Quantcast
Channel: 更新情報 --- 東工大ニュース | 東京工業大学
Viewing all 4086 articles
Browse latest View live

人工知能を用いた火山灰粒子の形状判別 噴火状況の迅速な理解を目指して

$
0
0

要点

  • 人工知能を用い、火山灰粒子の形状を判別・分類
  • 4種類の特徴的な粒子形状を学習後、あやふやな形状の粒子も分類可能に
  • 解析者の知識や経験の差によらない客観的な火山灰粒子解析の支援を目指す

概要

東京工業大学と産業技術総合研究所、統計数理研究所の共同研究グループは、人工知能(AI)を用い、火山灰粒子形状の判別・分類を行った。

火山灰粒子の形状は、噴火様式などの情報を得る手がかりとなるため、専門家による目視や縦横比のような形状の数値化により、解析が行われてきた。しかし、目視による判別には経験が必要で、限られた数の専門家だけでは対応できる範囲に限界があり、また、数値化による分類では、複雑な形状をどのように数値化するのかという問題があった。

研究グループは、伊豆半島、三宅島、アイスランドから集めた火山灰の画像から「ブロック状」「えぐれている」「長細い」「丸い」の4つの特徴的な形状をもつ粒子を選び、AIに学習させたところ、約92%の精度で特徴的な形状を判別できた。次にあいまいな形状の粒子についても、学習済みのAIで、4つの特徴的形状の確率(あいまいな形状の粒子一つずつについて、4つの特徴的な形状のいずれかである確率を4つの形状それぞれについて算出)を出力したところ、一つの粒子についての4つの特徴的な形状の確率の割合が一つの粒子に含まれる4つの特徴的形状の構成比率とみなせること、また、その構成比率(確率の割合)によって、判断が難しいあいまいな形状の粒子も分類可能であることが分かった。さらに精度を高め、専門家がその場にいなくても火山灰の解析が可能となることを目指す。

研究成果は英国の科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」に掲載された(オンライン掲載日:2018年5月25日)。

この成果は東京工業大学 地球生命研究所の庄司大悟日本学術振興会特別研究員、同理学院 火山流体研究センターの野口里奈研究員(現宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門の大槻静香産総研特別研究員、統計数理研究所 モデリング研究系の日野英逸准教授の研究グループによって得られた。

研究成果

研究グループは、畳み込みニューラルネットワーク(脳内にある神経細胞、すなわちニューロンのつながりである神経回路網を表現しようとする数式的なモデルであり、AIの基本の一つとして、画像に写った物体の形状や模様のパターンを学習し、その物体が何かを判別する)に火山灰粒子の画像を学習させ、粒子形状の判別を試みた。ニューラルネットワークの学習には、人間が正解(例えば、粒子の形状が長方形か丸いか)を与える必要があるが、火山灰のような複雑な形は人間でも正解を決定することが難しい。そのため研究グループは、はっきりとした形状を持つ粒子だけでニューラルネットワークの学習を行い、複雑であいまいな形状の粒子に関しては、学習済みのニューラルネットワークが出力した各特徴的形状の確率(あいまいな粒子形状が、それぞれの特徴的な形状である確率)を、一粒子に含まれる形状の構成比率とみなし、その比率の値によって分類することにした。

粒子の画像は、ガラス上に散布した火山灰の下からライトを当てて撮影し、一粒子ずつに画像を切り取ったものを使用した。火山灰は、伊豆半島、三宅島、アイスランドで採取したものを用いた。これらの粒子画像から、4つの特徴的な形状のみを持つ粒子(図1)を選び出し、ニューラルネットワークに学習させたところ、判別精度はおよそ92%であった。

その後、この学習したニューラルネットワークに、あやふやな形状の粒子を含めた全粒子について、4つの形状の確率をそれぞれ出力させた(図2)。シンプルなニューラルネットワークと少ない枚数の画像を用いたため、値には不定性があるが、概ねうまく粒子の特徴的な形状の確率を表している。

学習に用いた特徴的な形状の火山灰粒子の例。ブロック状、えぐれている、長細い、丸いの4種類の形状をニューラルネットワークに学習させた。
図1.
学習に用いた特徴的な形状の火山灰粒子の例。ブロック状、えぐれている、長細い、丸いの4種類の形状をニューラルネットワークに学習させた。
粒子画像の例と各特徴的形状の確率。確率の値は一つの粒子に含まれている各形状の割合に対応する。
図2.
粒子画像の例と各特徴的形状の確率。確率の値は一つの粒子に含まれている各形状の割合に対応する。

背景

火山灰の形状は、その火山がどのように噴火したか(マグマの粘性や水との接触の有無)を考察するための重要な手がかりとなる。しかし、火山灰のような複雑な形状を観察し、判別や分類を行うには、専門家による高度な知識や経験が必要となる。

また、人里離れた火山で噴火が発生した場合、採取された火山灰を速やかに研究機関に持ち込んで火山灰解析を行うには、時間や距離の制約上、どうしても限界がある。今後、遠隔地でも適切に火山灰画像を共有する環境を整えて、AIによって火山灰の形状を解析できれば、火山灰の形状判別をする人の知識や経験の程度に左右されずに、客観的かつ迅速に噴火に関する情報を得ることが可能となる。

研究の経緯

近年、画像認識の分野では、AIが顔認証などで大きな成果を上げている。この技術を用いれば、火山灰の画像からでも、さまざまな情報を即座に抽出することができるのではないかと考えた。

今後の展開

現段階では、シンプルな画像とニューラルネットワークを用いているため、実用化にはさらに改良が必要である。しかし将来、火山灰の詳細な形状を学習させ、精度の高いニューラルネットワークを使用できるようにすれば、噴火発生時、専門家がその場にいなくても、迅速に火山灰の解析ができるようになる。

そのため今後は、細かい特徴まで写された画像(例えば図3のようなもの)を用いて、火山灰粒子の色合いや質感(ザラザラ具合など)も機械学習で認識できることを目指す。また、今回用いた基準の形状に対する確率による分類は、火山灰以外にも、複雑な形状を持つ物体や生物を分類する際に応用できる可能性がある。

色合いや質感も判断できる火山灰画像。将来はこのような複雑な画像からでも機械学習で火山灰解析ができるようになることを目指す。
図3.
色合いや質感も判断できる火山灰画像。将来はこのような複雑な画像からでも機械学習で火山灰解析ができるようになることを目指す。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Classification of volcanic ash particles using a convolutional neural network and probability
著者 :
Daigo Shoji, Rina Noguchi, Shizuka Otsuki, Hideitsu Hino
DOI :

実験に関するお問い合わせ先

東京工業大学 地球生命研究所
日本学術振興会特別研究員 庄司大悟

E-mail : shoji@elsi.jp
Tel : 03-5734-2283

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
企画本部 報道室

Email : press-ml@aist.go.jp
Tel : 029-862-6216 / Fax : 029-862-6212

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構
統計数理研究所 運営企画本部 企画室
URAステーション 北村浩三

Email : ask-ura@ism.ac.jp
Tel : 050-5533-8580


原昇平さんがデュアスロングランプリ チャンピオンシップで学生3位、世界大会出場決定

$
0
0

トライアスロン部の原昇平さん(工学部 高分子工学科4年)が、2018年7月6日(金)にデンマーク オーデンセにて行われる世界大会「マルチスポーツ ワールド チャンピオンシップ フェスティバル(Multisport World Championships Festival)」のデュアスロン U23部門に出場します。

カーフマンチャンピオンシップ(世界大会出場を決めた全国大会)のバイクで先頭を走る原さん

カーフマンチャンピオンシップ(世界大会出場を決めた全国大会)のバイクで先頭を走る原さん

原さんは、2月25日に国営木曽三川公園(岐阜県)にて行われたカーフマンジャパン デュアスロングランプリ シーズン15 最終戦:チャンピオンシップ(以下、カーフマンチャンピオンシップ)において学生3位、全体6位の好成績を修めたことで、世界大会への出場権を手にしました。

デュアスロンは、水泳・自転車・ランニングを行うトライアスロンとは違い、1人の選手がランニング(第1ラン)・自転車(バイク)・ランニング(第2ラン)の3つの競技を順に行う複合競技です。水泳がないため季節を問わず大会を開催することができ、マラソンや自転車愛好者にも広く楽しまれているスポーツです。カーフマンチャンピオンシップでは、第1ラン5km、自転車30km、第2ラン5kmのコースで戦われました。

原さんコメント

全国大会では調子やレース展開がうまくかみ合い、学生で3位になることができました。4年生になって研究室に所属したばかりということもあり、練習に当てられる時間が短くなっていますが、1回1回の練習の質を上げきちんと身体を仕上げて、世界大会でも得意のランでいい展開に持っていけるように頑張ります。どうか応援よろしくお願いします。

東京工業大学トライアスロン部とは

体育会系のサークルとして、1993年頃に設立され、現在は修士、他大学を含め23名の部員が所属しています。海、プール、湖、川などでの水泳、バイク(自転車)、ランニングを立て続けにこなすハードなスポーツですが、大学対抗の選手権大会等を目指して、日々練習に励んでいます。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2976

東工大MCRG/電通大AWCC オープンハウス2018 開催報告

$
0
0

4月26日、大岡山キャンパス西9号館にて、東工大移動通信研究グループ(以下、東工大MCRG)は、電気通信大学先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター (以下、電通大AWCC)と共同でオープンハウスを開催しました。

本イベントは、東工大MCRGの5つのコア研究室と5つの協力研究室、電通大AWCCの9つの研究室からなる移動通信研究グループの主催により、グループの研究活動を広く社会に紹介するとともに、学外の企業や研究機関との連携を深めるという主旨の下、2005年から毎年4月に開催されています。

ポスター・デモ展示会の様子

ポスター・デモ展示会の様子

ポスター・デモ展示会の様子

東工大MCRG

コア研究室

高田潤一研究室outer(環境・社会理工学院 融合理工学系)

府川和彦研究室outer(工学院 情報通信系)

阪口啓研究室outer(工学院 電気電子系)

廣川二郎研究室outer(工学院 電気電子系)

岡田健一研究室outer(工学院 電気電子系)

協力研究室

青柳貴洋研究室outer(工学院 電気電子系)

奥村学・高村大地研究室outer(科学創成技術研究院)

藤井輝也・表英毅研究室(工学院 電気電子系)

西方敦博研究室outer(工学院 電気電子系)

渡辺 正裕研究室outer(工学院 電気電子系)

電通大AWCC

稲葉敬之・秋田学研究室outer

藤井威生研究室outer

松浦基晴研究室outer

石川亮研究室outer

山尾泰研究室outer

石橋功至研究室outer

和田光司研究室outer

石橋孝一郎研究室outer

安達宏一研究室outer

今年は関係者を含め200名近くの方が参加し、「大学だからこそできる 5G and Beyond(アンド ビヨンド)」と題して、5G(第5世代移動通信システム)について、東工大MCRGと電通大AWCCの各研究室によるポスター・デモ展示や、産官学における著名な方々による招待講演会、参加者全員で議論を行うパネル討論会などを実施しました。

ポスター・デモ展示会では、東工大MCRG・電通大AWCCの各研究室が、計28件の展示を分野ごとに5グループ(1.アンテナ・伝搬、2.回路・システム、3.伝送・無線信号処理、4.無線ネットワーク、5.アプリケーション)に分けて行われました。学生や企業からの参加者間で、展示内容に関する活発な議論が行われていました。

招待講演会の様子
招待講演会の様子

招待講演会では、東北大学 電気通信研究機構の安達文幸教授、総務省 総合通信基盤局 移動通信課の杉野勲氏、株式会社NTTドコモ 5G推進室の永田聡氏から、5Gにおける最新の動向や、5Gの実現に向けた無線通信技術の紹介、5Gが社会に及ぼす変化や影響などについて講演がありました。また、パネル討論会では、招待講演会の講演者3名に、本学 工学院 電気電子系の阪口啓教授、電通大の福田英輔教授の2名を加えた計5名が登壇し、講演内容をもとに参加者と有意義な議論が交わされました。

パネル討論会の様子
パネル討論会の様子

参加者の方からのご質問
参加者の方からのご質問

2019年度は、電通大にて、オープンハウス2019が開催される予定です。

お問い合わせ先

オープンハウス事務局

E-mail : oh_staff@mcrg.ee.titech.ac.jp

グローバル理工人育成コースの成果報告書を発行

$
0
0

平成25年度に開設したグローバル理工人育成コースは、文部科学省支援による「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援事業」(平成24年度~平成28年度)としての5年が経過し一つの節目を迎えたことから、その成果を報告書としてまとめました。ぜひご一読ください。

グローバル理工人育成コースとは

グローバル理工人育成コースは、新興国を含む世界でリーダーシップを発揮できる人材を育成することを目的とし開設されました。2013年度~2016年度は学士課程の学生のみを対象としていましたが、コース設置初年度に入学した学生が修士課程に進学する2017年度より対象を修士課程、専門職学位課程の学生にまで広げ、初級、中級、上級の3つの段階的なコースで構成することと致しました。これは、大学改革により「学修一貫」の教育課程を開始し、修士課程修了までに国際的な活動をすることを強く推奨していること、および、本学学士課程の学生の約9割が修士課程に進学するためです。本コースは、「国際基礎力」「国際実践力」「国際協働力」を段階的に発展させる国際性涵養に特化した教育カリキュラムです。専門性を基礎としたアイデンティティー・知識・経験・技術力を基軸とし、多様性を理解し、倫理観を持って、グローバル社会の未知な課題に対応できる「科学・技術の力で世界に貢献する人材」の育成を目的としています。本コースの所属生数は、大学改革初年度である2016年度には1,000名を超え、2018年5月時点では所属生総数が1,480名となり、学士課程の学生の約4人に1人が本コースに所属しています。

シーギリヤロックにて(スリランカ超短期海外派遣プログラム)

シーギリヤロックにて(スリランカ超短期海外派遣プログラム)

グローバル理工人育成コースの特徴

本コースの特徴は、将来国際的に活躍したいと希望する学生に対し、留学経験の提供に加えて、アクティブラーニング型の講義等の受講や、自身の専門性と社会を関連付け、視野を拡大する科目の履修、実践的な英語力を強化する支援等を通じ、総合的なカリキュラムを提供していることです。本コースの所属生は、大きく二つのタイプに分けられます。一つは、国際的・グローバルな活動への希望や必要性を感じているがまだ具体的ではなく、本コースの活動や所属生・留学生との交流を通じその目的や学生時代にやるべきことを明確にする学生、もう一つは、国際的・グローバルな活動について、長期留学、海外への就職、海外での研究、国際機関での勤務等明確な目的を持ち、本コースを自身の将来計画の準備として位置づける学生です。本コースは、双方のタイプの学生に様々な学習・活動の場を提供しています。

セネガル出身の留学生TAのファシリテートのもと、セネガルの農業振興について議論している様子(1年生向け講義「グローバル理工人入門」)
セネガル出身の留学生TAのファシリテートのもと、
セネガルの農業振興について議論している様子
(1年生向け講義「グローバル理工人入門」)

海外の大学等で勉学・研究するために必要な英語力の習得を目指した講義の様子(英語力・コミュニケーション力強化プログラム)
海外の大学等で勉学・研究するために必要な英語力の習得を
目指した講義の様子(英語力・コミュニケーション力強化プログラム)

インペリアルカレッジにて、現地大学生によるキャンパスツアーの様子(イギリス超短期海外派遣プログラム)
インペリアルカレッジにて、現地大学生による
キャンパスツアーの様子(イギリス超短期海外派遣プログラム)

インド工科大学マドラス校の学生に連れて行ってもらった世界遺産マハーバリプラムにて(インド超短期海外派遣プログラム)
インド工科大学マドラス校の学生に連れて行ってもらった
世界遺産マハーバリプラムにて(インド超短期海外派遣プログラム)

グローバル理工人育成コースの成果

本コースの顕著な成果としては、英語スコアの向上、留学経験者数の増加が挙げられます。英語スコアの向上については、2015年度の調査によれば、本コースの所属生は、1年次からすでに全学生よりも平均点数が高いだけでなく、コースの様々なカリキュラムを経て4年次に至るまでに、平均点が70点以上上昇したことが分かりました。留学経験者数については、本コース開始以前の2012年度には、本学学士課程全体で約100名程度でしたが、海外派遣への参加をコース修了要件としたことで、2016年度には300名以上に増加しており、本コースが大きく貢献していることがわかります。

本コースの所属生の中には、学生英語プレゼンテーション大会(文部科学省「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援」採択大学主催)において、第1位(2016年度)、第2位(2015年度)の成績をおさめた学生もいます。また、国際的リーダーシップの育成を目的とし本学が実施している「東工大学生リーダーシップ賞」の受賞者は、ほとんどが本コースの所属生であるなど、本コースは世界に貢献できる人材になるための能力を修得する場を学生に提供しています。

グローバル理工人育成コースでは、今後も多様なカリキュラムや留学プログラムを企画し、学生の様々なニーズを満たす支援を提供することによって、本学のグローバル人材の育成に貢献していきます。

ストックホルム大学にて。学生交流が盛んに行われました。(スウェーデン超短期派遣プログラム)

ストックホルム大学にて。学生交流が盛んに行われました。(スウェーデン超短期派遣プログラム)

お問い合わせ先

グローバル人材育成推進支援室

E-mail : ghrd.info@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3520

超短パルス光を用いてダイヤモンドの光学フォノン量子状態を制御 量子メモリー開発につながる成果

$
0
0

要点

  • 超短パルス光を用いてダイヤモンドの光学フォノン量子状態を制御
  • コヒーレント光学フォノンに対するコヒーレント制御理論モデルを構築し、実験結果を再現
  • 光学フォノン状態を使ったテラヘルツで動作する量子メモリーへ応用の可能性

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の中村一隆准教授らは、慶應義塾大学 大学院理工学研究科の鹿野豊特任准教授、自然科学研究機構 分子科学研究所の岡野泰彬技術職員と共同で、超短パルス光により生成した40テラヘルツ(THz、40兆 Hz)の周期で原子が集団振動するダイヤモンドのコヒーレント光学フォノン[用語1]の量子状態制御に成功し、その理論モデルを構築した。

10フェムト秒(fs)[用語2]以下の時間幅を持つ近赤外光パルスにより生じた25 fs周期で振動するダイヤモンドコヒーレントフォノンにより変化する透過率を実時間計測した。さらに高精度に時間制御したパルス対を励起に用い、ダイヤモンドコヒーレント光学フォノンの量子状態を制御することに成功した。また振動準位および電子準位で構成される系において光応答過程を計算し、ダイヤモンドのコヒーレント光学フォノンに対するコヒーレント制御[用語3]の理論モデルを構築し、実験結果を再現した。

近年、ダイヤモンドの光学フォノンは振動数が高く熱的な影響を受けにくいことから、室温で動作する量子メモリー[用語4]への応用に向けた研究が行われている。今回の研究により動作原理が明らかになり、高精度の量子状態制御が可能になることが期待される。

研究成果は6月25日(英国時間)に国際科学雑誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」オンライン版に掲載された。

研究成果

中村准教授らは、10 fs以下のパルス幅をもつ近赤外光を用いた時間分解透過光強度測定[用語5]を行った。ポンプ(励起)パルスを照射することでコヒーレント光学フォノンを励起し、それによって引き起こされる物質内の分極を、時間を遅らせて照射するプローブ(計測)パルスの透過率変化として検出した。振動周期25 fsの透過率の振動は、40 THzのコヒーレント光学フォノンによるものである。

次に、励起パルスをこれまでに中村准教授のグループで製作した高精度干渉計を用いて、時間差が制御されたパルス対をダイヤモンドに照射した。パルス対の時間間隔を変化させることで、発生するコヒーレント光学フォノンの量子状態を制御することができた。

図1は中村准教授らの行った典型的な実験結果を示している。第2パルス励起後の透過率強度が、第1パルス励起後に比べて237.9 fsでは振幅が小さくなり、251.4 fsで振幅が増大していることがわかる。透過率振動の振幅を励起パルス対の時間間隔に対して表示したものが図2(a)で、光学フォノン周期の整数倍のときに強く、半整数倍のときに弱くなっていることが分かった。また、振幅だけでなく位相も変化していることも分かった(図2(b))。

この現象を説明するために、振動準位を2準位、電子準位を2準位の合計4準位レベル[用語6]のモデルを考え、光と物質の相互作用に関してフォノンの生成・制御・計測過程まで含めた計算を行った。ガウス関数型パルス波形[用語7]を仮定した計算で、実験結果を良く再現することができた(図2)。理論計算から、今回の実験結果は、コヒーレント光学フォノンが第1パルスで励起される量子状態と第2パルスが励起されるコヒーレント光学フォノンの量子状態の干渉によるものであり、ダイヤモンドのコヒーレント光学フォノンに対するコヒーレント制御が実現されたことが示された。

時間分解透過光強度の測定結果。超短パルス光対を用いてコヒーレント光学フォノンを励起することにより、透過光強度の振幅が第2パルス励起後に変化していることが分かる。
図1
時間分解透過光強度の測定結果。超短パルス光対を用いてコヒーレント光学フォノンを励起することにより、透過光強度の振幅が第2パルス励起後に変化していることが分かる。
第2ポンプパルス励起後の透過光強度の振幅とその初期位相のポンプ対時間間隔(横軸)依存性。中村准教授らが構築した理論モデルから計算される結果と一致していることが分かる。
図2
第2ポンプパルス励起後の透過光強度の振幅とその初期位相のポンプ対時間間隔(横軸)依存性。中村准教授らが構築した理論モデルから計算される結果と一致していることが分かる。

背景

コヒーレント制御技術はレーザーを用いて様々な量子状態を制御する技術の総称で、分子の振動回転状態の制御、化学反応の制御、固体中の原子運動の制御などに応用されている。これまでに、中村准教授らは超短パルス光を使ったコヒーレント光学フォノンのコヒーレント制御により二次元方向の原子運動を制御する技術も開発してきた。しかし、コヒーレント制御の対象となっているコヒーレント光学フォノンの多くは振動数20 THz以下に限られていたので、10 fs以下のパルス幅をもつ超短パルス光を用いる必要がなかった。

また、コヒーレント光学フォノン生成や制御についての理論的説明のほとんどは現象論的なものであり、光と物質の相互作用に基づく微視的なメカニズムの詳細は明らかになっていなかった。中村准教授らは、現象論的に知られていた生成過程を統一的に扱うモデルを提唱してきた。今回の研究において、計測過程まで含めて取り扱うことが出来た。

更に、今回の研究対象としたダイヤモンドの光学フォノンは、40 THzの高い周波数を保つために室温でも熱的な擾乱を受けにくいため、フォノン量子状態は室温で動作する量子メモリーへの応用が期待され、研究が行われてきた。

今後の展開

今回、40 THzの速い振動数を持つダイヤモンドのコヒーレント光学フォノンをコヒーレント制御することができ、そのメカニズムを量子論的に説明することができた。今後、照射する光電場波形を計測・制御することにより、光学フォノン生成・制御・計測過程を実験的に明らかにすることができると期待される。これらの知見を基にして、ダイヤモンド光学フォノンを利用した室温で動作する量子メモリー開発への応用にもつながると期待される。

用語説明

[用語1] コヒーレント光学フォノン : 光学フォノンは光による直接生成することの出来る結晶を構成する原子の集団振動である格子振動を量子化したもの。コヒーレント光学フォノンは、光学フォノンの振動周期よりも短いパルス幅の光パルスで励起することにより、振動のタイミングが揃った光学フォノンの集団が形成され、物質の反射率・透過率などのマクロな物理量を変化させるもの。

[用語2] フェムト秒 : フェムト秒は1,000兆分の1秒のことで、アト秒はフェムト秒のさらに1,000分の1の時間である。

[用語3] コヒーレント制御 : コヒーレント制御はレーザーを使って物質の量子状態を制御する技術の総称。はじめは化学反応の制御に用いられた。最近では、固体中の電子、スピンやフォノンの量子状態制御に用いられている。

[用語4] 量子メモリー : 量子コンピューターなどの量子情報技術で使われる「0」と「1」の重ね合わせを許した状態(量子ビット)を記憶する装置。

[用語5] 時間分解透過光強度測定 : 励起パルスを照射することで時々刻々と変化する透過率を、励起パルスから遅れて照射される観測パルスの透過光の強度変化として測定する方法のこと。

[用語6] 4準位レベル : 量子力学によれば、エネルギーはとびとびの値を取りうる。その離散化されたエネルギーの状態をエネルギー凖位レベルと呼び、ここでは4つのエネルギー準位レベルを用いている。

[用語7] ガウス関数型パルス波形 : ガウス関数は釣鐘型をした関数であり、パルス強度の時間変化の釣鐘型として計算に用いた。

また本成果は、以下の研究支援により得られた。

科学研究費補助金挑戦的研究(萌芽)

研究期間:
平成29年度~30年度
研究課題:
「ダイヤモンド光学フォノンを用いたTHz量子メモリー」
研究代表者:
中村一隆(東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授)

科学研究費補助金基盤研究(B)

研究期間:
平成29年度~31年度
研究課題:
「干渉型過渡反射率測定による電子・フォノン結合量子系のコヒーレント制御」
研究代表者:
中村一隆(東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授)

科学研究費補助金基盤研究(C)

研究期間:
平成28年度~30年度
研究課題:
「複素誘電率の直接測定によるコヒーレントフォノン生成機構の解明」
研究代表者:
岡野泰彬(自然科学研究機構 分子科学研究所 技術職員)
研究分担者:
鹿野豊(慶應義塾大学大学院 理工学研究科 特任准教授)

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Coherent control theory and experiment of optical phonons in diamond
著者 :
佐々木寛弥、田中利歩、岡野泰彬、南不二雄、萱沼洋輔、鹿野豊、中村一隆
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
フロンティア材料研究所 准教授
中村一隆

E-mail : nakamura.k.ai@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5387

慶應義塾大学 大学院理工学研究科

特任准教授 鹿野豊

E-mail : yutaka.shikano@keio.jp

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

慶應義塾 広報室

Email : m-pr@adst.keio.ac.jp
Tel : 03-5427-1541 / Fax : 03-5441-7640

指先につけるだけで非破壊検査できるデバイスを開発 カーボンナノチューブ膜によるテラヘルツ検査チップ

$
0
0

要点

  • カーボンナノチューブ膜の物性制御によりテラヘルツ帯検出器を高性能化
  • 検出器は指に装着可能で、配管の亀裂検査などの非破壊検査を実現
  • 対象物の形状によらず、任意の場所で簡便に検査することが可能に

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院の河野行雄准教授、理化学研究所の鈴木大地博士(研究当時・東工大 河野研究室所属)、産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門の桒原有紀博士らは、カーボンナノチューブ膜を材料としたウェアラブルなテラヘルツ検査デバイスを開発した。大規模な測定系を必要とせずに、指先につけるだけで配管の亀裂検査といった非破壊検査が可能になる。

テラヘルツ光の検出原理である光熱起電力効果[用語1]を高めるため、カーボンナノチューブ膜の吸収率や熱電性能を最適化し、高感度検出かつ折り曲げ可能な検出器を実現した。工業部品や医薬品などの製造で、製品の信頼性を保証するための高機能な検査技術が求められている。テラヘルツ帯[用語2]を活用した非破壊検査技術は測定対象内部の形状・材質の情報を計測可能なことから注目を集めており、実用化に向けた研究が精力的に行われている。

従来の検査技術は測定対象の形状やサイズによる場所の制限があったが、開発技術はあらゆる形状の測定対象を任意の場所で簡便に検査できる。工場内の入り組んだ環境での品質検査や訪問医療などの移動先での即時検査といった応用が期待でき、非破壊検査業界にブレークスルーをもたらす成果である。

研究成果は2018年6月6日付で米国化学会誌の1つ「ACS Applied Nano Materials」に掲載された。

研究の背景と経緯

工業用部品や医薬品などの品質を保証するため、製品への異物混入や変形・破損を検査する高機能な計測技術の開発が重要な社会的テーマになっている。テラヘルツ帯を活用した検査技術は、製品の内部に渡る形状・材質といった情報を非破壊で測定できる強力な手段として注目を集めており、実用化に向けた研究開発が盛んになっている。

しかし、二次元平面的な構造からなる一般的なカメラを使用する場合、測定対象を全方位に渡って検査するには、カメラないしは測定対象を360度機械的に回転させる機構が必要不可欠である。この手法は測定系の大規模・煩雑化や測定時間の増加、測定対象の制限といった課題を抱えており、生産現場におけるインライン検査やウェアラブルセンサーへの応用を困難なものとしていた。

河野准教授らは2016年にカーボンナノチューブ膜の光熱起電力効果を用いたフレキシブルなテラヘルツ帯撮像デバイスを開発し、注射器などの医療器具の全方位非破壊検査を達成した(D. Suzuki, et al., Nature Photonics 10, 809-813, 2016)。今回、先行研究において論及されずにいたカーボンナノチューブ膜の相対ゼーベック係数[用語3]やテラヘルツ光照射に対する吸収率を最適化し、人の指にも装着できるウェアラブルな検査デバイスの開発に成功した。

ウェアラブルテラヘルツ検査デバイスの概念図

図1. ウェアラブルテラヘルツ検査デバイスの概念図

研究成果

河野准教授らはまず、フレキシブルテラヘルツ検出器の高感度化に着手した。テラヘルツ光の検出原理はカーボンナノチューブ膜で発生する光熱起電力効果を利用しており、高感度化に向けてはカーボンナノチューブ膜の「熱雑音の低減」、「テラヘルツ光に対する吸収率の向上」、「相対ゼーベック係数の向上」が重要な課題となっていた。

これらを解決する鍵となるのがカーボンナノチューブ膜のフェルミ準位[用語4]の制御である。1本のカーボンナノチューブあるいは非常に薄いカーボンナノチューブ膜では、標準的な電界効果トランジスタ構造によってフェルミ準位を制御できる。一方でフレキシブルテラヘルツ検出器に用いる厚みのあるカーボンナノチューブ膜に対しては、この手法が適用できない。

同准教授らは、通常は半導体と金属が混合しているカーボンナノチューブ膜を分離し(図2)、電気二重層[用語5]技術ならびにゲート電極を使用しない化学的ドーピングを用いることで、フェルミ準位を連続的に変えながら熱雑音(図3a)、テラヘルツ吸収率(図3b)、相対ゼーベック係数(図4)を系統的に調べることが可能となった。これにより、カーボンナノチューブ膜のフェルミ準位の位置とテラヘルツ応答の強度が密接な関係にあることを明らかにし、フェルミ準位の位置を最適化することで、上述の3つの課題を同時に克服することができた。

半導体・金属分離後のカーボンナノチューブ膜

図2. 半導体・金属分離後のカーボンナノチューブ膜

フェルミ準位制御による性能改善 (a)ノイズ電圧値の低減 (b)テラヘルツ吸収率の向上

フェルミ準位制御による性能改善 (a)ノイズ電圧値の低減 (b)テラヘルツ吸収率の向上

図3. フェルミ準位制御による性能改善 (a)ノイズ電圧値の低減 (b)テラヘルツ吸収率の向上

化学的ドーピングによる性能改善 (a)ドーピングの概要図 (b)ドーピング濃度によるゼーベック係数の制御

図4. 化学的ドーピングによる性能改善 (a)ドーピングの概要図 (b)ドーピング濃度によるゼーベック係数の制御

作製したフレキシブルテラヘルツ検出器は、固体半導体素子に基づく検出器とは異なり、折り曲げ可能な耐久性を有する。このため、指先のような歪曲した部位であっても容易に検出器を装着することができる。この特徴を活かし、フレキシブルテラヘルツ検出器をグローブの指先に装着することでウェアラブルなテラヘルツ検査デバイスを開発した(図5a)。

このテラヘルツ検査デバイスは大規模な測定系を必要としない。そのため、従来の検査技術では難しいとされた工場内の配管設備など複雑に入り組んだ環境での検査も、検査デバイスを測定箇所に潜り込ませるだけで簡便に全方位非破壊検査を行うことができる(図5b)。このため、既存の非破壊検査応用の適応範囲を大幅に拡大する成果を確認した。

(a)ウェアラブルなテラヘルツ検査デバイス(b)および配管の非破壊検査応用

図5. (a)ウェアラブルなテラヘルツ検査デバイス(b)および配管の非破壊検査応用

今後の展開

今回の研究成果により、従来の検査技術のネックであった大規模な測定系を必要とせず、任意の場所で、あらゆる形状の測定対象を、簡便に検査することが可能となった。これにより、工場内の入り組んだ環境での品質検査や、訪問医療などの移動先での即時検査といった従来の非破壊検査技術では難しいとされた応用の実現が期待される。今後は検出器のさらなる多素子化、微弱信号の高感度読み出し回路や無線通信との結合などを行うことで、来たるIoT(モノのインターネット)社会に貢献するセンシングシステムを構築する。

謝辞

この研究は科学技術振興機構による未来社会創造事業、地域産学バリュープログラムの支援、及び日本ゼオン株式会社の試料提供を受けて実施した。

用語説明

[用語1] 光熱起電力効果 : 物質に光を照射した際に物質内で温度勾配が発生し、その温度勾配が電圧に直接変換される現象のこと。

[用語2] テラヘルツ帯 : 周波数100 GHzから10 THz程度の領域に位置する電磁波のこと。

[用語3] 相対ゼーベック係数 : ゼーベック係数は、熱起電力効果によって発生した電圧を温度差で割った値のこと。相対ゼーベック係数は、2種類の異種材料が接合した系におけるゼーベック係数のこと。

[用語4] フェルミ準位 : 電子の全化学ポテンシャルのこと。フェルミ準位の位置によって半導体材料の電子・光物性は劇的に変化するため、デバイスの性能を決定づける重要な因子の一つである。

[用語5] 電気二重層 : 外部電圧印加により荷電粒子が移動した結果、界面に正負の荷電粒子が対を形成して層状にならぶ現象のこと。本研究では、イオン液体中の陽イオンと陰イオンが電界にそって移動する。

論文情報

掲載誌 :
ACS Applied Nano Materials
論文タイトル :
Fermi-Level-Controlled Semiconducting-Separated Carbon Nanotube Films for Flexible Terahertz Imagers
著者 :
Daichi Suzuki, Yuki Ochiai, Yota Nakagawa, Yuki Kuwahara, Takeshi Saito, and Yukio Kawano
DOI :

実験に関するお問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
未来産業技術研究所 准教授 河野行雄

E-mail : kawano@pe.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3811 / Fax : 03-5734-3811

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

副産物ほぼゼロの特異構造のナノ粒子触媒による有用物合成 様々な化成品の製造に革新もたらす新触媒

$
0
0

要点

  • 副産物をつくることなく芳香族アミンだけを合成する触媒を開発
  • エネルギー消費を3分の1に低減し繰り返し使用できる
  • この触媒性能は特異的な構造によって発現する

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院の原亨和教授、チャンドラ・デブラジ特任准教授らの研究グループは、「面心立方ルテニウムナノ粒子触媒(FCC–Ru)[用語1]」により、工業的に有用な芳香族アミン[用語2]を副産物なく製造する方法を開発した。この新触媒を使うと、芳香族アミンの製造で生じるエネルギーを3分の1まで低減できる。

研究グループではFCC–Ruについて、電子を与える力を弱めること、反応に寄与するルテニウム原子が多いことに着目した。この新触媒は、副反応を完全に防ぐだけでなく、反応効率を3倍以上に高められる。このアプローチは、芳香族アミンの製造だけでなく、再生可能なバイオマスの利用に一石を投じると期待される。

医農薬、ゴム、ポリマー、接着剤、染料などの様々な化成品に使われる芳香族アミンは重要な化学品だ。しかし、これらアミンを芳香族アルデヒド[用語3]原料から製造する還元的アミノ化[用語4]では、従来の触媒では、電子を与える力が強く、芳香環の分解や副産物の生成を完全に防ぐことはできなかった。このため、製品の製造に多大なエネルギーが必要となり、コストも押し上げていた。

本研究成果は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業ALCAにおいて得られたもので、「英国王立化学会誌(Chemical Science)オンライン速報版」に6月18日に公開された。

研究背景

医農薬、ゴム、ポリマー、接着剤、染料などの様々な化成品に使われる芳香族アミンは工業的に有用だが、既存の触媒を使った製造法では副産物を多く出してしまい、コスト高を生じさせていた。

研究成果

研究グループは、「面心立方ルテニウムナノ粒子触媒(FCC–Ru)」(図1)という新たな新触媒を開発した。これは従来の触媒とは大きく異なった構造を持ち、芳香族アルデヒドの還元的アミノ化によって副産物を作ることなく、有用な芳香族アミンだけを合成できる。

FCC–Ruの電子顕微鏡写真

図1. FCC–Ruの電子顕微鏡写真

触媒の性能

図2. 触媒の性能

複素環式の芳香族化合物であるフルフラール(用語3参照)からフルフリルアミン(用語2参照)を合成する場合、従来の触媒では、原料の10%以上が使い道の無い副産物になっていた(図2)。このような不純物を取り除き、フルフリルアミンだけを得るには多大なエネルギーが必要だった。

一方、FCC–Ruでは、フルフリルアミンの収量が99%に達した。また、様々な芳香族アルデヒドを原料とした有用芳香族アミンの合成でも同様の結果が得られた。これは開発した触媒を使うことで、医農薬品として大量生産される芳香族アミンの生産を限界まで高効率化できることを意味している。また、この触媒は、製品と副産物の分離が容易な固体材料で、繰り返しかつ連続的に使用しても触媒の性能が低下しないことを確認した。

研究グループは昨年、世界最高性能の還元的アミノ化触媒を発表している。しかし今回、昨年発表した触媒の反応効率を3倍も上回る触媒を新たに開発したことになる。またこれは、開発した新触媒のエネルギー消費が、昨年発表した触媒の3分の1未満という画期的な研究成果であることを示している。

このような開発触媒の高い性能は以下に記す新しい考え方とそれを実現する新しい設計に基づいている。

新しい考え方:これまでの還元的なアミノ化促進触媒の開発指針は還元能力を強くすること、つまり、水素を供与する能力を高めることが主眼にあった。この指針は有効だが、芳香族アルデヒドでは芳香環が還元されやすいため、触媒の水素供与能力を高めた場合、芳香環に結合したアルデヒドを還元するだけでなく、芳香環までも還元して壊してしまうという問題があった。そこで今回、触媒の水素供与能力を適切に制御することにした。

新しい設計:六方最密充填構造のルテニウムナノ粒子は、還元力が高い触媒であり、還元的アミノ化促進触媒として以外では利用できない。しかし、研究グループでは、ルテニウムが本来はとらない面心立方構造のナノ粒子をつくることができれば、水素供与能力を低減すると同時に多くのルテニウム原子が反応に寄与するであろうということを情報科学から着想していた。研究グループでは今回、このルテニウムナノ粒子を容易につくる技術確立できたことで本成果を得ることができた。

今後の展開

今回開発した触媒は、芳香族アミン生産を限界まで高効率化するだけにとどまらない。現状では、神経作用薬、抗がん剤などの医薬品、殺虫殺菌剤を含めた農薬、肥料、油脂、ゴム・ポリマー、バイオ航空燃料といった多くの化成品が遷移金属の還元触媒能力を利用して生産されている。開発した触媒のベースとなっている新しい考え方や設計方針は、これらの化成品の生産を革新するポテンシャルを持つと考えられる。

本成果は、以下の事業・研究開発課題によって得られました。

戦略的創造研究推進事業 ALCA

研究開発課題名:
「多機能不均一系触媒の開発」
研究代表者:
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 原亨和
研究開発実施場所:
東京工業大学
研究開発期間:
平成28年4月~平成33年3月

用語説明

[用語1] 面心立方ルテニウムナノ粒子触媒(FCC–Ru) : 面心立方構造の金属ルテニウムのナノ粒子(2~5ナノメートル)のこと。一般的に、金属ルテニウムは六方最密充填構造である。

一般的な金属ルテニウム 六方最密充填構造
一般的な金属ルテニウム
六方最密充填構造

開発した触媒 面心立方構造
開発した触媒
面心立方構造

[用語2] 芳香族アミン : ベンゼンを代表とする環状不飽和化合物にアミノ基が結合した化合物。医農薬品から大量製造される化成品の原料として使われている。下にその一例を示す。

  • アニリン
    アニリン
    年間500万トン以上生産される合成ゴム原料
    • ドーパミン
      ドーパミン
    • アドレナリン
      アドレナリン

    神経伝達物質

  • ベンジルアミン
    ベンジルアミン
  • フルフリルアミン
    フルフリルアミン

抗がん剤等の医薬品、様々な農薬と化成品の原料

[用語3] 芳香族アルデヒド : ベンゼンを代表とする環状不飽和化合物にホルミル基が結合した化合物。それ自体、香料などに使われているが、多くの化成品の原料でもある。

  • ベンズアルデヒド
    ベンズアルデヒド
    香料(杏子)
    染料、医薬品の原料
  • フルフラール
    フルフラール
    熱硬化樹脂、ナイロンの原料
  • ヒドロキシメチルフルフラール
    ヒドロキシメチルフルフラール
    ブドウ糖から合成される
    高付加価値な化成品の原料

[用語4] 還元的アミノ化: : アルデヒド、ケトンを1ステップでアミンに変換する反応の総称。アルデヒド、あるいはケトンを窒素源(アンモニアなど)と還元剤(水素ホウ素試薬など)に接触させることによって反応が進む。触媒の存在下、水素を還元剤として用いる反応はアミン類の工業的合成法として最も有効は手法の一つ。

論文情報

掲載誌 :
Chemical Science
論文タイトル :
A high performance catalyst of shape-specific ruthenium nanoparticles for production of primary amines by reductive amination of carbonyl compounds
著者 :
Debraj Chandra, Yasunori Inoue, Masato Sasase, Masaaki Kitano, Asim Bhaumik, Keigo Kamata, Hideo Hosono and Michikazu Hara
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所
教授 原享和

E-mail : hara.m.ae@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5311 / Fax : 045-924-5381

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

6月29日10:15 PDFファイルに誤りがあったため、修正しました。

研究者・留学生向け英文メールニュース 「Tokyo Tech Bulletin No. 48」を配信

$
0
0

Tokyo Tech Bulletin(トーキョー テック ブリテン)」は、東京工業大学の研究成果やニュース記事、学生の活動などを紹介し国内外へ広く配信する英文メールニュースです。

この度、Tokyo Tech Bulletin No. 48が発行されました。

メールでの配信をご希望の方は申込フォームからご登録ください。

SPECIAL TOPICS

Takako Yoshida - Exploring the harmony of humans, robots, and AI

Takako Yoshida - Exploring the harmony of humans, robots, and AI

Advances in robotics and AI have led to an integration and expansion of interactions between humans and robots. With this, concerns regarding safety, usability, controllability and liability have also arisen. Takako Yoshida studies these issues from the perspectives of psychology and mechanical engineering.

Why I chose Tokyo Tech

Why I chose Tokyo Tech

International students discuss their experiences at Tokyo Tech, their advice for prospective students, and their plans for the future.

Research

Solar energy: Mixed anion compounds with 'fluorine' work as new photocatalytic material

Solar energy: Mixed anion compounds with 'fluorine' work as new photocatalytic material

Scientists in Japan have shown that an oxyfluoride is capable of visible light-driven photocatalysis. The finding opens new doors for designing materials for artificial photosynthesis and solar energy research.

Ultra high-speed IC capable of wireless transmission of 100 gigabits per second in a 300 GHz band

Ultra high-speed IC capable of wireless transmission of 100 gigabits per second in a 300 GHz band

NTT and Tokyo Tech have jointly developed an ultra high-speed IC for wireless front-end that operates on a terahertz frequency band, and in the 300 GHz band they have succeeded in developing the world's fastest 100 gigabit per second wireless transmission data rate.

Goodbye 'stress granules': Study expands possibilities for treating neurological diseases

Goodbye 'stress granules': Study expands possibilities for treating neurological diseases

Cell biologists have deepened understanding of proteins associated with neurodegenerative diseases. The findings could open up new treatment approaches for disorders including amyotrophic lateral sclerosis (ALS), among others.

Messy Chemistry: A New Way to Approach the Origins of Life

Messy Chemistry: A New Way to Approach the Origins of Life

In a lab on Ookayama campus, things are getting "messy". Irena Mamajanov (Earth-Life Science Institute - ELSI PI of Tokyo Tech) and Kuhan Chandru (previously ELSI Researcher - now, at University of Chemistry and Technology, Prague). Mamajanov leads an effort at the institute to study a new "messy" path to understanding how some prebiotic chemical systems led to building blocks of life on early Earth.

In the spotlight

Tokyo Tech Bulletinは英語で配信を行っていますが、コンテンツは一部を除いてすべて日英両方で掲載しています。

お問い合わせ先

広報・地域連携部門

E-mail : publication@jim.titech.ac.jp


平成30年度 大学の業務運営に貢献した職員を表彰

$
0
0

6月18日、東京工業大学大岡山キャンパス本館において、平成30年度国立大学法人東京工業大学職務表彰式が行われました。この表彰は、事務職員及び技術職員を対象として、職務上の功績があった職員を表彰し、職員の勤労等に報いるとともに、他の職員の勤労意欲を高め、大学の発展に寄与することを目的として行われているものです。

学長による祝辞
学長による祝辞

今年度は、職務の遂行にあたり大学の業務運営に貢献し、成績顕著と認められた職員20名が選ばれ、表彰式では役員および所属部課長の列席のもと19名の出席者に対して益学長から表彰状が授与されました。

今回表彰された職員は次のとおりです。

職務表彰(20名)

推薦部局
所属
職名
氏名
推薦理由
総務部
企画・評価課
総合企画グループ
主査
李家正崇
「本学の将来構想に向けて抜群に努力し、多大なる貢献」
広報・社会連携課
広報グループ
主任
吉原英恵
「新執行部対応として学長ページ等の制作・公開に多大な貢献」
財務部
主計課
総務・監査グループ
スタッフ
前川未来翔
「財務会計システムの構築等における多大なる貢献」
契約課
大岡山第2契約グループ
スタッフ
杉森亮介
「学生の生活環境整備に係る多大なる貢献」
国際部
国際連携課
総務グループ
スタッフ
伊藤由美
「Molecular Frontiers Symposium 2017開催における多大なる貢献」
国際事業課
国際基盤グループ
スタッフ
中谷実里
「国際交流会館・八十年記念館外国人居住施設運営における多大な貢献」
学務部
学生支援課
支援企画グループ
主任
笹川祐輔
「教職共同や学生関与による学生支援センター事業の活性化」
リーディング大学院支援室
プログラム推進グループ
スタッフ
川上大介
「リーディング大学院に係る新たな組織体制・教育課程の構築に関する多大なる貢献」
研究推進部
研究企画課
総務・管理グループ
グループ長
遠藤慎也
「放射線実験施設廃止による経営効率化及び安全体制の強化」
財務部主計課財産管理グループ
(平成29年度:研究推進部研究企画課総務・管理グループ)
スタッフ
村上勇介
施設運営部
施設総合企画課安全企画室
安全管理グループ
グループ長
諏訪徳光
「学生への防災指導及び安全教育の実施」
施設整備課
専門職員
高坂幸信
「施設の老朽化に伴う教育・研究環境改善への対応」
すずかけ台地区
事務部
研究院支援課
研究院事務第1グループ
主任
牧野弘枝
「研究院支援課における事務体制の見直しと業務集約化に寄与」
スタッフ
柴山直子
大岡山第二事務区
工系事務第1グループ
グループ長
田中昌紀
「大学改革から部局運営の安定化に向けたサポートにおいて抜群の貢献」
工系事務第2グループ
グループ長
岡田貴裕
田町地区事務区
総務・管理グループ
グループ長
奈良秀治
「附属高校生協購買部閉店による生徒の不便と外出問題等の解消」
技術部
大岡山設計工作部門
技術職員
奥野和泉
「部門の国際化及び最新技術の導入に対する貢献」
大岡山分析部門
技術専門員
源関聡
「適切な教育研究資金の執行のための課金・徴収システムの構築」
バイオ部門
技術専門員
髙田綾子
「バイオ分野における教育研究支援とバイオ部門運営への貢献」

表彰された方々と学長らとの記念撮影
表彰された方々と学長らとの記念撮影

スーパーコンピュータ「京」がGraph500において7期連続で世界第1位を獲得 ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析で最高レベルの評価

$
0
0

理化学研究所(理研)、九州大学、東京工業大学、バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター、富士通株式会社、株式会社フィックスターズによる国際共同研究グループは、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500において、スーパーコンピュータ「京(けい)」[用語1]による解析結果で、2017年11月に続き7期連続(通算8期)で第1位を獲得しました。

このたび、ドイツのフランクフルトで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「ISC2018」で6月27日(日本時間6月27日)に発表されました。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、「京」は運用開始から6年以上が経過していますが、今回のランキング結果によって、現在でもビッグデータ解析に関して世界トップクラスの極めて高い能力を有することが実証されました。本成果の広範な普及のため、国際共同研究グループはプログラムのオープンソース化を行い、GitHubレポジトリより公開中です。今後は大規模高性能グラフ処理のグローバルスタンダードを確立して行く予定です。

※ 研究支援

本研究の一部は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「ポストペタスケール高性能計算に資するシステムソフトウェア技術の創出(研究総括:佐藤三久)」における研究課題「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤(研究代表者:藤澤克樹、拠点代表者:鈴村豊太郎)」および「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化(研究総括:喜連川優)」における研究課題「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術(研究代表者:松岡聡)」の一環として行われました。

スーパーコンピュータ「京」

スーパーコンピュータ「京」

Graph500上位10位

このたび公開されたGraph500の上位10位は以下の通りです。

Graph500とは

近年活発に行われるようになってきた実社会における複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされています。例えば、インターネット上のソーシャルサービスなどでは、「誰が誰とつながっているか」といった関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われます。また、サイバーセキュリティや金融取引の安全性担保のような社会的課題に加えて、脳神経科学における神経機能の解析やタンパク質の相互作用分析などの科学分野においてもグラフ解析は用いられ、応用範囲が大きく広がっています。こうしたグラフ解析の性能を競うのが、2010年から開始されたスパコンランキング「Graph500」です。

規則的な行列演算である連立一次方程式を解く計算速度(LINPACK[用語2])でスーパーコンピュータを評価するTOP500[用語3] においては、「京」は2011年(6月、11月)に第1位、その後、2018年6月25日に公表された最新のランキングでは第16位です。一方、Graph500ではグラフの探索という複雑な計算を行う速度(1秒間にグラフのたどった枝の数(TEPS[用語4]))で評価されており、計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められます。

Graph500の測定に使われたのは、「京」が持つ88,128台のノード[用語5]の内の82,944台で、約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝から成るプロブレムスケール[用語6]の大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功しました。ベンチマークのスコアは38,621GTEPS(ギガテップス)です。Graph500第1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したものであり、幅広い分野のアプリケーションに対応できる「京」の汎用性の高さを示すものです。また、それと同時に、高いハードウェアの性能を最大限に活用できる研究チームの高度なソフトウェア技術を示すものと言えます。「京」は、国際共同研究グループによる「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤」および「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」の2つの研究プロジェクトによってアルゴリズムおよびプログラムの開発が行われ、2014年6月に17,977GTEPSの性能を達成し第1位、さらに「京」のシステム全体を効率良く利用可能にするアルゴリズムの改良を行い、2倍近く性能を向上させ、2015年7月に38,621GTEPSを達成し第1位でした。そして今回のランキングでもこの記録により、世界第1位を7期連続(通算8期)で獲得しました。

これまでの幅優先探索問題(BFS)[用語7]に加えて前回から最短路問題(SSSP)[用語8]に対する結果も公開されており、今後はさらに別の問題への適用も予定されています。

今後の展望

大規模グラフ解析においては、アルゴリズムおよびプログラムの開発・実装によって性能が飛躍的に向上する可能性を示しており、今後もさらなる性能向上を目指していきます。また、上記で述べた実社会の課題解決および科学分野の基盤技術へ貢献すべく、スーパーコンピュータ上でさまざまな大規模グラフ解析アルゴリズムおよびプログラムの研究開発を進めます。

用語説明

[用語1] スーパーコンピュータ「京(けい)」 : 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

[用語2] LINPACK : 米国のテネシー大学のJ. Dongarra博士によって開発された規則的な行列計算による連立一次方程式の解法プログラムで、TOP500リストを作成するために用いるベンチマーク・プログラム。ハードウェアのピーク性能に近い性能を出しやすく、その計算は単純だが、応用範囲が広い。

[用語3] TOP500 : TOP500は、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクト。1993年に発足し、スーパーコンピュータのリストを年2回発表している。

[用語4] TEPS : Graph500ベンチマークの実行速度を表すスコア。Graph500ベンチマークでは与えられたグラフの頂点とそれをつなぐ枝を処理する。Graph500におけるコンピュータの速度は1秒間あたりに調べ上げた枝の数として定義されている。TEPSはTraversed Edges Per Secondの略。

[用語5] ノード : スーパーコンピュータにおけるオペレーティングシステム(OS)が動作できる最小の計算資源の単位。「京」の場合は、一つのCPU(中央演算装置)、一つのICC(インターコネクトコントローラ)、および16GBのメモリから構成される。

[用語6] プロブレムスケール : Graph500ベンチマークが計算する問題の規模を表す数値。グラフの頂点数に関連した数値であり、プロブレムスケール40の場合は2の40乗(約1兆)の数の頂点から構成されるグラフを処理することを意味する。

[用語7] 幅優先探索問題(BFS) : 最短路問題と同じく、グラフ上で指定された二つの頂点間の距離が最小となる経路を求める問題。グラフの各枝の重みが等しい場合を想定しており、主にインターネット上のソーシャルデータや金融データなどの解析に用いられる。

[用語8] 最短路問題(SSSP) : 幅優先探索問題と同じく、グラフ上で指定された二つの頂点間の距離が最小となる経路を求める問題。グラフの各枝の重みが異なる場合を想定しており、主に道路あるいは鉄道などの交通データ上での経路案内などに用いられる。

<$mt:Include module="#G-09_情報理工学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

理化学研究所 計算科学研究推進室

広報グループ 岡田昭彦

E-mail : r-ccs-koho@ml.riken.jp
Tel : 078-940-5625 / FAX : 078-304-4964

機関窓口

理化学研究所 広報室 報道担当

E-mail : ex-press@riken.jp
Tel : 048-467-9272 / FAX : 048-462-4715

国立大学法人九州大学 広報室

E-mail : koho@jimu.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-2130 / FAX: 092-802-2139

国立大学法人 東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / FAX : 03-5734-3661

富士通株式会社 富士通コンタクトライン(総合窓口)

Tel : 0120-933-200
受付時間 : 9時 - 17時30分(土曜日・日曜日・祝日・当社指定の休業日を除く)

株式会社フィックスターズ マーケティング担当

E-mail : press@fixstars.com
Tel : 03-6420-0758

科学技術振興機構 広報課

E-mail : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404 / FAX : 03-5214-8432

JST事業に関すること

科学技術振興機構 戦略研究推進部

松尾浩司

E-mail : crest@jst.go.jp
Tel : 03-3512-3525 / FAX : 03-3222-2063

7月の学内イベント情報

$
0
0

7月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

第6回工学院特別セミナー「The Economic Impact of Digital Transformation with Consumer Data」

第6回工学院特別セミナー「The Economic Impact of Digital Transformation with Consumer Data」

工学院では、著名な講師をお招きして特別セミナーを開催しています。今回は、ポツダム大学のKey Pousttchi教授による講演です。SMACIT(Social, Mobile, Analytics, Cloud, IoT)あるいは CAMBRIC(Cloud, AI, Mobility, Big Data, Robotics, IoT, Cyber Security)に代表される、ディジタル技術とその社会へのインパクトが注目されています。それらが引き起こす変化や機会を、戦略的かつ優先順位付けされた方法で十分に活かし、企業活動、業務プロセス、コンピテンシー、ビジネスモデルの変革を、深化・加速化させようという、ディジタルトランスフォーメーションでは、さまざまな種類の特に消費者行動に関する大量なデータをどのように取り扱うかが最重要課題と言われています。講演では消費者データの観点からディジタルトランスフォーメーションが引き起こす経済的なインパクトについて論じます。

日時

2018年7月2日(月)16:00 - 17:30

会場
東京工業大学 大岡山キャンパス 大岡山西9号館 3階 311号室
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
不要

2018年度おおた区民大学(第21回東工大提携講座)「進化するAI(人工知能)と私たちの生活」

2018年度おおた区民大学(第21回東工大提携講座)「進化するAI(人工知能)と私たちの生活」

大田区と連携しておおた区民大学を開催します。AIとは何か、AIを支える基礎研究、生活に密着する応用面、そして私たちの社会に与える影響など、様々な視座に立った最先端の研究を紹介します。

日時
5月30日(水)、6月6日(水)、13日(水)、20日(水)、27日(水)、7月4日(水)(各日 19:00 - )
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般(原則として太田区内在住・在勤・在学の方)
申込
必要
申し込み・お問い合わせは大田区地域力推進課 区民協働・生涯学習担当(03-5744-1443)へ

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2018年前期)

CERI寄附公開講座「ゴム・プラスチックの安全、安心―身の回りから先端科学まで―」(2018年前期)

前期は、私たちの身の回りにある化学品を含むゴムやプラスチックとその製品の安全・安心に関する情報とやさしい科学を、一般の方にもわかりやすく紹介します。後期は、少し高度な内容として、最先端の安全性評価技術、劣化と寿命予測技術、耐性向上技術、高性能・高強度化技術・材料に関する科学を紹介し、将来の安心・安全な材料・製品設計の基礎を学びます。

日時
2018年6月16日(土)、6月23日(土)、6月30日(土)、7月7日(土)、7月14日(土)、7月28日(土)、8月4日(土)、各日 13:20 - 14:50、15:05 - 16:35
会場
参加費
無料(但し「追加資料代」として1,000円(全14講議分)のみ別途必要)
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

夏のワークショップ2018「声に出してシェイクスピア vol.3-喜劇編 その1『ヴェニスの商人』-」

夏のワークショップ2018「声に出してシェイクスピア vol.3-喜劇編 その1『ヴェニスの商人』-」

昨年度、『マクベス』と『ヘンリー五世』をテキストにして開催した2回のワークショップは、いずれも大盛況のうちに終了いたしました。今年度も同様のワークショップを企画し、今回は『ヴェニスの商人』を取り上げます。才色兼備の娘のもとへヴェニスの若者が求愛の旅に出かけるというロマンティックな喜劇ではありますが、この主筋と並行して、借金の抵当に人肉を要求するユダヤ人シャイロックをめぐる物騒な物語も展開します。俳優の下総源太朗さんの指導のもと、本学の小泉勇人准教授の解説つきで台詞を声に出して読み、演じてみましょう。前回までのワークショップと同じく、最終回に小さな発表会を開く予定です。

日時
2018年7月19日(木)、26日(木)、8月2日(木)、9日(木)、23日(木)(全5回、各回 18:00 - 20:00)
会場
東京工業大学 大岡山キャンパス 大岡山西9号館7階714教室(土足禁止の教室です)
参加費
全5回4,000円(本学学生、教職員は無料)
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要(定員30名、7月2日(月)より受付開始、先着順)

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

TBSテレビ「未来の起源」に理学院 化学系の前田和彦准教授が出演

$
0
0

本学 理学院 化学系の前田和彦准教授が、TBS「未来の起源」に出演します。太陽光エネルギーから燃料物質を創り出す光触媒の研究について紹介されます。

前田准教授のコメント

前田和彦准教授
前田和彦准教授

石油や石炭に代表される化石資源、そして原子力に依存した我々の社会は今、将来のエネルギー確保の観点から転換期を迎えています。私は、無尽蔵な太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する光触媒の研究をしています。今回は、私の研究対象のひとつである「非酸化物型の光触媒」について取材を受けました。番組を通して、多くの方に光触媒研究の重要性・魅力をお伝えできれば幸いです。

番組情報

  • 番組名
    TBS「未来の起源」
  • 放送予定日
    2018年7月8日(日)22:54 - 23:00
  • (再放送)
    BS-TBS 2018年7月22日(日)20:54 - 21:00
<$mt:Include module="#G-03_理学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

リベラルアーツ研究教育院とURA(リサーチ・アドミニストレーター)との情報交換会を開催

$
0
0

6月6日、リベラルアーツ研究教育院とリサーチ・アドミニストレーター(以下、URA)との情報交換会を大岡山キャンパス石川台7号館のELSIホールで開催しました。

URAは大学などの研究機関において研究者を支援し、研究マネジメントの一翼を担う高度専門人材です。既に多くの研究機関で導入され、研究者とともに新たな研究プロジェクトの立上げや、その管理・運営などを支援しています。本学では、研究・産学連携本部に所属するURAをはじめ、部局付のURAや一部の研究プロジェクトで専任されるURAなどが活動しています。

この情報交換会は、リベラルアーツ研究教育院とURAとが協働することにより、同研究教育院の知見や視点を、外部資金や共同研究の獲得・遂行などの活動に活用していくことを目的に、研究活動の活性化に向けた第一歩という位置づけで行われました。当日は副学長、学院長、副学院長をはじめ、他部局、研究・産学連携関連の事務職員の参加もありました。

上田リベラルアーツ研究教育院長による開会挨拶

上田リベラルアーツ研究教育院長による開会挨拶

はじめに、上田紀行リベラルアーツ研究教育院長による開会挨拶と趣旨説明が行われ、続いて研究・産学連携本部の藤井健視プロジェクト研究推進部門長から、URAの活動について紹介がありました。次いでURA21名による1分間の自己紹介プレゼンテーション、さらにリベラルアーツ研究教育院教員23名による研究内容紹介の1分半のショットガンプレゼンテーションが行われました。

その後、リベラルアーツ研究教育院の教員による30分程度のポスタープレゼンテーションが行われました。各ポスターボード前で、多くの参加者が情報交換をしていましたが、「もう少し時間が欲しい」という声も多く聞かれ、場所を移して行われた懇親会でも活発に情報交換が続きました。これまでURAと交流の少なかったリベラルアーツ研究教育院の教員も、URAの活動について理解が深まりました。

今後もこうした交流を広げ、深めることによって、文理融合をはじめ、全学的な研究の交流の促進に向けた取り組みを進めていきます。

リベラルアーツ研究教育院教員によるポスタープレゼンテーション
リベラルアーツ研究教育院教員によるポスタープレゼンテーション

盛況だった情報交換会後の懇親会
盛況だった情報交換会後の懇親会

<$mt:Include module="#G-15_リベラルアーツ研究教育院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

研究推進部研究企画課 研究企画第2グループ

E-mail : kenkik.kik2@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3803

赤木泰文特任教授がIEEEメダル授賞式に出席

$
0
0

工学院 電気電子系の赤木泰文特任教授は、5月11日に米国・サンフランシスコのパレスホテルで開催されたIEEEメダル授賞式に出席し、2018年IEEEメダル イン パワーエンジニアリング(以下、パワーメダル)を授与されました。

(左から)IEEE次期会長、赤木特任教授、IEEE会長

(左から)IEEE次期会長、赤木特任教授、IEEE会長

スピーチを行う赤木特任教授
スピーチを行う赤木特任教授

IEEE(アイ・トリプル・イー: The Institute of Electrical and Electronic Engineering, Inc.)は米国に本部がある電気電子工学の国際的な学会で、43万人の会員を有する世界最大の技術系学会です。

IEEEは現在16の分野でメダルを授与しており、IEEEメダルの受賞はIEEEの最高の栄誉です。

授賞式の様子は以下のサイトでご覧いただけます。(※赤木特任教授は1:31:50 - 1:36:05に登壇します。)

2018 IEEE Honors Ceremony - Full Stream|IEEE.tvouter

2008年に創設されたパワーメダルは、発電・送電・変電、電力・エネルギーの有効利用・応用などの広い意味での「電力工学」の発展に貢献した研究者・技術者を顕彰するものです。赤木特任教授は「電力変換システムとその応用の理論と実践に対する先駆的貢献」が認められ、今回、日本人として初の受賞となりました。

パワーメダルのルーツはIEEEラムメダルに遡ります。ラムメダルは、交流送電の礎を築いたベンジャミン・ラム氏(米国・ウエスチングハウス社の技術者)の遺言によって1924年に創設されましたが、資金が底を尽いたことから2008年に終了し、その精神はパワーメダルに引き継がれました。80年以上の歴史と伝統を誇るラムメダルの日本人受賞者は3名です。

赤木泰文特任教授のコメント

1973年4月の学部4年の卒業研究から電力変換システム(パワーエレクトロニクス)の研究に取り組み、現在まで45年以上にわたって研究を行っています。本学在職中にパワーメダルを受賞できたことを大変に嬉しく思います。学生時代の恩師、研究室の先輩、同輩、後輩、そして大学教員になってからの上司、同僚、さらに一緒に研究に打ち込んだ当時の大学院学生の方々に厚くお礼申し上げます。

以下は授賞式でのスピーチの一部です。

「45年間取り組んできたパワーエレクトロニクスの研究をさらに深めるべく、 このIEEEパワーメダルの受賞を励みに精進していきたいと思います。パワーエレクトロニクスは挑戦のしがいがあり、しかも好奇心がくすぐられる研究分野であり、 これからも終わりのない研究の旅を続けていきます。」

赤木特任教授に贈呈された金メダル(直径65 mm、厚さ5 mm、重さ163 g)と賞状

赤木特任教授に贈呈された金メダル(直径65 mm、厚さ5 mm、重さ163 g)と賞状

赤木特任教授に贈呈された金メダル(直径65 mm、厚さ5 mm、重さ163 g)と賞状

赤木特任教授に贈呈された金メダル(直径65 mm、厚さ5 mm、重さ163 g)と賞状

<$mt:Include module="#G-05_工学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

赤木泰文 特任教授

Email : akagi@ee.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3549

東工大ボート部 全日本軽量級選手権大会で男子エイト8位入賞

$
0
0

東京工業大学 端艇部(ボート部)が、5月17日から20日まで埼玉県戸田市の戸田ボートコースで開催された、公益社団法人日本ボート協会 主催 第40回全日本軽量級選手権大会 に出場し、男子エイトが8位入賞しました。

上段左から:中森さん、藤井さん、村田さん、原さん、井上さん 下段左から:船岡さん、長谷川さん、中島さん、小川さん

上段左から:中森さん、藤井さん、村田さん、原さん、井上さん
下段左から:船岡さん、長谷川さん、中島さん、小川さん

全日本軽量級選手権大会は、漕手の平均体重が70kg以下のメンバーで構成されるクルーが出場する全国大会です。エイトでの入賞は5年ぶりとなりました。

男子エイトは、大きいオールを一人一本持って漕ぐスウィープ艇で、8人の漕手と1人の舵手が乗る種目です。ボート競技の中では最大の人数で行われ、最速の種目です。2,000 mのコースを6分足らずで漕ぎ切ります。

入賞したメンバーを紹介します。

  • 中島雪暢さん(工学部 電気電子工学科 学士課程4年)
  • 藤井健人さん(工学部 電気電子工学科 修士課程1年)
  • 小川翔太郎さん(工学部 化学工学科 学士課程4年)
  • 長谷川青春さん(工学部 土木環境工学科 学士課程4年)
  • 中森康友さん(工学院 機械系 学士課程3年)
  • 原哲郎さん(環境・社会理工学院 土木環境工学系 学士課程2年)
  • 舩岡知広さん(理学部 地球惑星科学科 学士課程4年)
  • 井上幸大さん(工学院 経営工学系 学士課程3年)
  • 村田翔太郎さん(情報理工学院 情報工学系 学士課程3年)

クルーチーフ 長谷川さんのコメント

東工大が軽量級選手権にエイトで出場したのは僕が入部して以来初のことです。全日本級の今大会で、今回見事入賞を果たせました! 部が確実に強く成長していると感じる実りのある試合でした。今後も東工大ボート部への応援よろしくお願いします!

東工大基金

端艇部の活動は東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

東京工業大学端艇部

E-mail : titboat@green.ocn.ne.jp
Tel : 048-442-5581


人工光合成実用化に期待「光触媒研究プレスセミナー」を開催 CO2削減や水素生成を実現につながる研究

$
0
0

本学 理学院 化学系の前田和彦准教授による太陽光をエネルギー変換する光触媒の最先端研究プレスセミナーを6月11日、大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて開催しました。

石油や石炭などのエネルギー資源の枯渇や、CO2排出などの地球温暖化問題の観点から、太陽光による人工光合成は水素生成やCO2削減を実現するクリーンかつ再生可能エネルギーとして期待されています。本セミナーは、東工大が強みを持つ最先端研究をプレス向けにご紹介するプレスセミナーの一環として開催されました。

人工光合成の原理を解説する前田准教授
人工光合成の原理を解説する前田准教授

研究開発された光触媒
研究開発された光触媒

プレスセミナーの様子
プレスセミナーの様子

セミナーでは、前田准教授から、エネルギー源としての太陽光の可能性や人工光合成の基本原理を解説しました。高効率に駆動する光触媒を開発してそれを利用すれば、2050年に人類全体で必要とされるエネルギーの3分の1を太陽光エネルギーで賄えるという試算も示されました。また、前田准教授の最新の成果としてフッ素と酸素を構成物質とする光触媒についての紹介がありました。この成果は、フッ素が光触媒化合物としては有効ではないというこれまでの定説を覆し、紫外線のみならず、可視光に応答し、かつ、安定した組成の新触媒であることを示したものです。前田准教授は、光触媒設計の改善に新たな指針を示し、より汎用性のある安価な光触媒を開発していくことに言及しました。

理学院 化学系 前田和彦准教授
理学院 化学系 前田和彦准教授

前田准教授のコメント

地球の表面にとどく太陽のエネルギーは約100兆キロワットに達する膨大なものです。この0.01%を活用できれば人類社会を支えるために必要なエネルギーを供給できます。

光触媒による人工光合成はエネルギー問題に大きな貢献ができると確信しています。

資料

<$mt:Include module="#G-03_理学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975

スタントマンによる迫力の実演 自転車安全教室を開催

$
0
0

6月20日、大岡山キャンパスにおいて、近年の学内における自転車接触事故、通学時の自転車事故等の発生等に鑑み、田園調布警察署協力のもと、スケアード・ストレイト方式による自転車安全教室を開催しました。スケアード・ストレイト方式とは、「恐怖を直視させる」ことで、それにつながる危険行為を未然に防ぐ教育手法のことです。

自転車同士による衝突事故の再現

自転車同士による衝突事故の再現

冒頭で総合安全管理部門 防災・交通班会議主査の髙原弘樹教授(工学院)から、本学における交通安全ルールの説明があり、続いて、プロのスタントマンによる車・自転車等事故の再現、田園町調布警察署からの講話が行われました。

当日はあいにくの雨天でしたが、自転車安全教室が始まる頃には小止みとなり、参加者は学生や職員、近隣住民の方々など延べ300人ほどになりました。スタントマンによる迫力ある実演や、スタントに使用され、自転車同士の衝突やトラックによる巻き込みでひしゃげた自転車等を目の当たりにした参加者は、事故の恐ろしさを改めて痛感し、被害者にも加害者にもならないために、交通安全ルールを守ることの大切さを考える良い機会となりました。

お問い合わせ先

施設運営部 施設総合企画安全企画室安全管理グループ

E-mail : sog.anz.kan@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3408

クロール泳中のスイマーに働く抵抗に関する新たな知見 独自開発した抵抗測定方法により、速く泳ぐための鍵にせまる

$
0
0

研究成果のポイント

  • これまで困難とされてきた自己推進しているスイマーの抵抗測定に関して、独自に開発した測定法を用いて、新たな切り口でクロール泳の抵抗問題[用語1])の解明に取り組みました。
  • クロール泳におけるキック動作の役割は泳速度に伴って変化し、低速域では推進力として貢献しますが、速い泳速ではかえって抵抗になる可能性が新たに判明しました。
  • 速く泳ぐためには、ストローク(腕のかき)の頻度を上げる必要がありますが、必然的にキックの頻度も上がってしまう状況で、いかに抵抗要素にならないキック動作ができるかが鍵であることが示唆されました。

国立大学法人 筑波大学 体育系 高木英樹教授、成田健造(大学院生)、国立大学法人 東京工業大学 工学院 システム制御系の中島求教授らの研究グループは、筑波大学の実験用回流水槽を用いて、泳法を限定することなく、任意の速度で泳いでいる泳者に作用する抵抗力を推定する方法を開発し、新たな切り口でクロール泳の抵抗問題の解明に取り組みました。

これまで、クロール泳のキック動作の役割に関しては、水平姿勢を保って抵抗低減には貢献しているが、推進力として貢献しているかについては統一した見解が得られていませんでした。その理由として、そもそも四肢を駆動させて自己推進しているスイマーに作用する抵抗を計測する方法が確立されておらず、体を一直線に伸ばした姿勢(けのび姿勢)時の静的抵抗や上肢だけでクロール泳を行う(プル泳)時の動的抵抗を測定するに留まっていました。しかし独自に開発した測定システムを用いることで、けのび姿勢時の静的抵抗、プル泳時の動的抵抗に加え、上肢と下肢の両方を使って泳いだ時の動的抵抗を同一システムで計測することが可能となり、それらの値を比較検討することにより、初めてキック動作の役割の解明が可能となりました。その結果、クロール泳のキック動作は低速域(1.1 m/s)では推進力として貢献していましたが、1.3 m/sを超えるあたりから抵抗となる可能性が明らかとなりました。以上のことから、速く泳ぐためには上肢のストローク頻度を増加させる必要がありますが、上肢と下肢の動作は連動しているので、必然的に下肢のキック動作の頻度も増加せざるを得ず、抵抗要素の増大につながることが予想されます。この抵抗増加をいかにして抑えられるかが、速く泳ぐための鍵となることが示唆されます。

本研究成果は、バイオメカニクス分野のトップジャーナルであるJournal of Biomechanicsにおいて6月15日に先行公開されました。

研究の背景

泳法に関わらず、任意の速度で自己推進しているスイマーの抵抗を正確に測定することは、水泳研究の分野においては古くて新しい問題であり、様々な方法論が試されてきました。古くは100年以上前に、スイマーをボートで牽引しながら抵抗を測定しようとする試みが行われたり、ドーナツ型の水路内でスイマーに様々な負荷をかけながら泳がせた時の酸素摂取量から抵抗を推定しようとするなど、世界中の研究者が知恵を絞り多種多様なアプローチが行われてきました。しかし、どれも一長一短で決定打がないという状態でした。そのような状況の中、本研究グループは、実験用回流水槽を用い、ある任意の流速においてクロール泳を行った時の泳ぎのテンポをスイマーに記憶させ、そのテンポを維持したまま、流速を様々に変化させた場合にスイマーに作用する力を測定し、その測定値から自己推進している時の抵抗を推定する方法を考案しました(図1参照)。本測定法を用いることで、速く泳ぐために最も重要な要因である自己推進時の抵抗について、ようやく客観的なデータに基づいて議論できるようになりました。

自己推進時抵抗計測システムの概要 まず泳者に対し、任意の流速(U1)に設定された回流水槽内で、一定の位置に留まってクロール泳を行うよう指示し、その際の腕の回転頻度(テンポ)を記憶させる。その後、前後方向からワイヤーによって固定された状態で、先に記憶させたテンポを再現、維持しながらクロール泳を行わせる。次に回流水槽の流速(U)をU1より速くしたり、遅くしたり変化させながら、前後のワイヤーに生じる張力を測定する。この時、流速がU<U1の場合には、泳者が発揮する推進力は受ける抵抗を上回るので、前方に進もうとする力が生じ、後のワイヤーに張力がかかる。一方、流速がU>U1の場合には、逆に泳者が発揮する推進力は受ける抵抗を下回るので、後方に押し戻される力が生じ、前のワイヤーに張力がかかる。流速Uを8~9段階で増減させ、それぞれの段階における前後のワイヤーにかかる張力の平均値を求め、その回帰曲線からU1で泳いた時の自己推進時抵抗を推定する。
図1.
自己推進時抵抗計測システムの概要 まず泳者に対し、任意の流速(U1)に設定された回流水槽内で、一定の位置に留まってクロール泳を行うよう指示し、その際の腕の回転頻度(テンポ)を記憶させる。その後、前後方向からワイヤーによって固定された状態で、先に記憶させたテンポを再現、維持しながらクロール泳を行わせる。次に回流水槽の流速(U)をU1より速くしたり、遅くしたり変化させながら、前後のワイヤーに生じる張力を測定する。この時、流速がU<U1の場合には、泳者が発揮する推進力は受ける抵抗を上回るので、前方に進もうとする力が生じ、後のワイヤーに張力がかかる。一方、流速がU>U1の場合には、逆に泳者が発揮する推進力は受ける抵抗を下回るので、後方に押し戻される力が生じ、前のワイヤーに張力がかかる。流速Uを8~9段階で増減させ、それぞれの段階における前後のワイヤーにかかる張力の平均値を求め、その回帰曲線からU1で泳いた時の自己推進時抵抗を推定する。

研究内容と成果

本研究ではクロール泳時における下肢のキック動作に注目し、キック動作が推進力として貢献しているのかどうかについて検討しました。これまで、キック動作に関しては、何もしなければ沈んでしまう下肢を持ち上げ、水平に近い姿勢を取るために必須で、抵抗低減には寄与していると考えられていました。しかし、進行方向に対して上下に運動する下肢が推進に貢献しているかについては、一定の見解を得られていませんでした。そこで本研究では、新たな測定方法を用いてキック動作の役割について検討したところ、低速域では抵抗にならず推進力として貢献しているが、1.3 m/sの中速域あたりから抵抗となり始め、さらに泳速度を高めるとかなりの抵抗になる可能性が示唆されました。これは我々の先行研究において、上肢と下肢の両方を使ったクロール泳の自己推進時抵抗が、これまでの定説(泳速度の2乗に比例)を覆し、実は泳速度の3乗に比例して増大することと深く関連しているものと思われます。つまりクロール泳で泳速度を上げるためには、抵抗増大につながるとしてもキックを打たざるを得ず、それが結果的に泳速度の3乗に比例して抵抗が増加するという現象を生んでいるものと思われます。よって速く泳ぐためには、推進力の大半を生んでいる上肢による推進力の増大をはかりつつ、キック動作の抵抗をいかに低減できるかが技術的なキーポイントとなります。

上肢と下肢の両方を使ったクロール(Whole stroke:上図)と上肢のみを使ったクロール(Arms-only stroke:下図)の試技中の写真
図2.
上肢と下肢の両方を使ったクロール(Whole stroke:上図)と上肢のみを使ったクロール(Arms-only stroke:下図)の試技中の写真
2つの泳速度条件(1.1 m/sおよび1.3 m/s)において、上肢と下肢の両方を使ったクロール(Whole stroke)、上肢だけを使ったクロール(Arms-only stroke)、けのび姿勢 (Passive drag)を行った場合の速度(Velocity)、抵抗係数(Drag coefficient)、ストローク頻度(Stroke rate)、ストローク頻度(Stroke length)の比較結果
図3.
2つの泳速度条件(1.1 m/sおよび1.3 m/s)において、上肢と下肢の両方を使ったクロール(Whole stroke)、上肢だけを使ったクロール(Arms-only stroke)、けのび姿勢 (Passive drag)を行った場合の速度(Velocity)、抵抗係数(Drag coefficient)、ストローク頻度(Stroke rate)、ストローク頻度(Stroke length)の比較結果

今後の展開

今後は本測定法を用いて、諸外国選手に比べパワーで劣る日本人スイマーが苦手とする自由形短距離種目において、高い技術を活かし、推進力の向上をはかりつつもキック動作による抵抗力低減の実現や、長距離種目でのキック動作の効率的な利用によるパフォーマンスの向上に関する方策を提案できる研究を推進します。

用語説明

[用語1] 抵抗問題 : スイマーが水面付近を泳いだ時、スイマーの体型に依存する形状抵抗(圧力抵抗とも言う)、水と体表面が接する部分に生じる摩擦抵抗、そして波がおきてスイマーを押し戻す方向に作用する造波抵抗などが生じますが、ここではこれらすべての抵抗を合わせた力を抵抗と呼んでいます。

論文情報

掲載誌 :
Journal of Biomechanics
論文タイトル :
Effect of leg kick on active drag in front-crawl swimming: comparison of whole stroke and arms-only stroke during front-crawl and the streamlined position
著者 :
Kenzo Narita、 Motomu Nakashima and Hideki Takagi
DOI :
<$mt:Include module="#G-05_工学院モジュール" blog_id=69 $>

お問い合わせ先

筑波大学 体育系

教授 高木英樹

E-mail : takagi.hideki.ga@u.tsukuba.ac.jp
Tel :029-853-6330

東京工業大学 工学院 システム制御系

教授 中島求

E-mail : motomu@sc.e.titech.ac.jp
Tel :03-5734-2586

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

学生の声を大学に届ける「学勢調査2018」を実施中

$
0
0

東京工業大学では、本学における教育改善や施設の建設や整備、学内サービスの向上といった大学の事業に学生の声を取り入れ、本学をより魅力ある大学とすることを目的とした全学的アンケート調査「学勢調査」を、2年に1度実施しています。2018年7月11日(水)まで、在学生によるウェブアンケートへの回答を受け付けています。

「東工大をこうしたい!学生の手で○○を実現したい。でも…」「もう少し、こうなってくれればいいのに…」といった学生の声を集め、実現する形へと学生自らがつなげる場、それがこの学勢調査です。全学生を対象に大規模なウェブアンケート調査を行うという、全国でも例を見ないこの独自の取り組みは、国勢調査になぞらえて「学勢調査」と名付けられ、2004年の試行を経て2005年より本格実施となりました。「勢」という漢字には「ありさま」「かたむき」そして「さかんな力」という意味があります。学生の状況=「ありさま」を見きわめ、学生の意見や希望=「かたむき」を受けとめることで、学生たち自身の「さかんな力」がよりのびやかに開花するようにとの願いをこめて実施しています。

この調査のユニークな点は、調査結果の集計、解析、提言書作成を、公募により集まったサポーター学生の主導で実施していることです。サポーター学生は、学生の視点でアンケート結果を読み解き、建設的な提言書を作成し、学長にアンケート結果とともに提出します。この提言を受けて、学内の各組織ができる限りの対応に取り組みます。提言の中には、慎重な検討を要するものや多額の予算を伴うものなど、対応しきるには時間がかかるものもありますが、これまでに多くの改善が行われてきており、学勢調査は学生の意見を大学側に伝えるために大きな役割を果たしています。

学勢調査2018広報用ポスター

学勢調査2018 ポスター

お問い合わせ先

学生支援センター自律支援部門

E-mail : gakuseichousa1@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7629

金属酸化物への電子ドープにより光触媒活性が向上 水素をつくりだす新たな高性能光触媒の開発に向けて

$
0
0

太陽光を利用して水から水素を生成する光触媒[用語1]は、日本人研究者を中心として研究が進められています。これまでの光触媒開発は主にトライアンドエラーによるもので、高性能光触媒を合理的に設計することが難しく、何を制御すれば高性能化できるのか十分にわかっていませんでした。

九州大学 エネルギー研究教育機構(Q-PIT)の山崎仁丈教授、稲盛フロンティア研究センターの兵頭潤次特任助教、東京工業大学の前田和彦准教授、熊谷啓特任助教、西岡駿太(大学院生・日本学術振興会特別研究員)、豊田工業大学の山片啓准教授、Junie Jhon M. Vequizo博士、物質・材料研究機構(NIMS)の木本 浩司博士、山下俊介博士らの研究グループは、金属酸化物であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO3-δ)に高濃度の酸素欠陥と電子をドープ[用語2]することで、紫外光照射下における水素生成速度、酸素生成速度がそれぞれ40倍、3倍と大幅に向上することを発見しました。また、この理由が、紫外光照射により励起された電子寿命の延長およびホール流束の増大によることを世界で初めて明らかにしました。

これらは材料科学と触媒化学の学際融合研究による成果であり、この光触媒設計指針に基づいて新規光触媒を開発することで、今後は太陽光と光触媒を利用した水素生成反応のさらなる高性能化が期待されます。

本研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金(JP16H06440, JP16H06441, JP17H05491, JP16H06130, JP15K14220, JP15H02287, JP16H00891)の支援を受けました。

本研究成果は、米国化学会の国際学術誌「ACS Catalysis」のオンライン速報版で日本時間2018年6月19日(火)に掲載されました。確定版は日本時間 2018年7月3日(火)に掲載される予定です。

研究者からひとこと

研究チーム:左から山崎、前田(東工大)、西岡(東工大)、兵頭
研究チーム:左から山崎、前田(東工大)、西岡(東工大)、兵頭

電子のドーピングは「欠陥」を結晶格子の中に作ることで導入されます。不具合や失敗のようなネガティブな印象を与える「欠陥」という言葉ですが、触媒材料における「欠陥」は高機能化や、新機能の創出のための重要な因子で、私たちは欠陥制御による高機能性材料の創出を目指しています。

電子ドープした光触媒では、励起した電子の寿命が著しく長くなります(図中左)。また、電子ドープにより表面近傍の半導体におけるバンド曲がりが大きくなります(図中右)。これらの影響により、反応に利用される電子・ホール数が向上し、水素・酸素生成速度が大きくなることが明らかとなりました。
参考図
電子ドープした光触媒では、励起した電子の寿命が著しく長くなります(図中左)。また、電子ドープにより表面近傍の半導体におけるバンド曲がりが大きくなります(図中右)。これらの影響により、反応に利用される電子・ホール数が向上し、水素・酸素生成速度が大きくなることが明らかとなりました。

用語説明

[用語1] 光触媒 : 光を吸収することで、水分解などの酸化還元反応の速度を大幅に促進する物質のこと。

[用語2] ドープ(dope) : 主に半導体において、その特性を制御するため不純物を少量加えること。

論文情報

掲載誌 :
ACS Catalysis
論文タイトル :
Homogeneous Electron Doping into Non-stoichiometric Strontium Titanate Improves Its Photocatalytic Activity for Hydrogen and Oxygen Evolution
著者 :
Shunta Nishioka, Junji Hyodo, Junie Jhon M. Vequizo, Shunsuke Yamashita, Hiromu Kumagai, Koji Kimoto, Akira Yamakata, Yoshihiro Yamazaki, and Kazuhiko Maeda
DOI :

お問い合わせ先

九州大学 エネルギー研究教育機構(Q-PIT)
稲盛フロンティア研究センター(兼任)
大学院工学府材料物性工学専攻
教授 山崎仁丈

E-mail : yamazaki@ifrc.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-6966 / Fax : 092-802-6967

東京工業大学 理学院 化学系
准教授 前田和彦

E-mail : maedak@chem.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2239 / Fax : 03-5734-2284

取材申し込み先

九州大学 広報室

Email : koho@jimu.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-2130 / Fax : 092-802-2139

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

Viewing all 4086 articles
Browse latest View live


<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>