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若手研究者が自由な発想で新たな課題に挑戦する「基礎研究機構」が発足

最先端研究領域を開拓し、世界の研究ハブとしての地位を継続的に維持・発展させるため、活力にあふれた若手研究者・技術者を育成する場として、今年7月に東京工業大学「基礎研究機構」が発足しました。

基礎研究機構は、本学が世界をリードする最先端研究分野で顕著な業績を有する傑出した研究者を塾長に据えた「専門基礎研究塾」と、本学のすべての若手研究者が塾生として3カ月間研さんを行う「広域基礎研究塾」から構成されています。

本学が指定国立大学法人の構想で示したアウトカムの一つ「新規・融合分野の研究領域の開拓」の「長期的な視点から、若手教員・研究者が自由な発想に基づく研究に集中できる環境を構築する」ことを具現化する研究組織として基礎研究機構が設立され、小山二三夫機構長のもと、科学技術創成研究院内に配置されました。あわせて、すずかけ台キャンパスS2棟2階(西側)にオープンラボが整備されました。

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基礎研究機構 イメージ図

基礎研究機構 イメージ図

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機構長 小山二三夫 教授

機構長 小山二三夫 教授(科学技術創成研究院 )

グローバルな競争下で日本が発展を続けていくためには、高度な専門知識と独創性を有する若手研究者・技術者が社会の様々な場面で活躍することが求められています。日本が継続的に発展していくためには、活力にあふれた若手研究者・技術者を養成し続けることが必要です。本機構の取り組みを通して、優秀な若手人材に、若いうちに自由な発想のもと、新たな課題に挑戦する機会を提供し、将来の新しい産業の芽となるイノベーション創出に繋がることを期待します。

専門基礎研究塾

細胞科学分野

細胞科学分野の将来を担う卓越した研究者を育成することを目指します。若手研究者が落ち着いた研究環境の中で自身の学術的興味から細胞科学の研究課題を見出し、仮説の立案と検証を存分に行うことの出来る研究の場を提供して基礎研究の発展を支えていきます。

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塾長 大隅良典 栄誉教授

塾長 大隅良典 栄誉教授(科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター長)

基礎研究機構は、研究力強化に対して本学が出した一つの答えです。そして専門基礎研究塾は未来を担う若手研究者の活躍を図るのが目的です。今回、細胞科学分野に、細胞制御工学研究センターから助教5名、特任助教6名、生命理工学院から助教2名の計13名の塾生が入塾しました。ファシリテータをはじめ、多くの方々が積極的に関与し協力して、若い人たちが伸びやかに研究できる環境を共につくっていくことを期待しています。

来年には、科学技術創成研究院 西森秀稔教授(量子コンピューティング研究ユニットリーダー)が塾長となる専門基礎研究塾が発足予定です。

広域基礎研究塾

若手研究者に、研究分野に関わらず自らの学術的興味に基づいて独創的・萌芽的な研究課題を見出し、社会的な期待や責任を自覚しつつ研究を推進することの重要性を肌で感じられる場を提供することにより、人材育成と研究大学としての本学の発展を支えていきます。

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塾長 大竹尚登 教授

塾長 大竹尚登 教授(科学技術創成研究院)

研究テーマを考える時間は、研究者として非常に重要です。広域基礎研究塾は、時には先達の知恵に接したり未来社会像を描いたりしながら、自分は研究者として何がしたいのか、どんな挑戦がその先に待っているのかを思索する時間を若手教員に提供します。さながら科学・技術のゆりかごのように、未来の科学・技術の息吹きが本機構から発せられることを期待しています。そして、10月15日に開催された大隅塾の入塾式に集った研究員、学生の皆さんを始め、多くの若手研究者に、来年から始動する広域基礎研究塾の将来の塾生として活躍していただきたいと思います。

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10月15日に開催された専門基礎研究塾 細胞科学分野 入塾式、セミナーの様子 (前列左から6人目から小山機構長、大隅塾長、大竹塾長)

10月15日に開催された専門基礎研究塾 細胞科学分野 入塾式、セミナーの様子
(前列左から6人目から小山機構長、大隅塾長、大竹塾長)

お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-2975


生命理工学院 第5回 生命理工オープンイノベーションハブ(LiHub)フォーラム ―バイオマトリックス:生命科学、材料工学から健康、医療、美容への架け橋― のご案内

国立大学法人東京工業大学生命理工学院は、生命科学と生命工学を広くカバーする国内最多の75研究室を擁する学術組織です。「生命理工オープンイノベーションハブ(LiHub)」は、各学術分野の最先端と社会・産業とを橋渡しする協創の場であり、社会還元を想定した分野テーマごとに、現在、複数の研究室が集結した11研究グループから構成されています。LiHubフォーラムは、LiHubの活動の一つとして、各研究グループが目指す産学連携のビジョンを企業の皆様と共有すると共に、 企業や社会の皆様からそのビジョンに対する率直なご意見をフィードバックして頂く協創のファーストステップと考えています。

第5回LiHiubフォーラムでは、細胞外マトリックスが関わる健康、医療、美容などの問題に最新技術を導入することでブレークスルーを目指す「バイオマトリックスイノベーショングループ(LiHub)」が中心となり、産学のバイオマトリックス先端研究に携 わる講師による医療、美容、生命科学の話題提供を通して、産官学のさらなる協力を促進する契機にしたいと考えています。

講演後は、ご参加の皆様とバイオマトリックスイノベーショングループを含む各LiHub研究グループの教員とが、自由に意見交換や研究相談などできる交流会を開催します。奮ってご参加ください。

開催概要

日時
2018年12月13日(木) 13:00 - 18:45(12:30受付開始)
会場
東京工業大学 蔵前会館Image may be NSFW.
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ロイアルブルーホール(大岡山駅前)
参加費

第一部、第二部:無料

交流会:2,000円

登録
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から事前登録をお願いします。

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第5回生命理工オープンイノベーションハブ(LiHub)フォーラム ポスター

関連情報

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お問い合わせ先

生命理工オープンイノベーションハブ事務局

E-mail : lihubforum@bio.titech.ac.jp

Tel : 045-924-5941

タンパク質分子の彫刻を創る タンパク質結晶から分子チューブを作り出すことに成功

要点

  • タンパク質結晶の中だけで作られる特異な分子集合構造を取り出すことに成功
  • タンパク質結晶内で選択的な化学反応を実現することによりナノ構造体合成を達成
  • 結晶から合成される様々なナノ構造体を用いたセンサーや触媒開発への応用に期待

概要

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の上野隆史教授らは、タンパク質結晶[用語1]に化学修飾を施すことによって結晶中のタンパク質の特異な集合構造を溶液中に溶かし出す手法を開発した。生体材料として有望なタンパク質集合体の煩雑な合成操作と安定保存の困難さを一挙に解決する技術として期待される。タンパク質集合体材料は多段階の酵素反応や薬物輸送の基盤分子として注目されているが、望みの構造を作り出すことが困難とされ、特定のタンパク質の利用に限定されていた。

具体的には、Rubisco(ルビスコ)[用語2]と呼ばれるリング状の酵素が結晶中で一列に並びチューブ構造を形成することに着目した。互いに隣り合うリング表面に存在する特定のアミノ酸同士を選択的に結合させることにより、結晶中のチューブ構造を保持したまま水溶液へ溶かし出すことに成功した。

溶かし出されたチューブ構造体でRubiscoの反応活性は保持されている。さらに、チューブ内部にRubiscoでは確認されない蛍光分子の集積を確認した。この手法は、10万件以上のタンパク質の構造が蓄積されているデータベース[用語3]を用いると、様々なタンパク質結晶にも適応可能であり、結晶内に構築されるカゴ、シート構造のほか、あらゆるタイプの構造体作成によるドラックデリバリーやワクチン開発への可能性も拓ける。

研究成果は文部科学省新学術領域「発動分子科学」と科学研究費助成事業の支援によるもので、総合化学分野において最も権威のある学術誌の一つである「Chemical Science(ケミカルサイエンス、化学誌)」オンライン版で10月30日に公開された。

研究成果

上野教授らはRubiscoが結晶化の際にチューブ構造を形成することに着目。互いに隣り合うリング表面に存在するアミノ酸同士をシステイン[用語4]に置換し、選択的にジスルフィド結合[用語5]を形成させることによって、結晶中のチューブ構造を保持したまま水溶液へ溶かし出すことに成功した(図1)。

溶かし出されたチューブ構造体ではRubiscoの反応活性は保持されていた。さらに、チューブ内部には蛍光分子が集積することも確認した。

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タンパク質結晶からのチューブ構造の切り出しの反応概念図

図1. タンパク質結晶からのチューブ構造の切り出しの反応概念図

研究の背景

自然界では複数のタンパク質が集合した構造体が形成され、様々な生体機能を担っている。その理由は、生命活動を維持するためには、一分子のタンパク質では達成が困難な、大量の分子の貯蔵や複数の反応が組み合わさった物質代謝や輸送が必要不可欠なためである。たとえば、生命ではウイルスに代表されるように、カゴ状構造や、チューブ状構造などがつくり出されている。

現在はバイオテクノロジーによって、すでに存在する構造体を機能化する研究も盛んに行われている。しかし、それらの構造を人工的に作り出すには難しい課題が残っている。その理由はタンパク質を溶液中で秩序立てて並べる方法が確立されていなかったことに原因がある。

研究の経緯

具体的には、Rubiscoと呼ばれるリング状の構造をもつ酵素が結晶化の際にその構造が一列に並んだチューブ構造を形成することに着目した(図2)。

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Rubiscoの12量体リング構造(a)とその結晶(b)、結晶内の分子の配列構造(c)

図2. Rubiscoの12量体リング構造(a)とその結晶(b)、結晶内の分子の配列構造(c)

上野教授らはRubiscoのリング構造が結晶中で互いに隣り合う部位に着目した。隣接するリング表面に存在する419番目のイソロイシン(Ile419)は結晶中では互いに6 Å(オングストローム、1 Åは10−10 m)しか離れてないことから、ジスルフィド結合を形成させチューブ構造を合成する目的で、システイン残基に置換した(図3a)。

しかしながら、ジスルフィド結合を形成させる目的で酸化剤である過酸化水素を添加したものの、チューブ構造は合成されなかった。この理由は、システイン側鎖の-CH-SHが結晶内でジスルフィド結合を形成しにくい位置に存在していると考え、架橋剤の存在下同様の反応を行った(図3b)。その結果、溶かし出されたタンパク質は、予想通りのチューブ構造を形成していることを透過型電子顕微鏡観察で確認した(図3c)。

溶かし出されたチューブ構造体ではRubiscoの反応活性は保持されていた。チューブ内部には蛍光分子が集積することも確認された。さらに、このチューブ構造ではRubiscoの活性が保持されていることと、Rubiscoだけでは集積されない蛍光分子の集積が確認された。従って、タンパク質を機能材料として用いる際の新しい合成手法として期待される。

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Rubisco結晶内の隣接残基の位置(a)、架橋剤存在下のジスルフィド形成反応(b)、結晶から溶かし出されたチューブ構造(c)

図3. Rubisco結晶内の隣接残基の位置(a)、架橋剤存在下のジスルフィド形成反応(b)、結晶から溶かし出されたチューブ構造(c)

今後の展開

今回報告したナノチューブ作成は、タンパク質結晶内で隣接するシステイン残基の分子間ジスルフィド結合を適切なサイズの架橋剤と過酸化水素の共存によって制御することによって達成した。現在では10万件以上のタンパク質結晶の構造がデータベース化されていることから、他のタンパク質結晶にも応用可能であり、結晶内に構築されるカゴ、シート構造の他、あらゆるタイプの構造体作成の有望な方法となる。

用語説明

[用語1] タンパク質結晶 : タンパク質が規則正しく並んで集合し結晶となったもの。高純度で精製することによって得られ、タンパク質の構造を決定するために利用される。

[用語2] Rubisco : Ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase type IIIの略称。一部の微生物が外部から取り込んだ二酸化炭素を有機化合物として生体内で留めておく反応で利用される酵素。

[用語3] タンパク質の構造が蓄積されているデータベース : プロテインデータバンク(PDB; Protein Data Bank)と呼ばれ、タンパク質と核酸の3次元構造の構造座標を10万件以上蓄積している国際的な公共のデータベースとして運営されている。

[用語4] システイン : アミノ酸の一種。側鎖に-CH2-SHの構造をもち、架橋結合の形成が容易なチオール基がある。

[用語5] ジスルフィド結合 : 2つの硫黄で形成される結合構造(R-S-S-R)の名称。R-SHの酸化反応によって容易に形成されることから、様々なタンパク質の化学修飾に使われる。

論文情報

掲載誌 :
Chemical Science
論文タイトル :
Construction of Supramolecular Nanotubes from Protein Crystals
著者 :
T. K. Nguyen, H. Negishi, S. Abe, and T. Ueno
DOI :
10.1039/C8SC04167A Image may be NSFW.
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お問い合わせ先

東京工業大学 生命理工学院
教授 上野隆史

E-mail : tueno@bio.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5844

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

顔のマッサージにより皮膚血流量が増加 長期のマッサージで血管拡張能が変容することを発見

要点

  • 5分間の頬マッサージで、頬の皮膚血流量が10分間以上にわたって増加
  • 5週間、毎日5分以上の頬マッサージで、血流増加反応が変容
  • マッサージを用いた皮膚血流や血管機能の改善手段の開発につながる成果

概要

東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院の林直亨(はやし・なおゆき)教授らの研究グループは、マッサージローラーで右頬を5分間マッサージすると10分間以上にわたって、右頬の皮膚血流量が約20%増加することを発見した。また、5週間にわたって毎日5分以上マッサージすると、その部位のマッサージ刺激に伴う血流増加反応が低下した。一方、温熱刺激に対する血管拡張反応が増加する傾向を示した。マッサージ刺激が血流を増加させ、マッサージを繰り返すことによって、顔の血流応答が変化することが示された。

この成果は、マッサージが皮膚血流の改善に効果的であることを示唆するものであり、マッサージを用いた皮膚血流や血管機能の改善の手段の開発に役立つものとして期待される。

本研究は10月26日(日本時間)に欧州の補完医療専門誌「Complementary Therapies in Medicine誌」に掲載された。

研究成果

短期研究:被験者12名(平均年齢22歳)に安静測定後、市販の美容マッサージローラーで右頬のみに5分間マッサージを行わせ、その後10分間の安静を保たせた。マッサージは各自好みの強さ、速さで行った。何も行わずに安静を5分間保つ対照試行を30分以上の間隔をあけて行った。マッサージ前とマッサージ後10分間にわたって、レーザースペックル法[用語1]を用いて顔の血流を計測した。

その結果、マッサージ後10分間にわたり、安静値よりも平均20%の血流増加が認められた。マッサージをしない左頬および対照試行では血流の変化は観察されなかった。

長期研究:被験者14名(平均年齢36歳)に5週間にわたって毎日5分以上右頬にマッサージを、各自好みの強さ速さで行わせた。期間前後に血流反応を評価するため、3分間のマッサージ刺激と、1分間の40 ℃の温熱刺激に対する血流の変化量を計測した。被験者は5週間の累計で39回、平均236 分のマッサージを行った。右頬では、マッサージ刺激に伴う血流増加反応がマッサージ期間前の16%から期間後の6%へ有意に低下した。一方、温熱刺激に対する血管拡張反応は7%から20%へ増加する傾向を示した。温熱刺激に対する血流増加反応には、対照群では効果がなく、マッサージ群のみで効果があったものの、統計的には十分な効果(交互作用)がなかったことから、可能性を示唆するにとどまった。

頬へ5分程度のマッサージ刺激が血流を増加させることが明らかになった。さらに、このマッサージを繰り返すことによって、マッサージ刺激に対しては血管反応に慣れが、温熱の刺激に対しては血管反応性の増加が起こる可能性が示唆された。

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5分間のマッサージ1分後の顔面血流の測定例。刺激前(左列)に比較して、対照試行では血流が変化していない一方、マッサージ試行(右下)では白枠で囲んだ右頬部分の血流が増加していることが分かる(血流が高くなるにつれ、青から緑、赤で表示されている)
図1.
5分間のマッサージ1分後の顔面血流の測定例。刺激前(左列)に比較して、対照試行では血流が変化していない一方、マッサージ試行(右下)では白枠で囲んだ右頬部分の血流が増加していることが分かる(血流が高くなるにつれ、青から緑、赤で表示されている)
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5週間のマッサージ(右頬)あるいは対照(左頬)の前後における、3分間のマッサージ刺激(右)および1分間の温熱刺激(40 ℃)に対する血流の増加率を示した。マッサージを行った右頬では、マッサージ刺激に対する血流増加が有意に低下し、温熱刺激に対する血流増加反応が増加する傾向があった。何もしていない左頬では増加率に変化はみられなかった。
図2.
5週間のマッサージ(右頬)あるいは対照(左頬)の前後における、3分間のマッサージ刺激(右)および1分間の温熱刺激(40 ℃)に対する血流の増加率を示した。マッサージを行った右頬では、マッサージ刺激に対する血流増加が有意に低下し、温熱刺激に対する血流増加反応が増加する傾向があった。何もしていない左頬では増加率に変化はみられなかった。
*:介入前に比べて有意差 #:対照側に比べて有意差

背景

美容マッサージローラーは多くの者が利用している。ところが、その効果について定量的な論拠はなかった。先行研究(Franklinら Arch. Phys. Med. Rehabil. 95 (2014) 1127–1134, 2014)では、運動後の手によるマッサージの効果が血管反応に影響すると報告されているが、安静時の比較的刺激の弱いマッサージの効果は予想できなかった。

機械的な刺激が血管壁に力を加えることで、血管内皮からは一酸化窒素が発生する(Paniaguaら Circulation. 103, 1752–1758, 2001)。一酸化窒素は血管を拡張させる。したがって、マッサージのような機械的な刺激によっても血管が拡張し、その結果、血流が増加することが予想された。

今後の展開

血流の増加は酸素や栄養素の補給、二酸化炭素や代謝産物の除去に効果的であることから、マッサージには何らかの好ましい効果があることが推察される。また、長期のマッサージによって血管機能が変化したことから、血流や血管反応の改善手段の開発に役立つものとして期待される。

用語説明

[用語1] レーザースペックル法 : 光の干渉により得られえる斑点模様の変化する速さが、測定対象の表面にある物体の移動速度と関連することを用いた非接触の血流測定法。

論文情報

掲載誌 :
Complementary Therapies in Medicine 41: 271-276, 2018.
論文タイトル :
Short- and long-term effects of using a facial massage roller on facial skin blood flow and vascular reactivity
著者 :
A Miyaji, K Sugimori, N Hayashi
DOI :
10.1016/j.ctim.2018.09.009 Image may be NSFW.
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お問い合わせ先

東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院

教授 林直亨

Email : naohayashi@ila.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3434 / Fax : 03-5734-3434

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

2018年度「東工大学生リーダーシップ賞」授与式挙行

2018年度の「東工大学生リーダーシップ賞」授与式が、10月24日に学長室で行われました。

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授与式後の記念撮影

授与式後の記念撮影

この賞は、本学学士課程の2年目から4年目の学生を対象とし、学生の国際的リーダーシップの育成を目的としています。知力、創造力、人間力、活力など、リーダーシップの素養に溢れる学生を表彰し、さらなる研鑽を奨励するために平成14年度から実施されています。

授与式では、益一哉学長から学生5人に賞状の授与と副賞の贈呈が行われました。授与式終了後は、学長、理事・副学長と受賞者で歓談しました。

2018年度「東工大学生リーダーシップ賞」受賞者

今回表彰された学生は以下の通りです。

所属・学年
氏名
主な受賞理由
工学部 高分子工学科 4年
速水 嵐
  • 東工大ScienceTechno(サイテク)代表としての活動
  • 工大祭2016でサークル最高責任者として出展し、3企画すべて受賞
  • サイエンスリンク2017優勝
工学部 機械宇宙学科 4年
谷 晃輔
  • NHK学生ロボコン2017において、機械班リーダー兼チームリーダーとして国内優勝、世界ベスト4
  • NHK学生ロボコン2018において、プロジェクトリーダー兼チームリーダーとして国内ベスト8
工学院 情報通信系 3年
大橋 滉也
  • デジタル創作同好会traP代表としての活動
  • 情報危機管理コンテストにおいてオペレーターとしてチームをまとめ、経済産業大臣賞(全国1位)受賞
工学院 経営工学系 3年
池上 遥香
  • TEDxTitech代表としての活動
  • TEDxTitech2018の開催
環境・社会理工学院 建築学系 3年
大貫 絵莉子
  • 海外派遣(グローバル理工人育成コース)、欧州個人研修での活動
  • 国際交流学生会SAGEのイベント「東京オリエンテーリング」プロジェクトリーダーとしての活動

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左から大貫絵莉子さん、池上遥香さん、大橋滉也さん、谷晃輔さん、速水嵐さん

左から大貫絵莉子さん、池上遥香さん、大橋滉也さん、谷晃輔さん、速水嵐さん

キャリー・ラム香港特別行政区行政長官が東工大を訪問

10月31日、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港特別行政区行政長官(以下、ラム行政長官)一行が東工大を訪問し、益一哉学長、渡辺治理事・副学長(研究担当)、関口秀俊副学長(国際連携担当)と懇談を行いました。同懇談には、駐香港日本国総領事館の松田邦紀総領事、本学同窓生の株式会社ぐるなび滝久雄代表取締役会長も同席しました。

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懇談の様子(益学長(左端)とラム行政長官(右))

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懇談の様子(益学長(左端)とラム行政長官(右))

懇談の様子(益学長(左端)とラム行政長官(右))

懇談は益学長の歓迎の挨拶で始まり、終始和やかに行われました。

はじめにラム行政長官が「香港政府は、イノベーションを推進し、最新技術をヘルスケアなど様々な分野に取り入れることで、現在、金融サービスやビジネス、観光分野によって支えられている香港経済の多様化を進めたい。そのためにも、日本と香港の科学技術やイノベーション分野における、大学・研究者・産業の連携を強化していきたい」と話しました。

その後、益学長は、2016年4月に東工大初の英語による学士課程プログラムとしてスタートした「融合理工学系国際人材育成プログラム(GSEP)」や「大学院の専門科目の英語化」など、留学生を受け入れるための本学の取り組みについて紹介し、香港の優秀な学生を歓迎すると述べました。また、滝会長より、自身の寄附によって本学に建設予定の留学生を中心とした学生の支援および交流拠点「Hisao & Hiroko Taki Plaza(ヒサオ アンド ヒロコ タキ プラザ)」について説明がありました。

懇談後、一行はスーパーコンピュータ「TSUBAME 3.0」について学術国際情報センター副センター長(先端研究担当)の青木尊之教授から説明を受けたのち、マシンルームの見学を行いました。

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青木教授(右端)からTSUBAME3.0について説明を受けるラム行政長官

青木教授(右端)からTSUBAME3.0について説明を受けるラム行政長官

最後に、益学長とラム行政長官は、香港と日本の連携強化のために今後も引き続き大学や企業との学生・研究者交流を促進することを確認し、笑顔で握手を交わしました。

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固く握手を交わす益学長とラム行政長官

固く握手を交わす益学長とラム行政長官

スーパーコンピュータ「京」がGraph500において8期連続で世界第1位を獲得 ビッグデータの処理で重要となるグラフ解析で最高レベルの評価

理化学研究所(理研)、九州大学、東京工業大学、バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター、富士通株式会社、株式会社フィックスターズによる国際共同研究グループは、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングであるGraph500において、スーパーコンピュータ「京(けい)」[用語1]による解析結果で、2018年6月に続き8期連続(通算9期)で第1位を獲得しました。

このたび、米国のダラスで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC18」で11月13日(日本時間11月14日)に発表されました。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、「京」は運用開始から6年以上が経過していますが、今回のランキング結果によって、現在でもビッグデータ解析に関して世界トップクラスの極めて高い能力を有することが実証されました。本成果の広範な普及のため、国際共同研究グループはプログラムのオープンソース化を行い、GitHubレポジトリより公開中です。今後は大規模高性能グラフ処理のグローバルスタンダードを確立していく予定です。

※ 研究支援

本研究の一部は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CREST「ポストペタスケール高性能計算に資するシステムソフトウェア技術の創出(研究総括:佐藤三久)」における研究課題「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤(研究代表者:藤澤克樹、拠点代表者:鈴村豊太郎)」および「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化(研究総括:喜連川優)」における研究課題「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術(研究代表者:松岡聡)」の一環として行われました。

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スーパーコンピュータ「京」

スーパーコンピュータ「京」

Graph500上位10位

このたび公開されたGraph500の上位10位は以下の通りです。

Graph500とは

近年活発に行われるようになってきた実社会における複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされています。例えば、インターネット上のソーシャルサービスなどでは、「誰が誰とつながっているか」といった関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われます。また、サイバーセキュリティや金融取引の安全性担保のような社会的課題に加えて、脳神経科学における神経機能の解析やタンパク質の相互作用分析などの科学分野においてもグラフ解析は用いられ、応用範囲が大きく広がっています。こうしたグラフ解析の性能を競うのが、2010年から開始されたスパコンランキング「Graph500」です。

規則的な行列演算である連立一次方程式を解く計算速度(LINPACK[用語2])でスーパーコンピュータを評価するTOP500[用語3] においては、「京」は2011年(6月、11月)に第1位、その後、2018年11月13日に公表された最新のランキングでは第18位です。一方、Graph500ではグラフの探索という複雑な計算を行う速度(1秒間にグラフのたどった枝の数(TEPS[用語4]))で評価されており、計算速度だけでなく、アルゴリズムやプログラムを含めた総合的な能力が求められます。

Graph500の測定に使われたのは、「京」が持つ88,128台のノード[用語5]の内の82,944台で、約1兆個の頂点を持ち16兆個の枝から成るプロブレムスケール[用語6]の大規模グラフに対する幅優先探索問題を0.45秒で解くことに成功しました。ベンチマークのスコアは38,621GTEPS(ギガテップス)です。Graph500第1位獲得は、「京」が科学技術計算でよく使われる規則的な行列演算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い能力を有していることを実証したものであり、幅広い分野のアプリケーションに対応できる「京」の汎用性の高さを示すものです。また、それと同時に、高いハードウェアの性能を最大限に活用できる研究チームの高度なソフトウェア技術を示すものと言えます。「京」は、国際共同研究グループによる「ポストペタスケールシステムにおける超大規模グラフ最適化基盤」および「EBD:次世代の年ヨッタバイト処理に向けたエクストリームビッグデータの基盤技術」の2つの研究プロジェクトによってアルゴリズムおよびプログラムの開発が行われ、2014年6月に17,977GTEPSの性能を達成し第1位、さらに「京」のシステム全体を効率良く利用可能にするアルゴリズムの改良を行い、2倍近く性能を向上させ、2015年7月に38,621GTEPSを達成し第1位でした。そして今回のランキングでもこの記録により、世界第1位を8期連続(通算9期)で獲得しました。

これまでの幅優先探索問題(BFS)[用語7]に加えて前回から最短路問題(SSSP)[用語8]に対する結果も公開されており、今後はさらに別の問題への適用も予定されています。

今後の展望

大規模グラフ解析においては、アルゴリズムおよびプログラムの開発・実装によって性能が飛躍的に向上する可能性を示しており、今後もさらなる性能向上を目指していきます。また、上記で述べた実社会の課題解決および科学分野の基盤技術へ貢献すべく、スーパーコンピュータ上でさまざまな大規模グラフ解析アルゴリズムおよびプログラムの研究開発を進めます。

用語説明

[用語1] スーパーコンピュータ「京(けい)」 : 文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。「京(けい)」は理研の登録商標で、10ペタ(10の16乗)を表す万進法の単位であるとともに、この漢字の本義が大きな門を表すことを踏まえ、「計算科学の新たな門」という期待も込められている。

[用語2] LINPACK : 米国のテネシー大学のJ. Dongarra博士によって開発された規則的な行列計算による連立一次方程式の解法プログラムで、TOP500リストを作成するために用いるベンチマーク・プログラム。ハードウェアのピーク性能に近い性能を出しやすく、その計算は単純だが、応用範囲が広い。

[用語3] TOP500 : TOP500は、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けし、評価するプロジェクト。1993年に発足し、スーパーコンピュータのリストを年2回発表している。

[用語4] TEPS : Graph500ベンチマークの実行速度を表すスコア。Graph500ベンチマークでは与えられたグラフの頂点とそれをつなぐ枝を処理する。Graph500におけるコンピュータの速度は1秒間あたりに調べ上げた枝の数として定義されている。TEPSはTraversed Edges Per Secondの略。

[用語5] ノード : スーパーコンピュータにおけるオペレーティングシステム(OS)が動作できる最小の計算資源の単位。「京」の場合は、一つのCPU(中央演算装置)、一つのICC(インターコネクトコントローラ)、および16GBのメモリから構成される。

[用語6] プロブレムスケール : Graph500ベンチマークが計算する問題の規模を表す数値。グラフの頂点数に関連した数値であり、プロブレムスケール40の場合は2の40乗(約1兆)の数の頂点から構成されるグラフを処理することを意味する。

[用語7] 幅優先探索問題(BFS) : 最短路問題と同じく、グラフ上で指定された二つの頂点間の距離が最小となる経路を求める問題。グラフの各枝の重みが等しい場合を想定しており、主にインターネット上のソーシャルデータや金融データなどの解析に用いられる。

[用語8] 最短路問題(SSSP) : 幅優先探索問題と同じく、グラフ上で指定された二つの頂点間の距離が最小となる経路を求める問題。グラフの各枝の重みが異なる場合を想定しており、主に道路あるいは鉄道などの交通データ上での経路案内などに用いられる。

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情報理工学院

情報理工学院 ―情報化社会の未来を創造する―
2016年4月に発足した情報理工学院について紹介します。

情報理工学院

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お問い合わせ先

機関窓口

理化学研究所 広報室 報道担当

E-mail : ex-press@riken.jp
Tel : 048-467-9272 / FAX : 048-462-4715

国立大学法人九州大学 広報室

E-mail : koho@jimu.kyushu-u.ac.jp
Tel : 092-802-2130 / FAX: 092-802-2139

国立大学法人 東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / FAX : 03-5734-3661

富士通株式会社 富士通コンタクトライン(総合窓口)

Tel : 0120-933-200
受付時間 : 9時 - 17時30分(土曜日・日曜日・祝日・当社指定の休業日を除く)

株式会社フィックスターズ マーケティング担当

E-mail : press@fixstars.com
Tel : 03-6420-0758

科学技術振興機構 広報課

E-mail : jstkoho@jst.go.jp
Tel : 03-5214-8404 / FAX : 03-5214-8432

JST事業に関すること

科学技術振興機構 戦略研究推進部

松尾浩司

E-mail : crest@jst.go.jp
Tel : 03-3512-3525 / FAX : 03-3222-2063

「MIRAI 博士後期課程学生向けショート・コース-サステイナビリティ」を開催

10月18日、東工大を含む日本8大学とスウェーデン7大学をメンバーとする大学間連携プロジェクトMIRAI(ミライ)が主催する4日間のイベント「MIRAI 博士後期課程学生向けショート・コース-サステイナビリティ」の最終日のプログラムが東工大で開催されました。

MIRAIは、サステイナビリティ、材料科学、エイジングの3つの分野を中心に日本とスウェーデンの共同研究を推進し、若手研究者の育成・交流を目的として、2016年に始動した2国間プロジェクトです。発足以来、重点3分野の研究セミナーを毎年実施しています。この博士後期課程の学生向けのコースはMIRAIプロジェクトの新たな取り組みとして、2018年より行われています。

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コースに参加した学生と教員

コースに参加した学生と教員

同コースは、「持続可能な水循環のための膜技術」をテーマとして、本学科学技術創成研究院の山口猛央教授、広島大学の都留稔了教授、スウェーデン・ルンド大学のフランク・リプニツキ教授がMIRAI加盟大学の博士後期課程の学生向けに共同企画した短期コースです。約4日間にわたって実施された同コースは、広島大学での講義と施設見学(10月15 - 16日)、滋賀での東レ工場の見学(10月17日)、本学での講義とグループワーク(10月18日)で構成され、日本側から9名(本学4名、広島大学5名)、スウェーデン側から5名(ルンド大学4名、ストックホルム大学1名)の計14名の学生が参加しました。

本学から物質理工学院の下記4名の学生が参加しました。

  • 奥山浩人さん(応用化学系 博士後期課程2年)
  • ハフィス・プラタマさん (応用化学系 博士後期課程2年)
  • イェンヴィラチョン・チャヤパさん(応用化学系 博士後期課程1年)
  • ル・クァン・フイさん (応用化学系 博士後期課程3年)

コース最終日のプログラムは東工大で行われ、午前は、山口教授、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の鍋谷浩志食品研究部門長、工学院大学の赤松憲樹准教授が、膜技術に関連した講義を行いました。午後は、大学混成の5つのグループに分かれて、水資源や膜技術に関連した下記の5つのトピックスから選んだ題目について議論し、ポスター発表を行いました。

A.
いかにして、膜技術を効率的に途上国に輸出・普及させるか
B.
日本・スウェーデンの公共水供給システムを比較し、途上国に有望なシステムを提案
C.
自然災害に強い水・エネルギーの新たなインフラを提案
D.
海洋エコシステムを管理・保全するための効率的方法を提案
E.
いかにして、膜技術を農水産・酪農業等で持続可能な生産・消費に貢献させるか

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ディスカッションの様子

ディスカッションの様子

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発表する【東工大生】

発表の様子

ポスター発表終了後、会場を移して修了式が行われ、参加者全員に、山口教授、リプニツキ教授より修了証が手渡されました。また、参加者全員による投票により、Bのトピックスについて発表を行った、広島大学のワン・チンさんとルンド大学のクリストファー・ハーグさんのグループが「最優秀発表賞」を受賞しました。

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最優秀発表賞を受賞した2名(中央)、本学の山口教授(左端)、ルンド大学のリプニツキ教授(右端)

最優秀発表賞を受賞した2名(中央)、本学の山口教授(左端)、ルンド大学のリプニツキ教授(右端)

参加学生は充実した4日間のプログラムを終了し、笑顔で東工大を後にしました。

次回の博士後期課程学生向けショート・コースは来年の春、スウェーデンで開催される予定です。

お問い合わせ先

国際部国際連携課

E-mail : kokuren.kik.cho@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3016


1ナノメートルサイズの粒子が高活性酸化触媒に 小さなナノ粒子が切り拓く新たな触媒機能

要点

  • 豊富に存在し安価な酸素を原料とする酸化反応を開発
  • 不活性な炭化水素から工業的有用物への高効率製造の実現
  • “19原子”の白金ナノ粒子で従来触媒の50倍となる高効率を達成

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院のミフタフル・フダ(Miftakhul Huda)研究員、山元公寿教授、南澤慶伍大学院生(当時)、塚本孝政特任助教、田邊真特任准教授らの研究グループは、粒径1ナノメートル (nm) 程度の極微小なナノ粒子「サブナノ粒子[用語1]」を触媒にして有機溶媒を使用せず、酸素を酸化剤とする炭化水素[用語2]酸化反応[用語3]を開発した。本研究で対象とする炭化水素は、不活性な炭素-水素 (C-H) 結合を持つトルエンという有機分子で、市販の金属担持触媒ではほとんど活性を示さない。今回、サブナノ粒子を触媒とした酸化反応で、既知のナノ粒子の約50倍となる触媒活性を示すことが発見された。

本研究の成果は、サブナノ粒子がもつ潜在的な触媒機能を実現化したものであり、より難易度が高い炭化水素を化学変換できる新触媒の開発につながると期待される。

この研究は、科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究 (ERATO)「山元アトムハイブリッドプロジェクト (山元公寿 研究総括)」で実施された。その成果は2018年11月16日にドイツ化学雑誌「Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー国際版)」にオンライン公開された。また、本論文は同雑誌の「Very Important Paper (VIP) ~全論文のTOP 5%以内~」として選定された。

背景と経緯

石油や天然ガスなどの化石原料の主成分である炭化水素を、有用な有機酸化物に変換する酸化反応は、学術的にも工業的にも重要な触媒反応である。近年、グリーンケミストリーの観点から有害な有機溶媒を使用せず、酸素を酸化剤とした触媒反応の開発が世界中で注目されている。一般に、粒子をナノサイズまで小さくすることで触媒活性が向上することが知られており、これまで様々なナノ粒子を用いた研究が行われてきた。

ナノ粒子の中でも、特にサイズの小さなサブナノ粒子は、一際高い触媒活性を発現すると期待されている。しかしながら、極微小で均一な大きさを持つ粒子の合成は技術的に難しく、触媒活性を正確に評価する研究例はなかった。本研究では、デンドリマー[用語4]を鋳型として利用することで、粒子サイズが均一に整ったサブナノ粒子の合成を達成した。これを用いて、溶媒を用いない酸素分子によるトルエン酸化反応の開発を目指し、遷移金属の性質や構成する原子数によって顕著に変化するサブナノ粒子の触媒活性を発見した。

研究成果

サブナノ粒子の合成には、樹状型の規則構造を持つデンドリマーを鋳型として利用する。デンドリマー構造中に各種元素の金属イオンを取り込み、その金属イオンを化学還元で粒子状にして、担体へ固定化し不均一系触媒を調製した (図(a))。この手法により合成した様々なサブナノ粒子を触媒としてトルエン酸化反応を起こしたところ、粒子のサイズが小さくなるほど触媒活性が向上するという傾向が観測された。また、遷移金属の中でも、特に酸素親和性の低い白金が高い触媒活性を示すことを見出した (図(b))。さらに、原子数を12から28まで制御した白金サブナノ粒子の触媒活性を評価したところ、原子数19個の白金触媒が最高活性値 (触媒回転頻度 = 3,238) を示した (図(c))。この結果は、既知の金属ナノ粒子 (粒径: 約 4 nm) よりも約50倍の高い触媒活性を示し、ナノ粒子の極微小化により触媒能が向上することを見出した。この成果は、当研究室から発表した燃料電池用の触媒に19原子の白金粒子が高い触媒活性を示したことと強く関連していると考えられる (2015年7月23日の本学プレスリリース[参考文献1])。

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(a) デンドリマーを鋳型とする遷移金属サブナノ粒子の合成、(b) トルエン酸化反応における各種遷移金属サブナノ粒子の触媒活性、(c) 白金サブナノ粒子の原子数 (n = 12-28) に依存した触媒活性

図. (a) デンドリマーを鋳型とする遷移金属サブナノ粒子の合成、(b) トルエン酸化反応における各種遷移金属サブナノ粒子の触媒活性、(c) 白金サブナノ粒子の原子数 (n = 12-28) に依存した触媒活性

今後の展開

今回の研究成果では、安定性が高く化学変換が困難な炭化水素であるトルエンのサブナノ粒子触媒を介した酸化反応を成功させた。今後、サブナノ粒子に秘められた優れた触媒機能がさらに評価されていくと考えられる。この触媒を使った酸化反応の高活性化は、常温常圧を例とする温和な条件下で不活性な炭化水素を付加価値の高い物質に変換できる高度な技術開発に貢献できる。

用語説明

[用語1] サブナノ粒子 : 粒径1ナノメートル程度の極微小なナノ粒子。構成するほぼすべての原子が表面に露出するため、従来のナノ粒子より高い触媒活性を示すことが期待される。その一方、粒子間で生じる凝集を抑制する必要があるため、均一な大きさを持つサブナノ粒子の合成法は限られている。

[用語2] 炭化水素 : 反応性の極性官能基を持たない炭素と水素で構成された有機分子。非常に安定なC-H結合を持つため、有害な重金属や爆発性の過酸化物などの強力な酸化剤を使わずに化学変換できない。

[用語3] 酸化反応 : 最も身近な化学反応であり、炭化水素と酸素との反応により炭素-酸素(C-O) 結合を形成する反応。炭化水素から水と二酸化炭素を生成する完全酸化を抑え、選択的に部分酸化を起こせば有用な酸化物を合成できる。

[用語4] デンドリマー : コアと呼ばれる中心構造と、デンドロンと呼ばれるコアから樹状に枝分かれした構造をもつ特殊な高分子。本研究で用いるデンドリマーは、その構造中に多数の金属イオンを取り込めるように設計されており、サブナノ粒子を合成する鋳型として機能する。中心より外側が密集した構造となるため、合成したサブナノ粒子を包み込むことにより、粒子同士の凝集を抑制する効果も持ち合わせている。

参考文献

[1] T. Imaoka, H. Kitazawa, W.-J. Chun, K. Yamamoto, Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 9810.

原子19個の白金粒子が最高の触媒活性を示す―燃料電池触媒の質量活性20倍、低コスト化に道―|東工大ニュース

論文情報

掲載誌 :
Angewandte Chemie International Edition
論文タイトル :
Aerobic Toluene Oxidation Catalyzed by Subnano Metal Particles (VIP論文に選定)
著者 :
Miftakhul Huda, Keigo Minamisawa, Takamasa Tsukamoto, Makoto Tanabe, Kimihisa Yamamoto
DOI :
10.1002/anie.201809530 Image may be NSFW.
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お問い合わせ先

東京工業大学 科学技術創成研究院
教授 山元公寿

E-mail : yamamoto@res.titech.ac.jp
Tel : 045-924-5260 / Fax : 045-924-5260

取材申し込み先

東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

11月16日12:00 本文中に誤りがあったため、修正しました。

東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院主催シンポジウムのご案内『川島雄三は二度生まれる ―日本映画の異端児―』

今年は、『幕末太陽傳』(1957年)や『女は二度生まれる』(1961年)などを撮り、日本映画史における鬼才として知られる映画監督・川島雄三の生誕100周年に当たります。

独特なセンスで映像表現を追求した川島映画は、半世紀を超えても映画ファンを惹きつけ、愛され続けています。

本学では、『淵に立つ』(2016年)でカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門の審査員賞を受賞し、国内外で高い評価を得ている新世代の映像作家・深田晃司監督と、映画や小説から文化や社会まで、幅広い批評活動を展開している『イメージの進行形』の著者・渡邉大輔氏をお招きし、川島映画の魅力を語りつくすイベントを企画いたしました。

司会は、『スター女優の文化社会学』などの著書がある、本学 リベラルアーツ研究教育院の北村匡平准教授がつとめます。

北村准教授は、11月に共編著『川島雄三は二度生まれる』(水声社)の刊行を予定しており、その本格的な内容に関心が寄せられています。

シンポジウムにぜひ足をお運びいただき、川島雄三の世界を心ゆくまでご堪能ください。

概要

日時
2018年11月26日(月)18:00 - 20:00
場所
対象
本学学生、教職員、一般
参加申込
入場無料、予約不要

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リベラルアーツ研究教育院主催シンポジウム『川島雄三は二度生まれる』チラシ

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リベラルアーツ研究教育院主催シンポジウム『川島雄三は二度生まれる』チラシ

リベラルアーツ研究教育院主催シンポジウム『川島雄三は二度生まれる』チラシ

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お問い合わせ先

リベラルアーツ研究教育院文系教養事務

E-mail : ilasym@ila.titech.ac.jp

Tel : 03-5734-7689

東工大インドネシア留学生協会が2018年の論文発表・特別講演会を開催

東京工業大学のインドネシア留学生協会は10月27日、東工大大岡山キャンパスで、駐日インドネシア大使館の協力を得て、論文発表・特別講演会「東京工業大学 インドネシア コミットメント アワード」(以下、TICA)を開催しました。

TICAは研究と技術を通してインドネシアの発展を支援するもので、今年で9回目を迎えます。

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吉田准教授の研究室の訪問

吉田准教授の研究室の訪問

TICA2018のテーマは「国家を力強くする誠実さ」です。インドネシアの大学で科学・技術を研究している大学生が参加しました。「情報通信技術」「エネルギーと環境」「インフラストラクチャーと輸送」「ライフサイエンス」の4つのサブテーマがあり、200本以上の論文が提出されました。選ばれた優秀な学生3名が論文発表のファイナリストとしてインドネシアから日本に招かれ、それぞれの研究を発表しました。

論文発表に先立ち、3名は科学技術創成研究院 先導原子力研究所の吉田克己准教授、物質理工学院 材料系の松下伸広教授、情報理工学院 情報工学系の篠田浩一教授の3つの研究室を訪問しました。

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矢野・松下研究室の訪問

矢野・松下研究室の訪問

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篠田研究室の訪問

篠田研究室の訪問

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挨拶する日野出教授

挨拶する日野出教授

当日はTICA実行委員会の代表者、インドネシア大使館の代表者、環境・社会理工学院 融合理工学系の日野出洋文教授の挨拶で始まりました。続いて3名のファイナリストが論文を発表し、最優秀者が選ばれました。審査員は、科学技術創成研究院 先進エネルギー国際研究センターのアズイッズ・ムハンマッド特任准教授、環境・社会理工学院 融合理工学系のウィナルト・クルニアワン助教、科学技術創成研究院 化学生命科学研究所のミフタクル・フダさんの3名が務めました。

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審査員のパネル

審査員のパネル

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ナディラ・ヌルファティヤさん

ナディラ・ヌルファティヤさん

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フエルビリアナさん

エルビリアナさん

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アユ・リア・プラタマさん

アユ・リア・プラタマさん

審査結果は次の通りです。

エネルギーと環境のサブテーマ
1位
アユ・リア・プラタマさん
UO2、(TH-U)O2、および(PU-U)O2を使用して高温ガス炉50のMWtの核分裂利用研究
ライフサイエンスのサブテーマ
2位
ナディラ・ヌルファティヤさん
鉄(Fe3+)イオンセンサとしての有機廃棄物からの炭素ドットの合成
エネルギーと環境のサブテーマ
3位
エルビリアナさん
微生物燃料電池技術によるバイオマス廃棄物を用いた電力生産に関する研究

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表彰状を受け取る最優秀者アユ・リア・プラタマさん

表彰状を受け取る最優秀者アユ・リア・プラタマさん

論文発表の後、物質理工学院 材料系のレトノ・ミランティさん(博士後期課程2年)の司会で講演会が開かれました。基調講演者はインドネシアのガジャマダ大学 のパヌト・ムリオノ学長で、アカデミアを通して国家を力強くする誠実さについて話しました。

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パヌト・ムリオノ ガジャマダ大学学長

パヌト・ムリオノ ガジャマダ大学学長

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TICA実行委員会から記念品を受け取る基調講演者

TICA実行委員会から記念品を受け取る基調講演者

最後に、参加者全員で写真を撮影し、インドネシアの科学と技術の発展を支援する証として拳を上げました。東工大インドネシア留学生協会はTICAを継続して開催し、インドネシアの研究者を積極的に支援したいと考えています。

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TICA2018の参加者

TICA2018の参加者

本学柔道部と仏エコール・ポリテクニーク柔道チームとの交流稽古報告

10月31日に、東京工業大学 柔道部とフランスのエコール・ポリテクニークの学生12名との交流稽古が大岡山キャンパスの体育館武道場で行われました。

エコール・ポリテクニークは1794年に創立された理工系の高等教育・研究機関で、これまでに数多くの著名な人材を産学界に輩出しています。そのような海外の名門校の柔道チームを受け入れることは、創部100年以上の歴史を誇る東工大柔道部にとっても記念すべき出来事となりました。本学からは現役部員7名の他、OBが数名稽古に参加しました。

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交流稽古での集合写真(本学体育館武道場)

交流稽古での集合写真(本学体育館武道場)

稽古の始めには、本学柔道部の長谷川博師範の提案により、エコール・ポリテクニークの学生からフランスで普段行っている稽古内容を紹介してもらいました。その後は、両校の部員がペアを組んで本学柔道部の伝統稽古の一つ「れんま」(円の動きを利用した崩しの技術)の打込みを実践するなど、交流稽古に相応しい内容となりました。稽古後には、制服に身を包み颯爽とした様子のエコール・ポリテクニーク学生を連れて、ワグネル記念碑前で東工大の歴史を説明したり、本館中庭講義棟から時計塔(古賀逸策研究室跡)を臨んだりし、大岡山キャンパスの見所を案内しました。

生協第一食堂で夕方から行われた懇親会には、フランス大使館への表敬訪問のため稽古に参加できなかったエコール・ポリテクニーク学生11名が合流し、学生同士、柔道や互いの国の大学生活をめぐる話題に花を咲かせました。

また、交流した学生からサプライズでワインのプレゼントがありました。

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制服姿に着替えたエコール・ポリテクニーク学生(本館中庭講義棟上)

制服姿に着替えたエコール・ポリテクニーク学生(本館中庭講義棟上)

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懇親会でプレゼントのワインを受け取る東工大生(生協第一食堂)

懇親会でプレゼントのワインを受け取る東工大生(生協第一食堂)

参加学生のコメント

柔道部主将の小野篤輝さん(物質理工学院 応用化学系 学士課程3年)

私は現在、物質理工学院 応用化学系で、将来化学メーカーで働き社会に貢献することを目指して勉強しています。

今回のエコール・ポリテクニーク柔道部との合同練習は私たちにとってとても刺激的な体験でした。日本とフランスという距離的にも文化的にも隔てられた二国間の理工系大学の学生が柔道という武道を通して交流を深められて良かったです。懇親会でもエコポリの学生がフランスの歌(大学歌、ラ・マルセイエーズ、レ・シャンゼリゼ)を披露してくださったり、お互いに自分の国の文化などを話したりして親睦を深めることができました。また機会があれば是非ともこのような場を設けたいです。

部員の松井優樹さん(第3類 学士課程1年)

私は第3類に所属していて化学系の内容を学んでいます。海水の淡水化に興味があり将来はその研究をしたいと考えています。今回の交流では英語があまり得意ではないので単語を繋げたような会話と大振りなジェスチャーでしか意思疎通を図れなかったのですが、柔道を通じて技をかけ、他方でかけられることで言葉以上の何かで分かり合うことが出来たような気がします。その後の懇親会で印象に残ったことは共に歌を歌ったことです。シャンゼリゼの歌のサビ部分での盛り上がりはまさに一致団結といった様相でとても気持ち良かったです。もし次の機会があれば、今度は自分の方が武者修行でエコール・ポリテクニーク柔道部を訪れたいと思いました。

エコール・ポリテクニークとの国際交流は大成功のうちに終了しました。特に今回が初めての国際交流の経験となった学士課程1年の部員が無理なく交流を楽しむことができた背景には、国境や言葉の壁を越えた両国の共通文化としての柔道の存在があるものと思われます。そうした柔道のもつボーダーレスの理念を携えて柔道部員は今後、国際的に活躍する人材となることを目指して、学業と稽古の両方に精進していく心構えをあらたにしました。東工大柔道部は海外学生の受入だけでなく本学部員の海外派遣も視野に含めて、今後も海外の学生との交流稽古の機会を積極的に創出していきたいと思います。

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両校の学生と本学柔道部OB、長谷川師範ら関係者との集合写真(長谷川師範は最前列の右から4番目)

両校の学生と本学柔道部OB、長谷川師範ら関係者との集合写真(長谷川師範は最前列の右から4番目)

本学学生がスタンフォード大学で開催された健康医療分野の開発コンテストで2位入賞

11月3日、4日にアメリカのスタンフォード大学で開催された「Stanford's Health Hackathon health++ 2018(スタンフォード ヘルスハッカソン ヘルス プラスプラス2018、以下スタンフォード ヘルスハッカソン)」において、生命理工学院 生命理工学系の藤田創さん(学士課程3年)の所属するチームBEETLE(ビートル)が、総合2位を受賞しました。

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受賞後の集合写真

受賞後の集合写真(左からマクマスター大学のパデイジス・ジョージさん、スタンフォード大学のメトワリ・アーメッドさん、藤田さん、トロント大学のホワン・アンソニーさん、ブラジル陸軍工兵軍研究所のピヨネット・マルセロさん)

スタンフォード ヘルスハッカソンの概要

スタンフォード大学で行われる、エンジニア、起業家、デザイナー、健康医療従事者など多分野に横断した参加者が、健康医療分野における重要な課題に協力して取り組む開発コンテストです。今回は、健康医療における「Affordability(医療の低価格化)」をテーマとして開催され、最終的に19プロジェクトが提出されました。

チームBEETLEのプロジェクト概要

スタンフォード ヘルスハッカソン冒頭のピッチプレゼンテーションにて、ブラジル出身のメンバーが自国で起こっている薬剤耐性菌の問題を提起し、それに賛同したメンバーが参画し、本プロジェクトは生まれました。

近年、多剤耐性菌が大きな問題となっています。特にヒトに対して病原性を有する耐性菌は、その種類の特定に時間を要し、適切な処置が迅速に行えていません。

藤田さんの所属するチームBEETLEは、多剤耐性菌のDNAの抽出および増幅を行うためのデバイスの開発と、耐性菌の種類を短時間で簡便に測定するためのシステムの構築を行いました。

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ピッチプレゼンテーション(予選)の様子

ピッチプレゼンテーション(予選)の様子

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ピッチプレゼンテーション(決勝)の様子

ピッチプレゼンテーション(決勝)の様子

チーム構成と藤田さんの役割

チームBEETLEは、スタンフォード大学(米国)、ブラジル陸軍工兵軍研究所、トロント大学(カナダ)、マクマスター大学(カナダ)の生命科学、コンピューターサイエンス、電気工学を専攻する大学生および研究者の総計5名から構成されています。藤田さんは、バイオエンジニアおよびハードウェアエンジニアとして参画し、システムのデバイス開発とビジネスモデル構築を担当しました。

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スタンフォード ヘルスハッカソン冒頭のピッチプレゼンで発表する藤田さん

スタンフォード ヘルスハッカソン冒頭のピッチプレゼンで発表する藤田さん

藤田さんのコメント

デザイン思考のパイオニアであるスタンフォード大学では、近年医療分野でのニーズ同定とソリューション開発にデザインを取り込んだ、バイオデザインという概念がトレンドになっています。私はこれまで、生物学に関する研究を行う傍ら、社会学がご専門の西田亮介先生に師事してきました。文理融合の視点が求められる今回のヘルスハッカソンでは、それらの経験が活きたと感じています。引き続き試作を重ね、実用化を目指していきたいと思います。

今年の7月に韓国の韓国科学技術院(KAIST)で行われたEntrepreneurship Camp(アントレプレナーシップ キャンプ)に参加した際も、今回と同様に多国籍のチームでプロダクトデザインに取り組みました。しかし、それぞれのメンバーの知識レベルの差による齟齬や、リーダーシップの不在により、チームが「空中分解」してしまいました。今回は同プログラムでの失敗を糧にして、チーム内での役割分担の明確化と、ニーズに基づくプロトタイピングを徹底しました。その結果、多様なバックグラウンドを持つメンバーの間での相乗効果が生まれたと感じています。やはりこうした経験は、アメリカ、とりわけスタンフォード大学だからこそ実現できるものだと思いますので、来年度以降のコンペティションへの東工大生の積極的な参画を願ってやみません。

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お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

平成30年度9月東京工業大学学位記授与式挙行

9月20日、大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて、平成30年度9月学位記授与式が執り行われました。

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平成30年度9月東京工業大学学位記授与式

式には修了生及び卒業生(修了生及び卒業生数309名(修士課程183名、博士後期課程83名、専門職学位課程9名、学部34名))と、そのご家族など合計約500名が出席し、卒業生・修了生の新たな門出を祝いました。

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学長式辞(益学長)

学長式辞(益学長)

益一哉学長の式辞は、卒業生・修了生の努力と成果、それを支えたご家族を賞する言葉で始まりました。

晴れの日を迎えた309名に向けて、東工大スピリットを心に刻みながら勇気と意欲を持ち続け、待ち受ける未来に果敢に立ち向かい、人生を大いに楽しんでほしいと激励の言葉を送りました。また、多くの留学生が巣立つ秋の学位記授与式に際して、留学生の奮励に敬意を表しました。

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部局長式辞(横田大学院情報理工学研究科長)

部局長式辞(横田大学院情報理工学研究科長)

続いて、横田治夫大学院情報理工学研究科長(情報理工学院長)が、部局長を代表してお祝いの言葉を述べました。東工大で身に付けた専門性に加えて、柔軟な発想で問題解決を導き出す力と、国内外で活躍する東工大同窓生のネットワークという二つの強みも活かしながら、未来を築きあげてほしいとエールを送りました。

また、本学同窓会「一般社団法人蔵前工業会」の井戸清人蔵前工業会業務執行理事(昭和48年理学部数学科卒)より祝辞をいただきました。井戸氏は、東工大で得た知識と英知を高め世界の平和と発展に貢献するよう、卒業生・修了生の活躍に期待を寄せました。

来賓祝辞に続き、卒業生・修了生への学位記授与と、リーディング大学院プログラムを修了した10名の修了生の紹介が行われ、卒業生・修了生を代表して、大学院総合理工学研究科博士後期課程修了生のデン・シさんが、謝辞を述べました。

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蔵前工業会理事による祝辞(井戸業務執行理事)

蔵前工業会理事による祝辞(井戸業務執行理事)

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大学院修了生デン・シさんによる謝辞

大学院修了生デン・シさんによる謝辞

卒業生、修了生のみなさんのご健康と益々のご活躍を心よりお祈りいたします。

2018年度学内ソフトボール大会を実施 優勝は総務部

10月27日、教職員による学内対抗の「学長杯ソフトボール大会」を大岡山キャンパスのグラウンドで実施しました。今年は総務部、財務部、学務部連合、研究推進部、施設運営部、地球生命研究所(ELSI)の計6チームからエントリーがありました。各チームとも1日4試合をこなす総力戦の末、優勝決定戦で総務部が財務部に4-3で競り勝ちました。

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研究推進部 VS 学務部の試合

研究推進部 VS 学務部の試合

教職員による学内ソフトボール大会は、2011年の「事務局パワーアップアクションプラン」の1つとして、教職員の親睦を深め、異なる職種・世代等の交流を促進するとともに心身のリフレッシュを図ることを目的として始まりました。各チームはこの日のために数週間前から、フリーバッティングやノックなどの本格的な練習を重ね、気持ちを1つにして当日に臨みます。有志スタッフによる運営のもと、心地よい秋晴れの中で大会を実施することができました。

益一哉学長による恒例の「試打式」が行われた後、参加チームは2つのブロックに分かれてリーグ戦を行いました。中には相手チームの選手の特徴を細かく分析し、戦略を立てる本格的なチームもおり、いつにも増して高度な試合運びが続きました。

加えて今年は、リーグ戦の順位に影響しないエキジビションマッチも開催されました。エキジビションマッチは、運動にあまり自信がないという参加者も積極的に試合に出場できるようにする趣旨で設けられたもので、そうした選手から快音が響くと、グラウンドは大きな歓声に包まれました。

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開会式に集まる各チーム(左)と益学長による開会宣言(右)

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開会式に集まる各チーム(左)と益学長による開会宣言(右)

開会式に集まる各チーム(左)と益学長による開会宣言(右)

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リーグ戦・エキジビションマッチの様子

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リーグ戦・エキジビションマッチの様子

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リーグ戦・エキジビションマッチの様子

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リーグ戦・エキジビションマッチの様子

リーグ戦・エキジビションマッチの様子

リーグ戦の結果

Aリーグ

 
施設運営部
財務部
学務部連合
施設運営部
×12-17
○16-5
財務部
○17-12
○13-7
学務部連合
×5-16
×7-13

Bリーグ

 
研究推進部
総務部
ELSI
研究推進部
×2-9
○9-3
総務部
○9-2
○10-2
ELSI
×3-9
×2-10

エキジビションマッチが終わった後は、各ブロックの同順位による順位決定戦が行われました。最終試合は、いずれもブロック1位通過の財務部VS総務部。職員野球部のキャプテンを筆頭とした強力な打線を持つ財務部と、鉄壁の守備でリーグ戦をわずか4失点で抑えてきた総務部による、熱い闘いが繰り広げられました。

僅差の試合展開が続きましたが、2-3と1点を追う総務部の最終回。代打で登場した益学長の出塁で突破口を開くと、続くバッターが念願の長打を放ち、総務部が4-3と逆転優勝を果たしました。

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決勝戦の様子

決勝戦の様子

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お互いを讃えあう両チーム(左)と優勝杯・賞状を手にする総務部(右)

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お互いを讃えあう両チーム(左)と優勝杯・賞状を手にする総務部(右)

お互いを讃えあう両チーム(左)と優勝杯・賞状を手にする総務部(右)

また大会後には懇親会が開催され、大会での健闘を讃え合いました。試合中はもちろん、当日に至るまでの練習も含め、ソフトボール大会を通じてチーム内の結束が強くなり、お互いをより深く理解することで日常の円滑な業務にもつながっています。


TBSテレビ「未来の起源」に小池研究室の学生が出演

情報理工学院 情報工学系 小池英樹研究室の髙橋宣裕さん(特別研究生)が、TBS「未来の起源」に出演します。

装着するだけで誰でもテクニシャンになれるソフトロボットグローブの研究について紹介されます。

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ソフトロボットグローブ

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ソフトロボットグローブ

髙橋宣裕さんのコメント

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髙橋宣裕さん

装着するだけでプロのミュージシャンやスポーツ選手のように華麗にプレイできるスーツを目指し研究を進めています。

今回の取材で紹介されるソフトロボットグローブは、人間の前腕の筋の構造に着目し、細径の空圧式人工筋肉によってこれらの筋の作用、レイアウトを模倣して実装したプロトタイプです。素手に近い装着感を達成しながらも、1指に対し4の制御自由度があり、力を入れなくても装着者の5指の屈曲と伸展が自動でコントロールされます。解剖学の知見に基づいて設計し、多くが柔軟な部品で構成されているため、人間にとって自然な力で動作を教示できる点も特徴です。

現在は、主にピアノの自動演奏やサポートに用いることで、技能向上に貢献することを目標として研究を継続中です。

番組情報

  • 番組名
    TBS「未来の起源」
  • 放送予定日
    2018年11月25日(日)22:54 - 23:00(放送地域:関東、愛知、岐阜、三重)
    ※放送時間に変更がある場合があります。
  • (再放送)
    BS-TBS 2018年12月2日(日)20:54 - 21:00
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お問い合わせ先

広報・社会連携本部 広報・地域連携部門

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975

平成30年度9月東京工業大学入学式を挙行

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平成30年度9月東京工業大学入学式

9月26日、大岡山キャンパス東工大蔵前会館にて、平成30年度9月東京工業大学入学式が執り行われました。式には新入生約330名(新入生数466名(修士課程287名、博士後期課程167名、専門職学位課程10名、学士課程2名))と、そのご家族約40名の合計約370名が出席しました。

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40の国と地域から迎えた新入生

40の国と地域から迎えた新入生

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学長式辞(益学長)

学長式辞(益学長)

益一哉学長は式辞の中で、本学の伝統であるものつくりにふれながら、異なる背景を受け入れる多様性に満ちた学修環境を享受し、他人との共存を通じて個々の成長につなげてほしいと期待を表しました。また、「2030年に向けた東京工業大学のステートメント(Tokyo Tech 2030)」に込めた強い意志を持って東工大を築いていくよう、新入生にメッセージを送りました。

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部局長式辞(和田物質理工学院長)

部局長式辞(和田物質理工学院長)

役員や学院長など、列席する大学関係者や来賓の紹介の後、和田雄二物質理工学院長が各学院を代表してお祝いの言葉を述べ、科学技術の力で喫緊の世界の課題に立ち向かうよう激励しました。

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蔵前工業会理事による祝辞(井戸業務執行 理事)

蔵前工業会理事による祝辞(井戸業務執行理事)

続いて、本学同窓会「一般社団法人蔵前工業会」の井戸業務執行理事(昭和48年理学部数学科卒)より来賓祝辞をいただきました。専門性と教養知識のバランスをとりながら、世界の産業の動向に目を向けることを奨励しました。

式典の最後には、新入生総代として情報理工学院 情報工学系の博士後期課程に入学したプトラ・ジャン・ウィラ・ゴタマさんが答辞を述べました。式典の開催と歓迎の言葉へ感謝の気持ちを述べた後、他者への共感と深い人間性を育み、技術革新によって持続可能な社会の実現に寄与することを表明しました。

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新入生総代 プトラ・ジャン・ウ・ジャン・ウィラ・ゴタマさんが答辞を述べました。式典の開催と歓迎の言葉へ感謝の気持ちを述べた後、他者
ィラ・ゴタマさんによる答辞

新入生総代 プトラ・ジャン・ウィラ・ゴタマさんによる答辞

社会とともに「ちがう未来」を描く「未来社会DESIGN機構」が発足 キックオフイベントを開催

指定国立大学法人構想の要となる未来社会DESIGN機構が9月に発足し、そのキックオフイベントを、10月28日に大岡山キャンパス東工大蔵前会館において開催しました。

未来社会DESIGN機構とは、予測可能な未来とはちがう「人々が望む未来社会とは何か」を、社会と一緒になって考えデザインし、導き出された未来社会像を実現するために必要な要素(技術、政策など)を含めて広く社会のみなさまと共有し、共に実現に向けた活動を行うことで社会に貢献する組織です。

本学にとっても新しい挑戦となる機構の取り組みのために、2018年春から学院やリベラルアーツ研究教育院から参加する学内構成員の他、実業家や広告会社、映像制作会社の方々など多様な学外構成員を交え、機構の在り方や目指すべき方向について議論を重ねてきました。

今回のキックオフイベントには、本学学生・教職員はもちろんのこと、学外からも高校生、社会人、卒業生など130名以上の多様な方々が参加しました。楽しく、真剣に、熱く語り合った当日の会場の盛り上がりの様子をご紹介します。

第1部 未来社会を考える共創ワークショップ 第1回「ボーダーを、超えよう。」

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司会進行する中野教授(右)と伊藤准教授(左)

司会進行する中野教授(右)と伊藤准教授(左)

「ボーダーを、超えよう。」というテーマは、未来社会DESIGN機構の構成員が事前の議論の中で出し合った「私の創りたい未来社会のイメージ」からキーワードを抽出して議論を進め、このテーマのもと、学内外の方々と話し合いたいという思いから設定しました。このワークショップには、本学学生及び本学教職員の他、高校生、卒業生、一般社会人の方のご参加がありました。

ワークショップではリベラルアーツ研究教育院の中野民夫教授と伊藤亜紗准教授がファシリテーター役となり、本学教員による最先端の研究に関する講演で述べられた新しい科学・技術や予測される世界の状況を踏まえて、どのような「ボーダー」を超えられるか、どのような未来社会が構想できるか、参加者が話し合いをしていきました。

話し合いに入る前のアイスブレークでは、参加者が4~5名のグループになり、自己紹介を行ったり、2030年に向けた東工大のステートメント「ちがう未来を、見つめていく」を読み上げたり、さらに中野教授がギターを持って自作の歌を全員と歌うなどして、参加者同士の距離を縮めていきました。第1部のメインであるワールドカフェ※1方式で行うワークショップでは、どちらの意見が正しいのかを競う「議論」ではなく、あるテーマについて向かい合って話し合い、新たな「発見」「創造」につなげられるよう「対話」することを目指します。対話する際のルールが中野教授から伝えられた後、丸くカットされた段ボール「えんたくん」を囲んで、ワークショップが始まりました。

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無線通信技術の発展について講演する岡田准教授

無線通信技術の発展について講演する岡田准教授

第1ラウンドでの話し合いのテーマとなる最先端の研究の例として、「無線通信のボーダーを超える!」と題し、工学院 電気電子系の岡田健一准教授が講演を行いました。岡田准教授は、100年後の電気通信、運輸、軍事、医療など23項目について20世紀に実現するであろう科学・技術を予言した1901年の新聞を取り上げ、当時予言された通信技術のうち、多くの技術が実現されていること、続けてこの約20年間における無線技術の急速な進歩について、講演をしました。

この講演を元に、5Gと呼ばれる次世代の通信速度が実現したら何がしたいか、グループごとに「えんたくん」を囲み円座になって対話していきました。対話ののち、ミニハーベスト(意見の共有)として2~3名の参加者が、対話から生まれた意見について参加者全員に対して発表しました。このように講演、対話、ミニハーベストを1ラウンドとして、さらに2ラウンドを同様の形式で行いました。

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えんたくんの中心に書いたテーマについて、メモをしながら進める対話

えんたくんの中心に書いたテーマについて、メモをしながら進める対話

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講演や発表された意見はグラフィックレコーディングで記録

講演や発表された意見はグラフィックレコーディング※2で記録

第2ラウンドでは、環境・社会理工学院 土木・環境工学系の鼎信次郎教授が、「変化する地球の環境-「ボーダー」を考えるために-」という題で、水、人口、地球温暖化といった観点から、変わりつつある地球環境について講演しました。最後に鼎教授は「みなさんが変わらなくても、まわりが変わっていきます」と呼び掛けて、この変わっていく地球、世界において、私達が望むことは何かを問いかけました。

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2060~2070年頃、世界の人口が100億人を突破するといった予測を説明する鼎教授

2060~2070年頃、世界の人口が100億人を突破するといった
予測を説明する鼎教授

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サリドマイドを例に薬の作用メカニズムの解明の重要性と、新薬の開発の可能性を説明する山口教授

サリドマイドを例に薬の作用メカニズムの解明の重要性と、
新薬の開発の可能性を説明する山口教授

休憩をはさんで第3ラウンドでは、生命理工学院 生命理工学系から山口雄輝教授が「創薬の壁を超えて」と題して講演を行いました。山口教授は、薬が効くメカニズムを解明する前から私たちは薬を服用していることがあるという事実や、特に低分子医薬品において新薬が生まれにくくなっている現状、高額な高分子医薬品など現在の創薬を取り巻く問題を提起したうえで、人間に対して好ましい作用も、好ましくない作用ももたらすサリドマイドの研究を中心に、薬の作用メカニズムの解明の重要性を説明しました。

第1ラウンドから第3ラウンドまで、ラウンドごとに議論する相手を変えつつ、最後のハーベスト(意見の共有)の時間では最初のグループに戻り、3つのラウンドの対話で印象的だったこと、これらを踏まえて、これから創りたい未来は何か、その思いを共有しました。

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それぞれがワークシートに描いた「私の創りたい未来」を参加者同士で共有

それぞれがワークシートに描いた「私の創りたい未来」を
参加者同士で共有

その後まとめとして行われたのが、ワークシートを使い、「現在の課題・心配」と「超えたいボーダー」を挙げたうえで、「私の創りたい未来」を、絵と言葉で参加者それぞれが描くことでした。それまでのにぎやかな対話とは対照的に会場はしばし静まり返り、それぞれが集中してワークシートに取組みました。描き終わった人はワークシートをもって、他の参加者とお互いのアイデアを共有し、さらに、講演やミニハーベストで共有された意見を記録してきたグラフィックレコーディングを用いて、ワークショップ全体の振り返りを全員で行いました。

その後、一度グループに戻り、お互いの「創りたい未来」を共有して感想を述べたのち、全員が会場内で大きな円を作りました。ここで、中野教授から「何かやりたくなったことがある人、手を挙げて!」と呼びかけると、数名の学生から手が上がり、「学生の団体を作りたい」「東工大生が名刺を持ったらいい」「小さなコミュニティをつなげるようなことをしたい」「異なる価値を共有して認識するため、場を作ってみんなと語り合いたい」といった意見が出されました。

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グラフィックレコーディングを囲み、参加者全員による今日の議論の振り返り

グラフィックレコーディングを囲み、
参加者全員による今日の議論の振り返り

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「何かやりたくなったことがある人!」と中野教授の呼びかけに、すぐに手を挙げた学生も

「何かやりたくなったことがある人!」と中野教授の呼びかけに、
すぐに手を挙げた学生も

最後に、中野教授から一本締めならぬ「一本ジャンプ」の提案があり、参加者を代表して高校3年生の女子生徒が「自分のボーダーを超えられた」という感想を述べた後に、彼女の掛け声にあわせて全員が目の前のボーダーを超えるイメージでジャンプしました。

※1 ワールドカフェ

1995年にアメリカのアニータ・ブラウン氏とディビッド・アイザックス氏によって開発・提唱された話し合いの方法。カフェのようにリラックスした雰囲気の場を作り、全体を4~6名ぐらいのグループに分けてそれぞれテーブルを囲み、多様な意見を受け入れることを目的とした対話をします。(川島直、中野民夫著『えんたくん革命』、みくに出版、p64から抜粋)

※2 グラフィックレコーディング

会議の中で人々の議論をリアルタイムでグラフィックに可視化する手段。グラフィックレコーディングを行うグラフィックレコーダーは人々の対話や議論の内容を聞き分け整理しながら、リアルタイムでグラフィックに変換し、可視化していきます(清水淳子著『Graphic Recorder ― 議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』、ピー・エヌ・エヌ新社、p4及びp12から抜粋)。今回のワークショップではグラフィックレコーディングに関する書籍も出している清水淳子さんがグラフィックレコーダーを務めました。

第2部 東工大コミットメント2018 と未来社会DESIGN 機構の紹介

第2部ではワークショップ参加者以外の学内外関係者も招いて、最初に益一哉学長から、今後の大学の活動の基本的な考え方となる「東工大コミットメント2018」の発表がありました。

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東工大コミットメント2018に込めた思いを語る益学長

東工大コミットメント2018に込めた思いを語る益学長

これは、今年4月に就任した益学長が、学内教職員の声を聞いてつくったものです。益学長は、本学の先進的な改革をさらに進め、特に教育と研究で成果を生み出すべく共通の価値観の醸成を目指して、「多様性と寛容」「協調と挑戦」「決断と実行」という3つのコミットメントを発信するに至った思いを、ワークショップで高校生や本学学生と話した際にも、これらの考え方の重要性を感じたという話を交え、語りました。

益学長は最後に、「ボーダーを、超えよう。」というワークショップのテーマに絡めて、「一歩ボーダーを超える、今日何を超えたか、を感じ取ってほしい。未来を見つけましょう」と呼びかけました。

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未来社会DESIGN機構に注目しつづけていただくよう呼びかける佐藤機構長

未来社会DESIGN機構に注目しつづけていただくよう呼びかける
佐藤機構長

続けて未来社会DESIGN佐藤勲機構長から、未来社会DESIGN機構の組織概要に関する説明がありました。佐藤機構長は、こうある「べき」という未来社会像より、社会のみなさんと一緒に、こうあり「たい」という未来社会像を考えていきたい、そのためには本学だけでなく社会の色々な方々に機構の活動に注目して、今日のワークショップのように積極的に参加していただきたいと訴えました。

最後に未来社会DESIGN機構構成員でもある上田紀行リベラルアーツ研究教育院長が、「共創ワークショップから未来へ」と題して、当日参加していた未来社会 DESIGN機構の学外構成員を紹介するとともに壇上にお呼びし、第1部の共創ワークショップで感じたことや、これから機構でやっていきたいこと、さらにそれぞれのこだわりや未来に対する原動力について、一人ひとり聞いていきました。

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登壇者による座談会の様子(左から、上田教授、株式会社ロフトワークの林 千晶氏、株式会社博報堂の根本かおり氏、科学技術振興機構 研究開発戦略センターの倉持隆雄氏、株式会社円谷プロダクションの杢野純子氏)

登壇者による座談会の様子
(左から、上田教授、株式会社ロフトワークの林 千晶氏、株式会社博報堂の根本かおり氏、科学技術振興機構 研究開発戦略センターの倉持隆雄氏、株式会社円谷プロダクションの杢野純子氏)

登壇者からは、決まったシナリオがないところで自由に議論ができる雰囲気や本日のこういう場を大事にしていきたいといった意見や、もっと多くの若い人たちの率直な意見を取り入れていってほしいといった感想が出されました。

第2部の後は、会場を百年記念館に移して、懇親会を開催しました。この場でも、いくつもの小グループが形成され、第1部の対話の続きや今後への期待を語り合う姿が見られました。

イベント終了の翌日から11月2日まで、第1部の共創ワークショップで参加者が描いた「私の創りたい未来」と、講演や議論を記録したグラフィックレコーディングを百年記念館に展示し、今回参加できなかった方へも未来社会DESIGN機構の取り組みを紹介しました。

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未来社会DESIGN機構キックオフイベントのちらし(左)と、「ボーダー」を意識した百年記念館の装飾(右)

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未来社会DESIGN機構キックオフイベントのちらし(左)と、「ボーダー」を意識した百年記念館の装飾(右)

未来社会DESIGN機構キックオフイベントのちらし(左)と、「ボーダー」を意識した百年記念館の装飾(右)

未来社会DESIGN機構では、変わりゆく時代のなかで、今回のワークショップのように、自由に、ありたい社会を語り合い構想する仕組みを作りつつ、今後、参加者が描いた「私の創りたい未来」をもとに、「こうありたい」という未来社会像を描いていきます。

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全固体電池実現のネックを解明 界面抵抗低減の指針を確立し実用化の道拓く

要点

  • 固体電解質と電極が形成する界面において規則的な原子配列が低抵抗界面形成の鍵であることを発見
  • 表面X線回折[用語1]により界面の構造を精密に解析
  • 全固体電池の開発指針を与え、実用化に向けた重要な一歩

概要

東京工業大学 物質理工学院の一杉太郎教授、日本工業大学の白木將教授、産業技術総合研究所物質計測標準研究部門の白澤徹郎主任研究員らの研究グループは、全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現し、その鍵が電極表面の規則的な原子配列であることを発見しました。この成果は全固体電池の開発に指針を与え、実用化に向けた重要な一歩となります。

全固体電池の開発が急速に進んでいます。固体電解質ならびに電極の材料開発が活発に行われていますが、特に、固体電解質と電極が形成する界面でのリチウムイオンの低い伝導性(高い界面抵抗)が実用化への大きな問題となっています。リチウムイオン伝導性が高い固体電解質と電極材料が開発されても、それら2つの固体材料が接触する界面での抵抗が高ければ、高速充放電可能な良い電池は開発できません。したがって、界面抵抗を低減することが非常に重要です。しかし、界面抵抗が高くなる原因は未解明であり、低減のための明確な指針はありませんでした。

本研究では薄膜作製と真空の技術を活用して、正極材料コバルト酸リチウム(LiCoO2)と固体電解質リン酸リチウム(Li3PO4)との界面を作製し、非破壊で測定できる表面X線回折を用いて界面構造を精密に調べました。その結果、高い抵抗を示す界面では結晶の周期性が乱れているのに対して、低い抵抗を示す界面は原子が規則的に配列していることを明らかにしました。

研究成果は11月22日(米国時間)に米国化学会の学術誌「ACS Applied Materials and Interfaces」オンライン版に掲載されました。

背景

リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度[用語2]サイクル特性[用語3]を備えた二次電池として広く利用されています。しかし、LiCoO2を電極に用いた現在のリチウムイオン電池の理論容量(357 Wh/kg=重量エネルギー密度)は、次世代電気自動車が500 km走行するのに必要とされる容量(500 Wh/kg)には及ばないため、より高性能な革新的二次電池の開発が期待されています。

その候補が全固体電池です。電池は大きく正極、負極、電解質の3つで構成されます。リチウムイオン電池の電解質には可燃性の液体(電解液)が使用されているため、電気自動車用の大型蓄電池を想定し、より安全性の高い固体電解質を利用した全固体電池の早期実用化が期待されています。

しかし、全固体電池は固体電解質と電極が形成する界面の抵抗(界面抵抗)が高くなるという問題がありました。界面抵抗が高いと、大電流での使用時にエネルギー損失が大きく、高速な充放電が困難となります。そこで、全固体電池における高い界面抵抗の原因を明らかにし、界面抵抗低減の指針を得ることが緊急の課題でした。

研究成果

研究グループは薄膜作製と真空の技術を活用し、LiCoO2エピタキシャル薄膜[用語4]を用いた理想的な全固体電池を作製しました(図1)。そして、固体電解質と正極の界面におけるイオン伝導性を評価した結果、界面の作製条件によって界面抵抗が変化し、良好な界面では抵抗が5.5 Ωcm2という極めて低い値となることを見出しました。この値は、全固体電池の従来報告の1/40の値であり、液体電解質を用いた場合の値の1/6です。このような低い抵抗の界面は、高速充電を実現することにつながります。

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本研究で作製した全固体電池の概略図(a)と写真(b)

図1. 本研究で作製した全固体電池の概略図(a)と写真(b)

集電体として金(Au)を、正極としてLiCoO2を、固体電解質としてLi3PO4を、そして、負極としてLiを用いた。基板にはAl2O3単結晶基板を使用した。

得られた低抵抗界面の状態を探るため、放射光を用いた表面X線回折により固体電解質と正極との界面の構造を精密に調べました(図2)。その結果、低抵抗界面(5.5 Ωcm2)は、界面近傍においても薄膜内部と同様に原子が規則的に配列した結晶性を有することが分かりました。その一方で、高抵抗界面(180 Ωcm2)では、本来、原子が規則的に配列していたにも関わらず、界面形成時に電極表面の原子配列が乱れていたことが分かりました。

本研究で作製したLiCoO2エピタキシャル薄膜の結晶方位では、リチウムイオンは薄膜に平行な面内方向にのみ移動することができ、薄膜に対して垂直に形成される結晶粒界が薄膜内部へのリチウムイオンの通り道になります(図3)。高抵抗界面では、電極表面における原子配列の乱れにより、電極表面でのリチウムイオンの拡散ならびに結晶粒界への拡散が抑制されていることを示唆しています。

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表面X線回折により求めた電極と電解質の界面の電子密度

図2. 表面X線回折により求めた電極と電解質の界面の電子密度

電子密度のピークが明瞭であることは原子配列が規則的であることを示している。界面からの深さ0 Åが固体電解質/電極界面である。低抵抗界面(赤色)では界面近傍でも原子が周期配列しているが、高抵抗界面(青色)では界面近傍の原子配列が乱れていることが分かる。

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低い抵抗の界面(a)と高い抵抗の界面(b)でのリチウムイオンの振る舞いの違い

図3. 低い抵抗の界面(a)と高い抵抗の界面(b)でのリチウムイオンの振る舞いの違い

Liイオン(Li+)が固体電解質中を拡散してLiCoO2に入る様子を模式的にあらわしている。LiイオンはLiCoO2のCoO2層に到達し、その後、横に拡散して結晶粒界を通り、結晶内部に入る。今回の結果は、固体電解質に接するCoO2層の原子配列の乱れがLiイオンの拡散を抑制し、結果的に界面抵抗が上昇したと理解できる。

今後の展開

今回の成果により、全固体電池を実用化するための道筋が見えてきました。固体電解質と電極の形成プロセスを最適化することにより、極めて低い界面抵抗を得ることができました。低い界面抵抗を実現する鍵は、緻密な構造制御によって界面形成時に生じる構造の乱れを抑制し、界面での規則的原子配列を維持することです。

今回の研究で得られた知見が全固体電池の作製プロセスの改良に活用され、高性能全固体電池の開発につながることが期待されます。

なお本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)リチウムイオン電池応用・実用化先端技術開発事業、トヨタ自動車株式会社、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)「超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製」、文部科学省私立大学研究ブランディング事業「次世代動力源としての全固体電池技術の開発と応用」、JST戦略的創造研究推進事業個人型研究(さきがけ) 「エネルギー高効率利用と相界面」、科学研究費補助金(26105008、25390072、26106502、26108702、26246022、26610092、16H03864)の支援を受けて行われました。

用語説明

[用語1] 表面X線回折 : 表面や界面にX線を照射して散乱されるX線の強度分布を測定することにより、表面や界面における原子配列を決定する方法。試料を非破壊で測定できることが特長。

[用語2] エネルギー密度 : 電池から取り出すことのできるエネルギー量の値。単位体積や単位質量などで規格化される。

[用語3] サイクル特性 : 充電と放電を繰り返したときの電池に蓄積できる電気容量の変化。容量の劣化度合が小さいほど、サイクル特性が良いと表現する。

[用語4] エピタキシャル薄膜 : 基板となる結晶の上に成長させた薄膜で、下地の基板と薄膜の結晶方位が揃っているもの。良好な界面の作製によく用いられる。

論文情報

掲載誌 :
ACS Applied Materials and Interfaces
論文タイトル :
Atomically Well-Ordered Structure at Solid Electrolyte and Electrode Interface Reduces the Interfacial Resistance
著者 :
Susumu Shiraki, Tetsuroh Shirasawa, Tohru Suzuki, Hideyuki Kawasoko, Ryota Shimizu, and Taro Hitosugi
DOI :
10.1021/acsami.8b08926 Image may be NSFW.
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東工大代表団が第2回MIRAIセミナーに参加

2018年10月9日~12日に、東京工業大学が加盟しているMIRAIプロジェクトが主催する第2回MIRAIセミナーが東京で開催され、本学から、関口秀俊副学長(国際連携担当)ほか、6名の教職員が参加しました。

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集合写真

MIRAIセミナーは、2017年から始動したMIRAIプロジェクトの活動の一つとして、毎年秋に開催されています。2017年にルンド(スウェーデン)で開催された第1回セミナーに続き、第2回セミナーは、東京で開催されました。今年は、日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年でもあり、スウェーデン大使館、MIRAIプロジェクトに参加している在京大学の協力によって、開催されました。

9日には、翌日からのセミナーに先駆け、本学の田町キャンパスにて、MIRAIプロジェクトの理事会が開催され、本学を含む日本の8大学およびスウェーデンの7大学の関係者が一堂に会しました。理事会では、2018年に開催されたワークショップの報告や、2019年に向けての活動計画や2019年のプロジェクト期間終了後の方針などについて、意見交換が行われました。

10日は、「高齢化社会における持続可能な社会システムとテクノロジー」をテーマに東京大学でセミナーが開催されました。開会式に続いて、文部科学省とスウェーデン教育研究省、スウェーデン起業イノベーション省の代表者による、両国の科学技術協力の強化に向けた共同文書への署名式が行われ、その後、2014年にノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授らによる基調講演が行われました。

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パネルディスカッションで発言する山田准教授

パネルディスカッションで発言する山田准教授

午後に行われたパネルディスカッションでは、本学から生命理工学院の山田拓司准教授がパネリストとして登壇し、両国を代表する若手パネリストと共に活発な議論を行いました。

11日からは、材料科学、サステイナビリティ、エイジングの分科会及びイノベーションのワークショップが、それぞれ、東京大学、上智大学、早稲田大学で開催されました。本学からは、科学技術創成研究院の山口猛央教授、物質理工学院の早水裕平准教授、環境・社会理工学院の藤井学特任准教授、大橋匠助教らが各分科会に参加し、両国の研究者との交流を行いました。

最終日の12日には、MIRAIセミナー理事会及び各分科会からの報告や来年に向けた活動のアイデアなどの意見交換が行われ、第3回MIRAIセミナーは2019年にスウェーデンで開催されることが決定したほか、2019年以降もMIRAIプロジェクトの活動が継続できるよう、関係各所に働きかけていくことを確認しました。

MIRAIプロジェクト

MIRAIプロジェクトとは、2015年に東京で開催された日本・スウェーデン学長サミットにおける合意を契機として、スウェーデンの7大学(シャルマーズ工科大学、リンシェーピン大学、ルンド大学、ストックホルム大学、ウメオ大学、ヨーテボリ大学、ウプサラ大学)・日本の8大学(広島大学、北海道大学、九州大学、名古屋大学、上智大学、東京大学、東京工業大学、早稲田大学)が連名でスウェーデン研究・高等教育国際協力財団に応募、採択となった2017年から2019年までの3年間のプロジェクトです。同プロジェクトは、サステイナビリティ(持続可能性)、材料科学、エイジングの3つの分野を中心に、両国の共同研究を推進、若手研究者の育成・交流を目的としています。

お問い合わせ先

国際部国際連携課

E-mail : kokuren.kik.cho@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3016

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