東京工業大学博物館は11月19日、目黒区教育委員会と連携して生涯学習講座「液晶が演出する昆虫の美しい翅の色」を、科学技術創成研究院 未来産業研究所の渡辺順次特任教授を講師に迎え、3年ぶりに博物館を会場にして開催しました。この講座は目黒区教育委員会との連携講座の一環として2010年より続いています。
今回の講座には、たくさんの応募者の中から抽選で選ばれた40人(中学生から80代までの方)が参加しました。
渡辺特任教授の講演では、渡辺特任教授が幼少期に魅せられた、カナブンやモルフォチョウなどに見られる自然界の美しいメタリックな構造色や、人が目にする身近な構造色の現象の解説に始まり、光の分光現象による構造色は精緻なナノ周期構造によってもたらされることや、その構造を化学や物理の力で人工的に再生する手法について、「積み木やマッチ棒を箱に詰めるような」イメージを用いて解説しました。また、渡辺特任教授が開発した構造色を発するコレステリック・フィルムと左と右の円偏光フィルムが参加者に配られ、参加者はそれらを使って光のらせん構造を実感しました。加えて、渡辺特任教授お手製のコロイド結晶にカラスの羽を浸し、時間が経つとそれが孔雀の羽のような構造色を発する美しい羽に変わる、という実験も行われました。
講演後、地下特別展示室に移動した参加者は、目の前で渡辺特任教授の解説を聞きながら、現在展示中の企画ミニ展示『構造色』を観覧しました。身近な距離で展示物を見ながらの解説は、プライベートツアーのような場となり参加者から多くの質問が投げかけられました。
講演後のアンケートには、「学術的な研究を、視覚的でわかりやすくユーモアをまじえて説明してもらえた」「構造色について非常に興味が持てた」などの感想が寄せられました。
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