一般社団法人蔵前工業会は、ベンチャーの育成を目的に2007年度から「蔵前ベンチャー賞」を設置しました。今年で第8回になります。東工大・蔵前工業会の有望ベンチャーの発掘・表彰を行ってきました。また2009年度から「蔵前特別賞」を設置し、産業界または社会に顕著に貢献した個人および企業を表彰しています。
11月25日、東工大蔵前会館くらまえホールで「蔵前ベンチャー賞」・「蔵前特別賞」授与式、記念講演会が行われました。参加者は135名、うち50名が学生でした。
2014年度蔵前ベンチャー賞受賞者
(1)teiソリューションズ株式会社
代表取締役社長 池田 修二氏
1978東工大(物理)卒、プリンストン大修士、東工大(電気工学)博士
産総研の設備を利用し、中小企業でも独自の半導体開発ができる道を拓きました。
特に、異分野であるバイオ、メディカル分野において半導体技術を使って、新しい製品の開発への活用が期待されています。日本のものづくりの新しい道を拓くものとして注目されています。
(2)ファイベスト株式会社
代表取締役 高田 敏弘氏
1979東京理科大(物理)卒、1982富山大修士
取締役 雙田 晴久氏
1978東工大(電子物理)卒、1980修士、1983東工大(電子システム)博士
メトロ系、幹線系などで使用される中距離、長距離用の光トランシーバーや、光トランスポンダーの基幹部品である光送信/受信ユニットを中心とした製品を開発・製造・販売しています。製品は、日米中各国の大手通信メーカーの基幹ルーターのキーコンポーネントになっています。これらの技術は、東工大の末松研、伊賀研での研究成果がベースになっています。研究室開発技術の事業化成功例です。
(3)ルビナソフトウエア株式会社
会長 中村 吉人氏
1973東工大(制御工学)卒
社長 Mr. Le Quang Luong
2001東工大(電子)卒、2003修士
東工大発ベンチャー第28号。ベトナムからの留学生が中心になって創業しました。
社員220人と協力企業40人の計260人でベトナムにおいて日本企業向けオフショア・ソフトウエア開発を行っています。
徹底した社内教育により日本品質の確保をうたい文句とし、ベトナムで日本市場向けソフトウェア開発受託するトップ企業の一社に成長しました。
2014年度蔵前特別賞受賞者
末松 安晴 栄誉教授
1955東工大(電気)卒、1957修士、1960年博士
1973東工大教授
1989~1993東工大学長
文化功労者、2014年日本国際賞
現代のインターネットの発展は目覚ましいものがありますが、それを支えているのは大容量長距離光ファイバ通信の実現です。末松栄誉教授は、波長がそろい、安定なレーザーの開発を追求し、光集積レーザーとして2個の周期構造型反射器からなる単一モード共振器を着想しました。
光ファイバの最低損失波長帯で、これを実現して「動的単一モードレーザー」と名付けました。この技術はその後、光ファイバ通信に欠かせない基本技術となっています。
この研究成果は、現在のインターネット社会に不可欠なもので、将来にわたって私たちの情報化社会をさらに進化させ続けるものと思われます。
式典と講演会の後には、交流会が行われました。今回は特に学生の参加者が多く、活気のあるセミナー・交流会になりました。ベトナムからの留学生が10人以上参加したのも大変よかったと思います。
今後とも「蔵前ベンチャー賞」・「蔵前特別賞」へのご支援を宜しくお願い致します。
お問い合わせ先
一般社団法人 蔵前工業会 蔵前ベンチャー相談室
Email : kvs@kuramae-kvs.ne.jp