿う断面図。星は繰り返し地震(赤星は解析に用いた繰り返し地震)。

図1. 解析した地震(色は深さ)の分布

ピンク色の線はフィリピン海プレートの上部境界(数字はプレートの深さ:km)。右図は測線A-Bに沿う断面図。星は繰り返し地震(赤星は解析に用いた繰り返し地震)。

研究成果

2004年から2015年に発生した地震を用いた解析により、繰り返し地震[用語6]の活動が約1年周期で活発化すること、その活動と同期してプレート境界直上の地震波の減衰特性が大きくなること、さらにそれから数ヵ月遅れて浅い地震活動が活発化することが明らかになった(図2)。これら一連の活動は、以下のように考えると、その時空間変化を説明できる(図3)。

1.
繰り返し地震の活発化は、約1年周期で発生するプレート境界でのスロースリップが原因である
2.
スロースリップに伴ってプレート境界の水が上盤に排出され、地震波の減衰を大きくする
3.
排出された水は数ヵ月かけて浅部に上昇し、上盤プレート内で地震を誘発する
(a)上盤地震の地震数の時間変化(灰色)と地震の規模(白丸)、(b)繰り返し地震から推定したプレート境界のすべりレート(灰色)と地震の規模(白丸)、(c)地震波減衰の時間変化(色付き丸)とプレート境界のすべりレート。色は減衰の大きさ(左軸)に対応する。いずれも0.4年の時間窓で0.1年の移動平均をとった値を示してある。
図2.
(a)上盤地震の地震数の時間変化(灰色)と地震の規模(白丸)、(b)繰り返し地震から推定したプレート境界のすべりレート(灰色)と地震の規模(白丸)、(c)地震波減衰の時間変化(色付き丸)とプレート境界のすべりレート。色は減衰の大きさ(左軸)に対応する。いずれも0.4年の時間窓で0.1年の移動平均をとった値を示してある。

 (a) スロースリップ発生時と(b)スロースリップ終了後の解釈図

図3. (a) スロースリップ発生時と(b)スロースリップ終了後の解釈図

この研究成果はスロースリップによって「水の移動」が起こることを示している。解析領域である茨城県南西部では、プレート境界から放出された水により上盤プレート内で地震活動が誘発された。しかし、上盤プレートの透水性が低く水が抜けにくい場合には、水はプレート境界を伝わり浅部に移動すると考えられる。移動した水がプレート境界の破壊強度を低下させ、そこで地震を誘発する可能性がある。これまで指摘されていなかったスロースリップの新しい役割だ。

今回の研究で明らかにした「プレート境界からの排水により地盤の構造が変化し、地震が誘発される」という現象は、人工的な注水実験[用語7]でみられる活動の推移とよく似ている。注水実験では、誘発される地震数は水の注入量に比例し、注水が終わると地震活動が低調になること、注水により岩盤の地震波速度が変化することが報告されている。この研究成果は、関東地方の地下において「天然の注水実験」が進行していることを示唆している。

今後の展開

これまでの研究では、スロースリップによる応力変化がプレート境界地震に与える影響のみが評価されていたが、プレート境界地震の発生予測には「水の移動」も考慮する必要があることがわかった。スロースリップとプレート境界地震の相互作用の研究に新たな方向性を示す重要な成果である。プレート境界地震の発生メカニズムの理解の進展に寄与すると期待される。

謝辞

本研究は東京大学 地震研究所共同利用「2017-D-21 都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクトデータ」による首都圏地震観測網のデータ提供を受けた。また、日本学術振興会科学研究費補助金(JP16H04040、JP16H06475、JP17K05626、JP15K05260、JP16H06473、JP17H05309)の援助を受けた。

用語説明

[用語1] フィリピン海プレート : 地球の表面を覆っている厚さ50~100 kmほどの10数枚の岩盤(プレート)の一つで、関東地方から西日本、南西諸島の下に年間3~5 cmの速さで沈み込んでいる。

[用語2] スロースリップ(ゆっくりすべり) : 数日から数年かけてゆっくりと断層が動く現象。数ヵ月から数年周期で繰り返すことが多い。

[用語3] プレート境界地震 : 大陸プレートとその下に沈み込む海洋プレートの境界で発生する地震。沈み込むプレートに引きずられて生じたひずみを解消する働きがある。1923年関東地震や2011年東北地方太平洋沖地震はプレート境界での巨大地震である。

[用語4] 水の間隙圧 : 地盤内の水圧。

[用語5] 地震波減衰 : 地震波が伝わる際に波の振幅が小さくなること。高温域や水に富む領域では減衰が大きくなる。

[用語6] 繰り返し地震 : 断層上の小さなパッチ(固着域)の繰り返し破壊によって生じる地震。震源の位置や大きさがほぼ同じ地震が、ほぼ一定の間隔で繰り返す。観測される地震波形が似ていることから、相似地震とよばれることもある。

[用語7] 注水実験 : 地下に人工的に水を注入し、それによって生じる岩石の破壊方向や地震活動を調べる学術的実験。注水による誘発地震は、1960年代にデンバー(アメリカ)の軍事工場で深井戸に廃液を注入した際に初めて報告された。これまでに、廃棄物処分、石油掘削、地熱開発などに伴う誘発地震が多数報告されている。

論文情報

掲載誌 :
Nature Geoscience
論文タイトル :
Repeated drainage from megathrusts during episodic slow slip
著者 :
Junichi Nakajima and Naoki Uchida
DOI :
<$mt:Include module="#G-03_理学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

東京工業大学 理学院 地球惑星科学系

教授 中島淳一

E-mail : nakajima@geo.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2547 / Fax : 03-5734-3537

東北大学 大学院理学研究科

准教授 内田直希

E-mail : naoki.uchida.b6@tohoku.ac.jp
Tel : 022-795-3917 / Fax : 022-264-3292

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

林文部科学大臣が東京工業大学を視察

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林大臣からの質問に答える上妻教授

林大臣からの質問に答える上妻教授

林芳正文部科学大臣が3月9日、東京工業大学を視察しました。

林大臣は理学院 物理学系の上妻幹旺教授と工学院 電気電子系の波多野睦子教授の研究室を訪ね、原子波干渉ジャイロスコープ、量子シミュレーターやダイヤモンド固体量子センサなどの研究の概要について説明を受けた後、各研究室の実験室で予定時間を超えて熱心に質問しました。説明する学生に対して、大臣が記念撮影を申し出るなど、なごやかな場面もありました。

学生が試作したダイヤモンド磁気センサシステムに見入る林大臣
学生が試作したダイヤモンド磁気センサシステムに見入る林大臣

ダイヤモンドによる氷のカットの実験を行う林大臣と波多野教授
ダイヤモンドによる氷のカットの実験を行う林大臣と波多野教授

最後に、三島良直学長(当時)、安藤真理事・副学長(研究担当、当時)および芝田政之理事・副学長(財務・施設担当、当時)とともに、理学院 物理学系の西森秀稔教授と量子コンピュータについて意見交換を行い、人材育成などについて話し合いました。

白熱した意見交換を行う林大臣と西森教授

白熱した意見交換を行う林大臣と西森教授

白熱した意見交換を行う林大臣と西森教授

林大臣を囲んで

林大臣を囲んで

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975

舞踏研究部が国公立大学学生競技ダンス選手権大会で団体3位入賞

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3月11日に東京都小平市の一橋大学小平国際キャンパスで開催された第104回国公立大学学生競技ダンス選手権大会(東部日本学生競技ダンス連盟主催)において、本学舞踏研究部が団体の部において15校中3位入賞を果たしました。

個人の部においては、同部から出場した22組のうち12組が入賞し、そのうち9組が決勝進出を果たしました。

競技ダンスとは

男女がペアになって踊る社交ダンスとほぼ同じものですが、社交ダンスが社交を目的としているダンスであるのに対し、競技ダンスは競技会にて技術や表現を競うことを目的としています。

学生の競技ダンスには、大きく3つの部門があり、全部で9種目のダンスがあります。

スタンダード

男女が組んで踊ります。

  • ワルツ
  • タンゴ
  • スローフォックストロット
  • クイックステップ

ラテンアメリカン

基本的に男女が離れて踊ります。

  • チャチャチャ
  • サンバ
  • ルンバ
  • パソドブレ

フォーメーション

4~8組が2~4種目のメドレーで隊列を構成しながら踊ります。

今回の国公立大会では開催されません。

今大会の入賞者

今回の国公立大学選手権の東工大チームの入賞者をご紹介します。

スタンダード

武田龍河(工学部 化学工学科 3年)・小泉渚(白百合女子大学)組
ワルツ2~3年生の部 5位入賞
タンゴ2~3年生の部 7位入賞
スローフォックストロット2~3年生の部 5位入賞
クイックステップ2~3年生の部 5位入賞

武田龍河(工学部 化学工学科 3年)・小泉渚(白百合女子大学)組
(写真提供/石塚琴音)

工藤凛平(生命理工学部 生命科学科 3年)・東野響子(上智大学)組
ワルツ2~3年生の部 6位入賞
タンゴ2~3年生の部 8位入賞
スローフォックストロット2~3年生の部 8位入賞
クイックステップ2~3年生の部 7位入賞

工藤凛平(生命理工学部 生命科学科 3年)・東野響子(上智大学)組
(写真提供/石塚琴音)

田中駿介(第7類 1年)・増川理恵(第1類 1年)組
タンゴ1年生の部 3位入賞
田中駿介(第7類 1年)・増川理恵(第1類 1年)組
(写真提供/小野祥子)

笛木怜(第6類 1年)・伊東美結(白百合女子大学)組
タンゴ1年生の部 6位入賞
笛木怜(第6類 1年)・伊東美結(白百合女子大学)組
(写真提供/赤岡毬萌)

田中駿介(第7類 1年)・河内春香(白百合女子大学)組
スローフォックストロット1年生の部 4位入賞
田中駿介(第7類 1年)・河内春香(白百合女子大学)組
(写真提供/小野祥子)

笛木怜(第6類 1年)・中坪実織(杉野服飾大学)組
スローフォックストロット1年生の部 12位入賞
笛木怜(第6類 1年)・中坪実織(杉野服飾大学)組
(写真提供/小野祥子)

ラテンアメリカン

上原克也(生命理工学部 生命工学科 3年)・松田貴子(白百合女子大学)組
チャチャチャ2~3年生の部 準優勝
サンバ2~3年生の部 6位入賞
ルンバ2~3年生の部 6位入賞
パソドブレ2~3年生の部 準優勝

上原克也(生命理工学部 生命工学科 3年)・
松田貴子(白百合女子大学)組
(写真提供/石塚琴音)

田口宏大(理学部 地球惑星科学科 3年)・清末弥生"白百合女子大学)組
チャチャチャ2~3年生の部 4位入賞
サンバ2~3年生の部 3位入賞
ルンバ2~3年生の部 3位入賞
パソドブレ2~3年生の部 10位入賞

田口宏大(理学部 地球惑星科学科 3年)・
清末弥生(白百合女子大学)組
(写真提供/赤岡毬萌)

潮竜聖(理学部 地球惑星科学科 3年)・出口菜都美(白百合女子大学)組
チャチャチャ2~3年生の部 6位入賞
サンバ2~3年生の部 8位入賞
ルンバ2~3年生の部 準優勝
パソドブレ2~3年生の部 9位入賞

潮竜聖(理学部 地球惑星科学科 3年)・
出口菜都美(白百合女子大学)組
(写真提供/ヨシダミキオ )

金子和夢(理学部 地球惑星科学科3年)・町田茉菜美(白百合女子大学)組
サンバ2~3年生の部 11位入賞
ルンバ2~3年生の部 7位入賞

金子和夢(理学部 地球惑星科学科3年)・
町田茉菜美(白百合女子大学)組
(写真提供/小野祥子)

鈴木海堂(第1類 1年)・伊東美結(白百合女子大学)組
サンバ1年生の部 7位入賞
鈴木海堂(第1類 1年)・伊東美結(白百合女子大学)組
(写真提供/伊東美結)

笛木怜(第6類 1年)・櫻井咲季(第7類1年)組
パソドブレ1年生の部 13位入賞
笛木怜(第6類 1年)・櫻井咲季(第7類1年)組
(写真提供/小野祥子)

代表 足立亮太さん(工学部 経営システム工学科 3年)からのコメント

今大会では非常に多くの部員が結果を残すことができて、大変嬉しく思っております。部員の日々の努力や応援してくださるOB・OGの方々のサポートなどが反映された良い結果だと思います。今大会は2018年初めての試合で部員一同いいスタートが切れてよかったと思います。

今後もこの調子で練習に励んでいき、今後の試合での活躍につなげたいと思います。

東工大 舞踏研究部について

東京工業大学舞踏研究部は、学生競技ダンス連盟に所属している大学公認の部活です。共同加盟校として、東京工業大学舞踏研究部は、学生競技ダンス連盟に所属している大学公認の部活です。共同加盟校として、白百合女子大学と杉野服飾大学と共に活動しています。部員数は、東工大生17人 白百合女子大生11人 杉野服飾大生5人(2018年3月現在)です。

競技会にむけて日々練習しています。

お問い合わせ先

東京工業大学 舞踏研究部

E-mail : tsubame.buken@gmail.com

4月12日14:00 一部、受賞者の結果を追加しました。

文部科学省 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム キックオフシンポジウムを開催

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IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化

3月22日、東工大 中分子IT創薬研究推進体(MIDL)と川崎市産業振興財団は、文部科学省 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」キックオフシンポジウムを川崎市産業振興会館ホールにて開催しました。バイオ・製薬企業等の企業、金融機関・ベンチャーキャピタル、公的研究機関、自治体・財団、大学などから228名の参加がありました。

「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」は、東工大が保有するIT技術を利用した創薬支援(IT創薬)と化学合成技術等の融合による革新的な中分子創薬事業フローを構築し、川崎市殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」を中心とした川崎市内企業等との産学官連携により進めています。基礎・基盤研究と創薬事業を橋渡しするイノベーション・エコシステムを形成することで、我が国における中分子創薬の開発効率を大幅に向上させることを目的とする文部科学省による補助事業です。

本キックオフシンポジウムは、2017年に採択された文部科学省 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」(実施機関:東京工業大学、川崎市)の取り組みを広く社会に発信することを目的として開催されました。

主催者挨拶

冒頭の挨拶では、主催者を代表して、本学の屋井鉄雄副学長と、川崎市産業振興財団の曽禰純一郎理事長からそれぞれ本事業の取組への抱負が述べられました。

屋井副学長による挨拶
屋井副学長による挨拶

川崎市産業振興財団の曽禰氏による挨拶
川崎市産業振興財団の曽禰氏による挨拶

来賓挨拶

文部科学省の植原氏による来賓挨拶
文部科学省の植原氏による来賓挨拶

来賓挨拶では、文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 地域支援企画官 生田知子氏(代読)から本事業への期待が述べられました。

キングスカイフロントの紹介

川崎市の東氏によるキングスカイフロントの紹介
川崎市の東氏によるキングスカイフロントの紹介

続いて、川崎市臨海部国際戦略本部国際戦略推進部 東哲也担当課長から、本事業の拠点立地であるキングスカイフロント(川崎市川崎区殿町3丁目地区)の紹介があり、本学 中分子IT創薬研究推進体の殿町拠点が設置されているResearch Gate Building TONOMACHI 2(リサーチ ゲート ビルディング トノマチ2)についても説明がありました。

プロジェクトの紹介

秋山教授による事業化プロジェクト1の説明
秋山教授による事業化プロジェクト1の説明

本事業のコア技術を推進する事業化プロジェクトについて、本学 情報理工学院の秋山泰教授からプロジェクト概要説明がなされ、創薬研究における第2のパラダイムシフトについての説明、事業化までの進め方、および殿町地区における交流機会の促進を狙いとすることなどが示されました。

続いて、秋山教授は、事業化プロジェクト1について中分子IT創薬技術のターゲットがペプチド創薬における細胞膜透過性や体内持続性の向上であることを示し、計算機技術、特にTSUBAME3.0outerを活用した大規模並列計算や拡張サンプリング法によって計算スピードの加速が期待されることなど同プロジェクトの狙いについて述べました。

事業化プロジェクト2を担う、本学 生命理工学院の清尾康志准教授からは、同プロジェクトでは、多様な修飾が可能となる人工核酸ライブラリー技術の構築を進展させていくことが述べられました。また、人工核酸技術についての現状と問題点、特に副作用や有効性の対策として、独自に開発したin silico(インシリコ、計算機実験による)技術によって副作用や毒性予測の仕組みへの応用を目指していくと抱負を語りました。

川崎市産業振興財団の進照夫 ライフサイエンスチーフコーディネータからは、「中分子×IT×創薬ビジネス研究会」の紹介と、第1回を2018年2月に開催した旨の説明があり、次回以降の参加が呼びかけられました。

清尾准教授による事業化プロジェクト2の説明
清尾准教授による事業化プロジェクト2の説明

川崎市産業振興財団の進氏によるビジネス研究会の紹介
川崎市産業振興財団の進氏によるビジネス研究会の紹介

基調講演1

ペプチドリーム株式会社の舛屋氏による基調講演
ペプチドリーム株式会社の舛屋氏による基調講演

続く基調講演では、ペプチドリーム株式会社の舛屋圭一 取締役研究開発部長から、ペプチド創薬の推進の背景として、インスリンに代表される従来型のペプチド医薬品とは異なる、新しい中分子創薬への期待が市場からあることや日本の医療行政に低コスト化が要請されていることなどが紹介されました。ペプチドリーム社で取り組んでいる環状ペプチド技術開発は、これまで取り組まれてきた歴史的な創薬技術とは異なる新しい視点を前提として、創薬の短期化や低コスト化に資することが語られました。

基調講演2

レナセラピューティクス株式会社の矢野氏による基調講演
レナセラピューティクス株式会社の矢野氏による基調講演

レナセラピューティクス株式会社の矢野純一 代表取締役会長は、核酸医薬品の開発の歴史や、アンチセンス核酸やsiRNAによる第2のブームが到来していること、さらに過去の事例を踏まえて毒性評価に留意すべきことについて説明しました。また、中分子創薬への期待として臨床的予測可能性の向上が挙げられました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、本学 環境・社会理工学院の仙石慎太郎准教授の進行により、基調講演者である舛屋氏、矢野氏に加え、日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所の戸邊雅則主任研究員、MPO株式会社の天野徹也代表取締役社長がパネリストに加わりました。戸邊氏、天野氏からの個別報告をパネルディスカッションの冒頭に実施したのち、「中分子創薬ビジネスの将来展望」をテーマに、創薬の研究開発におけるITへの期待や中分子創薬の現状と課題、ビジネスにするために必要なことなどについて討論されました。会場からの質問も交えて、活発な意見交換がなされました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

閉会の挨拶

川崎市産業振興財団の河野氏による閉会の挨拶
川崎市産業振興財団の河野氏による閉会の挨拶

閉会に当たっては、川崎市産業振興財団の河野裕副事業プロデューサーより、事業成功へ向けた期待と関係者への協力のお願いが述べられました。

キックオフシンポジウム終了後には情報交換会が開催され、100名弱の参加者らと登壇者らが活発に情報交換会を行いました。今後、川崎市殿町地区を中心に、交流が広がっていくことが期待されます。

情報交換会の様子

情報交換会の様子

情報交換会の様子

中分子IT創薬研究推進体とは

中分子IT創薬研究推進体(MIDL)は、東京工業大学における独自の組織である「イノベーション研究推進体」の一つとして、2017年9月に設置されました。

今日における創薬研究開発では、情報科学・ITが欠かせない状況ですが、既存の支援システムは低分子化合物用に開発されていたため、中分子創薬には適用できません。MIDLでは、これらを解決する新たなシミュレーション技術や中分子設計手法を開拓し、実験研究者と密接に協力して、中分子創薬の開発現場における実証評価を進めています。

また、本学が保持するペプチドや核酸に優れた合成技術に対して、情報技術の支援を行い、中分子創薬における実用化を目指します。

中分子創薬では、例えば細胞内のタンパク質間相互作用(PPI)の阻害が可能になるなど、従来の低分子創薬とは異なる標的分子を狙うことも可能になります。計算と実験の協働によるPPIの網羅的予測法や、未知の標的分子の実験的な同定技術の開発なども併せて行っています。

お問い合わせ先

東京工業大学 中分子IT創薬研究推進体(MIDL)

E-mail : office@midl.titech.ac.jp

南鳥島レアアース泥の資源分布の可視化と高効率な選鉱手法の確立に成功

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発表のポイント

  • 日本の南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内に存在するレアアース泥の資源分布を可視化して資源量を把握し、世界需要の数百年分に相当する莫大なレアアース資源が存在することを明らかにしました。
  • 粒径分離によってレアアース濃集鉱物を選択的に回収する技術の確立に成功しました。この技術により、中国陸上レアアース鉱床の20倍程度まで品位を向上させることが可能となりました。将来的には、濃集鉱物のみを回収することで50倍以上の品位にすることを目指します。
  • 本研究の成果により、再生可能エネルギー技術やエレクトロニクス、医療技術分野など最先端産業に必須となるレアアース資源開発の経済性が大幅に向上することが期待されます。

早稲田大学 理工学術院 髙谷雄太郎講師、東京大学工学系研究科 加藤泰浩教授らの研究チームは、千葉工業大学、国立研究開発法人海洋研究開発機構、東亜建設工業株式会社、太平洋セメント株式会社、東京工業大学、神戸大学と共同で、南鳥島周辺海域レアアース泥の資源分布の可視化とそれに基づく資源量の把握を行い、世界需要の数百年分に相当する莫大なレアアース資源が存在することを明らかにしました。さらに、レアアース濃集鉱物を選択的に回収する技術の確立に成功しました。

レアアース元素[用語1]は「産業のビタミン」とも呼ばれ、再生可能エネルギー技術やエレクトロニクス、医療技術分野など、日本が技術的優位性を有する最先端産業に必須の金属材料です。一方、レアアースの世界生産は依然として中国の寡占状態にあり、その供給構造の脆弱性が問題となっています。新興国を中心に今後もレアアースの需要が伸び続けることが予測される中、レアアース資源の安定的な確保は不可欠で、日本の排他的経済水域内(EEZ)におけるレアアース泥[用語2]の分布およびレアアース資源量の正確な把握が望まれていました。

本研究チームは、南鳥島EEZ南部海域に存在する有望エリアのレアアース資源分布を初めて可視化することに成功しました。特に、北西に位置する一角に極めてレアアース濃度の高い海域が存在することを確認し、このエリア(約105 km2)だけでも、レアアース資源量は約120万トン(酸化物換算)に達し、最先端産業の中で特に重要なジスプロシウム、テルビウム、ユウロピウム、イットリウムは現在の世界消費の57年分、32年分、47年分、62年分に相当することが分かりました。また、有望エリアの全海域(約2,500 km2)を合算すると、その資源量は1,600万トンを超え、当該エリアが莫大なレアアース資源ポテンシャルを持つことが明らかになりました。さらに、本研究チームは、レアアースの大半が含まれる生物源のリン酸カルシウム[用語3]が、レアアース泥中の他の構成鉱物に対して大きな粒径を持つことに着目し、粒径分離によってレアアース泥中の総レアアース濃度を最大で2.6倍にまで高めることに成功しました。粒径分離によって泥の重量が大幅に減少するため、海上への揚泥や製錬のコストの削減も期待されます。

本研究で提示したように、レアアース泥の粒径選鉱を行うことによってレアアース泥開発の経済性を大幅に向上させることが可能になります。さらに、日本のEEZに莫大なレアアース泥が確認されたことは、我が国の資源戦略に対しても極めて大きなインパクトを与えます。本研究成果をもとに将来的に南鳥島レアアース泥の開発が実現すれば、日本のみならず世界においても海底鉱物資源の開発が進展するとともに、レアアースを活用した多様な最先端産業の発展・創出といった波及効果が期待されます。

本研究成果は英国Nature Publish Groupのオンライン科学誌『Scientific Reports』に4月10日10時(現地時間)に掲載されました。

これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など)

レアアース(希土類)元素は、原子番号57番~71番までのランタノイド15元素に、原子番号21番のSc(スカンジウム)、39番Y(イットリウム)を加えた全17元素の総称です。本論文ではScおよび天然にほとんど存在しないPm(プロメチウム)を除く15元素をREY(Rare-Earth elements and Yttrium)と表記しています。レアアース元素は「産業のビタミン」とも呼ばれ、再生可能エネルギー技術やエレクトロニクス、医療技術分野など、我が国が技術的優位性を有する最先端産業に必須の金属材料です。一方、レアアースの世界生産は依然として中国の寡占状態にあり、その供給構造の脆弱性が問題となっています。新興国を中心に今後もレアアースの需要が伸び続けることが予測される中、レアアースの新規供給先の確保は我が国にとって国家的な命題になっています。このような中、2011年にKato et al.(2011)によって、レアアースを高濃度で含有する海底堆積物(レアアース泥)が太平洋の広域に分布することが『Nature Geoscience』で報告されました。さらに2013年には、南鳥島周辺の日本の排他的経済水域内(Exclusive Economic Zone, EEZ)で、総レアアース濃度(ΣREY)が7,000 ppmに達する超高濃度レアアース泥の存在が確認され、新規レアアース資源として大きな注目を集めています。超高濃度レアアース泥はレアアースを高濃度で含有する生物源のリン酸カルシウム(Biogenic Calcium Phosphate, BCP)を多く含み、これがレアアース濃集の鍵であることが明らかにされていました。これらの発見を踏まえ、将来の開発実現に向けて、我が国EEZ内におけるレアアース泥の分布およびレアアース資源量の正確な把握が望まれていました。

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

超高濃度レアアース泥の発見を受け、2013~2015年にかけて国立研究開発法人海洋研究開発機構の研究船(みらい、かいれい)により、南鳥島EEZ内の詳細な調査が実施されました(図1)。本研究では、2014~2015年までに実施された計3航海(MR14-E02、MR15-E01、MR15-02)で採取された23本の堆積物コアから、新規に573試料の化学分析を行いました。さらに、すでに公表されていた104試料(KR13-02航海で採取された2本の堆積物コア試料)のデータを加え、陸上の鉱床評価にも用いられているGISソフトウェア(Geographic Information System Software)である「ArcGIS」により、南鳥島の南方沖約250 kmの超高濃度レアアース泥分布域における深海堆積物中のレアアース濃度分布を可視化するとともに、資源量の把握を行いました。

本研究で用いたコア試料の採取地点

図1. 本研究で用いたコア試料の採取地点


左図点線は日本の排他的経済水域を示す。また、右図の白枠で囲まれた地域を有望海域として設定したエリア(アルファベットと数字の組合せにより、A1-D6に区分した)。

また、本研究ではレアアース泥の経済的価値の向上を目的とした選鉱手法についても検討しました。レアアースがどの鉱物に含まれているかを把握するため、超高濃度レアアース泥に特徴的に含まれるBCPおよび十字沸石(沸石鉱物の一種)の化学組成をレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)および電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって分析しました。この結果、レアアース泥中におけるレアアースの大半がBCPに含まれていることが明らかになりました。BCPはレアアース泥中の他の構成鉱物に対して有意に大きな粒径を持つことが先行研究によって確認されています。そこで、粒径分離によってBCPを選択的に回収し、レアアースの濃縮(選鉱)を行うことが可能かを確認するとともに、実開発を見越して既に工業的に用いられているハイドロサイクロン[用語4]と呼ばれる分級装置を用いてレアアース泥の選鉱実験を行いました。

今回の研究で得られた結果及び知見

本研究によって、南鳥島EEZ南部海域に存在する有望エリア(北緯21°48'-22°15'、東経153°30'-154°07'の約2,500 km2の海域)のレアアース資源分布が初めて可視化されました(図2)。この結果、有望エリア内でも特に、北西に位置する一角(図2のB1エリア、約105 km2)に極めてレアアース濃度の高い海域が存在することが確認されました。B1エリアにおけるΣREYは、海底面下5〜6 mでは平均で5,600 ppmに達し、海底面から深度10 mまでの平均でも1,700 ppmを超える値を示しました。このエリアだけでも、レアアース資源量は約120万トン(酸化物換算)に達し、最先端産業の中で特に重要なジスプロシウム、テルビウム、ユウロピウム、イットリウムは現在の世界消費の57年分、32年分、47年分、62年分に相当することが明らかになりました。また、有望エリアの全海域を合算すると、その資源量は1,600万トンを超え、当該エリアが莫大なレアアース資源ポテンシャルを持つことが明らかになりました。

本研究ではさらに、レアアース泥の選鉱による経済性向上の可能性を検討しました。上述の通り、LA-ICP-MSおよびEPMAによる分析の結果、BCPが南鳥島EEZ内のレアアース泥中においてレアアース元素の大部分を保持していることが明らかになりました。BCP中のΣREYは最大で22,000 ppmを超え、平均でも15,000 ppmを超える高い値を示すことから、BCPを選択的に回収することでレアアース泥の品位を大幅に向上させることが可能であると考えられます。レアアース泥中において、BCPは他の構成鉱物に比較して有意に大きな粒径を示します。そこで本研究では、まず単純な篩分けによるレアアース泥の粒径分離実験を行いました。その結果、泥から20 µm以上の大きさの粒子を分離することで、BCPを効率的に回収できることが明らかになりました(図3)。この結果を受け、粒径分離によるBCPの選択的回収を実開発スケールに拡張するため、工業的に広く利用されているハイドロサイクロンを用いた粒径選別試験を実施しました(図4〜5)。ハイドロサイクロンによる選鉱試験の結果は、篩分けによる粒径分離試験の結果と調和的であり、レアアース泥のΣREYを最大で2.6倍(2,315 ppm → 6,030 ppm)にまで高められることが確認されました(図5)。これは、中国の陸上鉱床で開発されているレアアース鉱石(300 ppm以上)の20倍に達する値です。さらに今後、BCPのみを完全に分離する技術が確立されれば、その品位は中国鉱床の約50倍にまで高められる可能性があります。また、粒径分離によって泥の重量が大幅に減少するため、海上への揚泥や製錬のコストの削減も期待されます。一連の実験は、本研究で提示したレアアース泥の粒径選鉱によってレアアース泥開発の経済性を大幅に向上させるとともに、当該選鉱手法を実開発スケールに拡張可能なことを示しました。

有望エリアにおける海底面からの深度別レアアース濃度分布図

図2. 有望エリアにおける海底面からの深度別レアアース濃度分布図


B1エリア(赤枠で表示、約105 km2)が最も高い総レアアース濃度を示す。

篩(ふるい)を用いた粒径分離実験結果

図3. 篩(ふるい)を用いた粒径分離実験結果


結果は、レアアース泥(ΣREY: 400〜2,000 ppm)、高濃度レアアース泥(ΣREY: 2,000〜5,000 ppm)、超高濃度レアアース泥(ΣREY: 5,000 ppm 以上)に分けて表示。いずれの試料でも、20 µm以下の粒径は総レアアース濃度が最も低く重量比も大きいことから、20 µmを基準として分級することでレアアース泥の品位を向上できることが分かる。

ハイドロサイクロンを用いた分級試験の様子

図4. ハイドロサイクロンを用いた分級試験の様子


写真奥にある大きな容器内にレアアース泥を海水中で解泥したスラリーが入っている。写真中央に写るハイドロサイクロンにスラリーを送り込み分級を行う。ハイドロサイクロン下部にアンダーフロー(20 µm以上の粒子)、左の容器にオーバーフロー(20 µm以下の粒子)が排出される。

ハイドロサイクロンを用いた分級試験結果

図5. ハイドロサイクロンを用いた分級試験結果


分級による品位向上率は最大で2.6倍に達し、レアアース泥の経済的価値を大きく向上させられることが確かめられた。

研究の波及効果や社会的影響

本研究は、量(資源量)と質(鉱物学的な特長を生かした選鉱が可能)の両面からレアアース泥の莫大な資源ポテンシャルを明らかにしました。この成果により、従来は基礎研究の範疇に留まっていた海底鉱物資源を、現実的に開発可能な資源として初めて議論の俎上に載せることに成功したと考えています。持続可能な社会の発展に向けては、レアアース資源の安定的な確保が不可欠です。レアアース泥は我が国のEEZ内に存在することから、我が国の資源戦略に対しても極めて大きなインパクトを与えます。本研究成果をもとに将来的に南鳥島レアアース泥の開発が実現すれば、日本のみならず世界においても海底鉱物資源の開発が進展するとともに、レアアースを活用した多様な最先端産業の発展・創出といった波及効果が期待されます。

今後の課題

本研究によって、レアアース泥が実開発の対象として十分な資源量を有し、さらに粒径選鉱によって大幅にその経済性を向上させられることが明らかとなりました。レアアース泥の開発に向けた次のステップは、深海底に存在するレアアース泥を採掘し海上に運んでくるための採泥・揚泥技術の開発になります。採泥・揚泥技術の検討は、すでに産官学の協力のもと進められており、効率的・経済的な手法が精力的に検討されています。また、採泥・揚泥技術と並行して、本研究成果を踏まえた資源開発プロジェクトの詳細な経済性評価も重要な課題となります。

用語説明

[用語1] レアアース : レアアース(希土類)元素は、原子番号57番~71番までのランタノイド15元素に、原子番号21番のSc(スカンジウム)、39番Y(イットリウム)を加えた全17元素の総称です(ただし、原子番号61番のPm(プロメチウム)は自然界にはほとんど存在しません)。本論文ではScとPmを除く15元素をREY(Rare-Earth elements and Yttrium)と表記しました。レアアースは独特な光学的特性や磁気的特性を持つことから、ハイブリッドカーのモーターに使われるNd-Fe-B磁石やLEDの蛍光体などの最先端グリーン・テクノロジー(省エネ・エコ技術)に不可欠な元素であり、これらの最先端技術を基幹産業とする我が国にとっては極めて重要な金属資源です。

[用語2] レアアース泥 : 2011年に東京大学の加藤泰浩教授らにより発見された、新しいタイプの海底鉱物資源。レアアースを高濃度(総レアアース濃度400 ppm以上)で含む深海堆積物の総称であり、総レアアース濃度が2,000 ppmを超えるものは高濃度レアアース泥、5,000 ppmを超えるものは超高濃度レアアース泥と定義されています。レアアース泥は、資源として以下のような特長を有します。

1.
高い総レアアース濃度を示し、特に産業上重要な重レアアースに富むこと
2.
太平洋の広範囲に分布するため膨大な資源量が見込まれること
3.
遠洋性の深海堆積物として層状に分布するため資源探査が容易であること
4.
開発時の環境汚染源として問題となるトリウム(Th)やウラン(U)などの放射性元素をほとんど含まないこと
5.
常温の希酸で容易にレアアースを抽出できること

2013年には日本の排他的経済水域内で「超高濃度レアアース泥」が発見されたほか、2014年にはインド洋においてもレアアース泥の存在が報告され(いずれも加藤教授らの研究グループによる)、レアアースの新規資源として大きな注目を集めています。

[用語3] 生物源リン酸カルシウム(BCP) : 生物の歯や骨を構成する物質であり、レアアースを非常に高い濃度(15,000 ppm以上)まで濃集しています。レアアース泥中には魚類などの歯や骨片として多く含まれています。薄い塩酸や硫酸で容易に溶かすことができ、含まれているレアアースのほぼ全量を溶液中に回収することが可能です。

生物源リン酸カルシウム(BCP)

[用語4] ハイドロサイクロン : 分級装置の一種であり、液体中に懸濁する固体粒子を、遠心力を利用して沈降分離する機器(下図)。構造が極めて単純で処理能力も高いため、工業用水の浄化や金属粉・セラミック原料の分級など工業的にも広く利用されています。内部に液体を満たすため、深海の大きな水圧の下でも問題なく稼働し、原理的に分級が可能と考えられます。海底への設置が可能となれば、レアアース泥揚泥コストの大幅な削減も期待されます。

ハイドロサイクロン

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
The tremendous potential of deep-sea mud as a source of rare-earth elements
著者 :
髙谷雄太郎1-4、安川和孝5,3、川崎健寛5、藤永公一郎3,2、大田隼一郎3,2,6、臼井洋一7,4、中村謙太郎5、木村純一6、常青6、浜田盛久6、ドドビバ・ジョルジ5、野崎達生2-4,8、飯島耕一4、森澤友博9、桑原拓馬10、石田泰之11、市村高央11、北詰昌樹12、藤田豊久5、加藤泰浩2-5*
所属 :
1早稲田大学 創造理工学部 環境資源工学科
2東京大学大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンター
3千葉工業大学 次世代海洋資源研究センター
4海洋研究開発機構 海底資源研究開発センター
5東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
6海洋研究開発機構 地球内部物質循環研究分野
7海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野
8神戸大学大学院 理学研究科 惑星学専攻
9東亜建設工業株式会社 エンジニアリング事業部
10東亜建設工業株式会社 技術研究開発センター
11太平洋セメント株式会社 中央研究所
12東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系
*責任著者:加藤泰浩
DOI :
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お問い合わせ先

早稲田大学 理工学術院

講師 髙谷雄太郎

E-mail : y-takaya@aoni.waseda.jp
Tel : 03-5286-3318

東京大学大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンター センター長・教授

千葉工業大学 次世代海洋資源研究センター 所長・主席研究員(併任)

加藤泰浩

E-mail : ykato@sys.t.u-tokyo.ac.jp
Tel : 03-5841-7022

東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系

教授 北詰昌樹

E-mail : kitazume.m.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2798

取材申し込み先

早稲田大学 広報室 広報課

E-mail : koho@list.waseda.jp
Tel : 03-3202-5454

東京大学 工学部・大学院工学系研究科 広報室

E-mail : ouhou@pr.t.u-tokyo.ac.jp
Tel : 03-5841-1790

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 広報部

報道課長 野口剛

E-mail : kitazume.m.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2798

東亜建設工業株式会社 経営企画部 広報室

E-mail : toa-webmaster@toa-const.co.jp
Tel : 03-6757-3821

神戸大学 総務部 広報課

E-mail : ppr-kouhoushitsu@office.kobe-u.ac.jp
Tel : 078-803-6678

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

平成29年度リーディング大学院修了セレモニー開催報告

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3月26日、大岡山キャンパスにおいて、グローバルリーダー教育院、環境エネルギー協創教育院、情報生命博士教育院、グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院の共催で、リーディング大学院修了セレモニーが行われました。

リーディング大学院

東京工業大学は、産学官にわたる社会の要請に応えながら、国際社会を牽引できる卓越した能力を養成する大学院教育課程を実施する組織として、文部科学省博士課程教育リーディングプログラムに採択された4つの教育院を設置しました。理工系総合大学としての強みを生かしつつ、オールラウンドリーダーを養成するグローバルリーダー教育院、複合領域リーダーを養成する環境エネルギー協創教育院、情報生命博士教育院、オンリーワンリーダーを養成するグローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院のうち、後三者については、平成29年度末で文部科学省からの補助期間が終了し、平成30年度以降は「教育課程」として継続しています。

修了セレモニー

お祝いのメッセージを贈る三島学長(当時)
お祝いのメッセージを贈る三島学長(当時)

同日に開催された大学院学位記授与式において、在籍するコース・専攻で修得した高い専門性に加え、産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導く俯瞰力や独創力などを身につけた博士として、36名が各教育院の課程を修了したことが付記された学位記を授与されました。

リーディング大学院修了セレモニーは、その修了生36名を対象として大学院学位記授与式終了後に引き続き行われました。三島良直学長(当時)と丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)(当時)からお祝いの言葉が述べられた後、各教育院長から修了生の紹介と祝辞があり、最後に各教育院の修了生代表が挨拶しました。

修了生たちは、これまでプログラムを支えてきた各教育院の教員、メンター、事務担当者など多数の参加者に見守られる中、巣立ちの時を迎えました。卓越した専門性に加え、広範な知識と豊かな教養、国際性やリーダーシップ等を備えた博士人材として、今後はそれぞれの道で大きく羽ばたいていきます。世界の未来を牽引するリーダー候補となった皆さんの今後のご活躍を期待しています。

集合写真
集合写真

お問い合わせ先

リーディング大学院支援室

Email : lead.sui@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3117

一般向け広報誌「東工大ハンドブック」を改訂

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東京工業大学広報誌「東工大ハンドブック」を改訂しました。

東工大ハンドブックは、東工大の各種情報をコンパクトに紹介するA5サイズの小冊子です。 東工大へ興味のある方はもちろん、東工大を初めて知る方へも、大学の概要、及び特長・魅力を、ストーリー性のある内容で分かりやすく紹介しています。

ぜひお手に取ってご覧ください。

東工大ハンドブック

TechTech No.33

コンテンツ

理念

組織体制

研究・産学連携

国際・留学

財務

教育

学生支援・就職

社会連携

歴史・沿革

キャンパス案内

学内の配布場所や、郵送での請求方法については、以下のページをご確認ください。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

電話 : 03-5734-2976

E-mail : publication@jim.titech.ac.jp

東工大ステートメント(Tokyo Tech 2030)イメージ動画「ちがう未来を、見つめていく。」を公開

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東工大改革の方向性と将来像を示した「2030年に向けた東京工業大学のステートメント(Tokyo Tech 2030)」を、より多くの人に知ってもらうとともに定着を図るため、イメージ動画「ちがう未来を、見つめていく。」を公開しました。

このステートメントは、「2016年4月の教育・研究・ガバナンス改革を経て、私たちは東工大にどんな未来を描き、社会に何を届けていくのか」という問題意識をもとに学生・教職員・役員が意見を交わし、その成果と東工大改革の方向性をまとめたものです。「ちがう未来を、見つめていく。」というフレーズから始まる“Spirit(スピリット)”、 「尖らせる」「共鳴する」「実装する」の3つで構成される“Action(アクション)”には、豊かな未来社会を実現し、世界へ貢献する東工大を築いていくという本学構成員の強い意志が示されています。

「ちがう未来を、見つめていく。」

ワークショップで将来構想を語り合う

このステートメントをもとに2017年秋、以下の2つのワークショップを行い、本学の進むべき道と将来構想についてさらに議論を深め、それぞれの熱い思いを語り合いました。

「2030年に向けての研究企画」全学ワークショップ

10年後の科学技術の役割を意識した新たな研究領域を創出し、本学の研究力を将来にわたって高めるため、専門分野や立場を越えて、研究者、リサーチ・アドミニストレーター、事務職員、学長をはじめとする役員等の総勢60名がワークショップを通じてアイデアを出し合いました。研究者たちの話から生まれた新たな研究領域の種は、グラフィック・レコーディングによりイラスト化され、その後の議論に大いに役立ちました。2030年に向けた研究領域を夢で終わらせることなく、全学の叡智を結集させ研究を推進していきます。

リサーチ・アドミニストレーター(URA)とは、大学等において、研究者とともに研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行うことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する高度専門人材です。

ワークショップの様子(左)とグラフィック・レコーディング(右)

ワークショップの様子(左)とグラフィック・レコーディング(右)

ワークショップの様子(左)とグラフィック・レコーディング(右)

「学生・教員・職員・卒業生全員集合! 東工大の未来を語り合う大ワークショップ~2030年に向けた東京工業大学のステートメント『ちがう未来を、見つめていく。』をもとに~」

東工大を支える各構成員のうち総勢207名(学生60名、教員53名、職員66名、執行部・卒業生28名)が一同に集まり、本学でも最大規模となるワークショップが実施されました。多様な立場の構成員が本学の将来を「自分ごと」として関わりを持ち、フラットな場で理想の東工大像について対話を重ねました。大ワークショップの最後には、より良い東工大のためのアイデア発表を行い、その実現に向けて仲間を募りたい参加者を中心に分科会が行われ、次のアクションへとつなげました。

大ワークショップの紹介動画

指定国立大学法人の指定

2018年3月には、文部科学大臣から世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人として指定国立大学法人の指定を受け、本学の長期目標である「世界最高の理工系総合大学の実現」に向けて大きな追い風となりました。教職員・学生に共通する先鋭性と多様性を尊ぶ気質、コンパクトで俊敏な意思決定力・団結力という本学の強みを活かし、今後とも新時代の大学像を提案し、より良い未来の実現を進めていきます。

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お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : pr@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975

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