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「平成30年度かながわ発・中高生のためのサイエンスフェア」参加報告

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東工大は、7月14日にそごう横浜店にて開催された「かながわ発・中高生のためのサイエンスフェア」に参加し、生命理工学院の所属学生を中心とした学生サークル「Bio Creative Staff(バイオ・クリエイティブ・スタッフ)」(以下、BCS)の協力のもと、「実演・体験ブース」、「大学紹介コーナー」を設置しました。

かながわ発・中高生のためのサイエンスフェアは、神奈川県内の中学・高校生の理工系分野への理解・関心を高め、進学を促進することにより、神奈川県における科学技術と産業活力の向上に向けた人材のすそ野を拡大することを目指し、理工系の魅力を神奈川県内の中学・高校生等に発信するイベントとして毎年開催されています。今回は、神奈川県内の16大学及び3企業が出展し、計2,178名が来場しました。

実演・体験ブースでコガネムシの説明をしている様子

実演・体験ブースでコガネムシの説明をしている様子

実演・体験ブース

「光と生物の不思議を体験しよう」と銘打ち、工作を通じて、自然の中で生き物がどうやって光を使っているかを体験してもらいました。参加者はまず、身近に見ることができるコガネムシが円偏光を利用していることなどから「偏光とは何か」を理解した上で、その仕組みを利用した偏光板万華鏡を製作しました。小さく切ったクリアファイルにセロハンテープを貼りつけ、それを偏光板をつけた2個の紙コップの間に挟み込むという簡単なつくりですが、セロハンテープの重なり方によってさまざまな色彩の作品が出来上がります。幅広い年代の来場者に工作を楽しんでもらい、また、万華鏡がきれいに見えると喜んでもらうことができました。完成した万華鏡はプレゼントとして来場者の良い記念品になりました。

本ブースでは、20分間の実演・体験と、10分の準備・入替えの繰り返しで計15回実施し、合計150名以上の方に参加してもらうことができました。

大学紹介コーナーでの応対
大学紹介コーナーでの応対

BCS顧問の生命理工学院 太田啓之教授とBCSメンバー
BCS顧問の生命理工学院 太田啓之教授とBCSメンバー

大学紹介コーナー

開催時間内であれば自由に立ち寄って直に現役学生から話が聞けるという形式で行い、合計20名ほどと話をしました。同コーナー内で現役学生が応対している大学は珍しく、その特徴を活かして、高校受験からAO入試、または進路といったさまざまな内容について、東工大生自身の体験談を交えながら応対しました。特に、受験期に大変だったこと、何を勉強したかに関心が集まっていました。実演・体験ブースで本学に興味を持ち本学の大学紹介コーナーに寄ってくれる方も多い中で、1時間近くにわたって熱心に質問する本学志望の受験生もいました。

当日は、実演・体験ブース、大学紹介コーナーとも盛況で、本イベントを通じて、理工系の魅力を若い人達に伝え、興味を持ってもらい、科学技術の発展に向けた実りの多いイベントとなりました。

バイオ クリエイティブ スタッフとは

東工大バイオ クリエイティブ スタッフ(BCS)は、2009年に生命理工学部(現・生命理工学院)の学生を中心に、バイオの面白さや奥深さを子供たちに伝えることを目的として創設された東工大の公認サークルです。高校生が小中学生向けにバイオに関する教材の製作・発表を行うコンテスト「高校生バイオコン」の運営を中心に、子供向けの実験教室の主催、各科学イベントへの出展などに携わっています。

お問い合わせ先

すずかけ台地区 事務部学務課教務グループ

E-mail : suz.kyo@jim.titech.ac.jp

Tel : 045-924-5933


植物はどのようにして眠るのか 植物が夜に光合成の酵素を眠らせるしくみを解明

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要点

  • 酸化還元制御は明・暗に応じて光合成をオン・オフするスイッチ機能
  • オフ側で働く分子機構を発見、夜間の糖代謝を抑える省エネなしくみを解明
  • 環境適応型作物の設計など応用研究への展開に期待

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の吉田啓亮助教と久堀徹教授らの研究チームは、植物が夜間に光合成に関わる酵素をオフにするしくみを解明した。朝になって植物が光合成を始める際には、タンパク質分子の酸化と還元の切り替え機構である“レドックス制御[用語1]”の働きで光合成の糖代謝を担う酵素群が還元され、光合成機能が活性化される。この“オン”側のスイッチのしくみは古くから知られていたが、夜になったらどのようにして“オフ”にするのかは明らかにされていなかった。吉田助教らは、光合成の酵素群を酸化する(スイッチオフにする)分子機構を明らかにした。この研究成果は、植物がどのようにして夜間に光合成の糖代謝を抑えてエネルギー浪費を防ぐのか、そのしくみの一端を解明したものであり、環境適応型作物のデザインなど今後の応用展開のための重要な指針となると期待される。

研究成果は、2018年8月13日発行の米国科学アカデミー紀要 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」電子版に掲載された。

研究の背景と経緯

植物の光合成は、地球規模で行われる壮大なエネルギー変換反応である。光合成は、私たちが呼吸するために必要な酸素を供給し、食糧となる炭水化物を生産している。植物の緑葉の細胞には、葉緑体と呼ばれる長径3~10 μmほどの細胞小器官があり、一連の光合成反応はこの細胞小器官内で行われている(図1)。さらに葉緑体の内部には、チラコイド膜とよばれる袋状に閉じた生体膜が積層している。チラコイド膜には、電子伝達反応を行うためのタンパク質分子装置が配置されている。電子伝達反応では、クロロフィルが捕集した光エネルギーを用いて水から電子を引き抜き、還元物質であるNADPHとエネルギー物質であるATPを合成する。また、この水の分解に伴って酸素が発生する。

シロイヌナズナの緑葉、表皮細胞(白バー:20 μm)と葉緑体模式図

図1. シロイヌナズナの緑葉、表皮細胞(白バー:20 μm)と葉緑体模式図

葉緑体のストロマというゲル状の区画では、大気中から取り込まれた二酸化炭素を用いて有機物が合成される。この反応は13種類の糖代謝の酵素が連携して働く複雑な反応経路で行われており、発見者の名前を取ってカルビン・ベンソン回路と呼ばれている。カルビン・ベンソン回路が働くためには、チラコイド膜での電子伝達反応で作られたNADPHとATPが使われる。しかし、カルビン・ベンソン回路の酵素反応はいずれも光エネルギーを直接必要とはしない。そのため、光合成の研究初期はこの回路全体が“暗反応”と呼ばれ、明反応と呼ばれた電子伝達反応とは区別されていた。ところがその後、カルビン・ベンソン回路の4つの酵素は電子伝達反応が働くと酵素活性が高くなることがわかり、暗反応という定義が実態と合わなくなってしまった。植物に光が当たっている時に電子伝達系からこれらの酵素にシグナルを伝達し、酵素活性のスイッチをオンにするのが酸化還元(レドックス)制御システムである。

レドックス制御システムは、特定の酵素タンパク質が持っているジスルフィド結合の形成・開裂(酸化・還元)を生体内の酸化還元状態に応じて制御することで、その酵素の活性を調節する分子機構だ。この制御機構で中心的な役割を果たしているのが、チオレドキシン[用語2]という酸化還元タンパク質である。還元状態のチオレドキシンは、標的となる酵素が持っているジスルフィド結合を還元して開裂させることで構造変化を引き起こし、その酵素を通常は不活性型から活性型、つまりスイッチオンの状態にする。葉緑体では、電子伝達反応で得られた電子の一部をチオレドキシンが受け取ることでレドックス制御システムが働いている(図2)。

図2. 光合成電子伝達系から酵素への電子の受け渡し経路

図2. 光合成電子伝達系から酵素への電子の受け渡し経路

PSII:光化学系II、Cyt b6f:シトクロムb6f複合体、PC:プラストシアニン、PSI:光化学系I、Fd :フェレドキシン、FNR:Fd-NADPレダクターゼ、FTR:Fd-チオレドキシンレダクターゼ、Trx :チオレドキシン

実際に植物体内で一日を通してどのようにレドックス制御システムが働いているのかを調べてみると、夜が明け光が強くなるのに応じて光合成に関わる複数の酵素が還元(スイッチオン)される(図3)。これが、上に述べた電子伝達反応から電子を受け取ったチオレドキシンの働きである。

図3. 緑葉内の酵素の酸化還元状態の日周変化

図3. 緑葉内の酵素の酸化還元状態の日周変化

ホウレンソウ緑葉の2つの酵素(ATP合成酵素とFBPホスファターゼ)の還元状態の変化をプロットしたもの。Konno, et al. (2013) Plant Cell Physiol. 53(4) : 626-634に掲載したデータより引用。

一方で、夕暮れになり光が弱くなると、今度はこれらの酵素が酸化(スイッチオフ)される。このとき、“何らかの酸化力”が働いていると思われるが、これに関わる分子の実態は長らく知られていなかった。2004年に国際光合成会議がモントリオールで開かれた際、レドックス討論会の座長を務めた久堀教授がこの問題を提起したときには、「チオレドキシンが酸化の過程も担っているのではないか」、「単純に酸素分子が直接酸化しているのだろう」などの議論があったが、誰も実証はできていなかった。

研究成果

チオレドキシンは、活性部位に-WCGPC-というアミノ酸配列を持っている。2000年に緑色植物シロイヌナズナの全ゲノムのDNA塩基配列が解読され、植物は(オーソドックスな)チオレドキシン以外にも、アミノ酸配列がチオレドキシンに類似したタンパク質を複数持っていることがわかった。これらのタンパク質は、チオレドキシンと同様に酸化還元タンパク質として働くと予想された。吉田助教らは、その中で―WCRKC―というチオレドキシン活性部位に似たアミノ酸配列を持つ機能がわかっていないタンパク質に着目した。海外で行われた先行研究では、このタンパク質は “thioredoxin-like2” と名付けられていたので、それにならってTrxL2と呼ぶことにした。

TrxL2の細胞内局在や生化学的な性質を調べたところ、葉緑体のストロマに局在すること、還元力の伝達活性を持つこと、光合成の酵素群と相互作用することなどがわかった。これらは、既知の葉緑体のチオレドキシンの特徴と同じだ。ところがTrxL2は、葉緑体の酵素と物理的な相互作用はできるが、チオレドキシンのようにはそれらを還元することができなかった。

“酸化還元電位”は、還元力のやり取りのしやすさを定量的に評価するものさしである。そこで、吉田助教らはTrxL2の酸化還元電位を測定し、チオレドキシンと比較したところ、チオレドキシンよりも著しく高いことがわかった。この結果は、TrxL2は相手を還元するよりも、むしろ自身が還元されやすい(すなわち相手を酸化しやすい)ということを意味している。そこで、あらかじめ還元型にしておいた標的酵素と、酸化型のTrxL2を同じモル比で混合したところ、標的酵素は酸化され、それにつれてTrxL2は還元された。つまり、TrxL2は、チオレドキシンとは逆方向に還元力の受け渡しを行う酸化因子タンパク質なのだ。

しかし、TrxL2が葉緑体内に多く存在する光合成の酵素を酸化し続けるためには、一度受け取った還元力をさらに別の何かに渡す必要がある。吉田助教らは、その下流にある因子の同定にも成功した。TrxL2は、ほとんどのタンパク質に対して還元能を示さなかったが、例外的かつ極めて高い効率で2-システイン-ペルオキシレドキシン(2-Cys Prx)[用語3]を還元した。2-Cys Prxは、細胞にとって有害な活性酸素の消去に還元力を使う。すなわち、TrxL2は、最終的には活性酸素が持つ強い酸化力を利用して、持続的なタンパク質の酸化を行っているわけだ(図4)。

さらに、吉田助教らは、このようなタンパク質の酸化システムが実際に植物体内で働いていることを示すことにも成功した。2-Cys Prxを欠損したシロイヌナズナの変異株植物を用いて、明・暗に応答したタンパク質の還元・酸化の動態を野生株の植物と比較したところ、2-Cys Prxを欠いた植物では、明所から暗所に移されたときに光合成の酵素群の酸化が正常に進まず、同時にTrxL2に還元力が蓄積することがわかった。

図4. 新たに解明したTrxL2による酸化経路

図4. 新たに解明したTrxL2による酸化経路

今後の展望

夜間、植物は光合成を行うことができない。本研究で明らかになったしくみは、光合成の糖代謝に関わる酵素群を夜に眠らせて無駄なエネルギー消費を抑えるための戦略といえる。TrxL2を介したタンパク質酸化システムは、植物葉緑体の祖先であるシアノバクテリアには見当たらない。すなわち植物は、昼夜サイクルを繰り返す陸上環境に適応するために、巧妙な酵素のオン・オフの切り替えスイッチを進化の過程で獲得したと考えられる。

本研究の成果は、現代の植物科学の基礎学術研究に新たなブレイクスルーをもたらすだけでなく、植物あるいは光合成微生物を利用した物質生産など、将来の応用展開にも重要な情報を提供するものである。

なお、本研究の主要部分は、新学術領域研究「新光合成:光エネルギー変換システムの再最適化」(代表 皆川純基礎生物学研究所教授)の計画研究(代表:久堀徹教授、分担:吉田啓亮助教)の支援を受けて実施された。また、研究の一部は、日本学術振興会科学研究費補助金・若手研究(B)(代表:吉田啓亮助教)の支援を受けている。

用語説明

[用語1] レドックス制御 : 酸化還元状態に応じて、タンパク質分子の持っているジスルフィド結合の形成・開裂などを制御することにより、そのタンパク質の酵素活性を調節する分子機構。タンパク質の翻訳後修飾のひとつ。

[用語2] チオレドキシン(Trx) : レドックス制御に中心的な役割を果たす酸化還元タンパク質。すべての生物が普遍的に持っている。-WCGPC-(-Trp-Cys-Gly-Pro-Cys-)というよく保存された活性部位モチーフを持ち、この2つのCysのチオール基の酸化還元によって還元力伝達を行う。植物葉緑体にはf, m, x, y, z型という5つの分子種が存在する。TrxL2の活性部位モチーフは、―WCRKC―(Trp-Cys-Arg-Lys-Cys)である。

[用語3] 2-システイン-ペルオキシレドキシン(2-Cys Prx) : チオレドキシンなどから還元力を受け取り過酸化水素を還元するタンパク質。生体を活性酸素種から守る抗酸化ストレスタンパク質として重要な役割を担っている。

論文情報

掲載誌 :
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2018, in press
論文タイトル :
Thioredoxin-like2/2-Cys peroxiredoxin redox cascade supports oxidative thiol modulation in chloroplasts
著者 :
Keisuke Yoshida, Ayaka Hara, Kazunori Sugiura, Yuki Fukaya, and Toru Hisabori
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教

吉田 啓亮

E-mail : yoshida.k.ao@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5267 / Fax : 045-924-5268

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授

久堀 徹

E-mail : thisabor@res.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5234 / Fax : 045-924-5268

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

2018年度より開講「グローバルリーダーシップ実践」集中講義

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6月18日から6月29日まで大岡山キャンパスにて、本学の協定校であるジョージア工科大学より講師を招き「グローバルリーダーシップ実践-Global Leadership Practice」集中講義(90分×8回)が開講されました。本講義ではリーダーシップに関連した能力を育成するワークショップや事例研究、ディスカッション、自己分析等を通じて、グローバルな環境において自身の価値や目的を実現するためのリーダーシップに必要な要素について学ぶことを目的としています。

「グローバルリーダーシップ実践」は、修士課程の学生を対象とする国際意識醸成・広域教養科目として今年度より開講されました。グローバル理工人育成コース上級の選択必修科目にもなっています。

グローバル理工人育成コースouterでは、世界の様々な分野で活躍できる人材を育成するために2013年度に開設したコースです。現在1,751名(上級47名)がコースを履修しています。

受講生の出身国の内訳は、日本5名、オランダ1名、ブラジル1名、インドネシア2名、台湾2名、セネガル1名の計12名・6ヵ国でした。また、2名のティーチングアシスタント(TA)はネパールとインドネシア出身で、講師はアメリカ人2名、本学卒業生のゲストスピーカーはベトナム出身で、国際色豊かなクラスとなりました。

受講生の多様なバックグラウンドを活かし、グループディスカッションでは様々な国の異なる文化や社会的背景と密接に結びついたリーダーシップのスタイルについて、リアルな現状を知ることができました。

クラスのメンバー

クラスのメンバー

講義の様子

講義の様子

講義の様子

本講義は、ジョージア工科大学で実践されているリーダーシップの講義を基に、本学の担当教員とジョージア工科大学の教員とで打ち合わせを重ね、本学での実施が実現したものです。アメリカ型の授業では、入念な予習と復習を基に、授業では積極的に発言することが求められます。本講義も、講義開始以前から、リーダーシップに関する教科書を一冊読みこなし、その上で自身のリーダーシップやチームワークに関するブログを毎回アップロードするという多くの準備と課題が課されました。英語のみで行われる参加型授業でしたが、講師やクラスの作り出す雰囲気と、グループワーク・ディスカッションが主体の授業スタイルは、学生から笑顔と積極性を引き出しました。受講生たちは、講師の「この授業の中では正しいとか間違いとかはありません。何に対しても好奇心を持つ子供のように、思ったことは何でも発言してみてください。」という言葉に後押しされ、活発に意見を出し合うようになりました。また、英語で苦労している受講生には留学生が手助けをしたり、話をじっくり聞いたりと、英語そのものよりも発言内容を重視したやり取りが多く見受けられました。

講義はまず「Who Am I?(私は誰?)」というテーマで行い、自身の長所や価値観、適正能力等についての気づきを通じリーダーシップに必要な能力を養成する方法を主体的に学びました。

100枚のカードから大切だと思う価値観を3つ選ぶ
100枚のカードから大切だと思う価値観を3つ選ぶ

カードを選んだ理由を話し合う受講生
カードを選んだ理由を話し合う受講生

砂漠で風と光を遮る装置について話し合うグループ
砂漠で風と光を遮る装置について話し合うグループ

次に、チームワークについて学習しました。本セッションでは目標実現のためにはメンバーの長所や強みを生かし、協力して取り組むことが不可欠である、という前提のもと、異文化および分野横断的な環境の中でグループをまとめ、課題を解決・調整する能力を身につけるため取り組みました。与えられた各テーマについて、提供された材料全てを用い形にして表すことに挑戦し、共通のゴールを達成するために必要なリーダーシップを学びました。このアクティビティを通じ受講生たちは、チーム内でのリーダーシップとは、グループを牽引することだけでなく一歩引いてメンバーが発言できる環境をつくることも重要だと気づきました。

魚を効果的に捕獲する方法について調整するグループ
魚を効果的に捕獲する方法について調整するグループ

食料を共有するシステムについての提案
食料を共有するシステムについての提案

また、平等主義、階級主義という考え方を基礎とした異文化でのリーダーシップのスタイルについて、その国の歴史、文化、習慣も前提とした違いも学びました。受講生は多種多様なリーダーシップについて、自身の経験を共有しました。組織内での意思決定の方法は国によって大きく異なり、受講生はそれぞれのスタイルの特徴を学び、その中で起こりうる意識的・無意識的偏見への対処法などについて学びました。

ミン・グエン氏
ミン・グエン氏

異文化におけるチームビルディングのセッションでは、フェイスブックジャパンに勤務する本学卒業生のミン氏による講義を受けました。受講生はミン氏の実体験に基づく日本企業とグローバル企業の比較や、様々な環境の中で自分の能力を活かし目標を実現するための沢山のヒントを聞き、自身の将来の方向性を考える参考とすることができました。

最終日には3グループが、これまでの学習に基づき2名の異なるリーダーについての事例研究を行い、相違点やリーダーシップに必要な要素に基づく分析結果を発表しました。ここでも受講生の多様な国籍を活かし、世界各国の政治・経済・産業や人権運動など多様な分野でリーダーが社会変革をもたらす方法について共有しました。

学生は毎回刺激的な講義とアクティブラーニングを通して「自分の快適ゾーンから抜け出す」チャレンジを積み重ね、いろいろな課題を大きな成長につなげることができた2週間となりました。

グローバル理工人育成コースでは引き続き、ジョージア工科大学に約2週間訪問しリーダーシップについて学ぶ短期留学プログラムとして「ジョージア工科大学リーダーシッププログラム」も2019年3月に開催予定です。今後も世界の企業、大学、研究所、国際機関など、様々な分野で活躍できる科学者・エンジニア・技術者=「グローバル理工人」を育成するためのカリキュラムを企画・提供していきます。

お問い合わせ先

グローバル人材育成推進支援室

E-mail : ghrd.info@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3520

協奏的動きがもたらす多価イオン拡散の促進現象を発見 リチウムイオン蓄電池よりも性能の高い次世代蓄電池の開発促進に期待

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概要

東北大学金属材料研究所(金研)は、東京工業大学と共同で、一価イオンのLi+と多価イオンであるMg2+の相互作用により、通常は遅い正極中での多価イオン拡散(移動)が、顕著に促進される現象を初めて発見しました。これにより、多価イオンを用いる次世代蓄電池系の開発促進が期待されます。

図1. Li+とMg2+の協奏的動きによるMg2+の拡散障壁の低減

図1. Li+とMg2+の協奏的動きによるMg2+の拡散障壁の低減

蓄電池におけるイオン伝導のしくみを解明することは、新たなエネルギー材料の開発に欠かせません。Mg2+、Zn2+、Al3+などの多価イオンを電荷担体(キャリア)とする蓄電池系は、今日広く使われているリチウムイオン電池の性能を凌ぐ可能性のある次世代蓄電池として注目されています。しかし上述のように、これらの多価イオンは、正極物質中を移動する速度が遅く、電極反応が進みにくいため、現状では適切な電極材料の開発が遅れています。

本研究では、実験と理論計算の手法を併用し、Li-Mgデュアルイオン電池系におけるLi+とMg2+の拡散挙動を調査しました。すると、Mg2+の拡散がLi+との協奏的相互作用によって顕著に促進されることを発見しました。本成果は、未だ解明されていない多価イオン伝導機構に新たな知見をもたらし、多価イオンをキャリアとする蓄電池系の構築にむけて斬新なアプローチを提案します。

本研究は、金属材料研究所の李弘毅(博士後期課程3年、JSPS特別研究員)、岡本範彦准教授、市坪哲教授、東京工業大学 元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授、同大 科学技術創成研究院の大場史康教授らの研究グループによって行われました。

本成果はAdvanced Energy Materials誌に8月10日(日本時間)に掲載されました。

研究背景

高性能な蓄電池は、スマートフォンや電気自動車など我々に身近なデバイスの性能向上に欠かせません。そして次世代の電力網であるスマートグリッドシステムの構築においても必要不可欠です。現在、蓄電池の主役を担うリチウムイオン電池は、1990年代に発売されて以降、改良が重ねられているものの、その性能は理論的な限界まで近づきつつあり、これ以上大きな性能の向上は見込めません。そのため、リチウムイオン電池を凌駕する次世代蓄電池の実現には、新たな基礎学理のもと、今までにない蓄電池の設計指針を確立していく必要があります。

リチウムイオン電池のように、インターカレーション反応[用語1]を利用する蓄電池は、電荷を運ぶキャリア(イオンなど)が充放電によって正極・負極間を行き来することで繰り返し使用できる電池です。一般的に、正極にはキャリアを格納できる酸化物(これをフレームと呼びます)が、負極には黒鉛などの層状構造物質が使用されます。充電時には、正極に格納されたキャリアが放出され、負極内部に挿入され、放電時には、負極に挿入されたキャリア金属が再びイオン化して電子を放出し、電解液を通じてキャリアとして正極へと流れ、そこで電子を受け取ることで電流が外部回路に発生します。Li+をキャリアとするリチウムイオン蓄電池系は、充電時に起こるLi金属のデンドライト成長[用語2]が発火事故の原因にもなり大きな問題となっています。ゆえに、現在実用化されているリチウムイオン電池では、インターカレーション機構によりデンドライト成長を起こしにくい炭素系材料が負極に使われていますが、炭素系負極材料の重量・体積が無視できないほど大きく、そのためエネルギー密度が低くなり、性能が十分に発揮できません。

一方、一価のLi+と異なり、Mg2+、Zn2+、Al3+などの多価イオンはデンドライト成長しにくい傾向があり、安全に金属負極を使用できるため、Mg蓄電池をはじめとする多価イオン蓄電池の研究が近年注目されています。しかし、多価イオンは、一価イオンと比べると正極フレームの中を移動するのに非常に大きなエネルギーのバリアを乗り越える必要があり、拡散が困難です。フレームの安定性も低く、電極として寿命が短いという欠点があります。このように、一価イオンとは全く異なる性質を持つ多価イオンを蓄電池に用いるためには、従来とは全く異なるアプローチで研究に挑む必要があります。

図2. Li-Mgデュアルイオン電池の模式図

図2. Li-Mgデュアルイオン電池の模式図

充電:Li+とMg2+が正極から放出され、負極に析出する。放電:Li+とMg2+が負極から溶解し、正極に収容される。

そこで本研究グループは、それぞれ性質が異なる一価イオンと二価イオンを同時に利用するデュアルイオンをキャリアとする蓄電池の概念を世界に先駆けて提案し、世界の蓄電池分野で新たな潮流を作ってきました。Li+とMg2+を用いたLi-Mgデュアルイオン電池(図2)は高エネルギー密度蓄電池に適した構造を有し、充放電過程において、Li+とMg2+の両方を正極および負極にて電気化学反応させます。

これまでの研究では、Li+とMg2+を同時に電極へ析出させること(電析)によって、Liの危険なデンドライト成長が抑制され、平滑な電析形態が得られることを明らかにしました。これによって、炭素などの負極材料を利用せず、高容量の金属負極を使用できる可能性を示してきました。さらに、Mo6S8やMgCo2O4などの正極材料を用いて、インターカレーション反応におけるLi+とMg2+の挿入・脱離挙動を調査した結果、多価イオンであるMg2+が予想以上に速く移動することを実験的に見出しました。これが本研究を始めた動機です。

成果の内容

図3. Mo6S8の定電流放電曲線
図3. Mo6S8の定電流放電曲線

本研究では、正極でのLi+とMg2+の拡散挙動の調査において、正極材料の一つの例として硫化物であるシェブレル化合物Mo6S8を用いました。電位走査、定電流充放電実験や組成分析の結果(図3)から、放電の初期において、Li+が優先に挿入され、拡散の遅いMg2+はほとんど挿入されませんが、Mo6S8中に挿入されたLi+が一定量に達すると、Mg2+の挿入が促進され始め、理論容量まで放電したMo6S8電極にはほぼ同じ割合のLi+とMg2+が正極に挿入されることがわかりました。一般的に、正極中のイオン拡散の容易さは、イオンが占める拡散経路上のサイトとサイトの間の移動にかかる活性化エネルギー(拡散バリア)の大きさに依存します。そのため、Li-Mgデュアルイオン系におけるMg2+の挿入が促進される現象は、先に挿入されたLi+がMg2+の拡散バリアを低減させたことを示唆します。

図4. インターカレーション反応における固体内拡散過程

図4. インターカレーション反応における固体内拡散過程

Li+とMg2+の拡散挙動と活性化エネルギーを調査するため、実験から得られた知見に基づき、第一原理計算[用語3]を用いて、Mo6S8中の拡散過程を解析しました(図4)。その結果、後に続いて挿入されるMg2+は、先に挿入されたLi+と一定の距離(~4 Å)を保ちながら、ペアで拡散経路を移動することによって、Mg2+単体で拡散する場合と比べ、拡散バリアが大幅に低減されることが明らかになりました。さらなる調査の結果、このような“協奏的な動き”による拡散の促進はデュアルイオンの場合だけでなく、一種類のキャリアイオンの場合でも起こりうる一般的な現象であることがわかりました。しかし例えば、多価イオンのみの場合には、イオン挿入の初期段階においては拡散バリアが高いので、インターカレーション反応が電極表面に滞ってしまい、協奏的効果が発現されにくいのですが、拡散の速いLi+を先に導入することによって、協奏効果を引き出すことができ、多価イオンの拡散バリアを低減させ、インターカレーション反応を促進させることができます。

意義・課題・展望

正極などの固体中のイオン伝導はエネルギー材料分野において極めて重要なテーマであり、蓄電池をはじめとする様々なエネルギー貯蔵デバイスの基礎となっています。リチウムイオン電池などの一価イオンを使う蓄電池の物理化学機構は比較的よく知られていますが、多価イオンを使う蓄電池の基礎科学は緒に就いたばかりです。本研究で明らかにした、一価イオン(Li+)と多価イオン(Mg2+)の協奏的動きによる拡散の促進現象は、固体中のイオン伝導機構の基礎的理解を深めたことに加え、正極材料の開発に新たな指針を与え、多価イオンをキャリアに用いる蓄電池系の実用化に大きくアプローチできる大変意義のある成果です。また、本成果は蓄電池分野に限らず、燃料電池固体電解質やイオン伝導体などの分野への拡張も期待されます。

共同研究機関および助成

本成果における理論計算には、東北大学金属材料研究所のスーパーコンピュータを利用しました。また、本研究は、日本学術振興会科学研究費no. 26289280、特別研究員奨励費no. 18J11696の助成を受けました。

用語説明

[用語1] インターカレーション反応 : 電池の充放電反応において、キャリアイオンが電極材料に出入りする反応のことです。電極は体積変化が少なく、安定性が高いため、長寿命の蓄電池に適しています。

[用語2] Li金属のデンドライト成長 : 電析の際に、Li結晶が先端が尖った形状で成長することです。電極表面の電場の不均一性に起因すると考えられますが、詳しいメカニズムは未解明です。右の図に示したように、Li-Mgデュアルイオン系ではLiのデンドライト成長が顕著に抑制され、金属負極を使用することが可能となります。

Li金属のデンドライト成長

[用語3] 第一原理計算 : 実験データや経験パラメーターを使わない量子力学の基本原理に基づく計算方法です。現在は計算リソースなどの制限のため、様々な近似手法が利用されています。

論文情報

掲載誌 :
Advanced Energy Materials
論文タイトル :
Fast diffusion of multivalent ions facilitated by concerted interactions in dual-ion battery systems
著者 :
Hongyi Li, Norihiko L. Okamoto, Takuya Hatakeyama, Yu Kumagai, Fumiyasu Oba and Tetsu Ichitsubo
DOI :
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お問い合わせ先

【研究内容に関して】

東北大学 金属材料研究所
構造制御機能材料学研究部門 教授

市坪哲

E-mail : tichi@imr.tohoku.ac.jp
Tel : 022-215-2372

【報道に関して】

東北大学金属材料研究所 情報企画室広報班

冨松美沙

E-mail : pro-adm@imr.tohoku.ac.jp
Tel : 022-215-2144 / Fax : 022-215-2482

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

TBSテレビ「未来の起源」に河野研究室の学生が出演

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本学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 河野行雄研究室の李 恒さん(工学院 電気電子系 修士課程1年)が、TBS「未来の起源」に出演します。

「指先につけるだけで非破壊検査が出来るデバイス」の研究について紹介されます。

李 恒さんのコメント

李さん

この度、カーボンナノチューブフィルムに基づくフレキシブルでウェアラブルなテラヘルツ検査デバイスについて取材していただきました。

検査対象物の形状や測定場所の制約が大きかった従来のテラヘルツ非破壊検査技術に対して、フレキシビリティを活かした指先装着型デバイスにより、任意の形状・環境に適応可能な触診式非破壊検査を可能にしました。

河野先生や研究室のメンバーと共に、和気あいあいと撮影に臨むことができました。

今回の放送を通じて、皆さんにも本研究の魅力を感じて頂ければ幸いです。

番組情報

  • 番組名
    TBS「未来の起源」
  • 放送予定日
    2018年8月19日(日)23:54 - 24:00
  • (再放送)
    BS-TBS 2018年9月2日(日)20:54 - 21:00

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

研究動画「再生可能エネルギーを作る人工光合成」を公開

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植物の光合成のように、太陽の光をエネルギーに変換する「人工光合成」について、その仕組みや最新の研究成果を分かりやすくまとめた動画(5分間)を公開しました。

石油や石炭などのエネルギー資源の枯渇や、CO2排出などの地球温暖化問題の観点から、クリーンかつ再生可能エネルギーを手に入れることは喫緊の課題です。人工光合成は、光触媒を用いて水からエネルギー貯蔵が容易な水素を作り出すことが可能であり、しかも変換時にCO2を排出しません。

理学院 化学系の前田和彦准教授による研究成果の一つ、高い安定性をもち太陽光を効率的に吸収できる光触媒「複合アニオン化合物」の発見を含め、人工光合成についてご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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お問い合わせ先

東京工業大学 研究・産学連携本部

E-mail : ru.staff@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3188

オイル生産性が飛躍的に向上したスーパー藻類を作出 バイオ燃料生産における最大の壁を打破

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要点

  • 藻類のオイル生産性向上を阻害していた課題を解決
  • オイル生産と細胞増殖を両立しながらオイル生産性を飛躍的に向上
  • バイオ燃料生産の実用化への道を拓く

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の福田智大学院生(研究当時)、平澤英里大学院生(研究当時)、今村壮輔准教授らの研究グループは、藻類で“オイル生産”と“細胞増殖”を両立させることにより、オイル生産性を飛躍的(野生株と比べ56倍)に向上した藻類株の育種に成功した。藻類がオイルを合成・蓄積する条件は、藻類の増殖に適さず“オイル生産”と“細胞増殖”は相反するため、これまで藻類バイオ燃料生産実現の大きな障壁になっていた。

研究グループは、オイル生合成遺伝子の一つGPAT1の発現を強化させることで、「オイル生産」と「細胞増殖」が両立することを発見した。今回の発見は、藻類でのオイル生産性向上における最大の課題を根本的に解決したと言え、藻類によるバイオ燃料生産実用化へのブレークスルーになると期待される。

本成果は8月17日、英国の科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」オンライン版に掲載された。

研究成果

研究グループは、藻類オイル[用語1]が蓄積する条件における遺伝子の発現に注目。その中で、各種条件で共通して発現が上昇する二つのオイル生合成に関わる遺伝子GPAT1GPAT2を見出した。

その後、それぞれの遺伝子を単細胞紅藻シゾン[用語2](図1)細胞内で人為的に過剰発現させ、オイル蓄積量への変化を観察した。その結果、GPAT1過剰発現株では、オイルの高蓄積がオイル非蓄積条件(栄養充足条件)にも関わらず観察された(図2)。興味深いことに、GPAT1過剰発現株の増殖スピードは、親株と同じだった。すなわち、GPAT1過剰発現株は、“オイル高生産”と“細胞増殖”が両立する株であり(図3、右)、そのオイル生産性(単位時間・単位体積当たりのオイル蓄積量)は、最大で従来の56倍に増加していた(図4)。

単細胞紅藻シゾンの細胞と実験室における培養の様子

図1. 単細胞紅藻シゾンの細胞と実験室における培養の様子

GPAT1過剰発現によるオイル蓄積

図2. GPAT1過剰発現によるオイル蓄積


オイル(中性脂質)を特異的に認識する色素で染色した画像。緑色のドット状のシグナルが藻類内で蓄積したオイル。赤色は葉緑体の自家蛍光。

オイル生産と細胞増殖の関係

図3. オイル生産と細胞増殖の関係


オイルを生産させる現状の条件では、オイルは生産されるが、細胞の増殖は阻害される。一方、本研究で作出した藻類株では、オイル生産と細胞増殖が同時に引き起こされるため、オイル生産性の劇的な改善が達成された。

GPAT1過剰発現によるオイル生産性の飛躍的改善

図4. GPAT1過剰発現によるオイル生産性の飛躍的改善


GPAT1過剰発現株におけるオイル(中性脂質であるトリアシルグリセロール)の生産性を親株と比較した結果。

背景

国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)では、クリーンで持続可能なエネルギーの利用の拡大、地球温暖化への具体的なアクションを起こすことなどが盛り込まれている。微細藻類を用いたオイル生産は、SDGsを達成するための重要な技術と考えられている。しかし、微細藻類がオイルを生産する条件は、栄養が欠乏していなければならないなど、細胞の増殖には適さない。そのため“オイル生産”と“細胞増殖”を同時に実現することは、藻類を用いたオイル生産性の向上において解決すべき課題となっていた(図3、左)。

研究の経緯

研究グループは以前、藻類にオイルを作らせるスイッチタンパク質TORキナーゼ[用語3]を同定している(東工大ニュース)。TORキナーゼは、オイル生合成のON/OFFを決定付けるが、スイッチがONになった後、オイル合成が引き起こされるメカニズムは不明であった。そこで、研究グループは、TORタンパク質が作用する遺伝子を特定してその機能を強化することで、オイル生産能の向上を藻類に付与できるのではと考えた。

今後の展開

GPAT1遺伝子がコードするグリセロール3リン酸アシル基転移酵素[用語4]は、藻類のオイル生合成に必須であるため、他の藻類においてもオイル生産性を向上させるための優れた標的となると考えられる。また、GPAT1の過剰発現による“オイル生産”と“細胞増殖”の両立がなぜ引き起こされたのかを詳細に解明することで、さらなるオイル生産性の向上が期待される。

研究サポート

この研究は、科学研究費補助金、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業、長瀬科学技術振興財団研究助成金の支援を受けて実施した。

用語説明

[用語1] 藻類オイル : ここでは、藻類が生産するオイルの中でも、バイオ燃料の原料となる中性脂質であるトリアシルグリセロールを指す。トリアシルグリセロールをいかに効率よく生産できるかが、バイオ液体燃料生産実現における一つの大きな課題となっている。

[用語2] シゾン : 学名はCyanidioschyzon merolae(通称シゾン)。イタリアの温泉で見つかった単細胞性の紅藻(スサビノリ、テングサの仲間)。真核生物として初めて100%の核ゲノムが決定されるなど、モデル藻類、モデル光合成真核生物として用いられている。

[用語3] TORキナーゼ : 真核生物に広く保存されたタンパク質リン酸化酵素。アミノ酸やグルコースなどの栄養源により活性が制御されている。標的分子のリン酸化を通してタンパク質合成を調節し、細胞の成長(大きさ)を制御している。

[用語4] グリセロール3リン酸アシル基転移酵素 : 脂肪酸転移反応を触媒する酵素。脂質の新規合成の一番初めの反応を触媒する。

論文情報

掲載誌 :
Scientific Reports
論文タイトル :
Accelerated triacylglycerol production without growth inhibition by overexpression of a glycerol-3-phosphate acyltransferase in the unicellular red alga Cyanidioschyzon merolae
著者 :
Satoshi Fukuda, Eri Hirasawa, Tokiaki Takemura, Sota Takahashi, Kaumeel Chokshi, Imran Pancha, Kan Tanaka, Sousuke Imamura
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

准教授 今村壮輔

E-mail : simamura@res.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5859 / Fax : 045-924-5859

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

安定かつ高伝導度の単分子ワイヤーを開発 金属錯体の導入で実現、分子エレクトロニクスへ道

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要点

  • 不安定な炭素原子鎖「ポリイン」へ金属錯体を導入することで高性能化に成功
  • 金属錯体の配位子と呼ばれる部分が自己反応を防ぎ、安定化を達成
  • 単一分子の電気伝導度計測により高い伝導性を解明

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の田中裕也助教、加藤佑弥大学院生(当時)、穐田宗隆教授、元素戦略研究センターの多田朋史准教授、理学院 化学系の藤井慎太郎特任准教授、木口学教授らのグループは、炭素原子を連結した不安定分子「ポリイン(C≡C)n[用語1]」に金属錯体[用語2]をドーピング(導入)することにより、大気中で安定して高い伝導性を示す新たな単分子ワイヤー[用語3]の開発に成功した。

この成果は、新たに考案した有機金属錯体合成法と単分子電気伝導度計測ならびに理論計算に基づいて得られた。この研究成果により、分子で電子回路を構築する分子エレクトロニクスの大幅な進展が期待できる。

研究成果は2018年7月2日付けの米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」速報版に掲載され、また表紙(Supplementary Journal Cover)に採用された。

研究の背景

情報集積回路はスマートフォンに代表されるように現代社会に必要不可欠なツールである。一方、従来のシリコン半導体技術を踏襲した高性能化は年々開発コストが高くなっており、代替となる電子回路構築法が模索されている。

分子エレクトロニクスは分子を素子と見立て、様々な機能を有機合成的手法[用語4]により作り出すことが可能であり、高性能電子回路を構築することが期待されている。一方、有機物と電極間に生じる大きな抵抗に伴い、期待される機能が十分に発揮できないという課題があった。

研究成果

東工大の田中助教・穐田教授らは高い伝導度を有する分子素子の候補として、炭素原子を連結したポリインに着目した。ポリインは理論的に高い伝導性が予測されているものの、高い自己反応性により熱力学的に不安定であり、爆発性を示すことが知られていた。そのため、そのままでは伝導材料としての利用が困難であった。

そこで、同研究グループは高い伝導性かつ安定性を実現するために、金属錯体をポリインへ「ドーピング」する手法を考案した(図1)。金属錯体は配位子[用語5]と呼ばれる嵩高い(かさだかい:体積が大きい)部分を有しており、これが自己反応を防ぎ、安定性を高めることに成功した。

STMブレイクジャンクション法[用語6]を用いた単分子電気伝導度計測から、電極との接続部としてピリジン基[用語7]を用いた分子ワイヤーに比べて約100倍、チオエーテル基[用語8]を用いた分子ワイヤーに比べて約6倍高い性能を実現した(図2a)。距離と伝導度のプロットから、分子と電極間の接触抵抗が極めて小さいことが要因の一つであることが明らかとなった。

図1. (a)ポリイン分子ワイヤーと有機金属ポリイン分子ワイヤー (b)有機金属ポリインワイヤーのイメージ図

図1. (a)ポリイン分子ワイヤーと有機金属ポリイン分子ワイヤー (b)有機金属ポリインワイヤーのイメージ図

高い伝導性を示すメカニズムを調査するために、密度汎関数法・非平衡グリーン関数法[用語9]による解析を行った。その結果、伝導に寄与する分子軌道が電極近傍のエネルギー準位付近に存在していることが明らかとなった(図2b)。金属錯体のない有機ポリイン化合物では分子軌道と電極のエネルギー差が大きいことから、金属錯体の「ドーピング」が高い伝導度の鍵であることを明らかにした。

図2. (a)単分子電気伝導度計測結果と(b)理論計算による伝導軌道

図2. (a)単分子電気伝導度計測結果と(b)理論計算による伝導軌道

今後の展開

今回の研究から有機分子ワイヤーへ金属錯体を導入することで、高い伝導度が実現できることを実証した。一方で、分子長が長くなるにつれて伝導度が減衰する減衰定数は有機ポリインワイヤーと同等であることが課題として残った。今後は数ナノメートル長においても高い伝導性を保つ分子ワイヤーの開発が目標となる。

この研究は科学研究費助成事業 (基盤研究(C))・村田学術振興財団・新学術領域計画研究「π造形科学」の支援を受けて実施した。

用語説明

[用語1] ポリイン : 単結合と三重結合が交互に現れる(-C≡C-)nの構造を持つ有機化合物。

[用語2] 金属錯体・有機金属錯体 : 金属錯体は金属と配位子(用語5を参照のこと)が結合した構造を持つ化合物。有機金属錯体は金属―炭素結合を持つ金属錯体のこと。2001年の野依良治氏、2010年の根岸英一氏と鈴木章氏らが受賞したノーベル化学賞の対象となった化合物群。

[用語3] 単分子ワイヤー : 単一分子で導電性を示す分子のこと

[用語4] 有機合成的手法 : 有機化合物を人工的に作る手法。一般的にフラスコを用いて反応を行い、その後に分離精製操作を行う。

[用語5] 配位子 : 錯体の中で、中心原子に配位しているイオンまたは分子などの総称。

[用語6] STMブレイクジャンクション法 : 走査型電子顕微鏡(STM)を用いて、金属探針をもう一方の電極と接触・引き離す過程を繰り返す。分子を含む溶液を浸しておくことで、金属-単一分子-金属構造を形成し単一分子の電気伝導度が計測できる。

[用語7] ピリジン基 : 複素環式化合物(炭素や水素原子のほかに酸素・硫黄・窒素原子などが入っている環状構造の化合物)のひとつ。ベンゼン環の炭素原子1個を窒素で置き換えた構造。

[用語8] チオエーテル基 : エーテルの酸素原子を硫黄原子で置換した構造をもつ化合物の総称。構造式はR-S-R(Rは炭化水素)。

[用語9] 密度汎関数法・非平衡グリーン関数法 : 金属-単一分子-金属構造における伝導度ならびに伝導軌道を計算する手法の一つ。

論文情報

掲載誌 :
Journal of the American Chemical Society
論文タイトル :
"Doping" of Polyyne with An Organometallic Fragment Leads to Highly Conductive Metallapolyyne Molecular Wire
著者 :
Yuya Tanaka, Yuya Kato, Tomofumi Tada, Shintaro Fujii, Manabu Kiguchi, Munetaka Akita
DOI :
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お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
化学生命科学研究所 助教

田中裕也

E-mail : ytanaka@res.titech.ac.jp
Tel / FAX : 045-924-5230

東京工業大学 科学技術創成研究院
化学生命科学研究所 教授

穐田宗隆

E-mail : makita@res.titech.ac.jp
Tel / FAX : 045-924-5230

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661


高感度な酸素センサータンパク質を開発 生体内の酸素状態を簡便にモニタリング

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要点

  • 蛍光タンパク質を利用した酸素センサーの開発に成功
  • 蛍光の消光を作動原理にして酸素濃度を明らかに
  • 非侵襲で簡便に生体内の酸素環境を確認

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の野亦次郎助教と久堀徹教授は、蛍光タンパク質をベースとした新規酸素センサータンパク質「ANA (anaerobic/aerobic sensing fluorescence protein)センサー」の開発に成功しました。

組織や細胞内の酸素濃度を調べるため、これまで世界中で様々な測定技術が開発されてきましたが、細胞を侵襲する、あるいは大掛かりな測定装置が必要といった問題があり、生体内の酸素ダイナミクスの解明は大きく遅れていました。本研究で開発したセンサータンパク質を利用すれば、タンパク質自身が発する蛍光を測定することで簡便で非侵襲的な酸素濃度のモニタリングが可能になります。この研究成果は、これまで、ほとんど調べられていなかった生体内の酸素の動態の解明に貢献することが期待されます。また、このセンサーの作動原理である“蛍光の消光”を他の天然のセンサータンパク質に応用することで、新たなセンサータンパク質プローブ開発にもつながることが期待されます。

この研究成果は、2018年8月7日付けで、英国科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。

背景

酸素は、呼吸など生物が地球上で生きる上で根幹となる代謝に必要不可欠な分子です。したがって、生体内部の酸素濃度や酸素の動態は、生命現象を理解する上で欠かせない重要な情報と言えます。これまで、組織や細胞内の酸素濃度を調べるため、様々な測定手法、分子ツールが開発されてきましたが、細胞を侵襲する、あるいは大掛かりな測定装置が必要になるなど様々な問題点があり、生体内部の酸素動態の測定を実現した例はほとんどありませんでした。

研究成果

野亦助教らは、細菌が持っている天然の酸素センサータンパク質(DosP; Direct oxygen sensor protein)に着目しました。DosPは血液中で酸素を輸送するタンパク質であるヘモグロビンと同じくヘムを含むタンパク質で、環境中の酸素濃度にあわせて酸素分子を結合・解離する性質を持っています。このDosPのヘム結合領域(DosH)と蛍光タンパク質を、最適な形状のポリペプチドリンカー[用語1]を使って結合させて融合タンパク質にすることで、酸素分子を結合したときにDosHが起こす吸収変化を蛍光タンパク質の蛍光の消光の度合いの変化に変換するという原理の新規の酸素センサータンパク質 (ANA: anaerobic/aerobic sensing fluorescence protein)を開発しました(図1)。

図1. 開発した酸素センサータンパク質プローブの構造モデル 蛍光の消光を作動原理とし、酸素存在下で強い蛍光を発する

図1. 開発した酸素センサータンパク質プローブの構造モデル 蛍光の消光を作動原理とし、酸素存在下で強い蛍光を発する

このセンサーは酸素分子を結合すると蛍光の消光が弱まるため、蛍光の強度を測定することにより、非侵襲的かつ簡便に酸素濃度をモニターすることが可能です(図2)。野亦助教らはANAセンサーを用いて、原核光合成生物のシアノバクテリアに光を当てたときに光合成によって発生する微量な酸素を検出することにも成功しました(図3)。このセンサータンパク質は、分光特性が似ている二つのタンパク質間で特異的に起こる蛍光の消光という現象を利用しており、タンパク質分子の構造変化そのものを利用する従来のFRET[用語2]型センサーとは異なる作動原理で機能します。

生物が実際に用いるセンサータンパク質には、シグナル分子の結合・解離による構造変化をほとんど伴わないものが多く存在します。このようなタンパク質の場合には、今回開発したセンサーのような蛍光の消光現象を応用することで、センサータンパク質プローブ開発の可能性を広げることが期待されます。

図2. ANAセンサーの酸素濃度に応じた蛍光強度変化

図2. ANAセンサーの酸素濃度に応じた蛍光強度変化

図3. ANAセンサーを利用したシアノバクテリアの光合成による酸素発生のモニタリング

図3. ANAセンサーを利用したシアノバクテリアの光合成による酸素発生のモニタリング

シアノバクテリア培養液中にANAセンサーを直接加え、蛍光強度変化を経時的に測定した。光照射15分頃からセンサーの発する蛍光強度が急上昇しており、シアノバクテリアが発生した酸素をセンサーが検出したことがわかる。

今後の展開

近年の研究により、生物の細胞内の酸素濃度は常に一定ではないことが明らかにされつつあります。例えば、ヒトの細胞ではがん化に伴い低酸素化が引き起こされることや、バクテリアの細胞内は積極的に低酸素状態にすることで酸素に弱いタンパク質を保護していることなどが報告されています。さらに、酸素はシグナル分子として働き、様々な代謝経路が酸素により制御されていることも明らかになってきました。

今後、ANAセンサーを利用して、低酸素化をはじめとする様々な生体内の現象と酸素の動態との関連性を解明することができれば、医学的応用にもつながる知見が得られ、広く生物学研究に貢献することが期待されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)「ハイパーシアノバクテリアの光合成を利用した含窒素化合物生産技術」(代表:久堀徹教授)、および、科学研究費補助金・基盤研究(C)(代表:野亦次郎助教)の支援を受けて行われました。

用語説明

[用語1] ポリペプチドリンカー : 複数のアミノ酸が数珠つなぎになったもので、2つのタンパク質分子をつなぐために用いられる。ポリペプチドリンカーを構成するアミノ酸の種類により、その形状や化学的性質は異なる。

[用語2] FRET : 蛍光共鳴エネルギー移動(またはフェルスター共鳴エネルギー移動)。近接した2つの(蛍光)色素分子の間でエネルギーが移動する現象。供与体分子が吸収した励起エネルギーが受容体分子へと移動し、受容体分子が蛍光を発する。

論文情報

掲載誌 :
Sci Rep. 2018 Aug 7;8(1):11849
論文タイトル :
Development of heme protein based oxygen sensing indicators
著者 :
Nomata J, Hisabori T
DOI :

お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
化学生命科学研究所 助教

野亦次郎

E-mail : nomata.j.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5267 / Fax : 045-924-5268

東京工業大学 科学技術創成研究院
化学生命科学研究所 教授

久堀徹

E-mail : thisabor@res.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5234 / Fax : 045-924-5268

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東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

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Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

ロボット技術研究会がNHK学生ロボコン2018でベスト8

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6月10日、東京工業大学ロボット技術研究会のチームMaquinista(以下、マキニスタ)が「NHK学生ロボコン2018~ABUアジア・太平洋ロボコン代表選考会~」でベスト8に入りました。試合の様子はNHK学生ロボコンのウェブサイトouterで公開されています。

キャリーイングロボット(手前左手)がシャトルコックを運搬

リングを狙うスローイングロボット

ロボット技術研究会(顧問:工学院 機械系 遠藤玄准教授)は、機械工作・電子工作・プログラミングなどのものつくり活動を行う東工大の公認サークルです。

「NHK学生ロボコン」は1991年より開催されている日本全国の大学が参加するロボットコンテストで、2002年からは「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(以下、ABUロボコン)」の日本代表選考大会という位置づけで開催されています。

競技内容は毎年異なり、2018年の競技テーマはABUロボコンの開催国であるベトナムの伝統行事ネムコンにヒントを得た「ネムコン “シャトルコック・スローイング”」です。シャトルコックと呼ばれる紐のついたボールをリングに向かって投げて得点を競います。各チームはスローイングロボット(シャトルコックを投げる自動ロボット)と、キャリーイングロボット(シャトルコックを運ぶ手動もしくは自動ロボット)の2台を用いて3分以内で対戦します。シャトルコックの受け渡しが成功すると1点、スローイングロボットが投球できるゾーンごとにリングを通過した際のポイントとして10点、または15点入ります。最後の投球はゴールデンシャトルコックを投げ、ゴールデンリングを通過し、さらにその先にあるゴールデンカップの上に着地したら「ロンバイ」として30点獲得でき、勝利が確定します。

ネムコン…五穀豊穣を願って高さ15メートルにあるリングを目がけて、米のもみ殻や綿を詰めて色とりどりの布で装飾されたシャトルコックを投げるベトナムの伝統競技です。

マキニスタお手製のシャトルコック

マキニスタお手製のシャトルコック

24校が参加したNHK学生ロボコンの予選リーグでは、東京農工大学との対戦にて試合開始24秒でロンバイを達成して勝利、続く岐阜大学との対戦では62対33で勝利し、予選6位で決勝トーナメントに進出しました。

準々決勝では予選3位通過の九州大学と対戦し、試合序盤は優位に立ったものの、マキニスタがゴールデンリングの1発目を外したその隙に九州大学が試合開始26秒でロンバイを決め、九州大学が勝利しました。マキニスタの決勝トーナメントでの得点は59点と、決勝トーナメントで敗退したチームの中では最多得点を獲得しました。

リングを狙うスローイングロボット

キャリーイングロボット(手前左手)がシャトルコックを運搬

コメント

  • マキニスタ代表 谷晃輔さん(工学部 機械宇宙学科 学士課程4年)

1年間の開発・練習の成果をベスト8という形で残せて良かったです。また今大会では私達のできる最高のパフォーマンスを会場で披露することもでき、嬉しく思っております。今回無事に大会を終えられたのも、日頃からご応援頂いている方々のおかげです。本当にありがとうございました。

結果自体は優勝を目標としていた私達にとっては不本意なものでしたが、チームの技術力とロボットの完成度は年々向上していると考えています。今回の経験を活かすとともにチームの技術に更に磨きをかけ、来年以降も優勝を目指して活動を続けていくつもりです。今後とも、ご応援の程よろしくお願いいたします。

  • ロボット技術研究会部長 山本竜也さん(工学院 機械系 学士課程3年)

ロボット技術研究会には様々な分野に関して研究活動を行う部員が多数在籍しており、マキニスタはロボット技術研究会に籍を置くチームの中でも人数・実績・技術開発において最大規模のチームの一つです。昨年度はNHK学生ロボコンで優勝したこともありロボット技術研究会としても多くの方からお声がけ及びご支援をいただきました。今年度も彼らの勇姿を間近で見ることができ、部長としても一部員としても大変良い刺激を貰えていると感じております。今年度はベスト8という結果に終わりましたが、来年以降もさらなる技術力の向上とロボコンへの情熱でNHK学生ロボコン、ABUアジア・太平洋ロボコンの優勝を狙ってもらいたいです。

マキニスタメンバー

マキニスタメンバー

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Tel : 03-5734-2975

おおた区民大学「東京工業大学提携講座」 開催報告 進化するAI(人工知能)と私たちの生活

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今年度も5月30日から7月4日の間、毎週水曜日の19:00より2時間弱、「東京工業大学提携講座」が開催されました。この講座は大岡山キャンパスで行われ、週に1回、多数の一般区民の方が東工大の講義室に集まるという貴重な交流の場にもなりました。

今年は、今多くの関心を集めている「進化するAI(人工知能)と私たちの生活」という主題で、6名の教員に専門とする研究分野の全体像、並びに社会との関わりを説明し、大変わかり易いと好評でした。

実際90名程入れる講義室に、各講座とも抽選によって選ばれた80~90名を超える方々が出席し、満員という状況でした。

各講演内容は以下の通りです。なお開講日程などのお知らせは、聴講希望者募集開始前に区報に掲載され、区民の皆さんに周知されています。

講演内容
学習支援者

ヒトを機械をつなぐ脳・神経インターフェース

八木透

工学院 機械系 准教授

AIは人を超えられるか?―源氏絵の解釈を巡って―

小長谷明彦

情報理工学院 情報工学系 教授

AIはどのように問題なのか?そもそも、それは問題なのか?

調麻佐志

リベラルアーツ研究教育院 社会・人間科学系 教授

人工知能は数学で動いている

渡邊澄夫

情報理工学院 数理・計算科学系 教授

情報を求める欲求の脳内神経機構

中村清彦

情報理工学院 情報工学系 教授

自動化された交通手段の共有による新しい公共輸送システムを考える

朝倉康夫

環境・社会理工学院 土木・環境工学系 教授

この、おおた区民大学「東京工業大学提携講座」は、20年前より大田区と本学が連携協力して開催していて、腰原伸也教授(理学院 化学系)が東工大側の窓口として学習コーディネーターをつとめています。

特徴としては、「自然科学交流会」という大田区社会教育関係団体が、区民自身の相談によって、地元大田区と連携しながらボランティアで、テーマの企画、立案、本学教員からの講師の選択、そして区が配布するチラシの準備などで協力し、運営している点です。

また毎回区側がアンケートを行っており、聴講者層やその要望の把握に努めています。退職後の新たなる知的活動を楽しむ方、実際に仕事帰りに寄る方が中心ですが、それに加えて、大学生、制服姿の高校生も今年はだいぶ増えており、極めて幅広い聴講者層となっています。

このため、講師の教員は熱気あふれる講義のみならず、幅広い年齢の聴講者へ向けた表現の仕方に大変な努力をした結果、区民の皆さんから非常に高い評価をいただいています。今後も、区民の皆さんと大田区、そして本学が協力し、有意義な学習の機会を作っていきます。

おおた区民大学の講義風景

おおた区民大学の講義風景

お問い合わせ先

理学院 化学系 腰原伸也(学習コーディネーター)

E-mail : skoshi@cms.titech.ac.jp

東京工業大学 グローバルリーダー教育院(AGL)「グローバルリーダー教育院シンポジウム 2018」の実施について

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科学技術や世界経済の発展にともない、グローバル化が進む我が国において、幅広い分野でグローバルに活躍できるリーダー人材が必要とされています。

東京工業大学グローバルリーダー教育院(以下、AGL)は、科学技術分野に強みを有する本学ならではの持ち味を活かし、全学を挙げて設置した国際的リーダー人材を養成する学位プログラムを有する教育院として平成23年4月に設置され、平成24年度には文部科学省「 博士課程教育リーディングプログラム」に採択されました。

AGLは修士・博士一貫教育システムを採用しており、連携先である一橋大学との文理共鳴をはじめ、産官学と綿密な連携を図りながら、さまざまな分野で国際的リーダーとして活躍する人材の育成を7年間行ってきました。本学及び一橋大学院より、累計126名を超える幅広い専攻の学生が所属し、所属生は学内外で多岐にわたり活躍の場を広げています。

AGLは本年、プログラム最終年度を迎え、この度、本教育院の成果報告を兼ねた公開シンポジウムを所属生が主体となり開催する運びとなりました。

本シンポジウムでは、ポスター発表と口頭発表、活動内容に関係する物品の展示を組み合わせてAGLおよびAGL所属生の活動を紹介しています。自由にブース内の展示物の観覧、発表への参加ができ、AGLについての活動内容と学生の学びについて知ることができます。なお、会場には発表者のほかにもAGL所属生が常駐しているため、積極的に意見交換できる機会となっています。

過去の活動内容の一部は以下のページからご覧いただけます。

山田道場Activity一覧|グローバルリーダー教育院outer

たくさんの方々のご参加をお待ちしております。

日時
2018年9月4日(火)13:00 - 17:00(入退場自由)
場所
申し込み
入退場自由ですが、当日までに申込フォームouterにご連絡ください。

グローバルリーダー教育院シンポジウム 2018 チラシ

お問い合わせ先

グローバルリーダー教育院シンポジウム2018 広報担当

E-mail : 2018aglsymposium@agl.titech.ac.jp

国立科学博物館「2018夏休みサイエンススクエア」出展報告 腸内細菌ってなんだ?

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東京・上野の国立科学博物館にて開催された「2018夏休みサイエンススクエア」に、8月11日~12日の2日間、東工大 生命理工学院 生命理工学系の山田拓司研究室JCHMが出展しました。

日本ヒト共生菌叢研究協会(Japanese Consortium for Human Microbiome、JCHM)は、日本人腸内環境の全容解明に関心を持つ関係機関・団体・企業との連携によるコンソーシアムです。本学生命理工学院 生命理工学系の山田拓司准教授が代表を務めています。

バクテロイゴの遊び方を説明する学生パートナー

バクテロイゴの遊び方を説明する学生パートナー

出展テーマは昨年に続き今夏も「腸内細菌ってなんだ?」です。ヒトの腸内には、1,000種100兆個体の細菌が共生していると言われています。近年、腸内細菌の解析技術が飛躍的に向上し、これらの細菌を網羅的に調査することが可能になったことで、さまざまな発見が相次いでいます。そうした目に見えない細菌の活動や仕組みを子どもにも分かりやすく学んでもらうことを目的として、生命理工学院の学生たちが腸内細菌ボードゲーム「バクテロイゴ」を開発しました。

国立科学博物館には夏休み中の子どもたちが多く来場しており、大変な賑わいを見せていました。

「腸内細菌ってなんだ?」には保護者を含め計約150人が参加しました。

参加した子どもたちが理解できるよう、東工大生サポーターが腸内細菌の存在と働きについて分かりやすく説明した後、子どもたちは東工大生サポーターと一緒にボードゲームを楽しみました。遊びながら腸内細菌の働きについて知る事が出来るのがこのゲームの特徴です。

会場となった国立科学博物館
会場となった国立科学博物館

腸内細菌の働きについて学習する参加者
腸内細菌の働きについて学習する参加者

「腸内細菌ってなんだ?」のイベントはこれまでも開催していますが、参加する子どもたちの反応は毎回異なり、学生にとっても学習と発見の機会となっています。今後も活動を続け、たくさんの方々にバイオサイエンスの面白さに触れていただくきっかけを作りたいと思います。

山田准教授と学生パートナー

山田准教授と学生パートナー

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東工大基金

このイベントは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

生命理工学院 山田研究室
Email : info@jchm.jp
Tel : 03-5734-3629

9月の学内イベント情報について

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9月に本学が開催する、一般の方が参加可能な公開講座、シンポジウムなどをご案内いたします。

グローバルリーダー教育院シンポジウム 2018

グローバルリーダー教育院シンポジウム 2018

グローバルリーダー教育院(以下、AGL)は、科学技術分野に強みを有する本学ならではの持ち味を活かし、全学を挙げて設置した国際的リーダー人材を養成する学位プログラムを有する教育院として平成23年4月に設置され、平成24年度には文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」に採択されました。修士・博士一貫教育システムを採用しており、連携先である一橋大学との文理共鳴をはじめ、産官学と綿密な連携を図りながら、さまざまな分野で国際的リーダーとして活躍する人材の育成を7年間行ってきました。本学及び一橋大学院より、累計126名を超える幅広い専攻の学生が所属し、所属生は学内外で多岐にわたり活躍の場を広げています。

本年、プログラムの最終年度を迎え、AGLの成果報告を兼ねた公開シンポジウムを開催します。シンポジウムでは、ポスター発表と口頭発表、活動内容に関係する物品の展示を組み合わせてAGLおよびAGL所属生の活動を紹介します。

日時
9月4日(火)13:00 - 17:00(入退場自由)
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

MOTオープンハウス「社会で使えるデザインとMOT」

MOTオープンハウス「社会で使えるデザインとMOT」

MOTオープンハウスは、本学MOTについて広く知っていただくために、半年ごとに開催しています。今回は、専門性やバックグラウンドの異なる教員、修了生、在学生による講演を行います。それぞれの立場、異なる専門性や体験から、本学MOTでの学びや意義、実務とのつながりなどについてお話します。

日時
9月15日(土) 13:30 -
会場
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

第4回国際原子力基礎教育TVセミナー

第4回国際原子力基礎教育TVセミナー

このTVセミナーは、大学生・高専生を主な対象として、遠隔TVシステムにより講義配信します。原子力関係以外の方でも、地球環境や原子力のことをわかりやすく学べます。

今回は「原子力・放射線の基礎と応用」をテーマに、京都大学拠点より全国19大学の拠点会場(開講拠点は変更になる場合があります)へ講義を配信します。

日時
9月26日(水)10:30 - 16:55
会場
全国のTV拠点校(東工大会場 : 大岡山キャンパス 大岡山北2号館6階会議室
拠点大学
茨城大学(水戸キャンパス、日立キャンパス)、大阪大学、岡山大学、金沢大学、九州大学、京都大学、湘南工科大学、東京工業大学、長岡技術科学大学、名古屋大学、八戸工業大学、 福井大学(文京キャンパス、敦賀キャンパス)、北海道大学、山梨大学、東京都市大学、早稲田大学、大阪産業大学(順不同)
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般
申込
必要

エコライフめぐろ推進協会「環境推進員養成講座」(第11期)

エコライフめぐろ推進協会「環境推進員養成講座」(第11期)

エコライフめぐろ推進協会「環境推進員養成講座」は、地域で積極的に環境保全活動を行うことのできる人材の育成を目的とした講座で、今年で11回目を迎えます。前年度に引き続き、本学の環境・社会理工学院 神田学教授も講師を務めます。

日時
9月29日(土)、10月20日(土)、11月10日(土)、12月1日(土)、2019年1月19日(土)、2月2日(土)
会場
目黒区エコプラザほか(目黒区駒場野公園、旧三河島汚水処分場、目黒川)
参加費
無料
対象
本学の学生・教職員、一般(目黒区内在住・在勤・在学の方)
※お問い合わせは目黒区エコプラザ(03-5721-2300)へ
申込
必要(定員:20名、応募者多数の場合は抽選、9月4日(火)必着)

一部締め切りを過ぎているものがございますが、取材をご希望の場合はご連絡ください。

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

「池上彰先生に『いい質問』をする会2」開催報告

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6月22日、東工大大岡山キャンパスにあるレクチャーシアターでリベラルアーツ研究教育院が主催する「池上彰先生に『いい質問』をする会2」が2時間にわたって開催されました。昨年12月に開催した会が好評だったことを受けて、再びリベラルアーツ研究教育院の池上彰特命教授と本学学生が対話する機会が設けられました。

「皆さんからの質問に『いい質問』『悪い質問』はありません。あるのは『いい答え』と『悪い答え』ですね」と池上特命教授は話し始めました。

米朝首脳会談の新聞記事を見せる池上特命教授

米朝首脳会談の新聞記事を見せる池上特命教授

第1部の「アジアと日本」をテーマとする池上特命教授のミニレクチャーは、史上初の米朝首脳会談を糸口とし、アジア各国における親日感情、反日感情の背景と現状を国別に対比するものでした。広範な内容がコンパクトに明確にまとめられ、講義何時間分にも相当する内容でした。

アジアの相互理解にために現代史をもっと学んでほしいと語る池上特命教授
アジアの相互理解にために現代史を
もっと学んでほしいと語る池上特命教授

第2部は学生からのさまざまな質問に、池上特命教授が縦横無尽に回答していきました。レクチャー内容を掘り下げて、北朝鮮の核開発、米国による体制保証、戦後保証金とアジア各国の対日感情、「建国神話」の必要性、拉致問題、基地問題から、オウム真理教事件、サイバーテロに至るまで、その内容は多岐にわたりました。

また、質問は東工大の教育改革にも及び、学士課程1年目の必修科目「東工大立志プロジェクト」を履修した学生から「池上先生の『志』は何でしたか?」という質問も飛び出しました。「こういうのを『いい質問』と言うんだね」と苦笑しながらも「私の志は、日本の民主主義を強化することです」と池上特命教授は答えました。自分の頭で考え、それぞれが意思表示し、自分たちの代表を作り出し、そして世の中を良くしていく、それが民主主義であるとし、それを育てていくことを目指していると続けます。

また、そのためには、各自にとっての判断材料となる知識が必要であり、自分は大学とマスコミの両方から、できるだけ活字の形でそれを提供していきたいとも語りました。

第3部の回答を引き継ぐ川名准教授(右)

第3部の回答を引き継ぐ川名准教授(右)

そして、第3部は池上特命教授に代わり、「国際関係論」を担当しているリベラルアーツ研究教育院の川名晋史准教授が学生からの質問に答えました。川名准教授は、同じ対象を見ても、ジャーナリズム(報道的立場)とアカデミズム(学問的立場)ではそこから発せられるものは自ずから異なるとし、自身の発言は学者の立場からであることを明言した上で、国際情勢について答えていきました。

そこからは、研究者としてのものの捉え方や考え方、そしてその姿勢を明示したいという意志が伝わってきました。そして、最後に川名准教授は多様な視点からの歴史認識の重要性を述べ、会の締めくくりとしました。

質問のために一斉に手を挙げる参加者たち

質問のために一斉に手を挙げる参加者たち

運営を手伝ってくれた学生サポーター(左からジグジット・ヘルレンさん、大関祥久さん、高橋晃大さん、小西優美さん)と、リベラルアーツ研究教育院の谷岡健彦教授

運営を手伝ってくれた学生サポーター(左からジグジット・ヘルレンさん、大関祥久さん、高橋晃大さん、小西優美さん)と、リベラルアーツ研究教育院の谷岡健彦教授

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お問い合わせ先

リベラルアーツ研究教育院 文系教養事務

E-mail : ilasym@ila.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7689


平成31年度 東京工業大学基金奨学金「大隅良典記念奨学金」の募集を開始

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東京工業大学は、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典栄誉教授からの多額の寄附を原資として、2017年1月に「大隅良典記念基金」を設置しました。本基金は、将来の日本を支える優秀な人材の育成、および長期的な視点が必要な基礎研究分野における若手研究者等の育成の推進など、研究分野の裾野の拡大を目的としています。

本基金は「学生に対する修学支援」「若手研究者に対する研究支援」「その他基礎研究を実施するための研究環境の整備」に活用します。「学生に対する修学支援」事業として、優れた人材が全国から東工大に集結し、将来のリーダーとして国際的に活躍できる人材を育成することを目的として当奨学金は設立されました。

大隅栄誉教授メッセージ

大隅栄誉教授

人生が豊かであるためには、沢山の人との出会い、素晴らしい先達・友人に恵まれ、刺激しあい、自分を磨くことが大切です。

君たちにとって新しく始まる大学入学はまたとない機会です。

高校生活とは違った新しい友人を作り、沢山の出会いを積極的に作るように努力して下さい。

いろいろな学生諸君が東工大に集まってくれることを心から願っています。

本奨学金の平成31年度募集を開始しました。概要については以下をご覧ください。

奨学金の目的

学業優秀な者に対し経済的援助を行うことにより、将来リーダーとして国際的に活躍できる人材の養成に資することを目的とする。

奨学生の応募資格

1.
募集時点で高等学校等に在学し、2019年4月に学士課程への入学を希望する者
2.
学業成績が特に優秀で、経済的支援が必要であり、かつ学業の発展向上が期待できる者
3.
高等学校等の対象所在地域が埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県を除く地域にあり、東工大入学後、自宅からの通学が困難な者
4.
本人が属する世帯の税込年収の合計が、給与所得の場合は支払金額が800万円未満の者、給与所得外の場合は所得金額が337万円未満の者
5.
日本国籍である者、および永住者などの在留資格を持つ者
大隅栄誉教授が本基金設立に関する記者会見にて、「私の経験からも、大学に入学した時に全国からいろいろな人が集まってきて、全く新しい環境の中で大学生活を始められるというのは人生の中で数少ない大事な機会だと思います。この支援を通じて全国からいろいろな人が東工大に集まってくれることになることを私は願っております。」と述べています。大隅栄誉教授の意思を受け、高等学校等の所在地域の制限を設けました。

奨学生採用予定人数

5名程度

奨学金の額

月額5万円

給付期間

奨学金を授与する期間は、原則として学士課程の標準修業年限(4年)以内とする。ただし、学士課程卒業後に引き続き本学修士課程に入学し、資格を満たす場合は、申請に基づき、修士課程の標準修業年限(2年)以内で支給を継続する。

スケジュール(予定)

2018年9月
奨学金募集開始
2018年10月末
高等学校等より推薦〆切
2018年11月
選考
2018年12月
内定通知
2018年12月~2019年3月
入学願書出願・受験・合格発表・入学手続き
2019年4月
正式に奨学生として採用

募集に関する詳細情報

詳細は大隅良典記念奨学金(高等学校在籍の予約奨学金)outerページにて募集要項をご確認ください。

2030年に世界トップ10に入るリサーチユニバーシティを目指している東工大のさらなる飛躍に向けて、「大隅良典記念基金」の趣旨をご理解いただき、引き続き、ご支援ご協力を賜りますようお願いします。

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お問い合わせ先

学務部 学生支援課 経済支援グループ

E-mail : gak.kei@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3014

第4回ホームビジットプログラム開催報告

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6月中の週末に留学生の日本文化体験および東工大生との学生交流を目的としたホームビジット(家庭訪問)が行われました。このプログラムは、本学協定校などからサマープログラムとウインタープログラムに参加する学生を対象としており、今回で4回目の開催です。

参加した本学学生からのメッセージをご紹介します。

ホームビジット受け入れ家庭、東工大生からのメッセージ

東工大生の家庭でのホームビジット

参加学生:ハーバード大学 チャン・ダニエルさん

本学学生:清原明加さん(第4類 学士課程1年)

食事を楽しむダニエルさん(左)と清原さん(右)
食事を楽しむダニエルさん(左)と清原さん(右)

とても楽しかったです。ホームビジットは初めてのことだったので、うまく英語でコミュニケーションがとれるかなど、正直心配なところもありました。でも、ダニエルがすごく話を聞くのが上手で、うまく汲み取って聞いてくれたので、話が予想以上に盛り上がりました。いろいろな話をして、暮らしの違いなどに触れることができて、とても良い経験になったと思います。特におもしろかったのは、やはり大学の違いです。むこうは外国語の講義で扱う言語がとても多かったりと、多様性の国(米国)ならではの制度のようなものがあり、結構違う部分が多いのだなと感じました。話を聞く中で、実際に一度は行ってみたいという気持ちが強くなり、本当にこのホームビジットプログラムに参加してみてよかったなと思います。少し緊張しましたが、とても有意義なものになったと思うので、また機会があればやってみたいです。どうもありがとうございました。サンキュー、ダニエル!

本学職員の家庭でのホームビジット

参加学生:カーネギーメロン大学 グッドマン・エイドリアナさん、デルフト工科大学 ソバー・ロハンさん

本学学生:小林直樹さん(環境・社会理工学院 技術経営専門職学位課程 専門職学位課程2年)、伊藤由実子さん(物質理工学院 応用化学系 修士課程1年)

伊藤さんのコメント

エイドリアナさん、ロハンさん、小林さんとともに、ホームビジットに参加しました。訪問先では、留学生だけでなく私たち日本人学生もあたたかく迎え入れていただき、職員の方とそのご家族の皆様に大変感謝しています。皆で食卓を囲んで日本の文化や海外の生活など沢山の話をし、とても楽しい時間を過ごすことができました。特に、留学生が料理や作法に興味を持って、多くの質問をしてくれたことが印象的でした。また、おにぎりを作ったりカルタをしたりと、留学生と一緒に日本の家庭ならではの経験をできたことも新鮮でした。

ホームビジットでは、観光地や食事に行くのとは異なり、よりくつろいだ雰囲気で交流できたため、日本人学生にとっても非常に良いプログラムだと感じました。また、料理など外では体験できない日本文化を紹介できることも魅力だと感じました。今後機会があれば、私の家にも留学生を招きたいと思います。

おにぎり作りを楽しむ学生達
おにぎり作りを楽しむ学生達

左から伊藤さん、エイドリアナさん、ロハンさん、小林さん
左から伊藤さん、エイドリアナさん、ロハンさん、小林さん

参加学生:スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH) リ・モンさん、モスクワ大学 グラノヴスキー・アレクサンダーさん

本学学生:片山善博さん(工学院 経営工学系 修士課程1年、2018年9月ETH派遣交換留学予定)

片山さんのコメント

茶道を楽しむ片山さん、モンさん、アレクサンダーさん(左から)
茶道を楽しむ片山さん、モンさん、アレクサンダーさん(左から)

普段体験できないような日本文化の体験ができて、貴重な時間を過ごせました。今回学んだ日本文化を、スイスに留学し他の留学生に日本文化を説明する際に用いようと思いました。留学生たちも普段体験できないような日本文化を体験できてよかったのではないかと思います。

普段なかなか留学生と交流する機会がないので、このような留学生と交流できる機会というのは貴重であり、海外留学を控えている人にとって下準備に十分になると思いました。

また是非機会があれば協力したいと思います。

参加学生:ライス大学 ジャクソン・ハンナさん、ウィーン工科大学 ブリーム・カリナさん、シンガポール国立大学 ジャン・シャンさん

本学学生:大貫絵莉子さん(環境・社会理工学院 建築学系 学士課程3年、第1回ホームビジット受け入れ学生)、市村知輝さん(環境・社会理工学院 建築学系 学士課程3年)、福田萌斐さん(情報理工学院 数理・計算科学系 学士課程3年)

市村さんのコメント

初めての参加でしたが、予想以上に楽しいホームビジットでした。同じ建築学系の留学生と話せたことはとても有意義であり、各国のカリキュラムの違いが判り興味深かったです。久しぶりに英語を話せたのはもちろん、もっと勉強しなければならないと痛感できました。なによりもたくさんのおいしいごはんと素敵な機会を用意していただいた職員の方には、心から感謝申し上げます。

福田さんのコメント

留学生と学生交流をする機会はこれまでも何度かありましたが、家で、という普段はない場で行うことで、留学生の満足度も交流の密度もとても高いものであったと実感しています。

私自身もシンガポール派遣に参加した際にホームビジットを体験しましたが、特別なことは何もなくても、一緒に家で過ごし色々な話をしながらご飯を共にするだけで、とても新鮮で楽しかったことを覚えています。何か留学生のために用意されたものを体験するよりも、現地の家庭の生活に溶け込んでみることが、むしろ貴重で良い思い出になるのではないかと思いました。

また、この機会を通じて、日本の生活に根付いている文化を客観的に観察することができ、日本人の私にとっても大変収穫の多いものとなりました。職員の方のご家庭にお招きいただき、このような有意義な経験をさせていただけて本当に良かったです。ありがとうございました。

皆で作って食べたお好み焼き
皆で作って食べたお好み焼き

公園でブランコを楽しむ学生達
公園でブランコを楽しむ学生達

本プログラムは、「スーパーグローバル大学創成支援事業(Top University Global Project)」による取組みの一環として開始しました。

「スーパーグローバル創成支援事業」は、2015年に文部科学省が開始したプログラムで、日本の高等教育の国際競争力の向上を目的に、海外の卓越した大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める、世界レベルの教育研究を行うトップ大学や国際化を牽引するグローバル大学に対し、制度改革と組み合わせて重点支援を行うことを目的としています。

東京工業大学は、これからも留学生と本学学生の交流の場を創出するため様々な活動を行っていく予定です。

お問い合わせ先

国立大学法人 東京工業大学 留学生交流課

E-mail : summer.program@jim.titech.ac.jpwinter.program@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3785 / 3786

サマープログラム2018を開催

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6月5日~8月9日の10週間、欧米を中心とする本学協定校等との連携による国際化の推進を目的として、サマープログラム(Tokyo Tech Summer Program 2018)を開催しました。2016年開始、3回目となる今年は、34名の学生が参加しました。

プログラム初日、受入研究室メンバーらと本館前にて記念撮影

プログラム初日、受入研究室メンバーらと本館前にて記念撮影

研究中心プログラム

受入研究室からのメッセージをご紹介します。

受入研究室からのメッセージ

北本研究室

  • 受入担当教員:物質理工学院材料系 北本 仁孝教授
  • 参加学生:ワシントン大学 ロ・ティファニーさん

(上) ロ・ティファニーさん(下)前列右端に北本教授、後列右から6人目がロ・ティファニーさん
(上) ロ・ティファニーさん(下)前列右端に北本教授、
後列右から6人目がロ・ティファニーさん

北本教授より

私たちは、磁性流体、磁性ゲルをバイオセンシングなどバイオ医療技術に応用するための研究をしています。研究室に来られたティファニーさんは、そのための材料となる磁性ナノ粒子や磁性ゲルの作製とその物性の評価を行いました。彼女にとって初めての研究室での活動はどれも新鮮であったようで、実験やディカッションを楽しんでいました。研究室には女子学生が半数いますが、工学系でこれほど多くの女子学生がいることに驚いていました。歓迎会として、研究室のメンバーと餃子を作って食べたりするなど、研究以外でも楽しく過ごせたと思います。セミナーでの発表会は緊張すると言っていましたが、大学院生にも負けない立派な発表をしていました。帰るときに、4年生になったら磁性ナノ粒子の研究をしたい、そして大学院でまた戻ってきたいと話してくれたのは、とてもうれしかったです。本学の誇るフェライトの磁力でまた惹き寄せたいと思います。研究室のメンバーにもいい刺激になった2か月でした。

伏信研究室

  • 受入担当教員:工学院機械系 伏信一慶准教授
  • 参加学生:ジョージア工科大学 ラジェ・アーモドさん

左から伏信准教授、ラジェ・アーモドさん、学生メンターの川崎 舜介さん
左から伏信准教授、ラジェ・アーモドさん、学生メンターの川崎 舜介さん

伏信准教授より

私たちの研究室は機械系の熱工学が専門で、固体高分子形燃料電池の研究にも取り組んでいます。昨年度の卒研生が非常に興味深い実験結果を得ていたのですが、その傾向を説明する理論モデルが未構築で、ちょうどそのタイミングでアーモド君から燃料電池の研究をやりたい、との志望があり、滞在期間にも鑑みて好適なテーマと考え、取り組んでもらいました。学士課程3年ですが、元々の学力、積極性に加え、所属大学で研究プロジェクトに加えてもらっていたこともあり、非常に飲み込みも早く、実験に取り組んだ学生との議論で当初想定していたモデルの問題点を指摘し、私を含めた3人で新たなモデルの考え方から随分議論をし、それに基づいて自身で文献を調べ、新たなモデル構築に必要な情報を整理してくれるに至りました。穏やかな好青年で、研究室の学生ともすぐになじんでおり、理想的な受け入れになったのではと感じています。

吉田研究室

  • 受入担当教員:物質理工学院材料系(科学技術創成研究院 先導原子力研究所) 吉田克己准教授
  • 参加学生:ウィスコンシン大学マディソン校 エモリ―・ジョシュアさん

右から吉田准教授、エモリ―・ジョシュアさん、研究室メンバー2名
右から吉田准教授、エモリ―・ジョシュアさん、研究室メンバー2名

吉田准教授より

私の研究室では原子力・核融合分野、エネルギー・環境分野、宇宙航空分野等への応用を目指し、1000度以上の高温、高熱勾配、腐食性雰囲気、放射線・粒子線照射などの苛酷環境下に耐える高性能なセラミック材料の開発を行っています。今回、サマープログラムの短期留学生として受け入れたジョシュア君には、代表的なエンジニアリングセラミックスであるアルミナについて、板状アルミナ粒子を用いた貝殻構造を模倣した高次構造制御アルミナセラミックスの作製とその機械的特性をテーマとして研究に取り組んでもらいました。ジョシュア君は与えた研究テーマについて熱心に取り組み、10週間という短い期間にも関わらず多くの知見・結果を得ることができました。時間的な制約で得られた材料の結晶相の分析ができなかったことは残念でしたが、セラミックスプロセッシング及び微構造制御による機械的特性の向上について学ぶことができたかと思います。また、研究室ゼミにも積極的に参加し、研究室メンバーとコミュニケーションをとりながら研究を進めていて、ジョシュア君及び研究室メンバーにとって良い刺激になったと思います。ジョシュア君にとって本学での経験が有意義で価値のあるものになってくれれば良いと思います。

赤間研究室

  • 受入担当教員:リベラルアーツ研究教育院(教育担当 生命理工学院生命理工学系) 赤間 啓之准教授
  • 参加学生:カーネギーメロン大学 ユアン・イシンさん

最終日のポスター発表会場での赤間准教授(後列中央)、ユアン・イシンさん(後列左から2人目)と研究室メンバー
最終日のポスター発表会場での赤間准教授(後列中央)、
ユアン・イシンさん(後列左から2人目)と研究室メンバー

赤間准教授より

赤間研では機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いてヒトの脳の言語機能に関して研究しています。我々は単語間の遷移確率をもとに、連続的な音声言語刺激を人工的に作成し、fMRI装置の中の実験参加者に提示して、人工言語から単語を抽出するというタスクを設定しました。これは確率学習の神経基盤を探求するとともに、AIの未来を模索する上で重要であると考えています。

ユアン・イシンさんは、カーネギーメロン大学ではエピゲノムの研究をしていますが、同時に脳画像解析にも強い関心を持ち、幅広い計算神経科学の知識とプログラミング能力を駆使し、赤間研の研究にすぐ溶け込みました。彼女が書いてくれたMATLABやRのスクリプトは、重要な資産となることでしょう。特筆すべきは彼女が英語、中国語、フランス語(私が英語に詰まった時にフランス語で会話しました)、そして日本語など多言語を操るポリグロットで、もともと音に関する鋭い感性を持っていることです。彼女は文の抑揚、単語のピッチパターンの確率学習という視点をもたらしてくれました。その背景には、彼女が日本の若者文化に関心を持ち、アニメソングに親しんできたということが挙げられるでしょう。そして、日本のサブカルチャーに関しては「鬼」である赤間研の日本人学生と、「秋葉原文化」を通じて親交を深めたようです。

必修授業および課外活動

研究室での研究活動のかたわら、参加者たちは必修授業と課外活動で、さまざまな日本文化を体験しました。

必修授業ジャパン・スタディーズでは、6月12日には茶道・浴衣着付け体験を行い、6月18日には首都圏外郭放水路(春日部市)を見学しました。

茶道着付け体験

茶道着付け体験

茶道着付け体験

首都圏外郭放水路

首都圏外郭放水路

7月4日には、希望者10名が国立国会図書館(千代田区)を訪問し、その後、皇居周辺を散策しました。

国会図書館内地下書庫
国会図書館内地下書庫

皇居二重橋前
皇居二重橋前

また、7月11日には本学柔道部にて希望者6名が受け身の稽古をしました。

柔道体験

柔道体験

他にも、滞在中に実際に日本語で会話できるようになることを目指し、日本語初学者28名は「サバイバル ジャパニーズ」という日本語クラスで基礎を学びました。すでに日本語履修歴のある学生5名は、それぞれ中級・上級レベルの日本語クラスを受講しました。

プログラム最終日には、参加学生はポスター形式で研究成果の発表を行いました。

関口秀俊副学長(国際連携担当)とベストポスター賞を受賞したユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのシャオング・シェリーさん(受入研究室:理学院化学系 植草秀裕准教授)

関口秀俊副学長(国際連携担当)とベストポスター賞を受賞したユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの
シャオング・シェリーさん(受入研究室:理学院化学系 植草秀裕准教授)

修了証書授与後の記念撮影

修了証書授与後の記念撮影

本プログラムは、「スーパーグローバル大学創成支援事業(Top University Global Project)」による取組みとして2016年に開始しました。

「スーパーグローバル創成支援事業」は、2015年に文部科学省が開始したプログラムで、日本の高等教育の国際競争力の向上を目的に、海外の卓越した大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める、世界レベルの教育研究を行うトップ大学や国際化を牽引するグローバル大学に対し、制度改革と組み合わせて重点支援を行うことを目的としています。

お問い合わせ先

国立大学法人 東京工業大学 留学生交流課

E-mail : summer.program@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-3785 / 3786

科学教室「植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―」ほか 開催報告

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猛暑が続いた夏休み期間中の8月25日と26日の2日間、大岡山キャンパスにおいて科学教室を開催しました。今回の科学教室は、東工大基金による支援事業の一つ「理科教育振興支援」と東京工業大学博物館の後援を受け、濱口幸久名誉教授と濱口研究室の卒業生とともに実施しました。

植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―

25日の科学教室「植物の葉について学ぼう ―葉脈のしおりを作ろう―」においては、植物の葉の役割を学び葉脈の構造を観察するため、参加者が学内の植物から葉を採集しました。採集した葉を実験室に持ち帰って、葉脈を蛍光染色して観察したり、葉肉を取り除いて葉脈の標本を作製したりしました。参加者は最後に「しおり」にして持ち帰りました。

25日「植物の葉について学ぼう」の説明を聞く参加者

25日「植物の葉について学ぼう」の説明を聞く参加者

蛍光染色して葉脈を可視化した葉
蛍光染色して葉脈を可視化した葉

薬剤処理をして取り出した葉脈の標本
薬剤処理をして取り出した葉脈の標本

ウニについて学ぼう ―ウニランプを作ろう―

翌26日には「ウニについて学ぼう ―ウニランプを作ろう―」を実施しました。参加者はウニの構造を学び、海水中のウニやヒトデ、ウミホタルの行動を観察しました。その後、ウニの殻を利用しLEDライトを使って「ウニランプ」を作成し、各自持ち帰りました。

「ウニについて学ぼう」についての説明を聞く参加者

「ウニについて学ぼう」についての説明を聞く参加者

主に4年生が作成したウニランプ

主に4年生が作成したウニランプ

主に5、6年生が作成したウニランプ

主に5、6年生が作成したウニランプ

今回は小学4・5・6年生の親子を対象とした企画だったので、参加者は親子で共同作業をしながら夏の思い出作りを楽しみました。

東工大基金

このイベントは東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

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お問い合わせ先

生命理工学院基礎生物学教室

E-mail : 30jimu@kisoseibutsu.bio.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2700

東工大ボート部 長沙国際大学レガッタに出場

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東京工業大学端艇部(ボート部)が、7月26日から7月30日にかけて中国の長沙(湖南省の省都)に遠征し、「2018長沙国際大学レガッタ(2018 Changsha International famous Universities Rowing Regatta)」に出場しました。

2018長沙国際大学レガッタ(2018 Changsha International famous Universities Rowing Regatta)

本大会はケンブリッジ大学、イエール大学など世界9ヵ国から20の大学が参加したボートの大会です。日本から唯一参加した東工大ボート部は日本を代表するチームとなりました。

レースは7月28日、29日の2日間に分けて開催され、合計タイムが最も早いチームが優勝します。東工大は初日にアクシデントに見舞われ合計タイムではメダルに届きませんでしたが、2日目には強豪校として知られるイエール大学を破るなど、勢いある活躍を見せました。

レース中の様子(画面左のイエール大学を突き放す東工大ボート部)

レース中の様子(画面左のイエール大学を突き放す東工大ボート部)

(上段左から)大越さん(端艇部OB) 海上さん 藤井さん 服部さん 中島さん 長谷川さん 中森さん(下段右から)原さん 小川さん 井上さん 舩岡さん 島田さん

(上段左から)大越さん(端艇部OB) 海上さん 藤井さん 服部さん 中島さん 長谷川さん 中森さん
(下段右から)原さん 小川さん 井上さん 舩岡さん 島田さん

また、レースの他にも、長沙にある博物館や雅礼高校を訪問し文化交流をするなど、文化的にも充実した遠征になりました。

毛沢東の巨大な彫刻を眺める東工大ボート部

毛沢東の巨大な彫刻を眺める東工大ボート部

主将 舩岡知広さん(理学部 地球惑星科学科 学士課程4年)のコメント

研究室では、大地震の前兆としての地震活動の静穏化に関する研究に励んでいます。

試合については満足のいく結果は得られませんでしたが、海外選手の体格や漕ぎを隣で感じられたのは良い経験になりました。また観光やセレモニーではケンブリッジ大学、イエール大学など数々の世界的に有名な大学の学生と交流を深めることが出来て、とても充実した遠征になりました。

今回の遠征は昨年、国立1位を取ったことで得られたものです。来年以降も海外遠征を続けられるように、より高みを目指して、これからも強くあり続けます。応援よろしくお願いします!

今回の中国遠征は東工大ボート部にとって約20年ぶりの海外遠征となりました。これより一年間の集大成として、9月上旬に開催される全日本大学選手権という目標に向かい邁進していきます。

世界中から多くの大学が参加

世界中から多くの大学が参加

東工大基金

端艇部の活動は東工大基金によりサポートされています。

東工大への寄附 > 東京工業大学基金

お問い合わせ先

東京工業大学 端艇部

E-mail : titboat@green.ocn.ne.jp

Tel : 048-442-5581

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